異世界の国々が驚いた異界国家日本は本当にすごーいデス~ネ

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午前9時40分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔南部地域・グリクス地方・ローラーナ帝国・ローラーナ帝国領・グリクス地方州・グリクス市・グリクス港・グリクス地方軍団・グリクス地方中央戦線区・ローラーナ帝国軍・グリクス地方軍団官庁舎にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 此処はブラキュリオス湖畔南部地域・グリクス地方と言う地方。



 この地方を統治領として居るは、やはり覇権主義国家たるローラーナ帝国であり、その象徴とも言うべき軍隊が置かれて居る。



 その名もグリクス地方軍団である。



 グリクス地方軍団が支配下に置いて居るのは、ブラキュリオス湖の北部を国土とするアルガス公国のモンブラン州との湖の沖には、レジェンダリア諸島が在り、対岸の帝国領までのその距離は、僅か150キロの距離に位置して居た。





 この湖の形は、地球で例えて言うのならば、黒海に近い形をして居る。





 そのブラキュリオス湖の南部にある軍港都市たるグリクス市には、グリクス港と言う巨大な湖畔軍港が整備されて居る。



 其処には、幾つもの軍船が接岸できる桟橋が作られ、何百隻もの軍船が係留されて居る。



 更にグリクス市の南内陸部に目をやると、魔動力式で動くホバー方式型陸上戦艦が並べられて居る。



 魔導陸上戦艦は、帆船型と装甲艦の二種類が有り、装甲艦の姿は、丸でSF映画かアニメに出て来る戦艦の姿に似ていた。





 その全長が100メートルは越えて居て、ちょっとした護衛艦みたいであった。



 主兵装が大砲やバリスタ、魔導師の魔法攻撃、竜種各種を用いた家畜竜部隊が艦内に格納されて居る。





 厄介なのが陸上だけで無く、水上も航行可能と言う点である。



 この艦が兵や兵器を輸送する揚陸艦や輸送艦の代わりを果たして居た。



 その他にも空挺戦艦や空中竜母艦等が飛行船場と呼ばれる場所で、駐機されて居る。



 近くには竜舎が在り、飛竜や翼竜が飼育されて居た。



 この世界の軍事力の水準で、帝国は最強であり、最高の物を備え、此処と同じような軍事施設が設置されて居る場所が、幾つも在るのである。





 覇権主義国家たるローラーナ帝国の軍事常識の戦法の定石として当たり前とされ居るのが、兵士と兵器による圧倒的な物量を持って進軍し、その力を持ってして攻め入った敵対国を征服する。





 それが帝国の軍事力と戦い方のスタイルの定番なのであった。



 そして、この地には、大小4千もの陸水空と3軍の軍船が並べられ、今正に北進すべく出撃体勢に入って居る所なのだ。



 このグリクス地方軍のトップは、ガミトフ・バイマン中将と言う。





 冷徹な将校で、歳は40代の後半、同地方で有数の軍団を持つ人物である。





 その他の配下の将校として、ガミトフを支えて居るのが、ババロスク・オバム大佐、ジャーマン・ダニーガン中佐、カバディ・キゼン少佐等である



 その彼等が軍団司令部内の会議室に集まり、レジェンダリア諸島への侵攻作戦為の最後の作戦会議を行って居た。





 通称グリクス軍団と呼ばれる地方軍の幹部将校等は、テーブルを囲んで座って居た。





ガミトフは、シベリナ地方中央部への侵攻し、アセリナ王国、アルガス公国、ダバード・ロード王国を分断し、ドラグリア白龍大帝国とオローシャ帝国、ラクロアナ王国、コヨミ皇国らそれぞれ孤立させる作戦を計画して居た。



その第一段階であるブラキュリオス湖のレジェンダリア諸島を制圧し、自国の勢力圏を手に入れ、その拡大を図る事で、ユーラシナ大陸の東西交易権の独占と連絡路を断とうと言うものである。





 このパイプ・ライン大河の水上交通路を手にし、一気にシベリナ地方の各国に対して喉元に剣先を突き付ける物であった。



 そんな計画が進められて行くユーラシナ大陸の情勢下の中で、遥か東の果てに在る日本が、地球世界からアースティア世界へと転移してから二月が過ぎて居た。





 ローラーナ帝国側は、未だに日本に付いての正確な情報が掴めずに居た。





そして、新たなる情報が、ローラーナ帝国東方軍の各軍に届いたのであった。



「ガミトフ閣下っ!!!大変でありますっ!!!」





 秘書官が、今し方に入って来た急報を持って現れた。





「如何したっ!?」



「今から二日ほど前の事です。東洋方面へと定期周回遠征任務行動を取って居たローラーナ帝国・第一外征艦隊は、巷で噂のニホン国へと侵攻し、敗戦したとの事であります。」





「何っ!?あのギワザンの奴めが、正体不明のぽっと出に過ぎない新興国に敗れたのか?」





「はい。ギワザン閣下の総旗艦である魔導空挺戦艦ザージェント・ギワザンもかなりの被害が出ている模様との事です。」





「うーむ。」





 ローラーナ帝国軍部に措ける常識では余りにも有り得ない事ゆえに、その心に受けたショックの衝撃の余り、ガミトフ中将は黙り込む。





「ガミトフ閣下、更に不味い事に、第一外征艦隊を討ち破った、そのニホン海軍が、今ブラキュリオス湖に居座って居る様なのです。」



「ぐっ!!これから北へと侵攻を計画して居る時期に、それは厄介だな。」



ガミトフ中将は、日本が転移する前からレジェンダリア諸島の奪取計画を立てて居た。





 無論、立身出世の為であり、帝国軍内での発言権を大きくしたいが為にである。





 2月前に、ローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊を屠ったと言うニホン海軍。



 そのニホン海軍の艦隊が、西へと派遣され、パイプ・ライン大河を遡上して居ると言う情報をローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍と第三方面軍総司令部や彼自身も掴んで居た事だった。



 ガミトフとグリクス軍団は、グリクス軍団として二ホン海軍艦隊と、どう対峙すべきかを悩んで居た。 



 彼らは敵対して居るそれらが来る前か、やり過ごしてから同地を占領するかを今議論している最中だったのである。



「帝国政界でも指折りの名家であるグレッサ家の小娘を破ったとか言う国の海軍か・・・・・・その情報は本当であろうな?」





丸で傭兵業を生業にして居る海坊主かタコ坊主と言った感じの丸い眼鏡を掛けた大男が立っている。



 彼はババロスク・オバム大佐と言い、ガミトフ中将の腹心である。





「はい、それは間違いなく。本当の事のようです。」



「生き残った男爵位を持つベンジョン准将が、ゾイザル殿下に仔細を報告申し上げたとか。」



「それに第一外征艦隊の帰還した者達も、似た様な戦場での体験談を報告しており、疑う余地は無いかと・・・・・・・」





此処でもベンジョンこと、ベン・ジョンソンは、そのヘンテコリンで言い辛い名前を言い間違えられて居る。



 しかも生意気な事に、彼の軍属としての階級が准将らしい。



 ローラーナ帝国内では、上位の階級と爵位を手に入れたければ、金と実力とティパーティさえ開ければ簡単に手に入れられるのである。





 最も簡単な方法は、家の七光りである。



 敗れたアディーレ・グレッサは少将で、家が帝国の侯爵位を持ち、帝国政界でも大きな発言力を有して居て、帝国でも珍しい比較的まともな貴族の家であった。



 彼女は小さい時からお転婆で、嫁の貰い手が無いと言われ居り、フラフラしているのも体裁が悪いので、父が東方の帝国領の辺境侯爵位に任じ、分家扱いして放逐して居た。



 序でに彼女を慕って居る妹や家臣らも付けて送り出していた。



 その彼女は、帝国では行方不明扱いと成って居たのである。





 法律では半年から一年半経っても当主が戦場から帰還しない場合は、新たな当主を立てるが、ローラーナ帝国貴族法での決まりだった。



 しかしながら、その行方を捜索して居るローラーナ帝国領・シャッポロ属州領政府と軍部では、アディーレ・グレッサの行方は分からずじまいとして扱われて居たのであった。



「ふん、近頃の諜報活動する帝国情報局の者共や軍の将校幹部の奴等は、見栄ばかり張りおって、虚言ばかりの報告が目立つ。」





「やはり、此処は我々が率先して戦果を立てるなどして貢献し、軍部や政界での発言を強め、改革を押し進めねば成るまい。」



「全くその通りですな。」



「ニホン国とか言う訳の分からない国家に付いての情報も、本国直轄の諜報局の者達では無く、自前の間者ので、調べさせた方が正確で有るとはな。」



「全く持って上層部の面々にも困ったものです。」



「ニホンに付いての報告は、他には何か無いのか?」



ガミトフは部下達に尋ねる。





 するとチョビ髭生やした融通の利かなそうな雰囲気のオッサンが立ち上がり答える。



 そのオッサンこと、ジャーマン・ダニーガン中佐が立ち上がり、詳細を報告を始めた。



「閣下、各方面の情報を集めた所によると、ニホン国は異界から来たと言う妄言めいた事を風潮して居るようです。」



「異界から現れた?」



 ガミトフは部下からの報告に首を傾げた。





「ですが、このニホン国の主張は真実の様です。」





「その根拠は何だ。」





「その根拠は、実際に万代市に潜入している密偵からの報告です。」



「それも一人や二人では有りません。」



「複数の筋・・・いいえ、全員と言っても過言では無いでしょう。」





「ほぉ、それでもわしは信じ難いな。」





「流石はガミトフ閣下です。」



「どんな些細な情報でも裏を取るまで信用を為さらない。」



「いやはや、慧眼でありますな。」





「そんな事は如何でも良い。」





「はっ!閣下、これをご覧ください。」





ジャーマン中佐が差し出したのは数々の護衛艦の写し絵である。



 画家に扮した密偵が書いたものだ。



 画家に変装するだけあって、書かれて居る絵がプロ級である。





 帝国の密偵には闇の部分があり詳しい説明は省くが、それぞれ専門の職に就ける様に特別な訓練を受けさせれらて居る。





そして、あらゆる顔を持つスパイが各国に入り込んでいるのだ。



 その艦長網は007が所属する諜報組織も脱帽するほどの人数が、アースティアの世界中散らばって潜んで居ると言われて居る。



「変わった姿をした船おるのぉ、先端に大砲らしきものが有るが、これは軍艦か?」





「はい、密偵らの報告書に由れば、ニホン海軍のゴエイ艦なる軍艦であります。」





「そのゴエイ艦とやらが、我らに上申報告するほどの物なのか?」



「見る限り、この軍艦は大砲が一門有るだけで、これと言った特徴が有るとは思えん。」





「軍艦等は、何処の国も形や姿に差異は、有れども性能に大きな差は有るまい。但し、特殊艦を除けばな。」



特殊艦とは魔動炉を使った空挺艦や魔導陸上戦艦、魔導水上戦艦等を指す。



 これらは長年の魔導研究や古代遺跡、異界から転移して来た遺跡の技術を元に作られた兵器である。





 それ以外は普通の帆船を使った船しか無いのである。





「流石の閣下でも、この絵図だけでは判断が付き辛いと思われます。」



「先ずは、この報告書ご覧ください。」





ジャーマン中佐が次に提出したのは龍雲海沖海戦の報告書である。



 生き残った将校や兵士から聞き取った調書は、とても荒唐無稽で信じられない様な、ぶっ飛んだ話であった。





「龍雲海での海戦結果に付いての報告書か・・・・・・・・」





ガミトフは、ジャーマン中佐に言われるままに、ファイル式の本に纏められた報告書に目を通した





「何っ!!ニホンの軍艦の大砲が一撃で竜騎士が操る飛竜を打ち落としただとっ!?」





「信じられないでしょうが、これは事実です。」



「証拠は、生き残った将校や兵士の証言で有ります。」



「先にババロスク大佐も申し上げた様に、ベンジョン准将が証言して居ますし、殿下への報告でも事実と証言しており、裏付けも取れて居ます。」



 ぷぷっ。また、ベンジョン扱いである。



 そんな事は、当然ながらスルーするが、会議室に出席する将校らは、戦場での恐怖心や自己保身を目的として書いた大げさな誇張では無いかと疑う。



 現場に居合わせた者達が、恐怖の余りに錯乱したのだと言う者も会議に出ている将校らが騒ぎ立てていた。





「静まるのだっ!」





 ババロスク大佐の大きな声が会議室内に響き渡る。





「不必要な発言と野次は、軍内での不和と疑心を呼び大きくし、やがて互いの不信となり軍の崩壊へと繋がる。」



「そして、規律と協調が取れなくなった軍内部に置いて、好き勝手な行動とる将校が現れれば、必ず戦に敗北をする事と成るのだぞっ!」



「それ即ち帝国の敗北だ。貴様らは、その事を分かっとるのかっ!!」



会議室は一時騒然となる。





 だが、ババロスク大佐の一喝で会議室内は静まり返えるのであった。



「閣下。」





「うむ。会議を続けよう。ジャーマン中佐、続けたまえ。」





「はっ。ではニホン海軍のゴエイ艦なる戦艦の性能を語る前に、龍雲海での戦況に付いて報告書を纏めて有りますので、次のページをご覧下さい。」



 将校らが報告書のページを確認し、ページが一斉に捲られた。



「約2月前の事です。」



「ニホン国が主張する事に由れば、二ホン国の国土とニホン国と同じ異界より現れたのは、二ホン国と友好的な多数の異国の国土が、この世界に転移したとの事です。」



「彼の国と異界国家群は、その国土転移災害で、国内が大混乱に見舞われたとの事であります。」



「丁度その頃、時を同じくして従属同盟をさせて居りますドラグナー皇国。それと我がローラーナ帝国領・シャッポロ属州領やコヨミ皇国らが接して居る龍雲海での一騒動が起きたのです。」



「それは国境の領海の海である龍雲海にて、我が帝国の海軍は、謎の巨大な鋼鉄船を発見したそうです。」





「我がローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍に所属する帝国海軍部のローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊は、当時30隻の戦艦を率いて定時警戒警備をして居りました。」





「この時にコヨミ皇国で南西国藩を治める嶋津義隆が率いる嶋津水軍は、同地の警戒警備を視察に来ていた紅葉皇女を乗せて12隻の水軍艦船を率いて居りました。」



「一方のニホン海軍側は、9隻ゴエイ艦を率いて現れた様であります。」





「その時のニホン海軍の動向に付いての情報は有るのですかな?」





 不意にある将校が質問してきた。



「いえ、詳細に付いては分かり兼ねます。」



「ですが現在の所、コヨミ皇国内の万代市と皇都の星都市にて、ニホン国の情報と動向を我が帝国軍の情報部やグリクス地方軍団の情報部が、内情を探って居ります。」



「これは推測ですが、ニホン海軍がこの海域に現れたのは、単純な理由で、自国の鋼鉄船の救援に来ただけでは、無いでしょうか?」





「救援?」





「はい、そうです。」





「一つ疑問が有るのだが、海向こうに在る筈のニホン本国は、一体どうやって遠くに居る鋼鉄船の危機を知ったのだ。」





「其れこそが、ニホン国の謎めいた能力の一つと私は考えて居ります。」





 どう言う事だと騒ぎ出す会議出席者。





「日本に関する情報が一切手に入らないは、日本が特別な手段を用いて通信のやり取りをして居るのでは、無いかと推測されます。」





「なるほど、これまで得て居る話や諜報活動での少ない情報から、その事が、推測出来るな。」





 ガミトフは、数少ない情報からの私見を述べた。





「情報が全く手に入らない訳で無いのですが、情報漏れは、如何なるどんな大国であれ、中小国であれ、必ず何処かに抜け穴が在る物です。」





「本来ならば、我が帝国も含めて情報漏れと言うのは、絶対に有っては成らない事ですが、それでも抜け穴が出来てしまうのは、我が帝国も例外では、有りません。」





この世界の国家では、情報漏れに関する処罰は甘い処が有った。



 人の口には、決して戸が立てられないのだ。



 大なり小なり何所かで情報を持った者が、防諜戦の犠牲になる事が当たり前なので、国家と所属する組織に対して重大な規律違反でもしない限り、死罪に相当する処罰を科さないのである。





「そうだな。この件に関しては引き続き情報を探れ。そろそろ話しの続きに戻るとしょう。」



日本の情報通信伝達能力に付いての謎に関する質問は、一先ず終わる。





「当初は我が帝国海軍は、謎の鋼鉄船を拿捕しようと砲撃を開始して居りました。」



「しかし、同海域はコヨミ皇国との国境の境に有り、コヨミ皇国側は、鋼鉄船を助けようとした模様です。」



「この紛争に措いて、ニホン国は自国海軍を派遣し、たったの9隻の救援艦隊を出撃させたとの事です。」





「ローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊は、たったの9隻にも勝てないほど落ちぶれた者達なのか?」





「それとも指揮官が無能なのか?」





列席者の中から、同然の言葉が呟かれた。





「それは違います。」





「何故だ?」





「ニホン軍は当海戦にて、先制攻撃に鉄の飛行竜なる兵器をを投入したようです。」





「鉄の飛行竜?」





彼らが言う鉄の飛行竜とは、空自の第9航空団那覇基地所属の101小隊、202小隊、303小隊のF‐15戦闘機の15機の事である。



 この機械式飛行戦闘兵器の登場が、空戦での竜騎士を有する竜空母と空挺戦艦の有利主義における戦闘に終止符を打つ事になる。



 以後の空戦での主役は、ジェット機と科学的に設計された魔導兵器と追加装備が付け加えられた生物兵器が主流と成るのであった。





「これを以後の説明では、鉄竜と呼称します。」



「この鉄竜に搭載されて居たらしい空飛ぶ鉄の槍や魔導弾の様な攻撃に、我が帝国艦隊から飛び立った60騎もの飛竜隊は次々と撃ち落とされたようです。」





敗走し生き残った者達の証言を様々な観点から考察された報告書の説明に、息を呑んで聞く出席者らは、そのまま黙ったまま話を聞き入る。





「更に我が海軍に対し、降伏勧告及び撤退勧告を促しましたが、当海戦を指揮するアディーレ・グレッサ少将及びベンジョン准将は、当然ながらこれを拒否しました。」



「これはニホン国のゴエイ艦なる戦艦を侮った、いや、戦闘力の評価を見た目だけで判断した結果、勝てると踏んだものによる物の判断と思われます。」





「ふむ。確かにな。」



「この戦闘結果の報告書を事前に知らされて居なければ、アディーレ少将らの判断は間違いでは無いな。」





 ガミトフは、この海戦でのアディーレが下した指揮官としての判断に間違いは無いとした。





「はい。ですが閣下。恐らくは此処に居る誰もが・・・・いや、 ローラーナ帝国軍に所属する全て者。」



「いや、もしくは、この世界全ての国の軍が、もしもニホン軍と戦争すれば、何れの将校も同じ判断をするでしょうな。」





「ワシもか?」





「恐れながら例外は無いかと。」





「ふっ、貴公も冗談が過ぎるぞ。」





ガミトフとオバム大佐の二人は微笑し、周りが笑いが漏れ聞える。



 ジャーマン中佐は苦笑しながらも会議を進行させる。





「失礼いました。話を続けます。」



「ニホン海軍は鉄竜の攻撃の後、降伏と撤退を促したのは説明しましたが、拒否と同時に 我が方の帝国艦隊を二つに分けました。」



「ニホン海軍に対して、アディーレ少将自ら立ち向かわれたとの事です。」





「ローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊は、東に進路を取り、艦隊戦の準備態勢に入りました。」



「所がニホン海軍は、鉄の槍を飛翔させ、我が帝国艦隊を攻撃し、続けざまに砲撃を加え、次々と我が方の艦船を沈めて行きました。」



「それも凡そ10キロも離れた地点からです。」



「10キロもか?」



 帝国側からすれば驚愕の距離である。無論、この情報には穴だらけで、自衛隊の正確な兵器の情報を掴んでは居ないのである。



「はい、そうなのです。」



「その結果、鋼鉄船を攻撃していたベンジョン准将の艦隊は敗走し、その艦隊うち数隻は拿捕され、アディーレ少将艦隊は、行方知れずに成った様です。」



「恐らく何隻かは敵軍に拿捕され、残りは沈んだのかと・・・・・・・」



何れにしても、生きて居ること事態が絶望視されて居ると書かれて居るのを付け加えて、龍雲海沖海戦の経緯説明をして居たジャーマン中佐の話が終わった。



「ジャーマン中佐、解説説明をご苦労であった。」



「さて、諸君。これから我々が行うレジェンダリア諸島の攻略戦だが、少々変更がある。」



「帆船型の戦列艦を中心に、旧型の艦船を配備しつつ、造船が容易な艦船を中心に編成を変えて行く。」



「そして、全ての主戦力を後方15キロの拠点に移す。」



「閣下、もしや?」



 ババロスクがガミトフの考えを察したようである。



「そうだ。ニホン軍とやらの行動に付いて、考察し、ワシなりに考えた結果だ。」



「ワシは二ホン軍は、非常に危険な存在だと認識する。」



「前線は変えども、兵員の方は補充が利く者らを中心に編成をし直せっ!!!」



「此処とそして、周り拠点からも、主力と成り得る主な将校らを直ぐにでも移動させろっ!!!」



「それも火急的速やかに分散しながらだ。敵方に此方の意図を悟られてならない。」



「我がグリクス地方軍団の移動は、次なる作戦の為の警戒行動と拠点の穴埋めであると言う噂で流せっ!!!」



「恐らくレジェンダリア諸島に戦を仕掛ければ、ブラキュリオス湖に居座るニホン海軍は、周辺国から救援を求められるだろう。」



「そうでなくとも帰還する折には、必ず戦に成ると予測される。」



「奴らは今、恐らくだが、単に補給と休息の為にブラキュリオス湖にて停泊して居ると見た。」



「何方にしろ戦と成れば、此処や周辺の城塞が空襲を受ける可能性はあるだろう。」



「それらを踏まえた作戦を練るのだ。」



「如何に敵が強大な力を持とうとも、弱点や隙を付ければ、攻略の糸口が見えて来る筈である。」



「奴らは遠征艦隊だ。補給物資の事も在る。長期戦は出きまい。」





「其処まで考えて予測されて居られるとは・・・・了解しました。」





「それでも我らは仕掛けねばならん。栄えある帝国と我らの為にもな。」





「はっ!!全軍に出陣の準備と参謀らには、攻略作戦の策定を命じます。」



 その場所に居る将校らは、一斉に敬礼をすると、それぞれの持ち場へと慌しく向うのであった。





「失礼致します。閣下、少しお耳を拝借致します。」





「何だ?」



 

 突如現れたのは、ガミトフ直属の情報部の者である。



「実は・・・・・・・・」





「何!?北のロリババア大帝に妙な動きが?」





「はっ!目下の処、詳細は調査中では有りますが・・・・・・・」



「あのロリババアが動くと町一つ、城砦一つ、5個師団が、嵐に巻き込まれるかのように簡単に消し飛ぶ。」



「急ぎ、我が軍団の速やかな移動をせよと伝えよっ!!」



「アレはニホン軍よりも性質が悪く。天災の様に始末に終えない。」





「何せ気まぐれで有るからな。」



やれやれ厄介だなとガミトフは思いつつ、念の為の軍の退避行動が、思わぬ形での軍団本部の引越しが、本格的に成る予感をせざる負えないのであった。





 例えるなら反地球政府団体に攻められるからと、南米本部基地の機能を引越しさせる地球政府軍の様であると言えた。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午前5時10分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖東部河口付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







ヘスティア騎士団を中心としたアルガス軍が、レジェンダリア諸島に渡る為に、ブラキュリオス湖を次々と船で渡り、先発部隊がレジェンダリア諸島の最も東側に位置しているカントルナ島のカントルナ砦へと向って居た。 



 さて、グラダマ市を出航した自衛隊の艦隊は、はやぶさ型ミサイル艇の7艇を先頭にして、順調にパイプ・ライン大河の航海を続けて行く。



当直の人間以外は寝て居るが、最低限の人員で周囲を警戒しつつ、パイプ・ライン大河の穏やかな流れに逆らいながら、西方に在る上流へと突き進んで居た。



 先の歓迎の宴席でアルガス公王が言って居た、レジェンダリア諸島でのローラーナ帝国との武力衝突に付いては、出発前に隊員らに知らされて居る。





 その彼らに、間も無く戦乱の嵐が近付いて居た。





 ダバ派遣艦隊は、昨夜22時過ぎに、ブラキュリオス湖に入った。





 ブラキュリオス湖に入ったダバ派遣艦隊は、南部に在るローラーナ帝国軍の勢力圏水域と空域。



 それに国境領土線を避けながら西側へと移動する。





 深夜2時半を過ぎた頃、南西の方角で、二つの閃光が走った。



すると直ぐに雨と風が強く艦隊に吹きつける中で、周囲を監視して居た海自隊員は強力な光を放って居た謎の閃光を見て驚愕して居た。



 当直で見張りをして居る隊員は、もしかして魔法か何かの攻撃かと思い。



 念の為に指揮官である置鮎一佐の下へと、状況報告に向うのであった





 その気象状況の報告を受けた置鮎一佐は、単純に異世界の自然現象だろうと思ったものの、この地に起きるかもしれない紛争に巻き込まれるのを避ける事を優先し、レジェンダリア諸島から更に離れた場所を航行して居る。





海自隊員等によって、この嵐の気象関係のデータで分析して居た。





 その結果、一時的な通り雨であると予測し、ダバ派遣艦隊の進路を後続艦隊との合流地点と定めた湖の出口の一つであるパイプ・ライン大河本流とされて居る西側口へと急がせた。 





「しかし、凄い嵐だな。」





「ええ、丸で何かに、操られている様にも見えます。」





「おいおい、笹沼。流石に魔法なんてトンでもない物が有るとは言え、それは幾ら何でも話が飛躍し過ぎたろう。」





「くくくっ、すいません。」





「でも私のジョークに対して、ツッコミを余裕で答えて居る一佐も油断を為さらないで下さいね。」





「何せ、此処は地球と比べて見れば、本当に非常識な世界であると、日本政府も、あの雑用大臣も考えて居られるのですから・・・・・・」





 二人は前日に早めの就寝を終えて居る。





 今は早朝の交代の為に朝食を済ませて艦橋に来ていた。



  嵐は更に酷く成りつつある。





「全くだ。よくもまぁ、こんな厄介な世界にやって来てしまったもんだ。」



「唯一救いなのは、大陸の共産党国や北の将軍様の国からのミサイルの雨や工作船、隣国の国境問題に賠償問題から解放された位か・・・・・・・・」





「ですが、その代わりに異世界大戦の真っ只中に加え、オマケに異世界最大の覇権軍事国家との対立ですから、何事も旨い話は無いと言う事ですね。」





「ふっ、そう言う事だな。」





「そのおっかない国の軍隊から、サッサと逃げるとしようか。」





副官の笹沼二佐とのやり取りで、緊張していた当直の艦橋の隊員らも笑いが出ていた。





・・・・・とは言え、何が起こるか分からないのが異世界と言う物。





 この湖を通るだけでも1日掛かり、この先に何が待ち受けて居るのだろうか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午前8時07分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖東部河口付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









 その吹き荒れるも午前8時過ぎには、止み始めていた。



 太陽光の光が徐々に上り、光が煌々と差し始め、地上へと降り注ぐ。



 艦隊がブラキュリオス湖の3割を進み終えていた。



はやぶさ型ミサイル艇隊のに続くようにして、艦隊陣形の先方に位置している護衛艦あかつき。



 そのあかつきのレーダーを監視していた船務科の船務士の隊員は、有る事に気が付くのである。



 それは南方のレジェンダリア諸島の方角を護衛艦のレーダーに微かに陰となって映っている物体を感知して居たのである。





 しかし、別の隊員に、外を確認して貰ったが、何も無いと言う。





何かおかしいと思い。



 各艦のレーダー担当の海自隊員に問い合わせると、各護衛艦のレーダーにも同様だと報告が入る。





 あかつきのレーダー担当の海自隊員は、ダバ派遣艦隊の各護衛艦は、一斉に艦内放送と警戒警報を発令する。



「此方あかつきCIC、南方から我が艦隊の真正面を横切ろうとして居る正体不明の飛行物体をレーダーで微弱ながら感知。」



「凡そ10キロ圏内に全長が100メートル、幅が20メートルクラスの飛行物体と思われる。」



「各護衛艦は警戒態勢に以降されたし、あかつきの総員に告ぐっ!!第2種警戒態勢っ!!繰り返すっ!!第2種警戒態勢っ!!」





あかつきから発せられた警報は、瞬く間に総旗艦であるいずも型ヘリコプター搭載護衛艦のかがに乗船して居た艦長兼総司令官たる置鮎一佐の下にも報せが届き、すぐさま全艦隊に対して、警戒態勢へと以降をする様に通達したのであった。





「笹沼、全艦隊第2種警戒態勢の上、対空戦闘用意っ!!」





「了解っ!!全艦隊っ!!第2種警戒態勢っ!!対空戦闘用意っ!!」







 海自艦隊の全ての護衛艦内の海自隊員が慌しく動き回る。





 ヘリコプター搭載護衛艦のかがとひゅうがでは、陸自のヘリのパイロットと普通科の隊員が直ちに出動態勢に入る為に待機に入った。







「各艦に通達っ!!各砲塔を正面へ向けろっ!!」





「先鋒のはやぶさ隊の石井三佐っ!!あかつきの洲崎二佐ときりしまの三石二佐に、上空に居ると思われる目標に警告っ!!」



「反応無し又は無視と見られる場合は、直ちに威嚇砲撃せよっ!!」





「それでも反応が無ければ再度警告っ!!無反応で有れば、撃墜を許可する。」







「了解っ!!はやぶさ隊、あかつき、きりしまに通達っ!」





「上空の目標に対して警告し、後に威嚇の為に砲撃せよっ!!」





「反応が無ければ再度警告っ!!それでも無反応で有れば、撃墜を許可するっ!!」





きりしまでは、三石二佐が砲雷科に対空戦闘の用意と砲撃の合図のタイミング図って居た。





 三石二佐の後輩で、海自女性艦長である洲崎2佐も戦闘体勢に入った。





「先ずは、洲崎二佐に警告放送を行う様に通達。」



「後に当艦とあかつき、はやぶさ各艇と共に威嚇をするわ。」





洲崎二佐は、射程に入りつつある謎の飛行物体に対して、警告を発する命令を指揮下の海自隊員に下した。





「こちらは日本国海上自衛隊である。」





「我が艦隊の前方上空に隠れて居る艦艇艦隊に告げる。」





「直に姿を現し国籍と艦名及び当方の臨検を受けられたし、さもなくば撃沈するっ!!」



「くり返す、直ぐに姿を現せたし、警告した後に威嚇砲撃するっ!!警告はもう一度行うっ!!2回くり返す内に返答せよっ!!」





 警告の艦外放送を続けて二回目も行ったが、全く相手から反応が無かった。



 隊員らは気のせいではと言う言葉が脳裏に過ぎった。



 だが、三石二佐は、そんな甘い考え持って居なかった。





「通信を洲崎二佐にっ!!」



「了解っ!」



 三石二佐の通信が、直ぐさま洲崎二佐に繋げられる。



「洲崎っ!!撃つわよっ!!」





「せせせせっ、先輩っ!!如何したんですか?」





「早く撃ちなさいっ!!」





「ちゃんと警告した筈です。それなに何も反応無いのは、やっぱり気のせいでは?」





「良いからっ!撃ちなさいっ!!!」



「相手の方は多分、此方を舐めて居るわ。」



「レーダーに僅かに映って居るに、居ない筈が無いわ。」





「りょ、了解っ!!!」





洲崎二佐は、三石二佐の海自学校時代の後輩である。





 三石二佐は最近、艦長に成ったばかりの後輩に喝を入れた。







「石井三佐にも通達。」



「ミサイル艇の各艇も撃ちーかーたーよーい。」



「目標っ!上空の飛行して居ると思われる飛行物体。」





「主砲、撃ちー方はじめっ!!!」





「了解っ!主砲っ!撃ち方はじめっ!!!」







 洲崎二佐の乗って居る護衛艦あかつきも砲塔が動いて居る。





「撃ち方はじめっ!!!」





 石井三佐も艦隊先鋒隊としてミサイル艇隊の全艇に命じて、主砲を撃ち放った。





「各艇、主砲、撃ちー方はじめーっ!!」







 海自艦隊の威嚇攻撃が始まった。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午前8時07分・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖東部河口付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



リナとハンナの二人は、無事に帝国から略奪した物資や金目の物を積み終えて、帝国軍輸送隊を襲撃した現場である位置から、帝国領地であるグリクス市のグリクス港を避ける様にして、進路を徐々に北東へと向う。





そして、その中間地点であり、安全な空路であるレジェンダリア諸島の上空を素通りし、北へと進路を変更する。





 其処からブラキュリオス湖の対岸に在るアルガス公国の港町へと向って居た。





 アセリア空挺艦隊は、各方向を警戒しながら進む。



 デコモリンの部下の1人が、パイプ・ライン川の東を見張って居た。





 その東側から大きな音と共に、鉄の塊が西へと向かい自分達の艦隊の間近に向って来て居たのである。





 向かって来た鉄船の船団は、備え付けられて居た砲塔をアセリナ空挺艦隊に向けて、照準を合わせて来た。





「おおっ!あれは何だろう?」





「ああっ!何んとっ!!凄いぞっ!!同志諸君っ見ろっ!!あれをっ!」





「同志達よっ!見よっ!」





「如何にもゴツイ感じの鋼鉄の鉄船艦隊が向って来るぞっ!」





「カッコイイ・・・・」





 彼女達は暢気に海自艦隊の勇壮さに見とれて居たりする。



 アセリアの人達は、英雄伝などの話をこよなく愛するアレな人達だ。



 例え巨大な合体ロボットを見たとする。



 その目は子供の様に輝く事だろう。



 もしかしたら、日本国のジャパニメーションを見せたら、もっとあの病気を拗らせるだろう。



 何せ、同類の姿を描いた作品が、独特の描写とストーリーとキャラクター達が暴れまわるのシーンが、当然の様に描かれて居るからだ。





海自艦隊が謎の飛行物体と言って居たアセリナ空挺艦隊では、船体を透明化魔法で覆っていて、東からやって来る鋼鉄の艦隊こと、海自艦隊のレーダーに自分達が察知されて居るとは、誰も考えては居なかったりする。





「こちらは日本国海上自衛隊であるっ!」





「我が艦隊の前方上空にいる艦艇に告げるっ!」





「直に姿を現しっ!国籍と艦名及び当方の臨検を受けられたしっ!さもなくば撃沈するっ!」



「くり返す、直ぐに姿を現せたしっ!警告した後に威嚇砲撃するっ!」



「警告はもう一度、2回くり返す内に返答せよっ!」









 海自側はこの様な警告を2回繰り返し発した。







「隊長、東より鉄船の艦隊が向って来て居ますっ!」





「謎の艦隊、何か言って居る様ですが、まさか我々が見えて居る筈が・・・・・・・・・」





「それは、無い無い。」



「透明化魔法イリューシンを見破れるなんて事は、著名な魔法使いか、感の良い武人くらいなのだっ!」



「そうそう・・・・・・・」





「東の鉄船の艦隊の先鋒隊、此方へ砲塔を指向中・・・・・・・来たぁぁぁぁぁーーーーっ!!」







後に日本が、この透明化魔法を技術調査したのだが、姿は隠せても、レーダー等の科学的なセンサー全てから、僅か成りとも探知可能と言う検証結果が報告されるのである。





 ミサイル艇と護衛艦の砲塔から放たれた砲弾は上空にいるアセリナ艦隊を掠めて外れて行った。





これには流石のアセリナ艦隊の聖天使騎士達等は、大パニックに陥ってしまう。





 その頭の可笑しな女性・・・聖天使騎士多いアセリナ王国。



 当然、この艦隊は女性しかいない。





 この艦隊の人員の大半が、何らかの可笑しな言動や口調、思考している変人達である。





 特に女性は魔力が強力であるので、魔法には自信があった。





 アセリナ王国を例えるなら、水の女神を称える変わり者が多い宗派か、可笑しな名前と言動の多い民族の思考と同じであると言えるだろう。





 それがポッと現れた鋼鉄の艦隊に、自分達の透明化魔法を看破されたのだ。





「どどどどっ、どうましょうっ!同志っ!デコモリンっ!」





「ああああっ!あの鉄船はっ!我々の存在に気付いて居る様ですっ!!」





部下達が狼狽える中で、デコモリンは冷静に鋼鉄の艦隊の事を上空600メートル、距離にして10キロメートルに在る自分の空挺戦艦の艦橋から、望遠鏡を使って捉えて見ていた。





 片言の変な口調の変人だが、その思考はとても冷静で、彼女は如何すべきかの答えを直に答えを出していた。





「直に魔法を解除をするデスヨーっ!アイテの出方を見マ~スっ!各艦は直ぐに停船デースっ!」







 アセリナ艦隊は、ダバ派遣艦隊の要求通りに、直に停船と共に透明化魔法を解除するのだった。





「さて、何が出てキマースかね。」





 リナとハンナは、旗艦の船室の窓から鋼鉄の艦隊たる海自艦隊を覗き見ていた。







「見ろっ!!リナ凄いぞっ!!大きな鋼鉄の塊が平然と水の上に浮んでいる。」





(何を暢気にしているのハンナはっ!)



(この子とアセリナ連中は、ホンと、珍しい物を見てると興奮するんだからっ!!)





 リナは彼女の側で、ジト目で呆れていた。





 しつこい様だが、アセリナの人々は可笑しな変わり者ので有名である。





 海自艦隊を見て、その様相の捉え方は様々である。





もっとも、ハンナは軍籍から遊撃扱い(放蕩しているだけ)の身分である。





 アセリナ王国軍の中央から命令がない限りは、自由な動きが許されて居た。





「さて、如何するリナ。リナ・ミーサガ・リンバース。」





 リナは謎の鋼鉄の艦隊の対抗策を如何するかと、彼女の頭の中で、考えを巡らせていたのであった。





その一方、ダバ派遣艦隊はと言うと、ヘリコプター搭載護衛艦かがの艦橋には、普段は和装の着物を着て居るコヨミ皇国の将校の二人が、海自作業服を着て、この場に居って居た。





 用意された作業服は、事前に海自女性自衛官の手によってスリーサイズを測って居た。



 だが、一つだけ困った事は、バストサイズが比較的大きいが、許容範囲である高雄瑞樹と違って愛宕千棘はバストサイズ90センチはある為、目のやり場に困るほど作業着の表面に、そのナイスバディがくっきりと出てしまう事だった。





 かがの艦橋に居る若い隊員達は、この時ばかりは、後ろを振り返るのを想わず躊躇うのであった。



今回、海自の作業着を貸し出すのは、彼女達が普段着て居る武者鎧や和装の装束、戦装束では、艦内を移動するのに、とても不便な点が多い。





 緊急時や戦闘中に成れば、艦内で転倒する等の事故も考えられて居た。



 其処で防衛省は、普段は海自のイベントや海自施設の極一部でしか使われて居ない物を貸し出す事を決定する。



 外からやって来たお客さん専用である記念撮影と言う場でしか着ることの無い海自の作業服をわざわざ用意したのである。



 しかも、一般人は、まず着ることの無い幹部用作業着で、まだ大きなイベントで数回しか使われて居ない物をである。





これには、コヨミ皇国軍内での二人の階級も関係して居た。



 二人は揃って27歳なのだが、コヨミ皇国軍の人事事情の関係で大将と中将であった。



 そんな訳で、他国の将校で、年齢が若過ぎるとは言え、下っ端の服を着せるのは、軍隊の儀礼上的に失礼と海自幹部らは、満場一致で全国に数枚しか無いイベント用の幹部服の貸し出しを上申した。



 その結果、アッサリと防衛省は許可を出した。安元総理と雑用大臣こと竜史が二人とその上司である伊達愛海に、作業着の他に日本製の洋服を10着一式ほど送ったのである。





 勿論、国産の高い下着一式をオマケ付きある。女性の衣服は、何かと気を使うものとの配慮も込められていた。



 勿論、階級章を外しての使用である。 



さて、コヨミ皇国の二人が艦橋に上がったのは、接触した飛行物体の所属組織を確認して貰う為であった。



 飛行物体の姿が、徐々に姿が現れて行くと、全長が100メートル、幅が20メートルクラスの木造式の帆船型の空挺戦艦と呼ばれる魔動力式の飛行戦艦が現れる。



「瑞樹さん、千棘さん、わざわざのご足労を有り難う御座います。」



「いいえ、大丈夫です。」



「それで状況は?」



瑞樹と千棘は派遣艦隊のメンバーに対して、名前で構わないと言って置いた。



 下士官等も同様であるとも言って居る。





 二人は日本の自衛隊の方が、年上で経験が豊富である為、国家間の礼儀よりも人としての道理を優先したいと思っていた。



 そんな訳で、西へと向かう旅路の中ではすっかり、さん付けでの呼び方が定着しつつあった。



 特に二人は、同じ女性の三石二佐や洲崎二佐等も仲が良くなりつつある。





 寄港地では、海自女性隊員が集まっての女子会が、行われたりして居た。





 置鮎一佐も気兼ねなく階級章が、上である二人を名前で呼んでいた。



「笹沼2佐。」



「はっ、先ほど艦隊の先鋒に位置する護衛艦あかつきのレーダー管制を担当して居る隊員が、前方10キロ圏内に、600メートル上空にて、飛行して居ると思われる謎の物体をレーダーで捉えました。」





「我々は直ぐに警戒態勢を取り、相手に向かって警告を行いました。」



「その結果、反応が有りませんでしたので、威嚇砲撃を行い。」



「ようやくその姿を現し、走飛ぶ船・・・こちらで言う空挺艦と言う空中船である事が確認されました。」





「現在の相手方は、停船中と成って居ます。」





「お二人には、空挺艦が何処の所属かを確認して頂きたいのです。」





「確認ですか、その上でわたくし達に、空挺艦隊との会談に同行すれば宜しいのですか?」





「ええ、そうです。それであの空挺艦でしたか?」





「何処の所属か分りますか?」







「千棘、一緒に来てくれる?」





「ええ。」





そう言って二人は外を見上げる。近くの隊員が気を利かせて双眼鏡を千棘に貸し出した。





 双眼鏡を貸し出した隊員は、千棘の満面の笑みと、はち切れんばかりの巨乳を真正面から拝んで一瞬だけボーっとしていた。



 その様子を一部の者達は、鬼の形相で眺めていた。



 「妬ましい」「羨ましい」「死ねばいいのに」「地獄に堕ちろ」「この憎しみの気持ちで人が殺ろせたら・・・」とか言う呪詛の言葉が飛び交って居た。





瑞樹と千棘は双眼鏡を覗き込むと空挺艦のマストの帆を見る。



帆の布地には国旗か家紋か何らかの紋章が描かれて居る。





「あれは・・・天使と槍に兜よね。」





「そうね、それならアセリナ王国で間違いないわ。」





「置鮎さん、あれはアセリナ王国所属の空挺艦で、間違いないですね。」





「・・・と言う事は、シベリナ連合の国々。コヨミ皇国の味方と見て良いんですね。」





千棘からアセリナ王国と言うシベリナ連合の一国であり、友好国である事を知ると艦橋に居る面々と共に、ホッとした置鮎一佐である。





「ええ、ですが・・・・・・・」





 千棘と言う人物を知る人達から天使の笑みと言われる笑顔の千棘が困った顔付きに成る。



 無論、大陸に派遣され、彼女と交流を持った自衛官達も同じ感想を述べて居る。





「何か問題でも?」





「彼の国の人々は、とても変わった人々で有名なのです。」





「変わった人?」





「ええ、説明するよりお会いなった方が、分かり易いと思いますわ。」





 千棘にアセリナの人々は変わった人達であり、その実情に付いては、会えば分かると言う。



 置鮎一佐は、アセリナ艦隊との会談を試みる事と成ったのである。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午前8時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖東部河口付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 アセリナ艦隊と遭遇したダバ派遣艦隊は、アセリア艦隊との会談準備に入っていた。会談場所と成ったのは、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦かがの艦内で行われる事となった。



アセリナ軍の先触れの聖天使騎士3人とリナとハンナが空挺艦を飛び立ち、空からゆっくりと置鮎一佐達の目の前に舞い降りて来た。



 「おおっ、正しく天使」と言う声が海自隊員から上がったが、その見た目の良い幻想的な姿来るイメージは、直に打ち砕かれる事と成る。





「おおーーっ!我が友リナよ、凄いぞっ!」



 ハンナとアセリナの聖天使騎士は、何故か大はしゃぎして興奮してしまい。



物珍しい形をして居る見た事も無い艦船である護衛艦をキョロキョロと見て居た。



「魔力が全然感じられないぞっ!」



「あっ!あっちもだっ!」





「なぁ、同志達っ!」



「鉄の塊が魔力や魔法の力無しで、水の上に浮いて居るぞっ!」



 海自の幹部と隊員達からは思わず「えっ?」と言う言葉が漏れていた。



「くくくっっ。我がエクスプロン・ランサーから穿ち撃ち放たれたエクスプロトンバスターに耐えられるだろうか?」





「くくくっ、試しにあの船に向けて、ぶっ放して見たいっ!!!」



甲板に降り立ったのはヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナこと、ハンナである。





 諸国からは雷帝ことリナ・ミーサガ・リンバースとワンセットの凸凹コンビとして見られており、帝国軍と冒険者ギルドの間では、通称アセリナの頭の一番可笑しな天使。



 または頭の一番可笑しな小娘。



 もとい、イカレタ小娘とも呼ばれて居る。



 そんな頭の可笑しな娘の不穏な発言が聞える中で、1人の海自隊員が司令たる置鮎一佐に耳打ちする。



(置鮎一佐、この人達ってひょっとすると・・・・・・・・・)



(言うな。俺もその手の作品くらい見た事ある世代だ。)





 30代から20代の隊員の心内では(この人達は・・・・・・・・中二病患者だあああああぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!)と言う言葉が、シンクロして声が発せられていた。



時は2030年代である。日本のアニメ作品は多岐を極めていた。



 オタクは2000年代にあるドラマや幾つかのオタクアニメが流行り出すと、オタクと呼ばれる人種の人々は、社会的に認知を正式に受け、一般の人でもオタクが手に取っていたアニメを気軽に見る時代と成って居た。



そんな関係で、此処に居る自衛官達でも、中二病キャラが出て来るアニメは、決して珍しい作品では無かったのである。



(まさか、中二病キャラが異世界で、本当に実在して居るとは・・・・・・・・・)



(変わって居ると聞いては居ましたが、まさか、それが中二患者だったとは・・・・・・・・・)





(私はてっきり頭が良い天才か、奇行な行動を取る変人の類と思って居ましたよ。)



(これはこれで、奇行なような・・・・・・・)



 流石にサブカルチャー・アニメ大国日本でも、日常で中二病をやっているバカ、もとい、変わり者は居ない事だろう。



 精々コスプレして台詞を真似る位だ。



  実際に中二病なんてやってたら、卒業した後に黒歴史として恥かしくて堪らないものに成るだろう。



 この場に居る自衛官の面々は、ある意味で期待を裏切られた様である。



「ちょっと、ハンナ。」





「アンタ、挨拶もしないで、何を物騒な事を言ってるのよっ!」



ヒラリと空から舞い降り立ったのは、リナである。



 ここ数年間、供に一緒に居る親友であり、ハンナの保護者代わりをして居る。



リナとハンナは、シベリナ諸国の中の有力者の娘の中で、紅葉と不滅の友情を誓い合った仲であった。



 簡単に言えば、彼の猫型のロボット達の友情の誓いや三国志の桃園の誓いの話に似ていた



「おおっ!我が友リナよっ!」



「見ろっ!凄いぞっ。」



「済みません、この子を含めてアセリナの人達は、あの、そのっ、変わってて・・・・・・・・・・」



「いえ、お気遣いなく。」



「えっ?」



「ですから、お構いなく。」



「???」



 リナは首を傾げていた。



 何故か日本の軍人さん達は、アセリナの人達に対しての免疫が付いてた事にポカンとして居た。



 大抵の人達なら戸惑う反応が常なのだ。



 そして、自衛官の面々に頭を下げるリナ。自衛官らはリナのある物に注目が集まる。



(((こっ、こっ、これはーーーーーっ。)))



(千棘さんも凄かったが、これも何と言う破壊力。)



(異世界人の女性達のボディスタイルは化物かっ!?)





 思わず赤い彗星が白い奴に言い放ったみたいな例えで言ってしまう隊員達。



 千棘の豊満で、我が儘ボデイなバストもパンパカパーンな破壊力が有して居たが、リナのバストサイズは戦艦に例えるなら長門級戦艦なんて生易しい物では無い。



  彼女の胸の大きさは正に、世界最高クラスの戦艦サイズ。



 そう、敢えて上げるのなら大和級戦艦と言うべきサイズだろう。





 此処に居る自衛官らは、リナの姿と豊満なバストを見た瞬間に際して、ズドドーンと言う46センチ主砲の発砲音の幻聴が聞えた共に、巨大な主砲の幻影を見えたに違いない事だろう。





 この光景は、地球の欧米でも中々見かけないスタイルの女性を見て、此処に居る男性陣は、驚愕し目が釘付けに成るのだが、後に雷帝としての彼女と普段の素を見かける様に成って来ると「何だ、只の残念美人か」と言いガックリと肩を落としてしまう。



 そして、彼女を色物を見る目で見るようになり、真実を知った者達は、ガラスが砕ける効果音が聞え、夢から覚める事と成るのであった。





 男にとって女性に関する事に措いて、色物と言う類の人物像は、チェンジと言う言葉出るか、又は・・・はぁ~と言う溜息が漏れてしまう存在の一つなのかも知れない。



そんな中で皆が鼻の下を伸ばして美人の容姿を物色する中で冷静な人達が居る。



 既婚者や彼女持ち、もしくは、それほど美人に執着して居ない人達が話を進める。





 置鮎一佐もその1人で、既婚者であった。



 故に色香に惑わされないので、とても冷静的であった。



「君は?」





「あっ、自己紹介が、まだでしたね。」





「あたしは、リナ・ミーサガ・リンバースと言います。こっちの子が・・・・・・・・」





「我が名はヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナっ!」





「世界最高峰っ!アセリナ族の聖天使騎士一の戦士にして、アセリナ族一のエクスプロン・ランサーの使いであり、爆裂魔砲撃を極めし者っ!」





「そして、何れは、この世界を救う者であーるっ!」





「「「えっ?!」」」





「くっくっくっ、なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!」





「なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!」



「なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!なーっはっはっはっ!」





頭の可笑しな娘は、槍をクルクルと回しながら、どこぞの爆裂娘と同じ様な決めポーズを取りつつ、どや顔で高笑いをしながら名乗りを上げていた。





それを見ていた自衛官等は一瞬だけ、反応に困った。





(おい、おい、この手の娘を相手にする場合は、どうすれば良いんだっけ?)





(おっ、俺が知るわけないだろう!)





(ええっと、確か~)





(ダメですっ!。)



(此処には、アレを御せる機転の利く主人公やハレームモテ期到来の男の様な主人公が居ませんよ。)





(ああっ、そうだった。頭の可笑しな娘をいなせるのは、奇特な彼氏キャラか運が良くてクズでカスでクソマな主人公くらいしかっ!!有り得ないんだったああああぁぁぁぁーーーーーっ!!)





(そもそも中二キャラなんてっ!実在しないからマニュアルすら無いぞっ!!)





(それも日本でも、まだ描かれていない天使系中二キャラだっ!)



(対応できる人材が居るのか、如何なのかも怪しいっ!)





 ちなみに悪魔中二キャラは、ネトゲーにドハマりしてしまった駄天使キャラと共に、既に漫画やその漫画を原作としたアニメで描かれて居る作品が在るのだ。





 自衛官らはハンナの対応を巡って混乱している。





「お~い、其処の貴様らっ!心の中で、何か失礼な事を言ってないか?」





「それよりもハンナっ!ちゃんと真面目に挨拶をしないと、マーねぇにチクるわよ。」





 この時、ハンナの中で何かのスイッチがオンなる。トラウマスイッチ「オン」と・・・・・・・・・





「おっ、おおお、お姉ちゃんにっ?」



「ひっ、ひいいぃぃぃぃーーっ!!!ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル。」





「ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル。」



「ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル。」



「ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル。」



「ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブル・・・・・・・・」



ハンナはまるで何処かの小覇王に報復を喰らってトラウマを植え付けられた良家の幼女の様に成ってしまう。



 親友達は、彼女に良く言い聞かせる時に、ハンナはとっても良い子よねと言う。まぁ、脅し文句でも有ったりするのだが・・・・・・・・





「あっれー、ちょっと薬が効き過ぎたかな?」





「まぁ、あたしも人の事を言えないけどねぇ・・・・・・・」





「ねぇ、ハンナ。ちゃんと挨拶すれば良いわ。ハンナはとっても良い子だよね。」





「ホント?」





 涙目である。それも中二な台詞とポーズ取らないので、幼い顔立ちとマッチして、ハンナの事が、何故か可愛く見えてしまう。





(ふあああぁぁぁーっ!!)





(ああ、何故だろう。)





(この小動物を見る様な可愛いさは?)





(妙に癒されるううぅぅーーーーーーっ!!)





 ハンナの半泣き姿を見た自衛官等は、何故か心が、ほっこり癒される様な感覚に陥ったのである。





「本当よ。」





「皆さんゴメンナサイ。」





「改めまして、ヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナです。宜しくお願いします。」





ハンナは、その場でお辞儀をして恥かしそうに挨拶をして見せた。



 自衛官ら「今度はデレて見せた。」とか「こう言う子も、なんか人気が出そう」とか感想を漏らしていた。





 ハンナは中二病を患って居るが、実の姉とその親友や親友の紅葉の躾けをしっかり受けている為、素の顔は、とても良い子と親しい人達から言われていた。





「ホントに良い子ね。良くできました。」





 白々しくワザとらしい事を言いながら面白がって居たリナであった。



西暦22××年・×月○日・午後18時58分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・日本列島・群馬県・霧野市・堤野町・渡瀬川沿い・高見山・高見家・高見家屋敷・本館棟屋敷にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「リナお婆さんは、実は竜史お爺さんからプロポーズの告白をされて居ないんですよ。」



「「「えええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」」」と、驚きの声を上げる収録会場の見学者たち。





 そんな生放送中のテレビ画面は、過去再現映像や実在映像の放映を終えると、再び特集実録アースティア大戦とは?が生放送収録されて居る高見山中央の中腹に在る高見家本邸・本館棟屋敷と呼ばれる建物内の食堂広間へと戻る。





「それではファンの皆さんお待たせしました。」



「ヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナこと、ハンナの直系子孫に当たり、声優・歌手として活躍する人物として知られて居る人物で、彼女と高見竜史の曾孫に当たる人物で、声優・歌手として活躍する人物として知られて居る。」



「声優・歌手として活躍する人物として知られて居る人物。六花・リリロッカ・TМ・ヨシカーナさんのご登場ですっ!!」と紹介された六花・リリロッカ・TМ・ヨシカーナが、普段着に着替えて、高見家本邸・本館棟屋敷と呼ばれる建物内の食堂広間へと登場するとはち切れんばかりの拍手喝采を受けて居た。



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 その拍手は、番組を取り仕切るスタッフのタイミングで止められるのと同時に、六花は指定された席であるリリカの隣に座って行く。



「六花さんこんばんはっ!」と挨拶をするJHKの歴史関係を担当している人気番組のアナウンサー井上朝美。 



「こんばんはっ!」



「六花さんは先にもご紹介をしましたが、大ヒットアニメである中二病天使でも恋がしたいっ!!!主人公の日系翼人族系の女子高生である高梁麻理香で大ブレイクし、続く代表作であるアイドルマスターズ・オブ・シンデレラオールスターズでは、中二病アイドルの金崎蘭。」



「他にもご注文は子猫ですか?のシャロア。乙女ゲームの悪役令嬢に転生しちゃった・・・・・・のカタリーナ・スエクラでも知られて居る人気声優さんです。」



「そんな方が、まさか英雄さんのご子孫であるとは、感慨深いですね。」



「実は私最近まで特に気にして居なかったです。そもそもハンナおばあちゃんや竜史おじいちゃんたちが、そんな大それた事をしていたなんて知らなかったです。」





「でも、お母さんである蘭花さんは知って居られたと取材で明らかに成って居ますが?」



「はい。母は役者を中心とした芸能人に成りたいと言う夢を叶える為に、群馬県・霧野市から東京に近いさいたま市の大学に入学。」



「実家の支援は受けて居ましたが、アルバイトや劇団の裏方仕事をしながら陽の目を見る日を夢見て居ました。」



「ですが、25歳の時に同じ劇団員だった父との間に六花を身籠り、家庭に入る為。当時のさいたま劇団との提携関係に有った浦和総合芸能事務所株式会社に就職し、役者の夢を諦め、私が産まれました。」



「それ以降は実家から自立して暮らして行ったと言う理由と実家を当てにしたくない理由から、産まれた私には実家の話は特に話す理由も無いなかったそうなんです。」



「ですので、高見家は遠い親戚と言った感じで、ややお金持ちのお家だなぁ~としか見て居ませんでした。」





「あ~だから蘭花さんは、毎年の娘へのお年玉は少なめにと言う訳だ。」と呟く竜一郎。



「関心な心がけですね~」と言う幸本興行株式会社に所属する人気タレントである明日田高次は、にこやかにコメントを述べていた。



「それに母の生家にも、今日初めて入ったですね。」





「ええっ!?初めてですか?」と聞き返す明日田高次は、驚きの言葉を言う。



「はい。実家である高見家に来るたびに、この本館に止まるか、リリカちゃん家に泊まる事が多かったので、入った事が無かったです。」





「それに付いてですが、お母さんである蘭花さんからは、六花に贅沢な暮らしを覚えさせたくない。自立した大人に成って欲しいとの理由から、実家の充実した暮らしを敢えて隠したとの事です。」





「そうだったんですか?知りませんでした。」





「でも霧野市に来た時に、リリカちゃんのお家に泊まってたから、リリカちゃんってば、ソコソコ良い所のお嬢さんだなぁ~とは思ってたんですけど・・・」



「家は高見家とは自立して居るから、私的にお金の受け取りは無いわね。」



「殆んどリナおばあちゃんやアリサおばあちゃんの遺品関係や遺産があるお陰で、今でもソコソコ良いくらしが出来ているだけだよ。」





「リリカちゃん、何で言わなかったの?」





「あ~、お母さんと蘭花さんに口止めをされて居ただけなのよ。ごめんね~」と言う感じに、親戚であり、姉妹の様な友人関係を垣間見えると言う人気声優との親戚関係の姿に、視聴率がググっと上がったのであった。



 JHK特別放送・特集実録アースティア大戦とは?の番組は、益々視聴率を上げつつ、次なるエピソードが流されて行き、番組は続いて行くのであった。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午前8時27分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖東部河口付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



頭の可笑しな娘ことハンナの可愛さが、別の意味で爆発した娘であった事が発覚し、場が思わず和んだ中で、話す機会を伺って居た置鮎一佐は、リナの名前個人の名前の話題から話に入る。



 挨拶も兼ねた雑談から入る事で話し易い雰囲気を作り徐々に話の幅を広げる事が狙いで有った。





「所でリナさんですか、随分と変わった名前が入って居る様ですけど・・・・・」





「ああ、ミドルネーム事ですね?」



「父方の先祖が、コヨミ皇国からお嫁を貰った人が居るんです。」



「その人の次男で分家を起した人が、私の家の直系の祖先なんですよ。」



「その時に由緒ある苗字だからと、受け継ぐ事にしたらしいと聞いて居ます。」





「そんな理由から、昔から真ん中に、コヨミ皇国系のファミリーネームを代々を入れて居るんです。」





「ですが、随分と前の話ですので、ダバード・ロード訛りやユーラシナ大陸西方地域系の発音訛りが混じったせいか、すっかり正確な名前が分からなく成って居るんですよ。」





「リナさん。ひょっとしたら、その真ん中の名はミーサガでは無く、御坂では無いでしょうか?」





「えっ?!分かるんですか?」





「はい、我が国にもコヨミ皇国と似た文化が有るので、ひょっとしたらと。」





「そうですか。ミッサカ ミサカ、ミサカ、御坂か。」



「有難うございます。我が家のルーツに関する名前が長らく不明でしたので、あっ、そう言えばお名前を伺って居ませんでしたね。」





「おっと、失礼しました。」



「私は日本国の国防組織である海上自衛隊所属で、当艦隊の司令官をして居ます。」





「置鮎竜次郎一等海佐です。」





「他国の人から見れば、国防軍ですね。」





「階級も分かり辛ければ、大佐に当たります。」





「えっ、ニホン?」





 日本と言う国名を聞いてリナは驚いていた。



 デコモリン少佐が次の依頼先として指定した国家だったからだ。





「何か我が国の事でご存知ですか?」





「はい、実はある依頼でシベリナ諸国の連盟で、コヨミ皇国へ行くように言われて居るんですが、その依頼で行く先がニホン国と聞いていたので、とても驚いている所です」





「そうでしたか。」





「それにしても少し前に、噂話には聞いていたけど、まさか本当だったなんてね。」





「何か?」





「いや、依頼の説明を受けた時に、ニホンが何だか凄いと意味不明な説明でしたので・・・・・・」





「そうでしたか。」





「それにしても壮観ね。」





「これなら・・・あっ、そうだ。」





「置鮎さん達って、コヨミ皇国から出発して来たんですよね。」



「ええ、コヨミ皇国の万代港経由で、ダバード・ロード王国に向かう途中です。」



「えっ?ダバード・ロードに?」



 リナは一瞬だけ戸惑い顔付きが嫌な物に成ってしまう。





 故郷での仕打ちが政治的で、リンバース家を守る為とは言え、余りにも酷い事で有ったので、今では捻くれた気持ちや何も出来ない憤りから故郷とアーヤ女王の事を何だが苦手意識を持つ様に成って居り、故郷から成るべく距離を置く様に成って居た。



「何か?」



 置鮎一佐は、リナの表情を見て、やや心配に成ったので、リナ事を気に掛けた。





「いいえ、何でも有りません。」





「ただ、コヨミ皇国に立ち寄ったのなら、皇女であるの紅葉を知らないかなぁーと思っただけですので・・・・・」



「それで、置鮎さんは紅葉に会ったこと有りますか?」





「ええ、何度か。」



「コヨミ皇国で、会う機会に恵まれましたので、任務に関する会議の席や世間話程度の会話くらいですが・・・・・」



「ああ、確か出発前に、スマホを買ったからとお互いに撮った写真が、幾つか有ったな。」





「シャシン?」



 置鮎一佐は、ポケットの中にしまってあるこの世界では、日本と一緒に地球から転移して来た国家の勢力圏以外では、使い物にならないスマホを取り出し、写真のデータを取り出す。



「はい、これですね。」



「うわぁっ!?何ですかこれ?」



「これは通信機器の一つで、スマートホンと言って、遠くの人と会話する道具なんですが、他にも色々と機能が有るんですよ。」





「その中のカメラ機能を使って写真と言う絵を撮れるんですよ。」





「確か紅葉殿下も日本で買われたとか。」



「へぇーっ、あの子らしいなぁー、新し物好きで、好奇心の塊だものね。」



「写真を撮るには、本当はカメラと言う専用の機械を使うんだけどね。」



「他にも何枚か有りますよ。」



自衛官で紅葉と面識がある者達は、何度かカメラで写真を取る機会に恵まれていた。



 紅葉は、自分の顔を覚えて貰う一環として、進んで写真を取らせて居たのであった。



 この行為が、後に大量に歴史上の資料として残ろうとは思わない紅葉なのであった。



 リナは、タッチ操作で写真を捲って貰いながら画像を見て行くと、5年ぶりに見る親友の姿を見詰めていた。



「随分と大人に成ったわね。」



「何を見ているのだリナよ。」



「ほら、ハンナ。」



「おおっ、我が友の紅葉ではないかっ?!」



「それでっ、何なのだこれは?」



 子供の様に目を輝かせてスマホを見詰めるハンナ。



「その説明は後でしてあげるから。あっ、これは・・・・・・・」



それは集合写真だった。



 中央に日本とコヨミ両政府政府の要人が並んでいる。



 紅葉の真横には、見慣れない格好をした若い男が座って写って居た。





 これを見たリナは、にんまりとニヤけていた。



(へぇ~っ!アイツ、男が出来たんだ~っ!)



 紅葉は若い男性を隣に居させる事を必要が無い時以外は、滅多にさせない事で有名であった。





 そんな彼女が若い男と公式記録に残る物で一緒に居る。





 これは極めて珍しい事で有った。



 これは親友の間柄では、目を疑いたくなる事である。





 紅葉は皇族と言う生まれのせいで、特定の男性と特に親しい関係を避けてきた経緯が有る。それが何故か親しそうに隣り合わせに写真に写って居た。



「如何かしましたか?」



「いえ、あっ、シャシン、有り難う御座いました。」



「いえ。」





(くくくっ、あの負けず嫌いがねぇーっ!)



(後で会ったら、揶揄ってやろうっとっ!)



(そうだっ!誰かに、この事を手紙なんかで言わないとね。)



 まさかこの写真の男との付き合いが、ハンナや他の数名の親友らと共に一生涯続く関係に成るとは、今の彼女には想像すら出来て居なかったのである。





 無論、リナとて例外では無かった。





 其処へ、アセリナ王国軍の指揮官の一団が空から舞い降りて来た。



「どうやら堅苦しいフンイキは、無くなって居るようデースネ。」



「ニホン国軍の司令官は、ドナタデスーカ?」



「此処よ、デコモリン。」



リナは、声を上げ手を振りながら自分と自衛隊の指揮官である置鮎一佐の居場所を報せ、デコモリンを誘導する。



すると自衛官らは、また別の反応をする。



(今度は、カトコトの妖しい喋りの子か・・・・・・・・)



(もう、俺は何を見ても驚かないぞ。)



(何所までネタキャラが出てくるんだこの世界は?)



 そんな彼らは、ロリババアと世間では噂されて居るドラグリア白龍大帝国のエリノア・ドラグリアことエリンの大人化への変身を見ると、更なるネタキャラが出て来たと腰を抜かして驚くのであった。



「スミレイン・デコモリン少佐デース。ヨロシクお願いしマース。」



「此方こそ。置鮎竜次郎一等海佐です。」



「大佐だそうよ。デコモリン。」



 デコモリンは、リナの説明に頷くと早速、本題に入る。



「置鮎大佐、この度の両艦隊の衝突に付いては、オタガイに不問としたいのデスガ。どうでショウカ?」



先に言いたい事を言われた置鮎一佐は、そのまま黙って了承する。



「ええ、此方もそう言おうと思っていました。」





「知らなかったとは言え、申し訳ない。」



「いいえ、こちらも隠密行動を取っていマーシタシ、まさか透明化魔法を看破するなんて想像すらして居ませんでしたカラーネ。」



「何はともあれ、怪我人が出なくて本当に良かった。」



「それでは我々は任務に戻りマース。」



「はい、お気をつけて。」



「ソチラも良い航海を。」



 お互いに、それぞれの形式の敬礼をして別れ様とした時だった。



「デコモリン少佐あああぁぁぁぁーーーーーっ!!」



「少佐、あれは?」



「我が国の国境警備隊の人みたいデースネ。」



国境警備隊のアセリナ兵が、かがの甲板に降り立ち、慌てた表情である事実を伝えて来たのである。



「大変です少佐っ!東部国境警備隊の偵察隊とアルガス公国軍のレジェンダリア諸島の守備隊から火急の伝令が来ましたっ!」



「今朝方から帝国軍の軍船と輸送船の船数が更に増えつつあり、一部の軍艦が出撃態勢の模様である。」





「同諸島の南部に、グリクス地方軍団所属の竜騎士航空隊による散発的な空襲が始まったと伝えて参りました。」



「ああ、遂に始まりマシタカ。」





「任務ご苦労様デース。我が国の国境も守備を固めてクダサイネ。」





「置鮎大佐、聞いての通りデース。アナタ方は如何なさいマスカ?」



「くっ、やはり避けられないのかっ!?」





「今から我々は緊急会議をするぞっ!」





「各艦の艦長と陸自幹部は、かがに集まれと伝えろっ!」



「了解です。」



直に通信をする為に隊員が艦橋へと走って行く。



 置鮎はデコモリンに振り返ると、改めて如何するかを聞く。



「我々は自衛隊は、ダバ派遣艦隊と本国政府と協議をした上で、今後の対応を決めます。」





「恐らく帝国とやり合うでしょうね。少佐はどうしますか?」



「申し訳ありマセンガ、積荷が有るので我々は、一旦寄港地へと向いマース。」





「ですが、同盟国を助けないと言うのは、外交的な問題が有りますので、我が部隊から12名聖天使騎士とヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナ少尉・・・ハンナを派遣しマース。」



「分かりました。お預かりします。」



「それと其処に居る雷帝の魔導師と言われるリナ・ミーサガ・リンバースも一緒に行かせて下サーイ。リナ、お願いできマスカ?」



「はぁ~しょうがないわね。」



「報奨の方は、別枠で用意して置きマスネ。」





「では置鮎大佐、アセリナの聖天使騎士は、扱いがムズカシイので、其処のリナに良く聞いてクダサイネ。」



「それでご武運を・・・・・・・・・・・」



「其方も・・・・・・」



デコモリンは空へと舞い上がり、その場を去って行く。置鮎一佐は、緊急会議をする準備に入って行ったのだった。





 こうして、後の歴史書には、ブラキュリオス湖畔紛争と呼ばれる戦いの幕が切って落とされ様として居た。





 本格的に両軍が衝突するまで、あと3日前の出来事であった。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午前8時37分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖東部河口付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



スミレイン・デコモリン少佐の率いる空挺艦隊を見送った後、海上自衛隊西部方面派遣艦隊・通称ダバ派遣艦隊は、陸海の司令官以下、各艦の艦長及び自衛官幹部、陸海のヘリのパイロットと陸自の各車両部隊を指揮する隊長に緊急招集が掛けられる。





 主だった一同は、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦かがの多目的区画と言う場所に集められていた。



多目的区画とは、会議や出動などでブリーフィングなど、幅広い目的で使われる場所である。





 ひゅうが型にも在り、かなり広いスペースが有るので、特に今回のような大所帯な会議に打って付けであった。





なお、この場には、コヨミ皇国の高雄瑞樹と愛宕千棘。



アセリナ王国から派遣された12名聖天使騎士。





 同国のヨハンナ・リリロッカ・ヨシカーナこと、ハンナと史上最悪にして最強の魔導師である雷帝と謳われるリナ・ミーサガ・リンバースが参加している。



そして、この場所で今後の重要な方針が決まろうとして居た。



 会議場に集まった幹部自衛官らの目の前には、ダバ派遣隊の総司令官の置鮎竜次郎一等海佐。



 副司令の井上一彦一等陸佐が立って居た。



 会議の口火を切ったのは、総司令たる置鮎一佐である。  



「それでは緊急会議を始める。」



「みんなも大凡の話は聞いているだろう。」



「今し方、アセリナ王国軍の伝令により、複数の情報筋からの報せで、このブラキュリオス湖の中央に位置するアルガス公国領のレジェンダリア諸島に対して、帝国軍の地方軍であるグリクス地方州・グリクス地方軍団の軍勢が侵攻する見込みが確実との事だ。」



各自衛官らが、ざわつく。



「静粛にっ!静粛にっ!」



「司令・・・・・・では、我々は帝国と?」





「いや、それをこれから決める。」





「今此処で帝国と戦えば、国交開設準備中のシベリナ連合との友好が確実となり、帰環時の航路の安全は確実に成るだろう。」



「また、取り合えずこの場は任務を優先し、帰りに帝国領となったブラキュリオス湖を全力で押し通る方法も有るが、これはシベリナ連合各国の日本に対する印象を悪くするし、此方にも少なからず被害が出るかも知れない。」



「だから此処に居るみんなの忌憚の無い意見を言って欲しい。」





「今直に戦うか、それとも帰環時に強引に押し通って最小限に戦いで帰えれるかをだ。」



「置鮎一佐。何故、我々にそんな事を敢えて聞くんですか?」



「まぁ、悪く言えば、我々自衛隊に取っての言い訳が要ると言いたい。」





「成らば、やりましょう。」





「リナさんや瑞樹さんらの話によれば、アルガスの守備兵や騎士団は、今は建て直しの最中で、その人員構成はまだ若い若者ばかりと言う話だそうです。」



「それに女性騎士も、それなりに多いと言うじゃないですか。」



「そんな人達を戦わせて、俺達は、少しだけ弱った帝国軍を嬲りながら帰国する卑怯な真似をするって言うんですか?」



「確かにそうだが、良いのか?今の状況では、シベリナ連合各国と臨時の相互防衛協定だけしか結んでいないとの事だ。」



「そんな中で、碌に連携を取れていない国を現場の判断が優先されると有るとは言え、自衛隊が進んで助ける事は、後で野党議員の先生方がうるさいし、反戦運動の槍玉に挙げられるんだぞっ!!」



「構いません。」



「言い換えれば、此処は大局的に国益と外交の益にも叶う上に、若い人命を多く救えるのですから。」



置鮎一佐は海自の反対は無しと見て、井上一佐に眼をやる。頷いた井上一佐は皆の前に出ると陸自メンバーに問う。



 それに今の日本国では、ダバ派遣艦隊に与えれて居る権限はある程度大きい。



 現場の判断も優先されて居る。



 後は国内問題をどう切り抜けるかに掛かって居るが、余程の事態にでも成らなければ、問題無い筈た。



 更には、シベリナ連合各国の臨時の防衛協定が結ばれて居るとの話も有るので、心配の種は、日本国内の反戦団体くらいだった。



「陸自各幹部に反対、または意見はある者は?」



「戦車隊及び車両各中隊は、この戦いに参戦に賛成します。」



椎名ひかる三佐以下の車両を扱う各隊長は、立ち上がって賛成を示した。



「ヘリ各部隊も同じく。」



「右に同じ。」



黒多宗近一尉と東地秀矢一尉以下の各ヘリ部隊長も賛成した。





「だそうです。勿論、私を含めた普通科部隊も反対は無しです。」



「置鮎さん、後はあんたの決断しだいだ。」





井上一佐が、そう言い終ると彼は命令を発した。





「そうか、ありがとう諸君。」





「ニホンって所は、戦一つするのに、こんなにも大仰な事を言ったりするの?」





「あたしや他所の国が見たら凄っくヘン。」





リナは会議の一連のやり取りを見た上での率直な感想を述べて居た。





「あはは、耳が痛い。」



「リナさん、貴女の言う通りだよ。」





「家の国は、一つ戦闘するに手続きがいるし、現場の判断でやる場合も事後承諾か、判断責任を後で取らされる。」





「これが民主主義の文民統制国家の限界なのろうなだ。」





「だが、今はやらなければならない。」





「其処でだ、高見交援大臣から渡された封書を開封する。」





「笹沼、開封時刻を・・・・・・・」





置鮎一佐の手には、竜史から手渡された2通の封書の内の一通を持っていた。





「ええっと、時刻は・・・・・・10時30分丁度です。」





「俺が封書なんて物を開ける事に成るとはな・・・・・・・」





封書の指令書なんて方法を取るのは、前大戦以来だろうか?少なくとも、今の自衛隊が、機密文書での指令のやり取り事態が、ほぼ有り得ないのだから・・・・・・





「置鮎一佐、今は愚痴よりも・・・・・・・・」





 笹沼二佐が苦笑を浮かべながら言う。 





「ああ、分かってる。現時刻を以って封書された指示書を開封する。」





 開封を開封すると、中に書かれていた事は以下の通り。



一つ、帝国との已む負えない大きな戦闘に巻き込まれ、または回避不可となった場合は、交援大臣の権限の一つである最高司令官代理として、これを許可する。



一つ、戦闘までに連絡可能な地域に居る場合は、高見竜史と日本国自衛隊大陸派遣隊司令部基地に一報を入れて欲しい。空自の支援を含めた対策を此方でも検討したい。



 一つ、なお、連絡が取れない場合は、置鮎竜次郎司令官の采配に一任する事と成る。



一つ、日本国とコヨミ皇国との協議の結果、揚陸艦隊の前線指揮官を高雄瑞樹大将、副官に愛宕千棘中将とするが、実際の指揮は自衛隊が執る事とする。



 ダバ派遣艦隊の自衛隊は、現地の地理と情勢に詳しい二人の助言や相談をして貰いながら、円滑な作戦遂行をする事。



一つ、現地軍との協調を優先とするが、全軍の指揮は自衛隊の司令官とする。



 この件に付いては、コヨミ皇国に駐在する各国大使を通じて、各国の元首及び関係閣僚と各省庁、国軍ははダバ派遣艦隊が西へと向かって居る時には、既に話し合いが終わって居る事と成って居る筈と成って居るので、存分に力を発揮されたし。

                             

  以上

                           

  高見竜史 交援大臣。 





置鮎一佐が封書を読み上げ終えると、その場いる全員がその内容に驚いて居た。



 封書を手配した竜史は、政治・軍事に措いて、全くの素人の民間雑用のお飾り大臣に過ぎない。



 彼は三国志の著名な軍師たる諸葛亮孔明の様なノリで、妙計を置鮎一佐等ダバ派遣艦隊に手渡していた。



 これが三国志の劉備やその配下の将軍なら、喜んで孔明の企てを活用する事だろう。



 だが、此処に居る自衛官らは、その事を素直に喜べずに居る。





 素人同然の竜史が、外務大臣や軍司令官たち顔負けの駆け引きをして居る事に、驚きを通り越して、呆れて何も言えずに居たのだった。





「置鮎さん、高見くんは、如何やって、この内容を纏めたのでしょうか?」





「知らん。俺も知りたいくらいだ。」





「彼は少し変わって要る性格の青年で、雑用くらいにしか役に立たない若者だと思う。」





「社会人として経験も無いし、組織での仕事も全くの素人だ。」





「それが何故?」





 笹沼二佐の疑問をリナが答えた。





「それは、その高見とか言う素人大臣だけの力じゃないわ。」





周りの視線が一斉にリナに向く。





「それはどう言う事かな。リナさん。」





 置鮎一佐はリナに問う。





「ふっ、答えは簡単よ。」





「全部、紅葉が影で動いて居るからよ。」





「紅葉皇女殿下がか?」





「ええ、紅葉が企んで色々と裏で手を回して居るわ。」





「ニホン政府も交渉事が妙にやり易かったりしなかった?」





「そう言えば・・・・話し合いが妙に上手く行き過ぎて居ると、各省庁の官僚達がぼやいて要るとか聞いたな。」





「あの子は政治には、興味は薄いし、口を挟まないけど、自分と自国が危ない時にする交渉の根回しは上手いわよ。」





「親友のあたしが言うのだから、まず間違いないわよ。」





「親友だからこそ分かる裏事情か・・・・・・・」





リナは紅葉との関係に付いて、特に公言して困る事では無いが、言い触らす事でもないので、質問が無ければ言いふらすことを果て居ない。





「その高見とか言う大臣も、かなりのやり手ね。」



「紅葉の地位やあの子の企みを知った上で謀を共謀して居る様だし、紅葉も色々とニホンや彼の地位を利用して居る。」





「いや、共闘して居ると言っても良いわ。」





「共闘ね。」



 とてもそうは見えないと誰もが思って居た。



 あの二人の関係は、如何見ても暴君の姉が弟を猫可愛がり(いびりながら利用してるとも言う)している様な関係にしか見えて居ない。



 それを例えるのなら、ハリセンを持った女子高生が、傭兵をしている軍曹殿と一緒に居るような感じだ思う。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午前8時43分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖東部河口付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 会議は更に続く。



 リナは日本人の困った性格に呆れつつ、話を進める。





「本当にニホンは、何かするのに、物事を型に嵌めたがるのね。」





「あんなに凄い物を作れる国なのに、一方では頭が固い。」





「その雑用の大臣様は、実戦で伸し上がるタイプよ。」





「政や戦場で常識を無視が出きるやり方が得意な策謀家・・・・・いや、卑怯者ね。」





「それって例えるなら、ゲームでルールや設定を無視する卑怯なやり方を悪党とは別の意味で、平気な顔でこなす輩の事じゃ・・・・・・・」





 表裏卑怯者と言う言葉がある。



 彼の真田昌幸が日本中の諸大名から言われた言葉だ。



 この場合の卑怯とは、ずるくて嫌な奴と言う意味では無い。



 その意味とは、ずる賢くて、とても頭が良い意味に当たる。



 リナは竜史の事を卑怯な手口を堂々とやって居る事を評価して居る様だった。



「まぁ、この件は此処までにして、折角の高見くんの好意だ。」





「この際、大いに利用させて貰うじゃないか。」





「笹沼、早速だが、自衛隊大陸派遣隊総司令部への通信を入れてくれ。」



「はい。」



笹沼二佐は通信機を用意する様に連絡を入れた。



 10分後。士官室に通信機が運ばれ、CICを通じて自衛隊大陸派遣隊総司令部に連絡を試みた。





「所で瑞樹さん。千棘さん。」



「お二人は揚陸艦隊と前線での指揮官をする件の事をご存知でしたか?」





「いいえ、特に言われて居ませんでした。」





「ですが、愛海様は、わたし達の将来を見据えての事だと思うわ。」





愛実の思惑は、コヨミ皇国の将である二人に、自衛隊の戦い振りを直接その目で見て来いと言うものだろうと思われた。



 まだ、この世界で自衛隊の全力攻撃を何処の国も見て居ないのだ。



 愛海はそれを直接見せようと画策し、経験まで積ませようと言う抜け目のないものだった。





 だから愛美の下から派遣された二人には、派遣先で自衛隊との共闘する艦隊の指揮をお飾りの立場で行う話は敢えて言って居なかった。





 置鮎一佐は、出発の日の事思い出して居た。





「あれは、こう言う時の為の打ち合わせだったらしいな。」





「置鮎さん、何か?」





「いいや、何か嵌められたと思ってな。」





「それは兎も角、通信を自衛隊大陸派遣隊司令部に繋げよう。」





CICで通信士の隊員によって多目的区画からの通信機を用いた通信を自衛隊大陸派遣隊本部の司令部への無線通信機による呼び出しをする。





「繋がりますかね。」





「この辺りの距離なら、ギリギリの距離かも知れん。」





「あっ、そう言えば、そろそろ新型の通信衛星やGPS用の人工衛星が打ち上げられるとか言う話が、我々が日本を出発する前に、ニュースで言ってましたね。」





「ああ、あのアマテラス計画の事か?」





 アマテラス計画とは、日本が次元転移に遭った直後に既存の通信・気象・GPSなどの人工衛星が不足して居るのを補う為の計画だ。



 幸いな事は、日本上空を含めて地球から転移して来た国家で、自国上空の人工衛星も一緒に転移して居た事だった。





 しかし、世界全体をカバーするには、総数が圧倒的に足りなさ過ぎるのだ。



 今までは、アメリカ合衆国を中心とした勇士連合の名の下で、地球全体をカバーする人口衛星機能を共同活用が成され居てが、それも今や僅かに過ぎない物しか、手元には存在して居ない。



 其処でシベリナ連合のある地域と地球からの転移国家の上空で、人工衛星の使用範囲に穴の有る場所を全て無くす計画が立てられて居た。





「それが今頃なら、我々に取っても大変に助かるが、そう都合良く行くものなのか?」





 すると通信士の隊員が声を上げた。





「しっ、静に・・・・・・・・」





 CICに居る船務科の隊員が、息を呑んで通信士を見守る。





「此方はダバ派遣艦隊、旗艦かが、自衛隊大陸派遣隊司令本部へ、応答願います。」





「は・・・い・・・・こち・・ら、自衛隊大陸派遣隊司令本部です。」





「置鮎一佐、繋がりました。」





「おおっ!!」





「かがへ、如何しましたか?どうぞ。」





「今、置鮎一佐に代わります。」





 置鮎一佐がマイクを取る。





「ダバ派遣艦隊司令官の置鮎だ。」



「ダバ派遣艦隊の現在位置は、アルガス公国の領内のブラキュリオス湖に停泊して居るのだが、同地域で問題が発生してしまって居る。」





「この地方のローラーナ帝国の地方軍であるグリクス地方軍団に動きが有り、レジェンダリア諸島に侵攻して来る事が確実との情報が入って居る。」





「至急、交援省に居る最高司令官代理である高見交援大臣に繋いで欲しい。」





「分かりました。暫くお待ちください。」





二人は、それから10分くらい待つ事になる。





 一方の竜史はと言うと・・・・・・・・・・・





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・ 6月5日・午前9時00分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・日本列島・日本国・福岡市東側郊外地域・神部町・異世界国家交流総合支援省・交援省防衛監督指令室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 





 交援省の防衛監督指令室に呼び出された竜史は、自分のデスクに座り通信を受けた。



「高見大臣。ダバ派遣艦隊司令官の置鮎一佐から通信です。」



竜史は、ダバ派遣艦隊から通信が来たと聞いた時、予測していた事態が来たらしいと悟って居た。



「竜史です。何か有りましたか?」



「君は落ち着いて居るな。」



「置鮎さんも、慌てた様子では無いですね。」



「此処で皮肉の混じったジョーク言っても仕方の無いな。」



「君も予想して居たか、情報を掴んで居たかは知らないが、帝国軍がアルガス公国領のブラキュリオス湖の中央に位置するレジェンダリア諸島に侵攻を開始しようとして居ると思われる。」





「其処でなんだ・・・・・・・・・」





「ええ、良いですよ。」





「そうかって、ええ?」





「高見君、幾らなんでも説明を言い終わらない内に、即答するのは、早過ぎないか?」



 

 置鮎一佐は、竜史からの武器使用の無制限許可をアッサリと許可する事にツッコミを入れる。



「既にお膳立ては、此方で全て済んで居ます。」



「オマケに、シベリナ連合に属する国家の承認は得て居ます。」



「後は総理と内閣と国会で事後承諾と言う形で、承認して貰えば問題ないでしょう。」



「でも、今すぐには・・・・・・」



「それも緊急時に措ける対応と言う事にして居ますし、何より今は貿易路の安全が最優先ですしね。」





「それに南方から日本へと送られて来る物資は、日本国内の3割程度しか賄えないと聞いて居ます。」



「此処でパイプ・ライン大河の交易路を失う事は、食料・資源・輸出輸入先を一気に失う事に成ります。」





「何より北方の穀倉地帯とドラグリア白龍大帝国との国境付近に接する国からの資源供給先は、我が国の死活問題にも成りますからね。」



「何より燃料たる石油・石炭・ガスは、オホーツク地域とインドネシアを含む旧東南アジア地域からしか輸入が出来ません。」





「戦略資源物資の輸送と貿易商船が極端に少なくなって居る状態の今、輸送コストがバカに成らない。」





「噂では、ドラグリアには石油、石炭、天然ガスが腐るほど在り、その使い道を知らずに、そのまま放置されて居るとか。」



「現政権の与党や無派閥の議員や中立政党なんかは、日本国の存続政策を優先して居ますし、何より転移した暫定政権の在るハワイのアメリカ、ウラジオストク市を含む諸島が在るロシア極東地域。」





「そして、この世界にやって来た事で、念願だった完全なる独立国を宣言した台湾は、食料や燃料や生活物資の早期供給を求めて居ます。」





「これ等の事を考えると、残り時間が余りありません。」





「無茶を承知で言うのなら、交渉と初期開発を同時並行して、やらなければ成らないと聞いて居ます。」





「ですから遠慮せずに、ご自由に、周りの迷惑が掛からないのなら、与えられた裁量権の範囲で好きにやって下さい。」





 置鮎一佐は思わず絶句してしまった。



 好きにやれと、一民間人である竜史に、此処までの政治力が有るとは思えない。



 それは合っている。





 何故なら竜史は全て人任せにしつつ、チェックと入ってくる情報を元に動いて居るだけであるが、プロには予測がし難い素人の所謂、ビギナーズラックと言うもの。





 そんな素人感とオタク的な知識に基づいて行動して居た。



 周りの人材のサポート有っての無茶でもあるのだった。





「分かった。其処まで、準備が出来て居るなら安心だ。」





「後は・・・・・・・」



「此方も無茶言って済みません。」





「ですが予定では、間も無く後続の支援艦隊が合流出きる筈です。」





「その他の支援の準備ね整えて有りますよ。」



「だったら、せめて最後まで、説明なんかを言わせてくれよ高見君。」



「くくくっ、置鮎さんの言いたい事は、大体想像が付きます。」



「ズバリ、航空支援ですよね。」





「来て欲しい時間だけ指定して貰えれば、直ぐにでも出せますよ。」





「取って置きのエース達を送り込みますので・・・・・・」



竜史は、万代市の空自基地で待機して貰って居る神谷達空自隊員達にも、メールを入れ置いた。





 派遣に関する内合わせは、この後のスケジュール調整日程時間が決まり次第、チャット通信を使って行うと書かれて居る。



「置鮎さん、取り合えず作戦が決まったら司令部に、作戦概要を無線で連絡をお願いします。」





「後ですね、アマテラス計画が上手く行ったそうです。7機の人工衛星が打ち上がったそうです。」



「打ち上げに成功した三葉重工は、高笑いが止まらないとか聞きましたけどね。」





「今後、更に打ち上げるそうですよ。」





「ダバード・ロード王国の辺りまで通信とGPS、衛星からの監視が可能に成りました。」



転移前から計画されて居たとは言え、これほどの衛星の打ち上げは簡単では無い。これには裏が有るのだった。





 転移前に三葉重工業は、世界各国からロケットの受注を請け負って居たし、その撃ち上げロケットや人工衛星もチョッと中身を改造して使用目的合わせたりして打ち上げられて居る。



 そんな訳である意味、開発費がタダに成って居た。



 ちなみに支払いは既に済んで居るので、損が無ければ得しかない。





 そんでもって、その衛星の打ち上げが成功しまくりなので、高笑いが止まらないと言う訳であった。





「了解した。では作戦内容が決まったら、また報せる。」







置鮎一佐とのやり取りを終えた竜史は、携帯で大陸の自衛隊司令部に連絡入れた後、安元総理にもダバ派遣艦隊が帝国の地方軍と戦闘に成ると伝えた。



 安元は内閣でレジェンダリア諸島に措いてアルガス公国軍を支援して、同地の安定化を図る為の作戦を自衛隊が行う事を承認したのだった。





アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午前9時26分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖畔・アルガス公国・モンブラン州・ブラキュリオス湖東部河口付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





竜史との通信を終えた置鮎一佐。



 竜史のご都合主義も良い所と言った感じの段取りの良さに舌を巻きつつ、後は行動に起こすだけと成った。



「本国と交援省との連絡は取れた。」」



「我々自衛隊の戦闘行為に関しての行動は、一切の問題は無いとのお達しだ。」



「通信衛星や監視衛星も使えるぞっ!」



「それでは、自衛隊創設以来の武器の無制限全力攻勢と言う訳ですね。」



「そうだ、全力と言うのには、少々規模が小さいけどな。」



「それでは、我々日本国自衛隊西部派遣隊・ダバ派遣隊は、これより、ブラキュリオス湖の南部から侵攻して来る武装勢力に対して、自衛戦闘にて対処する。」





「引き続き作戦と編制に付いて協議する。」





「瑞樹さん、千棘さん同地に付いての説明をお願いします。」



席を立つ二人が前に立ち部屋が暗くなる。



 パソコンに接続され、繋がれたプロジェクターが、事前にスキャニングで取り込んで置いたブラキュリオス湖の地図が映し出される。





 手書きだが、これが今一番の出来の良い地図だった。



 指揮棒を持って瑞樹が、スクリーンを指す。



「レジェンダリア諸島は、大小12以上の島から成る場所です。」



「此処は諸島の内側と外側の水位が違います。」



「内側は徒歩でも近くの島に渡れる場所が在り、水路に気を付けなければ座礁してしまうでしょう。」



瑞樹が簡単な説明が終わると、笹沼二佐が話しを引き継ぐ。



「敵の動きは偵察機や衛星写真の結果待ちだが、先ほど衛星写真の試写が本省を通じて司令部経由で送られて来た。」



「衛星写真?ではアマテラス計画は成功して居るのですね。」



 アマテラス計画が、上手くいった事を知った隊員の1人が声をあげる。



「ああ、そうだ。これを見てくれ。」



 スクリーンに映し出される写真に「おおっ!」という声が全員から聞える。



「これは凄いわね。」



「おお、これは如何やって描いたのだ?」



 雷帝様と頭の可笑しな娘は、超高高度からの衛星写真の画像に食い付いて来た。



「異世界の皆さんは、初めての方も多いので簡単に説明します。」



「これは空の上の空間である宇宙と呼ばれる所から書き写した物です。」



「宇宙?」



リナは理解が追いつかない様である。



「この世界では、宗教的な禁忌にも触れるかもと言う国や人も居るかも知れませんが、はっきり言いますね。」



「この世界でも物理法則や森羅万象が、我々が居た地球とほぼ同じで有るならば、世界は球体の形をして居ます。」



「その周りに向けて、人工の機械を飛ばし、我が国では、気象や地上の様子を随時監視したり、映像や通信のやり取りをして居るのです。」



「へえ~、こんな物が出回るようになれば、戦争や日常での暮らしが一変するわ。」



「うああぁぁ~・・・・・」



リナは人口衛星の将来像に驚きつつ、感心してしまう。





 一方の頭の可笑しな娘は、子供の様に目を輝かせて居た。



「千棘、これは戦が変わるわっ!」



「偵察の危険を冒さずに済むし、無駄も手間も省ける。」



「ええ、でもこれって軍事機密か国家機密に成らないのかしら?」



 当然の疑問が投げ掛けられる。



「いいえ、内部の設計や核心的な技術の情報でなければ、一般国民でも知ってる事ですよ。」



「簡単な詳しい事が知りたければ、国交が結ばれた後にでも、正規の手続きを取って我が国に来れられれば、開発研究機関等へ見学を申せ込めば、一般公開で見られる場所もあります。」



「それに基本的な部分は、日本国内の書店や図書館等で、書籍で閲覧して見られます。」



「ですが、一から作ると成ると、気が遠くなる様な年月と途方もないお金が掛かりますので、当面の間は皆さんのお国では無理でしょうね。」





「それにロケットと呼ばれる物を打ち上げるのにも、人気の少ない場所でないといけないですので・・・・・・・」



「それは残念ね。」



「まぁ、帝国が仮に人工衛星の内容情報を知ったとしても、今はお伽話しにしか聞えないでしょうね。」





「衛星に付いての説明は此処までだ。」





「問題である帝国軍の動向に付いて、意見が有ったら言って欲しい。」





 置鮎一佐が、話しを衛星写真の内容に戻す。





「ほぼ、ブラキュリオス湖の南部一帯に大規模な木造艦隊と見慣れない造りの艦隊が見られる。」





「シャッポロ川と言う川が、南東へと流れて居るが、この付近にも軍船が多く集まって居る様だ。」





「空挺戦艦も居るわねぇ・・・・・・・・」





 リナが、冷静に写真を見て発言する。





「やはり、そうですか?」





「空中に浮いてる様にしか見えないと、写真を分析した隊員は、言って居ましたが。」





幾つかの写真に、数隻ほど空挺艦が飛んで居るのが写って居るのが見受けられた。





「なら多数の飛竜や大型の竜種も多数投入されるわよ。」



「大規模な兵隊と一緒にね。」



「この黒い部分はひょっとして?」





隊員の1人が、写真の写りが悪いと思える黒い影が、見える場所に指を指して言う。





「間違いないわね。揚陸帆船に乗せる為に、待たせてある重騎竜よ。」



「他にも大型の魔動力揚陸船に火竜や巨竜、装甲竜、翼竜も居るわね。」



「ちなみに飛竜と翼竜は別種よ。」



「名前をただ聞いて居るだけだと、同じ種類と勘違いして居る人も多いから注意してよね。」





「リナさん。詳しく教えて貰えませんか?」





「えっ、どうしてなのよ?」



リナは自衛隊側の反応を不思議に思った。



 この世界の住人ならば、詳しくは無くても聞いた事くらいは有る知識だからだ。





「我々は異世界から来たと言ったと思いますけど。」





 笹沼二佐が、リナに事前の説明を思い出す様に促した。





「ああ、そう言えばそうだったわね。さっきの機械の説明と逆の立場に成るのね。」





「ええ、そうです。」



「我々に取って魔法や竜、亜人と言った存在は、架空の創作物か、お伽話しにしか登場しませんから、偏った知識しか無い部分も有ります。」





「そんな訳だ。詳しい情報が有れば、対処もし易い。」





置鮎一佐と笹沼二佐のコンビが、竜種関係の情報を求めてきた。



 何せ自衛隊・・・日本人が知っている竜と言えば、古い伝承かアニメやゲーム等の二次元創作に出て来るものしか知らないだろう。





 竜に対する攻略方法を知って居ても、ゲームやアニメ知識と同じとは限らないかも知れないのだ。





「全く知らないって言うのなら、絵図なんかが有れば良いんだけれど、贅沢も言ってられないか。」





 リナは説明の為に前と出る。





「くくっ、我が友リナは、彼のドラグリア白龍大帝国の大帝の4番目弟子なのだ。だから竜種には、ちょっと詳しいぞっ!!」





偉そうに友の自慢をするハンナ。





「おお、それは心強い。」と言う自衛隊の面々。



 それに気分を良くした頭の可笑しな娘は、調子に乗って言った。





「ドラサダとも諸国から言われて居るしな。」





「ドラサダ?」





この場に居る自衛隊員で、オタクでは無いがある作品を見た事がある一部の隊員はある事が想い浮かんで居た。



ドラゴンを避けて跨いで徹という魔導師の事をね



 そして、誰も聞いて居ないのに、この頭の可笑しな娘は、余計な口を滑らせるのであった。





「無法で好き放題の暴れて、泣く子も黙る大型ドラゴンや竜人族でも、逃げて跨いで雷撃から避けて逃げると言う。」





「「「やっぱり!」」」と自衛官達の声が数人から漏れ聞えて来た。





「だ~れ~が~やっぱりですって?!」





 バチバチと電撃が彼女の周りで光り始める。





「ふざけんなコラーっ!こちとらっ!好き好んでこんな人生に成ったんじゃねえええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」





「リナさん落ち着いて、この艦には、数多くの電子機器が有るんですよっ!」



「強力な雷撃と電磁波の類は、物凄ーくっ!困るんですけど、それと・・・・・・・・・・」





リナは雷撃は理解したが、電磁波の事は何の事だが理解が出来なかった。そんな彼女に笹沼2佐が耳打ちする。





「ううっ、それは悪かったわ。」





「いいえ、此方こそ。(ふうーっ。まさか彼の作品の人物みたいに気性が激しく、激昂し易い人の様ですね。)」





心の中で、くわばらくわばらと、笹沼2佐が言う。





(迂闊だったわ。)



(この船の動力を含めた部品や装置が、あたしの財産が一瞬にして、吹き飛びかねない所が、一カ国分の年間国家予算並みの値段が付くなんてね。)



(今後は、気を付けようっと・・・・・・)



「それとハンナ。」



 リナはギロリとハンナを睨み付けながら言う。



「???」



 困惑するハンナだったが、何でリナが起こって居るのかが、分からないうっかりさんなのである。



「後でオ・シ・ヨ・キ・ね。」



「ひいいぃぃーーーーっ!!ガタガタブルブル。ガタガタブルブル。ガタガタブルブル。ガタガタブルブル。ガタガタブルブル。ガタガタブルブル。ガタガタブルブル。ガタガタブルブル・・・・・・・・・・・・・・」





こうして、ハンナに新たなトラウマがここに植えつけられた。



 竜に付いての種類は以下の通りである。



 自衛隊側はリナからの説明を聞き、凡その姿は想像できたのである。



 これ等を日本人でも分かり易いように騎竜兵科が扱う物として纏めて書いて置く。



なぉ、此処に書かれて居る名前は、兵科や一般の人々が認識している種別名前なので、種類ごとに名前が有るが、此処では省略させて貰って居る。



重騎竜 



 トリケラトプスに似て居る。



 頭部に3本の角を持ち、鎧の様な堅い皮膚を持って居る。大砲や突撃突進させて、白兵戦に用いられる。



速竜 



 ディプロドクスにている。



 素早く陸上を駆け回り、竜騎兵隊と呼ばれる騎馬隊と同じ兵科に用いられる。



 足が速いので伝令にも最適とされているが飼育費がバカ高い。特に肉食であるので、特に肉代が高いのだ。



火竜 



 大型の竜で、どちらも30メートルの身長を誇る。



 陸上タイプと空中タイプの2種類ある。長距離の火炎放射や火炎弾を吐ける。



 唾液や胃液が油に近く、それらは脂肪から滲みで居るとされて居る。



 口から吐き出す火炎は、粘着性の高い胃液と唾液の混ぜ合わせ、口径ないで魔力と静電気を使って吐き出している。



恐慌竜 



 ティラノサウルス似て居て、パワーと瞬発力があり、人間を丸呑み出来るほど凶暴である。乱戦を狙って投入される。



 装甲竜 



 装甲タイプと剣竜タイプがある。



 アンキロサウルスとステゴサウルスに似ている。



 荷物運搬と戦場での白兵に用いられる。



翼竜



 腕の無い翼を持った竜で、腕が翼に進化している。



 高温のブレスが2種類があって、火炎放射と火炎弾がある。



 飛竜とは見た目が違って、40メートルから50メートル前後とやや大型、プテラノドン見たいなタイプやゲームに出て来そうな腕の無いドラゴンタイプの種類を指して居る。



 飼育がし辛いタイプで有るが、飛行距離が長く、パワーも有る為に、数匹で籠を用いた運搬作業や上空からの強襲突入作戦にも使用される。



 亜種タイプには、かまいたちを発生させてバリヤーや竜巻を発生させられる種類も有る。



飛竜 



 日本やこの世界では、ゲーム等で一般にワイバーンと呼ばれている種類。



 この種類にも火炎放射能力と火炎弾が有る翼竜との違いが分かり辛いと言われて居るが、飛竜は20メートル以下で、腕がある種類を主に指して居る。



 とても飼育がし易く、多くの国で飼育されて居る種類の竜である。



水竜 



 河口から内陸の水辺で暮らす龍種で、首長竜と体の青い羽の生えた種類も居る。



海竜 



 首長竜タイプで海岸から沖合いの海で暮らして居り、放水攻撃や凍結魔法を使う事もある。



 海上船を牽引させられる力が有るので、軍や国、個人商会で飼育されて居る事がある。



魚竜 



 獰猛で巨大な身体を持つ竜で、海中を泳ぐ。モササウルスに似て居るらしい。



「以上が主に自然界や国家で飼育されて居る竜に付いてよ。」



「生身で真正面から戦うのは、無謀と言えるわ。」



「正面からで無ければ良いのですね。」



「そうだけど。」



「それなら問題無いですね。」



「???」



不適な笑みの笹沼二佐を始めとする自衛隊の面々は、おっかない生物相手に、真正面から戦う気など更々無いのである。



何せ日本の映画や子供むけのヒーロー番組には、怪獣相手に地球防衛隊や自衛隊、ゴ○ラ対策部隊は、正面から挑むシーンなんて余り無いからだ。





 リナの説明が終わると笹沼二佐が、対竜戦の何らかの資料が作られないかと思った。





「近い姿の生物の絵かイラストが無いか、司令部へ問い合わせましょう。」



「高見くん辺りなら、知ってそうだけどな。」



「まっ、今回の戦闘で真正面で、実際に竜と対峙するのは、井上さんたち陸自に成るだろうがな。」





「おいおい、置鮎さん。俺達にリアルモンハンしろってか?そりゃ、冗談キツイぞっ!」





「あははっ、戦車も対戦車へりも無ければ、実際に、そうなるな。しかしながら、此処には有るじゃ無いか。」





「俺達や空自の奴らならミサイルや砲弾で済むけどな。」



「「「「「あはははっ!!」」」」」



送られて来たのが、古代の恐竜絵図と大人気ゲームのイラストだったりする。



 自衛員がこの場で言った冗談が後の戦場で何度も起きるのだが、其処で活躍したのがモンスターをハントするゲームで、そのゲームでドラゴン狩りに手馴れた自衛官達だったりする。





 彼らは特戦よりもレンジャー持ちの自衛官よりも手馴れた動きで、しかも全員が生身で、次々手と帝国の巨大生物兵器を狩って行ったと言う。



 その者達は竜退治のスペシャリストとして自衛隊内で、3番目の特殊部隊にして怪異生物対峙専門の部隊と成ってしまうのだった。





「情報が大体は、出揃ったな。」





「後は現場近くで、持って来てある民間用のドローンを使って、空から偵察をすれば、情報面に不安は無い。」





「では続けて、艦隊編制を発表する。」





 置鮎一佐は、続けて部隊編成を発表を始めて行く。

ブラキュリオス湖畔紛争・・・・・・・・それは、アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午前9時45分に、置鮎竜次郎一佐が指揮を執って居る西方面海自派遣艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣艦隊・略称名・ダバ派遣艦隊が、ダバード・ロード王国へと向かう途上で、ガミトフ・バイマン中将が率いるローラーナ帝国・グリクス地方軍団と激突した戦いの事を指して居ます。





 両軍が激突したのは、ダバ派遣艦隊が、グリクス地方軍団によるアルガス公国・レジェンダリア諸島侵攻の気配を見せた事から、帰国の帰り道でもあるブラキュリオス湖航路の安全確保を目的とした迎撃作戦を展開する事を決断した為に巻き起こったアルガス公国・レジェンダリア諸島の攻防戦でした。





 この戦いに措いて、置鮎竜次郎一佐を司令官とする日本国・アルガス公国・ドラグリア白龍大帝国・アセリナ王国から成る合同作戦軍である日シベ合同作戦軍とガミトフ・バイマン中将が率いるローラーナ帝国・グリクス地方軍団とが、本格的な戦争へと突入し、激突した最初戦いとして知られて居ます。



 この戦いでの別の戦線では、ダバード・ロード王国も参戦して居り、自国領近くのローラーナ帝国軍の要塞や基地。



 砦や見張り陣地と言った要地を撃破しつつ、敵の備蓄倉庫を襲って、物資や資金調達をしつつ、陽動作戦を展開し、遠方から同盟諸国を支援に踏み切ったのは、当時のダバード・ロード王国女王であった、アーヤ・シュチュ―ド女王の英断と決断力であったと言われて居ます。



 この戦い結果、ガミトフ・バイマン中将が率いるローラーナ帝国・グリクス地方軍団の総兵力の9話8分を失った壊滅的な敗戦と成った事により、グリクス地方内陸部へと撤退する事に成りました。











 その緒戦の戦いであるマルダ平原の戦いで、ブラキュリオス湖畔紛争の戦いの火蓋が切って落とされたと言われて居ます。





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月日・午前4時30分頃に開始された、アルガス公国・レジェンダリア諸島の攻防戦でした。





 緒戦であるレジェンダリア諸島 カントルナ砦近郊上陸撤退戦と同じく激しい攻防戦であったとの供述書と映像記録が残って居り、アースティア世界大戦末期の戦史を知る貴重な映像記録としも知られて居り、歴史学者たちが様々な視点から議論が白熱するエピソードの一つと成って居ます。





 この戦には、偶々付近に居た ローラーナ帝国に誘拐されて、行方不明に成って居た姉であるレナ・ミーサガ・リンバースの足跡を辿る目的にで、各地のローラーナ帝国軍を襲って居た紅花園の誓いの一人であるリナ・ミーサガ・リンバース。 



 アルガス皇国軍のクリスティーナ・マケッンジー。 



 頭の可笑しなよ放浪のアセリナ族人であるハンナ・リリロッカ・ヨシカーナと言った面々が出そろい、アースティア世界大戦末期の英雄譚物語の初期名場面とも言えるエピソードが此処から始まったと言えます。 



三人は偶々合流し、この戦いに参加する事に成ります。





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月5日・午後16時00分頃の事です。





 この日、夕方にアルガス公国軍と日本国自衛隊との会議が、アナハインム城内の大会議室にて召集されました。





アルガス公国軍の最近の偵察で得た情報は、以下の通りと成って居る



 空挺戦艦20隻 空挺竜母艦20隻 空挺重巡洋艦15隻 空挺巡洋艦30隻 空挺駆逐艦60隻 空挺帆船戦艦が200 魔導陸上戦艦30隻 魔導陸上揚陸艦50隻、帆船戦艦300 帆船輸送艦500





 グリクス地方軍団側の全兵力は、凡そ40万人程度と成って居たと有ります。





 そして、グリクス地方軍団と帝国軍をこれまで阻んでいたのはブラキュリオス湖と言う湖の広さであり、船が中々揃わなかった事に有りました。







 そんなグリクス地方軍団を相手にする事に成った置鮎一佐は、グリクス地方軍団と戦う為に、一計を案じた策を披露します。





「これから説明をする作戦と言うのが、有体に言えば、敵側に侵攻作戦を遅らせる為に、奇襲による遅滞遅延作戦ですね。」



「まぁ、陽動作戦も兼ねて居ますが。」



「それが、妥当でしょう。」



「具体的には、如何するの?」



 クリスも賛同し、リナがその内容に乗り気で居た。



 その手の戦いは、彼女の十八番だからだ。



「はい、護衛艦きりしまとヘリコプター搭載護衛艦いずも、ひゅうがを中心とした護衛艦隊の一隊と、艦内に持って来て居る全てのヘリコプター使用した少数精鋭部隊を編成し、奇襲部隊として、敵地へと奇襲します。」



「ヘリコプター搭載護衛艦・・・・・と言うと、あの水上基地とも言える大きな鉄船を用いて、帝国側陣地へと攻勢を掛けると言うのですか?」



「その通り、闇夜に紛れ、神速を以てして、神出鬼没に敵地への攻撃する。」



「そして、護衛艦きりしまはイージスシステムと言う監視装置を持って居ますので、敵側の動きは逐一分かりますし、護衛艦に配備されて居る偵察専用のヘリも出撃しますので、攻守に万全を期した体制での奇襲作成に成ります。」



「如何でしょうか、お二人とも?」



「決行は?」とリナは、途轍もなく真剣な眼差しで聞き返します。



「準備が整い次第、今夜にでも。」と置鮎一佐は、直ぐ答えました。



 アルガス公国軍側の指揮官クラスの騎士達を中心に周囲はざわつきます。



「面白いですね。その奇襲作戦、是非ともやりましょう。」





 クリスの一言で、アルガス公国軍側は、この作戦への参加と決行を決断する。



 置鮎一佐の作戦とは、護衛艦きりしまとヘリコプター搭載護衛艦いずも、ひゅうがと搭載されて居る陸自海自の全ヘリ部隊を用いた奇襲作戦でした。



 この場に居た両者は、一致団結してダバ支援艦隊の到着するまでの間、奇襲攻撃によるゲリラ作戦を決行する事と成ったのでした。



 後の歴史では、この戦いの事をレジェンダリア諸島・カントルナ砦近郊上陸撤退戦と呼ばれ、置鮎一佐が提案した作戦の事をグリクス地方奇襲作戦または、グリクス地方奇襲戦と呼称されて居る。









グリクス地方奇襲作戦・グリクス地方奇襲戦





 置鮎竜次郎一佐が指揮を執って居る西方面海自派遣艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣艦隊・略称名・ダバ派遣艦隊が、40万人ものグリクス地方軍団と言う大軍を相手に有利に戦うべく考案した奇襲攻撃作戦のこと。



 グリクス要塞近くに展開して居た補給部隊や移動部隊に加えて、複数の砦や中規模の要塞を開戦前に殆んど叩いてしまおうと言う物である。





 この戦いで初戦に必要な兵力や補給物資や資金を失ったガミトフ・バイマン中将とローラーナ帝国・グリクス地方軍団は、更なる無理を強いられ、ブラキュリオス湖畔紛争を戦わねばならなくなったと言う。





アルガス公国・モンブラン州・モンブラン州都・ファン・ブランク市



 ブラキュリオス湖の軍事拠点であるレジェンダリア州との連絡港でもあり、モンブラン州の州都であもある軍事拠点と貿易港として栄えているアルガス公国西側の重要な拠点都市。



 アースティア世界大戦後は、パイプ・ライン大河の中継港の一つとして、東西線貿易の要の一つとして、栄えてつつ、東西南北の繋がる鉄道網のユーラシナ大陸間鉄道のシベリナ鉄道・シベリナ中央地方線が通るターミナル駅が置かれ、南へは地下トンネルでユーラシナ大陸南部へと向かえる様に成った。



アルガス公国・モンブラン州・モンブラン州都・ファン・ブランク市への歩き方。



 近隣諸国から航空便で2時間。鉄道で3時間。水上船・陸上船で5時間。バスなどの自動車事故で4時間。





アルガス公国軍・駐屯居城要塞・アナハインム城





 アースティア世界大戦以前からあるアルガス公国・モンブラン州を守る居城の事で、公国政府直轄領の一つとして、公国軍幹部が守りに付いて居る。



 ブラキュリオス湖畔紛争では、作戦会議とアルガス公国本土とレジェンダリア州との連絡と補給物資の保管拠点として使われて居た。



 アースティア世界大戦後は、アルガス公国軍の拠点がブラキュリオス湖のレジェンダリア州・レジェンダリア諸島に移転した為、戦後復興改革の拠点としてアナハインム城は、ファン・ブランク市の市役所として使われた。



 しかしながら、30年後に近代化都市を造るべく、新市街地が増設される事に成り、ファン・ブランク市役所は、アナハインム城から移転され、未来世界ではアナハインム城・アースティア世界大戦記念博物館と成って居る。



 主な展示物は、ブラキュリオス湖畔紛争とそれ以前の歴史を紹介するものに成って居るが、ブラキュリオス湖畔紛争の模型展示を交えた、生映像の紹介展示は、毎年数万人もの観光客に大好評だと言う。





アナハインム城・アースティア世界大戦記念博物館への歩き方。



 ファン・ブランク市駅から、旧市街地に最寄りの交通機関で15分。徒歩で30分。



 近隣諸国から航空便で2時間。鉄道で3時間。水上船・陸上船で5時間。バスなどの自動車事故で4時間。