異世界の国々が驚いた異界国家日本は本当にすごーいデス~ネ

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月1日・午前8時00分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・九州地方・福岡県・福岡市・福岡市東部郊外地域・神部町・異世界国家交流総合支援省・第一会議室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 





 第一次龍雲海沖海戦で捕らえられた捕虜たちを収容するべく、福岡市内に一時的な設置されて居た捕虜収容所は、瀬戸内諸島に移転して居た。



 日本政府は、捕虜収容所の跡地と成った場所に、新たに異世界国家交流総合支援省こと、略称名・交援省本拠地である本省庁舎へと建物を改装して使う事を決定した。



国会への対応の為に東京第1支部、北部方面の国々との対策と対応の為に、第2支部を札幌市に設置し、不測の事態などに備えて居る。





東京支部では、霞ヶ関の厄介者と呼ばれるほど、安元総理の近辺での真面目に働きが良すぎて、色々と自国党内の内情に詳しく成り過ぎて、厄介者に成りつつある若手の議員、白洲志郎議員(30歳)が副大臣を務めて国会への実務や対応に当たって居た。





彼が国会での対応に当たり、国会での厄介事から大臣たる竜史を遠ざけて、本省や最前線と言う現場での執務に支障が出ない様にして有るのだ。



 白洲副大臣が竜史の代わりに国会の会議に出席して居るのは、政治家では無いと言う理由と、国会対応の執務は政府与党の国会議員が引き受けると言う竜史からの条件提案を受けての事だった。



 安元等の方も、竜史に異世界国家への対応に専念させたいと言う思惑も絡んだ事も有って、丁度良い塩梅の関係と成って居る。(竜史もなるべく国会の騒ぎには関わりたくないと内心では思って居た。)





 竜史が大臣で有る限り、何らかの呼び出しは掛かる場合は、確かに有るだろう。



 竜史は、余程の重要な事柄であれば、閣議や国会の会議に出なければ為らない。





その判断は、総理である安元が、その時々の状況に応じて決める事にして居る。



 交援省大臣は、現場での活動を優先させると決められて居り、その事に付いての法案制定は、閣議と国会での審議に掛けられ賛成多数で可決されて居る。





交援省の役目、それは異世界に措ける日本や地球系転移国家群と異世界国家群等らを支援し、相談や雑用を任せる為に万屋省庁なのである。





 基本、頼まれれば何でもやるが、流石に常識の範囲でと言う事に成って居る。



 まぁ、糖分過多の武士モドキの万屋坂○氏よりも真面目な仕事をして居るが、この省には曲者揃いの面子が集まって居た。





異世界国家交流総合支援省は、日本と友好国(地球転移国家及び、国交を持った異世界国家)、国交開設準備段階の準友好国、国交開設交渉を持ちかけられた国家、又は準国家未満及び部族諸勢力などからの相談・交流・支援する事を活動の理念として居る。





この項目の日本とは内閣と各省庁と都道府県から持ち掛けられた異世界に関する相談と支援である。



 手伝え、相談に乗れとか言われれば、お呼びと有らば即参上みたいな感じの宇宙の始末屋と言った感じで、雑用係りとして動く事が求められて居る。





例えるならば、彼の某有名怪獣映画で、組織された巨災対みたいな組織だと思って貰えれば良い。



 交援省大臣の立場も内閣特命担当大臣扱いと思って貰って構わない。





紅葉の予言のでの指名と、何らかの役職に付けると物語では書かれて居るが、日本政府も一旦は、国会議員で特命国務大臣を決め様と、異世界転移対策委員会を一時は、設置して会議をしたが、紅葉は絶対に決まらないし、決められないだろうと予言して居た。





 まぁ、それは予言しなくても当たるんだけどね。





 その会議の纏めでは「では、この議題は、次回のまでに各々で相談した上でと言う事で」と、どこぞの国家擬人化キャラ漫画見たいな日本の風刺の光景を表した様な結果と成っていた。





流石の安元は、正直言ってイラっとしたと言う。



 紅葉の予言が当たったと言うよりは、日本の決められない、決まらないの行政機構に心底、苛立ちと溜息が漏れた瞬間でも有ったのだった。



 其処で安元は、閣議内で提案する。この際ダメ元で民間人採用で良いから、派閥も、しがらみも無い。



 全くの素人である竜史の採用を決め、与党内でもその案を渋々決める事にしたのである。





 彼はあさくら号事件の被害者である。





 その竜史を採用する名目は、民間人で、何所の政党にも所属して居ない事が上げられるし、この二次元的な世界に関する知識も有る。





 その手の作家や監督を連れて来るのも、招致した相手にも迷惑なので、いっその事、被害者でオタクなら採用するのに打って付けだと、半ば投槍の様な感じであった。







表向きには、外からの危機を理解している若い民家人として発表し、大々的に宣伝して居る。



 それも自国党とは、無縁の無所属の大臣として扱う事に成って居た。





それなので、採用契約書に細々と規約の綱目を書かれた文書を国会議員の全てに手渡された。





 その1例を挙げるならば、こうだった。





例えば「ゴルフやお酒の席などの接待のお付き合い」致しません。「選挙の応援行為」致しません。



 「各党各会派の勧誘」お受け致しません・・・・・・・等々、国会内で竜史を何らかの政治利用をする行為及び交援省大臣の任命状が無くても出きる行為は一切関わらない。



 採用時の顔合わせで、竜史が契約内容に付いての説明で、一言、一言、○○を致しませんと読み上げると、二項目からは内閣の閣僚等は、○○のと読み上げる形で続くと、何故か致しませんを連呼する。



 某失敗しない女医が登場するドラマでも見受けられた、致しませんシリーズの台詞の連呼を、その場に居た閣僚らが、誰に言われたのでもなく、そのドラマみたいな名シーンの様に次々と聞いて行ったと言う。



 それらの契約事項を確認を終えると安元と内閣閣僚の一同が全会一致で決めたのであった。





個人の付き合いまで制約が設けられて居ないが、政争関係の話はしない様にと各議員に通達が成されて居た。





 安元は、竜史の事を国会内での政争の争いから、避けさせる事を徹底的に決めていた。





 竜史を日本国政府の一協力者として扱うとして、彼が決められた仕事を遂行するために協力を求められた場合は、関係省庁及び民間機関の協力をお願いする場合が有ると成って居る。





なお、最高司令官代理制度は、自衛隊が第2次世界大戦後、初の外征出動に当たり、交援大臣は外征する自衛隊の監督役を総理と政府から委任される形で代理任命される。





 これは「戦争はんたーい」と叫ぶ連中への配慮をしているぞ!と国民にアピールも入っていた。





 何せ、民間採用の特命大臣が見張って居ると言う建前なのだから・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 これにより急な戦闘等での国外もしくは近海での自衛隊の出動にも即応対応出来るし、攻め入る時も、必要以上に敵地への攻撃を止められる役目を担って居るストッパーでも在るのだ。





異世界に措いて、大規模な通信網の喪失と早期整備が不可能な状態で、通信機器のタイムラグによる時間差は、自衛隊と諸外国の軍事関連の行動に、致命的な結果の可能性が考慮される。



 主に外地での活動をして居る交援省と交援大臣の現地での素早い対応能力が、必要と考えられての処置だった。





万が一国会で、問題が起こって居り、総理と防衛大臣が動けなく成り、自衛官が自己判断で戦闘に成るの方が、後々の面で国内に措いて面倒だがらだった。





 其処で交援大臣が現地政府等から支援を求められた場合、交援大臣が一番近い位置に居る部隊に出動命令が出せる事にも成って居る。



 それ以外は、総理と防衛大臣と相談するとされて居る。





 例えの組織を挙げるなら、人型汎用決戦兵器を扱う特務機関や勇者なAIロボット軍団組織に対して、政府から軍の行動を委託すると言う様な形だろう。





 それでも、この方法は現実的でないと言う意見も出て居るが、既に日本は今まで居た地球とは、全く違う世界に来て居るのだから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 それは兎も角、この交援省の立ち上げに至る感じは、丸で巨大不明生物対策室ならぬ、未知の世界対策省たる交援省の発足と規約に纏わる話に付いては、凡そ、こんな感じで有るのだった。







 異世界国家交流総合支援省は、コヨミ皇国の在るユーラシナ大陸・コヨミ半島から地理的に近い福岡市東郊外地域・神部町に設置されて居る。





 30階建て形式の元マンションで4棟、更に隣に4棟が建ち並びつつ、その周囲の無人住宅地50軒と商業ビル5棟を含まれて居る。





 現在、その一画には、シベリナ連合各国の外務連絡事務所が設置されて居る。





 其処に来て居る人達は、日本の厳重な審査をバスし、渡航が認められた外交官や官僚達が、自国の連絡事務所の所長と職員として来て居る。





 交援大臣に就任した竜史は、幾つかの実績を出して居た。



 紅葉と力仁国皇のコネと人脈を使って使者を立てずに、各国家や人材に手紙を出して貰って居るのだった。





 紅葉の方も竜史と日本を利用して居るし、竜史と一緒でお互い様と割り切っても居た。



 使える手なら、親の七光りだろうと上司のコネでも何でも使う、高見竜史と言う青年は、色々と実績や学歴の無い一般人である。



 例え昭和の著名な外交官としても知られて居る白州次郎と同様に、東洋のラスプーチンの様だと世間から呼ばれようとも、お構い無しなのだ。





日本政府は、竜史がラクロアナ王国との接点もたらした実績に加え、ラクロアナ王国とロシアとの日本の仲介による協定が結ばれ、更にはレビル・アブヒム・ラクロアナ国王の病を治療に至った経緯は、偶々とは言え、相手国にメイいっぱいに貸しを作った事には変わりないだろう。



 これで彼の国は親日に傾くのは確実で、食料生産国であるラクロアナ王国に取り入る実績を作り出したのは、素人でありながら、国会と各省庁でも無視が出来ない事柄なのであった。





  福岡市東部郊外地域に在る異世界国家交流総合支援省に勤めて居る面々は、各省庁から推薦、又は派遣されて来た職員及び官僚と民間採用の公務員として集められた人材が占められて居た。





 各省庁の名前が○○課として、職員用の部屋が割り当てられて居た。





 交援省発足した直後に執り行われた入所式及び始業開始式では、全体朝礼が行われ、便宜上の統括官と成った林史也課長が声高に挨拶で、こう言った。



「この省庁での発言と行動は、今後の人事の進退に置ける査定に響かない。」



「役職や省庁間での縦割りは、ある程度は気にないで好きな意見を出し合い協力し合って構わない」と官僚の筆頭である厚労省から派遣された厚労課(厚労省から派遣された職員の部署)林史也課長が顔合わせの前置きで言って居る。





 今日は交援省が始まって初の大臣と各課の課長を始めとする幹部官僚が集まる初のミーティング会議である。



 竜史を筆頭にして、交援省に派遣配属された各省庁の官僚職員達は、交援省内に在る会議に集まり、ミーティング会議が始まった。

 



「それでだ、これがコヨミ皇国で色々と調べて現在分かって居る事だ。資料を配るから、みんなで共有して欲しい。」と資料が配られた。





・この異世界では、過去に4度も世界規模の大戦が行われ、今は4度目の真っ最中、しかも600年続けて居る。





・東西勢力に分かれて、東側勢力が押し負かされそうに成って居る。





・その東側勢力である反帝国勢力で、戦える国力が残った勢力は、凡そ3勢力。シベリナ連合、ミンフィル王国東南諸国同盟、リユッセル北欧同盟のみ。





・シベリナ連合 アセリナ王国、アルガス公国、ラクロアナ王国、ダバード・ロード王国、コヨミ皇国、ドラグリア白龍大帝国、オローシャ帝国の7カ国、





・リユッセル北欧同盟 アルビオン王国、ガリア帝国、ヒスパニア皇国、オーランタ商業都市連合国、デボン王国、コーランド王国、スカジナビア王国、ホムル王国、レイオス皇国





・ユールッハ地方、この世界で作られた地図を見る限り、ヨーロッパに似ていた。細かい細部は違うが、大まかに似ている部分は在るだろう。



 主に北と南に分かれて戦って居る。この世界でも一番に古い地方で、かつては世界の中心地だった。



 ローラーナ帝国は、地球で言うイタリア半島に似て居るローラーナ半島を本国としている。



 同地方は、南北の戦線で一進一退の攻防を繰り返しており、我が国としては、何とかして北部のリユッセル北欧同盟諸国との接触を図りたいと、シベリナ連合諸国と調整を進めて居る。 





・ミンフィル王国東南諸国同盟 ミンフィル王国 セラルーノ王国、クララ王国、ナカハラドラス部族国ドワーフ テルリーナ部族国(魔族) フェルニー部族国ダークエルフ クラ市国(都市国家) ラクサ市共和国(都市国家)



・レノア地方に付いて。レノア地方は、カレールーナ帝国(西側)とミンフィル王国(東側)の二大勢力が同地方での覇権を巡って争っている。 



 ミンフィル王国は、人間が中心と成って治めていた国で、国内には数多の他種族が暮らしているが、それらに対しての圧制が続いて居た。



また、カレールーナ帝国とは、元々同盟と言う名の従属を強いられて居たが、5年前に、少数派部族と貧困層の人間達が大反乱する。



 その結果、革命に由って反乱軍のリーダーであるユーゴ・ラーシルズ(当時16歳)が周囲からの懇願と民衆の支持を得て戴冠、王位に付いた。



 この時、前政権の国王であるザグナード・ミンフィル王(45歳)に政略結婚で嫁ぐ為に来ていたイリナ・カレールーナ(当時15歳)は、年老いた相手との結婚を嫌がっていた事もあり、結婚式当日に城内に攻め込んで現れたユーゴ・ラーシルズに一目惚れして結婚を迫って、序でに新生ミンフィル王国の国王になる口実を提案したと言う。



ユーゴは、正式に戴冠して国王に成ると、ミンフィル王国国内各地を転戦して国家を統一する。



 同ミンフィル地方を完全掌握した。



 その後、帝国ことローラーナ帝国とカレールーナ帝国側を嫌って居た諸国と同盟を結んで、一大勢力を築いたのである。



 また、レノア地方の東側には、地球からアセアン諸国とEU諸国の飛び地の島領や他の島国が転移して来ており、外交と国境をどうするのかを転移国家諸国からの相談が交援省に寄せられ来て居る。



今後も動向が目が放せない地域と成って居る。







転移国家諸国の動向に付いて・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 地球からの転移国家は今の所、自領を守るので精一杯の様子。



 アセアン諸国は比較的安定して居るが、貿易が停滞しそうに成りつつある。



 早期の異世界国家との国交を開設したいと言って居るが、当面は従来どおりの日本との貿易で何とか耐えて貰いたいと話し合って居る。



 その他の国々も似た様な状態である。





転移してきたロシア極東エリアの地域は、ラクロアナ王国と言う隣国との国家協定を交援省の仲介で結ぶ運びと成った。



 現地へと行った交援省の外交課の職員は、ラクロアナ王国は周辺地域の中で食糧生産が盛んらしいと言う報告書を提出して来て居る。



今後の交渉次第では、転移国家諸国と共に食料貿易が期待されて居る。







・ジブチとソマリア地域に付いて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





ジブチとソマリアは海賊退治の最前線として地球では良く知られて居た。



 ソマリアは日本の戦国時代みたいな感じの勢力図に成って居て、各部族間の抗争が続いて居た。





 今は日本が音頭を取って、連合政府を樹立しないかと各勢力と話し合いにより掛け合って居る。





 でないと国所か、ソマリアの住人の全てが危ないと各指導者や住民に訴えて居たが、それでも旧多国籍軍に抵抗する勢力は居る様だ。



 其処で日本とアメリカ、ロシア、EU諸国の多国籍軍は、日本政府と転移して来て居る暫定政府の要請を受け、抵抗が激しい沿岸部のソマリアの海賊を一気に制圧。



 降伏したり、協力的な暫定ソマリア政府と各勢力の現地民に、現状の説明を映像付で放送した。





テレビの無い地域には、アメリカ軍等が出向いて日本製の大型テレビを設置させて安元総理が住民へ現状の説明を放送した。



 国の隅々まで放送網を設置して、現時点の危機を知らせた。





 多くの市民が不安に成ったが、日本を始めとする転移国家は見捨てないし、応援すると言って安心させる事に努めた。



 同地の防衛をフォークランド諸島を中心としたEU諸国の飛び地諸島とその軍勢やアメリカ軍の余剰艦隊と陸軍部隊、その他の多国籍軍が防衛する事と成って居る。





 ジブチも引き続き多国籍軍に協力して行くと言ってくれて居た。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月1日・午前8時10分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・日本国領海・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・ローラーナ帝国領海・龍雲海沖近海域付近・ドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺魔導艦隊集結地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  



6月1日の午前8時過ぎ、一週間ほど掛けて念入りに準備をして行く、ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊こと、ローラーナ帝国・第一外征艦隊。





 彼らは、遂に日本国へと威力偵察を兼ねた軍事侵攻作戦を開始する。





 ローラーナ帝国・第一外征艦隊は、ドラグナー皇国の新王都・サリヴァン市港を出港し、全艦隊を龍雲海の入り口付近で艦隊集結を開始。





 その艦艇数は、傭兵扱いされて居る海賊艦隊を含めた艦隊合計で、何んとっ!2330隻にも成って居た。



 その先方の艦隊にはヴァロニカ・サークラ・レアモン旗下に在るドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺魔導艦隊の旗艦で、全長が200メートルも在ると言う空挺魔導戦艦レビアナ中心にして、ドラグナー皇国艦隊総数30隻から成る空挺魔導戦艦隊が集まって居た。



 空挺魔導戦艦レビアナを始め、ドラグナー皇国の空挺魔導戦艦の見姿は、その全てが竜の姿を模して居た。



 竜の頭部の口は、強力な魔導力光線の主砲と成って居り、他の7門の魔導副砲と15基の魔導紋章機銃も備え付けられて居る。

 

 魔導紋章機銃とは、六芒星式のサークル紋章が、機関砲の様な発射台装置台の先端に浮かび上がり、機関砲や機関銃の如く、魔導矢じりが撃ち捲る装置の事。



 護衛艦なんかで言えば、機関砲に当たる装置に成る。



その甲板には聖龍騎士達が、聖龍に跨って飛び立つ為の滑走路が在る。





 滑走路は砲撃に耐えられ様に頑丈な装甲板で覆われて居て、その滑走路は格納庫から延びていた。





ドラグナー皇国艦隊は、白い聖龍とそれに跨る銀の鎧を身に纏って居る騎士達が、槍を勇ましく掲げて居た。



 艦隊旗と騎士団旗でも在るドラグナー皇国旗と真紅の鎧を着込んだヴァロニカを模した騎士が真っ赤な聖龍であるレッドアイゼンが隣り合わせに立った見姿を描いた旗を掲げて、パタパタと海風で靡かせて居り、その中でもヴァロニカ直営部隊では、一際大きい旗を掲げて将軍旗として居た。





 そのドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺魔導艦隊の後方では馬に跨る騎士の様な半島と光の後光の輝く光が降り注ぎつつ、鎧を着た王が丸いこの星の天球儀の旗を掲げて居る旗がある。



その旗はローラーナ帝国の国旗であった。



 身の程を知らずなのか、国体制をローラーナ王国から帝国に替わる際に作られたと言うその国旗は、この世界を一つの国家にして、遍く人々に安寧と幸福をと言ってるそうなのだが、当然の事ながら建前で有るのは明らかだろう。



 如何してそんな事を言って居るか?



 何故、世界統一などと言う大それた事を進めて居るのかは?



 今となっては誰も知らないのである。



 ただ・・・・・邪神戦争で、異界から現れたと言う邪神カオス・ノワールを打ち倒した英雄王とも称賛されたローラーナ帝国・初代皇帝ギルバート・メリッシュは、邪神戦争後に。ある日突然、人が変わってしまったと言う事を除いては・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 さて、艦隊の集結が徐々に整い始めると、各艦の間で連絡の為の伝令官が飛竜に跨り忙しなく飛び回って居る。



 ヴァロニカは、この戦に直属の騎士団を連れて来て居た。



 先に名前が出て来て居るが、此処で改めて紹介する。



 その名をレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団と言う。



 そして、ヴァロニカは、その中でも選りすぐり精鋭の聖龍騎士団の騎士を3千人を今回の遠征軍に引き連れて来て居る。



 ヴァロニカの本音を言うと、正直に言って、この戦は嫌な予感がして為らないと、長年培って来た武人としての直感が、そう告げて居た。



 それは彼女の本能的な直感であり、戦人たる武人としての直感でも在るのだった。





 あのローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊第120艦隊の無残な姿となった艦船を間近で見た彼女は、何かが在ると踏んで居た。





 その直感を信じて、同行を求めて来たローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊には、適当な理由と己の武勇を盾にしながら、出撃する兵数はたったの3千人で十分と言い切る事で、主力の大半を国元に残して来たのである。





「ヴァロニカさ~ま~っ!第2中隊と第2空挺魔導艦隊の準備整いましたわ~っ!!」





ヴァロニカにゆっくりと近付いてきたのは、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団の第2中隊隊長のアイリー・シェリーである。



 因みに、そのグラマスボデイには、大変に怪しからん爆乳を持って居ると言う、ほんわかな性格の持ち主的なお姉さん系の聖龍騎士である。





「ヴァロニカ様、此方も第3中隊と第3空挺魔導艦隊の準備が整いました。」





冷めた感じで現れたのは、コレット・シェリーと言う聖龍騎士だ。



 アイリーと同じく、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団の第3中隊と第3空挺魔導艦隊を勤めて居る。





 因みにコレットは、アイリーの妹で在るが、その性格とボディスタイルが正反対で、こちらは残念な洗濯板・・・・・いや、甲板胸の持ち主と言う、お約束的なボデイスタイル持ち主の娘だった。





「ヴァロニカ様、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団の直営たる我ら第1中隊と第1空挺魔導艦隊、何時でも進撃可能です。」





セミロングの髪を海風に靡かせて、空挺魔導戦艦レビアナの艦内から現れたのは、ヴァロニカの副官で、ユウリーン・キルカである。





常に前線で戦うヴァロニカに代わって、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団の第1中隊と第1空挺魔導艦隊の指揮を執って居る聖龍騎士である。





「よしっ!!この度の先方は誰か?」







「はっ、ジレル・マグガイラが宜しいでしょう。」





ヴァロニカの問いに対して、副官のユウリーンがすぐさま答えた。



 ジレルは女騎士が多いレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団の中でも、数少ない男性聖龍騎士団員である。



3千の騎士団の内、700名が男性で、残りの2300名が女性騎士だった。





 この騎士団の殆んどの女性が、ヴァロニカの子飼いの聖龍騎士である。



 出自も様々で、ヴァロニカは才覚あれば出自は関係無いとして居た。





 男性陣は貴族系の出身の聖龍騎士の両親達から、護衛として付けられたメンバーだった。





本国の本隊には、もっと男性は居るのだが、男女の比率が6対4と言う感じで、それでも女性が多かったのだ。



 この比率はヴァロニカの人徳と戦争による人口問題が関係して居たからであった。







「くれぐれも突出し過ぎるなと伝えろっ!!万が一の場合は逃げ帰っても構わんっ!!!」





「しかし、それでは帝国に有らぬ疑いを・・・・・・・・・・」





「こんなつまらん戦で、命を落とす方が大損だっ!!」





「・・・・分かりました殿下。先方艦隊に伝令っ!!」







 敗北してもなおヴァロニカは、世界の覇者を名乗るローラーナ帝国などを恐れてはいない。





 家族と民と部下の盾と成る事も厭わない彼女は、部下達に勝てなければ、適当な言い訳で、自軍の兵達を退かせる積りなのだ。





 ユウリーンが、伝令官に対して、ヴァロニカと取り決め通りの仔細な命令を伝えると、第1中隊の先方隊へと飛んで行った。





「アイリー隊が左翼っ!コレット隊は右翼っ!私が中央だっ!」



「後方はユウリーンに任せる。」



「ある程度、二ホン艦隊と飛来する可能性のある二ホン国軍の航空隊を削ったら、我らは帝国の連中に手柄を譲ってやれっ!」





「うふふっ、ヴァロニカさまは、本当に意地の悪いやり方ですね。」





「それって体裁の良い撤退じゃないですか?」





 姉妹はヴァロニカの意図を読んだ。





「此度は死人が出るかも知れん。」



「戦では当たり前だが、私が戦場に居る限り出させん積りだが、今回は庇い切れんかも知れんのだ。」





「いいえ、わたくし達はヴァロニカ様に拾って貰った身です。」





「本当なら片田舎や貧民街で暮らして居たものを、この様な騎士身分にまで引き立てたくれました。」





「姉さんの言う通りです。」



「ですから姫様も。せめて意中の殿方をお作り成るまでくらいは、お命を繋いで下さい。」





「私達はそれを見届けるまで盾となり剣と成りますっ!そうでないと私達も恋が迂闊に出きませんわっ!」





ヴァロニカは、その気性と武勇のせいで、男が寄り付かないのであった。





 更にとことん恵まれない女性達を助けるので、国内でも屈指の人気を誇る王族の女性だった。



 特に彼女の騎士団は、ヴァロニカに直接鍛えられた近衛同然の面子ばかりで、騎士団内でのヴァロニカを見る目線は百合では無く、何方かと言うと歌劇団の男装した女優のファンに近かった。



 女騎士達は、せめてヴァロニカに相応しい婿をと色々と手を尽くして居たが見つからず、ヴァロニカ様が結婚するまで結婚できないと、恋や結婚を遠慮して居た経緯が有ったのである。



 彼女達は、ヴァロニカが相手を見つけるまでは、決して死なせないと勝手に考えて居たくらいである。





「お前達なぁ~っ!!」





 ヴァロニカは半ば呆れていた。





 何時もの事なので、此処でもスルーするのだが・・・・・・・・・・・・





「まぁ良い。配置に付け。」





「「「はっ!!」」」





3人はそれぞれの所定の位置に移動する。





 アイリーとコレットも、それぞれの聖龍に跨り、指揮する艦隊へと向って行くのだった。





「レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団っ!!!出陣っ!!」





「「「「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーっ!!」」」」





一斉に鬨の声を上げて、ドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺魔導艦隊は、各艦の艦首を東へと向けて行った。





 その様子を最初から天空の彼方から、ずっと見られて居るとも知らずに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月1日・午前8時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊・第4陣・総旗艦・魔導空挺戦艦ザージェント・ギワザン・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊終結地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  





 時を同じくして、日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近に集結する大艦隊の総旗艦も、間も無く日本国へと侵攻を開始しようとして居た。





「ギワザン閣下、艦隊の終結が整いまして御座います。」





「先方隊、ヴァロニカ皇女殿下が率いるレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団が進発を開始したと知らせが参りました。」





ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊の総司令官であるシドウ・ギワザンは、全長250メートルも在ると言う巨大な空挺魔導戦艦の後部に位置し、高く聳え立つ艦橋から広大な海原と澄み切った空が龍雲海に広がって居る風景を見ながら司令官席に居座る。







 霧深くて有名な龍雲海にしては、珍しく今日は晴れて居る好天模様である。



 しかしながら何時、天気が崩れるとも限らないのが龍雲海と言うもの。



 そんな景色を彼は眺めつつ、伝令官からの報告を受けていた。







「それでは、そろそろ行こうとするかっ!!全艦隊に通達せよ!!!目標!!!ニホン国の南西領っ!!ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊の全艦隊っ!!!!進撃を開始せよっ!!!!」







「はっ!!ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊の全艦へ通達っ!!目標っ!!ニホン国の南西領へっ!!!全艦隊っ!!!各隊っ!!!進撃を開始っ!!!!」







「進軍旗の信号旗を高く掲げよっ!!」





甲板では第一外征艦隊旗と信号旗が全艦隊で同時に揚がり始める。



 ギワザンが全軍に対して、日本への進撃を命じたのだった。





 水上魔導艦隊のスクリューが回り始め、空では空挺魔導艦隊がゴォーと言う轟音を立てながら、魔力噴射口から強力な熱風が噴射されつつ、補助エンジンであるプロペラ周って居る。





 他にもホバー航行式の陸上魔導艦隊も動力炉に火が点り、強力な風車に由って前へと前進を始めて居る。



 更には帆船の艦隊も魔法装置で風を起して、スピードを徐々に上げながら日本へと向うのであった。









 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月1日・午後17時03分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国内全土地域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 







この日の夕方、日本国中に激震が走った。





 テレビのニュースには安元総理大臣が記者会見で龍雲海と言う東シナ海の向こう側の海に、ローラーナ帝国軍の大艦隊が集結しつつある事を発表した。



 日本国政府は、南西諸島方面に全域に全島避難準備警報を発令した。



旅行鞄程度の手荷物と最低限の貴重品を持っての避難準備をする様にと避難指定地域の行政や住民に対して要請を行っていた。





政府は南西諸島からの市民の避難準備は、万が一に備えての事だと言った。



もう二度と離島や諸島などで市民などを巻き込んだ地上戦を避ける為でも有るとも言って居る。



 陸上自衛隊・第15旅団にも、徹底抗戦は最低限で良いから、防ぎ切れなければ、やむを得ずの場合は撤退も許可されて居た。



 同時に九州では、水陸機動団を中心とした反抗戦の準備も進められて居る。



援軍の来ない離島は、敵側からすれば攻めるのに易く、また守勢側に取っては守るのに難しい。



万が一にも攻め込まれば、侵攻を遅延させ、住民の避難をさせつつ、全軍撤退が理想とも言える。





「臨時ニュースをお伝えしますっ!!臨時ニュースをお伝えしますっ!!臨時ニュースをお伝えしますっ!!」



「本日、早朝未明から防衛省の監視衛星が、ローラーナ帝国の軍勢らしき影を捉えたとの事です。」





「我が国の監視衛星は2018年に近隣諸国が我が国の領海内への侵入やミサイル監視体制の強化の為に計画され、2020年から随時打ち上げが開始されましたが、異世界への転移の影響でその数の監視網の強化の為に、増加が急務と成って居ます。」



「現在は5つ有る衛星を8に増やして居ます。」



「近日中には2機の衛星の打ち上げが計画されて居るそうです。」



「日本政府は、数年以内に20個以上のGPS機能など含めた人口衛星の打ち上げを計画して居ます。」





「その監視衛星の画像解析の結果、2千隻を越える軍艦の艦隊が終結しつつ有ると、防衛省は発表して居ます。」





「それに伴い政府は、侵攻が予想される南西諸島地域に対して、緊急避難準備命令を発令しました。」





「この避難は島外退避と成ります。」



「該当地域は、南西諸島の全域と成って居ます。」



「該当地域の皆さんは行政・警察・自衛隊などの指示とテレビ・ラジオ・ネット等の情報を絶えずチェックして万が一に備えて下さい。」



「続きまして、自衛隊の動向ですが、防衛省の発表では・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





このニュースを見た該当地域の人々は手荷物を纏めて始め、逆に南西諸島地域への向かう航空便を有する空港は全便欠航し、県外の観光客たちらは、那覇空港などから臨時便を使って、急いで逃げ出し始めていた。





 日本本土の人々は、相変わらず他人事様に振舞うか、反対運動をしたり、先の見えない状態を心配したりと反応は様々だった。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・ 6月3日・午前7時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・・西太平洋地域・日本列島・日本国・九州地方・福岡県・福岡市・福岡市東部郊外地域・神部町・異世界国家交流総合支援省・交援省防衛監督指令室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 





 アディーレ・グレッサ辺境侯爵艦隊司令官(少将)が率いる辺境地方艦隊が率いる ローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊が壊滅的な敗戦。



 それに所属する将兵達、死者と行方不明者を合わせ4000人近くの安否確認が不明と成った事を知ったシドウ・ギワザン准将は、独立外征艦隊司令長官権限に措ける権限を用いて、その地方の最高司令官であるローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍総司令長官であるゾイザル・セイダル・ローラーナの裁可を受けずに、独自の軍事行動を開始する。





 そもそもの事の起こりは、ローラーナ帝国暦600年・アースティア暦1000年・西暦2030年・4月13日に、ローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊とベン・ジョンソン大佐が、戦地と成った龍雲海からボロボロと成って逃げ帰ってきて居た事によるものである。 





 其処でシドウ・ギワザン准将は、日本国の所在地を探るべく、威力偵察と報復攻撃を兼ねた日本国侵攻作戦計画を画策し、それを実行に移す。



 その彼自らが率いるローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊とヴァロニカ・サークラ・レアモン妃将軍が率いるドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊らが日本国へと侵攻を開始する。





その動きを察知した日本国政府と防衛省は、第一外征艦隊を中心として侵攻艦隊を監視し続けてから、丸2日が経過していた。





 日本国政府が交援省へ特殊国外地派遣遠征有事法、通称特征法の発令移譲委託を決めてから丸二日も経って居る中で、交援省と交援省防衛監督指令室に詰める竜史と職員達は緊張する日々が続き、宿直所に詰める中での勤務は過酷を極めていた。





 そして日本国へと向かい、明らかに日本国への侵攻作戦を展開して居ると思わしきローラーナ帝国艦隊は、1時間に約21キロの速度で進んで居る。





 その主な陣容とは・・・・陸海空の戦艦を合わせて1500隻。



 100隻の竜母と600騎以上の飛竜隊と更に海賊艦隊が300隻。





 それに加えて、30隻のドラグナー皇国軍の空挺魔導戦艦と一騎当千と謳われる3000人の聖龍騎士団も付いて居るし、掻き集めた艦隊は、全軍で2000隻を超えて居る。





 その総兵力とは、全軍で凡そ12万人前後であった。







 地球世界の科学技術式の船舶と違って、魔導技術形式の船舶と言う奴は、兎に角、航行速度が遅い。



 これは文明の後退による技術格差のせいから来る物であり、その分、日本の迎撃準備に余裕が有ると言うものでもあった。



 日本国とドラグナー皇国との距離は、直線距離で言えば、凡そ2000キロ程度は在る距離で行き来する事が可能で、その航路に何もなければ4日から6日程度も有れば、辿り着ける距離でもある。



 日本政府と防衛省及び交援省は、日本へと迫る敵艦隊が日本国領内の領海へとやって来るのに五日から七日と予測し、日本の領海ギリギリ地点である東シナ海と龍雲海の境へと現れて来るのに二日から三日は掛かると見て居た。



 日本政府と防衛省及び交援省は、その東シナ海と龍雲海の境界線海域を決戦場と定めていた。





 その間、交援省の職員中でも海保と自衛官、それに交援省大臣である竜史と大臣補佐関係者は、交代で庁舎に在る宿直所に詰めていた。





また、日本政府は、ローラーナ帝国艦隊の襲来との報告を受けると、沖縄の陸上自衛隊・第15旅団が臨戦態勢へと移行を開始する。



 第51普通科連隊を中心にして、第15高射特科連隊の03式中距離地対空誘導弾と11式短距離地対空誘導弾に、地対空誘導弾改良ホークを展開させる。



 更に本土から10式戦車20両と旧式装備解体に向けて居残って居たが、日本が転移災害によってアースティア世界へと転移してしまい。



 コヨミ皇国でのローラーナ帝国軍防衛体制構築の為、急遽74式戦車を派遣する事にも成った。



 そんな74式戦車が国内に少数残って居た中の10両を沖縄県防衛体制の為に移転する事にも成った。



 その他にも81式短距離地対空誘導弾・88式地対艦誘導弾。



 96式多目的誘導弾・93式近距離地対空誘導弾に加え、北の国からの迷惑な実験に対しての配備されていた空自のPAC-3も対空挺魔導戦艦大して有効と判断し、そのままの配置と成って居た。





 まぁ、高いお金を出して作ったのに、結局ミサイル迎撃の機会を得られなく成ってしまった装備だが、同地の防衛体制の構築の為、その頭数には丁度良かったのだ。





また、ローラーナ帝国軍の襲来を予期して、第15旅団には足りない装備と思われる各種装備を既に輸送し終えて居た。





 空自の第9航空団那覇基地所属の101小隊・202小隊・303小隊・404小隊・505小隊・606小隊などの航空隊が扱って居るF‐15J戦闘機30機・20機のF‐2戦闘機隊が、敵艦隊迎撃の為に発進準備態勢に入って居る。





航空自衛隊は、航空護衛艦の配備に伴い、その戦闘機の増産配備が進んでいた。





 同じく海自でも航空護衛艦の配備に備え、空自から教官を迎えて戦闘機パイロットの育成を始めて居る。



 2015年ごろから密かに始められた防衛省のビックプロジェクトでもある。



 表向きは大国の航空戦力増加に対して、海自独自の戦闘機隊の試験創設と訓練と題して居た。



 飛行場基地が限られた日本で、これ以上の戦闘機の配備箇所の増強と謳い、段階を踏んで海自航空隊の創設へと扱ぎ付ける計画だった。



しかし、前政権与党とその他の政党らが衆院選挙を前にして勢力争いと成る。



 2025年に政界の大改編と言う事態を迎え、新党結成が相次いだとしても前政権の流れを汲む自国党は、防衛省と自衛隊に関する法律の改変と改革案は受け継がれて居た。



 そして、遂に大型の航空護衛艦であるあかぎの就役と200以上の戦闘機増加計画は完遂されて居た。



 現在は、戦闘機が新旧あわせて500機前後の配備体制となり、航空護衛艦の艦載機の搭乗員は、各空自基地からの交代制として、新設されたのだった。





 もう少し時間を掛ければ海自航空隊の活躍の場が持てる事だろう。





全ては、もしもの時に備えである。





 赤い旗と北の国、星の旗の国、極寒の領土を持った連邦国等に囲まれた日本は、国土を何時のその争いの戦場と成るのかも知れないからであった。



 2030年以降のアジアの火薬庫と化した極東地域の中心たる日本の備えは、時空転移と言う自然災害と異世界大戦に対する備えと成ってしまったの事は、皮肉としか言えないのであった。





異世界国家交流総合支援省の庁舎一つ、交援省の本庁舎の建物は、災害時に備えて予備防災指令設備の機能を持つ7階建ての元公民館である元マンション4棟の東隣に建って居た。



 交援省の周囲の敷地と成った土地には、新たに壁が建てられていて、建物の周囲の無人の民家を買い取って警備の為に、交番が立てられて居た。





 警察の交番が24時間体制で警備をしており、正門と裏門は自衛官が検問をして厳重な警備をして居た。





 内部にはシベリナ連合と今後やって来るであろう異世界国家の領事館施設となる民家やマンションなどの建物があった。



 交援省の在る場所は、再開発や今回の混乱で家屋を手放したり、事業の失敗建物が無人と成った土地が殆どだった町内を政府が安く買い取った場所である。





 東西南北の全長約3.4キロの地域が、交援省と出張省庁の庁舎地域として使われる事と成ったのである。





普通なら有り得ない話だが、異世界からのお客を東京へ向い入れる体制も整って居ない。



 それにお金を持って居ても東京での暮らしは高いと考えられ、大陸との利便性が整いつつある福岡市を拠点にして、取り合えずは外交活動を開始して貰って居た。







 周囲に壁で囲われて居るが、キチンと領事館区画と交援省庁舎区画の敷地は分けられている。





 其れまで使われて居た、その地域の道路は、そのまま使用されて居た。





交援省本庁舎ビルは、内装を2月かけて改修をほぼ終えており、日本国臨時捕虜収容所とし使われて居た際に、地下区画内に防災目的で設置された防災指令室を交援省の交援省防衛監督指令室へと改修を受けて、防衛省の司令室や自衛隊施設の司令室に近い造りと成って居た。





其処に自衛隊から派遣されて居る自衛官幹部、海上保安庁からも幹部が派遣されて来て居る。



 また、広い意見を取り入れる為に、今は席が少数空いてる各省庁から派遣されて来て居る課長や補佐等の職員の席も置かれて在るのだ。



 今は海自と海保が情報収集と防衛態勢の準備に入って居た。





「現状は?」





 竜史に聞かれた自衛官の代表たる伊丹順一課長は、現時点での報告を読み上げる。





「はい、帝国艦隊の総数は、監視衛星からの画像解析とグローバルホーク及びP-3C哨戒機からレーダーで、凡そ2千隻を越えて居るかも知れないとの報告です。」



「また、先島諸島方面へと向いつつある3百隻もの艦隊も確認されて居ます。」



「恐らくこれ等は、別働隊かと思われます。」





「一方の海自護衛艦隊は、ローラーナ帝国海軍らしき艦隊から400キロ離れた龍雲海と東シナ海の国境海域にて、着かず離れずの速度にて、微速航行中です。」



「航空護衛艦あかぎを中心に、しょうほう型軽航空護衛艦しょうほう・ほうしょう。」



「護衛艦のこんごう・あたご・しらね・むらさめ・きりさめ・さわぎり・うみぎりを展開。」





「そうりゅう型潜水艦そうりゅう・うんりゅう・はくりゅう・ずいりゅう。」



「おやしお型潜水艦みちしお・うずしお・まきしお・いそしお等が、ローラーナ帝国海軍の進行方向を大きく迂回して、帝国艦隊の後方に回りつつ、目標を追尾が出来る範囲に着き次第、かく乱攻撃をする予定と成って居ます。」





「潜水艦群には、くれぐれも潜望鏡などで、特定の人物を凝視等をしない様にと伝えて下さい。」





「???」





 竜史の発言に首を傾げる伊丹以外の周囲の者達は、訳が分からないと言った感じだった。





「此処は異世界です。魔法と言う特異現象を操れる人達が居る世界です。」







「それと似た様な武の達人が居てもお可笑しく有りません。」







1人の自衛官が「まさか」と言うと・・・・・・・・・・・





「まさか、まさか、まさかの繰り返しが、本当に成り兼ねないのが、この異世界です。」





「それに・・・・まだ、我々は、この世界を知らな過ぎる。」



「それに武の達人なんて者が居たら、何百メートルから数キロ単位での視線を感じ取るなんて芸当やってのけるかも知れませんよ?」





「それは、本当に冗談で有って欲しいネタですよね。」





「そうですよ、銃弾所かミサイルに戦闘機真っ二つなんて芸当は、世紀の大泥棒漫が活躍する世界に登場する。釜茹でにされた大泥棒の13代目的な剣客達人くらいですよ。」





 そんな竜史の言葉に、その周りからは、うんうんと、ツイツイ頷いてしまうのである。



 それはアニメを見た事が有る世代が多いからであった。







「これはジョークでも有りますが、常に注意はして下さい。」



「それに紅葉さんから聞いた話ですが、トンでもない達人がドラグナー皇国に居るとか言ってますし・・・・・・・」





「一応、油断するなと、出動する全ての自衛隊に対して、今の言った事を念を押して言って置きましょう。」





「話を逸らして済みませんでした。続けて下さい。」





「いいえ、そんな有り得ないだろうと言う常識的な縛りから、判断ミスを犯さない為にも、民間や各省庁から選抜させて居るのが、この交援省です。」



「そんな意見は、こんな時にこそ、この世界で生き残る貴重な物かも知れません。」





「それでは定期報告に戻らせて頂きます。」



「続いては沖縄県の防衛体制のですが、二日前から陸上自衛隊・第15旅団が臨戦態勢に移行を開始。」





「第51普通科連隊を中心に、第15高射特科連隊の03式中距離地対空誘導弾と11式短距離地対空誘導弾・地対空誘導弾改良ホークを配備。」



「更に本土からは、10式戦車・20両と国内にまだ在庫として居残って居た74式戦車・10両。」



「81式短距離地対空誘導弾、88式地対艦誘導弾。」



「96式多目的誘導弾・93式近距離地対空誘導弾に加え、ミサイル迎撃の為に配備されて居た空自のPAC-3も沖縄本島に展開が完了して居ます。」



「そして、空自の西部航空方面隊と南西航空混成団も何時でも出撃が可能と言って居ります。」



「それと米軍の海軍のミサイル駆逐艦隊を中心とした艦隊の援軍が、来る予定ですが、合流が微妙との事です。」





西方へのお使いこと、通称ダバ派遣艦隊の西方派遣が実施中の為に、チョッとだけ防備的に手薄なので、日本は米国に手助けをお願いして居た。





「今の報告を見聞きする限りでは、九州は比較的に安全と言う訳ですね?」



「米軍の援軍・・・間に合って欲しいなぁ・・・・。それにしても、帝国軍は日本の位置を知って居るのでは無く。」



「何らかの方法で日本の在る方角へと移動して居ると考えられますか?」





「それは無いと言いたいですが、如何でしょうねぇ・・・・・・・・」





 竜史と伊丹とやり取りして居る合間に、海自の1射の幹部が答えた。





「うーん、そうだっ!」





竜史が行き成り叫んだので、今度は何だと思った自衛官と保安官達。





「米内さん、お手数ですか海上保安庁の第七管区、第十管区、第十一管区に龍雲海沖でのあさくら号事件以降に、異世界の民間船を臨検したと言う報告が無いか聞いて貰えますか?」





米内さんとは、海上保安庁から派遣されてきている部署である三等海上保安監の階級を持った海保課の課長である。





「分かりました。今から海保本庁へと問い合わせて見ます。」





 

 それから15分後のこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







「高見大臣、本庁を経由して調べて貰いました。確かに有ったそうです。」



「合計で4千件だそうです。木造の漁船・商船・連絡船や個人の民間船が主ですね。」



「高見大臣、ひょっとして・・・・・・・・・・・・」





「多分、そうです。」





 どう言う事だと騒ぐ室内。





「至極簡単な事ですよ、皆さん。」





 米内が簡潔的に結論を言う。





「地球世界に措いて、北朝鮮等が良く使って居た手口ですよ。」





「あっ!?そうかっ!」





「帝国は民間船に偽装して、我が国の警備や防衛状況から本土の位置を割り出そうとして居たのか。」





米内に言われて、その場に居た多くの者が合点が行ったらしい。





 そう、手口が余りにも単純かつ、シンプルが故に気付き難い方法だった。



 今の所、日本国土には異界人が乗り物を使って自力で海を渡ってきたと言う報告は来ていない。



 此処に居るのは、多くがその道のプロだが、交援省の職員の中には竜史をはじめ素人を含めた色々な専門家が多く集まって来て居る。



 竜史も学は無いが素人の閃きやオタク的な発想も出て来る。





 ある程度の事は、プロや大人達に無い考えも意見として取り入れられて居た。







「そう言う事です。・・・・・・とは言っても、コヨミ皇国での活動も仇と成って居る様だと判断しても良いでしょう。」





「スパイか・・・・・・・・」





伊丹もスパイが大陸の彼方此方に隠れて居るだろうとは、考えては居たらしいが、帝国のスパイの数が、半端が無い事が分かったと悟ったらしい。





 彼の帝国は、大量の密偵を動員して日本の位置を特定し、日本国に攻め掛かって来ようとして居るらしい。





「ですが、今回の事で海保の保安官を責めたりはしません。」



「それに民間人に扮して居るスパイや工作員を逮捕すると言うのは、難しいでしょう。」



「そう言う者達が潜んで居ると仮定して、これから先の任務に当たれば問題ありません。」



「人の口に戸は建てられませんしね。」



「これで帝国の諜報網が、かなりの物だと分かったと言う事が収穫と言えば、収穫と言えるでしょうね。」





「分かりました。今後は防衛省と海上保安庁、それに警察庁でもスパイや工作員に警戒するよう図りましょう。」





最終的な逮捕や捜査権の関係で警察にも情報と協力が必要なって来る。



 このスパイと工作員対策は、以前から彼の北国に対しての対策していた時と変わらないのだが、この世界でも厄介な事に成りそうだ。





 スパイ対する事柄が決まると、いよいよ海向こうから迫って居るローラーナ帝国軍に対して、如何するかである。





「間も無く米軍による陽動作戦の第一段階であるミサイル攻撃が始まるそうです。」





「おおっ、間に合った様ですね。」





伊丹は政府と防衛省が米国臨時政府に要請したミサイル攻撃が可能な艦船で固められた艦隊が、東シナ海に集まって居た。



 この作戦に間に合うかどうかは、分からないと米国から言われて居たので、ちょっとだけ心配だったが、何とか間に合ったらしい。





現場では国境海域に元から在ると思われるハワイ諸島に似た島が有る。



 事前の調査で無人島だったらしく、政府ではこの諸島の事を今後どうするが話し合われて居た。



 その諸島付近に龍雲海特有の天候悪さが出て来て居る。



 雲が掛かり始めようとして居て、一時的に嵐が起き様としていた。



 この世界では精霊の属性の影響で、惑星上の位置に関係無く、天候と気候が変化するらしい事が分かって居た。



 日本は異世界から転移してきた土地なので精霊が居ないらしく、今後、精霊達が住み着かない限り、通常の自然の気候に落ち着くのでないかと、コヨミ皇国政府と紅葉から言われて居た。





 気象衛星からの画像でも、龍雲海の両艦隊の海域近くに、雲が掛かり始め様としていた。
アースティア暦1000年・6月2日・午前8時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央部地方・パイプ・ライン大河沿い・アセリナ王国・イーストグリーン州 州都・リレル・ラウェル市・アルガス公国とアセリナ王国国境付上空にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 この日、早朝からアセリナ王国の総長が、早朝散歩ならぬ早朝飛行を楽しんで居た。





「フンフン、フンフン、フフ~ン♪ 今日も我は絶好調なのだあああぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!!」



 

 そのアセリナ王国の総長たるマーヤ・リリロッカ・ヨシカーナが何故、自国と隣国の国境近くを飛んで居るかと言うと、単に仕事から抜け出して居るからである。



 マーヤは国家代表選抜決闘大会に出たのは、国家代表に成りたいからでは無く。



 単に腕試しがしたかったからであり、大会後に断れば次席の者が総長に成れる筈だが、元来の頭の可笑しく、ノリと勢いで生きているアセリナ族は、その場で煽てられると、ツイツイやると言ってしまう性分だった。



国家代表選抜決闘大会を仕切って居た官僚らは、元々まともな性格の部類の人達で占められて居るので、大抵の場合は、優勝者が辞めると言い出すと、その次がノリで辞めると言い出した上に、次から次へと辞めて行くと言われてしまうのが非常に面倒なので、優勝者に対して、都合の良い言い方で相手を煽て上で、やると言わせるのが常だった。



 そう、何所かのエロイ事がいけませんと注意する安藤さんと言う無敵メイドロボットが、周囲に声援に乗せられて、ついつい、優勝ポーズを決める様に、マーヤも槍を高く掲げてやると言ってしまうのであった。





「ふんっ!!ふんっ!!はあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」





今度は唐突に槍を素振りで、振り回し始める。



 彼らのやる事はある意味、思い付きなのだが・・・・・・中二病持ちの連中の心根は、同属性の心持ちでもない限り、常人たる我々には、理解し難く・・・・・ハッキリ言ってしまえば、謎だらけで、分からんの物なのだ。





「くっくっくっ、我が名はマーヤ・リリロッカ・ヨシカーナっ!!!」



「この世界の救わんとする我はっ!!この光輝く早朝に光臨するっ!!!」



「我の器たる肉体は聖なる太陽に清められっ!!今宵も悪しき者達を成敗せんとっ!!我のエクスプロン・ランサーの光の閃光に呑まれるが良いいいいぃぃぃーーーーーーーーーーっっ!!!!」





「なぁーーーっ!!はーっはっはっはっ!!なぁーーーっ!!はーっはっはっはっ!!なぁーーーっ!!はーっはっはっはっ!!なぁーーーっ!!はーっはっはっはっ!!」





高笑いをするマーヤはドヤ顔の決めポーズが決まったなんて思って居る。



やっぱり中二族たるアセリナの人達の思考は、常人には分からん物なのだっ!!





其処へ・・・・・・・・・・・・・・







「んんん???」





遥か東方の方角から「ゴーーーッ!!」と言う轟音が鳴り響きながら近付いて来る物体があった。



 C-130Hが7機とF‐15J戦闘機の10機の編隊が、ガイダル島の遺跡基地の改修が、概ね無事に終わったので、ガイダル基地に補給物資輸送の為に向う途中だった所をマーヤは出くわしてしまう。





「ふえええええぇぇぇぇっ!?なんとおおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!?」





 マーヤは、出会い頭に避け切れなかった先頭の戦闘機に吹き飛ばされたと、ダジャレめいたオチに陥ってしまう。









数分前、C-130Hの5号機の操縦席では・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







「萩村さん、この世界の空も良いスッね。」







「おう、そうだな梶。」





操縦の合間に雑談をして居るのは、C-130Hの5号機の操縦を担当している機長の萩村一射と梶二射だった。





 この異世界の空は、生き物や空挺魔導艦にさえ気を付ければ、事故がほぼ有り得ない世界なのだった。





 二人は、この異世界アースティア世界に措いても地球世界時代と変わらずに米軍は居るが、航空管制の五月蝿くない自由な空を同僚等と共に謳歌して居た。



 我が日本国は、在日米軍の都合により自由な飛行が許されて居ない窮屈な飛行を強いられて居る事は良く知られて居る。



 それが国際飛行規定が殆んど無いに等しい世界の自由に飛べる空が嬉しいらしい。





「今は俺達だけの空だ、小煩い国家の管制官と航空管制の整った友好国以外に無い、この異世界の空は、俺達の様な飛行機乗りに取って、正にユートピア、天国も同然だ。」





「そうッスね。無茶さえしなけりゃ、飛び方に文句が付かないのも良いッスよねぇ~」





「そうだろう、そうだろう。うんうん・・・・・・・・・」萩村一射と感慨深げに言う。





すると、其処へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 ヒューーウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!







「ふにあああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーっっ!!ムギヤッ!!」





ボテッと言う擬音が響く感じで、マーヤが操縦席の窓にぶつかる。





普通ならとっくに気が付いて飛行機の方か、又はマーヤの方からも避ける所だが、マーヤは自分が言って居た中二的な台詞に酔って居たし、航空自衛隊の隊員も高速で飛んで居るので、歩行者ならぬ飛行者なんてものを避け様としたが、如何やらダメだった様である。





 不規則な槍捌きと突然に止まるマーヤの動きの予測が付き辛く、護衛隊のF‐15J戦闘機は、何とか回避が出来た位だ。



マーヤは、風圧等で吹き飛ばされ、C-130H編隊の5号機の操縦席付近の窓にマーヤがピタッと張り付いてしまう。





「なっ、なっ・・なっ!?何だっ!?」





「萩村さん、ヒトッスっ!!しかもっ!!白い羽の生えた金髪の女の子ッスよっ!!」





自衛官の二人には、信じられない光景が目の前に在った。



 セミロングの金髪で、白い羽と何だか分からないが、槍の様な物を持った女の子が、操縦席の窓ガラスに張り付いて居た。



ベタな展開だが、操縦者の二人には、丸でギャグアニメかコメディ映画みたいな展開が其処には見えていた。





「なっ!?何なのだっ!?これは?新種の生き物なのか?」





「んんん?!中に・・・・・人か?」





「おーいっ!!この物体は何なのだっ!?」





 マーヤは、目の前に居る自衛官二人を凝視する。





 一方の自衛官の二人は、マーヤの声が、エンジン音や風圧の影響で聞き取り辛かった。





 彼女は、まだアセリナ王国・外務局省で情報が精査されて居て、日本の内部事情に疎かった。



日本とか言う珍しい国が見つかったと報告されて居るだけで、別段に興味がそそられる事柄では無いので、マーヤは詳しくは知らなかったのである。





「何て言って居るんですかね?」





「ハッキリ言って、分からん。エンジン音やジェット気流なんかのせいか、外の声が聞き取り辛い。」





「でも・・・・・・これって交通事故にでも成るんっスかね?」





「バカかっ!?こんな事態、どうやったら想定が出きるかっ!!」



「万が一、予測が出きたとしても、普通は歩行者ならぬ飛行者の方が逸早く避ける物だろうがっ!!」





「そうっすよね。」





「まぁ、こんな高度でも平気な奴だ。高見大臣や政府が言ってた亜人族って奴だろう。」





「ああ、エルフとかドワーフとか人魚とかが居るって、本省や交援省にニュテレビースやネットニュースに、新聞とかで言ってましたしね。」





「ドランゴンや魔法使いにさえ気を付ければ良いと思ってたが、それ以外にも居ると報告せねばな。」







其処へ近くから見ていた護衛機のF‐15J部隊の指揮官機から通信が入る。





「五号機っ!どうした?何か張り付いて居る様だが?」





「ああ、問題ない。見辛いが如何にか飛べて居る。」



「何らかの理由で、この辺りに住んで居ると思わしき、現地の亜人種のヒトが、何処からともなく飛んで居た所に出くわしてしまったらしい。」



「怪我も無い様だし、その内、何処かに行くだろう。」





「了解。念の為だ、今のままでは風圧で起き上がれまい。少しだけスピード落としてやれ。2機の護衛を残すから、ゆっくりと追い付いて来い。」





「了解ですっ!!」





「だそうだ。それじゃ、降って沸いたお客様には、安全且つ、無事にお帰り願おう。」





萩村は機体のスピード少しばかり落としてやると、トントン叩いて中へ声を掛けつつ、物珍しそうに飛行機を見て居る頭の可笑しそうな女の子が風圧で剥がれないのを助けてやった。





「あっ!?」





「ふにあああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!!」







マーヤはペロリとテープが剥がれる様にして、何処かへと別の風に煽られて吹き飛んで行ったのだった。





「おおっ!!無事に剥がれた様だな。」





「そうですけど、あの子。アレで大丈夫っすかね?」





「輸送機の軽い衝突でも平気だった様だし、平気だろう。一様、目的地に着いたら、この辺りに国土を持って居る国家の現地政府にでも、報告して置こう。外交問題にはしたくは無いからな。」



「今は長距離通信も不安定つすからね。」



「そうなんだよな。流石に、地球世界で言うユーラシア大陸の中央地域からの日本への通信は不安定だからな。」と言った感じで航空自衛隊の面々は、何事も無かった様に任務に勤めるのであった。





 一方のマーヤはと言うと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「ふえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」





運悪く別の気流に流されてしまい、遥か東へと飛ばされてながら消えて行った。





「んん??」





其処へ、ドラグリア白龍大帝国の白龍大帝であるエリンも通り掛かった。





 更にはぺチンと羽で、マーヤの事を叩いてしまったのである。





「如何なさいましたか陛下?」





「うむ。今し方、頭の可笑しな弟子の小娘に、ぶつかった様な気がしてな。」





「えっ、アセリアの総長殿ですか?」





「軟な鍛え方はして居らんからな。奴なら平気じゃろう。」





「まぁ、エリンがそう言うなら・・・・・・」





ユキカゼ面倒な事に成りそうなので、マーヤの事は放置する事にした。





 親友にして、大帝たるエリンの弟子だ。



 その辺の武の者より頑丈に成って居るのは、確かだと知って居るからである。





「今のは我が師匠マスターっ!?」





「ふええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーんんっ!!!止まらないようおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーっっ!!!」







マーヤは、白竜人族の長にして、大帝たるエリンに叩き飛ばされて、更には東へと拭いて居る気流で、もっともっと東へと飛んで行くのである。





 トラブルなアセリア族の総長は、何所まで飛んで行くのであろうか?





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・日本国領海・東シナ海近海域・アメリカ海軍艦隊集結地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







この日、アメリカ軍艦隊は、海上自衛隊のバックアップの為に、ローラーナ帝国艦隊・・・・・正式名称、ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊から約30キロ南の海上で航行しながら待機して居た。





 この艦隊には、空母が配備されて居ない。





 その全てが巡洋艦級と駆逐級のミサイル艦で占められて居る。



 流石に命がけに成りかねない空母艦隊戦を米軍兵士にさせる事は、日本としては避けたかった面子が有ったからでもある。



 先ずは日本国を守るのは自国主導が当たり前であるがであるが、何せ80年近くも平和ボケに成って居たせいで、いざ戦時体制へと移行するのにも相当な気を遣う。



 それに日米安保条約も継続して居るが、今の米軍は補給物資の入手を日本国に頼って居る。



早々簡単に地球世界時代の様な軍事行動は不可能でもあった。



  しかしながら、西方面海自派遣艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣艦隊・略称名・ダバ派遣艦隊をダバード・ロード王国へと派遣するのに当たり、防衛体制の空白してしまう部分が有るのは致し方無い事であった。



その穴埋めに在日米軍を活用する事は当然の帰結と言えるだろう。





「ロイガー司令官っ!!日本政府及び防衛省からっ!!我ら合衆国海軍に対して、日本国侵攻作戦を企図し居ると思わしき、集結中のローラーナ帝国軍艦隊への攻撃要請が来て居りますっ!!」





アメリカ臨時政府と米軍臨時総司令部は、ロイガー・ゲインジャー大佐を総司令官に任命して、タイテンデロガ級ミサイル巡洋艦アンティータムを旗艦にして、その旗下に在る15隻の巡洋艦と15隻の駆逐艦が集められ派遣されて居た。





「良しっ!!各艦へ通達するっ!!第1次攻撃を開始せよっ!」







「全艦隊に告ぐっ!!ミサイル撃ち方よーいっ!!」







「目標っ!!ローラーナ帝国軍艦隊っ!!距離2万5千っ!!」





「イエッサーっ!!全艦隊に告ぐっ!!ミサイル撃ち方よーいっ!!」







「目標っ!!ローラーナ帝国軍艦隊っ!!距離2万5千っ!!」







「撃ち方っ!!始めえええぇぇぇぇーーーーーっ!!!」





「サルヴオオオオォォォォォーーーーーーーーーーーッ!!!」





バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!





バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!



 旗艦からの通信で、一斉に全艦から夥しい数の150基ものミサイルが打ち上げられて行く。





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!







 天高く撃ち上げられて行くミサイル群は、『ゴオォォォォォーーっ!!』と言うロケット噴射煙を放ちつつ、定められた目標へとミサイルが向って行く。





一方、時を同じくして、ドローン偵察機のグローバルホークも爆装付で、日米両国合わせて20機以上が稼動して居た。





更に宇宙から両国の監視衛星と言うチート過ぎるのも良い所と言う感じで、宇宙の監視網と地上の長距離レーダー監視網で、海自艦隊と米軍艦隊のバックアップをして居るのだ。



 ローラーナ帝国側が、この事実を知ったのならば、卑怯にも程が有ると抗議の言葉を言うかも知れない。



 かつての旧ドイツ軍のイギリス本土侵攻を防いだイギリス政府と軍は新兵器の開発よりも、レーダーの逸早い開発と配備を進めたお陰で、ドイツ空軍を待ち伏せた上でのタコ殴りすると言う荒業が出きた史実がある。





敵の襲来と位置の把握は、戦略上最も重要な対策である。





 如何なる兵器も大軍もレーダーを使用による迎撃を行う事が可能なのは、戦略的に凄く楽に成るのである。





一方の海上自衛隊艦隊旗艦である航空護衛艦あかぎでは、交援省からの迎撃作戦の開始が伝えられた。





 米海軍のロイガー司令官からも、陽動作戦を開始したとの通信が入って来て居た。





この迎撃作戦の第1段階は、ローラーナ帝国艦隊の正面に展開する米海軍艦隊がミサイルによる遠距離攻撃で陽動作戦を仕掛ける。





 防衛省が中心と成って作成した作戦では、これを約3回行われる事に成って居る。





次にその攻撃で、恐らく敵の航空隊の全機体が、自衛隊が防衛体制を敷いて居ると考えられる先の大空へと舞い上がり、真正面に向かって襲い掛かって来るだろう。



その隙を突いて奇襲をかける作戦を日本政府と防衛省が協議した作戦に加えて、交援省の意見を取り入れ要れて作戦をアレンジをし、コンピューターシュミレーションを繰り返す念の入れようの作戦が組まれて居た。









 アースティア暦 1000年・西暦2030年・ 6月3日・午前8時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・九州地方・福岡県・福岡市・福岡市東部郊外地域・神部町・異世界国家交流総合支援省・交援省防衛監督指令室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 







 異世界国家交流総合支援省・交援省防衛監督指令室内に在るモニター画面を見ながら、竜史は交援省を中心とした迎撃作戦が開始される所を見守って居た。





「始まった・・・・」





「はい。まだ、この世界での慣例上の公式には、ローラーナ帝国と本格的な交戦状態では有りません。」





「紅葉さんの話では、彼の帝国は仕掛けた相手国に初戦で勝ってから宣戦布告するらしいですね。」





竜史と自衛隊からの出向者の伊丹課長とのやり取りから防衛監督指令室の会話が始まった。





 各課の課長級も、ある程度の仕事に方を付けて此処に戦況の行く末を見ようと防衛監督指令室へとやって来て居た。





何せ日本国に取っては、実に85年振りの戦争である。



 この省庁の職員として、又はこの交援省に関わる者達に取っては、少なからず、その行く末の行き先への興味と、その推移を見守りたくなる様な事でも有ったからだった。





「まぁ、何とも卑怯も良い所だな・・・・・・・・・」





「戦争を国是として居る軍国主義らしいやり方だなぁ・・・・・・・」





林史也厚労課長と竹尾敏明国交課長の二人がぼやいた。





 二人も含めて専門外では在るが、今後の日本や異世界各国がどうなるのかが、この戦闘に掛かって居ると言っても言い過ぎでは無いだろう。





何所の異世界国家が、この戦闘の推移に付いて、何かを聞いて来るかもしれない。





 その時に自信を持って、大丈夫だと言える様に見て置くのも、今後の交援省での活動をして行く参考の一つには成るだろう。





「伊丹さん。例の件ですが・・・・・・・・」





「ああ、確かに紅葉皇女殿下の予知能力の通りでしたよ。」





「何だ。又もや、あの皇女様から何か有ったのかね?」





「いいえ、試しに紅葉殿下の予知能力を試したんですよ。」





「ほほう・・・・・・・・・」





 藤原外務課長を含めて、この場所に居る者達は、星読みの巫女・星読み・星読みのお告げと言われ居る力事で、紅葉の能力に付いては、大まかに知って居た。





 外務課長である藤原は、ちょっとした好奇心から、その結果に興味を抱いたのであった。





今回は竜史が気を利かせて、伊丹の立会いの元で、この戦いに関する結果に付いて、紅葉に聞いて見たのである。





「先方艦隊は・・・・・成るべく外して上げて欲しいの。」





「それは如何して、ですか?」





 竜史が、その理由に付いて聞いて見た。





「うーん・・・・・・多分、ドラグナー皇国おうこくのレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団の艦隊が出て来ると思うのよ。」



「その軍を指揮して居るのは、第一皇女のヴァロニカ・サークラ・レアモン皇女殿下よ。」



「私達、顔見知りの親しい間柄では、ヴァロニカ姉様と呼んで、尊敬をして居るお姉様なの。」



「アースティア世界でも指折りの武に秀でたお方だから、下手をするとミサイルや戦闘機、日本軍自慢の戦艦すら、生身で叩き斬る可能性すら有るわよ。」





「あっ、有り得ませんよっ!!」





「音速飛行する物体を斬ったり、軍艦等の分厚い装甲板を斬り付けるなんて、離れ業が、自在する筈が・・・・・・・・・・・・」





「あははははっ!!そんなバカな・・・・・と地球に居た時の僕も、ついこの間までは、こう言いたいけどさ、これは本当に有り得るかもな・・・・・・・・・・・」





「高見くん、冗談を言って居る場合ですかと、この俺も言いたいですけど、其処まで二人が真剣に考えると流石に現実主義の組織である我が自衛隊でも、そのまさか、まさかに、真剣な対応を考えないと行けませんね・・・・・・・・・」





「ヴァロニカ姉様は、戦に措いて知略き巡らす事は在っても卑怯な手段は取らず、正々堂々と戦う御人です。」





「直営の味方が、有る程度の被害が及び、彼我の戦力差を感じると、必ずや撤退をして来る筈です。」





「本当に?」





 竜史は半信半疑で聞き返す。



 アニメ・マンガ・ゲーム上のストーリー内容に措いて、その手の筋肉・脳筋バカと言う奴は、変な所で本気に成るから非常に面倒くさいし、厄介な事この上ない。





「追い込み過ぎなければ、姉様は猛反撃を控える筈です。」



「それに私から手心だと、少なからず気付いても良い筈です。」



「何なら何某かの囮を使って本隊から引き離しせば・・・・・・・・・・」





「それは良い手かも知れませんね。」



「一騎当千の猛者は昔から相手をしないで馬と軍隊を蹴散らせば、何もできないのは兵道の常。」



「三国志の呂布奉先の様に?」と聞く竜史。



「その通り。将を討たんとするならば、先ずは馬を射よとも言いますしね。」と答えた伊丹は、如何やら何か思い付いたらしい。





「姉様は、10年前にドラグナー皇国の落時に、それをやられて失敗していますし。」





「でも伊丹さん。仮にも妃将軍と言う軍職に付いて居る皇女様ですよ。」



「まさか同じ撤は踏まないてしょうか・・・・・・・・・」と心配になる竜史。





「多分、大丈夫でしょう。」



「ローラーナ帝国は属国に対して結構、キツイ命令をしますから、引き返して助けるなんて事をするなと言われるのが目に見えて居るので、姉様も何も出きないかも知れませんよ。」と補足する紅葉。





「では幾つかのケース別に作戦を立てて見ましょうか?」





「あっ、それと何ですが、こっちの離島である諸島なんですけど・・・・・・・・」





紅葉が地図上の尖閣諸島を指差して居た。





「ああ、尖閣諸島ですか?かなり前から無人島なので特に問題ありませんよ。」





「そうなんですか?でも放って置くと非常に厄介に成るドクロマークの船団が現れますよ。」





「紅葉さん、それって、もしかして・・・海賊?」





「この辺りで、星読みで見通しをすると、物凄く嫌な予感がするのよねぇ・・・・・・・・」





「それならば、海保と海自のはやぶさミサイル艇とゆきかぜ型護衛艦隊を派遣するよう本省に具申しましょう。」



 

 ・・・・・・ってな事が有り、奇しくも科学と超常の力を合わせての監視網が出来上がってしまうと言う顛末が、ローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊側に待って居たのであった。





「何だか、あの帝国艦隊の人達の事が、有る意味、哀れですね・・・・・・・・・・」





「まぁ、これも自業自得でしょう。」





藤原は苦笑しつつも、彼の帝国艦隊の事を哀れんで居た。



 勿論、読んで字の如く、海の藻屑と化すのだから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時37分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・日本国領海・東シナ海近海域・日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊「南雲護衛隊群」集結地点・旗艦・航空護衛艦あかぎ・あかぎ艦橋にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





  一方の海自艦隊は、現在発生して居る低気圧の雲の下に居た。





 その下では、激しい雨が降りつつある。





 そして、竜史は、目の前に置かれて居る通信機のマイクにスイッチ入れて、あかぎと海自衛艦隊の全艦隊に向けて言う。





 日本国海上自衛隊には、4つの護衛隊群と呼ばれる艦隊が存在し、一万人の隊員達が任務に従事して居る。



 日本国政府は、ダバード・ロード王国へのお使いへと向かわせた西方面海自派遣艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣艦隊。



 

 略称名・ダバ派遣艦隊の事も在って艦艇数が半部に減って居るのは否めないが、居残って居る方も、もう一つ編成させた精鋭艦隊でもある。





 対ローラーナ帝国と呼ばれる異世界覇権主義国家との武力衝突に備えて、東シナ海近海に4つの護衛隊群から選りすぐりの艦艇をダバ派遣艦隊の二分する事に成ってしまうが、現状では致し方無い事であった。



 その護衛隊群には、特に艦隊名は特に付けられて居なかったが、名無しなのは流石に不味いので、4つある護衛隊群から組合せた連合艦隊である事から、日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊と名付けられて居た。



 これが後に司令長官である南雲忠二ちゅぅじ一佐の名を取って、南雲護衛隊群と呼称されてしまうのは、皮肉としか言いようが無いと言えた。



「南雲司令官、お久し振りです。こうして、お話しするのも万代市以来ですね。」





「おおっ!!高見くんか?」





「通信を全艦隊に向けて入れて貰えますか?」







司令官たる南雲一佐は、竜史の意図を察して通信を全艦隊入れように指示を出す。





「皆さん、作戦開始する中での突然の通信を失礼します。」



「今しがた米軍が、我々の迎撃作戦の支援攻撃を開始したのは、既に知って居る事と思います。」





「日本国政府並びに、防衛省から異世界国家交流総合支援省に対して、特殊国外地派遣遠征有事法に基づく、自衛隊の管理監視委託を決定致しました。」



「其処で僕の所管する交援省の権限の一つである自衛隊最高司令官代理の名に置いて、東シナ海近海で迎撃警戒監視中及び出動命令・待機中の全自衛隊に対して、命令を発します。」



「これより日本国領海及び日本国へと侵攻を意図して居るローラーナ帝国軍艦隊の迎撃に対して、一切の武器・兵器の使用を無制限使用を許可するっ!!」





「奴らに我々の戦争の仕方を教えてやり、こんな事に成るの為らば、来なければ良かったでは済まない程の後悔をさせてやれっ!!!」



「僕は大ヒットSFロボットアニメっ!!コードギア・反逆のルルーシュリアに措いてっ!!主人公たるルルーシュリア・ブルガリアが言い放ったある名言を訓示として言ますっ!!」



「『撃って良いのはっ!!撃たれる覚悟を持って居る者だけだっ!!』これまでこの世界で散々好き放題してきたツケを奴らに払わせてやれっ!!ふっふっふっ、ふっふっふっ、ふっふっふっ、フハハハハハハハハっ!!フハハハハハっ!!フハハハハハハハハっ!!フハハハハハハハハっ!!アーッハッハッハッハッ・・・・・」





「以上が高見交援省大臣からの訓示です。」



「各員奮励努力を心がけて下さい。それでは交援省大臣からの訓示は以上と成ります。」 





伊丹が竜史の通信を遮る様に通信を入れた。



 竜史は、ツイツイ何処かの仮面司令官のキャラ的なノリのセリフ言ってしまって居た。



 でも大丈夫。



 自衛隊と米軍をボロ雑巾の様に使捨て居る考えは無いから、それに今頃は、静まれ、静まれとか言って居ないのでご安心して下さい。





「・・・・・・・・と言う事だ。高見交援省大臣は、戦争に挑む覚悟を持って、任務に当たれと仰って居られる。」



「全艦っ!!各員奮励努力せよっ!!空自航空隊は、直ちに発艦を開始せよっ!!」





「了解っ!空自航空隊っ!!第一航空隊っ!!第二航空隊っ!!全機発艦開始っ!!!」







南雲一佐は、竜史の最後のオチなど気にも留めずに、副官である藤田沙希二佐を始めとする隊員と全艦隊に命令を飛ばす。



 藤田二佐も、復唱で空自航空隊の発艦を開始させた。





 現在の日本の空母運用は、海自が担って居るが、その艦載機である航空隊は空自が担って居た。



 海自でも航空隊創設を始めて居るが、運用に関してはまだまだで、暫くは空自と海自のに組織で運用しなければ、手が回らない様である。



因みに海自では、米軍からのお下がりであるF-18戦闘機を練習機に使って居る。



 F-35は、空自のみが使う予定で居るらしいが、異世界に転移した今と成っては、今後がどう言った配備に成るのだろうか?





 航空機の運用状況は以下の通り。



 航空護衛艦あかぎ・戦闘機40・偵察機E-2ホークアイ2機・SH-60Kヘリコプター3機。 





第一航空隊・F―2A・10機。





第二航空隊・F―2A・10機。





第三航空隊・F―15J・10機。    





第五航空隊・F―15J・10機。





 しょうほう型軽航空護衛艦しょうほう・ほうしょう。 





各艦に戦闘機・10機・SH-60Kヘリコプター2機・RF―4EJ2機。 





第四航空隊・F―2A・10機。





第六航空隊・F―15J・10機。





あかぎは、アメリカのニミッツ級空母モデルに作られて居り、それと同様にカタパルトが四つ存在する。



 偵察機は、既に飛び立って居り、第一航空隊と第二航空隊が、発艦を開始した。



 本来ならF―15JもF―2も艦上攻撃機として開発されて居ない。





 其処をF-35の繋ぎとして、強引な改修がちゃんと施されて居る。





 しかも、旧型のF-4同様で、試験機として改修が行われて居るのだ。





第一カタパルトと第二カタパルトに第一航空隊のF―2Aが1機づづ配置に着く。



 第三カタパルトと第四カタパルトに第二航空隊のF―2Aが1機づつ。



 それぞれの後ろには、ジェットブラストディフレクター起き上がり、戦闘機からのジェット噴射を大きく受けていた。





 ゴオォォォーッと言う音を響かせて、空自航空隊の戦闘機は、三隻の航空護衛艦から、それぞれ飛び立って行くのであった。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時40分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊・第4陣・総旗艦・魔導空挺戦艦ザージェント・ギワザン・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊集結地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  





日本国政府が、交援省が主導する特殊国外地派遣遠征有事法、略称名は特征要請事案法。



 通称名は特征法の名の下に委託された国防実力行使に措いて命じられた海上自衛隊は、東シナ海近海域で警戒監視中であった航空護衛艦あかぎを中心とした護衛艦隊に属する航空護衛艦の各艦からは、空自航空隊が発艦し始めた頃の事である。





 ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊を中心としたドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊と連合艦隊を結成した帝国艦隊は、彼らがまだ知らないローラーナ帝国と日本の国境線である龍雲海と東シナ海の中間地点へとやって来ていた。



 陸海空から成る魔導艦艇を合わせて2000隻、総軍勢12万人を乗り込ませて居る大艦隊を率いて日本国領海を突き進み、日本国本土の位置を探るべく威力偵察を主目的とする大侵攻作戦を開始する。



 第一外征艦隊の本隊艦隊では、総旗艦・魔導空挺戦艦ザージェント・ギワザンの艦橋内に在る第一外征艦隊・総司令官席に居座るギワザンが順調な航海をして居た。



 彼は常に飛竜5騎による偵察哨戒を欠かさず居た。





 そのお陰で日本艦隊や警備船艦隊に、かち合う事も無い事に成って居る状況に関して、有る意味、拍子抜けをして居た。





「ニホンとはこんな物か?この龍雲海で、彼の国と戦い。敗北した連中は、何を恐れて居たのだ?」





ギワザンは、龍雲海沖海戦で、アディーレ・グレッサ辺境侯爵艦隊司令官(少将)が率いる辺境地方艦隊たるユローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊が日本海軍艦隊と戦って破れたのは、油断して居ただけで無く。



 ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方の果ての海域に在る未開地域と言う特有な場所に在るが故に、日本国と言う見聞きをした事が無く。



 ローラーナ帝国が、まだ戦った事が無かった日本海軍内には、このアースティア世界先進諸国が有する様な大艦隊が存在するのだろうと想像して居た。





 しかも警備網も厳重で、日本国本土に辿り着くには、相当数の軍艦や警備船から成る警戒監視中の警備体制が幾つも在り、艦艇保有数が在るのだろうと、勝手な想像すらして居た。



 何せ、彼を含めて現地密偵以外の人間は、日本の軍艦や警備船を見て居ないのであるからだ。



 写真が無い世界では写生で、その姿を本国に知らせるのが常なのだが、絵心を体得して居る密偵を教育するのも大変なもので、潜入先では、中々そう言った人物が居ないのも現場の現状だった。





 だからローラーナ帝国の者らは、日本に付いての時間は、伝言と書類上の中でしか知らないのだった。





「ギワザン閣下。」





「何用か?」





伝令官がギワザンに最新の報告を伝えにきた。





 遠征軍での報告は、細かく逐一知らせに来る事に成って居る。





「はっ!!周辺偵察に出ていた飛竜隊からの報告ですっ!!北東の方角に雨雲が確認されました。」





「何っ!?雨雲が来そうなのか?時化て船が荒れるのは面倒だな。」



「何も危険性が高い嵐の中へと突っ込む必要もあるまい。有能な指揮官ならば、嵐を避けるのが定石だっ!!」



「それは二ホン海軍の司令官でも同じで事であろう。」



「このまま東進を続けよ。但し、嵐を避ける様にと全艦隊に伝えよ。」





「はっ!!」





「全く、詰まらん些事だ。」





ギワザンは、面倒な嵐に悪態を付いていた。



 この世界では、嵐で船が転覆などの事故を成るべく避けたがるのが常だった。





 それに飼いならした飛竜は、雨を嫌がる個体が多く居るのである。



 下位竜種の一つである飛竜と呼ばれて居るワイバーンは小柄なので、他の種類の竜と違って、本能的に雷雨を避ける性格をして居た。





 特に海軍の海上戦では飛竜が使い辛い雷雨の中は、ローラーナ帝国軍に取って嫌な気象条件の戦場だった。



 この軍事常識の意識での違いが、彼らに不幸な災いを齎す事に成ろうとは、運命とは何んと残酷な事なのであろうか?





「報告します。」





 今度は別の伝令官からの報告である。





「北東方向に、群島在りです。」





その報告にギワザンは興味を示した。



 待ちに待った日本国の領土ではないかと思ったからだ。





「ほう、それが日本領か?」





「いえ、偵察ワイバーン部隊の報告では、如何やら無人島の様です。」



「空中から見た限りでは、その島の全てには、人は一人も居りませんでした。」





「分かった。下がれ。ご苦労だった。」





「まぁ、良い。事が片付いたらローラーナ帝国領として報告をし、軍事施設に使うか、住めそうならば、軍関係者を中心とした人を派遣して、島を開拓すれば良いだけだ。」





又もや期待外れだとして、彼はガッカリしたと言う感じに成った。





 先にも述べたが、この時点で ローラーナ軍の軍事常識に措ける事が原因で、彼は幾つかの重大なミスを犯してしてしまって居た。



 一つ目は、日本は既にローラーナ帝国軍側の動きを丸見えだったと言う事。



 二つ目は、自分達がして来た戦争の常識に囚われて居たと言う事。



 三つ目は、より一層、しっかりとした偵察・・・・・特に荒れた天気の雲の下を偵察しなかった事。



 詰まりは、索敵を怠ったと言う事である。



かつての地球では第二次世界大戦でのミッドウェイの戦いで、日本帝国海軍は、嵐の下を索敵を怠った為に、アメリカ海軍に奇襲を掛けれらた前例が有る。





 しかも、日本海軍は二度もアメリカ海軍の艦隊がいる雲の上から偵察をしたが、嵐の下の索敵と言う重要な事を無視して、常識に囚われた作戦行動を取った為に敗北。



 これが大日本帝国の連戦敗北のスタートだったと言う事は、後世の歴史家には、良く知られて居る出来事なのである。







両者が衝突まで、後10分前くらいである。





アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時50分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊との連合艦隊・第一陣先鋒艦隊・ドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊・侵攻中海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  







 時刻日時・アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時50分頃のこと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





一方のヴァロニカが率いるレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団艦隊は、ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊の本隊から先行10キロ先海域を飛行航行して居た。





 その後続には、第二陣であるネーレイ・マモー・ハンズ率いる第一外征艦隊の第一艦隊が後に続いてヴァロニカ達の手柄を掻っ攫おうと虎視眈々と狙って居た。





 既にヴァロニカ達の聖龍騎士達は聖竜に騎乗して、大空へと発艦し、飛び立っていた。





「ヴァロニカさま、全騎士隊が出揃いました。しかし、まだ早いのでは?」







「・・・・・・いやっ!何か可笑しい・・・・・そんな気がするんだ・・・・・・・」





「それは単なる取り越し苦労では?」と副官であるユウリーン・キルカが、答えた時だった。





「来たっ!!」とヴァロニカ。





「???」





迫り来る何かに反応したのは、ヴァロニカが最初だった。





 流石はアースティア随一の武の達人の一人と数えられる人物と言えるだろう。





 東の水平線の彼方から飛んで来る150発ものミサイルが、彼女達へと向って来ていた。





「あっ!?あれはっ!?」





「ユウリーンっ!!!何をして居るっ!!!ニホン軍が何かを仕掛けて来たぞっ!!!」





「はっ?!えっ!?げっっ!げっ迎撃よーいっ!!!」





 チュドーンッ!!ドッカ―ンッ!!と言う爆発音が、その海域を飛行して居たレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団艦隊全体に響き渡る。





「駆逐艦ガルダナス被弾っ!!!」





「ジレル隊っ!!ドイレン隊っ!!グレル隊っ!!が撃ち落とされましたっ!!」





「巡洋艦ワルキュロスも中破ですっ!!」





「くそっ!!早すぎるっ!!」





ユウリーンが、迎撃を叫ぼうとした時には、見慣れない飛翔する巨大な鉄の槍群は、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団艦隊に所属する艦艇と騎士団員らを被弾させて、負傷者を多数出してしまう。





 中らなかった残りの槍も、後方の艦隊目掛けて突き進んで行くのをヴァロニカ達は見送ってしまって居た。





 時に西暦2030年6月3日。



 異世界共通暦・アースティア暦1000年・6月3日・午前8時50分頃のこと。



 後世の歴史書には、第二次龍雲海沖海戦が始まった瞬間だったと記されて居る。



 



 これが日本国とローラーナ帝国との本格的な戦争が始まった瞬間であった。





「姫殿下ああぁぁーーーっ!!第1中隊と第1空挺艦隊は、まだ無事ですっ!!ですが・・・・・・・」





「・・・・・第二と第三がやられたか?くっ!」





 ユウリーンの戦況報告に、ヴァロニカは苦痛の顔して居た。



 彼女達の判断ミスでは無いが、敵にしてやれたらしい事は、ハッキリとして居る。





「直ぐにっ!!」





「回避行動は、取らせていますっ!!姫殿下っ!!アイリーとコレットも、それ位は分かって居るでしょう。」





「総員っ!!直ぐに撤退行動をしつつ立て直すぞっ!!!初手から敵にしてやられたっ!!」



「既に・・・この戦の主導権は、完全に二ホン国とやらの手のひらだったっ!!」



「回避行動っ!!撤退を急げっ!!」



「はっ!!!」





すると其処へ更に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「飛行鉄槍の第二波が来ますっ!!!」





今度は別の騎士団の誰かが、ミサイルの来襲を叫び、報告を上げて来て居た。





「かっ、回避いいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーっ!!!」と各隊の指揮官らが、叫んだ時だった。







 レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団艦隊を狙って居たと思わしきミサイル第二波は、何故かその場を通り過ぎて行く。





「通り過ぎた?」





ヴァロニカは直ぐに攻撃の意図を見抜いて見せた。





「そうかっ!!紅葉の仕業か?」





「コヨミ皇国・第一皇女殿下が・・・・ですか?」



「しかし、何故です?裏切り者も同然の我らに対して・・・・・・・・」





ユウリーンは、敵対国であるコヨミ皇国の紅葉の手心が分からなかった。



 其処へ、ミサイルの第三波が向って来ていた





「私達への温情らしい。それに未だに彼女は、このわたしが怖いらしいな。」





「その証拠にな・・・・・・・はっ!」





 聖龍の騎首の方向をミサイルに向けた。





「さぁっ!!行こうかっ!!レッドアイゼンっ!!」





「グルルルッ!!」





 レッドアイゼンは、主たるヴァロニカが何をしようとしているが分かる様である。





「我が義妹に、タダで情けを掛けられたとを有っては、敵にも味方にも何を言われるか分かった物ではないっ!!」





「ドラグフュージョンっ!!!」





『説明しようっ!!ドラグフュージョンとは聖龍を龍鎧器ドラグアーマーとして合身する時に唱える発動キー呪文の事であるっ!!』



『聖龍騎士達は、これを唱えると彼のコンバットスーツを装着しているスペースポリスマンと同等の速度で、その合身を完了するのであるっ!!』





ヴァロニカは、真紅の鎧を身に着けると、魔法剣シルヴァロスを鞘から抜き出すと魔法力を剣に集中させ始めた。





 その間にもミサイルは10発が彼女に側を通り過ぎ様として、向って来ていた。





「ふっ!やらせるかっ!!滅殺っ!!!ヴァロスっ、カリブレイカああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」







 赤い閃光が一気に一直線に伸びて行く。



 すると、激しい爆発音を幾つも響かせて、高速で飛行するミサイルらは、一瞬で爆砕されたのであった。





アースティア暦 1000年・西暦2030年・ 6月3日・午前8時53分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・九州地方・福岡県・福岡市・福岡市東部郊外地域・神部町・異世界国家交流総合支援省・交援省防衛監督指令室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 









 それを交援省の地下に在る防衛監督指令室で、自動制御のドローンのカメラを通して、モニター越しに見て居た者達はと言うと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「うっそおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!?」





「いっ、いいっ!!いちっ!!一瞬でミサイルを10発も・・・・・・・・・」





竜史は有りがちなセリフを言いつつ、アニメなどで見慣れたシーンとして捕らえて居たが、交援省のメンバーでこの手の手合いの免疫が付いて居ない者らは、開いた口が塞がらない状態と成って居たのだった。





「我に滅殺できぬ物無し・・・・・」とミサイルが飛んで来た正面方向を睨み付けた。





 それは斬艦刀を有する武神装甲なロボットをモーショントーレースなシステムで操る武人パイロットと全く同じ目をして居た。





「くくくっ、ふはははっ、紅葉さんの言ってた通りだ。正に武神ですね。丸で斬艦刀を振り回す武神装甲ロボットのパイロットの様だっ!!」





「いやはや、只人があの様な力が有るとは・・・・・・・・」





 外務課長の藤原も驚嘆するばかりであった。





交援省の別室では、紅葉が外部のアドバイザーとして戦闘の様子を見ることが許可されており、戦闘の様子をモニターで見て居た。





「流石ですヴァロニカ姉さまっ!!日本が誇る兵器であり、目にも留まらぬ速さで飛行するミサイルを一撃で仕留め、爆砕するとは・・・・・・・・・・・・」





 紅葉は近くの内線電話に手を掛けた。



 何か有れば直通で竜史繋がる様に成って居る。



 彼女も成れた手付きで内線番号を押して行く。





 紅葉も日本を訪れてから結構な月日が経って居る。



 ある程度なら日本人と変わらない生活も出きる様に成って来ても居た。



 好奇心が旺盛で、新し物好きである彼女は、既に何人かの近衛隊員らと一緒に成って、スマホを購入して持って居るし、将来は車などの免許が欲しいとも言って居たりして居た。





「もしもし、竜史。もう、こうなったらヴァロニカ姉さまに対しては手加減しないでっ!!」





「えっ?でも・・・・・・」







「あの人は、今度は本気で、一当てしに来るわよ。祖国と自分達の為にね。」





「ええっ!当初の目論見じゃ、撤退をする筈だったのにっ!?」





「どうやら手心まで分かって居るから、あの人は本気て殺る(やる)らしいわよ。」



「最初の脅し程度じゃ、甘かったわね。御免なさい。」





「同意したは日本政府も僕達も同じです。」



「何れは解放するドラグナー皇国に温情を与え、のちのち国を復興する人材を生かす事は、今後の為にと・・・・・・ですが、少し甘かったらしい。」と目論見が外れた事に悲痛な表情を浮かべる竜史。



「やはり武人の考える事は、基本が脳筋頭なので、我々には分かり辛いですね。」



「所で本気で戦うのは、あのヴァロニカさんだけで良いんですね?」





「ええ、下手に手加減すると火傷じゃ済まないわよ。」



「本気の義姉さまと戦うと言う事は、生半可な覚悟で居ると、こっちが重症の怪我を負わせられる事に成り兼ねないから・・・・・・・」





「分かりました貴重なご意見です。有り難う御座いました。」





「伊丹さんっ!予定変更ですっ!」





「海自艦隊や他の自衛隊に、ヴァロニカ皇女殿下が向って来たら、全力迎撃ですっ!!!!」





「・・・・・分かりました。」







通信装置の受話器を取った伊丹は、この作戦に参加する全自衛隊に対して、ヴァロニカを全力で迎え撃てと、伝えたのであった。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時03分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊との連合艦隊・第一陣先鋒艦隊・ドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊・侵攻中海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  





その頃、ヴァロニカはと言うと・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 日米合同連合艦隊による迎撃作戦に措いて、膨大な数を誇るミサイル攻撃を受けてしまったドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊は、未だ被弾を受けて居ない艦隊を南東方向へと転進させつつ、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団単身による反撃を考えるヴァロニカは、反撃の一手と成る作戦を思案中であった。







(敵は真正面から鉄槍を撃ち込んで来た。)







(だがしかし、本当に真正面から来て居るのか?)







(後方から伝え聞く第一外征艦隊共の伝令官からの情報を聞く限り、多数の方向から攻撃を受けて居ると聞く。)











(二ホンの陰に紅葉の影が見え隠れして居るのは確かだ。)







(紅葉は二ホンと接触して居る。これは確実な事だ。アレは曲がりなりにもコヨミ皇国の星読みの巫女だ。)







(だったら星読みの力で二ホンと接触し、第一外征艦隊の侵攻や二ホンとローラーナ帝国との軍事衝突を予見して居も不思議は無い。)







(それならば・・・・この私の考えて居る事などはお見通しの筈だ。)







(その証拠に、第二派以降の攻撃に手加減が加えられて居る。)







(大方の所は、我がドラグナー皇国を何れ味方に付けたいと言う思惑があるのだろう。)







(ドラグナー皇国軍を指揮って居るのは、この私とミリアル兄上だ。)







(この戦で、二ホンとの国力と軍事力の差を見せ付けた上で、交渉材料とする積りなのだろう。)







(ふっ!生意気にも紅葉、貴様は、この私の事を随分と安く見積もってくれたなっ!!!)







(・・・・と成れば、この戦に措いての作戦を打ち立て居る小賢しい二ホンの将校 供が、裏で暗躍する紅葉の提案を受けて動いて居るとすれば・・・・・・・・・・・・二ホン海軍艦隊の本隊艦隊が居ると場所は・・・・・・・・・・・・)







 ヴァロニカは、思案する中で、護衛艦隊の本隊艦隊の位置を一発で言い当て見せたと、後世の歴史書に書かれて居る。







「・・・・・・・・敵の思惑が読めたぞっ!!恐らく敵は北東方向に、本隊艦隊が在るな。」











 長年の戦場での感と武人として天性の嗅覚が、彼女にそう告げていた。











「殿下?」







「一体、如何言ったお考えから、その答えを?」







「紅葉の奴が二ホン海軍に、我らの戦法や巫女姫の力で読まれて居るとすれば、合点が行く。」







「其れならば、真正面に囮と攻勢艦隊、多方面からのかく乱攻撃。其れ等に乗じて、我らを混乱させて、一番に討ち入り易い海域地点は何処か?」







「それは第一外征艦隊の本隊が居る後方の真横に当たり、一番に近いと見られる地点・・・・・北東部に在る海域だろう。」







「それも我らの索敵に引っ掛からないほど、かなり遠い地点からの奇襲攻撃。」







「流石ですっ!やはり殿下は戦の達人ですね。」







「世辞は良い。その戦上手は、10年前にシベ帝戦争で失敗して居る。私は只の武人に過ぎんと言う事は、嫌と言う程に痛感させられた。」







「だから此度の戦も甘く見る積り無い。」







「二ホン海軍へ逆奇襲攻撃を仕掛けるぞっ!!」







「随伴する部隊の数は?」







「多く無くて良い。二ホン国側には、紅葉が見て居ると見るべきだ。だから少数精鋭で向かう」











「ユウリーンっ!!!まだ動ける精鋭を集めてくれっ!!!」











「我が艦隊は、このまま母国へ帰還しろっ!」











「宜しいのですか?精鋭部隊は直ぐに揃えられますが、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団の空挺艦隊を丸ごと撤退すると成ると、帝国の奴らに勘繰りを・・・・・・・・」











ユウリーンは、心配そうに聞き返す。







 第一外征艦隊司令長官であるギワザンに、ローラーナ帝国本国政府への謀反や勘気を被るのではないかと思ったからだった。











「構わんっ!!!それでも何かを言ってくるようならば、私の名を出せっ!!!」







「先陣部隊を率いるヴァロニカが、ニホンの兵器の奇襲攻撃で、特定不明の攻撃を受けて、損耗し居るから前線から分散しながら、撤退するしか無いと判断して居るとな。」











「ふっ!!それに・・・・・このまま、義妹たる紅葉から一泡を吹かせられたままでは、この義姉たる私の格好が付かんしなっ!!!」とギラギラと目を輝かせるヴァロニカは、一噛みをして来た紅葉に対して、本気で闘志を燃やしたく成ったらしい。





 逆らう事を恐れていた義妹たる紅葉が、義姉たるヴァロニカへ噛み付いて来たのだ。







これほどまでに嬉しい事は在ろうかとね。











「ははっ!!了解しました。私に残存部隊を任せて、ご存分に・・・・・・・」









 ヴァロニカは、自身の直属の配下とアイリーとコレットらの配下で、無事な者を引き連れて東へと転進して行くのであった。







 ユウリーンは、空挺魔導戦艦レビアナを中心としたレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺魔導艦隊の各艦の艦首をゆっくりと南西方向へと向けながら、出発地である母国首都のニューサリヴァン港へと撤退を始めて行く。















 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時12分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊・第2陣・ローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊・第一艦隊・第一艦隊旗艦・海上鋼鉄戦艦ザージェント・マモーハンズ及び進軍海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  







 アースティア世界でも指折りの最強を誇るレッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺魔導艦隊が、日米合同艦隊の奇襲攻撃を交えた攪乱攻撃を受けた事により、撤退して行く。











 その様子を後ろから悠々と眺め見て居たローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊・第一艦隊司令長官であるネーレイ・マモー・ハンズ大佐は、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団が奇襲を受けて撤退するとのと報告を受けるが、余りにも早い撤退に不満感から苛立ち、物凄くヴァロニカを罵る。











「はんっ!!血染めの鋼鉄姫将軍とも在ろう者がっ!!全く以って不甲斐無いねっ!!」











「まぁ、盾の役目は十分に果たして貰えたさねっ!!」











 ネーレイは、二ホン海軍からの奇襲攻撃を受けた自分の艦隊の残存数を改めて確認すると、その被害は比較的に少なかったらしい事が分かった。







 如何やらヴァロニカの放ったヴァロスカリブレイカーが、ネーレイ艦隊を狙って居たミサイルを防いだらしい。







 ヴァロニカからすれば、思わぬ誤算から身の保身にも繋がったミサイル迎撃であった様だ。







 この事は後日改めて報告を受ける筈だが、ひょっとしたら彼女は、苦笑するかも知れない。











 ヴァロニカは次なる一手を打つべく独自の行動に移り、指揮下に在る本隊艦隊は祖国へと引き上げて行く。











 それでもローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊の先鋒でもある第二陣である第一艦隊たるネーレイ艦隊は、多少の混乱をしつつも、更に前進を続けるのであった。















アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時13分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊・第4陣・総旗艦・魔導空挺戦艦ザージェント・ギワザン・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊 侵攻中海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  











  一方のギワザン艦隊には、ミサイルが50発ほどが届いていた。程なくしてニホン軍の奇襲の報せが届くのである。











「申し上げますっ!!先ほど先鋒隊、レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺魔導艦隊司令長官であるヴァロニカ殿と第一艦隊司令長官であるネーレイ様たちからの伝令ですっ!!」







「ヴァロニカ殿の艦隊が、ニホン軍の奇襲攻撃に遭い撤退を開始しました。」











「何っ?!それで・・・敵の攻撃方法は?位置は?数は?」











「全て不明との事です。」











「何とっ!!言う事だっ!!敵の攻撃方法・?位置・数が不明だとっ!?」











「ですが閣下、ニホン軍は兼ねてからローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊の生き残りが申す通りに、飛翔する鉄の槍が飛んで来たとの事です。」











「今はまだ、情報が錯綜して居りますが、ヴァロニカ殿が一部の空飛ぶ槍を撃ち払ったとの事の情報も入って来て居ります。」











「それは吉報だっ!!」











「これで未知の兵器を有すると噂を聞く、ニホン軍とて無敵ではない証明であるぞっ!!!」











「ニホン軍は、この真正面に居る筈だっ!直ちに第一外征艦隊に所属する全竜空母隊から、全飛竜航空隊を発艦させよっ!!!」











「はっ!!直ちにっ!!全飛竜航空隊を発艦させますっ!!」











 伝令官が命令を伝える為に去って行くと、ギワザンの横に居る副官が、そっと耳打ちする。











「ギワザン閣下・・・・・我ら本隊も、万が一の為に、ニホン軍の奇襲に備えては如何でしょうか?」











「その心配は有るまい。相対するニホン軍の数は、我らに劣ると見た。」







「そうでなければ、遠距離からの奇襲攻撃なんぞ仕掛けるまいて、数で押し切りれば、空飛ぶ鉄槍や敵の航空隊すら、何も出来なく成ると言うもの。」







「戦艦による艦隊決戦に持ち込めば、艦艇数と砲塔の数と威力の高さが物を言う。」







「遠距離攻撃に頼って居るだけの臆病者どもの海軍なんぞっ!!!この私が一捻りにしてくれるわっ!!」











「前進を続けよっ!敵艦隊の懐へと素早く飛び込み、奴らが打てる手立てが少なく成った所を一気に畳みかけるのだっ!!」」







「少数精鋭と思われる二ホン海軍を討ち破りっ!!その先にの目の前には、日本領の何処の地方諸島地域が在る筈だっ!」







「上手くすれば、我が艦隊だけで、二ホン国を落とせるやも知れんっ!!」











「はぁ、ですか・・・・・・・」











「貴様の忠言は心に留めて置く。今は敵と勝利を逃さない事に専念せよ。」











「はっ!!出来すぎた真似をしましたっ!!」











「良い、良い。」







「時として、そう言った事を言って貰わねばな。私は良い部下に恵まれた物だ。」











 ギワザンは副官の忠言を言った事を誉めていた。







 此処でもし、索敵をもう少しだけして居れば、抵抗がチョッとだけマシに成ったかも知れないのである。











 焼け石に水にしかならないが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



















 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時37分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本国・日本国領海・東シナ海近海域・日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊「南雲護衛隊群」集結地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・











 ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊と日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊らが開戦をしてから約一時間が経ちつつある。







 その戦闘状況は、日本の自衛隊側が圧倒的な優勢と成って居た。







 その支援攻撃を行って居た米海軍は、ミサイル攻撃の弾幕を打ち尽くし、退避行動を取って艦隊を南進させて太平洋側へと移動して行った。











 それに釣られて、ローラーナ帝国・第一外征艦隊の100隻から成る竜母から、600騎以上もの飛竜航空隊が全騎発艦して、ギワザン達がニホン軍が居ると見て、想定して居る地点へと向って、命令を受けた竜騎士隊の者達らは飛び立って行く。











 今の所は第一外征艦隊から成るローラーナ帝国軍は、彼の輪っかを付けた猿が出て来る昔話の様に、釈迦(日本国政府)の掌の上と言った感じの状況下であった。







「全艦っ!!各員奮励努力せよっ!!空自航空隊は、直ちに発艦を開始せよっ!!」





「了解っ!空自航空隊っ!!第一航空隊っ!!第二航空隊っ!!全機発艦開始っ!!!」







南雲一佐は、竜史の訓令演説に措ける最後のオチなど気にも留めずに、副官である藤田沙希二佐を始めとする隊員と全艦隊に命令を飛ばす。



 藤田二佐も、復唱で空自航空隊の発艦を開始させた。



 先陣を切るのは、空自航空隊で、航空護衛艦あかぎに派遣されて居る第一航空隊を指揮する森川知之一佐のF―2A隊である。





「此方は航空護衛艦あかぎ・第一航空隊長・アサルト1(ワン)。発艦許可を求める。」



「此方は航空護衛艦あかぎ管制官・角谷杏奈1尉です。第一航空隊長・アサルト1と第一航空隊に対して、発艦許可を出します。」



「了解っ!!各機へっ!!先陣で初実戦だからと言って、怖気づいたり、慌てるなっ!!訓練どおりにやれば良いっ!!!」と締め括った森川一佐は、機体を発艦させて敵艦隊へと飛んで行く。





その後に続き部下たちらも発艦して行く。



ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!









 第一航空隊のF―2A部隊は、次から次へとカタパルトから発進して行く



 

 第二航空隊・F―2A・10機。第五航空隊・F―15J・10機。







 続いて第二派部隊と成る航空隊が発艦態勢に入って行く。



 あかぎ・しょうほう・ほうしょうの甲板デッキでは、慌ただしく隊員たちが動いて居た。



 特にイエロージャージを着込んだ隊員たちが、戦闘機の誘導と運搬を行って居り、アメリカ合衆国海軍艦隊での研修訓練が、こんな形で実戦に活かされると言うのも皮肉な物と言えるだろう。







 第二次攻撃隊と成るのは、空自から航空護衛艦あかぎに派遣されて居る辻村耕次一佐が率いる第三航空戦隊・F―15J隊と成って居た







「此方は航空護衛艦あかぎ・第二航空隊長・サリィ1(ワン)。発艦許可を求める。」



「此方は航空護衛艦あかぎ管制官・初音美玖1尉です。第二航空隊長・サリィ1と第二航空隊に対して、発艦許可を出します。」



「了解っ!!各機へっ!!先陣で初実戦だからと言って、気後れする必要は無いっ!!!いざと成ったら、逃げ回れば死にはしないっ!!」と締め括った辻村一佐は、機体を発艦させて敵艦隊へと飛んで行く。









その後に続き部下たちらも発艦して行く。





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!!!





 第二航空隊は、次から次へとカタパルトから発進して行く。





 その後も、甲板デッキには、第四航空隊・F―2A・10機と第六航空隊・F―15J・10機と言った感じに、次から次へと戦闘機が現れて行き、命令が有り次第、発艦して行くのであった。









 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時13分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本国・日本国領海・東シナ海近海域・日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊「南雲護衛隊群」集結地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 一方の航空護衛艦を飛び立って居た空自航空隊の60機の航空隊は、監視衛星と哨戒機の情報から得て居た第一外征艦隊本隊の位置へと驀進中であった。







 その空自航空隊の先鋒隊を勤めるのは、バイパーゼロ (VIPER ZERO)の異名持つF―2Aタイプ型支援戦闘が、完全爆装状態で飛行して居た。







 随伴するF―15J戦闘機も同じく、完全武装で飛行して居る。











 これは空自創設以来の完全爆装状態での出動であった。











「少々時化が酷いな・・・・帝国艦隊の様子は?」











発艦前には雨は上がり、曇り空で波は少しだけ荒れて居る。











 戦闘機の発艦には厳しいかも知れないが、日本の周辺海域は、特に荒れた海が多い事でも有名な地域である。







 何せ、遣唐使・遣隋使等の大陸通信使での往来も商船貿易も命がけと言われた時代以前から厳しい環境下に在る日本国周辺海域。











 航空護衛艦を中心とした空母機動部隊の創設に当たり、そうした海上での訓練を米海軍の教官の厳しい訓練に、空自隊員と海自隊員は堪えて今日に至っていた。











 その厳しい訓練結果は、今その実を結ぼうとして居た。















「はい。今は陽動してくれて居る米軍艦隊に、その敵艦隊の多くの航空隊と随伴する艦艇らが、囮に喰い付いた形で引き付けられて居ます。」















「南雲司令官っ!!米海軍のロイガー司令官から入電ですっ!!」











「大喰らいの大魚は、餌に喰らい付いた。我らは此れより大魚を釣り上げるべく行動を開始する。との事です。」















「皮肉って居るが、確かに獲物の手の内が、分かって居る釣りをほど、楽なもの無いな。」 











 南雲一佐は、ロイガー司令官からの通信のジョークめいて居た台詞を聞いて、苦笑して居た。











「後10分で、敵本隊艦隊と会敵予定です。第一波と成るのは、第一航空隊、第二航空隊。そして、第五航空隊が突入します。各隊は時間差による五月雨式による攻撃で・・・・・」と管制官の報せが入る。









 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時25分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・日本国領海・東シナ海近海域・日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊「南雲護衛隊群」集結地点にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊の中核たる空母機動部隊。







 その中心と成る護衛艦の航空護衛艦あかぎとしょうほう・ほうしょうらは、あかぎを中心に据え、しょうほう・ほうしょうらが左右に分かれる形で艦隊陣形を組んで居た。





 その航空護衛艦へと出向して居る空自航空隊は、第一派攻撃隊をF―2A支援戦闘機を中心とした先手部隊を派遣し、その護衛にF―15Jを伴いながら、真っ黒な低気圧の下を突き進んで居た。





 しかしながら、格下を相手に、この編成は無意味と言えるかも知れない。





 それに加えて、雨も振り付けて居る海の上では、波も時化で荒れて居る。











 日本政府は、紅葉からアースティア世界に関する色々な情報を聞いて居た。







 その中には、この世界の海軍の運用常識として、荒れた海では、滅多に戦をしないらしいとの事である。











 何でも、飛竜は雨や雷を本能的に嫌がるらしい。











 体格の良い竜種は気にしないらしいのだが、大量に戦艦と飛竜を投入するローラーナ帝国海軍を始めとする海軍や水軍らは、自然災害等で荒れて居る場所へと、わざわざ突っ込んだ行った上に、無理をして戦って自滅するのを特に避ける傾向が有ると言うのだった。















 そんな事情を踏まえた作戦を防衛省は考えて、気象庁の予報を巧みに利用した作戦を立て居る。











 予め龍雲海の変わり易い天候の動きを予測して、今回の作戦に対応する等は、この異世界の誰もが思い付かない作戦と言えるだろう。











 この異世界では、天候と精霊の動きは、天と自然の采配とも言うくらい天候の動きは読み辛い事なのである。







 監視衛星、防空監視レーダー、気象衛星と気象観測レーダー、何れも我が国のお家芸的な技術力の結晶である。







 ローラーナ帝国軍の目と耳に鼻が全く使えない中で、日本は、彼らの全く気付かれない方法で翻弄して見せていた。







 幾ら帝国や武の達人に魔導師でも、遥か天空の彼方とも言える宇宙空間に在る人工衛星や地平線の彼方に在る陸自監視基地には、気付きもしなし、攻撃の手すらも出せないだろう。















 空自航空隊で、第一航空隊を指揮して居る森川知之一佐のF―2A隊は、あかぎから間も無く嵐を抜けると通信が入る。











 彼の視線の彼方の水平線の約3キロ先には、青々として居る澄んだ空が広がり、黒い塊に見えるローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊が見えて居た。











 F―2AやF―15Jに搭載されているミサイルを持ってすれば、かなり遠くから狙い撃ちが可能なのだが、今回は帝国艦隊の戦艦の数が多過ぎる為に、防衛省上層部の作戦会議に措いて、奇襲による混乱を狙った連続攻撃が主眼とする事にした。











 それなので、ギリギリまで自衛隊側の攻撃を知られる訳には、行かないのであった。











「目標地点に到達したっ!!各機に告ぐっ!!攻撃開始っ!!」











「「「「了解っ!!」」」」」











「第一航空隊・アサルト1(ワン)よりあかぎへっ!!我ら第一航空隊は、敵本隊艦隊の奇襲に成功せりっ!!繰り返す、我ら航空隊は奇襲に成功せりっ!!」











「「「FOX1っ!!!」」」











そのシーンとは正にっ!!トラトラと無電を打つと言うべきシーンであった。







 森川一佐は、敵艦隊へと突入すると同時に、あかぎに通信を入れる。







 突入の報せを終えると、彼は部下と共に一斉に第一外征艦隊へと対艦ミサイルを撃ち放つ。











 初弾攻撃は、F―2Aの対艦ミサイル20発による攻撃である。











 「ゴオオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーッ!!」と言う轟音を響かせて飛び立つミサイルは、ロックオンされて居る目標へと飛んで行くのであった。















「くっ、空挺艦竜母ドレイク被弾っ!!大破っ!!」











「空挺艦竜母ルフト轟沈っ!!!」











「空挺艦竜母ビシヨッドも同じくっ!!」











「ああっ!!空挺艦竜母ショッドも・・・・・」











「こっ!!ここっ!!今度はっ!!空挺艦竜母ウェルポンがああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」











「何だっ!!何が起こって居るっ?!」











「ダダダダダダダダダッ!!!」と言う発砲音を響かせて居る魔導機関砲で、飛来する敵航空隊に応戦する帝国だが、その中をあっさりとF―2Aは駆け抜けて行く。











ドッカアアァァーーーーンッ!!











 F―2Aがミサイルを放った攻撃が炸裂すると、これまで無敵を誇って居たローラーナ帝国軍が体験した事も無い爆発が周囲に響き渡る。











 更にミサイルを撃ち尽くしたF―2Aは、第一外征艦隊へと再突撃し、20ミリバルカン砲を撃ち、無誘導爆弾を次々と落として行った。











 又も奇襲を受けた第一外征艦隊は、無残にも墜落か沈没をするしか無かったのであった。











「何とっ!?」











 ギワザンは、乗船して居る艦隊旗艦である空挺戦艦ザージェント・ギワザンの艦橋の目の前を我が物で、擦れ違う青い物体を彼はその目で見て居た。











 真っ青な機体に、赤丸が描き塗られて居る飛行物体である。



















「まさか・・・・・あれが噂に聞く、ニホン軍の鉄竜か?」















 次々と轟沈と大破の報告が、艦橋内へと駆けて入って来る伝令官等に由って、己が耳に耳ダコが出来るのか?と言わんばかりに寄せられて来る。











 青い鉄竜は、散々第一外征艦隊本隊に所属する空挺艦竜母を屠り叩いて行くと、反転しながら東の空へと立ち去って行った。















「こちら森川。敵の海上空母、空中空母70撃沈。一時補給の為、あかぎに帰投する。」















「了解。引継ぎは、第二波航空隊が行う。」















 森川一佐が率いるF―2A隊は、通信を終えると、燃料弾薬等の補給の為に、母艦たる航空護衛艦へと帰投して行ったのである。







 この戦いの引継ぎは、空自から航空護衛艦あかぎに派遣されて居る辻村耕次一佐が率いる第三航空戦隊・F―15J隊である。











 他にも沖縄の空自第9航空団、那覇基地所属の101小隊、202小隊、303小隊、404小隊、505小隊、606小隊などF‐15J戦闘機30機。







 その後に続くのは、F‐2戦闘機隊20機が出撃を開始した所だった。







 この隊には、空中給油機を3機を付けて向って居る。











 防衛省は徹底的に敵空母を叩いて、それらを母艦として居る飛竜航空隊を空母に帰えれない様にすると言う、実に意地の悪い事をして居た。











 まさか、絶対無敵の空母を真っ先に潰す等と言う、この世界でも非常識な戦術を取って居るのだ。







 まぁ、この戦術は、先の大戦での失敗の経験と体験談から来る戦術なのだが、敵に取っては、青天の霹靂と言うべき事態だっただろう。











 ギワザンを始めとするローラーナ帝国将校等は・・・・・今、神出鬼没の自衛隊からの攻撃のせいで、大混乱の中に陥るのであった。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・ 6月3日・午前9時32分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・・西太平洋地域・日本列島・日本国・九州地方・福岡県・福岡市・福岡市東部郊外地域・神部町・異世界国家交流総合支援省・交援省防衛監督指令室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 





ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊と日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊らが開戦をしてから間も無く、一時間が経とうとして居た。



 異世界国家交流総合支援省・交援省防衛監督指令室では、奇襲攻撃作戦が成功したと言う第一報が報告されて居た。



 総理官邸と防衛省内では、「やったっ!」と言う先手を取ったと言う歓喜に沸いて居たが、安元総理と小西防衛大臣の二人は、『まだ頭を討ち取った訳では無い』と引き締めを図る言葉で、場を鎮めて居た。





「作戦の第二段階は成功ですっ!!」



「我が方の空自航空隊の第一波っ!第二波を仕掛けた航空隊はっ!日本国へと侵攻途中である140隻以上の敵戦闘艦の要である水上空母・空挺竜母を撃沈して居ります。」





通信機を通じて、海自艦隊からの第二作戦成功の報告を聞いて「おおっ!!」と言う言葉が、異世界国家交流総合支援省の地下室に設置されて居る防衛監督指令室内で、歓声の声と成って聞こえ渡って居た。





 通信機器を通じたスピーカーからも、あかぎの艦橋内で、作戦の序盤の攻撃が成功した事による喜びの声がる漏れ聞えていた。



同時に、総理官邸の防災危機対策室でも、作戦成功の喜びの声で沸き立って居た。





「まだですっ!!!」



「敵にはジョーカーカード同然である。ドラグナー皇国おうこくのヴァロニカ姫将軍が居ますっ!!」





「彼女があかぎの居場所を鋭い観察眼力で見抜き、素早く迫り来る前にっ!!敵を壊走させて、我々に対して攻撃して来る理由を無くさせて、この海戦にケリを付けさせます。」



「君主論を書いたマキャベリ曰く、戦をやるからには、一発で・・・・一回限りで、スパッと計画に行うべきと有ります。」



「早々戦を何度もやる事や長引かせる事は得策では無いからです。」



「直ぐに次に作戦フェイズに移行しますっ!!戦地から南方向海域で待機して居る。海自潜水艦隊司令官の藤堂一等海佐に繋いで下さいっ!!」



「作戦フェイズ3を開始せよと・・・・・・・・・・・・・」





「了解です。」





「此方は交援省の防衛課の伊丹です。藤堂一等海佐に繋いで下さい。」







伊丹は急ぎ、次なる作戦である潜水艦隊による攻撃を行う為に通信機に手を掛けて行く。











アースティア暦 1000年・西暦2030年・ 6月3日・午前9時32分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本国・日本国領海・東シナ海近海域・日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊「南雲護衛隊群」集結地点が一つ・南雲護衛隊群旗下・海自潜水艦隊・『藤堂潜水艦隊』・旗艦そうりゅう型潜水艦そうりゅうの発令所にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









 海自潜水艦隊の陣容はと言うと、そうりゅう型潜水艦そうりゅう・うんりゅう・はくりゅう・ずいりゅう。



 おやしお型潜水艦みちしお・うずしお・まきしお・いそしお等による水中からの側面奇襲攻撃を加える予定をして居た。



 伊丹は作戦開始の命令を伝える為に通信を繋ぐ。



 次なる作戦とは、詰まり、魚雷と対艦ミサイルが、ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊を襲うのである。



 これで第一外征艦隊は、正面と東と南方向から攻撃を受けて居ると勘違いを起して、更に余計な混乱する目論見と成って居た。



第一外征艦隊の本隊からの急報を受けた帝国の飛竜航空隊は、急ぎ自軍の艦隊を守る為に、急ぎ反転をするだろう。





 其処へ沖縄の空自航空隊が、彼らの背後から襲うのである。



 更に止めにと言わんばかりに、海自艦隊は、一斉に対艦ミサイルを撃ち放つだろう。



 止め一撃と成る最後の攻撃には、あかぎの航空隊と潜水艦隊による残敵の掃討戦が行われる予定である。





 ちなみに海賊艦隊の方は、海保と海自の共同作戦で尖閣諸島付近での迎撃作戦が立てられて居た。





海自潜水艦隊は、第一外征艦隊の本隊から30キロ南の位置に、そうりゅう型の潜水艦が潜伏し、先鋒隊の本隊から20南東方向キロ付近に、おやしお型潜水艦がこっそりと潜伏をしながら配置に付いて居る。





 我が国の潜水艦隊は、あの米軍でも演習で翻弄が出きるほどの手だれだと言われて居るほど優秀と噂されて居る。





 科学が衰退して居るこの世界で、潜水艦の存在を知る者は少ないだろうと思われる。



 更に付け加えるのなら、潜水艦の発見すら難しい言えるのだ。





そうりゅう型潜水艦そうりゅうの発令所では、赤く染まって居る船内では、潜水艦隊の司令官を勤めている藤堂一等海佐に命令の通信が入る。





「藤堂一佐、交援省の防衛課の伊丹一尉から通信が入って居ます。」



「分かった」と言って、ヘッドホンのマイクを通じて伊丹と通信を始める藤堂一佐。



「代わりました、藤堂です。」





「藤堂一佐、少し早いですが、作戦フェイズ3を開始して下さい。」





「了解したっ!!各艦に繋げっ!!!」





「はい。」





 通信士担当の隊員が、各潜水艦に通信を繋ぐ。





「これより作戦フェイズ3を開始する。各艦魚雷及び対艦ミサイル撃ち方っ!!よーいっ!!」





各艦では、発射体制とGPS搭載の人工衛星と日本のレーダー基地から送られて来るデータリンクにより、攻撃目標である敵艦隊への進路設定を終えていた。



 藤堂の下には、発射準備が完了して居る伝える隊員達の報せが、くどい位に確認が出来て居る。





 作戦開始前に、何度も訓練や本作戦想定して予行演習を繰り返し、手順を確認して来て居る。





 演習以外で、此処までするのは、失敗が出きない本番でも有るからだ。





 何せ自衛隊・・・・海自創設以来の初の本格的な防衛戦であり、日本の潜水艦隊に取っても旧軍以来の85年ぶりの実戦でもあるからだ。





 藤堂を始め、この作戦に関わる潜水艦隊の隊員達は緊張の色を隠せない。





「藤堂一佐っ!旗下の各艦からは、全ての準備完了との最終報告が来て居りますっ!」



「それと、一撃目には、見た目が派手な格好をして居る敵艦を狙えっ!!!」



「派手な敵艦であり・・・ああ、なるほど。了解しましたっ!!!」と藤堂一佐の意図を理解した、そうりゅう副長は、通信で各艦の砲雷長や近くに居るそうりゅうの砲雷長に耳打ちをして目標を設定させて行く。



「第一派に措ける魚雷及び対艦ミサイルの発射設定の完了っ!!!」



「良しっ!!撃ちー方始めっ!!」





「撃ちか方っ!!始めっ!!」





藤堂が命令を発すると、一斉にそうりゅう型潜水艦が帝国艦隊の本隊に向って、西から対艦ミサイルを発射し、おやしお型の潜水艦隊は、魚雷を先鋒隊の殆んどを占めている第一外征艦隊に所属する帝国水上航行型艦に狙いを向けられ、魚雷を撃ち込んで行った。



 レーダーには、魚雷と敵である目標が映し出されて居る。





 第一外征艦隊は、今だ多数の艦が健在であり、これを出来る限り始末して追い返すのが作戦成功と言えるのが、今の日本と自衛隊の限界だった。





地球での現代戦と違って、この世界の戦争は兵器と兵力の大量投入が当たり前なのである。



 とある宇宙世紀世界の宇宙コロニー独立公国制度国家軍の将軍が、自国の総帥である長兄に対して言って居る様に「戦い数だよ。」と言うのこの世界では実践して居ると言えるのだった。



 魚雷と対艦ミサイルは、まるで忍者のように忍び寄り、第一外征艦隊の思いも寄らぬ方向から迫って居たのである。









 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時45分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本国・東シナ海近海域及びローラーナ帝国領・シャッポロ州・龍雲海沖近海域付近・ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊・第2陣・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊・侵攻中海域・第一外征艦隊・ネーレイ・マモー・ハンズ旗下直属艦隊・通称ネーレイ艦隊・第一艦隊所属・海上鋼鉄戦艦ザージェント・マモーハンズ艦橋にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  









一方の第一外征艦隊の先鋒隊は、ドラグナー艦隊の撤退を見送りながら、その進路を東へ東へと前進を続けていた。





 第一外征艦隊・第一艦隊の司令官のネーレイは、飢えた獣の如く獲物を求めて、艦隊を進めて行く。





 其処へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







「申し上げますっ!!」





「何なんだいっ!そんなに慌ててっ!?」





「はっ!我が方の第一外征艦隊・本隊がっ!!!ニホン海軍の奇襲攻撃に遭って居ります。」





「何だって? はっ!?そうかいっ!わたしらは、目の前に居る筈の奴らに、まんまと一杯食わされた訳かいっ!!!」





「ネーレイ様。もしや・・・・・・・・・」





「そうさねっ!わたし達の目の前の居ると過程して居るニホン艦隊は囮だっ!!!」





「このまま行けば我が方の艦隊は、ニホンの奇襲を受け続けて混乱し、各個撃破されると言う訳さっ!!」





「それではっ!取り急ぎ進軍して居る全飛竜隊を呼び戻しませんとっ!!!」





「誰かあるっ!!!」





「はっ!!」





「前方を進軍して居る間抜けどもを、急いで呼び戻して来いっ!!!」





ネーレイに命じられた伝令官は、取り急ぎ艦隊前方を進軍して居るであろう飛竜隊に対して、多数の飛竜を飛ばして伝令に行くのであった。





その時である。





 伝令の飛竜が飛び立ってから間も無くして、それ等は突如として、ネーレイと第一外征艦隊・第一艦隊を襲ったのである。





 最初の一発は、魔導戦艦ゼムランの動力炉に直撃した。





「まっ!!魔導戦艦ゼムラン轟沈っ!!!!」





「なっ!?何が起こったって言うんだいっ?」





「判りませんっ!!」





彼らは魚雷を知らない。





 たがら撃ち込まれた物が、何なのかが理解が出きないし、想像も出きないのだ。



そして、次に襲われたのは後方に位置して居た陸上魔導揚陸艦と陸上魔導戦艦の艦隊である。





 陸上魔導艦と言うのは、陸上と水上の上をホバー走行して居る船で、浮遊魔導機関を有して居る。





 その浮遊力を生かして海上でも航行可能な船でも有るだ。



 陸上での主力兵器一つにして、民間でも陸上での物資を運搬する船として運用されて居る。



元々は魔法国家や旧科学文明で作られた船である。





 今は旧文明の劣化版の量産船と発掘船、更に改修延命処置を施した船が稼動し続けて居た。





「陸上魔導戦艦ガロップっ!!ジロップっ!!爆沈。」





水面の上を擦れ擦れ航行していた陸上魔導戦艦は、本来なら魚雷が当たる事が、先ず無いだろう。





 其処で防衛省と交援省と言うか、竜史が目標に到達した時点で魚雷に自爆コードを作動させられないかと海自関係者に聞いたのだ。



 理論上は可能と言うので専用のプログラムを搭載した魚雷を現行の魚雷を改良して試作し、データ取りと証して実戦導入して見た。





 実戦前の演習では、作動に問題無いと結果が出で居る。







この魚雷は、目標とした陸上魔導揚陸艦の真下に到達すると爆発して、艦の真下を爆風の水柱と破片で大穴を明けて沈める。





 短期間で作られた改良型魚雷は、どうやら目論見通りの能力を発揮に成功した様だった。





 ドカドカっ!!ドッカーン! と言う爆発音が鳴り響き、続けて艦船にひび割れが入る音がガガガガガッ!と言う大きな音を立てなながら艦艇を傾かせて行く。





「「「「「うああああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」」」」」





 魚雷による攻撃は、ネーレイが乗艦して居る海上鋼鉄戦艦ザージェント・マモーハンズにも到達した。



 しかし、チョッとだけ的がずれた為か、狙って居た後部動力炉の区画では無く、ややズレた場所である艦首に火柱が立ち上がった。



 被害を受けた海上鋼鉄戦艦ザージェント・マモーハンズ艦首には、魚雷攻撃による大穴が開いて、多数の死傷者を出してしまった。





「被害報告っ!!」





「かっ、艦首に被弾っ!」





「何処からだっ!?何処から狙われたっのだ!?」





「不明ですっ!!!」





「ニホンとやらは、長距離魔法か長距離魔法兵器でも有して居るのかっ!?」





「ビンラー様とデビッド様から乗船して居らる艦隊旗艦にも、同じ様な被害報告が来て居ります。」





「くそっ!!良くもやってくれたねぇ・・・・・」





ネーレイは怨みの呪詛を吐きつつ、物凄い形相で艦橋内の天井を睨んで居た。





 藤堂一佐が手始めに狙い撃ちにしたのは、旗艦及び旗艦に近い敵艦であった。



 その理由は、その見た目が派手な姿格好をして居るから、指揮官が乗って居るだろうと言う理由からであった。





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・ 6月3日・午前9時52分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本国・日本国領海・東シナ海近海域・日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊「南雲護衛隊群」集結地点が一つ・南雲護衛隊群旗下・海自潜水艦隊・『藤堂潜水艦隊』・旗艦そうりゅう型潜水艦そうりゅうの発令所にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 後に日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊「南雲護衛隊群」・南雲護衛隊群旗下・海自潜水艦隊・『藤堂潜水艦隊』と呼ばれる事に成る藤堂一佐の潜水艦隊。





 そんな旗艦そうりゅう型潜水艦そうりゅうの発令所では、赤く染まって居る船内では、潜水艦隊の司令官を勤めている藤堂一等海佐に第一派攻撃の結果がP-3C哨戒機から報告された。



「此方はローラーナ帝国艦隊を監視警戒中のP-3C哨戒機隊・601号機です。」



「藤堂隊の第一派攻撃は、成功せりっ!!詳細は不明なれども、撃沈少数っ!!!大破多数っ!!中破複数を確認せりっ!!!」



「指揮官が居ると思わしき、旗艦艇は?」



「撃沈3っ!!大破5と思われるっ!!!」



「よしっ!!第二次攻撃だっ!!急げえええええぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」と藤堂一佐は、続けてネーレイ艦隊を含めた艦隊への攻撃を加えるとの命令を下した。





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午後9時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・日本列島・日本国内全土地域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 





 戦闘開始から30分以上が間も無く経過し様として居る。



 その日の各テレビ局の午前中のバラエティー番組系列ニュースが、始まったばかりであった。





それらの番組は急遽、その日の放送予定だった内容を変更し、速報ニースとして臨時ニュース番組が放送される事と成った。



 それまでは日本の南の国境の海上で戦闘が起きるかも知れないと報道で流されて居り、日本政府は万が一の事態に備えて、南西諸島全域で非難準備命令を出して居た。





しかし、2日前に報道された臨時ニュース以降の日本国内では、戦争に関する報道は少なく成って居た。



 やはり、実際に危機に成らないと我が国の国民達に取って、戦争とは他人事なのだ。





 特に該当地域以外では・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「緊急速報ですっ!!6月1日に政府から発表が有りましたローラーナ帝国軍の動向ですが、今日7時40分に確認されて居たローラーナ帝国艦隊は、8時50頃に東シナ海と龍雲海との間で、自衛隊とローラーナ帝国軍の間で、武力衝突による戦闘に入ったと、日本政府及び防衛省から緊急発表が有りました。」





「現在、自衛隊が国外での戦闘を管理監督すると定めた特殊国外地派遣遠征有事法、通称を特征法を適用し、国外迎撃作戦を遂行するべく、交援省に指揮権限が移行しました。」





「現在、福岡市内の交援省の防衛監督指令室では、自衛隊による作戦を遂行中であると、交援省の報道官である片瀬報道官により発表が有りました。」





「現在、作戦は自衛隊が有利に進められ、順調に作戦が遂行されて居るとの事です。」





「交援省と防衛省は、航空護衛艦の航空隊による奇襲作戦に成功したと発表して居り、続報が有り次第、新たな発表すると言って居ります。」





この報道で日本国民達は不本意ながらも、85年振りに戦争に成ってしまった事に、ようやく気が付く事と成った。



国内では戦争に反対の声を上げてデモ行進をする団体や、国家の危機に対して進んで防衛力と周辺国との国交と同盟条約を進めるべきだと言う団体と世論は二分する事態と成ってしまって居る。



 事態に気が付いたのは良いが、こんな状態に成ったとしても、未だに煮え切らないのも日本人らしい。





 しかし、日本に取って、この戦いは本当の困難と危機は、まだ本の序の口で始まりに過ぎないのである。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時20分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・沖縄県・南西諸島・先島諸島・石垣市・登野城・尖閣尖閣諸島・尖閣諸島海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 自衛隊とローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊との激しい攻防と言いたいが、事実上の自衛隊側のワンサイドゲーム状態が続いて居た。





 一方の第一外征艦隊の別働隊として雇われて居る海賊艦隊は、ドラグナー皇国のサリヴァン市港を出発してから2日掛けて、尖閣諸島沖まで到達しつつあった。



 このまま行けば、宮古列島と八重山列島から成る先島諸島に到達する可能性が大であった。





 これに対して先島諸島を自治する各市町村は、日本政府に自衛隊に対して防衛出動を要請して居た。



 常日頃から南西諸島の島民らは、太平洋戦争での経験から、防衛体制の構築や自衛隊の増強、更には米軍駐留を無くして欲しいと言って居るが、いざ危機と成ると今まで迷惑な基地と輩と罵って居たのに、実に奇妙な物と思えて来る。



 危機感と言う者は本当に目の当たりにでもしないと分かり辛い物なのだ。





 同地方の自衛隊員らは沖縄県と奄美諸島出身らで占められて居る。



 日頃から日陰者と後ろ指を刺されて居たのに、此処に来て英雄の扱いをされて居る事に困惑して居た。



 そんな自衛隊と米軍の基地問題を抱えて居る同地方から防衛出動を受けた防衛省と海上保安庁は、合同で尖閣諸島沖へとミサイル艇5艇と護衛艦7隻と巡視船20隻を掻き集めて、警戒に当たって居た。



 また、先島諸島の全島に対して緊急避難命令が発令されていた。



 避難先は、台湾共和国と成って居て、台湾政府が派遣した台湾海軍の迎えが来る予定に成って居る。





 避難をする各島の地域住民らは、チャーターしたフェリーで非難を余儀無くされて居た。



 この避難は台湾侵攻や某国の攻撃を受けた場合を想定したマニュアルを基に遂行されて居るが、南西諸島の戦災避難による全島退避は、困難を極めると共に犠牲者ゼロを完遂するのはほぼ不可能に等しいと言われて居る。



 攻め手である敵側が何もして来なければ、可能であるが、常識的な考えをすれば、そんな事は有り得ないに等しいと言えるだろう。





日本政府は交援省の調査結果に措いて、海賊は乱捕り行為を行うとシベリナ連合各国の商会関係者と異世界各国軍からの聞き取り調査で得て居た。



 乱捕りと言えば、先ずは財貨を手当たり次第に奪うの事を一般の方々は真っ先に思い浮かべるだろう。



 しかしながら、そんな事は生易しい上に、それだけでは済まない。



 戦場で興奮した賊徒と言うものは、無差別に虐殺と人攫いに強姦まで行うからだ。



 性質の悪い女は、男を下に組み敷いて、女王様気取りのドS行為を好む者まで居るかも知れない。



 アースティア世界へと転移災害に遭った日本国が有った地球世界に措いてのウクライナ戦争では、ネタミール・クーチン大統領と言うロシア大統領とロシア軍の上層部らが、無差別に無抵抗の人々が男女・年齢を関係無く殺されて居る。



 どの者が敵であるか分からないし、ヒトごと更地にした方が侵攻がし易いと言う理由で無差別殺人を自国軍の兵士らに強要させて居るのである。



 兎も角、統率力の薄いと武装集団と言うのは、正規・不正規を問わずに、敵地では奴隷と強姦、虐殺行為をされる危険性を孕んで居る物である。



 そう言った危険性を回避する為に、日本政府は先島諸島の全島避難を決定したのである。



 もう、第2次大戦の様な玉砕戦行為と市民を犠牲にする事を繰り返す訳にはいかない決意とウクライナ戦争での悲劇を先島諸島の住民、沖縄のいや、日本国民全体に示したのである。





殆んどと言って良いほど、海自の護衛艦は出払って居るし、第一外征艦隊への対応に忙殺されて居る状況である。



 そんな中を佐世保地方隊の傘下に有る海上自衛隊・沖縄基地隊。



 この基地は、掃海艇を有する沖縄基地隊・第46掃海隊の3隻が所属するだけの部隊だったが、近隣に彼の赤旗共産党が牛耳って居る某国と将軍様バンザーイで盛り上がって居る空飛ぶおもちゃ作りにとても熱心な北国の船が、付近の海域を我がもの顔で居たり、ミサイルを撃ち込んだりと・・・・何かと煩い状況が続いた事が切っ掛けで配備されて居た。





 新設された主な理由として、島嶼等防衛の専用部隊の新設と言う事を理由に謳って居る。



 近年、日本海側と小笠原と沖縄に、我が物顔で現れる国際法と相手国の法律を全く無視する赤旗を掲げた無法国家が、頻繁に現れる対策の為に、ミサイル艇『はやぶさ』とゆきかぜ型護衛艦の配備が進められたのである。





ゆきかぜ型護衛艦は、はたかぜやしまかぜも含めた護衛艦の退役を見越しての建艦であった。



 しかし、次元転移の災害に伴い帝国との戦いと護衛艦艦隊の近隣諸国への派遣で、領海の防衛に穴が空きつつ在るのを危惧し、艤装が済んだ護衛艦から造船ドッグから直行で随時配備と成り、半ば無理矢理な納入と配備と成ったのだった。



  ゆきかぜ型護衛艦の配備先として、ゆきかぜ・すずかぜ・はつかぜ・まいかぜは、去年の暮れから佐世保で運用を開始し、沖縄基地への配備されて居る。



 その次に舞鶴基地には、はたにかぜ・あまつかぜ・ときつかぜ・たちかぜの配備が予定と成って対北国用の対策としての任務に就く予定だった。



 それに続く予定ののが、なつかぜ・はまかぜ・うみかぜ・やまかぜは、横須賀を母港にして、小笠原方面の警戒任務に就く予定で在るが、就役の方は、まだまだ先に成るだろうと見られて居た。





海自は創設以来の大幅な艦船の増強と入れ替えを対大陸と半島国家対策を見越して行おうとしたが、その備えは異世界の覇権主義帝国の為の備えと成ってしまうのは、何んとも皮肉な巡り合せとしか言えないだろう。





 そして、はやぶさ型ミサイル艇にも同じことが言えた。





 実際のはやぶさは6艇しか配備されて居ない。





 この世界の日本には18艇も配備されて居るのだ。





北の彼の国がミサイルを撃ちまくり、漁船と工作船と武装船が日本の漁船を脅かす様に成って以来、この日本国では、はやぶさの増強の取り組んで来た。



 何せ、無人島の漁師小屋や誰もいない沿岸部の漁場と無人家屋と無人の漁師施設を荒らし、中に有る物なら何でも強奪し、バレたらバレたで悪びれもしない。



 オマケに軽武装で、周囲を見張る確信犯で有るからだ。



 そんな面倒な連中が、日本に密漁とコソ泥に来て居るのである。



 更に強盗までされたら溜まったもんではない。





 彼の国では、漁船は軍の管理下に有るし、兵士もお国の命令で漁に軍の任務と称して出されて居る。



 それに武装すらも持ち出して居たとしても、何ら不思議は無かった。





 そんな事情と対策が、まさか異世界の海賊退治に使われるのも笑える話で、海自幹部と隊員の多くは、冗談でも苦笑しかないと渋い顔してぼやいて居た。





一方のアルビダ・ラッグナスが率いる紅き火蜥蜴海賊団の50隻のほか、250隻の海賊艦隊は、紅き火蜥蜴海賊団とその旗艦たるアシラグーン号を中央に配置して、合計300隻もの海賊艦隊は、一路を未知と謎に満ちた国家たる日本へと向かって航行して居た。



 アシラグーン号は、真っ赤に帆を持つ帆船型の海賊船である。





 鉄板の装甲を有し、風力と魔動力機関と合わせる事で、航行速度を上げて居る。



 主要武装は、主にフランキ砲似ている大砲を用いて居るが、魔力を封じ込めた弾を撃ち出す魔導砲も有して居る。





 約30門の大砲と団員の白兵戦による総掛かり戦が、彼らの主な戦い方だ。





そして、彼女達は2日掛けて見慣れぬ島々を発見したのである。





 その島とは尖閣諸島の魚釣島だった。





「島の様子は、どうだい?」





「アルビダ姉さん、やっぱり無人島でさぁっ!」





「クソっ!此処に来て空振りとはねぇ・・・・・・」





立ち寄った島が、無人島と知った彼女は、悔しさの余り悪態を付いた。





「姉さん、他の離れ小島も、やっぱり無人島でさぁっ!」





「そうかいっ!」





「ですが、この島には見たこともない材質で作られた小さな灯台が建てられてますぜ。」





「コヨミ文字で、書かれた文章が彫られて居ます。」





海賊達が見たのは、2020年当たりに、民間の有志による者達の手によって、寄付金を集めて立てられた灯台だった。



 この灯台は、大掛かりな仕掛けが有る物では無く、台風や大時化等の大風にも耐えられる設計で、近くにはソーラーパネルと小型の風車発電機が設置されていた。





「じゃ、此処がニホンかい?」





「その離れ小島って所でしょうな。」





「それにしても、変わった板と風車ですぜ。」





「粉引きにするにしても小屋が見当たらない。」





「何の為の物でしょうな?」





 彼らはソーラーパネルや風力発電の風車が、何の為に有るのが理解が出きないらしい。







色香と煽て言う事を聞かせている手下同然の扱いを男海賊達が、彼女の配下共に尖閣諸島に小船で近付いたり、亜人海賊で空が飛べたり海を泳ぐのに適した種族が続々と島へと上陸を始めて居たが、目当てにして居た肝心のお宝所か、人っ子1人も居なかったのである。



 太陽が大分上がって来て居た午前8時30分、海賊達の動きを完璧に把握して居たと言っても過言ではない一団が、海賊達に近付いて来ていた。



 他の海賊達が、久場島と大正島から戻って着た時には、灰色と白い悪魔とも言うべき怪物船団達は、彼らの目の前に現れたのである。







 アースティア暦 1000年・西暦2030年・4月3日・午前9時35分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・沖縄県・南西諸島・先島諸島・石垣市・登野城・尖閣尖閣諸島・魚釣島沖海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 この海賊艦隊を相手に日本政府は、防衛省・交援省・海上保安庁の省庁に命じて合同で、作戦と行動規範を策定を提出せさた。



 交援省が掻き集めた海賊の情報を元にして、海自と海保は九州地区の艦船を沖縄に集結させて居る。



 海自は佐世保と沖縄基地の護衛艦を7隻を派遣、ゆきかぜ型護衛艦とはやぶさ型ミサイル艇のさしば中心とした艦艇を展開する。





 一方の海保は、同地を管轄である第11管区海上保安本部・第7管区海上保安本部・第十管区海上保安本部から巡視船を掻き集めて巡視船おおすみを旗艦として、海保巡視船団を派遣して来て居る。





海自の指揮は、護衛艦ゆきかぜ艦長の小杉九朗太一佐。



 一方の海保の指揮官をわざわざ海賊退治の為に、巡視船おおすみの船長として指名され、一時的に第十管区海上保安本部から海野康三郎二等海上保安監を派遣して来て居た。





「それでは小杉一佐、先ずは我々から彼らに対して、警告させて貰う。」





無線で話して居るのは、海保の指揮官である海野船長である。



どっしりとした貫禄の有る髭を蓄えた男だった。





「無理を為さらない様にして下さい。何か有れば、後方のミサイル艇が救援します。」





「ああ、今回はかなり特殊なケースと言えるが、今後はこう言った事態が増えるかも知れん。」



「対処の仕方を試めす、良い機会だと思って、やって見る積りだ。」





交信を終えると海保の船団は、海賊船団が屯する魚釣島へと向って行くのであった。



 その海賊達は、一つの間違いを犯して居た。



 それは島に上陸をした事である。



 島に近付かなければ、少なくとも海自は海賊を追い払う仕事を海保に任せる予定で居た。



 何せ弾代が勿体無いのだ、それが本音でもあった。



 それに放水と機関砲の経費を比べれば放水の方が安いに決まって居るし、海賊が現れる度に、海自の護衛艦が海保の護衛と援護に出張るのは護衛艦の数も足りない。



 今回の海保の出動は、巡視船の火力不足と相手の技量を見極める目安作りの目的も含まれて居た。





 果たして、相対する海賊たち等は、どの程度の実力を有するだろうか?





交援大臣の竜史は、ある提案して居た。





 それは海上自衛隊と海上保安庁の間の組織が必要に成るのでは、ないかと言うのである。



まだ提案段階であるが、海上警備隊の創設である。





 交易路の警備と護衛を主任務とし、火力は護衛艦より少し落とした艦船での運用を旨とする組織だ。





 管轄先には、経産省の辺りに所管させては、如何かと意見書に書かれて居た。



 そうすれば、少なくとも沿岸警察として海保は、これまで通りの日本国領海内での業務が行え、海自は外敵に専念出来る様に成るからだ。





特に護衛艦が商船を護衛をし続けるのも効率が悪いと言わざる終えない。





 日本政府も学の無い竜史にしては、ある意味まともな意見として、真剣な検討を始めたらしいのである。





 さて、巡視船が300隻もの海賊船団に東から近付いて行く。





 その後ろから、はやぶさミサイル艇艇さしば以下7艇が、遠巻きに見守りながら海保船団の後に続いて居た。



 海自の護衛艦7隻は、西回りに動きを取りつつあった。



 半方位を取りつつ、海賊を追い払うのが主な目的である。





 何せ前回は、大陸の情勢が知りたくて捕虜を取ったが、今回はタダ飯食らいを成るべく取りたくないと考えて居るからだった。





アルビダが海保の巡視船団に気付いたのは、見張りをして居た海賊の1人が声を上げて知らせて来たからだ。





「姉さんっ!!!てっ、ていへんだああああぁぁぁぁーーーーーーーっ!!」





「どうしたんだい?」





「ひっ、ひっ、東の方角から白くてデカイ船が、この島へと近付いて来てますぜっ!姉さんっ!!!」





彼らは聞いた事もない雑音、海保のサイレンの事だが、その奇妙で喧しい雑音に嫌悪感を抱きながら島を遠巻きに半包囲して行くの眺め見て居た。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時44分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・南西諸島・沖縄県・先島諸島・石垣市・登野城・尖閣尖閣諸島・魚釣島沖海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 海保船団を率いる海野船長は、声を高らかにして、海賊達に向けて地球世界時代でもお馴染みで、尚且つお決まりの台詞を言うのであった。





「こちらは日本国海上保安庁であるっ!!!我が日本国の固有領土たる尖閣諸島周辺の島々を不法占拠して居る者達に告げるっ!!!」





「諸君らはっ!!!我が国の領土・領海内への無断での進入及びっ!!!尖閣諸島全土地域への不法上陸を占拠して居るっ!!!」



「直ちに退去せよっ!!!直ちに退去せよっ!!!退去しなければっ!!不法入国及び不法侵入罪で全員逮捕するっ!!!」





20隻の巡視船からサイレンを鳴り散らしつつ、各砲台が海賊船団へと向けられていた。





 一方の海賊達は、そんな海保の奇妙とも言える威嚇と警告を目を丸くして聞いて居た。





「ニホン国カイジョウホアンチョウだぁ!?何者だいっ!の白い船の連中はっ!?」





白くカラフルな目立つ色彩の色合いが混ざった船は、大きな騒音を巻き散らしながらアルビダ達の目の前で、船体を横向きにして、砲台の様な物を向けて来て居た。





「姉さん。ありゃ、コヨミ文字ですぜっ!ひょっとしたら、コヨミ皇国の新しい部隊ですかね?」





学の無い海賊の1人が、推測で物を言うが、別の者が正しい答えを言い放った。





「バカかっ!奴らは自らニホン国と言って居るだろうがっ!!あれは恐らくニホンの沿岸警備船だっ!!!」





「・・・・・と言う事は・・・・ニホンが近いって事さね。」



「お前達っ!舐めた事にニホンの連中は、ご丁寧に警告をして来たよ。」





「ガハハハハハハッ!!!」





「あはははははっ!!!」





「ふはははははははっ!!!」





「くっくっくっ、バカのじゃねぇのかっ!」





「姉さんっ!殺っちまいましょうっ!!」





「あたり前だよっ!さぁ!野郎共っ!!掛かれえええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーっ!!」





「「「「「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっっっ!!!」」」」」





「「「「「ヒヤッハーーーーーーッ!!!」」」」」



 海賊達は、大船や小船に乗り込んで、自らが最も得意とする海戦や白兵戦を仕掛け様として居た。





「はぁ~、やはりこうなるか・・・・・・各船っ!撃ち方よーいっ!」





海野船長は事前に、この世界の海賊に関する資料や参考用の映画なとで対策の為の事前学習を済ませていた。





 しかし、こうもお約束な展開通りに成ると、流石に溜息が出てしまう。



 地球の海賊は、人攫いと船舶を人質にして、金銭要求と言う此方とは、別の意味で分かり易っかったが、こっちはこっちで別の意味で分かり易くて面倒だと、この場に居るであろう全員が思った。



 血の気のを多い事に、世紀末世界に居る無法者立ちが叫ぶ様な、お決まり文句のヒヤッハーを言う連中は、素直に捕まりもしなければ、この場から大人しく退く事もしないらしい。





ウィィンと駆動音を鳴らしながら砲台は海賊船へと照準を定める。





「図体がデカイだけだ、目に付いた白い木偶の坊を片っ端から沈めてやれっ!!!」





「「「「おうっ!!」」」」





とある海賊団が、船体を横向きにすると、一斉に大砲を撃とうとして居た。





「来たぞっ!!放水開始っ!!」





巡視船の各船長は、近付いて来て砲撃をしようとして来た海賊船に対して、放水砲を向けて撃ち放った。





「ぐはっ!!」





「けほけほっ!!!ぺっぺっ!!しょっぺええぇぇぇーーーーっ!!!」





「何だっ!こりゃっ!」





「こりゃ、海水だぞ!」





「お頭っ!!さっきの放水で大砲の火薬がぁっ!!」



 

交援省が、提案して居た対海賊戦に措ける初手の有効打撃である放水砲による敵船の大砲の無力化は、功を奏したらしい。





「海野船長っ!!海賊達は、この程度では、まだ退く気が無いようですっ!!」





「止む終えんっ!!機関砲っ!!撃ち方よーいっ!!海自にも協力要請しろっ!!」





「了解ですっ!!」





海野は当初の予定通りと成って居た海自の参戦を要請する事にした。



 一様、組織事の縦割りが有るので、海保で警告、後に海賊船団の撤退が無ければ、海自の介入が会議で決まって居るのである。





「小杉一佐っ!!海野二等海上保安監から共同作戦を開始したいと言って居られますっ!!」







「良しっ!!各艦右弦っ!!撃ちー方よーいっ!!」





「小杉一佐っ!!海賊の一団が、此方に気付いて向って来ますっ!!」





「くっ!仕方がない退去警告しろっ!!」





面倒な事に海賊達が、護衛艦の主砲を撃つ前に、海自側に向って来て居る。





 海自としては、一様、海保と同様に建前上は警告しなければ成らないのだった。





「此方は日本国海上自衛隊であるっ!!」





我が日本国の固有領土たる尖閣諸島周辺の島々を不法占拠して居る者達に告げるっ!!!」





「諸君らはっ!!!我が国の領土・領海内への無断での進入及びっ!!!尖閣諸島全土地域への不法上陸を占拠して居るっ!!!」



「直ちに同海域及び同諸島から退去せよっ!!! 退去せよっ!!!退去せよっ!!!退去せよっ!!!退去せよっ!!!」



「繰り返すっ!!直ちに退去せよ!!!尖閣諸島は我が日本国の領土であるっ!!速やかに退去せよ!!!」



「警告を無視した場合は、実力行使するっ!!」







出きれば彼の隣国の警備船に対しても、堂々とこんな事を言って見たいものである。



 この場に居る海自と海保の者らは、あの国に言いたくても言えなかった事への憂さ晴らしをするかの様に生き生きと仕事に専念して居た。





一方の海賊船団の30隻は「知るかボケええぇぇぇーーーーーっ!!!」と言って居る。





「問答無用か・・・仕方ない。撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーっ!!!」





「了解っ!目標っ!3時方向っ!!海賊船団っ!」





「撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!!」





船体を横向きにして各護衛艦の7隻は、一斉に前部と後部に付いて居る2基の主砲と20ミリCIWS・1基が火を噴いた。





ドンドンッ!!ドンドンッ!!ドンドンッ!!



ブオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーーッ!!





海保の船団も同じく機関砲と機関銃を撃ち放った。







ブオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーーッ!!



 



 ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!



 ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!



 ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!





海保の船団の左方向からミサイル艇はやぶさの7艇が現れる。





彼らは、更に海賊達を包囲する為でに左側から回り込む。





「曽我部艇長っ!!各艇予定位置に就きましたっ!!」





「良しっ!!日本の海を荒れす海賊共に情け無用っ!!!撃ちーかーた始めっ!!!」





曽我部三佐は、丸でJの名がが付く、宇宙の始末屋っ!!お呼びと有らば即参上っ!!みたいな事を言いつつ、曽我部三佐が率いるミサイル艇隊は、海賊艦隊を射程位置に捕らえ、各主砲と機銃を撃ち放つ。





ダダダダダダダダッ!!ドンドンッ!!ドンドンッ!!



ダダダダダダダダッ!!ドンドンッ!!ドンドンッ!!



ダダダダダダダダッ!!ドンドンッ!!ドンドンッ!!



ダダダダダダダダッ!!ドンドンッ!!ドンドンッ!!





「うああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!!」





「ひっ!ひひいいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーっ!!!」





「ばっ!化物だああああぁぁぁぁーーーーーっ!!!」





「にっ!逃げろおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!!」



逃げ惑う海賊たち、彼らが陣取る狭い島では不利と悟ったのか、一斉に逃げる海賊や、逆に勇敢に日本の軍や警備隊に立ち向かう者も現れた。





 そんな中をアルビダは、どさくさに紛れて戦地から逃げ始めていた。





「くそっ!!こう言う事かいっ!!如何りで帝国が大艦隊を率いて攻めたがる訳だっ!!」



「トンだっ!!ハズレクジを引かされもんさね。」





「アルビダっ!!ズラかるよ!!!」





「カーリーナ義姉さん。」





「しっ、その名前は出してはダメって言ってるでしょう。」





「ごめんよ、カーリー義姉さん。」





「宜しい。」





何時も強気で妖艶なアルビダでも頭の上がらない人物が居た。





 紅き火蜥蜴海賊団の先代の頭領で既に、ドラグナー皇国の王女のヴァロニカとの戦い戦死をして居る人間族の女海賊カーリーナ・ラドスである。



 紅き火蜥蜴海賊団の女海賊達からは母であり姉の様に慕われて居た。



 勇敢で優しく美しい彼女は、既に死んで居る筈なのだが、生前に偶々手に入れた死者の宝珠と言う7アクセサリーからなる宝石を身に着けていた為に、姿の見える幽霊として現世に留まって居た。





その後は、密かにアルビダ達を見守って居たのだが、危なつかくしくて、見ていられずに、怪我で死に掛けていた今の女傭兵の身体を上手く回復させて、憑依して肉体を乗っ取り、アルビダの前に再び現れたのである。



 最初は半信半疑だったが、紅き火蜥蜴海賊団の幹部らは、自分達のしか知らない出来事を聞かされると彼女の事を受け入れたのであった。



 今は表向きの身分は、アルビダの遠縁の親戚で、義理の姉を称して居る。



 名前もカーリー・ラッグナスと以前の名前を文字って使って居た。





ちなみに幽霊の彼女が憑依して乗っ取った肉体には、痛覚を感じ難いように意識下で痛覚を切っている。



 そんな訳で無茶な治療を病院で受け、カーリーの乗っ取っている女傭兵の身体は、死地から蘇生が出きたのであった。





「それよりも男達を盾にして逃げるわよっ!!」





「はい。死んでは元子も無い。カーリー義姉さんの遺言だからさねっ!!」







紅き火蜥蜴海賊団は、甚大な被害を受ける前に、尖閣諸島から逃げ出したのである。







「小杉一佐っ!海賊達が退いて行きますっ!!」





「海保と各艦に連絡っ!!追撃するっ!!」





「了解ですっ!!」





海自と海保は国境の領海の外まで必要に、そして、徹底的に追撃を繰り返して海賊達を追い払ったのである。





 海賊側は、3万人の兵力の内、1500人が捕らえられ、1500人を討ち取られて居た。



 捕らえられた海賊達は、一旦はコヨミ皇国に送られ、其処で裁判に掛けられる。



 そして、捕らえた海賊の行った罪状の多い国に優先して送られる事と成って居た。





 日本は今回の龍雲海での交戦に措いて、捕虜を成るべく取らない方針である。



 以前に捉えた捕虜は、情報収集為の目的と日本国籍の民間船の襲撃に由る刑期が終われば、即時開放と言う事が決まって居る。



 しかしながら、ローラーナ帝国との外交チャンネルが無い為に、何処かの国を経由して帰国させるしか手立て無かった。



 その事が成されるのは、ずっと先の事に成りそうだし見られて居た。





 第二次龍雲海沖海戦で、尖閣諸島での戦いはこの様な形で幕引きと成ったのであった。