異世界の国々が驚いた異界国家日本は本当にすごーいデス~ネ

これは紅葉の初めての親友と成ろう者の苦難と成長を描いた回顧録である。



ユーラシナ大陸の北部、東の海岸国ラクロアナ王国が在り、パイプ・ライン大河と言う大河が、この世界の太平洋へと注いで居る。



 其処から西へとパイプ・ライン大河沿いに進んで行くとアルガス公国、アセリナ王国と続いて行く。



 その北側には、険しい山脈であるドラグリア山脈が在り、多くの野生の竜種が生息して居る。





 それらの中で最も進化した種族を龍人族と言い。龍人は幾つかの色別の部族に分かれている。



 その中の白龍人部族が起した国をドラグリア白龍大帝国と言う亜人族の大国が在る。



 代々大帝と言う地位をこの地方の部族たる白龍人族の長が、皇帝の地位に就いている国である。



 冬は極寒地であり、人間とそれに近い亜人種達が暮らす土地としては適さないと言われて居る。



 越冬の時期に成ると、海と山から一斉に龍人族以外の種族が、退去する姿が見られるのだ。



 アセリナ王国から更に西へと行くとダバード・ロード王国が在る。



 ダバード・ロード王国は、この世界でも屈指の魔導技術を持った大国の王国であり、魔法と魔動力の研究機関が多数存在する。



 この国では初等科の学校から簡単な魔法を学べるこの世界でも数少ない国家だった。







 今回語るのは、ダバード・ロード王国の出身で、紅葉と深い関係を持って居るとある魔導師の幼少期と、少し前の出来事の話である。





ダバード・ロード王国は、魔法関連に関わらずとも、学問を盛んに推奨し、周辺国よりも発達した技術と国力を有していた。



 首都はインディクス、現国王はアーヤ・シュチュード女王、26歳。一つ下に弟ユウミール・シュチュードが居る。



 その他複数の王族が居るが、長い戦争のせいも有って、その多くが女性で占められて居た。





 そして、王都から南東に100kmの場所に、この国の二番目に大きい都市、トキアード市が在る。



 ダバード・ロード王国から総合学園研究都市に指定され、魔法と原理の研究と人材の育成が行われている学園研究都市だった。





この世界には科学という学問概念は、600年前以来、徐々に失われつつある為、科学と言う言葉の代わりに原理と呼んでいた。





後に日本の原理探求の概念の言語である科学と言う言葉が、再びこの世界の原理の言葉の成り代わる事と成るのは、もう少し先の話。





・・・・・・と言っても現時点でのこの世界の科学技術は、簡単な物でしかない。





 例えば投石器で、物を遠くに飛ばす。



 風を使って帆を受けて船を動かす。



 火薬で爆発し物を破壊する。



 歯車を組み合わせて、物を動かす等の基本概念は有るが、機械を動かす動力が魔力、荷車の動力として使われているのは家畜と言った物が主流を占めている状態なのでは、再び機械文明の発達はし辛い事だろう。





況してや、旧時代の如く、再び優れた技術文明立国の復刻を成し遂げ、日本の様に高度な機械化文明を持つに至る事も無かったのも、長い戦争のせいであり、その文明水準レベルが、地球で言う中世ヨーロッパ程度にまで後退して止まってしまって居る国家が大半を占めていたからだった。





 トキアード市立総合学園。この学園は中等部から大学まで試験さえ受かれば、誰でも通える国営の公立学校である。



 ちなみにダバード・ロード王国は、小学校のみが義務教育とされて居る。





 他の国では学校に通える事すら珍しいとされていて、学校と言う施設すら少ないからであった。



 かつてこの学校に通っていたリナ・ミーサガ・リンバースは、成績もそこそこも容姿もパッとしない平凡で、前髪を垂らしていた恥かしがりやの女の子だった。幼い頃からミドルネームが変だとからかわれていた。





彼女のミドルネームは、今ではどう言う読み方だったのかは分からないが、コヨミ皇国系の名前だったと言う話を聞くだけで、詳しくは分からない。





リンバースの家は中流貴族の家系であり、昔から一族は領地を持っておらず、発明や研究、技術官僚を職業として居た代々研究者の家系貴族である。



家はそこそこ裕福で、両親の他に姉1人と王都から勉学の為にやって来ていた従姉妹が二人いた。



 彼女の幼い頃は、両親と姉達と一緒にシベリナ地方の各国を歩いて回った思い出が有った。





 5歳の時に、リナとその両親は諸国会議の出席する為に、コヨミ皇国を訪れていたリナの両親は、魔法関連の技術者であり、同時に古代文明や転移文明の遺跡の研究者で、戦争に必要な技術関連の会議に出る為であった。



 その会議の合間は、貴族の子供等に取っては、とても退屈な時間だった。





 彼女に限らず会議に政府関係者の子供等が連れて来れるのは見合いか、知り合いを増やすのが目的だった。





幼い時から互いを見知って置けば、何かと便利と考えての事である。





 リナと紅葉の出会いは、リナの両親がコヨミ皇国での会議に、出席する為に訪れた時の事だった。





 リナは東洋の果てに在るコヨミ皇国のとても珍しい古い町並みに目を奪われ、大使館の近所を探検していた。





 リナの将来の姿は、抜群の容姿とスタイルに加え、天才的な魔導師と謳われている。



更には、敵対するものを全て滅すると言われた彼女も子供の頃は、もっと地味で恥かしがりやで、平凡な女の子だったが、時より見せる一面に、負けず嫌いな部分を持ち合わせた所があり、人一倍気の強い所が有った。



両親と供に連れられて来た姉、レナは別の所にいる親友達の所に遊びに行っていた。





 その親友らは、何時も彼女の事をシゴキまくって、いや、虐めて、でもないか。



 兎に角、出来の悪い親友の妹を実の妹同然に可愛がり、鍛えてくれて居た。



 リナは、小さな時から姉の事が憧れであり、恐怖の対象でもあった。無論、その親友達も・・・・・・・・・



そして、今はその姉達が居ない。





 モタモタしていると自由時間を姉達の暇つぶし、いや、強制特訓と証する姉達のお遊びが始まりかねないと大使館を抜け出していた。 



 そんな時だった。街中の広場で、町の子供達に混じって相撲を取っていた紅葉と出合ったのは。



少しだけ高いそうな着物を着て、20人ばかりの男の子と女の子の子供達の人だかりの中で、取っ組み合う姿があった。着物は既に薄汚れた状態で取っ組み合っていた。



 やや女子率が高い場では有ったが、彼女は楽しそうに暴れまわっていた。





 今の彼女の姿とこの場のやり取りの風景を竜史が見たらこう言うだろう。





 女版の織田信長だと・・・・・・・・・・・・・・・・



19歳の現在では、かなり落ち着いた雰囲気の女性と成っているが、幼少期はとんでもないお転婆でじゃじゃ馬な性格だった。



 彼女の一番の不満は、謙る貴族諸侯の子供らを紅葉の遊び相手に宛がわれて居る事である。





 その事に彼女は物凄く頭に来ていた。



 コヨミの皇家は、身分が煩い家ではないが、皇女と言う身分のせいでマトモな友達が居ないのが、周囲を困らせて遊ぶ原因だった。





 其処で大人達は、少しでも紅葉を落ち着かせ様と年の近い近衛隊の関係の子女を付けると、今度は皇城から町へと抜け出し、町人らの子供と遊び始めた。





その後どうなったかは想像できるだろう。



 彼の織田信長と同じ様に、皇都の市中であれこれと問題と騒動を起こし捲った。



 町の人々は、ある程度は見逃して居たが、ほんとに困る事をした時だけ容赦なく叱った。



 紅葉は身分の上下の関係の無く、損得の無い対等な付き合いが出きる友を欲していたのである。



 なまじ生まれながら持っている予知・読心能力のせいで、嫌なものを聞いたり見たりして来たのも原因でも有るのだが・・・・・・・・・・



これには流石の父の力仁も困り果てて居た。



 一方の母の葛葉は「放っておいても大丈夫。その内、心から気の許せる相手と出会いますから」と言い。



 気にも留めていなかったりするのだった。





リナは、金持ちな感じのする子が、こんな所で取っ組み合いしているのが珍しかった。





 紅葉が1人の女の子を投げ飛ばすと、何かを感じ採ったのか振り向いてリナの元へと駆け寄って来た。





「随分と大変な目に遭って居るのね。」





「えっ?!」





「貴女、西から来た子でしょ?」



「でも其処に何時までも立って居ると、怖ーい人達に掴まるわ。私と一緒に遊びましょう。」





 このコヨミ皇国で、西の子とは自国以外の西側全ての友好国の子供達の事を指して言っている。



 偶にやって来ては、見ず知らずの地元の子供と適当な付き合いをし、遊んで帰って行くからである。



 兎に角、これがリナと紅葉の最初の出会いである。





「ちちょ、ちょっとっ!!そんなに引っ張らないでよっ!!!」





「あそこで、皆に囲まれて居れば平気よ。」





 リナは訳が分からずに、強引に地元の子供らの居る輪の中に入れられた。





 そして、相撲とか言うコヨミ皇国の伝統的な格闘技をやらされていた。



 リナは相撲をやってみると何をやっても紅葉に先を読まれ手が出せずに居たのである。





(この子、どんな攻撃を仕掛けても、何をやっても通じない。)





 一方、相手の紅葉はと言うと。





(何よ、この子。本当に相撲が初めてなの?)





(それに何て持久力なのよ。こんなにも細身の身体の何所に、そんな力が有るの。)





 周りの子供らも二人の組み合いに目が離せずにいた。





 リナは姉達との特訓のせいで、有る程度の筋力と持久力が付けられて居た。



 細いヒョロヒョロな感じで、少々恥かしがりやな所が有るが、紅葉とガッチリと組み合って、一歩も退かなかった。





「お嬢さま、相撲が初めての子相手に、何やってるのよっ!」





「西の子も頑張れーっ!」





15分もの間、両者共に一歩も引かずに居たが、決着はあっさりな物だった。





(もう、何やっても無駄なら適当で良いや。)





 リナは何も考える事を止めて捨て身になった。





「へっ!?」





どうにも決着が付かないと踏んだリナは、心の中を無心と成って適当な戦いを始め様としていた。



 そして、リナが無心に成ってしまい、リナの心の内が読めなく成った紅葉。思わず紅葉口から間抜な声が出てしまう。



 リナは、紅葉と組み合った体勢を止めて、適当に突き放し、自らの感に従って彼女の後ろに素早く回って輪の外へと叩き出した。





「ふんぎゃっ!!」





 盛大に転びつつ、可愛くも間抜けな悲鳴を上げた紅葉。町の子らの目には、負け知らずだった彼女が、初めて負けたの瞬間である。



 それもチートな能力を使った勝負である。





 正にずる賢い方法で勝ち続けた事に武神から天罰が下った瞬間だったとも言えた。





 彼女は後に、こう語って居る。





 あれ程、間抜けな声で、突き飛ばされながら、転ばされたのは、あの時だけだったと言って居た。



 これまで卑怯な手口を散々に使って勝って来た紅葉に、天上に居わす、天の神々は、彼女に罰を与えた様な出来事だったとも言って居た。





「だ、大丈夫?」





 リナは涙目の紅葉に、手を貸しながら彼女を気に掛けた。





「くずっ、別に平気よ。痛くなんかないしっ!」





 (なっ、何か可愛い。)





 其処へ遠くから二人を呼ぶ声がした。





「ひ~め~さ~ま~っ」





「紅葉さまっ!何処ですかーーっ?」





 キョロキョロと辺りを見回して探す二人の従姉妹同士の従者達、身形はとても裕福そうである。





「リナ~何所にいるの~?」 







 今度はリナの姉であるレナ声だった





 二人は互いに何かを鋭く感じ取ったか、揃ってバッと、駆け出しその場を去った。





「お嬢、もう帰えるの?」





「ゴメン、また今度ねーーーっ!」





子供らは紅葉の突然の行動には、慣れている様子で、直に迎えの者が現れるのも知って居たのである。





「姫様は?」





「もう居ないみたい。絵美里お姉ちゃん、紅葉さまは、とても感がお宜しいから。」





 声の主は絵美里と香織であった。





「お嬢ならもう居ないよ。」





 一人の男の子が答える。





「そんな~っ!」





「はあ~・・・・・・」





子供らは皇女の事を告げ口をする事をしないのが暗黙の了解だった。





 へなへなと座り込み落胆する絵美里であった。







 遅れてリナの姉であるレナが、二人の友人と共にその場に現れた。





「可笑しいわね。この辺りをうろついて居ると思ったのだけれど、他を行ってみましょ。」





紅葉は自らの能力で、リナは日頃からの経験から来る感で、難を逃れたのである。二人は、とある甘味処に入る。





「雅美、居る?」





紅葉は人気の少ない店内で店の主の名前を呼んだ。





出て来たのは二十代半ばの女性だった。





「これは姫様、いっらっしゃい。また、城を抜け出して来たんですか?」





「うん、そんな所。それよりこれ。」





 紅葉が差し出したのは小銭だった。





「何時もので良いんですね。」





「構わない。そりよりも何時もの奥座敷を借りるわよ。」





「はいはい、どうぞ。そちらのお嬢さんも、一緒にお入りなさい。」





リナは訳が分からず、取り敢えず今思って居る疑問を雅美に聞いて見た。





「あの~先ほどから姫様って言いましたよね。ひょっとして、この子は、何処かの貴族の娘か何かですか?」





「ああ、貴女はコヨミ皇国に来たのは、初めてなのね?」





「あ、はい。」





「そう、皇都に良く来る異国の人や皇都の市民は、姫様のお転婆ぶりを良く見て、見慣れて居るから、不思議には思わないでしょうげど、初めての人が事情を良く知らないのも無理ないわね。」



「このお方はわね、コヨミ皇国・第一皇女、紅葉皇女殿下ですよ。」





「へっ、えっ、えっ、ええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーっ!!??」





 リナの驚き様は凄い物で、叫び声が店の前の通りに聞えるほどだったりする。





「私は先に行ってるわ。雅美、説明は手短にね。」





履いていた草履を手に取り、勝手知ったる場所である為、何の躊躇もせずに彼女は店の奥へと消えて行った。





「貴女、お名前は?」





「リナです。リナ・ミーサガ・リンバース。」





「変わった名前が入ってるわね。こっちの方の名前みたいだけど、発音が訛りのせいか、元が何なのか分からないわね。」





「良く言われます。それよりコヨミ皇国の皇女様が、何で市内の中を護衛も就けずに徘徊して良いんですか?」





「う~ん、それは姫様にしか分からない事だから、わたしが知っている事は、単に普通の遊び相手が欲しいだけなのかも知れないわね。」



「現に此処に連れて来られる子供達は今の所、御付きの絵美里お嬢様達ぐらいですもの。貴女は、余程姫様に気に入られたみたいね。」





「えっ、そうなんですか? 良く分からないのですけど。」





「姫様は滅多に、他人には、お心を開かないお方だから、かつてわたしは、お城で侍女をしていて、養育とお世話係をしていたわ。」



「今は結婚を切っ掛けに引退して、此処で甘味処しているの。良く姫様が隠れ家代わりにいらっしゃるけどね。さてと、そろそろ行かないよと姫様が待ちくたびれているわよ。」





リナは雅美に言われた部屋へと行くと放蕩姫様は、縁側で待っていた。二人は雅美が持ってきた白玉のぜんざいを黙って頬張っていた。





 ちなみにこの時代のコヨミ皇国には、甘味処の定番の餡蜜がまだ無い。





 砂糖やフルーツをふんだんに使用したお菓子が出回るのは、日本転移後の生産体制が整い材料の価格が下がってからである。



 コヨミでは砂糖の変わりに甘葛煎あまづらせんを使用している。





 甘葛あまづらとは、ツル状の植物の事である。



 この植物から蜜の様な液体を抽出させて御菓子の混ぜて食すのが、昔の人々の間では一般的だった。





 よく分からないと言う人は日本版のシロップだと思えば良い。



 今でも奈良県などの一部で個人の手で作られて居るらしいが、入手と生産量も少ない為に、今では殆んど知られていない。古くは縄文時代辺りから食べれていると言われている。



 安土桃山時代に砂糖が輸入され始めて、江戸時代には国内生産が始まるとイミテーション的な味の甘葛煎は、次第に全国から消え始めたのである。



 二人はこの日を境に友達となり、この数日の間に出会った者らと親友と成るのである。それは後に、鉄より固い絆と言われる事になる。







時代は変わってリナが15歳の時、トキアード市立総合学園の高等科への進学を控えた春の頃だった。





 中等科の学生寮から高等科の寮に移る間、市内の実家に一時帰省した日の事である。



 実家の屋敷が、何者かに襲撃されていたのだ。両親は怪我をしていたものの、命に関わるほど事は無かった。



 だが、南方のとある古代遺跡に出向いて調査研究に関わっていた姉が攫われてしまうと言う知らせをダバード・ロード王国政府と軍から受けたリンバース一家。



 その研究とは新型の魔導機兵である。魔導機兵とは、正式名はナイト・マギアと言い。







 魔動力炉で動くロボットの事であるが、一般的には魔導機兵また、機兵と略されて呼ばれている。



 元々機兵は古代遺跡で発見された機体の技術元に、コピーされた人型兵器である。





 ・・・・・と言っても劣化コピーであるが故に、元型とは随分とかけ離れた姿をしている機体であった。



 仮にロボットアニメオタクかロボットプラモマニアが、これ等を見たとしたら「ファンタジーロボットキターーーッ(゜∀゜)!!」と叫んで興奮するに違いない。



 その古代遺跡も異世界からの転移物だと言われていた。



 機兵は、この世界の学者や技術者には理解できない構造で作られていた。





 ここ数年で帝国も別の国と共同で魔導機兵を量産を始めて居ると言う。





 ここ最近では、ダバード・ロード王国との戦闘にも、投入され始めていた。その為、新型の開発が急がれていた。





 その開発とは魔鉱石と言う鉱石を利用した専用の魔導力銃の開発と機体の反応速度やオリハルコン製の巨大な剣の試作が進めらていた。





 リナの両親は、この計画に少しだけ関わりが有った。





 姉のレナは新たに南方で発見されたと言う遺跡の調査に関わって居たのである。





リナはダバード・ロード王政府、地元のトキアード市の警備隊や王国軍に噛み付くように姉の捜索を嘆願したが、その調査・追跡の結果は不明だった。





 政府や軍も殆んど手を尽くし探したが見つからなかったと言うのだった。





 だが、帝国は、この事件が起きるタイミングを合わせたかの様に、例の遺跡のある王国領を目指して帝国軍が攻め込んで来たのである。



 その事でダバード・ロード王政府は、リナを呼び出したのである。





 本来なら両親が行くのが筋だが、今現在は病院に入院している為に行けずに居た。





 そして、怪我をした両親に代わって訴えを起していたのは、リナだったからである。











ダバード・ロード王国 インディクス城にて・・・・・・・・









リナは旅装束のまま戴冠したばかりのアーヤ・シュチュ―ド女王に謁見を許された。





 桃色の装束を着た女王が、少ない軍関係者と近衛の護衛だけが居る変わった陣容でリナを出迎えていた。





「さて、妾が貴女を此処に呼び出したのは理由は言うまでもない。」





「其方の姉であり、我が国でも有数の魔導師にして、優秀な魔法学者でもあるレナ・ミーサガ・リンバースに付いてである。」



「結果を言えば残念では有るが、完全に我が国の国外へと連れ去れたと見るべきでしょうね。」





「そんなっ!!」





リナが大きな声で叫び声で女王に前に飛び出す勢いで何か言おうとすると、周りの者らがリナを取り押さえ様とするが、女王であるアーヤが周りを嗜める。





「良い、これは我が国に取っても危機的な事である。重要な人物と情報と戦略的な拠点、更に領土が奪われたのです。」





「これは・・・近い将来我が国は、帝国との決戦の次期が早まったと見るべきでしょうね。」





 周り者達は重苦しい顔していたがアーヤは構わず話を続けた。





「皆の気持ちも分かります。」





「ですが、我が王国と帝国との最後の戦は避けられません。」



「我が祖先はこの東の地に逃げ延びる事に拠って、彼の国との正面決戦を避けて先送りしたが、此度は逃げる事は叶わずだ。」



「隣国に逃げ込んだ所で数年を経たずにその国を追われるか共に滅ぶしかないのです。」



「話が逸れたがリナよ、此度は妾と政府や軍は、貴女の力に慣れそうにないわ。」



「妾は国を守るので精一杯なのです。本当にすまないと思って居ます。」





「陛下・・・・ですが・・・あたしは一体どうしたら・・・・・・・」





 アーヤは一つの提案を出した。





「リナ、貴女は暫くの間、ドラグリア白龍大帝国に行きなさい。」





「えっ、あの龍人族の国ですか? ですが、あそこは人が暮らすには決して良い場所では有りませんが・・・・・・」





「まあ、お聞きなさい。あなたのご両親は、妾と王政府が匿まいましょう。従姉妹や親族にも護衛を就けます。」



「他の親族らは狙われる心配は先ず無いと考えて良いでしょう。」





「それでも念の為ではありますが。狙われたのは政府のある計画メンバーだったと噂を流しておきます。」





「貴女は将来の目標は国家魔導技師と聞いて居ます。リナ、貴女は今回の一件で魔導技師への道へは進めなくなりました。」





リナはアーヤの話を黙って聞くだけであった。いま、彼女の将来の目標のであり、就職先のである国家採用試験を受けて入る国家魔導技師官僚と言う道が絶たれたのである。





「政府のと妾の都合で、貴女の将来を潰すのは酷だけど、代々の魔導技師と学者の家系のリンバース家の一族であるリナは、別の意味で狙われる可能性があるわ。」



「貴女がもし、最低の学力でも大学を受験し卒業したら、帝国から狙われる可能性があるわ。」



「帝国はリンバース家が持っているこれまでの研究成果を狙っている。今回は貴女のご両親はあまり政府の深い所には関係無く。」



「貴女の自宅からは、何も持ち去って居なかったので、難を逃れたと妾達は見ているの。」





「でもレナは違う。レナは遺跡の場所と軍の研究を一部を知って居たのよ。」



「殺されはしないでしょうけど重要な情報を持っていないと成ると、今度は魔導機兵に関する情報を欲しがるでしょう。」



「レナは設計技師でも有るわ。其処で妾は貴女を技師への道を強制的に諦めさせ、戦闘魔法に特化した魔導師に成ってもらうわ。」



「因みに拒否権は無いわよ。どうしても嫌なら僻地で幽閉処分になるわ。」





自国の女王から魔導師に成る為に、強制修行しろ言われたリナ。此処で彼女の言う事を拒否したら極寒の地へと強制幽閉と言う処分まで言うのだ。





 何故、王政府は、此処までの事をするのかがリナには疑問だった。







「陛下、何故ですか、あっ、あたしに国から此処までの仕打ちする理由が、何所に有るのですかっ?」





アーヤは冷たい目線でリナに言う。





「これは酷ですが、貴女を守る為です。リナ、貴女が学業を励めば近い将来、帝国は貴女を攫うか殺しに来るでしょう。」



「レナで得られなかった成果を手にするまでは、彼の国は他国の技術や知識、血筋を欲してる節が有ります。」





「そして、今回の一件は、我が政府の機密をリンバース家が隠していると勘違いして居る事です。」



「帝国は、任務の成功の有無を対象となる先を文字通り狩り尽くすまで調べます。つまり、狩り尽くされれば、レナの命が危なくなる可能性が有るのです。」





「姉さんの命が・・・・・・・」





「リナ、強く成りなさい。誰にも狙われる事も無く、誰にも屈しない強者になり、この国が滅んでも1人でも生きられる様に・・・・・」



「但し、高等科の卒業だけは許します。ドラグリア白龍大帝国の隠遁先での試験による卒業と成りますが・・・・・・」





「はい。」





「直に荷を纏めて国を発ちなさい。生家に有るもので私物は後で届けさせるわ。」





こうしてリナは、祖国を追われる事になった。表向きは国の重要機密の漏洩による連座とされた。



 つまり、姉のレナが誘拐によって漏洩されるであろう国家機密を知る一家を事実上の離散処置を王政府が取った事に成る。





 リンバース家は罪に問われる事は無いが、リナは厳しい処分を怪我をした両親代わって取らされたと公式記録には残されて居る事に成った。



 リナは祖国の機密と無縁の立場を強制的に取らされて、1人で龍人族が治める国へと追放されたのであった。



 最後にアーヤは、修行の合格を受けるまでは、ドラグリア白龍大帝国での貴女の幽閉を解く事を許さないとリナに言っていた。





 修行が終われば自由になるが、祖国の国籍を持つだけの流浪の旅人に身を落とす事に成った。





「うぐっ、ぐすっ、ぐすっ、姉さん、あたし、強く、強く、誰よりも絶対に強くなってやる。」



「だからあたしは、引っ込み思案な弱い性格を封じるっ!この自己催眠暗示魔法で・・・・・・」



「今日を限りに、弱い性格と感情だったあたしは消える・・・・・」



「少女時代に別れを告げて、帝国に・・・復讐と、姉さんをあたしが必ず助けるっ!」



「その為だったら、何だってやってやるわっ!!」



 此処に1人の少女が身の安全の為に故郷を追われた。この数年前に彼女は、帝国の戦争の影響で、親友達との繋がりを絶たれてしまう。





 両親が襲われ、姉が攫われた。



 この日を境に、リナはやや引っ込み思案な性格の有る自我を封じる。





 そして、最も激しい感情的な性格を無理やりに常時、出す性格へと変貌する。





 これが後に雷帝と呼ばれた史上最強の魔導師リナが生まれた瞬間であった。



 そして、故郷と将来を奪われた彼女は、数年後に帝国打倒に関わるのである。





 奇しくも親友である紅葉と共に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 そして・・・・・・・・リナは、生涯を通じて二度と故郷で暮らす事をしなかったと言う。



結婚も墓も全ては異界の国、一生涯の暮らすべき終の棲家の土地と成った日本の地で幸せを掴んだと言われて居る。



 祖国を追われたリナは、ダバード・ロード王国政府の厚意で、移動する為の馬車を与えられて居た。



 その馬車にリナ個人の私物と家財道具等を乗せてドラグリア白龍大帝国へと向っていた。



既に泣き止んでいた彼女だが、その目は泣き過ぎた影響で真赤に染まっている。その目は丸で復讐に燃えるかの様な真赤な目をしていた。



 国を追われたリナは、恥ずかしがり屋な性格の部分を自己催眠暗示魔法と言う物を掛けて打ち消していた。



 これは鏡を見ながら掛ける魔法で、本来の用途は自分の弱い部分の感情に打ち勝ち心を強くしたり、恐怖する心を和らげたりするのが目的だった。



 リナは己の弱い心の部分を封じ込め、代わりに普段から感情的に前へとへと出て行く心を大きくする催眠暗示を掛けて居た。



 これにより、口悪い部分が強くなり、多少事でも恥ずかしからずに無くなり、より強気でガサツな性格と成ったリナ。





 どんな困難でも前へ前へと突き進む為に、故国で育った自分を封じて、死んだ事にして、故郷には二度と戻らないと決意する。



 そして、その催眠暗示魔法をかけた事は誰にも言わない自分だけの秘密にしたのであった



それから10日後には、国境の都市であるノエリア市に入った。





 此処ノエリア市は、ドラグリア山脈の南の麓に位置し、ダバード・ロード王国、アルガス公国、アセリナ王国、ラクロアナ王国の4国家の者達は、必ずこの都市からの入国する事に成って居る。



これ以外の方法では、何方のルートも遠回りになるが、山脈を避けながら空艇と言う空飛ぶ船での移動と大陸北部にある外洋から船を使う移動方法しかないのだ。



 ドラグリアは、冬の間はとても厳しい極寒の土地になる為に、普通の人種族を始めとする多くの種族らの大使や外交官と武官らは、冬の間だけは大使館をノエリア市に構えて居るのだ。



大使館に関わる職員達は、一年の内、春から秋に掛けての間、首都のラグーリアにある大使館で業務をしている。





 リナは雪解けの始まったばかりの竜人族の国へと足を踏み入れた。





 竜人族は、少し変わっている。その殆んどが半竜半人の姿か、尻尾や角、羽が生えた姿が一般的だ。







 竜人は男性が、恐竜のような姿をしたトカゲに似ていた姿である。



まれに人間の男に近しい姿で生まれる事も有るらしい。女性は殆んどが人間の姿と変わりない美しい女性の姿である。



 だが、女性には特別な力が備わっていた。巨大な竜の姿に変身が出きるのだ。





 この国で、屈強な戦士とは、主に女性の事を指している。



しかも空を飛べるのは女性だけであり、軍人の殆んどが女性である。







 この国の軍隊の強みは飛行竜騎士隊と言う兵科が有り、此処ドラグリア白龍大帝国では白龍騎士団と名乗って居る国軍が有るのだ。



白龍騎士団の構成されている種族は白龍人族と呼ばれる色竜人族の一種で、巨大な身体で空を飛び、肉弾戦やドラグバスターと言う破壊光線を口から撃ち放つ事が竜人族の主な戦い方だった







 そして、陸戦隊とその他の後方部隊の構成員は、その殆んどが男性で構成されているのも特徴的だとも言って置こう。





この世で最も力強い強靭な肉体を持ち、鉄より堅い皮膚、空を縦横無尽に飛びまわり、少々な怪我でも平気で有り、体の一部が切り落とされたり、潰されたりとしても一部が残っていて、細胞が完全に壊死さえしていなければ、時間を掛けて治療すれば再生が出きると言う巨愛の生命力が有る種族なのだ。





竜人族の軍隊は、強力だが欠点が多い事でも知られていた。





 それは口から光線等含む攻撃技を吐き過ぎれば、息切れを起して何も出せないとか、羽が傷つき過ぎれば空を飛べない。致命傷に近い傷を負えば竜には変身が出来ないとか。



体力の消耗や空腹に成れば弱くなる等の様々な欠点等を多く抱えていた。この弱点を突かれて近年の帝国との戦争で負けが込んでいた。



 そして、竜種が生息する地であり、元同盟国であるドラグナー皇国に対して近年は戦争を避ける傾向に成りつつあった。







 そんな亜人種族中でも、ドラグリア白龍大帝国と言う国家は、同盟国や敵対的で無い国々には、門を開かれている珍しい国家なのである。





そんな竜人族の国にやって来たリナは、故国の大使館に通され、其処でドラグリアからの迎えを待たされていた。





 1時間ほど待っていたリナ。突然、待っている部屋のドアが開き、迎えの者が現れた。









 其処に現れたのは、ダボダボな感じの服を着た幼い姿をしたツインテールの竜人族の女の子だった。





「いやーっ、お待たせしたっすね。わたしは帝立学院博士にしてドラグリアの天才と謳われる学士、ミナワ・ミゴットっす。」



「リナさんの事は、アーヤ・シュチュ―ド女王陛下とダバード・ロードの外交ルートから送られて来た資料で、知っているっす。」



「此処からは、わたしが案内するっすよ。」





「宜しく。」





 自称天才と称するミナワのフレンドリーな自己紹介に、呆気に取られながらもリナは、簡単な挨拶を済ませた。ちなみに彼女みたいな感じの竜人族は稀に居る。



見た目も容姿もそうだが、戦闘に向かない固体も稀だが生まれる事が有って、変身時の姿も幼竜に成ってしまうのだ。



 そう言った者達は、学問などで身を立てようするのである。ミナワもそんな一人であった。





「そうそう、わたしがリナさんの勉強の面倒と試験官も勤めるっす。我が国は長い時間を掛けて知識と技術を発展して来た経緯が有るっす。」



「周辺国の進んだ物を取り入れて更に発展を遂げているっす。だから、リナさんの母国と変わらない環境での勉学を提供できるっすから安心してくださいっすね。」





 二人は大使館を出るとドラグリア側が用意した乗り物に乗り込む。





「これは、竜車ですか?」





 リナは珍しそうに竜車とそれに繋がれている竜を見ていた。







 リナも本等ので、竜車に付いての知識が有ったが、実物を見かける事の出来る地域は、故郷のダバード・ロード王国のドラグリア近い地域から少し南部へと下った先の南部辺りで、軍や金持ちの商人でも無い限り余り見かけなく、所有者が居ないのだ。





「南の国々にも竜車を使う事は有るっすけれど、まだまだ一般の庶民の人達からすれば珍しいっすよね。」



「竜人族以外の龍族には、幾つか種類が有るっすよ。肌色の有る高位種族である色龍族と様々な理由から多種多様な進化を遂げて、大抵は野生か家畜と成って居る下位種の亜龍族に分かれて居るっす。」



「竜車は余程の国力と経済的に余裕があるか、竜の生息数と竜の畜産に成功している国でないと珍しいっす。リナさんは初めてっすか?」





「いいえ、何回かは見かけた事は有るけど、まだ、乗った事は無いだけよ。」





竜車は重騎竜と言う4足歩行の竜を使う。





 重騎竜は2種類いて、その内一つの種類は、正面の額に角の無いのをプロトンと言い、地球で言えばプロトケラトプスに似た姿している。



 とても大人しく、比較的安く取引されていて、主に荷物の運搬や農耕の家畜として重宝されていた。





 もう一種類は、3本の角が特注的で戦場での活躍が主なトリプトドンと言うのがいる。



 これはこの異世界の戦車みたいな物で、これが正面切って戦う姿は迫力満点だろう。



 この世界では、様々な家畜が運搬や戦で活躍して居るのである。





 二人はこの竜の馬車を使って山越えするのである。





「此処から先は、馬ではキツイ山越えっす。それに竜人族と付き合いのない野生種の亜竜が多く生息する地域の近くも通る道も有るっすから、馬は竜の気配に脅えて中々思う様に進んでくれないっすよ。」



「其処で我が国では幾つかの種類の亜竜種をも生活の足としても使って居るって訳っす。」





「へえ~。」





「それじゃ、早速っすけど、竜車に乗り込むっすよ。今日中に山向こうの町まで行かないと野宿する羽目に成るっす。ドラグリア山脈の野宿は、場所を選ばないと大変に危険っすから。」





「それって亜竜種が居るから?」





「それも有るっすけど、わたしみたいな竜人族が居ても相手は山で暮らしている野生の竜達っす。」





「わたし達は、竜の縄張りを間借りしているみたいものっすから、上位下位共に、うっかり機嫌を損ねたら豪い目に遭うっす。」





 街道は綺麗に整備されて居たとしても、油断は成らないのだ。







 野生の竜は稀に遊び半分で、人に危害を向けてくる事も有るのだ。彼ら竜人族は、他の竜種と対話が出きるらしい。



ドラグリア山脈を始めとする竜が生息する地域を通る場合は、其処を避けるか、竜人を案内役として同行させるのが旅人達のマナーであり、昔からの慣習的な倣いでも有ったのである。





「何だか物凄く面倒なのね。それならサッサと行きましょう。あたしは物騒な場所での野宿は、ホンとゴメンよ。」





二人は竜車に乗り込み一路を北へと向う。竜車が向かうのは、ドラグリア白龍大帝国の首都ハイリッピンへと向った。



 ドラグリア山脈を越えて先の町で一泊、平原や川を超え湖から流れる川に沿って街道を北へと進む事2週間の旅路である。



ドラグリア白龍大帝国の本土は、 ドラグリア山脈高原地方の事を指して居る。



 ドラグリア山脈を越えた先に在る大平原の事を指す、ドラグリア白龍大帝国の国土の6割五分近くがこの平原で成り立っており、竜人族の都市の殆んどが平原や丘陵地帯に造られて居る。





 ドラグリア白龍大帝国へと入るには、陸路でノエリア市を含めた都市を経由する形での三方向の街道から入国をするか、空路を使う又は遠回りに海路を使うしかないが、冬の間は海路は使えず、空路は天候に左右され易い。







厳しい自然環境が垣間見える ドラグリア山脈高原地方の中の丘一つを超えた頂上からリナは、この国の首都であるハイリッピンを眺めた。







 都市の中央に岩山を刳り貫いて作られた城は、その全体が真っ白な色をした城である白龍大帝城が建っていた。





 この世界の北で、最も栄えた亜人族の国、それがドラグリア白龍大帝国である。



 この国は、鉱石の採掘を主要な産業としている資源大国であり、それを諸国に売って代わりに食料や日用品を諸国から仕入れていた。



 また、国交の有る諸外国から委託で家畜竜の飼育を引き受けて居る事でも知られている。





 この国が、惜しむべき点を上げれば、産業が育ち難い点である。



 この国の冬は、地球のシベリア地方や日本の北海道の様な極寒になる為に食料生産が少ない。



 先進的な農業が有れば、もう少し違ったかも知れないか、そんな都合の良い方法や技術力が無いのがこの世界の実状なのだ。



それに工業力も乏しいと言う欠点も抱えていた。







 基本的な武器や最低限の鉄工製品は作れるものの、大量生産が自国で出来ないと言うジレンマをも抱えていた。



 学業はそれなりに盛んだが、あくまで教育するのが目的となっていて卒業後の就職難が特に目立っている。



 国の殆んどが軍人と商人と学者と言うちょっと困った国体体制なのだ。





 これも帝国との戦争の影響が原因だった。



 それに国土大半の場所には、異臭を放つ黒い池や噴出する毒ガス等が多く見られていた。



 後に交援省がドラグリア白龍大帝国内を調査をすると、鉱石以外のエルネギー資源が豊富なヤバい土地だと言う事が発覚する。



 その報告書を読んだ日本政府の面々は、経産省を始め大喜びで、この地の開発支援に着手し、ガタガタだった国内の産業や経済は、次第に改善されて行くのである。

 首都であるハイリッピン市内の周りをグルリと真っ白な防壁が囲って、それと白龍大帝城を合わせて眺め見る景色は絶景だけ、此処を訪れる人々が絶賛して居た。





 リナとミナワの二人は、市内へと通じる城門を潜り抜け抜けて行くと、その先の中央通りを通って城の正門へと向った。



 ミナワの話では、白龍大帝城で、この国の主であるエリノア・ドラグリア白龍大帝が、リナとの面会の為に待っていると言うのだ。



 リナは城内に通されるとミナワと一緒に謁見の間に通される。







其処には、小学生位の背格好をしている少女が玉座に座っていた。





それも偉そうな態度で座って居る。





「エリン陛下、ミナワ、ご指示通りにリナ・ミーサガ・リンバースを連れて参りました。」





「良く来たのう、遠路遥々とこの様な不毛で自然豊かな地に来たものじゃ、リンバース家の小娘。」





「はい、エリン大帝陛下。これからお世話になります。」





この皮肉った物の言い方をしてる少女、白龍大帝と呼ばれる白龍族一族の皇帝位に就いて居るこの国の元首にして、このドラグリア白龍大帝国の地を治めるエリノア・ホワイト・ドラグリア大帝である。





 親しい者や顔見知りに自国民、彼女を良く知る諸外国の民等は、愛称であるエリンと呼ばれていた。





 見た目が子供と侮ってはならない。これでも齢600歳を越える立派な大人であるも有るのだ。



 そして、この世界の竜人族は、エルフ等を含めた長寿な亜人族の一種族の一角でも有るのだ。



 だが、寿命はバラバラで、いつ頃歳を重ねて老けて行くかは、個人差に由って差異が有る。



 それは数千歳単位から数百歳までと言われているエルフに匹敵する長寿でも同じ事でも有るのだ。



 この見た目からエリノアは、諸国ではロリババアと揶揄されている。そして、この姿は仮の姿でも有った。



 本来の姿は絶世の美女であり、少女の姿を取るのは強力な、竜人族としての力の制御と魔力の燃費の節約も兼ねて居るのである。



 ちなみに真の姿は、滅多な事ではお目に掛かれないらしく、ドラグリア白龍大帝国の国民や一般人で見た者は稀であるとの噂だ。





その白いドレスと腰から伸びた白い尻尾に白い羽。頭部には二本の角が後ろに向って伸びている黄色い目がエリン達白龍人族の特徴的な容姿であった。



 補足説明をすると角や羽に尻尾は、変身能力を使えば出し入れが自由と言うオマケ付きだった。





 エリンは、初めて会う来リナを威圧するかの様にして、キリッと目をやりながら彼女を品定めしていた。





「まぁ、良い。お主は他の弟子共の姉達とは違い、糞面白くもないのう。」





「はぁ?」





「何じゃ、あ奴らに聞いて居らぬのか?わしが主の姉とその友等を時折じゃが、稽古を付けて鍛えてやっておったのよ。」





 エリンが言うその姉達に付いて説明しよう。1人目はリナの姉であるレナ・ミーサガ・リンバース。



 彼女はダバード・ロード王国では、古代魔法文明技術考古学研究や電撃魔法研究と電撃魔導師の秀才として知られている。



 その戦闘スタイルもやはり雷撃戦闘魔法を駆使するので雷光の魔術師と呼ばれていた。



 2人目はヴァロニカ・サークラ・レアモン。ドラグナー王国第一王女。



 アイアン・ブラッド・プリンセス、血染めの鋼鉄姫将軍と呼ばれ、容赦のない強さと用兵術を兼ね備えていた。



 3人目はマーヤ・リリロッカ・ヨシカーナ。アセリアの閃光の聖騎士と世間では言われて居るが、妹のハンナと似た様な感じてドジでうっかりさん。



 トラブル起こしたり酷い目に遭ったりと騒がしい頭の可笑しな人物として知られていた。





 アセリア王国は、天使族と自称している亜人族達が住んで居る。





だが、本当の天使ではない。





本当は只の普通の翼人族である。



 その昔、戦場で戦うアセリア王国の騎士達の姿を、言い伝えにある神に仕える天使みたいだと言われたと諸国の人々から言われた彼らは、そのまま調子に乗って以来、自分達の事を天使と言いふらす様に成る。



 まぁ、なんだ、アセリアの一部の人達と言うのは、何て言ったら良いのか、あっそうそう、頭の中身の思考がと言うかアレなんだ。



 所謂、思春期の心の病気みたいなものを抱えている。と言っても本当の病で無い。



 アレな感じの病気、思春期やオタクがとても罹患率がとても高い中二病なる病を患った人々が多いお国柄な所である。



 アセリアはエクスプロン・ランサーと言う魔槍が主力武器とする。アセリアの翼人の人々は先天的に魔力が高い。



 そんな彼らはエクスプロン・ランサーを使って鬼神に勝るとも劣らない姿で戦うのだ。



 この武器は二又の槍であり、遠距離に成ると二又に分れた槍の中央から放たれるエクスプローションを応用した魔動砲ぶっ放し敵を焼き尽くす。



 この通称エクスプロトンバスターを放たれた地は一円は荒野と化す。



 この武器を使ってマーヤは、攻めかかって来た帝国軍の一軍を壊滅させたとか。以上の3人がリナと紅葉らが最も恐れている姉達の事である。





 これ等3人は、それぞれの母国の軍で、既に戦場に従軍を経験して居た。



 だが、この時点でドラグナー王国のヴァロニカは、帝国に敗戦した関係で、互いの交流を絶たれており、レナとマーヤとは敵対関係に成って居た。





「陛下と姉さん達が、そんな関係だったなんてね。」





「まぁ、そんな訳で、この国に居る間はわしがお主を鍛えてやろう。わしだけでは無いぞ。この国の騎士や諸国を回って居た白龍人族の戦士等を、わしのコネを通じて講師として呼んでやろうぞ。」





「あの~ミナワさん、何でエリン陛下は、こんなにもやる気を出していらっしゃるんですか?」





 ミナワは微笑と呆れ顔で言う。





「それはすっね、このドラグリアは、冬の間は外に碌に出られず暇を持て余して居るっすから、陛下も多分・・・・・・・・」





「決まって居るであろう、こんな楽しそうなオモチャ、いや、困っている若者を助けたいだけじゃ。本当じゃぞっ!」





(いま、あたしの事をオモチャ扱いしたわよね・・・・・・)





 ニヤニヤと楽しそうにしているエリンは、暇つぶしの為に若者をおちょくって鍛える悪癖があった。



 その悪癖振りは、しっかりと弟子らに受け継がれており、幼少時代に豪い目に遭った原因をリナは、それを仕込んだ張本人から直接思い知らされる事と成る。



 そして、今「姉たちの悪癖の元凶は、この人のせいか」と怨みの声を心の中で呟いく。



 かくして、リナの修行時代の幕開けであった。



 リナがドラグリアにやって来てから2年の間。様々な事が有った。



 リナが故国を出てから4か月後、久しぶりにリナの実家を訪ねたハンナが、「えっ、リナ居ないの?」と地元の学校に通い続ける為に、リンバース家の持ち家だった旧実家を譲り受けた従姉妹達に、リナの諸事情を聴かされると、そのままリナを追いかけて、下宿先に着くと「あーそーぼーっ」と言う始末。



 リナは呆れ顔でドアを開けて応対するが、ハンナは「リナは何所に居るのであるかっ?」と本人を目の前にして大ボケをかます。



 この時のリナは、エリンの異常過ぎる魔導師としての修行生活のせいか、バストが88を超えて、165センチの背丈に加え、容姿や身体つきが激変していた。



「アンタね。あたしは故郷を追放されて色々とイライラ、むしゃくしゃをして居るのっ!」



「気軽にに遊びに来ないでよっ!」



「???」



「一体何のことだ?我はリナと遊ぶ為に居るのだ。お前ではない。」



「だーかーらーっ!!このあたしがリナだって言っているでしょうがあああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」



「えええええぇぇぇぇぇーーーーーっ!?」





 ハンナは、リナの容姿の余りの変貌振りに、衝撃を受けて大声で叫んでしまう。



「其処まで驚く事は無いでしょう。」



「えっえっでも・・・・・・」



「まぁ、背丈と胸が以上に大きく成り過ぎたのは、ちょっと嫌なんたげどさ、最近はお尻辺りの筋肉と張り具合が良くなりすぎて、お尻事態も何だか大きくなっちゃったのよ。お陰で下着を買い揃えるのも一苦労よ。」



「どどっどうやったらそう成るのだ?」



「分からないわよ。」



「まぁ、そんな事はどうでも良いわ。さっと実家に帰んなさい。此処に居ると厄介な師匠に玩具に・・・・・」



「おお、その後ろ姿はマーヤ・・では無いか、マーヤの妹のハンナだったか。リナに会いに来たか。それは丁度良かったな。」



「折角だからお前も扱いてやろう。」



 ハンナの背後に不意に現れるたのは、エリンであった。



「さぁて、我は数日後に母との大切な用事か有ったのだった。では我が友リナよ。達者でな。」



 ハンナは適当な理由を付けて立ち去ろうとする。



「まぁまぁ遠慮するな。お前の実家の母やマーヤには、話を付けて置く。暫くとは言わず、ずっと居ても良いのだぞ。その方がリナも寂しくは無いだろうしな。」



「嫌だああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!!我を助けるのであるリナああああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」



「はぁ~、だから、アンタとは連絡を取りたく無かったのに・・・・・・・」



「もう、手遅れよ。実家には当面は帰れないと覚悟しなさい。相変わらずのうっかり者のバカね、この子は・・・・・・」



「ひいいいいいぃぃぃぃぃーーーーーっ!!!助けてえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」





 こうして、ハンナはリナの魔導師の修行下宿暮らしに、うっかりで半ば強引に加入させられる。



 当然のことながら、ハンナの実家からは「暫くの間、娘をお願いします」と母から厄介払いさせられ。



 姉のマーヤからは「我が妹よ、我はお前と離れ離れに成るのは寂しいが、我が師匠との修行を頑張るのだああああぁぁぁぁぁーーーーっ!」と手紙に一言添える様にして書くだけで師匠エリンとは、余り関わりたくないらしい。





 こうしてリナとハンナの二人は、世界各所に居構えている龍族・龍人族らとの厳しい修行の日々を送る事と成る。





 赤龍帝・黒龍帝・黄龍雷帝、紫龍帝・緑風龍帝等々、ハンナと共に、その修業で死かける事100数回。



 各地の龍人族から一撃の一本取れば勝ちと言うルールの下、何とか合格を勝ち取り、高卒資格に合格した後、この国を後にした。







 彼女が竜人族の国を飛び出して後、先ず、最初にやった事とはと言うと・・・・・・・・・・・









パイプ・ライン大河を越えた南に在るとある帝国領内の帝国砦にて・・・・・・・・・・・





 此処はパイプ・ライン大河を越えた南に在るとある帝国領内の帝国砦。

 

 その砦近くに在る小高い岩石の塊の丘に隠れる二人が居た。



「・・・・本当にやるのか?」



「無理して付き合わなくても良いのよ。これから先はあたしの私怨なんだから、あんたは実家にでも帰ったら?」



「水臭い事を言う出ないのだ。我らは友であろうが?」



(ううっ、それに実家には姉ちゃんが居るから帰りたく無いのである。)



「ホンとに・・・・・?」



「本当である・・・・ぞ・・・・・・・」



(本音はマー姉ぇが怖いだけ何だろうけど・・・・・・・)





「本当だぞっ!」



「まぁ良いわ。ハンナは此処に居てっ!帝国との初戦だし、アンタが暴れると最悪動けなくなるでしょ。それが面倒だから此処に居て。」



「ううっ、それを言われると困るのだ。」





「じゃっ、行って来る。」



 親友漫才コント見たいなやり取りを終えた謎の二人は岩陰で分かれて、背の高い女が一人、帝国の砦へとあっと言う間に入り込んで行く。









「ヒック、最近は楽な戦ばかりで歯応えが無いな。ヒックっ・・・・・」





「おいおい、不謹慎な事を言うなよ。上官に聞かれたら、どやされだけじゃ済まないぞ。」





「大丈夫だって、ヒック、酒を飲んだくれて居たって、我が帝国は無敵、無敵の連戦戦勝よ。がはははっ!」





「大分、酔ってるな。」



 とある兵士は、不謹慎にも酒を煽り飲みながら、見張りをしていた。そして、モブキャラとして一番に言っては成らない台詞でフラグを立ててしまって居たりする。



「さぁて・・・・それはどうかしらね。」





「えっ?」





 酔いつぶれた同僚を尻目にして、謎の声が聞えて来て居た。







「そんな事を言ってると、何時か痛い目に遭う事に成るわよ。」





「だっ、誰だ?」





「ホンっと、この手輩は、殺られる前はどいつもこいつもお決まり口上が全く同じよね。」





何所だ何所だと丸でズバット参上し、ズバッ解決と登場するヒーロー探しているヤクザ組織の雑魚な構成員の人達か、鷲と蠍のマークの組織に所属している戦闘員の様に、兵士らはキョロキョロと辺りを見渡す。



 すると見張り用の櫓からドサリと黒漕げの死体が落ちてくると兵士らは一気に謎の侵入者の居場所に注目が集まる。





「何者だ。此処が帝国領内の砦と知っての狼藉か?」





 これまたお約束な台詞だった。部隊長の1人が見えない敵に対して叫ぶ。月明かり顔が映り、風で背中の黒いマントが翻って靡いて居た。





「そんなの知ってて、やってる決まってるわ。バっカじゃないのっ!」





肩まで掛かる癖っ毛風の金髪ロングヘアースタイルと気の強そうなツリ目をした顔立ち。



 170センチを越えると思われる高く伸びた背丈と、態度がデカイと言わんばかりに踏ん反り返った立ち姿に、それと同じくらいデカイ豊満な巨乳のバスト95センチ。



 明らかにスタイル抜群の美人と言いたいが、何処がイタイかも知れない女性が暗がり中に立って居たのだった。







「おい、そこの態度もデカイ上に胸も馬鹿でかい女っ!我々帝国に逆らって只で居られると思うなよっ!」





「そうだ、貴様ぁぁっ、本当に只で済むと思うな、貴様が手にかけた奴はな、コイツはな。此処での任期を終えたら故郷にいる片思いの相手に告白するって言ってたんだぞっ!」





「何て酷いっ。」





「こんな仕打ちは、あんまりだ。酷すぎるぅぅっ!!」





「知るかボケっ!!大体、戦地や戦場でそんな台詞吐くから、こうなるのよ。全くもって自業自得よ。」







 襲撃者の言う通りで、そんな台詞を言うと死亡イベントが発生するのは世の習いであり、物語に取ってはどうでも良い事だった。



  数名の兵士らは、怒りの声と嘆きの声を上げて泣きながら黒焦げの屍と化した兵士の事を語った。まぁ、しつこい様だが、本当にどうでも良い事をだと思う。





「まぁ、良い。言いたい事はそれだけか。」





「ふん、慌てなくとも、こちとら逃げも隠れもしないわ。でも名乗り口上は大事よね。言われて名乗るのも言われなくとも名乗るのが、あたしらしいって決めたからっ!!」





「あたしは、リナ、リナ・ミーサガ・リンバース!あんた等の帝国に怨みを持つ者。そして帝国を横暴をあたしは、決して許さないっ!帝国の全てを焦土とし、地獄に変える者の名、今此処で帝国に宣戦布告してやるわっ!!」





ハッキリと襲撃者は姿を露にする。其処にいたのは立派に成長したリナの姿だった。



 それも育ったのは背丈だけではない。彼方此方が立派と成ったスタイル抜群の美女が居た。





「なーにが、許さないだ。たった1人で何が出きる?」





「ちょっとだけ美人だからって生意気な。野郎ども、全員でやっちまえ。」





「ひっ捕らえた奴には、あの女は好きにして良いぞっ!」





「よっしゃーっ!!」





「ヒヤッハー!!」





「横取りするなって、俺が先にやってやるーっ!」





「「「「おおーっ!!!」」」」







明らかにこの時点で、どの兵士も死亡フラグの一言を言っていた。



特にヒヤッハーと叫ぶ辺り・・・・・・・・・・・・



 そして、帝国兵等は一斉に櫓の上にいるリナを目指して襲い掛かった。



リナは魔法の詠唱を始める。それも一撃必殺の魔法を。





「我は風と天と請い願わん、我と汝ら世界の理を操りて我の前に立ち塞がる全ての愚かなる者共に等しく雷帝の裁きを与えん事をおおおぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!!



「喰らええええぇぇぇぇぇーーーっ!サンダースレイィィィブうううぅぅぅぅーーーーーーーーーっっ!!!」





リナの手先から雷撃の閃光が一挙に放たれる。





 それは帝国兵ら全てを飲み込みつつ、砦の全てすらを飲み込み包んで行った。



 やがて閃光が消えると、砦の周囲は焼け焦げた死体と建物であふれていた。



 因みに、この世界の魔法は教本に出てくる基本魔法以外は決まった名前は無いし、詠唱する呪文の文章も自由に自作しても構わないのであった。



 魔法は想像力と魔力で決まると言われいる。



 ぶっちゃけて言えば詠唱呪文の台詞が適当でも魔法がぶっ放せば良いと言われて居る。



 後に雷帝のリナと呼ばれる魔導師が、此処に誕生した瞬間だった。





「はぁ、はぁ、はぁ、ふうーっ、何ともあっけない物ね。」





「でも恨むなら、このあたしを戦場にまで引っ張り出した帝国に所属していた事と、その上層部を恨みなさい。」





「あんたら帝国が姉さんとリンバース一族に手を出さなければ、あたしは此処に居ないのだから・・・・・・・・・・・・・・」





「うっわーっも本当に一人でやってしまったのであるな。」





「最初くらいはね。でも良いのよハンナ、アンタはあたし付き合わなくても・・・・・」





「別に良いのである。友の願いだ。我が助けるのは当然なのだ。」



 とか言って、他の友達達が構ってくれないから、リナと離れたくないとは言えないハンナなのであった。



 ここ数年の間、ハンナはリナの豊満なバストを抱く枕にして眠らないと寝心地が良くないと思っていた。

 

 そんな様々な自己都合の理由から、実家に帰らずの放蕩三昧の日々、暇を見て帰宅はしているが、姉がアセリア王国総統の地位に就いてしまって居るので、妹のハンナも軍役に付かないと体裁が悪いと、軍に入るのが嫌なら嘱託軍人をする様に言われて居たが、適当に理由を付けてずっと逃げていた。



「はぁ~腐れ縁か・・・・・・」



「リナよ、この次はどうするのであるか?」



「ふん、風の向くままよ。付いて来られる?」



「まままっ、待って置いて行かないでええええぇぇぇぇーーーーっ!!」



 突然、走り出したリナを大慌てで追いかけるハンナ。リナとハンナの凸凹コンビの旅は、この時から始まった。





「待ってて姉さん必ずあたしが助けるわっ!!絶対にねっ!!」





夜空を見上げ、リナは囚われの姉への思いを馳せるのだった。



 この彼女の悲願は、数年後に達成される事に成る。日本の協力を得て・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
リナ・ミーサガ・リンバース。 



言わずと知れた雷帝の魔導師と言う異名を持つダバード・ロード王国の出身の放浪魔術師としてアースティア大戦での英雄の一人で、大戦時ではユーラシナ大陸各地の悪党と帝国やその同盟国から恐れられて居る事は、後々の時代小説・時代劇映画・ドラマ等の創作物でも知られた人物としても知られて居ます。







 リナの生家であるリンバースの家のミドルネームは、アースティア大戦当時では、先祖がどう言う読み方だったのかは分からないとされて居る。



 先祖から伝えた聞くには、コヨミ皇国系の名前だったと言う話を聞くだけで、詳しくは分からないとされて居ました。



 ですが、その後の調査ではコヨミ皇国の断絶した皇族家である御坂家の流れをくんで居る事が分かり、紅葉とは遠縁の親戚関係に在る事が分かりました。









 そんなリンバースの家は中流貴族の家系であり、昔から一族は領地を持っておらず、発明や研究、技術官僚を職業として居た代々研究者の家系貴族である。







 その家族構成は、父親でダバード・ロード王国魔導研究官僚であるあるネギスプリング・ミーサガ・リンバース。



 母親で魔導戦技研究武官僚であるソシエ・ミーサガ・リンバース。



 5歳年上の姉でダバード・ロード王国の王立総合技術研究所の研究員にして稀代の魔導師でもあり、魔導関連技術の技師でもある。かなりの戦闘系統魔法の使い手でもあり、閃光魔法と言う所謂、光線式の槍、魔導弾、魔導光線などの光の粒子の魔法応用した業と雷撃魔法を得意として居る。



この両方を融合せた魔法である雷光魔法の使い手てでもあり、雷光のレナの通り名でアースティア大戦中期から本格的に参戦したレナ・ミーサガ・リンバース。



 また、親戚関係にはソシエの実家に当たるミナミエ家を継いだ妹のハルルーカ・ミナミエ。



 その娘達で従姉妹のカナ・ミナミエとチアルキ・ミナミエ、トウマ・・ミナミエと成って居り、アースティア大戦当時、レナ・ミーサガ・リンバースがローラーナ帝国のローラーナ帝国軍・第四軍団・ゾルモン要塞軍旗下の第九鉄鋼魔導高速強襲戦艦隊デラーズ隊を率いて居るガナベル・セガール・バドー少佐に誘拐されると言う事態が起こります。 



 その時期のダバード・ロード王国内では、王国南部の鉄の都と王家の渓谷と言う伝説の地にて、古代遺跡を発見したと言うニュースが王国内齎されて居たのです。



 レナは、その調査員の1人に抜擢され、運悪く誘拐されてしまったのである。



 リンバース家は、その事件の二次被害に遭い、ネギスプリングとソシエ夫妻は自宅にて中傷の手傷を負わされ、無傷だったのはリナは、中等科の学生寮から高等科の寮に移る手続きを住め為、学園中等部に行って居た為に難を逃れていた為に無事でありました。



 その後、リナはこの事件更なる襲撃者から逃れる為に、国外追放処分が下され、両親達は王室が何処かに匿う処置が取られる事に成ります。



 そのミナミエ家が、トキアード市内に在るリンバース家の屋敷に住んでおり、邸宅の保存に努めて居るが、帰って来れたのはアースティア大戦の戦後に成ってからでした。



 リナの追放先は、姉の師匠に当たる竜人族にして、白竜人族の長であるエリノア・ドラグリア白龍大帝が治めるドラグリア白龍大帝国で在りました。





リナ・ミーサガ・リンバース関連指定史跡・施設案内。



リンバース家邸宅 



 ダバード・ロード王国・ケンブリッジ州・州都・トキアード市内北区16番地・レールガン町・4丁目・トキワダイ4番・4号。 



 個人邸宅なので敷地内の見学は不可だが、案内版の在る場所から庭先を見る事は許可されて居るが土日祝のみで、公開日は指定日に限る。





リナ・ミーサガ・リンバース記念館



 ダバード・ロード王国・ケンブリッジ州・州都・トキアード市中央区1番街・アクセラレータ町2丁目・ラストオーダー1番地・99号。



 リナ・ミーサガ・リンバースの足跡を辿る展示物を中心に、アースティア大戦や戦後の彼女の活躍に付いての展示物が展示されて居る。





トキアード市立総合学園



 小学校から大学までエスカレーター式に通える魔導学を中心に教えて居る国立学校で、リナは此処で初等科から中等科までを過ごすが、古代遺跡襲撃事件をきっかけに退学させられて居るが、後に通信教育と言う形で高等科を試験式に卒業して居る。







群馬大学・魔導技巧習得研究学部



 群馬県霧野市内に置かれて居る群馬大学霧野市キャンパス内にアースティア大戦前後に新設された特殊学部。



 創始者はリナ・ミーサガ・リンバースで、アースティア大戦当時の群馬県知事である山本太一知事に招かれて、魔導関連の技術指導研究を是非とも群馬大学でやって欲しいと頼まれたのが切っ掛けであった。



 リナは交換条件として日本国籍と大学に通いたいと言う希望を条件にするなら引き受けても良いと答えて居る。





 山本太一知事は、当時与党であった自由国民党員でも在り、安元総理とも懇意だったので、特別待遇と言う形でリナは日本国籍を取得。



 同時に文部科学省のお抱え魔導技術指導員にも抜擢され、更には交援省の魔導戦技要員と言う護衛官にも任命された上で、群馬大学に学生も成って居る。



しかも、学生講師と言う異例待遇で迎えられて居る。



 そんなリナは、アースティア大戦後は群馬大学の魔導技巧習得研究学部の教授に成り、その生涯を霧野市で過ごす事に成った。



 現在でも彼女の功績は高く評価されており、群馬大学霧野市キャンパス内には、その功績を称えて、リナの銅像と数多くの研究物が展示されて居る。





リナと紅葉の出会いは、紅花園の誓い (こうかえんのちかい)のメンバーが集まる切っ掛けと成った運命の出会いでした。



 二人が5歳の時の事でした。





 リナとその両親は諸国会議の出席する為に、コヨミ皇国を訪れていたリナの両親は、魔法関連の技術者であり、同時に古代文明や転移文明の遺跡の研究者で、戦争に必要な技術関連の会議に出る為でした。





 その会議の合間は、貴族の子供等に取っては、とても退屈な時間でもありました。



 リナに限らず会議に政府関係者の子供等が連れて来れるのは見合いか、知り合いを増やすのが目的だったとの事です。





 幼い時から互いを見知って置けば、何かと便利と考えての事です。



 リナと紅葉の出会いは、リナの両親がコヨミ皇国での会議に、出席する為に訪れた時の事でした。





 コヨミ皇国を訪れていたリナは、東洋の果てに在るコヨミ皇国のとても珍しい古い町並みに目を奪われ、大使館の近所を探検して居た様です。



そんな時にリナは紅葉と出会います。



 お転婆で有名なお姫様として、従者達を困らせる事で有名な皇女だった紅葉は、諸国会議で城内の警備体制が薄くなる事を見計らって、星都城を抜け出しており、城外の遊び友達と相撲をして遊んで居たのです。









 リナは、金持ちな感じのする子が、こんな所で取っ組み合いしているのが珍しかったので、子供達が相撲する様を遠巻きに見て居ました。



 紅葉が1人の女の子を投げ飛ばすと、何かを感じ採ったのか振り向いてリナの元へと駆け寄って来た。





「随分と大変な目に遭っているのね。」





「えっ?!」





「貴女、西から来た子でしょ。でも其処に何時までも立って居ると、怖ーい人達に掴まるわ。私と一緒に遊びましょ。」



 紅葉は、星読みの力でリナの素性を察知すると、リナを無理やりに悪童仲間達の中へと行き吊り込みました。



 このコヨミ皇国で、西の子とは自国以外の西側全ての友好国の子供達の事を指して言って居ます。



 偶にやって来ては、見ず知らずの地元の子供と適当な付き合いをし、遊んで帰って行くからです。



 これがリナと紅葉の最初の出会いでした。





 その後リナと紅葉は、相撲を取りますが、卑怯な事に紅葉は、星読みの力を使って連戦連勝を誇って居ました。



 その事に付いては、後に紅葉の回顧録を取材した雑誌者の記事や歴史書に書かれて居ます。



 ですが、リナは無心で適当に紅葉を投げ飛ばすと言う荒業に打って出た事により、紅葉に打ち勝ちます。





 丁度、その時でした。



 紅葉とリナを探す者達が現れます。





 紅葉には、従者達である加藤絵美里と福島香織。



 リナには、姉のレナとその親友達でした。



 二人は息がピッタリと合うかのように、直ぐに逃げる方向を決めた駆けて行くのです。





その後二人は、何か在れば行動を共にする仲と成り、紅花園の誓いへと至るのです。

ドラグリア白龍大帝国・・・・・・故郷たるダバード・ロード王国を政治的、身の安全を守る理由から追放処分と成ったリナは、此処で3年間の月日を過ごす事に成ります。



 首都ハイリッピンに在るヒト族特別居住区画。



 此処は特別な理由から首都ハイリッピンに留まる竜人族以外のヒト族が暮らして居る特別区画です。



その一角に今でもリナが過ごして居た下宿所が残って居ます。



 現在はリナの子孫一族が所有する別荘と成って居り、その管理はドラグリア白龍大帝国 を統治する白龍大帝一族であるホワイト・ドラグリア家がして居ます。



 当時の当主であり、白龍大帝であったのはエリノア・ホワイト・ドラグリア白龍大帝。



 通称名やあだ名として知られた名前はエリン。



 アースティア大戦当時とその始まりを知る数少ない生き字引的な人物でしたが、アースティア暦1×××年及び西暦2×××年の10月某日に老衰の為に、隠居先である日本国・群馬県・霧野市内の高見山・高見家敷地北東部に在る白龍庵荘にて亡くってしまいました。 



 これはアースティア大戦を知り、尚且つそのアースティア大戦の開始で年度で在る600年前から生きて居た人物で、大戦に関わる人物の最後の一人と言われて居る人物の死でありました。



(これ以外の理由でアースティア大戦終結前後から生きて居る長寿族は別扱いと成って居る)



 その墓所は高見家菩提寺近くで、国の重要指定史跡にも指定されて居る紅花竜庭園墓所内に造られた墓所に葬られました。



 さて、そのエリンですが、リナの在るであるレナ・ミーサガ・リンバースの師匠でもある事から、その妹であるリナの窮状をダバード・ロード王国の女王であるアーヤ・シュチュ―ド女王から保護を頼まれ、引き取る事を受諾するのでした。





 リナはその地で母国の高校卒業資格証の取得の為の勉学に励む傍らで、魔導戦技学と魔導技術学。



 それに魔導基礎学と言った魔法学を ドラグリア白龍大帝立魔導学院。



 略して帝立学院。



 その帝立学院でドラグリアの天才と謳われる学士たるミナワ・ミゴットに徹底的に勉学を叩きこまれつつ、基礎的な魔法学を習いつつ、エリンからは魔導戦技学・・・・所謂、戦う為の戦闘魔法を徹底的に身体に叩き込まれたのでした。



こうした経緯が有ったが故に誕生したのが、皆様もご存知のアースティア大戦の英雄である魔術師である雷帝の魔術師のリナ・ミーサガ・リンバースなのです。 





リナ・ミーサガ・リンバース関連指定史跡・施設案内。





 リナ・ミーサガ・リンバース旧下宿邸宅

 

 首都ハイリッピン東部地区・5番地街・3丁目・25番・7号。 



 首都ハイリッピン東部地区・5番地街・3丁目バス停から徒歩5分。



 個人所有地なので、一般公開日以外は見学不可。



 見学会を希望する場合はホームページでのご確認。又はお電話にてお問い合わせをお願い致します。
アースティア暦1000年・4月20日・午前10時00分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央部地方・シベリナ中央地方・ダバード・ロード王国・イングラード州・王都インディクス・インディクス城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 この日、魔法と魔導技術大国であるダバード・ロード王国は、国家元首たるアーヤ・シュチュ―ド女王を中心に、異界から現れたと言う国家、日本と言う国に対して、どう対応すべきなのか。



また、彼の国と国交開設をするのかどうかを話し合うべく、必要な首脳陣や官僚らを緊急招集して会議が行われ様としていた。





 日本と言う国の存在を報せて来たのは、コヨミ皇国政府と同地に駐在する自国の大使からであった。



その日本なる異世界からの転移国家の詳細な情報が、在コヨミ大使館から齎されると、ダバード・ロード王国政府は、半身半疑ながらも信じるに至ったのは、自国の大使館の大使と職員達が入手した有るモノが有ったからだった。



それは日本国が各国の政府と大使館宛に配った日本に付いて書かれている文面と各種紹介写真が載せられて居る分厚いカタログの様な紹介本だった。





 数百ページにも及ぶ紹介覧の内容は、異世界各国が腰を抜かすほどの好評価だった。



 中でも日本の各種産業に付いての紹介覧は目を見張るものがあった。





立体式高速街道(高速道路)、高速運搬車両(鉄道)、大型鉄船、飛行機械、自動機械車両、各種生産設備は自動化と効率的な生産力。





 その他の各種産業も喉から手が出るほどに欲しいものばかりである。



 正に異世界の国々は、こう思った事だろう「本当に日本国は凄い~デス~ネ。」と言う言葉を口々に言ってしまう程の内容であった。





最後の一覧に載って居た自衛隊の項目に目を通した女王であるアーヤが、日本との即時に国交交渉を閣僚と議会に命じるのには、十分すぎる内容と言えた。



 現在のこの国は、大河の向こう側に有った南部の領土を完全に帝国に攻め落とされて居る状況にある。



 ダバード・ロード王国政府は、この状況を打開し、何としてでも旧領地を奪還したい構えだが、軍事技術には自信が有るが、兵力的な戦力差が有る為に歯痒い思いをしている。



此処は何としてでも日本と国交を結び、軍事支援と経済支援と技術支援を引き出したい想いだった。





 会議室では、今コヨミ皇国に派遣されて来ている日本の大陸調査団と護衛のニホン軍(自衛隊)に付いての対応と報告に付いての会議の真っ最中であった。





「以上が我が国の在コヨミ皇国ダバード・ロード王国大使から送られて来て居るニホン国に付いての報告書と意見書だ。」





御前会議でアーヤに最初の報告したのはダバード・ロード王国の外務省経由の報告書を基にした情報である。





 この報告書を読み上げて居るのは、ダバード・ロード王国の女性の外務大臣のユウ・カイダーンである。



ユウ外相は30歳で、外相に抜擢された女性であった。



口が多少悪い所が有るが、部下の面倒見が良い姉御肌で有る事で知られていた人物だった。





コヨミ皇国の駐在する自国の大使からあさくら号事件の一報を受け、その動向を追っていた。



 そして、その後も日本国成る国の動向を追って居たダバード・ロード王国外務省は、続報の緊急報告を受けた。



 日本国が、遂にユーラシナ大陸の調査を行う為、外交調査団と軍の派遣を決めたと言うのだ。



 数日中には、コヨミ皇国の港や街道を自国に準じた物へと作り変える為に、先遣隊を派遣するとの一報も報告書に書かれて居た。



 その数日後、在コヨミ皇国大使館を経由して日本国からのフルカラーの分厚い紹介冊子を30冊ほど送られて来たのだ。





 此処に居る閣僚らは日本の資料を精査して、どうするべきなのかを決められずに居た。



 女王であるアーヤが元首として鶴の一声で決めても良いのだが、それでは後々に成って国中の者達に取って、お互いの思想的な禍根を産み兼ねない。



 此処で会議を行い、その結果を持って意思統一した上で、日本からの支援を受ける方向に持って行きたいと彼女は考えていた。



 アーヤは、ハッキリ言って日本の各種支援が喉から手が出るほどに欲しいと思って居る。



しかし、ある共通の事実が有って即断出きずに居たのである。





 それをユウ外務大臣は、周りの者達がハッキリと言わない事に苛立ち、この場の沈黙を破った。





「陛下、そして、この場に居る皆も分かっているだろうから、ハッキリと言わせてもらう。これは劇薬だ!」





「ユウ殿、もう少し、穏便な言い方をした方が、」







髭を蓄えた中年の産業大臣が彼女を宥める様に答えているが、捲くし立てる様に更に話を続けた。





「いいや、此の儘では、この会議をただひたすらに踊りを続けるだけだ。そんな下らん会議は私の性分では我慢ならん。」



「良いかっ!!これは極めて重要な会議だっ!!」



「シベリナ連合の各国の中で逸早くニホンへの対応に動いて居るのは、報せを寄越して来たコヨミ皇国を除けば、恐らく我が王国だけだっ!!」



「アセリナの翼人らは軍と官僚が統一されて居る制度の為に、直には動けまい。」



「アルガスは南部の防衛で手一杯で、直ぐにも閣僚や官僚を二ホン国へと使節団送っての国交交渉所ではない。」



「ドラグリアは竜人族と言う種族の性質状、のんびりとした動きになると思われる。ラクロアナは、地理的に二ホンに近い東部に位置する国では在るが、今はレビル国王陛下は、病で臥せって居られる。」



「政務を代行して居られるフランシェスカ王女殿下も、レビル国王陛下に成り代わっての政治的な即決の決断をさせるには、まだまだお若過ぎるし、その動きも鈍い事に成るだろう。」





「我が国は早期に確立した連絡網の一つである竜郵便のお陰で、比較的早く、この情報を手にして居る。」



「この冊子はシベリナ連合各国に配られて居るが、それが届くには、後数日掛かる筈だ。」



「それとだ、オローシャのコヨミ皇国大使から序でに本国に資料を届けて欲しいと頼まれている。」



「彼の国はシベリナ連合の西端に位置して居て、二ホン国に付いての情報も入り辛いと思われる。」



「今後の事を考えるなら、日本から遠いオローシャ帝国も国交交渉をするように働き掛けるべきだろう。」



「更には、我が国が二ホン国に付いての得た情報をオローシャ帝国に提供する手伝いをする事も必要に成るだろう。」



「其処で提案が有る。」



「二ホン国を含む、この世界たるアースティアに転移して来て居る異世界国家群との国交交渉を希望する反帝国同盟諸国や帝国と相容れない国是と考えて居る国々を引き連れて、二ホン国に近い大きな町での国際会議を開こうと提案するのは、どうだろうか?」







「なんとも大胆な提案だなユウ外務大臣。」





「それでは何かね。君はシベリナ連合各国の全てを連れて、ニホンとの交渉するべきと言いたいのかね。」と食料産業大臣は冷淡な口調で、年若い女性外務大臣に言って居る。







「彼の国のとの交渉は、何れも難航を極めるかも知れんぞっ!」







「いや、その前にっ!このままニホンと交易を結べば我が国の経済と産業がどうなる分からん。」







「それどころか、ニホンに経済と産業その物が乗っ取られかねんっ!」





各大臣や軍の幹部らはバラバラな発言で騒ぎ始めた。



 そう、この国の基本産業基盤は手工芸と手工業が中心だ。



 更に魔鉱石と普通の各種鉱物石を加工した製品を使って、日々の日常を暮らして居る。



 それにダバード・ロード王国は、アースティア世界に措いて、世界有数の魔導技術立国であり、魔導工廠工業大国でも在るのだ。



  軍事技術の大半も自国で全てを賄えられるほどに優れており、隣国のオローシャ帝国も同等の魔導技術を有して居る。





 その為に、オローシャ帝国とは技術提携条約を結んで、量産型兵器生産の統一生産を行って居るのだ。



 其処へ・・・・それらの製品を真っ向から否定し、より生産効率の良い品物が新たに入って来ると、ダバード・ロード王国だけで無く、生産提携している同盟各国の経済に影響が及び、かなり大きく、更には一時的な利益率の大損が出てしまう恐れがあるのだ。



 ダバード・ロード王国の主だった政府首脳陣達は、それでは戦争所では無くなるのでは無いかと心配して居るのだ。



 特に此処に居る貴族諸侯に属する者達は、国内工業に関わる出資をして居る。



 日本からの支援を受けた後と戦後、自分達の投資の回収と居場所の事を特に気にして居たのであった。



 下手をすれば、大損した挙句に、路頭に迷うことを恐れていた。



 ダバード・ロード王国に取って日本からの支援投資とは、紛れもなく劇薬と言えた。





 そんな煮え切らない会議に出席している首脳陣達、其処へテーブルをバンと思い切り叩きつけて啖呵を切ったユウが叫ぶ。







「喧しい!!!! あんた等の心配は分かってるし、最もだよっ!!確かに私も皆もが言った通りニホンは劇薬だ。」



「それも病気と怪我で弱ってる子供の国に向かって、酒精の強い酒と一緒に口苦い強い薬を一緒に一気飲みさせる行為だって事は、この場に居る誰もが十分に理解して居るんだろう?」



「成らば、こう言う時こそ、国を預かる物が全員で責任を取るのが筋だろう?」



「それに二ホン国との交渉は私が必ず悪い様にはしない形で、決着を付けて見せる。これならば此処に居る全員が文句は無い筈だ。」





「後は皆の腹を決めるだけれだ。さぁ、どうする?」





「そ、そっそれは・・・・・・・・・・」







「じゃなきゃ、決まらんし、何も始まらん。」







 ユウは決められない年配の閣僚らに一括を言った上で、日本との直接交渉は、ユウ自ら交渉の矢面に立つと言い切った。





 彼女は奇異の目で日本の紹介情報冊子資料に目を通す閣僚らと違って彼女はしかっりと最後まで資料に目を通して居た。





 其処で幾つかの日本との取引になりそうな物と自国に利益に成り得るページを見付けていた。







「私はアイサ宰相と共に資料を見比べて、我が国の産業でも何か取引出きないか、売り込む物は無いかと、この会議までの間に考えました。」



「其処で私達は、閣僚の先輩方とは違った部分に注目しました。」



「確かに日本国の各種工業製品は凄い!ハッキリ言って我が国では太刀打ち出きないほど優れて居る。だけど、ある欠点を抱えて居ます。」







「して、その欠点とは?」







「それはあたしが話しましょう。」







今度は宰相のアイサ・ノートがユウと交代になる形で話し始めた。



 宰相大臣であるアイサは、ユウと同じく三十歳の若さで宰相に抜擢された女性である。



 だが、この人事も人手不足から来る抜擢でも有った。



 近年、何処の国でも軍部と省庁でも男子出生率の低さから来る若い女性の政治と軍内部への偏った幹部登用は当たり前と成りつつある。





 これは戦地では前線へと、どうしても出て行かざる負えない中間層から戦死し、中央の政治では中間の官僚と政治家が地方を立て直す為に、各地方へと飛ばされて居る為だった。



 そして、居残るのは年を取ったベテランと新人のルーキーしか残らなくなる。





 地方の政治では、上手く仕事をこなす先輩の少なさと、ド新人で使えない人材が居ると言う配置の状態のせいで、現場では大変な混乱を招いていた。





 その中で、アイサとユウの二人は、アーヤの肝いりで名指し指名されて閣僚入りした優秀な人材だったのであった。







「ニホン国は島国で、その製品を作り出す資源を8割近くを持って居ないのです。その殆んどが、輸入に頼り切って居ます。」



「彼の国は、輸入した資源を加工して、加工した物を売って生計を立てて居るのです。」



「更に食料自給率も7割から6割程度で、足りない残りの物もまた、輸入で賄って居ます。」





「これは狭い国土に人口が増え続け、海外貿易を行う上で必要に成った工業化と農業生産とのパワーバランスが崩れている構造故の弊害なのでしょうね。」







「其処で我が国は先ず、二ホン国に食料をシベリナ連合各国と共同で輸出します。この輸出する農作物もニホンの要望に応える形にしたいと思って居ます。」



「そして、資源の輸出、これは各種鉱物ですが、我々が使う事も無い黒い燃える水や毒霧、異世界国家の間では石油と天然ガスと言う物を採掘採取権を売り出し、その利益の3割を我が国が、残りを採掘した国と作業を担当する商会で山分けと言う形を取る予定で居ます。」



「アイサ宰相殿、ちょっと待って欲しい。それでは我が国の利益が少ないのではないかな。」



「そうだぞ、それでは利益を多く得て得をするのは権利を譲渡してしまう外国たけに成ってしまうではないか?」



「責めて自国を6割か半分の利益にしないと、国内に措いて反発が出てしまうぞっ!!」



 この言い分は、最もな意見だった。



 たが、閣僚等が言う意見は、オイルとガスマネーの利益が通常の鉱物と同等であると言う間違った認識から来ていたと言う意見から来るものであったからだった。



「皆様の言いたい事は分かります。ですが、石油と天然ガスと言う物質は、宝石や金塊等の鉱物以上に価値の有る物なのです。」



「それに採掘と輸送に関わる投資はある程度、資金に余裕が無いとやって行けないそうです。」



「それに元々採掘技術も無い我が国に、それら二つを掘り起こす事は無理ですし、貯蔵方法も特殊で、それらに掛かる費用を込みで考えますと、妥当だと言わざる負えないのです。」



「何?そんなにも扱いが難しい物質なのか?」



「なるほど、だから土地を持って居る方が利益が少なめなのか?」



「はい。何れ我が国の方でも技術の習得はして行く積りですが、今は外国に頼った方が無難なのです。」



「それに、この採掘条件の中身に付いてですが、採掘地の土地権利を持って居る当事国が外国商会との商取引で利益を、その外国商会が採掘とその採掘物を欲している諸外国と売買をして利益を得て、最後に外国商会の国元が税金を得る事で、同等の利益が分配される形と成ります。」



「成程、今の説明で得心が行った。それならば致し方あるまい。」



「ですが、ご安心を石油と天然ガスは費用はある程度嵩み、自国への利益が少なく見えますが、入って来る利益は莫大です。何せ国家血液とも言われて居るらしいですので。」



「「「「「えっ?!」」」」」





 後にダバード・ロード王国閣僚等は驚く事に成る。



 それは悲鳴を上げるが如く、嬉しい声で笑う姿が有ったと言う。



 オイルマネー恐るべしとね。



「話が脱線しましたが、対帝国との戦争継続と国内工業の改革と一新をする為には、鉱物加工製品が優れている日本へと輸出する。」



「それを実現するには、日本との膨大な地下資源の取引網を築く。」



「その為には、我が国とドラグリア、オローシャ、アセリア、ラクロアナ王国の4ヵ国で産出される魔鉱石とシベリナ全体で産出される各種鉱石、更にまだ我々が未確認または未使用の地下資源の採掘権を売りに出す事を提案する方向で交渉を進めたいと考えて居る所です。」







「次にそれらを輸送に必要な港を二ホン国の使用に合わせた形で整備と拡張をし、更には空港と鉄道と呼ばれる交通設備や関連施設を建設します。」





「その次には、街道と移動車両の配備と運用する法律の整備です。」







 とある閣僚が、その手が有ったかと言う顔で言う。







「なるほど、確かにこれならば、両国にそれなりに利益の分配が可能となり、我が国でも柔軟な対応が可能ですな。」







「しかし、これだけでは我が国への利益が少ないのでは無いですかな?」







 その疑問にアイサは温和な雰囲気を壊さずに冷静に答えた。







「はい、それではニホン側の利益が凡そ8割になるでしょう。」



「これを我が国は、将来的に4割に持ち込むのが当面の目標です。と言ってもニホンとの貿易で得られる収益は、目に映るグラフでは分かり辛いですが、我が国でも十分な額だと予想されます。」







「これは仕方が無い事だ。あちら側の国力の方が高すぎる事から来るものだ。」



「事は外交交渉が絡んで来る事だが、資源と食料の輸出の交渉は概ね上手く行くと、私は考えて居る。問題はニホンの工場と商社と呼ばれる組織との交渉だ。」







ユウはとあるページを開いた。







「これはニホンの商社と工場、つまり我が国の商会と工匠商会にあたる民間組織に付いて描かれて居る紹介ページだ。この中で私はとあるに工匠商会に目を付けた。」







ユウが指差した写真は大企業が経営する工場の写真ではなく、日本各地に良く見られる小さな中小の町工場だった。







「これはどう言う工房なのですか?」







「これらはニホンでは中小企業と呼ばれている小さな規模で経営している工匠商会の工房の紹介絵図だ。私はこれらの工房を我が国に積極的に誘致したいと考えている。」







「ユウ外務大臣、何故なのですかな。誘致するならば、もっと大きな所に来て貰う方が良いのでは?」







とある閣僚が疑問を抱くもの最もな疑問の一つだろう。



 それに大手企業ならお金と設備をたくさん持って来てくれる筈だとね。



 その利益も莫大になる筈。



 それなのにユウ達若手の閣僚らは、資金振りにも困って居て、海外展開すら土台無理な感じで、明日を知れない中小企業を誘致しようとしていた。



アースティア暦1000年・4月20日・午前10時35分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央部地方・ダバード・ロード王国・イングラード州・王都インディクス・インディクス城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









 会議は白熱し、ベテランの先輩方を目の前にして、ユウは首を振りつつ答える。







「それで駄目だ。何処の国も大手の所を抑えようと躍起に成るだろう。それにニホンのどの商会も進出する先を幾つも抱え込むのは、彼の国の現在の状態では難しいだろう。」



「何れ進出してくれるとしても、一番に乗り込んできた商会が有利になるのは当然だ。」





「勿論、我が国も2社以上ほど誘致したいと私も考えいるぞ。しかし、それでは我が国の産業が大手の外国企業に頼らなければ成らなくなる。それではいけない。」







「成らば、どうするお積りだ?」







 それにはアイサが答える。







「あたしとユウは、この中小企業と呼ばれる工房に目を付けたのは、規模が小さくて、加工機械を使ってはいるものの、手作業で行う加工が多い事に注目したの。おそらく資金振りが難しく、苦しい事と加工する製品が精密で難しいと予想されるわ。」







「そんな経営が苦しそうな所を呼んで本当に意味が有るんですか?」







「よく読んでみて、この中小企業の自社製品は、大手の工業製品の部品加工が大半であると書いてある。」



「少ないけどオリジナルの加工品も多くあるわ。これらを誘致すればニホンの工業の基礎を学べるわよ。」



「それに新しい工作器具と簡単な自動機械を使う物作りは、我が国の工房のやり方に近い。それに二ホン国に早く追いつきたいと思うのなら古い器具から行き成り真新しい器具を使っての物作りは決して上手く行く物では無いと思うの。」



「そうだぞ、大事な過程をすっとばしての結果なんぞ身に着け覚え得ても、身に成らんしな。」



「事が上手く行けば、加工部品の生産を日本に次いでの生産大国を目指せるわ。それに誘致競争が少なくて済む所が魅力なのよ。」





この国は良く考えて居る。



 中小企業の工場は跡継ぎや後継者問題を抱えて居るし、資金面で銀行と少しだけ揉めている。





 海外進出もしている所も有るが、まだまだ少ない。異世界転移で海外の工場や取引先を失った中小企業も多い。



 この異世界で、異世界の国が大々的に招致したい。



 本社は日本のままで良いからと、言われれば、此処は一つやって見ようかなと言う企業や工場で頑張っている社長のおじさんも居るかも知れない。





「おおおっ、成るほど、それは考えましたな。」





 ユウは、更にもう一つの提案をする。





「それともう一つ、我が国の主力兵器である魔導機兵をニホン国へ無償提供する。」





「!!!!」







多くの閣僚らは驚きを隠せずにいた。







「待って下さい。魔導機兵は近年に成ってから周辺諸国で一般に使われ始めている兵器と成っています。」



「各国とも共通量産型の大量生産や独自に試作開発・特殊タイプの生産もされいますが、しかしですぞっ、元々持ってもいない国、しかもまだ国交処か同盟すら結んでいない国等に無償提供等と、何を言われるのですか女王陛下っ!」



「これは我が国の重大な軍事機密に当たります。それを金銭や技術の交換では無く、全くの無償で提供するのは正気の沙汰ではない事ですぞっ!」







「その通りですよ。日本の何らかの兵器の提供、もしくは技術提供して貰わない事には・・・・・・・・・・・・」







「正に割に合いませんな。」







軍部と国家の産業技術を統括する大臣や官僚達が、口々に抗議の声と反論の声を上げていた。





 しかし、女王たるアーヤが側近の者たちと話し合いで既に許可した事を言う様にとアイサに目配せていた。







「この魔導機兵の無償提供の件は、陛下自身が既に許可を出されています。」







「何と?!これには反対と言いたいですが、何か理由が有るのですか陛下?」







国防機密を開示する理由を女王であるアーヤが答える。







「これにはキチンとした理由があるわ。ニホンは既に機兵を持っているのよ。正確には小型の魔導機兵の「ろぼっと」とか言う人型の機械ね。ユウあのページを出して頂戴。」







「はっ、皆々様これをご覧下さい。」







 ユウは日本紹介冊子をテーブルの中央に置く。







「むむっ?!こっ、これは、小型の魔導機兵ですとっ!そ、そ、そそっんな有り得ないっ!こんなにも小型の物を作り出すなんて!!!!」







そこに写っていたのは二輪車と四輪車企業の紹介が書かれたページだった。





 その写真の一覧に、日本が世界に誇る4大二輪車メーカーであるモトダである。





 そう、カワカミ重工、モトダ技研工業、ヤマナ発動機、あと・あとあと・・・それと、それと・・・・・あれあれあれ?あと一社の名前が何故か出てこないぞ?



 

 あっれーっ!!何て名前で何処の事だっけ?



 確か・・・・「スで始まるメーカーでしょ」「そうだっ!!そうだっ!!忘れるなっ!!」「世界で一番のメーカーだろうずっ!!」「特にバイクの「刀」なんで最高だよねっ!!」



「「「「「スズノキのバイクは、如何なる所、異世界で在ろうとも世界随一いいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーっ!!!」」」」」



 おおっ、そうだった、そうだった。



 あれっ?誰かに突っ込まれた様な?



 それとも何所かのスズノキファンの皆様のお叱りだったりして? 



 それはともかく、たくさんの熱狂的なファンと安価な製品でご家庭の足をお届けしている企業、その名は確か・・・・・・スズノキ自動車工業だったかな?



 その二輪メーカーを含む機械企業の中で、最初に二足歩行するロボット開発に挑戦してたのが、モトダ技研工業である。





 そして、そのモトダが開発したロボットがアッシモダと言う階段すら下りられる自立歩行ロボットが写されていた。







居並ぶ者達に、モトダ技研工業が誇るロボット、アッシモダの写真を見せたアーヤ。彼女は不適な笑みで話を続けて行く。







「しかもこれは軍や政府が作らせたのでは無いのよ。民間工房商会で作ったのよ。」



「これは凄いわね。それも自立自動歩行するのよ。」







「なんですと!そんなバカなっ!」







「これで分かったでしょう。既に作って動かせられる上に、我が国よりも高性能な物が在ると言うのに機密も何も無いわ。」





「それなら、もっと良い物を作って貰うのに、一役買って貰うわ。」





「妾は、このろぼっとを作れる工房商会、モトダと取引を積極的に進めるわ。他にも幾つか狙っている所は在るの。それ等との交渉はユウに任せるわ。」







「それとユウ、どうせなら国交交渉の行う場所は、二ホンにしましょう。妾も直接二ホン行こうと思って居るのよ。」





「他国の国家元首や閣僚に官僚、それにアーヤ陛下自ら二ホンへですか?」





「ええ、各国の首脳や閣僚、官僚等を集めての国際大会議を執り行う提案を二ホンにするのよ。」





「それとユウ、魔導機兵の運搬は、ニホンに頼めないか連絡を取ってみて。」



「それに紛れてニホンに行けば良いのよ。そうすれば、大会議の合間に帝国に会議を邪魔をされたり、自国を脅かされたりせずに済むわ。」





「そうすれば、帝国を欺いて上に、会議は大成功と言う事になるわ。」



「ですが、無茶ですっ!二ホンの輸送船に我が国の護衛戦艦も付けての大移動と成ってしまい、何所の誰が乗って居るって事がバレバレじゃないですかっ!!」





「それなら平気よ。最強の護衛を迎えに寄こさせれば、問題無いでしょ。表向きは、貿易の交渉使節団の派遣に加えて、そのサンプル品を始めとする各種物資の運搬とその護衛なんだから。」







「くっ、その手が有りましたか・・・・・・」





「流石はアーヤ陛下、考えて居られますな。」





 閣僚の一人が内心呆れた雰囲気で言う。







 そして、御前閣僚会議の大体の話し合いが終わりに差し掛かり、アイサが会議の最後を纏めに入る







「それでは纏めます。我が国は、シベリナ連合諸外国と共に食料と各種地下資源の輸出を進める。」





「輸出に当たって必要な設備と街道などを整備する。そして、我が国に工業発展をさせるカンフル剤として、日本企業を多く誘致する。」



「我が国は、その中でもモトダと中小企業を積極的に誘致する。」



「新開発や改修を目的とした魔導機兵をサンプルとして、ニホン国に無償提供する。」



「最後にニホンとの交渉を通じて必要な法律の整備と新規技術や知識の習得の為に、二ホン国へと人材を留学生として派遣し、長期的な人材育成を行う。」



「そして、陛下と周辺国の代表および国家元首の方々に対して、秘密裏にニホンへ共に参りませんかと打診をし、その一件を二ホンに提案をする。」







「以上が今後の我が国の基本方針と成ります。皆様方はこれで宜しいですか?」







 閣僚等は頷き、御前会議は、これにて終わりを告げた。





「それでは皆、解散よ。皆それぞれ仕事に掛かってちょうだい。」







「分かりました。」





 会議が終わって解散となりアーヤが退出すると閣僚らはそれぞれの仕事へと戻って行ったのであった。





 しかし、ダバード・ロード王国から日本政府に譲渡され、防衛省が管理をし、技術開発と解析を依頼されたモトダ技研工業は、軍事関連の事業のノウハウが無く、仕方なく先ずは業種の近いカワカミに相談する事となった。





 そのカワカミも「モトダさん、ウチだけじゃ生産や部品と備品関係の調達や開発で力に成れないですよ。他に何社か巻き込まないとコストと技術的に無理だよ。」と言われた。



 其処で魔導機兵の開発と技術解析の事業に、とある二社に声を掛けたのである。



 旧軍時代から色々と兵器開発と生産をしている三葉重工と配線や電子関連技術、また様々な機械装置を手がけている常陸那珂製作所。





 更にカワカミは、運搬車の開発に大松製作所と三葉扶桑の二社に声を掛けて上で、関わる事に成った。





後に日本版の魔導機兵開発は、運搬車を含めてカワカミ工業、三葉重工、モトダ技研工業、常陸那珂製作所、大松製作所、三葉扶桑が共同で研究開発がされて行く魔導機兵であるナイト・マギアは、日本の技術力で発展して行き、その寸胴な体型から軽量化が進んで行く事に成る。



 そして、機動性を重視し、様々な武装が運用できる形へと変化して行くのである。



 そんなロボット開発計画は、一部のマスコミやオタクな人達からは、V作戦とかガ○ダ○試作計画と揶揄されてしまう事に成ってしまうのは、我が国ならでは無いだろうか?

ダバード・ロード王国。

 シベリナ地方王国連合同盟内に措いて、同じ同盟諸国であるオローシャ帝国と 一、二を争う程の経済・軍事力を保持して居る大国の一つで、アースティア大戦を終わらせるに至った大国の一つとされて居ます。


 同時代の戦争を終わらせた国家元首の一人と言えば、アーヤ・シュチュ―ド女王の名を上げる事でしょう。

 当時26歳で、とても先見性を持った人柄を伺わせる政策と安全保障政策の数々の建策を打ち出し、それらを実行に移す手腕はアースティア大戦史を語る上では欠かせないものと成って居ます。



 その中でも日本国内からの中小企業の誘致に加え、モトダ技研工業・カワカミ重工・ヤマナ発動機・スズノキ自動車工業と言った日本国内でもバイクメーカーとして知られる4会社による分割進出政策は、ダバード・ロード王国の工業発展を大いに躍進させたとされて居ます。


 その切っ掛けと成った出来事として、世界共通暦・アースティア暦1000年・4月20日。


 この日、魔法と魔導技術大国であるダバード・ロード王国は、国家元首たるアーヤ・シュチュ―ド女王を中心に、異界から現れたと言う国家、日本と言う国に対して、どう対応すべきなのか?



 また、彼の国と国交開設をするのか如何かを話し合うべく、必要な首脳陣や官僚らを緊急招集して会議が行われました。


 ですが、会議室では若手閣僚と官僚幹部とベテラン閣僚と官僚幹部との間で激論が数時間に渡ってぶつけ合う大激論と成ります。


 しかしながら、その情勢を一変させた物が在ります。

 それが日本国が各国の政府と大使館宛に配った日本に付いて書かれている文面と各種紹介写真が載せられて居る分厚いカタログの様な紹介本の登場により、ダバード・ロード王国王政府閣僚らは、取り敢えずは日本国と国交樹立を目指す事で一致したのです。

 特にアーヤ・シュチュ―ド女王が主張したのは、ローラーナ帝国と戦って勝つには、国内の工業力と技術力。

 更には経済基盤の底上げし、経済・技術ともに帝国を上回る必要が在ると閣僚・官僚幹部らに説きます。

 それには日本国の重工業株式会社の力が必要不可欠だとも合わせて主張したと言います。

 当時、アースティア世界に措いて、最新鋭の兵器と言えば、魔導力技術を応用した戦艦を始めとるす艦船兵器と魔導騎兵と呼ばれたロボット兵器をどれだけの数を生産配備し、如何にして揃えられるのか?が課題と成って居た言います。



 ですが、当時のローラーナ帝国と反帝国同盟諸国との力の差は6対4と言った具合に、反帝国同盟諸国の軍事生産力と経済力が圧倒的に差が付いており、これを如何にかしなければ勝つ事も儘為らないのでした。


 其処でアーヤ女王が目を付けたのが、当時ロボット技術力で最先端技術力を持って居たモトダ技研工業でした。

 中でもアーヤ女王が目を引いて居たのが、モトダ技研工業が誇るロボット、アッシモダと言う自立式二束歩行型ロボットでした。

 この技術力を応用出来れば、魔導騎兵性能に技術革命を起こせると思い至った言います。

ですが、此処で問題点が一つ有りました。

 それはダバード・ロード王国には、日本国と取り引きが出来る様な物が無いかもしれない事と自立式二束歩行型ロボットの技術力と引き換えにする様な技術力が在るのかと言う問題点でした。


其処でアーヤ女王は思い切っった方法を取ります。

それは自国の魔導兵器を日本国に譲渡する事と国内に在る鉱物資源の採掘権。

 それに加えて、同盟諸国と連携して、食料自給率が悪い日本国に向けて、食料を輸出させる事で、両勢力の均衡を保とう言う手段を取ります。

 中でも石油や天然ガスは、今現在でもダバード・ロード王国の特産輸出物であり、この国の経済力の3割5分を支えて居ると言われて居ます。

 これらの政策のお陰で日本国の中小企業と重工業メーカーを誘致し、国内に在る既存の商工会を巻き込んだ産業革命は、ダバード・ロード王国を躍進させた原動力である事は、ダバード・ロード王国の歴史に名を刻む出来事で在りました。