異世界の国々が驚いた異界国家日本は本当にすごーいデス~ネ

4月7日。



 この日、紅葉は安元総理との秘密会談の為に、日本国内を東へと移動をする事に成りました。



 その指定された目的地は箱根の蘆ノ湖近く湖畔の畔に在る箱根芦ノ湖ホテルです。





 紅葉が移動手段に使ったのが、当時の最新鋭新幹線の一つして走って居た新幹線N700S系電車に乗車して居たとの事です。



 其処から眺める数々の日本国内の風景に感激した紅葉は、是非とも祖国と国交樹立をさせたい心に決めて居たの同時に、この時代の覇権主義国家たるローラーナ帝国の事を如何にして無力化させるのかも思案して居たとも、アースティア大戦が終わった戦後のインタビューで語って居ます。





 箱根町 芦ノ湖。



 今現在でも神奈川県の西部に位置する温泉と景勝地観光としても国内外からの観光客で賑わう地域として有名な所と共に、彼の巨大人造人間型ロボットアニメでも有名な聖地としても知られて地域でも在ります。



 箱根芦ノ湖ホテル。 



 此処では、当時日本国総理大臣であった安元宏孝。



 内閣官房長官の高橋裕貴。



 外務大臣である諏訪部純二と言ったアースティア大戦当時にアースティア世界へと転移して来た日本国の舵取りを担って居た安元政権内閣の重鎮達らとの会談の為に逗留したとの話が残って居ます。



 この会談自体が、秘密会談だったので、それが発覚したのはアースティア大戦後に、安元政権が政権交代をした後の事でした。



 この当時の日本国内の情勢下では、アースティアを通じて猛威を振るったと言う過激派反戦団体だった平和反戦団体ピース・シールドが、極端な平和論を唱えて国内を二分にしようと活動して居り、それ等反戦団体から紅葉の身を守る意味もあった様です。





 その平和反戦団体ピース・シールドの活動は、転移以前から公安当局にもに目を付けられて居た様です。



 そんな反戦運動して居る人々の中には、ホームレスや人権差別主義者に失業者が混じって居たとの記録も残って居り、大半がお金で雇われて居た不法な手段を用いてのデモ活動だった事も在る様です。



 そんな情勢下での安元総理との会談は、紅葉を含めたコヨミ皇国から来客達の身の危険に晒すよう事にもなり兼ねないと考えた日本政府側は、秘密裏に紅葉と会談を成し遂げ、更には異世界国家群との橋渡し役をお願いしたと言うのです。



 その会談の席では、後にアースティア世界を救った英雄と成る竜史の事を政府の顧問相談役として雇って欲しいと紅葉は薦めました。



 この時に紅葉は、星読み力の事も説明し、その先読み予知能力では、竜史がアースティア大戦を終わらせる切っ掛けを作る人物であると断言したのでした。



 この提案を受けて安元総理等は、最初こそは困惑して居ましたが、第一次龍雲海沖海戦で救出した竜史の経歴書が在った事も在り、その彼の趣味が活かせるとの判断した事で、その素人に多くの補佐を付ければ良いと決断。



 更には「何なら各省庁から官僚と職員を選抜させたり、専門の人間を集めれば良いさ。これには学者や技術者だけでは無く、その道専門のオタクでも構わない」とも言い切りました。



 この異世界に対処するに当たって政府も省庁も専門家にすらも分からない事だらけの世界であり、余程の無茶でも言わん限りの出きるだけの大きな権限を与えた異世界国家交流総合支援省。 



 通称・交援省の立ち上げが決定される事にも成りました。 



 因みに箱根町に逗留中の紅葉らは、数多くの噴出口が見られる大涌谷や箱根芦ノ湖ホテル内の温泉、そして、日本一高い山として知られる富士山の眺めを楽しんだと言います。





 日本国と異世界国家らを繋いだ暦紅葉と箱根町。





 此処から日本国を中心とした巨大平和国際組織機関たるアースティア国際平和維持連合への道のりの始まりとも言われて居ます。





箱根町 芦ノ湖への歩き方。



箱根登山バスで小田原駅前バス停から元箱根港バス停で下車、徒歩3分。



大涌谷への歩き方。



箱根登山バスで小田原駅前バス停から大涌谷バス停で下車。徒歩にて3分。



箱根芦ノ湖ホテルへの歩き方。



 箱根登山バスで小田原駅前バス停から箱根芦ノ湖ホテル前バス停で下車、徒歩で5分。

 マギアンティア世界統一暦・1555年・7月15日・午後10時07分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・ゲルニアン帝国・フェリス辺境侯爵領・ガントー地方領・チバヤン州・フェリス侯爵領内・レイチェル・フェリス騎士爵領・チバヤン州・州都キラサラズ市にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 間も無くキリヤ公国連合国と大戦争を控えたゲルニアン帝国。

その最前線近くに位置して居るガントー地方領、ダンドー地方領、バンドー地方領の三地方から成る領地をフェリス侯爵家一族が治めて居た。

 このフェリス辺境侯爵家は、ゲルニアン帝国内の中央政界に措いて、国土管理運営省の上位法衣貴族官僚として活躍して居た一族である。

 その一族達が長年の功労と実績の報奨として、当時の皇帝から下賜されたフェリス侯爵家一族が、この地方を治め始めた事の始まりであった。


 だが、その真実はゲルニアン帝国中央政界からフェリス一族を地方領国へと追いやる口実に過ぎないと言う事実があった。

 同地方州区の主な構成州は、主都が在る西側のナフ州、主都名はウラガナン市。

 東側沿岸地域のチバヤン州・南側のラシノ州・北側のコビア州の4から成り立って居る。


 さて、今回の戦争でフェリス家の各一族の領主達は、ゲルニアン帝国中央政府からの命令を受け、補給物資や出兵の準備に追われて居た。


 しかも全部自腹を切らされる始末。

 これは良くある典型的な独裁体制・・・・・中央集権帝政体制から来る仕方ない事だが、その報酬は雀の涙と成って居るから更に泣けて来る物である。


 その中の一つ、ガントー地方領・チバヤン州領は、フェリス辺境侯爵家の本家の次女であるレイチェル・フェリス騎士爵が、州都キラサラズ市の在る中心地として治めて居る領地だった。

 レイチェルは現在17歳で、跡継ぎである姉のロイチェルの補佐として主都ウラガナン市の政務に関わって居た。

 フェリス侯爵家は800以上もの領土があるゲルニアン帝国内でも、良くある典型的な大領主一族の一つであった。

 その家の次女として生を受けた彼女は、跡継ぎの姉の予備として、フェリス侯爵領内の本拠地である主都ウラガナン市近くのチバヤン州の州都キラサラズ市に居残り、補佐としての人生を歩む事を強制させられた人生をこれらかも歩む・・・・・筈だった。

 だがしかし、彼女はそんな貴族としてありがちなな人生を歩む筈が、この公帝戦争に措いて、その後の人生を180度ガラリと変えてしまう子に成る、人生の転機を迎えようとして居た。

 そんな御家最大の転機を迎えようとして居るフェリス侯爵家の跡取り娘である姉のロイチェルは、キリヤ公国連合国との戦争に備えて、内陸の南西地方のダンドー地方に両親や親族達を疎開させ、同地でゲルニアン帝国から来る物資の管理の仕事をして居た。

 一つ下の三女である妹のライチェルも同じく、北西の内陸のバンドー地方領を任され、戦争に向けて同地の州都・クルサレ市軍事物資の生産を急がせて居た。

 バンドー地方自治州区の州都・クルサレ市は、港湾工業都市として栄えて居る工業都市にして、バンドー地方自治州区の州都。

 フェリス侯爵家の実に4割の租税が此処で稼がれ、各種工業物資の生産の8割が此処で行われて居るフェリス侯爵家の重要な工業地帯である。

 主に金属加工を中心とした武具や生活雑貨や建築素材に各種部品素材の加工と生産が行われ、多くの工房商会が拠点を構えていた。


 そんな中でフェリス侯爵家の現当主たるアルベルゴ・フェリスの次女であるレイチェルは、キリヤ公国連合国と戦争に向けて自領を通る交易商人達を通じて、南方諸国の動静を常に調べていた。

 それなので、政治や外交と商業に関して、とても明るい才を持って居たのであった。

 年功序列が跡取りを決める基本方針が故に、その才能を世に示せずに居る彼女は、ここ最近に成って現れた異界からの転移地域であるナデシコ地方自治州区の出現以来、その同行を調べていた程に、キリヤ公国連合国を警戒して居たゲルニアン帝国中でも珍しい部類の人物だったと言えた。

 それが彼女の手元へと届けられた報告書を読み込んで呆れて居たしまう程に愕然としてしまう。

「はぁ~もう、これじゃダメね。」

「私がキリヤ公国連合国内に送った間諜達の調べでは、キリヤ公国連合国と言う国は、トンでもない武器と兵器の宝庫って言うじゃない。」

「大砲を乗せて動き回る鋼鉄の箱車。」

「巨大な鋼鉄戦艦から成る大艦隊。」

「大空を埋め尽くすほどに空を舞う空飛ぶ鉄竜。」

「大量の荷物を運搬が可能な恐ろしく長い鋼鉄の蛇車。」

「絵心のある密偵達らに、絵師に変装させて、現地で風景が描かせた物を取り寄せたのを見たけれど、これが本当に動くとわね。」

「現に昨日行われた観閲行進って言う出陣式。独特な軍事パレードだったと、今朝がたに送られて来た報告書を読む限りは、ナデシコ領軍の兵器は、トリック無しに本当に動く物らしいわね。」

「単に彼の国の兵力だけを見るなら、総兵力が約40万を超える程度に過ぎないのだけれど、潜在的な力を見るのなら、向こうが圧倒的に上なのよ。」

「恐らくこの戦いで、この世界の戦の仕方が、完全に根本から変わるわよ。」

「全く、一体全体、ゲルニアン帝国中央政府の連中や皇帝陛下は、あの少年王が首都で行った出陣式をどう見て居るのよ?」

「彼の地で披露した軍勢の中に有った兵器群の事を、中央政府と軍幹部の連中は、子供が新しい玩具を見せびらかせて居るだけと、小馬鹿にして居る始末。」

「はぁ、これだから金と権力だけの連中って奴らは、見栄をと金儲けに夢中なだけで、地方領の実情と他国の実情を知ろうとはしないんだから、ホンと頭が痛くなるわよ。」

「今回の戦は、喧嘩する相手を絶対に間違えて居るわよ。」

「喧嘩する相手が、その辺居る猫だと思って居ると、その正体が虎か獅子だと分かる頃には、大怪我をしてしまい、事態の事が決して居る。」

「恐らく・・・・・我が領地・・・いえ、我が一族は完全に、この戦争のとばっちりを喰らうわよね。」


「はぁ~お陰で良い迷惑だわ。」

 レイチェルが恨めしそうに帝国中央政府と皇帝に悪態を吐いて居た。

 彼女はフェリス辺境侯爵領の居城であるチバヤン州の州都キラサラズ市からは、ゲルニアン帝国本国から派遣されて来て居た遠征軍300万人もの大軍勢が、キラサラズ城の城下町と周辺地域の市街地、それに村落の野外にて、ごった返して居た。

 それが豪い迷惑だと言う事も頭を抱えて、頭痛の種と成って居た。


 マギアンティア世界統一暦・1555年・7月17日・午後9時00分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・ムツ地方・ムツ地方自治州区・ヒロサキ町・ハコダテ山脈地帯・ハコダテ国境要塞・ゴリョウカク国境要塞郡にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 キリヤ公国連合国軍は、キリヤ公国本国軍とそれぞれ独立した準独立自治国家軍やキリヤ公国連合国傘下の独立自治国家軍等が統合連合結成させた統合連合国家軍である。

 それ故に、それらを総じた軍の事をキリヤ公国連合国軍と呼称するのだ。

 そのキリヤ公国連合軍の総軍勢は、創世記に比べて、45万人へと膨れ上がって居る。

 その殆んどが勇治旗下の軍では無く、特別自治州区軍と連合加盟傘下国軍から成り立って居る。

 これが地球に在る様な国家だったら、色々と面倒な事態に成ったり、紛争が絶えなかったりと、とてもめんどくさい国家と成るのが普通だ。

 だが、キリヤ公国連合国は別だった。

 王である勇治が、しっかりと周囲から支えられ、勇治もそれに応えるかの様に、善政を敷きつつ、連合国加盟国にも、とても友好的な外交対応を取って居る。

 だが、無法者には容赦の無い対応で挑む。

 この姿勢が連合国加盟国内や友好国の間では、とても良い評判を呼んで居たりするのであった。

 ムツ地方の統括地方自治体であるムツ地方自治州区。

 ムツ地方自治州区の北部にあるゲルニアン帝国との国境の町で、ド田舎だった町であるヒロサキ町の北部には、ハコダテ山脈地帯を中心としたゴリョウカク国境要塞郡が建てられ居た。

 公帝戦争に備えて、勇治とナデシコ地方自治州区政府が共同で建設を進めた大要塞の事で、キリヤ公国連合国とゲルニアン帝国との間に東西約100キロ、20ヶ所もの岩山を要塞化した代物である。

 言わば万里の長城の現代版と例えられると言えるだろう。


 総じてこれらの要塞の事をハコダテ国境要塞と名付けられ、ヒロサキ町からは、北へ僅か7キロの距離の位置に在った。

 その中でもゴリョウカク国境要塞郡は、キリヤ公国連合国軍側の前線司令部が置かれて居る要塞と成って居る。

 この要塞郡に先陣として入ったのは、伊達軍の片倉喜多軍2千人が要塞入りをすると、黒塗りで金ぴかの塗装で身を固めた伊達成美軍2千人が後に続いた。

 その後ろに政実に率いられた6千人の伊達軍の本隊が続いて入場して行く。

 更にその後方には、鬼庭・真礼・綱元に率いられた補給部隊に加えて、ナデシコ自治統合軍から提供のあった機動九〇式野砲枷鞣大砲大隊と重機関銃大隊を運び入れる車両部隊が後に続く。


 そのお次は、毛利軍先陣大将である吉川春美の姿も見られた。

 その直営軍たる吉川軍の精鋭5千を引き連れ、アマテラスから渡海して来て居る軍勢が要塞へと入城して行く。


 春美は、伊達軍先陣部隊と共に、ゲルニアン帝国軍先鋒隊と戦う為、アマテラス神皇国独立藩王国連合軍団の総指揮官に任じられて居る伊達政実の指揮下に入って先陣の命令を受ける事に成って居た。

「お前らっ!!!伊達の連中に絶対負けんなよおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!!」

「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」

「吉川のチビにっ!!!手柄を独り占めをさせるなあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!!」

「「「「「おうっ!!」」」」」

 この二人は、キリヤ城で出会って以来、何かかに付けて、意地の張り合いをしてとまって居た。

 そして、この戦場でも功を競うおうと気合を入れて張り合って居たりして居た。

 
 この事態を両家の総大将は、放って置くしかないと、呆れつつも半ば諦めていた。


 その後ろには、上杉独立自治北陸藩王国軍、通称・上杉軍が8千人の軍勢を率いて後に続く。

「・・・・・・・・・・・・・」

 総大将の上杉景勝に率いられた上杉軍は、毘沙門天の毘の字と乱れ龍文字に日章旗が掲げられ、竹に上杉雀紋の旗刺し軍旗が居並んでの要塞へと入場して来て居た。 

 景勝は馬上で行く先を鋭い眼光で見据えて居るが、これは単に彼が寡黙で口下手なだけである。


 その後ろには直江・愛華と大国・七恵の双子姉妹が、それぞれの旗印である愛一文字旗と大国隊旗の旗を掲げて、二列に居並んでそれぞの軍を率いて進む。

「この大戦で上杉家の武名を必ず高めるよっ!!」

「姉さん、余り無理は・・・・・・・・」


 上杉家始まって以来の初の国外遠征に、双子姉妹の考え方は全くの真逆であり、姉は張り切り。妹は手綱役と成り、凸凹で上手い連携力と言える二人であった。



 上杉軍の更に後ろには、正木時奈が率いるキリヤ公国第三武士軍団3千人、藤堂吉与が率いるキリヤ公国第五武士軍団の3千人。

 その更に後ろに続くのが可児才華が率いるキリヤ公国第七武士軍団3千人と続く。

 何れの軍勢も38式歩兵銃2式と防弾性に優れたジュラルミン製の鎧に、ジュラルミン製の盾が配備されて居る姿が見られて居た。


「ううっ、もう逃げないぞーっ!」

 
 最後尾に現れたのは、小田春奈とアマテラス神皇国から陸軍に仕官して、機械化軍団に配属された者達のキリヤ公国陸軍・第一機甲機械化軍団である。

 偵察バイクに戦車と自動車、トラック。

 牽引式大砲部隊が併せて1万5千は有るだろう。

 
 小田春奈は、近隣国人や大名と戦いで5度も城を捨てては、家臣の団結と地の利を活かした戦いにて、反撃を行い居城を毎回取り戻して居る事で有名な姫大名王だった。

「この戦車を使えば、戦場で・・・私にも何か出きる筈だ・・・と思いたい・・・・・・」

 彼女が機甲機械化軍団に志願したのも、丈夫で頑丈にして高火力を誇る戦車を使えば、戦が苦手である彼女でも何らかの手柄を上げられるのではと、思って志願したのである。
 

 第一機甲機械化軍団とキリヤ公国武士軍団は、攻め入るゲルニアン帝国を疲弊させると言う防衛作戦後に、敵側であるゲルニアン帝国側へと一斉に反撃攻勢に転じると言う重要な命令を受けていた。

 その防衛主力を担うのは、主にナデシコ自治統合軍のナデシコ自治統合陸軍14万人である。


 圧倒的な火力を持って、敵を打ちのめし、兵力が減った所を反撃に討って出る。


 このキリヤ公国本土を守る守備兵は、ナデシコ自治統合軍とアマテラス神皇国出身加盟国の伊達・毛利・上杉連合軍とアマテラス神皇国から渡海し、キリヤ公国へと仕官したキリヤ公国武士軍団併せると全軍で20万人を越えて居る。

 伊達・毛利・上杉連合軍とキリヤ公国武士軍団は、ムツ地方自治州区・ヒロサキ町へと続いて居る街道を守る役目を命じられて居た。


 張り切るアマテラスの武士達は、己の武勇と知略を以ってして、この大きな戦いに挑もうとして居た。


 両軍の開戦の時は近い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 マギアンティア世界統一暦・1555年・7月15日・午前9時30分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸東側・アマテラス列島地方・アマテラス神皇国・東海地方・徳川大名王家領・遠江国中部地域・三度ヶ原・織田・徳川連合軍及び武田・北条連合軍激突地点・三度ヶ原の戦いにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 キリヤ公国連合国とゲルニアン帝国による旧撫子皇国領たるナデシコ地方自治州区の帰属問題を巡っての国境紛争が発端と成った公帝戦争が開戦と成る五日前のアマテラス神皇国では・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 日本の本州に相当する島の本州島の東海地方・遠江国、浜松城の北に位置する三度ヶ原にて、武田・春夜・信玄と北条・九江・早雲連合軍と徳川・千代・家康と織田・和紗・信長連合軍が激突しようとして居た。


 後世の世に言う三度ヶ原の戦いである。


 武田春夜はライバルである上杉・剣信を見送った後のこと、兼ねてからの悲願であるアマテラス神皇国の統一の為に、織田・徳川連合勢力を打ち破って首都国である山城国と皇都・平庵京を目指して居た。


 その第一歩である遠江国の制圧とその中心地である浜松城の攻略をするべく、敢えて兵力差の有利を活かした城攻めを避け、織田・徳川連合軍をやや困難な野戦に引き吊り出そうと企む。

 念の為に呼び寄せた同盟者である北条九江軍も加えると5万人もの大軍を用意して、新たなる宿敵たる織田・徳川連合軍に戦いを挑んだのであった。


 対する織田・徳川連合軍は、織田家は東海・北陸・畿内・四国・中国東部地域から4万5千人もの大軍を搔き集め、武田・北条連合軍の侵攻を阻止せんと三度ヶ原の戦いへと赴き、浜松城へと着陣する。


 当初の戦いでは、武田・北条連合軍が徳川家領内への攻撃作戦を優位にするべく、様々な作戦を展開して居たが、織田・和紗の奇策と、羽柴軍の2枚参謀看板たる雫半軍師(しずはんぐんし)と略され並び呼ばれる名参謀の名コンビによる策略と謀略。

 そして、酒井・継美の大芝居と猛将達による暴走行為が本気で行われた作戦であった。

 そして最後は、優秀な武将達による各地の転戦で、大きく織田・徳川連合軍側がやや優位に立って居ると言う図式で、三度ヶ原の戦いの決戦の日を迎えた。

 


 両軍が激突した合戦の開始時間は、午前9時30分頃に両軍が開戦し激突した。

「武田・北条連合軍の無双の勇将・猛将・知将達よっ!!!」

「この三度ヶ原の戦いに勝利すれば、アマテラス神皇国の天下は我ら物だっ!!!」


「いざっ!!決戦に及ばんっ!!!」

「それえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!!!全軍突撃せよっ!!!!攻め掛かれえええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっ!!!!」


 ブオオオオオッ!!ブオオオオオッ!!ブオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!


 ブオオオオオッ!!ブオオオオオッ!!ブオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!


 ブオオオオオッ!!ブオオオオオッ!!ブオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!


「「「「「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」

「「「「「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」

「「「「「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」」」」」


 武田春夜の命令で、武田騎馬軍団とそれを指揮する武田四天王が一斉に攻めかかると、鬨の声と法螺貝の音色が三度ヶ原に響き渡ると、同時に同盟国である北条軍も北条・九江の命令で織田・徳川連合軍の陣地へと攻め掛かって行く。


 それらに対して、織田軍の姫武将・武将達や徳川四天王。

 その他の徳川の猛将達も、主君と領土を守らんと果敢に迎え撃つ態勢を取る。

 それを連合本陣所近くで見守って居た織田・和紗と徳川・千代の二人は、あれだけ罠や策略に嵌められた武田・北条連合軍の士気は未だに高く。

 そして、その勢いは衰えて居る所か、小狡い手口で虚仮にされた事に怒り心頭の様相を呈して居り、バカにするのもいい加減にしろっ!!と言わんばかりに怒涛の勢いに乗って攻め掛かって来て居た。


 そんな時である。

 両軍は、キリヤ公国連合国を通じてユーラシアン大陸での情勢を知られる。

 武田・北条連合軍では・・・・・・・・・・・・・・・・・

「申し上げますっ!!!キリヤ公国連合国とゲルニアン帝国。間も無く開戦の兆し在りとの報せが入りましたっ!!!」

「此方も開戦したばかりですが、キリヤ公国連合国とゲルニアン帝国も開戦の運びですか?」

「何方にしても、ユーラシアン大陸ではキリヤ公国連合国とゲルニアン帝国との決戦。一方のアマテラス神皇国地方では、我ら武田・北条連合軍と織田・徳川連合とが決戦。」

「何方の戦も、勝った方が武力衝突するかも知れないわね?」

「はい。伯母上。ですから、我らはこの戦に勝ってユーラシアン大陸の覇権国家と対峙すると言う役目を担わなければ成りません。」

「下手をすれば、伊達・上杉・毛利らとも戦う可能性すら在るのです。」

「アマテラス神皇国の将軍王は、それらからこの国の民と土地を守る責務が有ります。」

「あの信長に、その素質が在るのか?それとも私の方にそれが在るのかは?三度ヶ原の戦いで明らかと成る事でしょう。」

「さて、それは如何かしらね・・・・・」と言う伯母たる九江は、この戦いが川中島の戦いと同じ結果と言う失敗を孕んで居る事に気が付いたが、姪っ子である春夜がやりたいと言って聞かないのだから、如何にも為らない。

 失敗とは、失敗して初めて失敗したと気が付く物でも在るのだ。

 九江は、まだまだ若く未熟な姪っ子を見守る事しか出来ないのであった。


「ひひっ!!和紗姉様っ!やっぱり武田の騎馬武者軍団を相手に、真正面から戦うなんて無謀ですうぅっ!!」

 織田・和紗の同盟者にして、妹分でもある徳川・千代・家康は、緒戦から武田軍にビビッて居た。

 だって、三度ヶ原を決戦場にすると和紗に言われた時は、反対すらして居たからである。

 武田軍の騎馬軍団は、上杉家の騎馬軍団と並んで勇猛果敢な騎馬武者である評判の高い者達だったからだ。

 今のアマテラス神皇国地方ないでは、一・二を争うほどの実力を誇って居るが、しかしながら、この時期のアマテラス神皇国の情勢下では、キリヤ公国連合国へと加盟した伊達家では、ライフル銃を主体とした騎馬鉄砲隊が編成され、上杉家でも似たような方針を固めて居り、終いには毛利家でも真似を始めて居ると言う。

 悲しいかなこの時期の武田騎馬軍団は、旧式騎馬軍団と成り果てつつあったのである。

 その武田騎馬軍団が再び日の目を見るには、武田・春夜・信玄が、勇治とキリヤ公国本国に臣従を誓って、キリヤ公国連合国の藩王と成るまで待たねば成らないのであるが、それはもう少し先のお話。

「お前がそんな事で如何するのだっ!!お前の家臣団も武田の猛将共にも引けは取らんのだぞっ!!!」

「でもぉっ!!」と心配そうな顔付きで、一斉にやって来る武田・北条連合軍の軍勢を見て居た千代。


 そんな時である。

 武田・北条連合軍の先鋒軍を任されて居り、武田軍団に措いて、侵略する事を火の如くと謳われし山県・虎三・昌景。  

 武田家の筆頭家老にして、武田四天王の一人であり、又の名を不死身の馬場と称されし勇猛果敢な名将としても知らて居る軍部統括大将・馬場・春香・春信の二人。

 それともう一人、北条・九江・早雲の妹である北条・勝実・正成の子で、北条五色備軍団・北条黄備え軍団を率いる地黄八幡と謳われる猛将として知られて居る北条・紗英・綱成の三名が、一気に決着を付けて見せようと両軍の腕利き騎馬軍団と供に、織田・徳川連合軍の中央突破を試みた。

 武田騎馬軍団と北条黄備え軍団の力を合わせて攻め入れば、如何に防備が固く、織田・徳川連合軍の猛将・勇将たちが揃おうとも、討ち破れる絶対の自信がぁったからであった。

「織田・信長っ!!!覚悟するんだぜっ!!」

「その首を討ち取ってお館様の天下をっ!!」


「やぁやぁやぁやぁ、我こそは北条・紗英・綱成なりっ!!織田・徳川の御大将の首級を頂戴せんっ!!」

「ほう、武田四天王の先駆けの山県と不死身の馬場か?この俺を意図も簡単に喰えるとでも思って居るとは、トンだ間抜けだな?」

「げげっ!?綱成って言ったら、地黄八幡と言われて居る猛将じゃないですかっ!!」

「それと合わせて武田四天王の先駆けの山県と不死身の馬場来るなんてっ!!!」

「とっても面倒な奴らが来たですぅっ!!」

「ほざけっ!!!何時までも奇策ばかりが成功する思うなんだぜっ!!!」

「その通りっ!!!我らが剛力すればっ!!!この様な馬防柵など、只の木組みに過ぎないっ!!!」

「御身城さまも武田のお館様も、そんな物を打ち破る術をお考えだっ!!やれええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」と紗英が叫ぶと、武田騎馬軍団と北条黄備え軍団の者達は、鎖で繋がれた丸太を二人一組で引き吊りながら突撃隊を汲んで、織田・徳川連合軍の陣地へと攻め入る。


「各隊っ!!慌てるなっ!!」

「そうだっ!!これも予測通りですよ~」

 中軍を指揮して居た丹羽・米実と酒井・継美の二人は、前線指揮官の武将達らに、混乱をさせないように叫ぶ。

織田・徳川連合軍が築いた馬防柵は、南北線に五キロ。

東西線に三キロに渡って築かれて居る。

各陣地が五段階の馬防柵と曲輪式防御陣地を築き上げての野戦築城である。

 城攻めも野戦に成れて居る武田・北条連合軍は、織田・徳川連合軍の先鋒陣地を破壊力すると、居残って居る織田・徳川連合部隊を構わず、そのまま攻め入って行く。

「見たかっ!!!この様な子供騙しっ!!!如何とでも出来るんだぜっ!!」

「二人ともっ!!!後衛は、拙に任せ、敵大将の下へっ!!!」

「承知っ!!」

「了解たぜっ!!姉御っ!!!」

 武田・北条連合軍の先鋒軍部隊の指揮官である山県・虎三隊と北条・紗英隊は、更に和紗の居る陣地へと目指して駆けて行く。

「虎三殿っ!このまま一気に・・・・・・」

「おうさっ!!だけどよ、このまま時間を掛けるのも面倒くさいっ!!!あたし自慢の弓で一気に・・・・・・・」

「為らば、私も・・・・・・」と先駆け武将が得意として居る弓による馬上狙撃を試みる二人。


だがしかし、その態勢に入った姿を見た和紗は、不敵に笑って見せた。


「ふっ、そう言うのはもう流行らないぞっ!地黄八幡っ!!!山県っ!!!」

「「何言うかっ!尾張の大虚けがあああああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!」」と二人が叫ぶ。


 その時、不死身の馬場と称されし勇猛果敢な名将たる馬場・春香は、突撃して行った二人叫び声を聞いて、ふと振り返って見た瞬間だった。

「はっ!?不味いっ!これも罠だっ!!下がれええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」と叫び声を上げる春香。


 それと同じく遠くに居た北条・紗英の母である北条・勝実も遠目で娘の勇猛果敢な姿を眺め見て居たのだが、敵野戦築城の動きが一瞬にして蠢く事にハッとした瞬間に、「紗江ええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっ!!!!!」と叫んだ。


 無情にも、先駆け隊の二人は、和紗が仕掛け張って居た罠のど真ん中に飛び込んでしまったのだった。


「佐々隊っ!!野々村隊っ!!前田隊っ!!明智隊っ!!丹羽隊っ!!滝川隊っ!!鉄砲構えええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!」

「第二陣から第三陣の半列は反転っ!!」

「徳川軍も構えるのですよ~っ!!!」

「榊原隊っ!!渡辺隊っ!!石川隊っ!!水野隊っ!!奥平隊っ!!鳥居隊っ!!大久保隊っ!!成瀬隊っ!!平岩隊っ!!夏目隊っ!!鉄砲構えええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!!」


「なっ、なっ何なんだぜっ?!」

「なっ、なっ何っいいいいいぃぃぃぃぃーーーーーーっ!?!」和紗と千代の首級を討ち取ろうとした、北条家の猛将北条・紗英は、突如として現れた織田軍鉄砲隊を前にして、ビックリ仰天してまう。

ズダダダダダッダーーーーーーンンッ!!

ズダダダダダッダーーーーーーンンッ!!

ズダダダダダッダーーーーーーンンッ!!

ズダダダダダッダーーーーーーンンッ!!

ズダダダダダッダーーーーーーンンッ!!

ズダダダダダッダーーーーーーンンッ!!

ズダダダダダッダーーーーーーンンッ!!

ズダダダダダッダーーーーーーンンッ!!

ズダダダダダッダーーーーーーンンッ!!


「ぐわあああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」

「殿おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」

 北条・紗英は、二〇発近くの銃弾を鎧に受け、二発が脳震盪を起こすほどの衝撃を兜に受けてしまった。

それにより、乗って居た馬から落馬してしまう。

「紗英っ!!」と、それを見て居た虎三は、叫ぶが、自分自身も銃弾を受けてしまった筈と気が付くと、その周りを見渡すと赤備えの騎馬武者たちがパタパタと倒れて行く光景を目の当たりにする。


「はっ!?あたしも銃弾を受けて居た筈?如何して無事なんだぜっ!!」

「・・・・・・・・・・お前たちっ!!」

「山県さま・・・・・」

「お下がり下さい・・・・・」

 山県・虎三は、直参馬周り衆の五名の犠牲者を出す事で、何とか助かったが、北条・紗英は、和紗が伏兵を配置して置いた部隊に命じて、北条家では地黄八幡と言われて謡われて居る猛将北条・紗英・綱成を容赦なくハチの巣にしてしまう。

 北条・紗英は、母である勝実からこれから鉄砲と言う物騒な武器が流行るだろうからと、ある程度厚くして有った武者鎧が送られ居たお陰で、命に関わる大事には至らなかったが、旗下の旗本衆に運ばれて最前線から退いて行く。

「見たか千代っ!!これからは鉄砲や大砲を多く持った国が台頭するのだっ!!!」

「このユーラシアン大陸周辺国に措いて、最早っ!猪武者同士たちが、一騎打ちをする事は無く成るだろうっ!!!」

「うわあああぁぁぁっっ!!!流石ですっ!!!和紗姉様っ!!!」

「だが、数が多いな。柴田・仙石・森・池田・金森の各隊は、鉄砲隊の防御陣の周囲を警戒っ!!決して突破されるなっ!!」

「徳川衆もやるですよっ!!」

「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!!!」」」」」

「和紗様・・・・・」

「拙者たちの出番は・・・・・・」

 真っ向勝負をするからと言われた織田・徳川連合軍の猛将達は、大量の鉄砲を使っての決戦が行われた事に、又もや騙されたと嘆いて居たが、勝って居る事には変わりは無く。

 後半からは防御陣地での防戦での戦いに参加が出来たが、不完全燃焼と言った感じの気分に苛まれてて居た。

 

 その後も三度ヶ原の戦いでの両者の戦いは、苛烈を極めて居た。

 だが、やがて午後に成ると、やや兵力の多い武田・北条軍側が織田・徳川連合軍を徐々に押し返し始めた。

「信長様、火薬・銃弾の在庫がっ!!」と徳川四天王が一人、酒井・継美・忠次が補給物資の類で、一番重要な玉薬の底が尽きそうだと報告して来た。

「家康様っ!織田軍・徳川軍の第四馬防策陣地が突破され居りますっ!」

「柴田殿、仙石殿、森殿等が懸命に戦って居るで御座るが、一時撤退して行った筈の武田軍の馬場軍、山県軍らは、内藤隊と高坂隊。それに北条家の北条・勝実隊と笠原隊らが援軍に駆け付け、そのの勢いが凄まじいで御座るよっ!!」

「此処は我ら徳川四天王に任せ、お二人は浜松城に退いて下さいっ!!」

 徳川四天王の榊原・康江・康政。本多・八重・忠勝。井伊・直虎・直政らも武田軍の猛攻を防ごうと最前線へと出て行く。 


 その軍勢が押され始めた原因は、織田・徳川連合軍内での弾薬の残りに限りが、徐々に底が尽き始めて居たからだ。

「くっ、火力を主力とするのには、もう少し弾薬や火器類を多く用意せんとな。」

「くううっ、此処は無念ですが、浜松城にそろそろ引き上げましょう。」

「信長様。此処は、この明智・十華にお任せをっ!!」

「明智殿。松下隊も出ますっ!!」

「助かります。」

「和紗殿っ!!早くっ!!追い詰められてから逃げるのは大変と成ります。」と三好・慶香・長慶も敗戦経験から和紗に撤退を早くと促す。 

「真澄。悪いですが、少々付き合って貰いますよ。」

「はぁ~、畏まりました。慶香様。」と松永・真澄も、嫌な局面で旧主に目を付けられと溜息混じりに諦めた様にして、この撤退戦に付き従った。


 その他にも朝倉・浅井・今川と言った織田家に敗れて生き残ってしまった残党軍達等も、撤退戦を支援に動いて行く。

 
 二人は旗下に在る様々な武将達らに殿を命じて、浜松城へと撤退を開始するのであった。

 その時だった、織田・徳川連合軍が撤退しようとした矢先の事である。

 武田・北条連合軍の本陣で異変が起きたのである。

「ううっ、お腹があぁぁ・・・・」

「あらら、また腹痛なの?」

「すみません。九江の叔母上。戦前に食した食べ物の中で、何かに中ったらしい様です。」


「はぁ~、これで貴女のアマテラス神皇国の天下統一への夢が遠のくわねぇ・・・・・・」


 武田・春夜・信玄は腹痛を良く起こす事で知られて居た。

 まぁ、偶に神経胃痛と軽めの食あたりを起こす事が良くあったりして居た。

 今日は前日のお昼に食べて居た貝類・・・・・特に大好物のアワビが、胃に合わなかったらしい。

 アマテラス神皇国・甲斐国の人達は、日本の山梨県民と似たような気質らしく。

 海無し国の割には、海の物が大好きで、わざわざちょっと高い金を払ってでも食べたがる魚貝類好き。

 執政に関わる権力者達は特にで、時より食べた者は、食中りを起こす事が多々あるらしいのだ。

「夏夜、全軍の指揮を・・・・・後ちょっとで勝てるのにぃ・・・勝って近江・瀬田の端に武田菱の旗を立て・・・・・・ううっ、無念。」ってな具合に、ガクっと倒れる武田・春夜。

「ねねっ!!姉さんっ!?誰か医者をっ!!」

「はぁ、ホンと全く面倒な姪だわ。」


 武田家から夫を婿に向かえて居る北条九江は、肝心な時に腹痛を起こす姪を呆れながらも、良く面倒を見て居た。

 才覚は有ると思って居るが、武田家と言う所は、胃痛が起きたくなるほどに忙しく、稀に食べるご馳走が貝類を調理した食べ物である事の多いので、武田家内では腹痛に成るものが多いと言う。


 両軍の決着は後日に持ち越され、数か月後に行われる長鹿野ヶ原の戦いにまで延長と相成ったのであった。

その時には織田家・徳川家らは、キリヤ公国連合国へと加盟を果たして居り、キリヤ公国連合国と大戦と成ってしまう事に由り、この三度ヶ原の戦いでの畿内地方へと攻め入られる最後にして、最大の好機を失ってしまうのは、実に勿体無い事をしてしまった武田・春夜・信玄。

 武田家は、この戦いの腹痛による撤退は、アマテラス神皇国地方の天下統一を夢のままを終わらせてしまう事にも成ったのであったが、彼女が真に名を馳せる事に成るのは、キリヤ公国連合国へと臣従し、アルビオン王位継承・独立干渉戦争へと参戦をする事に成ってからに成るのだが、それはもう少し先のお話。


 三度ヶ原の戦いの戦いの結果は、織田・徳川連合軍と武田・北条連合軍の痛み分けと言う残念な物と成ってしまった事に由り、幕を閉じたのであった。
 


マギアンティア世界統一暦・1555年・7月16日・午後12時00分頃・マギアンティア世界・中央世界第一文明圏・ユーラシアン大陸南部地方・キリヤ公国連合国本国・キリヤ地方・キリヤ公国・公王都キリヤ市・キリヤ城・宮中王妃居公邸・セレジアーナ・ユリテリア・ガリアナ居室エリアにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 間も無くゲルニアン帝国と大戦争を控えたキリヤ公国連合国だが、キリヤ城・宮中で過ごし働く者達らは、殆んど関係が無い毎日を送って居た。

 だって、公王都キリヤ市の発展振りを見て居ると、中央世界第一文明圏を謡って居るゲルニアン帝国が大国で無い事は明きらかだし、後進国に過ぎない事を理解させられてしまうのだ。

 そんな近代化大都市たる公王都キリヤ市で暮らしにもすっかり慣れて来た新米世界神ユイテルシアが化けて居るユイン・テルシーアこと、ユイは、すっかり都会っ娘に成りつつあった。

 ユイは同僚の女友達と定時上がりでの仕事が終わり、今日の夜と明日の休暇日である余暇を楽しもうと話して居た。

「ねえねえ、今度の休暇日、何処に行く?」

「ショッピングモールも良いけど・・・・・・」

「商店街の仕立て衣服屋さんや下着屋さんも良いわね。」

「あっ、そうそう。今度、東町商店街に出来たケーキ屋さんも美味しいって聞くわ。」

「ユイは何処に行きたい?」

「ええっと、あたしは・・・・・(はっ!?すっかり忘れてたわ。勇治への罪滅ぼしに来て居るのに。すっかり公王都キリヤ市での便利な暮らしに毒されてしまって・・・・・)」


 ユイは、此処に来てからと言う物の。

 すっかり公王都キリヤ市での便利な暮らしに毒されてしまって居た。


 気が付けば、年頃の近い同僚の女友達と一緒に成って、遊びに出掛ける日々の毎日を送るように成って居た。

(ダメダメ、このままだと新米女神である事を忘れてしまうわっ!!)

(気を引き締めて行かないとっ!!)

「ユイーっ!晩ご飯に行こうっ!!」

「あっ!!待ってえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」と、同僚達を追い掛けて行くユイは、おっちょこちょいのドジっ子メイドとして有名に成って居た。

 それでも解雇をされないのは、勤勉で努力家である事が、セレジアとベルからの評価が高く買われて居たからである。


そんな日々を送って居たユイに、一大事件が発生する。


「あっ!!」と言うとユイは、セレジアの前で盛大にズッコケてしまい、お茶が入ったティーセットを割ってしまった。


「はぁ~、また、やったのね。」と呆れながら言うセレジア。

「ごめんなさい。セレジア様。直ぐに片付けます。」と言いながら、割れてしまったティーセットを掃除して行くユイ。

「ああ、そう言えば、勇治から聞いた昔話に、貴女の様なドジっ子が居たわね。」と言った瞬間だった。

 その話に動揺をしてしまうユイは、うっかり塵取りを落としてしまい。

 折角、掃き取った陶器のティーポットやカップを更に粉々に割ってしまう。

「・・・・・・・何だか、貴女の事を見て居ると、勇治から聞かされた話に聞く、ドジっ子を見て居る様な気がするわ。」

「あはは・・・・まさか・・・あたし如き、勇治陛下のお顔を知る筈も無いですよ。」

「何で其処で、自分だと言うのかしら?」

「あっ!!」

「はぁ~、まさか、此処に居る貴女が本物の本人だったとわね。」

「ええっと、その・・・・・・」

「ドジだ、ドジだと思って居たけれど、此処までだったとわね。オマケに、それが新米女神で在ると来たら・・・・・呆れるしか無いわ。」

「・・・・・解雇ですか?」

「はぁ~、そんな事をする訳が無いわ。勇治がこの世界に来た時の経緯での話は、大まかに聞いて居るわ。」

「貴女が原因だったとも聞いて居るけれど、貴女の主神様は、勇治に取って命の恩人。」

「そして、私との出会いを作ってくれたお方よ。そんなお方に大事にされて居る子を無下には出来ないわ。」

「それに、この2ヶ月もの間、貴女の仕事振りは評価するのには十分よ。失敗は多いけれど、その分を努力して補って居るのよね。」

「仕事をめげずに、辞めずに頑張って、やって来た子を解雇する訳が無いじゃない。」

「引き続き、私の専属をやって貰うわ。それと貴女が居る事も勇治には言って置く。」

「それはっ!!」

「だって、言わないと伝わらないわよ。御免なさいってね。」

「はっ!?(そうか、この人は陰からコソコソと詫びるくらいなら、真正面から堂々とアイツに尽くせって言いたいのね。何て浅はかだったのかしらあたしは、こんな簡単な事を人間に諭されるなんてね。)」

「・・・・・・」

「くすっ!(此処まで人間臭い女神なら、此処でも、やって行けるわ。)」とセレジアは、ユイの行く末を楽しみに成りだして居たのであった。

 右も左も初めてで、判り難い地上世界で、ユイが女神から人間として生き始めた事に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 アースティア暦1000年・西暦2030年・4月11日・午後12時00分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・関東地方・東京都・千代田区・永田町・総理大臣官邸・総理執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ふうーーっ。」



「お疲れ様です。安元さん。」



溜息が漏れ、疲れきった安元に労いの言葉を掛けたのは、官房長官の高橋であった。


 お互いに一仕事を終えて、この部屋に共に来ていた。



「こんな状況に成ってるって言うのに、全く以って暢気なものだな野党の連中は・・・・・・・・・」



「全くですね。今手を打たなければ、これから先の日本がどうなるか分からないと言うのに・・・・・・・・・」



「ああ、そう言えば、浪川の奴はどうした?」



「浪川さんですか?」

「先ほど廊下で、すれ違い際に会いましたが、彼はパスタを食べに行くと言って、総理官邸から出て行きましたけど。あの様子で、この時間帯だとすると、銀座一丁目辺りに在る行きつけののイタリアンレストランでしょうね。」



「あのヘタリレアがあああぁぁぁぁーーーーーーっ!」

「昨日福岡に来た、コヨミ皇国の連絡船から受け取った、彼の国の食料輸入品に関する資料を記者会見が終わり次第に取りに来いと伝えた筈だぞっ!」



 安本の怒鳴り声が総理大臣室に響き渡る。


 浪川大介農水大臣とは、年齢は37歳で、若い頃はモデルをしていた元イケメンタレントでもある。

 少しばかりイケメンな男で、しかも独身で女性との清い交際が目立つ人物でもあった。


 それでも派手な金の散在は無いらしく。

 単純に女性にモテるだけで、未だに友達以上関係を女性と持って居ない為。

 彼のイタリア好きとヘタレな所を揶揄する様に、親しい人達の間では、あだ名でこう呼んだ。

 ヘタレリアと・・・・・・・・・・・・



「はぁ~、後で本人に届くよう手配して置きますから、安元さんも夕食にでも行って来て下さい。

「浪川さんを見習えとは言いませんが、休める時に休まないと身体が持ちませんよ。」



「ったく、こんな時に資料を取りに来ないで暢気な奴だが、変な所でローテーションを組むのが美味いから始末に負えない奴だ。」



 安元は高橋に必要事項を伝えると夕食に出掛けて行った。


 慌しい筈の日本国政府の中枢では、この日も何時もと変らない風景の一つであったのだった。



 翌日、国家内に措ける法案の可決が決まると防衛省と自衛隊の動きは早かった。


 福岡市の博多港では、先遣隊第一陣である第一輸送艦隊のおおすみ型輸送艦を中心とした輸送艦隊が編成されて居り、呉港を中心とした各母港からは次の様な輸送艦隊が出港して行くのであった。

 おおすみ、しもきた、くにさきの3隻と2020年に配備されたぼうそう型輸送艦ぼうそう、ちた、さたの3隻。


 第二輸送艦隊は退役が間じかと成っている旧式輸送艦であるあつみ型輸送艦あつみ、もとぶ、ねむろ。みうら型輸送艦みうら、おじか、さつまの計6隻。


 第三輸送艦隊は島国である日本の地理的な事を踏まえて、自衛隊の即応展開と離島揚陸を目的とした揚陸艦隊である。

 その名を揚陸護衛艦としていた。


 つがる型揚陸護衛艦のつがる、おしま、おが、おもえ、まつまえの5隻。


 それに加えて護衛艦のしらね、むらさめ、さわぎり、うみぎり、とね、ちくまの編成。


 更に各輸送艦の中には、陸自施設科の隊員に加え、陸自車両と機材が満載してあるのである。


 2030年に成っても旧式輸送艦が未だに現役なのは、おおすみ型が配備された当時以前から随時退役が持ち上がって居たが、離島防衛と日本列島各地が島であり、揚陸艦が必要なのは明白であった。


 其処でLCAC搭載の輸送艦とビーチングが出きる揚陸護衛艦の建艦案が持ち上がり、いっその事、両方の配備したらと言う事になった。


 しかし、LCAC搭載型の建艦が優先となり、2020年にぼうそう型輸送艦が先に就役となり、6年遅れてつがる型揚陸護衛艦のつがる、おしまが就役し、2年後におが、おもえ、その1年後にまつまえが就役したのである。

 それに合わせて旧式輸送艦は、練習艦として使いつつ、数年後わ目途に順次、退役をして行く予定だったが、此処に来て旧式輸送艦にも最後のご奉公の機械に恵まれると言うのは、何んとも数奇な運命なのだろうかと軍事評論家たちの間では苦笑交じりに言って居た。


 そんな輸送艦隊に続いて出港するのは、補給艦のましゅう、おうみ。

 それに加えて民間の自動車運搬船団と全国から事前に公募されて集って来ていた民間建設会社の作業員と作業用の車両を乗せた船舶が30隻以上もの民間船は船団を組みながら、日本各地の港からコヨミ皇国へと出航して行った。


 中にはクレーン船やメガフロートを曳航する船の姿も在った。

 陸上自衛隊員と民間作業者らを合わせてると、その総人数は、実に5千人は越えるだろうと言われて居る。


 その民間人らには、念の為に政府が保険会社に頼んで作らせた特殊な保険に加入する様にと通達が成されて居た。

 これは万が一の保障の為の保険である。


 野党は戦時徴用とか騒いで居たが、物資備蓄と輸送の為に、現地の港湾や街道を出きる限りに、早期に改装する必要が有ると政府は考えていた。


 その序でに空港と首都までの鉄道を整備すれば、コヨミ皇国に運ぶ物資不足にも対応出きて、困らない上に事が済んだら相手国に譲渡するからコヨミ皇国側も文句は言わないだろう。


 紅葉は父である力仁と万代藩主である伊達愛海に手紙を送って日本に協力する様に伝えていた。


 アースティア暦 1000年・西暦2030年・4月13日・午前8時05分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 日本からコヨミ皇国の在るユーラシナ大陸東部のコヨミ半島は、九州から西北へ600キロ、対馬からは300キロの距離に在る半島大陸国家である。


 その間に在る対馬周辺地域を流れる対馬海峡の回りの海流の交差模様は、依然と変らずであった。


 そんな対馬を越えると何故か海が穏やかに成る事が、海保の巡視船がコヨミ皇国ヘ行き帰りの航行で判明していた。


 其処で日本政府は、南西国藩との連絡の遣り取りを担う連絡船を巡視船に出迎えをさせれ事で安全に対馬に寄港させて居た。

対馬で外務省職員に書状のやり取りをさせたり、日本に滞在している紅葉らとのテレビ電話での通信での通話も許可していた。


 コヨミ皇国政府も日本に対する対策が始まったらしく、取り敢えず直轄地と万代藩の土地の借地は無償提供すると外務省を通じて日本国政府に伝えて来ていた。


 日本国からコヨミ皇国へと派遣されたコヨミ皇国先遣訪問艦隊である護衛艦隊は、2日掛けて万代藩の万代港へと到着した。


 突如として現れた鋼鉄の艦隊は、万代市に住まう市民の度肝を抜いて居た。


 万代市内は大騒ぎとなり、港は見物人にでごった返していた。


 この騒動に対処するべく、直に万代藩の直轄軍である伊達軍とコヨミ皇国軍の万代藩駐屯軍が、騒ぎの鎮圧に出向いたのである。

 因みにコヨミ皇国の国軍組織には、コヨミ皇国直轄軍と藩主の地方直轄軍の二つに分かれて、両軍を併せてコヨミ皇国軍と呼ぶのである。


 簡単に言えば、国軍内に二つの組織軍が在って、その組織図に国軍と軍閥の私設軍に別れて居ると言う構図になる。


 そんなコヨミ皇国軍内では、国内の地方独立自治国政府である藩政府内には、コヨミ皇国直轄軍の駐屯地が、藩庁政府や市役所、大名私設軍司令部近くに置かれている所が多い。


 常駐する皇国直轄軍の総数は、各地方によって違い。

 領土の大きさよって500人から最大で5千人くらいである。


 万代藩では、伊達氏の代々の信用も有る事から、伊達軍7000人に対して、コヨミ皇国軍の駐屯兵は3500人が置かれて居た。



「報告しますっ!愛海さま、鋼鉄の艦船が港に突如として現れました。」



「来たわねっ!紅葉は上手く事を運んだ様ね。」


 皇女である紅葉の事を下の名で呼び捨てにし、楽しそうに日本の船が来た報告を受ける彼女は、この万代藩72万石を治め、裏の石高が150万石とも噂され、この地方領地を若干19歳で治めて居る大名家たる伊達家当主・伊達愛海と言う人物であった。


「愛海さま、家臣と民達が混乱しています。直に御下知を・・・・・・・・・・」



 その側で控えて居るのは、筆頭家老の6歳年上の女性で片倉喜多。

 又の名を腹心の喜多と呼ばれた人物として、後世の歴史書や歴史家達からは評価を受けて居る人物として知られる事に成る。

「港に伊達と皇国の両軍の兵を向わせなさい。水軍艦隊は高雄瑞樹大将と愛宕千棘中将に指揮を任せつつ、二ホン艦隊出迎えさせてっ!」


「それと陸軍大将軍の足柄一葉さまと細河夕大佐殿は到着して居る?」


「昨日の夜には来て居るとの報告を聞いて居ます。」と喜多が、主からの質問に答える。


「では、今言った報せも併せて、足柄一葉さま達が滞在して居る駐屯地に伝令の早馬をっ!」



「承知しました。」 



 日本艦隊が現れると、伊達愛海はすぐさま配置命令の早馬を出した。

 日本艦隊が現れるとの報告を受けた自領軍と皇国軍達等は、愛美の命令で港をしっかりと警備を固めつつ、港では出迎えのコヨミ水軍部隊と陸軍部隊が旗や槍を持ち並び建って居る。


 その中央に和装正装姿の将校と思わしき女性が待って居た。


 黒髪のショートカットで、キキリとした印象の高雄瑞樹水軍大将と北方人特有の金髪でコヨミ人父とアルガス王国人母をお持つハーフであり、ほんわかしたお姉さんタイプの愛宕千棘水軍中将。


 それと到着がやや遅れて、兜は被って居ないが武者鎧姿の二人が現れた。


 皇国陸軍の大将軍である足柄一葉と陸軍の細河夕大佐である。


 この陸軍の二人が、日本国から先遣隊として派遣された外交官たる外務省官僚らを皇都までの案内をしてくれる予定と成って居た。


 万代港へと到着をした護衛艦しらねは、艦内から外交官達を乗せた哨戒機ヘリが舞い上がり、コヨミ皇国側の要人達への挨拶の為に、自衛隊の代表の一人として艦長の江田史郎一佐と護衛3名が乗り込んで港まで飛んで行く。


「凄いわ。鉄箱に風車が付いているだけで宙に浮くなんて・・・・・」


「本当ね。紅葉さまは凄い国との友好を結ばれたのね。」


 瑞樹と千棘は、紅葉が交渉して居ると言う日本なる国に興味を持ち始めた様だった。


「はぁ~。」


「一葉様?」


「少しは反省してるかと思えば、又もや殿下は、本当にトンでもない事をする。やはり血筋は争えぬな。」


「あ~あ~、そういう事ですか。確かにあの方は転んでもタダでは起きないですからね。」


「それもあんな物を作れる大国を動かす大それた事をするからな。」

「主上さまの胃がキリキリと痛んで居られて、葛葉様がニコニコして居られる。」


「一騒動で済めば良いが、これは国内が荒れるぞっ!」


 一葉と夕の両名は皇族女性が起す騒動と国が荒れる事の前触れに、心穏やかには居られなかった。


 そんな事を話して居る内に、ヘリが港の広場に着陸をしたのである。


「日本国海上自衛隊、護衛艦しらね艦長の江田史郎一佐であります。今回から始まる万代港の改修工事を始めとする上陸作戦計画を担う先遣艦隊の指揮官で在ります。」と護衛艦しらね艦長の江田史郎一佐が挨拶を交わすと、随伴して居た外務省官僚らも挨拶を交わして行く。

 この場の仕切りは、本来ならば外務省の仕事に成る筈だが、万代港の改修工事を始めとする上陸作戦計画と言う性質上、防衛省が現場管理責任者と成って居た。

 一方の外務省は裏方の実務に回って居る。

「この中で最高責任者の方は?」


「私だ。」


 手を上げたのは足柄一葉だった。


 この国では国皇・藩主の次には上位の地位は、宰相と総軍の司令官たる大将軍と言う職がある。


 この職は陸水軍が交互に着くのが慣例と成っていた。


「コヨミ皇国軍の総司令官である足柄一葉大将軍である。遠路遥々の任務遂行の儀、大義である。」


「大将軍閣下、自らのお出迎え感謝致します。紅葉皇女殿下が我が自衛隊の来訪をご連絡を済ませて居ると思いますが・・・・・」


「聞いて居る。殿下からの書状は主上様に届けられて居る。」


「貴公らの任務と仕事に支障が無きよう取り計らい、協力せよとのお達しだ。」


「それでは?」


「作業を始める良い。」


「了解であります。」


 江田一佐は、一旦ヘリへと戻ると無線で各艦に上陸を通達した。

 外務省官僚達は、コヨミ皇国外務省官僚らの案内で日本国に譲渡される予定の在にコヨミ皇国日本国領事館へと移動して行く。

其処で事務処理の仕事に従事する事に成るだろう。

「全艦隊揚陸を開始せよ。」


 各艦からは、了解の返事が返って来る。


「警備隊の方々と見物人の方々に、湾内全ての浜辺と港から安全の為に離れる様にお願いしますっ!」


 江田一佐は再び振り返って皇国側に注意を促した。


 LCACとビーチングする輸送艦の作業の邪魔に成る事を避ける為にである。


「分かった。直に全警備部隊と市民達等に伝えろっ!」


「ははっ!」


 直に伝令官が命令を伝える為に、早馬や徒歩で走り去って良く。


「江田殿。指揮所を後方に用意して在る。取り敢えずは其処へと移動し、指揮所を構築しながら指揮をしては如何かな?」


「はい。助かります閣下。私は用意された指揮所へと向かうから、哨戒ヘリは艦内に戻してくれっ!」


「分かりました。」


 哨戒ヘリがしらねへと戻り、主なコヨミ皇国軍の将校と江田一佐らはコヨミ皇国側の用意した指揮所へと移動して行った。


 自衛隊の指示によって指定さた地点の場所には、見物していた民達がコヨミ皇国軍兵士らが誘導指示された所まで下がらせて行く




 港や浜辺から関係者以外の人が居なくなると、港へはメガフロートを牽引した船とクレーン船が万代湾の水深を気にしながら進んで行く。


 一方の南の浜辺にはビーチングが出来るあつみ型輸送艦、みうら型輸送艦、つがる型揚陸護衛艦の11隻が一斉に揚陸を開始。


 北側の浜辺には、おおすみ型輸送艦とぼうそう型輸送艦の艦尾門扉からそれぞれ2艇つづLCACが一斉に発艦して行く。


 それを遠巻きにして、町の一画にある水軍の庁舎から見ている皇国側者達は、これが上陸戦で有れば、この世界で戦略上の全てを覆すやり方だと思った。


「これらの船が侵攻軍であれば、我がコヨミ皇国はあっと言う間に敵の侵入を許し、万代の町と港は占拠されるだろうな。」


「はい。船から直接の積荷の積み下ろし、水上を突き進むソリを使った上陸戦など誰も考え致しませんし、考えたとしても予算の都合と専用の船の開発で頓挫するでしょうし、帝国以外のどの国でも無理な事と言うでしょうね。」


 一葉と夕。そして、瑞樹と千棘の四人は、今まさに現代戦術の一旦を見て居た。


「凄い起動力と物量ね。これはこの世界の軍事常識が完全に覆る瞬間よっ!」


「あらあら、本当にね。後で見学させて貰えたら良いわね。」



 二人は圧倒されつつも冷静に自衛隊の動きを見続けていた。


 其処へ民間の建設企業の作業者代表達が、コヨミ皇国の高官達に挨拶にやって来た。


「初めまして、建設企業団の代表と成りました竹中建設株式会社の竹中重長と申します。どうか宜しくお願い申し上げます。」


「此方こそ。宜しく頼む。あなた方の工匠商会のお陰で、我がコヨミ皇国の発展にも成るろう。」


「貴国のお力に成れたら幸いです。」


 挨拶が終わると江田一佐が、竹中建設株式会社と竹中重長に関する補足説明をするのであった。


「竹中建設株式会社は400年もの歴史がある会社です。それに竹中さんは、竹中建設株式会社の20代目にあたる方で、その昔のルーツと成った御家は、武士の家系と成った御家柄でも在ります。」


「ほう、その様な家系の方なのですか?」


「まぁ、今はしがない土木建築を経営する一市民に過ぎませんが、400年前の日本、内戦が激しかったその時代に、国内統一を目指した3人の英傑に仕えて活躍した武士の家系でして、私の家は200前に枝分れした分家なんですね。」


「それでも家が絶えずに続いていらっしゃるから凄い。貴方のお家は、その英傑に貢献してニホンの統一に寄与されたのですね?」



「あははっ、恐縮です。今回も日本の歴史的な事業に関わると言うのは、何んとも因果な物と国内では言われて居りまして・・・・・・・・・・・・・・」


 竹中建設株式会社。

 それは若き日の木下藤吉郎とに乗って居た豊臣秀吉に仕えて、その子は関ケ原で東軍に付いて1万石未満の石高にも関わらず大名扱いと成った、あの有名軍師の家である。


 直系では無いが有名な家柄が経営する会社として、日本国内では割と知られて居る建設株式会社であった。


 一方の伊達愛海は、居城たる万代青葉山城から港を眺め見ていた。


 まだ、ビルも含めた大きな建造物が無い国で在るが故に、港と海上自衛隊の船が良く見えていた。


 万代市の北西に位置するのが、コヨミ伊達家居城にして後世の歴史書にコヨミ皇国100名城の一つと謳われた万代青葉山城である。

 通称は万代城と言い、彼の城は山城である。

 正確には山を削り木を切り開いて造られた城である。

 北西から万代川が城をカーブするように流れているこの川と街中の水路を作って堀として居た。


 この城を日本の歴史家が見たら、宮城県仙台市の仙台城に良く似て居ると言うだろう。


 万代市の北と南には田んぼと畑が広がって居り、その東側には港があり、軍港と交易港、漁港が開かれていた。

 沢山の外国の貿易船が見受けられ、きっと此処と似た仙台の町を持っていた彼の伊達政宗公も、この地を見たのならきっと羨ましがるかも知れない。

 因みにコヨミ皇国の伊達家と日本国の伊達家との区別する為に、後々の事に成るが、自然とコヨミ伊達家・日本仙台伊達家と区別する様に成って行く。

 後世の歴史に措いての両家は、特に交流は無いが、御家に関する名前から歴史に至るまでの経緯が、何かと似ている家柄として高名と成ってしまうのであった。

 現在は港の改築作業する為に、貿易船はもう少し北の港に全て移動していた。

 商人と漁師は最初の内は抗議の嵐だったが、万代港が更に大きくなると聞くと「流石は主上様と愛海様」と言って、抗議に振り上げた拳を下ろす事と成った。



「おおっ、見て喜多。ソリ見たいな船が、水の上を滑りながら突き進んで荷を降ろして居るわよ。」



「はい。南の船は直接浜辺に荷を降ろす船ですね。」



「それに大きな滑車を取り付けた船は、積荷の荷揚げに使うのは分かるのだけれど、船で持ち込んで来たらしい大きな浮き台は何に使う気かしら?」



「それは分かりかねますが、後でお聞きに成っては如何ですか?」



「そうね、後で労いにでも行った時にでも聞いて見ましょうか。」



 ますます、日本に対する興味が沸いて来る愛海は、ワクワクして仕方が無いのであった。



 積荷の荷降ろし作業が一日が掛かりで終わり、万代市の周辺では作業開始している。

 建設に必要な材料は、現地での採掘で賄われる予定である。


 コヨミ皇国は沢山の鉱山が点在して居るらしく、コヨミ皇家の私財も換金出きる鉱物関連の鉱山を多数天領として私有地にして居るくらいに豊富な土地柄だった。


 現地のコヨミ皇国市民に対して、広く仕事の作業者の公募公布されていた。


 作業に応募して採用されれば、作業の仕方、機材の使い方、車両の使い方を指導した上に、日本での資格習得も支援を行うと伝えられた。


 これには多くの万代市の市民が応募してきた。


 特にこの世界は長引く戦争の影響で女性の人口の方が多く、兵士や将校でもその傾向が多く見受けられている。


 男は早死にが多い事も有って、この世界の女性は非常に働き者である。

 作業の応募は仕事の斡旋を行って居るギルドと呼ばれる公共機関や口利き屋と言う私設の職業斡旋商会等が政府機関ら委託される形で応募していた。


 かなりの応募が有ったらしく、一回目の応募は告知と同時に終了し、1週間かけて面接をして1月の間に研修をする事に成る。

 其処で使えるか、やって行けるかを判断するのだ。


 後は半年から1年以上で資格が取れるレベルに到達すると、日本に資格取得の為に、試験を受けに行ける制度を設けていた。


 そして、輸送艦隊の作業が終了すると、作業終了の報告を江田一佐が報告をしにやって来ていた部下から報告を受けると、陸軍大将軍の足柄一葉に一次作業計画の終了を報告する。


「それでは、我々は一旦、日本に帰国し、再度、機材や車両と作業員を連れて戻ります。」


「万代市に滞在する者達の事を宜しくお願い致します。」


「はい、確かにお預かりします。本日ご苦労であった。」


 江田一佐が敬礼すると皇国側の面々も自国式の敬礼して見送った。


 かくして第一陣先遣隊の任務は終わって帰国の途に着いたのである。
 4月11日。この日、国会議事堂では、アースティア世界での日本国が進むべき、安元総理の力強い指針演説が執り行われました。



 その一方では、安元総理は紅葉の要望とアドバイスを元にし、高見竜史を総理官邸へと招き、無所属民間人採用枠で内閣特別担当大臣と成って欲しいと三顧の礼を以てして頼み込んだと言われて居ますが、詳細は未だに明らかにされては居ません。



 これは外国人である紅葉と星読みの力によるアドバイスを受けたと言う体裁が良くないとも言われて居り、安元総理と竜史の二人が総理官邸で何を話し合って居たのかは、高見家にし伝わって居ないとされて居ます。



 安元総理の演説は以下の通りです。



「本日、国会議員の皆様のご尽力により、極めて重要な法案である新世界大陸調査使節団派遣法案と特別省庁の交援省の設置法案が認めらました。」







 この演説で与野党の皆様とは使われませんでした。



 反対派の野党と言う単語を出すと、大反発を喰らってしまうからです。



 でも建前上では在りますが、国会議員と言えば誰とは言っていないし、後で私は反対してたと野党関係の議員は言えるので、このスピーチ文が採用されたのでした。









「この新世界大陸調査使節団派遣と交援省の役目は真に重大であります。更に自衛隊の権限拡大。これは簡単に言えば日本国は侵略戦争を絶対にしない、やらせない、指示しないと言う三原則を元に軍事行動を取るという物です。」







「この日本に措ける新戦争三原則を元に、これから日本は歩んで行きたいと思います。」







「我が国は、自由、主権、人権、生存権を守り、これを共有できる友好国と共に守り育んで行き、平和で豊な明るい未来を築きたいと思っております。」







「これに対して大陸では横暴で身勝手な強大な帝政軍国主義の国家が、先のあさくら号救出事件で明らかと成りました。」











「そして、新たな隣国であり友好的な国家、コヨミ皇国の要人との接触に成功を致しました。先のあさくら号事件、これは大陸西方に存在するローラーナ帝国、通称帝国と呼ばれている国家があり、日常的に侵略戦争をしているとの事です。」















 此処で安元総理は、全ての国民達に向けて、声を張り上げて言いました。







「この帝国海軍によるあさくら号襲撃事件は、日本にとって極めて重大な問題であります。」







「不審船や遭難した船舶は、先ず、臨検をすべきなのに彼の国はあさくら号の造船技術の珍しさに目を付けて、事もあろうに民間船である船を拿捕せんと襲撃したのであります。」















「この時、唯一あさくら号を助けたのは近海を警戒中だったコヨミ皇国・南西国藩の嶋津義隆公が率いるコヨミ水軍の一団であります。」







「彼の水軍船団が駆け付けなければ、我が国の海自護衛艦隊はあさくら号救出時に苦戦を強いられたかも知れません。」















 更に安元総理は、当時国内で日本国政府とコヨミ皇国政府との調整仲介役として滞在して居る紅葉にも、メッセージを送りました。















「彼の国の勇敢な行為に対して日本国総理大臣として、また、日本国民を代表して厚く御礼申し上げます。」







「この映像見ていらっしゃる紅葉皇女殿下、貴女様が仰いました対帝国との共同戦線に付いても前向きに検討を致します。」









「しかし、日本国は平和国家です。無用な戦争はする積りはありません。」



「先ずは、周辺国の経済支援、農業支援、技術支援、そして旧式軍事装備を中心として軍事支援を柱に、国家の底上げをして簡単に侵略されない強い国にして行こうじゃ有りませんか。」







「最後に成りますが、日本は自由と平和を共有する全ての国家との平和友好条約を必ずや締結をし、平和的な外交と貿易による交流をすると日本国民ならびに地球同胞の地方地域及び国家郡の皆様。」







「そして、まだ見ぬ新世界の全ての人種と種族の皆様に誓う事をお約束致します。ご清聴有難う御座いました。」







 この長い演説が終わると、安元総理は退出し、高橋官房長官が記者達から質問が始まります。



 その日の夕方、報道各社は政府の報道規制を受けていた情報を一斉に報道をし始めたのです。





 その規制され居た物とは、異世界の情報と新隣国のコヨミ皇国及び皇女である紅葉の写真と素性関係の情報は、政府の公式発表が有るまで規制が敷かれて居ました。







 これは余計な混乱を避ける為なのと、紅葉に対する配慮でした。



 反戦団体が彼女の事を日本を戦争に巻き込んだ張本人として、居場所を突き留めて、吊るし上げたり、襲撃したりと過激な行動に出れば、外交問題に成るからです。











 この時解禁された政府の公式発表後の彼女に対する好感度は、物凄い鰻上りでした。



 特に美しい刀を差した和装姿の彼女の写真は、正に大和撫子だと多くの日本国民が絶賛したのです。











 予断では在りますが、日本で撮った彼女の写真は本人の希望で額縁入れられて持ち帰るというエピソードが在ったのです。



 その写真は、その後も多くの歴史書や雑誌にテレビ報道で使われて、末永く残って行く事に成るのです。



 紅葉と竜史が切り開く事に成るアースティア世界の未来は、此処から始まりと言えるのでした。

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・4月11日・午後19時00分頃・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・皇都・星都市・星都城・謁見の間にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 この日、日本政府から対馬の陸上自衛隊対馬駐屯地経由の通信で、南西国藩の加古島市内にいる外務省職員を中心として駐在員に無線連絡が入る。

 国交開設に向けて、南西国藩の加古島市には、外務省職員と陸自隊員の連絡員が派遣され、駐在していた。

 政府から送られた通信の内容には、日本政府からコヨミ皇国への要求と要請が書かれた書状と紅葉が両親宛てに書いて送った書状の二通をコヨミ皇国皇政府へと届ける様にとの通達であった。


程なくして2通の書状は対馬に届けられ、加古島市いる駐在員の下へ届けられた。


直ぐに外務職員等は南西山城へとお向き、日本から送り届けられた書状をコヨミ皇国の皇都である星都市に滞在している嶋津義隆に届ける様に頼んだ。

 それに対応した藩士は、その日の内に早馬を出立させると、次の日の朝には早馬が星都市に到着する。

 日本からの書状を受け取つた嶋津義隆は、すぐさま宮中に参内し、日本からの報せをコヨミ皇国の国皇である力仁国皇に届けたのであった。


星都城の中央の巨大な天守閣の真下に在る謁見の館と言う建物にて義隆は、力仁国皇に謁見する為に座って居た。


「主上様。ニホン国政府よりの書状と二ホン国に滞在中の姫様よりの書状が参りまして御座います。」


義隆は近衛の従者に封筒に入った2通の書状を手渡す。


 それを受け取った力仁は真剣な表情で日本政府の書状を読み、続いて娘からの補足説明と日本国内の情勢や自身の近況等に付いて書かれた手紙を読んで、その表情は、徐々に柔らかな物へと変わる。


「・・・・・・うむ・・ふむふむ。おおっ!遂に彼の国の政局がようやく定まったらしい。」


「左様で御座いますか?」


「ニホン国は、我が皇国の万代港と加古島港の2港の借り受けと拡張改築工事。星都市と万代市と繋ぐ街道である万星街道の拡張改築工事。」

「万代市南東に在る平野に港と併設して飛行場なる施設を含めた巨大なニホン軍の基地建設。星都市にも東側の土地を基地と大使館、飛行場を建設したいと言って来て居る。」


「我が国の国内の土地に、他国の軍事基地をですか?しかし、国内の大名領主や国民から不満の声が出る恐れが有るかと・・・・・・・・」

昨今の国内の帝国との不戦講和と徹底抗戦の開戦派に分かれているコヨミ皇国。

 その情勢を鑑みて居る義隆は、大きな心配と不安を感じてしまう。


「確かに、それも有るだろう。」

「しかしだな、紅葉の手紙では、ニホン国の申し出を受けて置いて損は無いと言って来ておる。」

「後々の太平の世と成った時には、それらの土地や施設は必要に応じて無償で返却、又は一部の経費を負担する事で返却する事と成ると有る。」

「詰まりは、大半の施設が日本政府の支援投資と言う形で造られるのだ。」

「オマケに道普請までして貰えるのだから、此方としては損は無いし、得しかないだろう。」

「帝国との戦争さえ片付けば、経済発展の効果は莫大な物と成るだろうと紅葉の奴も言って来ておる。」


「それは我が藩にも関わりが有る事ゆえ、嬉しい話で有りますが・・・・・・・・・」


「それでも不安は拭い切れないですな。」


「やはり、心配なのはコヨミ皇国の国内が、どう言った形で荒れるのかが、心配ですな。」



 日本国内の国政と民意が荒れるのは一先ずは収まったが、義隆は今度は、コヨミ皇国の国内の政局が荒れ、二大派閥の政治闘争に発展し、最悪は内戦に突入するので無いかと不安になった。

 そう成れば南北朝時代や応仁の乱の乱や戊辰戦争の様な大乱に成るのは必定だろうと予想された。


 日本史の中でも戦国時代を除いて、この時代は特に二派に別れて戦い合った酷い時代とも言える。


 最もコヨミ皇国内では、徹底抗戦の開戦派が有利で、帝国との不戦講和は帝国との密議や寝返りの誘い。


 更にはは賄賂の送り合いをして居るとの黒い噂話が絶えない為か、賛同する者が少ないので、数的な不利な状況に陥って居た。


 そんな理由からコヨミ皇室とコヨミ皇国政府、徹底抗戦の開戦派の諸大名に対する反乱や決起挙兵を起こそうする動きは今の処は抑えられていた。


「まぁ、そう心配するな。ニホン国は民が政治を決めている。そう簡単には侵略など出きないと書かれている。」

「80年前の異世界での世界大戦で、こっぴどく負けたのが余程堪えて居る様だ。」

「下手をすれば腰砕けにもなり兼ねないとも紅葉は言って居るが、国防の意識は高いとの情報も書かれて居る。」

「それに先ほども言ったが、帝国との戦争に片が着けば、一部を残して撤収させるともある。」


「我が国がニホンの手を本当に要らないと言えば、基地からの引き上げにも応じるとも有る。」

「然したる大きな問題は有るまい。」

「それに残った施設等は、我が皇国がニホン国の指導の下で運用が出きる様にしてくれるそうだ。」


「其処までアフターサービスが良いのなら、基地の誘致や貸し出しを受けて置いて損には成るまい。」


力仁の判断は間違って居ないだろう。


 日本は某赤旗のぼったくり国の国策で世界中に軍事基地を造って居座ろうとする考えを持って居ないからである。


 だから安心しても問題ない。


 日本からの申し出は、第二次世界大戦後のアメリカ形式に近い提案を提示して居るのだった。


 駐留契約を白紙に又は見直しと言えば、日本は応じると言って居るので力仁は安心して契約書にサインが出きると思って居るし、何よりも娘本人と娘が秘めて居る力である星読みの巫女としての力の保証付きなのだから・・・・・・・・・・


「それで主上様・・・・・」


「誰か居るか?」


「はっ、お呼びで御座いますか?」


力仁の側に近衛の近習が現れる。


「紙と筆を持て、そして書いた書状を万代藩主である伊達愛海に届けよ。」



「畏まりまして御座います。」


「これから色々と忙しくなるな。」

「義隆殿、近日中に閣僚と諸侯を集めた御前会議を招集する。」

「その方にも色々ニホンに付いて聞く事も有ろう。」


「はっ!!お任せ下さりませっ!!」


コヨミ皇国の力仁国皇は、日本からの申し出を全面的に受け入れるのを決めたのであった。


 力仁は紅葉からの手紙にも書かれていたアドバイスを参考に日本が使用したい土地の無償提供を決めたのであった。


 コヨミ皇国内の道路・鉄道・港湾・空港・各種鉱山を日本国から齎された新技術を用いた開発と再開発は、提供した土地以上に御釣りと儲けが出ると踏んだからであった。

 人件費と一部の物資だけはどうしてもお金が掛かるけどね。


 まぁ、日本国内で建設するより格段に安くなる事だけは間違いない。


更に半日・・・・午後3時くらいであろうか。

 万代国の万代藩を治める藩主の伊達愛海は、力仁国皇から書状を受け取って居た。


 万代青葉山城の3階層の館の3階から城下を見下ろしつつ、別ルートで送られてきていた紅葉の手紙を読み、次いで力仁からの書状を受け取って居た。


「紅葉からの手紙が届いてから4日、もう少し掛かると思って居たけど、主上様が動かれたのは、私が思って居たよりも、思いのほか早かったわね。」


「はい。」


「主上様は、ニホン国に全面協力せよと伝えて来たわ。」

「例え皇国が内戦になっても、帝国との全面戦争に突入しても、ニホン軍と彼の国の国力を背景にした私の万代の町はこれで絶対的に安泰と成ったわよ。」


愛実は扇子を大きく広げていた。


 描かれて居るのは、赤と藍色と金の色で描かれた孔雀に似た鳥の絵図である。

 その裏側には「私の人生はボロ儲け」と自分にしか見えない様に茶目っ気のあるふざけた文面が書かれている。


「我が藩に取って、どっちに転んでも儲かるだけね。」

「うふふっ、何だか面白く成って来たわ。」


「万代藩を店仕舞いして、伊達商会として南の亜人中立連合にでも移民しようかと思っていた所に、トンでもない儲け話がやって来たわ。」

「ホンと持つべきものは親友よね。」


「愛海さま、余り金儲けばかりを言って居られますと・・・・お友達が・・・・・・・・」


「何か言った?」


「いえ、何も・・・・・」


片倉喜多が苦言を言っても、愛海の目は金貨と成って居て、完全に上の空であった。


「喜多、数日中にニホン海軍の艦隊と物資を満載にした貨物船の船団が来るそうよ。」


「港の警備を万代藩の陸水の両藩軍に伝えて。」


「皇国の地方軍にも同じく。それと足柄一葉大将軍閣下が、ニホンの先遣隊を出迎えに来るそうよ。」

「えっと・・・後は・・・そうだわ。家の商会も含めて職業斡旋商会に対して、何時でも対応出きる様にと、各商会の寄合に触れ回って置いてくれる?」


「畏まりまして御座います。」


片倉喜多、仕事を真面目にこなすが、時より苦言の中に毒舌の台詞が混じって居た。


万代藩は日本国の先遣隊と使節団及び自衛隊の受け入れ準備に入ったのであった。


 アースティア暦 1000年・西暦2030年・4月12日・午後13時45分頃・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本国・九州島地方・長崎市・長崎港付近に在る喫茶店にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


高見竜史は一旦、自宅に帰えると両親に事情を説明した。


 今度、内閣に新たに新設する省庁が出きるらしく、自分はその省庁のトップたるどの党にも属さない無所属の民間採用の内閣特命担当大臣に任命されたと・・・・・・・。


 母からはバイトよりはマシだが、何時クビに成っても可笑しくないバイトよりもブラックな職業だと息子を空かって居た。


 父は何も言わなかったが、東京へと出て行く前に、霧野市内に在る全国大手スーツ専門チェーン店のスーツの赤木・霧野市店で、値段が高いスーツを一式を買ってくれていた。

 そして、異世界国家交流総合支援省の設置と開設が、国会での議決が決まると、内閣に列席している議員の先生方は、今にでも何だかんだで逃げられそうな竜史を皇居に来させ、天皇陛下から交援大臣の任命状を受け取られさせられるのであった。



「はぁ~。これでいよいよ、逃げられなくなった。」と彼はボヤいたと言う。

 そんな竜史ら陛下は、大変でしょうが頑張って下さいとお声掛けして下さったと言う。

 後年、竜史は天皇陛下とのご縁は、この時から始まったと言って居る。

 晩年に成ってアースティア大戦での功績を称えて、勲章を賜った際にも、完全に公職から離れた今の自分と陛下とが、またお会い出来るとは思ってませんでしたと語って居る。



 そして、 竜史は紅葉のお供の為に、飛行機で長崎市に来ていた。


 紅葉の視察旅行と言う名目での接待と言う名のお守りを押し付けられて居た。

 長崎市は江戸時代の鎖国政策での日本国唯一の貿易港であり、幕末から明治に掛けては、頻繁に外国との貿易と倒幕志士達の活動拠点としても知られていた。

 特にこの地には、旧日本海軍の巨大戦艦や自衛隊の護衛艦を作り続けている有名な会社、三葉造船重工業が在るからでもあった。

 今日の紅葉達は、貨物船の造船ドッグを見に来ていた。


 ・・・・・と言うか急に見たいと言われて三葉造船重工業に問い合わせると、最初は渋っていたが、新大臣の高見とコヨミ皇国の皇女の二人が、視察の為に見に行くと伝えると、その態度がガラリと変わった。


「本当は作業の危険な事もあってアポ無しでの見学は、お断りをして居るのですが・・・・・・・」と渋々な感じの顔付きで、広報担当者が応対して来たのであったが、どうやら関連グループのお偉いさんから、鶴の一声が有った様である。


「それで・・・・何でまた僕なんですか?」


造船所の見学を終えた一行は、市内の喫茶店に入っていた。


 竜史は、そろそろ自分を国家間の騒動に巻き込んだ理由を紅葉に聞きたかった。


「また、会いましょうと言いましたよね。」


「ええ、確かにですね。こうして会えましたよ。その理由も政府の人から聞いますし、何でも超能力が有るとか。」


「では問題は無いでしょう?」


「大有りですっ!!!」

 紅葉ののらりくらりとした態度に対して、竜史は怒って叫ぶ。

 竜史は自由で気ままに生きる事が信条としていた。

 そんな彼は紅葉に自由を束縛された為に、少しでも怒ろうと語気を強めて叫ぶ。


「でも貴女は、お仕事も得られてお好きな趣味の方の現場も守られる。」

「そして、私は祖国と世界の安泰、私の心の平和と貞操も守られる。誰が損をしていると言うの?」


紅葉は祖国の講和派閥に、講和の為に帝国のローラーナ帝国軍の帝国東方制圧軍総司令官を務めている第五皇子ゾイザル・セイダル・ローラーナに嫁げと言われていた。

 それは正に、貞操の危機である。

 勿論、そんな事はお断りと言って、講和派閥首謀者から関係者の末端と協力者に至るまで、徹底的に痛め付けてやった。


 それも相手側から恨まれる位にね。


(僕の心の平和は?)


「貴方の心の平和が、如何かしましたか?」


「ぐっ・・・・・・」

ニコニコ笑顔の皇女様に、苦虫を噛み潰した顔している青年。

 竜史は迂闊な考えを想い浮かべないと思った。


 彼女はあの日、ヘリコプター搭載護衛艦のいせで出会った竜史。

 その彼の未来と自分の未来が重なり共に歩んで行く事を先読みの力で知り得えた。

 本当は大臣任命等では無く、仕事に困った彼が政府の臨時職員に応募して活躍する未来なのを、彼女が積極的に推薦したとする未来、その先の未来がどうなるのかを読み進める。


 するとその結末は、全く異なる別の未来なるのが見えたのである。


 其処で紅葉は決意する。

 成らば、その未来をいっその事、思い切って利用してやろうと思い付いたのである。

 正に悪どいと言っても良いだろう。

 彼女はここ数日の間に一緒に居ていて分かった事が有る。


 彼と一緒に事を成し遂げれば、とても良い事とが起こるそんな気がしていた。

 もっと先の未来を見たいが、その先の未来が定まって居ないらしく。


 それ以上のこの世界と竜史や紅葉、二人に関わる人々の未来が見えて来ないのでたある。

 紅葉は、まだ見ぬ未来に思いを馳せてワクワクしていた。


 そして、新たな出会いを通じて手元に置きたいと思った新しい玩具である目の前の年下の青年を揶揄いつつ、コロコロと変わる表情を面白がっていた。


(要するに、このお姫様は日本の首脳陣や官僚の連中が、自分の思うように動けそうにない時に動かせる手駒が欲しい訳だな。)

「はい、それ正解の一つ。」


「くうううーっっ・・・・・・・」


「やっぱり、この子、本当に面白い子ね。」


青年は、決して関わってはイケナイ人物に目を付けられた事に後悔していた。

 そして、これから先の起きる災難的な日々の幕開けでも有ったりするが、後年のこの二人がすったもんだの末に異世界特別婚姻法を利用した形で、一夫多妻の夫婦に成ろうと言う事を、竜史はまだ知らない。


 因みの後年、結婚した二人は、長崎市での視察散策に関して、紅葉は初デートと称して居るが、竜史の方は仕切りに、この事を否定して居り、この事を死別するまで痴話喧嘩のネタに成って居た様です。

 何でもシェスカーナ・フローレイティアこと、シェスカとの関係を気にしての事だったと言われて居る。

 竜史に取って初の彼女は、シェスカだったと公言しており、初デートはシェスカであると言い切って居るが、負けず嫌いで嫉妬深い紅葉は対抗心をむき出しで反論して居るから始末に負えなかった様である。
4月11日 



 その日の午前中に日本内では、日本国政府がアースティア世界での行動指針を定める特別法案たる『新世界及び新大陸調査団派遣法』「異世界国家交流総合支援省設置法が可決されました。



可決後に安元総理によるアースティア世界での指針方針演説が執り行われ、地球系転移国家諸国群は、大いに注目を浴びる事に成ります。



更にその日の午後19時頃の事です。





 日本政府から対馬の陸上自衛隊対馬駐屯地経由の通信で、南西国藩の加古島市内にいる外務省職員を中心として駐在員に無線連絡が入ります。







 この時点の日本国政府は、外務省と共にコヨミ皇国との国交開設に向けて、南西国藩の加古島市には、外務省職員と陸自隊員の連絡員が派遣され、駐在して居ました。







 日本国政府から送られた通信の内容には、予め用意して在ったと言う日本政府からコヨミ皇国への要求と要請が書かれた書状と紅葉が両親宛てに書いて送った書状の二通をコヨミ皇国皇政府へと届ける様にとの通達であった。











 程なくして2通の書状は対馬に届けられ、加古島市いる外務省駐在員の下へ届けられます。



 直ぐに外務職員等は南西山城へとお向き、日本から送り届けられた書状をコヨミ皇国の皇都である星都市に滞在している嶋津義隆に届ける様に頼みました。



 星都城の中央の巨大な天守閣の真下に在る謁見の館と言う建物にて義隆は、力仁国皇に謁見し、日本国政府から親書が手渡されたと言います。





 そのコヨミ皇国への要求と要請とは、南西国藩の加古島港と万代藩の万代港を借り受け、軍港も兼ねた再開発をしつつ、ローラーナ帝国に対抗しようと言う物であった。



 力仁国皇は、この求めに応じる事で、対ローラーナ帝国外交政策と日本国の貿易経済政策で、コヨミ皇国が優位に成り、多くの利益が齎されると考え、万代藩主たる伊達愛海に対して、日本国政府から湾口開発支援船団の受け入れする様に命じたと言います。





 一方の高見竜史はと言うと、一旦、自宅に帰えると両親達に総理官邸での出来事での事情を説明しました。



 内閣に今度新たに新設する省庁が出きるらしく、自分はその省庁のトップたる。

 どの党にも属さない無所属の民間採用の内閣特命担当大臣に任命されたと・・・・・



 彼の母からはバイトよりはマシだが、何時クビに成っても可笑しくないバイトよりもブラックな職業だと息子を揶揄いましたが、彼の父は何も言わずに値段が高いスーツを一式を買ってとの事です。







 そして、異世界国家交流総合支援省の設置と開設が、国会での議決が決まると、内閣に列席している議員の先生方は、今にでも何だかんだで逃げられそうな竜史を皇居に来させ、天皇陛下から交援大臣の任命状を受けさせ、逃げ道を絶ったと言います。



 そんな彼が任命状を受け取ってから最初の仕事が、長崎市視察をしたいと申し出て居た紅葉の付き添いでした。







 長崎市は江戸時代の鎖国政策での日本国唯一の貿易港であり、幕末から明治に掛けては、頻繁に外国との貿易と倒幕志士達の活動拠点としても知られて居ます。







 特にこの地には、旧日本海軍の巨大戦艦や自衛隊の護衛艦を作り続けている有名な会社が多数在りました。







 その視察の際に紅葉達がやって来たのは、日本国内有数の造船重工業株式会社たる三葉造船重工業内に在った、貨物船の造船ドッグを見に言ったようです



 と言うよりも、当初予定して居た明治時代史跡よりも、紅葉が長崎市内でも特に目立って居た三葉造船重工業の事を急に見たいと言われたそうです。



 竜史は直ぐに交援省の職員に頼んで、三葉造船重工業に問い合わせると、最初は渋っていたが、新大臣の高見とコヨミ皇国の皇女が見に行くと伝えると、その態度が、ガラリと変わったそうです。





「本当は作業の危険な事もあってアポ無しでの見学は、お断りしているのですが・・・」と渋々な感じの顔付きで、広報担当者が応対して来たのであったが、どうやら関連グループのお偉いさんから一言有った様である。





 造船所の見学を終えて一行は市内の喫茶店に入った竜史は、そろそろ自分を国家間の騒動に巻き込んだ理由を紅葉に聞きたかったらしいのですが、色々とはぐらかされた様です。





 後年、結婚した二人は、長崎市での視察散策は紅葉は初デートと称して居ますが、竜史の方は否定して居り、この事を死別するまで痴話喧嘩のネタに成って居た様です。





時代の転換に居た二人。



 ですが、その二人の最初の付き合いは、私達が想像するよりも深い関係には至って居なかった様です。



三葉造船重工業株式会社への歩き方



〒850-0064長崎県長崎市西立神町1-1-1



 竜史と紅葉の初デートの地、喫茶ネーテルランドへの歩き方。



長崎駅から歩いて10分で、住所は八千代町一丁目-20番地35号地。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・4月18日・午前9時15分頃・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この日、コヨミ皇国への使節団の現地入りの準備と現地の港や街道の改装と建物等の改築作業の進捗状況の視察も兼ねて、日本国の各省庁の職員達は、外務省職員達を筆頭とする先遣視察団を現地入りさせて居た。


外務官僚である藤原敬二を始め、外務省から5人。

防衛省を除く各省庁から1人づつ派遣されていた。

 現地に到着した一行は、作業現場を監督する経産省から派遣された常駐している官僚と職員らは、日本からやって来た視察団一行を出迎えていた。


「見る限り、聞く限りでは、万代港の増改築作業は順調ようだな。」

 
「はい。万代市の東地区に5キロしかなかった貿易港と漁港の港を一気に近代化改装する為に、コヨミ皇国の力仁国皇陛下と藩主の愛海さんには、かなりの便宜を図って貰って居ます。」

「この万代市再開発計画の為に、元々在った地元の照会の貿易船と漁民達の漁船等の船は、万代市から北へ30キロ離れた所に、仮設の事務所と倉庫に港を用意して、其処へ移って貰って居ます。」

「そうでもしないと、日本のコンテナ船や護衛艦、客船なんかは万代港には入れないからなぁ・・・・・・」

「ああ、そう言えば陸運でも揉めて居ると聞くが・・・・・・・・・」

「はい。陸運輸送には、トラックでの輸送か馬車での輸送するかで地元の運送商会とで最初こそは縄張り争いの様な形で揉めて居ましたが、双方が協議を重ねた結果。」

「大きな貨物はトラックで、中軽量の貨物は重量と移動距離に応じて馬車かトラックを選べる様に成って居ります。」


現在の万代港再開発改築に伴う、国内・海外交易を生業としている商会等の経済活動に支障を来す事に関して、日本政府は色々と手を打って居る様である。


その為に商会・漁業協同組合・漁業作業小屋・船舶・水産加工所・倉庫街等の港関連の施設の全てを北へと引っ越しをさせている。

 これは一時的な処置の積りだったが、移動させられた商会や漁業組合の者達から、いっその事自分達が指定された地区へと引っ越し、空き地と成る場所を公共の共用港にしたいと言って来ていた。

 


 当初は商人も漁師も巨大な鉄の船で乗り込んできた見知らぬ国家に立ち退きを言われ、港を増改築に改装工事をすると言われると。


プライドの高い者達を中心に「勝手な事をするなっ!」怒鳴って万大港再開発説明会の会場は紛糾してしまう。


 特に港の一番良い立地たる土地を持って居る大商人達らは、物凄い剣幕で猛抗議をして来て居た。



そんな中で、日本の説明会が開かれたが、「そんな事は知るか」と叫んで聞く耳すら持ってくれない。

 其処で国皇たる力仁と藩主の愛海の勅命状が見せられると、水戸の御老公の印籠の如く、日本の外務省官僚と経産省官僚達等に平伏したのである。


 特に勅命状を持って居た経産省の官僚の一人は「何か水戸黄門の印籠を見せつける様で気分が良いなぁ。」と言っていた。


 そして、落ち着いた所でパソコンをプロジェクターに繋ぎ、スクリーンに映し出されて再開発の大まかな説明を開始した。

 日本の技術と工事後の経済効果をが分かると、商人と言う人種は現金なモノで、その態度が180度ガラリと態度が転換した。


商人達は個人で所有し、使っていた港の船着場を無償提供して来たり、寄付金や所有している鉱山や木材を売り込んでくる始末。


 挙句の果ては、食料品の売り込みは勿論、労働者の口利きまでして来たのであった。


「漁民に対しても、日本式の漁港施設を仮設ですが建てて居ります。」

「設備としては屋根付きの市場と関連する倉庫に加えて、水槽と冷蔵庫を完備させており、これらは我が国や前世界に置いても大変に好評を頂いて居ります途上国支援プロジェクトを基にしたマニュアルを使った支援策で整えました。」

「また、電力の供給には太陽光パネルを用いた太陽光発電を設営して居ます。」


「それと海風の強い地域ですので、大型と小型の風力発電の風車を持ち込んで建設を進めて居ます。」


「足りない分は火力形式の発電機を持ち込んで電気の供給を予定しており、その燃料はアセアン地域とロシアのサハリン州(樺太)からのガスと油田を供給させる事で、コヨミ皇国の万代港と加古島港近辺だけなら再開発と日常生活に必要な電力が賄う事が可能だと試算が出て居ます。」


「それが今現在のわが国の限界か・・・・本当なら加古島港と同時にすべきなんだが、我が国の平和使節団がコヨミ皇国を訪れる為の再開発だからな。」

「早期に国交開設を進める為、首都との往来性を高める利便性を早期に確立する事を考えたのならば、首都に近い万代港を優先するしかない。」

「それに万代市の今後は、北方の国々との貿易港としての役目を担う要所に成り得るハブ港だ。」


「この町に繋がる街道を日本式の道路にすれば、その流通網は、このアースティア世界の国々に取っては、革新的な革命の時代を迎えるだろう。」


経産省の案内係を務めて居る官僚の説明が概ね終わると、藤原は今後の事を呟いた。


 嶋津家が治める南西国藩の主要港である加古島港の開発は、九州の企業を中心に行う第二次計画となっていた。


 加古島から沿岸沿いに日本式の道路を作り、日本からの物資を滞りなく流通させるのが狙いである。


 万代市だけだと、貯蔵する倉庫の満杯に成った時に困るからだ。

 運送に関しては万代市の周辺で、80キロまで運送可能な地域までを日本のトラック運送業者が試験的な形で輸送業務が出きる様に成る予定。

 伊達愛海は、日々の港の様変わり様を見て例の「ぼろ儲け」の扇を片手に仰いでいる姿は目に浮ぶ様である。

 汚水処理とゴミの処理は、現地で処理出きる物は仮設の建物を建てた上で、専門の業者が来て運営をして居るし、如何しても処理出来ない廃棄物は、日本との往来で来ている貨物船で対応して居る。


 飲料水を使う為の浄水設備は、仮設設備での対応で何とかして居るが、本格的な下水処理やゴミの焼却場などの建設をし終えてから、稼動させる事と成るのは、今しばらくの時間が必要であった。



日本政府は、万代市の沿岸部の周囲30キロを巨大な港へと変貌させる積りである。


 概ねの準備が整えば、自衛隊と使節団の本隊がやって来て、コヨミ皇国の皇都へと向う予定に成って居た。


港での視察を終えると、藤原達一行は、今度は万代青葉山城に向うのだった。


 この城の主にして、万代国藩主たる伊達愛海との会談の為にである。


 登城すると案内の者が、愛海の住まう城の北側に位置し、遠くには北風川の流れる風景が見える奥の殿へと案内された。

 そして、奥の殿へと案内された一行は、とある一室に通される。


 藤原達は、部屋を見渡していた。


「見事な彫刻だな。」


「はい。我が国でも、一流の彫り師でもない限りは、こんな立派な物は出きませんね。」



彫刻の色使いも、これまた彩り彫りの鳥や竜の木彫りは、日本の蛇みたいな中国風の竜でなく、ファンタジー風の不死鳥や竜が彫られていた。


「こんな所が異世界だな。」


「ええ、我が国だったら何かの冗談か、職人が遊びで作ったか、オタクに頼まれて特注で作らされたと言われるかも知れませんね。」


部屋には畳みが張られており、中央には木彫りの彫刻が施されているテーブルと椅子が置かれていた。

 伊達愛海、彼女はこの地方の藩主にして、コヨミ皇国の海外貿易の実に3・4割の売り上げを牛耳って居ると言われていた。


 伊達家だけの資産もかなりの物であり、北から南の交易拠点の中間地点でもある万代市の土地をフル活用している女傑でもある。

 なので、この部屋の金の掛かり様は、伊達家の実情を知って居れば、納得の行くものであった。


他の調度品も高そうな物ばかりと見回して居ると反対の襖が開いた。


 其処には、この国の武士や支配階級層の女性の間では一般的な格好であり、その服は日本で言う所の時代劇で男装している女性と言った感じの格好していた。


 もう少し分かり易く言えば、大正時代や明治時代あたりの若い女性の衣装に近いのである。

 小刀を腰に提げ、藍色上着に黒の袴姿の愛海が部屋に入る。


 一歩後ろには、ポニーテールの髪を結った、二十代半ばと思われる女性が一緒に入って来た。


「よこうこそコヨミ皇国へ。そして、我が万代藩へ。私が万代藩を治める伊達家当主の伊達愛海よ。さぁ、皆さん、どうぞ席にお座りくださいな。」


 愛美は、一瞬ニヤリと笑った。


「ありがとうございます。視察団の代表で藤原敬二と言います。」


藤原は落ち着いて居たが、内心は不意を突かれていた。


 そして、官僚らは慌てて座るのであった。

 愛海の部屋の調度品や彫刻などに見入って居た所を不意を付かれた感じでの彼女の登場。

 それに慌てしまうの事を予め計算して居るかのような振る舞いでもある。


 ぶっちゃけて言えば、愛海は油断を突くかのようにして、狙って入って来たのである。

 愛海の悪癖で、客や知人をからかうのが趣味であった。

 そして、外交でも同じく。


 でもこれは彼女に取っては計算の内であり、相手のペースを乱れさせて自分のペースに持ち込んだり、堅くて息苦しい雰囲気をふち壊す為のパフォーマンスでもあった。


 でなければ、藩主と商人の二足の草鞋は務まらないと、普段から豪語して居るのが伊達愛美と言う女藩主なのであった。


 流石は一代で巨万の富を得て居ると言う、彼女の処世術でも有るらしい。


「今日は万代港の工事の視察と聞いて居るわ。」


「はい。見聞きした限りでは、順調に工事が進んで居るので安心しました。」


「ええ、此方の方もお陰さまで、私の懐も藩財政も笑いが止まらないわ。」


日本の官僚達らは、愛海の濃いキャラに呆気にとられ、汗が何故か噴出していて、こう思った。(この人、絶対に何かがヤバイ)とね。


 特に藤原に同行している外務官僚らは、自身の外交官としての経験で得た感が危険を訴えていた。


 藤原は、この手の化物染みた人物の相手にするのを慣れて居るのか、落ち着いて話していた。


「お若いのに、中々のご手腕と聞いて居ます。」


「ニホンの会社とか言う商会組織には負けるわよ。是非とも、その経営方針やその手腕を習いたいわね。」


「国交が正式に成りましたら留学でも為さいますか?」


「それも面白そうね。」


 この二人の会話が何故か怖く感じる日本の官僚達。


 その場での彼らの心の内では「ばっ、化物が二人も居るうううぅぅぅぅーーーーーーっ!?」と心の中で思っていた。


「さて、今日は貴方達との挨拶と打ち合わせね。と言ってもニホン使節団のコヨミ皇国入りは、何時頃の予定かしら?」


「来月には自衛隊機地の主要な施設と港の中心地での改修と改築が終わりますので、5月の上旬には可能かと考えて居ます。」


「完全な形での最終的な工期の完了予定は、7月を予定しております。」


「じゃ、その方向で話を進めて良いわね。5月位までには、此方のゴタゴタも形が付くと思うわ。」


「噂に聞く例の御前会議ですか?」


その時、藤原の細目の眼光が見開いた。


「ええ、コヨミ皇国内の情勢は複雑なの。南と東の諸侯は纏まって居るのよ。」

「でもね・・・北西は反対派。北側と西側は中立か日和見が主なのよ。」


「ホンと困った物だわ・・・・・・」


コヨミ皇国の北西に領地を持ち、数多くの要塞と城塞都市を抱え、帝国やドラグナー皇国(おうこく)を通じて南方と西方貿易を藩政の税収入の基盤とし、貿易その物を藩の生業として奨励している領主達。


 その者達は、帝国の国力と軍事力に圧倒されて、半ば降伏に近い形での講和をしようとして居た。


 巷の噂では、既に懐柔されているとの噂が絶えない。

 北西地方の領主達は、自尊心と自立心が強く。

 中央からの離れている事も有ってか、皇国の国政に関心が無く、自分達の土地を守る事だけに執着して居た。


 西方はどっち付かずで、戦には巻き込まれたくないとの考えが有るので、中立派閥が多く占めていた。


勢力図の主な人物は以下の通りである。


北条正成・相州国藩主。講和派筆頭で、帝国とは皇国の皇女を嫁に差し出して独立を保つべきだと言って居る。

 コヨミ半島の境に相州城と言う総構え形式の要塞を持って居り、西北貿易の利権で西側領主派閥勢力の中でも、かなり財力を持っている。


永尾憲重・北越国藩主。講和派で、皇国西側の大陸内部に広大な領地を持つ隣国の相州国との関係から講和を訴えて居るらしい。

 金・銀・銅・鉄の鉱山と豊かな水源に恵まれて米所として知られ、精強な兵力が2万人を有している。


龍泉寺貴信・皇国の北に位置し、大陸側領地を持つ飛膳国藩主。 

 帝国と内通し、講和を探っている和平派の一人で、飛膳五虎将と呼ばれる一騎当千の武将が使えて居るらしい。

 以前は四天王とか言ってたが・・・・何故、5人なのと様々な所から突っ込みめいた事を言われて、その名を改めたらしい。


鍋島直美・飛膳国藩の東側に位置する比護国藩主で、コヨミ皇国内に措いて、大名家当主を務める女当主の一人。


 龍泉寺とは古い親戚関係である為、和平を主張して居るが、本音は中立を採りたいと考えて居る。


 だがしかし、自分の周囲の藩の回りが、講和派が多い事も有ってか、何も言えずに居るらしい。

 



立花夜千代・矢那川国藩主。 

 コヨミ皇国本土コヨミ半島西側在る萩野国藩の北側の小国藩である矢那川国藩主で、中立派の一人。

 雷斬丸とか言う雷属性の剣を揮い、敵を蹴散らす女当主として知られ、所属派閥は先に述べた通りの中立派である。


高橋重宗・岩谷国藩主。

 萩野国藩の北の側に位置する小国の一つで、立花夜千代とは親同士が決めた婚約者である。


 対帝国での立場は、中立と成って居る 



網里輝美・コヨミ皇国本土のコヨミ半島南西側を治める萩野国藩主で、中立派筆頭である。

 強力な水軍艦隊と大砲を約500門を保有して居るらしく、南方との交易が盛んな豊かで利便性に良い地域を領有して居る大名家。


嶋津義隆・コヨミ皇国南部に在る南西国藩主。

 その性格は豪快な性格のおっさんで、鬼と呼ばれる豪勇で主戦派。

 少数精鋭の藩軍で帝国軍の一隊を打ち破った経歴の持ち主。


足柄一葉・コヨミ皇国北側に有る土地である芦名国藩主。

 剣の達人らしく、巷では剣聖将軍と呼ばれ尊敬を受けて居り、コヨミ皇国の大将軍にして主戦派の筆頭格。


四条由美・宰相・主戦派派閥に属して居る一人で、冷戦沈着で眼鏡を掛けた知的でクールなお姉さん。

 その御歳は27歳。年齢ネタ禁止。その仕事熱心な性格が災いして婚期を逃しつつあるとの専らの評判。

 領土は持って居ないが、18歳から中央の官僚として勤務していた。


 中央が余りにも年寄りが多いと力仁国皇は思い、政府機関の世代交代実施した際に、その真面目な仕事ぶりと賄賂を受け取らない誠実さを買われて宰相に抜擢された。


伊達愛海・万代国藩主。

 東側最大の領地を持って居る大藩を治める伊達家当主で、天才にして変わり者、ボッタクリ大好きの商売大好きの変人。


 主戦派であり、座右の名は私の人生はボロ儲けと言って居り、そんでもって転んでも、タダでは起きない守銭奴で、現実主義者でも有る人物。



「主戦派である義隆殿は、貴国に接触どころか、入国して貴国の国内情勢と事情を分かって居る。」


「私も親友の紅葉から手紙でのやり取りと、こうして実際に目の当たりにして居るからには、問題なくニホンとの国交は大歓迎なのよ。」


「問題なのは・・・・・・・」


「そう、日本と言う国の事情を知らない奴らの事よ。」

「もう、こんなに良い投資話は滅多に無い所か、詐欺と言われても可笑しくない内容よ。」


「でも詐欺じゃ無いから安心しても良いと言うのも言い過ぎる位だわ。しかも格安で色々とやって貰える。私じゃ、一生掛かっても無理よ。」


「それはそれは、お褒めの言葉と受け取らせて貰います。」


「あっ、そうそう。言い忘れる所だったわ。」


愛海は、何かを思い出したかの様に言う。


「何か?」


藤原は何か他に有ったのかと思った。


「貴国の使節団が来たら、主要な者達は、城へ来て暫くは泊まって貰うわね。」


「それは如何してなのでしょうか?」


「歓待の意味も込めて使者が最初に通る藩国は、お持て成しをするのが我が国の慣習なのよ。」


「少しでも貴方達の風当たりを良くしたいのなら、快く歓待を受けて置くべきね。」


「そう言う事でしたら、喜んで歓待をお受けさせて頂きます。」


「それと城の橋も直して貰い得ないかしら?あなた達の自動車とか言う乗り物の重量が心配なのよ。」


「ああ、確かに・・・・・護衛は自衛隊ですからね。」


「兵器に類する物を港や基地以外の場所で野ざらしさらても、危険の可能性が有るからとの風聞もチラホラと聞こえて来るのよね。」

「我が城内での保管と管理を無理やりに断るとなると、日本の立場的に良くないと思うのよ。」


「そう言う事でしたら、後で本省と政府に問い合わせて見ましょう。」


「お願いね。」


藤原と伊達愛海との会談は終わった。


 そして、夜には愛海と喜多が万代市の南地区の外れを訪れていた。

 視察と慰労を兼ねての現場の訪問を終えた後の夕食会では、日本料理が出されている。


 南地区には日本の飲食関係の会社が、工事業者と其処で働く労働者の為に5店舗ほど飲食店の出張店舗を出店していた。

 その一画には、大手の居酒屋チェーン店が入って居る。

 其処では、多くの日本の工事業者と万代市民の労働者と一緒に成って、二人は食事を共にしたのである。


 工事の成果を愛海は労う意味も込めての訪問であり、その日の飲食代は愛海持ちと成り、宴は大いに盛り上がったと後世の歴史書には記録されて居る。
4月18日



 この日は、コヨミ皇国への使節団の現地入りの準備と現地の港や街道の改装と建物等の改築作業の進捗状況の視察も兼ねて、日本国の各省庁職員達が、外務省職員達を筆頭する先遣隊を現地入りさせて居ました。











 コヨミ皇国へと派遣されたメンバーの中でも、正式な担当者が決まるまでの繋役に選ばれて居た人物。



 外務官僚の臨時交渉担当官的な立場に成りつつある藤原敬二。



 その他には外務省から5人。防衛省を除く各省庁から1人づつ派遣されて居ました。



 日本国政府は、アースティア世界へと転移災害で転移して以降は、最初に接触に成功したコヨミ皇国政府との交渉の末に、先ずは相互貿易による経済こうりわ柱にして、文化・軍事を含めた臨時協定を基本的とする協定を確立。



 その為には、コヨミ皇国側に日本国内の大型船舶が行き来が出来る様に、湾港設備の拡充する事が必要だと確認し合うって居た。



 其処で万代藩・万代港と南西国藩・加古島港の改修工事が進めらて居た。



 そうした理由から現地に到着した一行は、作業現場を監督する経産省から派遣された常駐している官僚と職員が日本からやって来た視察団一行を万代藩主・伊達愛海が出迎えて居ました。



 その伊達愛海の人物像は、天才にして変わり者、ボッタクリ大好きの商売大好きの変人にして、伊達家がスポンサーとして運営して居る伊達商会の商会長。



 座右の名は私の人生はボロ儲けと言う名言を残し、何時もお気に入り扇子には、その言葉が掛かれて居ました。



 今でも万代市立博物館には、彼女の使用の扇子が展示されて居り、現代万代市の基礎を築いた変わり者にして、偉大な女傑藩主として万代市民から愛されて居ります。



 日本はこの万代港と加古島港の開発で、ユーラシナ大陸進出の足掛かりを得て、アースティア世界での経済力と軍事力での基盤を固めて行く個に成って行くのです。





 万代港への歩き方



 コヨミ皇国・万代市国際空港から定期運行市営バスで20分。

 万代港バス停から徒歩で8分。
話は少し戻り、ローラーナ帝国暦600年・アースティア暦1000年・西暦2030年・4月7日・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・ロートレア地方・ドラグナー皇国(おうこく)・首都・新王都・ニューサリヴァン市・ニューサリヴァン港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 先の龍雲海沖海戦の敗戦の後に、ベンジョンこと、ベン・ジョンソンは、4隻の帆船型の戦列戦艦を率いて命からがら数日前に出港したドラグナー皇国の新王都サリヴァン市のサリヴァン港に戻って来ていた。


 どの兵のも血だらけのボロボロ、顔には黒ずんでいるのが殆どだった。

 港にある海軍基地に着くと船を降りるなりバタリと倒れこみ、緊張が途切れたせいも有ってか、死んだように眠ったと言う。


一方、ローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊所属・第120艦隊の無残な帰還を見ていた者が二人いた。

 一人はニューロートレア城で、もう一人は港で直に見ていた。ニューロートレア城はサリヴァン山脈を利用して作られている。


 ニューロートレア城の中は広く、東西に7キロ、南北に10キロと広大である。その北東の丘には小さな城壁が築かれ、庭付きの屋敷が建っていた。此処にはとある高名な魔導師の女性が幽閉されていた。


 彼女は気まぐれに、ニューロートレア城の城壁を散歩して居た際に港町の方向を眺めて見て居た。

「あれは・・・・・・」



「何だか面白い事態になりそうね。そう言えば、リナは、あの子の方は元気かな・・・・・・・」


この人物が何者かなのかはもう少しだけ待って貰いたい。

そして、もう一人はと言うと、これからの歴史のうねりに関わる人物で、この国の第一皇女にして姫将軍たるヴァロニカ・サークラ・レアモンであった。


「帝国海軍の戦艦が、こうも簡単にズタズタのボロボロに成ろうとは・・・・一体、彼らに何が有ったのだ?」


帝国海軍艦の悲惨な末路に驚くばかりの彼女だった。彼女も間も無く歴史の面舞台へと立つ事に成るのである。




更に数日後、ローラーナ帝国暦600年・アースティア暦1000年・西暦2030年・4月13日・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・ローラーナ帝国領・第三方面地域統治領・シャッポロ属州領・旧シャッポロ王国の王都・オタル市・ローラーナ帝国領・シャッポロ属州領総督府・オタル城・ローラーナ帝国領・シャッポロ属州領総督執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ベンジョンは龍雲海沖海戦での傷が癒えた彼は、帝国東方軍総司令官である第五皇子ゾイザルの呼び出しを受けて、帝国東方制圧派遣軍の本拠であるオタル城へと召還させられる事と成ったのである。


 ベンジョンは文字通りに首が飛ばされる思って、ここ数日の間は、生きた心地がせず、常に顔が真っ青に成っていたのである。


「ぐぬぬっっ、このままではっ私の命が・・・・・」


ベンジョンがビクビクとする中で、遂にその時がやって来た。


 帝国東方制圧派遣軍の本拠であるオタル城。


 其処には、この城の主にして帝国東方軍総司令官である第五皇子ゾイザル・セイダル・ローラーナ(27歳)が統治を任されていた。

 ローラーナ帝国では、13歳を過ぎると成人の儀を終え仕事見習いや上部の学校などへと出されるのが一般的だ。


 何も能力も無く、跡継ぎではない人間は大抵軍人に成るのが当たり前だ。


 10年以上勤めれば主要都市で市民権が得られ、15年で官僚や政治家等に成れる事も出きた。

 それ以外は特定の年数を勤めれば大金を手にして故郷や町で仕事を始める等して悠々自適な生活を送る者も居る。


最も良い暮らしをする方法は、戦争で大手柄を挙げて地方の領主になるか、地位の高い者に擦り寄って賄賂やお零れを貰いつつ、権勢を極めて貢がれた大金で贅沢な暮らしをする事だった。

 さて、帝国皇族はと言うと成人になると特定の最前線に派遣される。


 補佐を付けての条件付きはであるが、地方での実務を任されるのだ。


 これは王侯貴族等に対して、将来に向けて、経験を積む言う意味で統治や軍の指揮を任される為である。
 

 ゾイザルは、周りの帝国で定番と言うべき悪い大人達を手本に育てられてきた。

 それ故に帝国は最強、帝国人は絶対であり、世界に覇を唱え、世の絶対の支配者であると教えられ、その事を彼は信じて疑わなかった。


 そんな彼でも愚者で操り人形に成る様なバカでは無かった。


16歳に成る頃には、政務や軍務を理解し始めており、17歳には当時シベリナ連合の一画であったドラグナー皇国(おうこく)を100万人以上の兵を送り込んで、たったの5ヶ月で首都まで迫り降伏させてしまう。

 多くの市民を奴隷にし、彼の国の特産動物で、貴重な戦力であったワイバーンを始めとする飛竜やドラゴンブリダー、聖龍と言う特殊なドラゴンと竜使いを戦力に組み込んだ。

 そして、ドラグナー皇国の王族や一部の貴族が保有する魔導空挺戦艦の命令指揮権をも手にしての破竹の勢いである。


そして、今そのゾイザルの地位を脅かす敗戦の報せが舞い込んで来たのである。


 ベンジョンとパシリが、城の謁見のまで跪いて居る。

 戦での怪我や疲れのせいで、ここ数日間の間、病室で寝込んで居た。


 そのせいで、謁見でゾイザルに会う為の、替えの服を用意が出来ておらず、打ち首の可能性すら有ったので、どうせなら薄汚れた格好で如何に酷いめに有ったのかを訴える言い訳の材料にしようとこずるい浅知恵に打って出たのであった。

 彼の着ている鎧や衣服は、如何にもな感じで煤だらけで有り、これから会うゾイザル対しての恐怖から、汗がダラダラと溢れていた。彼らはコヨミ皇国との海戦での敗走で処罰をされるの事は、ほぼ間違いないと脅えて居るのである。


 本来なら帝国内でも小競り合い程度に戦線で敗戦しても、滅多な事では処刑や左遷、投獄や財貨没収等の処罰には、成らないのだ。


 だが、今回は違った。謎の鋼鉄の船と鋼鉄の戦艦群を操るニホン国なる国の海軍に負けたと言う事実である。


 そればかりか、これまでの軍船での海戦で勝って来たと言う帝国が、大敗北と指揮官を見捨てて逃げ帰ったと言う事実が彼らの処分を重い物にしかねない状況だったのだ。


 ゾイザルが謁見の間に現れ、ベンジョンの周囲には将校ほ始め、武官や文官などのゾイザルを補佐している者らが、ズラリと立ち並んで居る。


 ゾイザル横には専属の秘書官が、この度の龍雲海沖海戦に付いての報告書を手渡して居た。


ゾイザルは報告書を見て内容を精査するに連れて顔をニヤけさせていき、処分に付いて決めた様だった。

 彼の胸中に緊張が走った。

 だが、その通達決定は、想像をしていた事よりも意外なモノになったのである。


「ベンジョン。貴様の不手際に付いて、俺は何も問わないぞ。艦隊や竜空母の全てを失ったとしてもな・・・・・」


沢山の将校や文官が居並ぶ謁見の間で冷や汗を掻きつつ、ベンジョンは平伏したままで顔を引きつった顔で心の声で言った。


(私の名はベン・ジョンソンと言っているのに、どうして高貴な方々は、私の名はをベンジョン扱いするのだ。ぐぐぐぐっっ。)



 ゾイザルの話は尚も続いた。


 冷やかな目をしつつも、彼は何所か楽しそうだった。


「それにしても、謎の鉄船に謎の鉄造船の海軍艦隊、そして、それを率いていたと言うニホン国なる未知の謎の国家。くくっ、実に愉快ではないか。」


「近頃の我が帝国は、連戦連勝の上に引き分け以外は、負けと成った戦は国境や威力偵察程度の小競り合いが良い所だ。」

「此処に来て歯応えが有りそうな国が、まだこの世界に在るとはな。なぁ、ガイウスよ、貴様はどう思うか。」


ゾイザルは 帝国東方制圧派遣軍団の将軍の一人であるガイウス・バリリウスにニホンと言う国家の対応の意見を求めた。


「はっ、率直に申し上げますと、ニホンなる国に付いて我が帝国軍の全ての情報機関や東方に詳しい者達から既に聞いて周った所によると、誰も知らないとの事です。」


「何と、誰も知らぬと申すか。益々持って面白い。」

「皆も思わぬか?我が帝国の世界制覇と創造神アーライト様を称えるアーライト教の教えによる世界統一まで後僅かだ。」

「俺が与えられた仕事であるシベリナ地方とコヨミ地方の征圧までもう一息だ。」


「既に大陸保有数一と言われ、魔法技術大国であるダバード・ロード王国の魔動機械兵団の半数は壊滅し、その隣国のアルガス公国騎士団は保有していた古代武具を奪い誰も届かぬ場所に隠し封印。使い手であったアルガスの各騎士団長どもは、悔しい想いをしている事だろう。」



「そして、彼の騎士団は、弱体したも同然。忌々しいアセリナ王国の聖天使騎士団も連日の戦争で、主力の女天使共が減りつつある。」


「そいつ等の動きを封じてしまえば、残るは普通の人間の男ばかりで雑魚も同然、残るラクロナ王国は、伝説の宝具が封じてあるクリスタルは、我が諜報隊との奪い合いで行方知れずとなった。残るはそれほど強力でなく名ばかりの騎士団率いるアリスとか言う小娘のみ。」

「北方のドラグリア白龍大帝国の白龍大帝のロリハバァは、南のドラグナー皇国との関係と同胞達の頭数が目減りする事を気にして本気に成れずいる。」

「その上ご自慢の白竜騎士団が、我がホムンクルスドラゴン兵団に圧されボロボロ、残るオローシャ帝国は自衛に徹して攻勢に及び腰。」


「コヨミの侍どもは勢いが良いだけの猪。先読みの巫女姫がいるお陰で持ちこたえているが、それも何時までも持ち堪えられかな?」

「彼の国も堕ちるのも時間の問題だ。本国も北欧の盟主であるアルビオン王国の聖騎士王の小娘が粘っているが兵力がギリギリな上に、我が帝国軍の軍勢が各方面から攻め入られ、各国がバラバラに対応するしかなく、苦戦を強いられて居ると聞く。」


「南方に目をやると謎の島国が現れ混乱をしているが、我が国の南方制圧軍と同盟国がミンフィル王国が小賢しい用兵戦術で我が軍を追い返し苦戦を強いられているが、それも時期に大軍の援兵が送り込まれて決着が付くだろう。」


「残るアセニア亜人連合国は、鎖国ばかりの蛮人共に過ぎない。其処へ現れた謎の国家、彼の国が我らと戦うか、従属するか、滅びるか、自らの殻に閉じ篭るか、じっくりと見定めてやろうじゃないか。」


 其処へガイウスが苦言を言って主を窘める。


「殿下、あまり油断めいた発言は、兵ばかりでなく諸侯貴族ら全てがが敵を侮る結果となり良くないですな。」


「ガイウス、俺は何も油断はしていないぞ。だが、ニホンとやらバカでないならすでにコヨミの皇后やその娘たる巫女姫と結託している可能性がある。いや、俺がコヨミ皇族の女どもの立場なら既に動いているな。」


「成らば如何いたしますか。」


「ニホンに関する情報を集めるのだ。そして、その情報を元にして次なる策を考えるのだ。」


「御意に・・・・・・・・」


「さて、俺は執務室で書類仕事が有る。ニホンとか言う国の事はお前達で何とかしろ。」


ゾイザルはそう言い残して謁見の間から立ち去って行った。


(ぐぬぬっ、皇帝陛下の威光が無くばっ!見てくれだけのタダの皇子の小僧の癖にっ!)



ベンジョンは、毎度、毎度のお約束である名前を間違われて血管がぶち切れそうであった。


「はぁ~、また、あんな化物じみた軍を相手にさせられるかも知れないのか。ヤッパリ私は上司に恵まれていないな。」等とパシリが愚痴っていた。



こうして、帝国も日本の調査に乗り出したのである。


 だが、その結束力は悪く、大軍を有する烏合の衆に過ぎないが、その兵力の数は侮れない物が有った。