アースティア暦1000年・6月2日・早朝未明・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央部地方・ドラグリア山脈高原地方・ドラグリア白龍大帝国・首都ハイリッピン市・白龍大帝城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この日、ドラグリア白龍大帝国の大帝たるエリノア・ドラグリアこと、通称名エリンは、南方の国々に潜伏させて居る諜報部隊から送られて来た、各国々の情勢の定期報告を聞いて居た。
諜報部隊は、他の亜人族と竜人族の一部の種族に備わって居る人の姿への変身能力を駆使して諜報活動を行って居る。
その中で白竜人族こと、ホワイト・シャイニードラグリア族は、最強の種族と謳われる色竜人族の一角の一種部族の一つ。
色竜人とは、世界各所に居構えている色を持った肌の竜人族達の総称で、白龍帝・赤龍帝・黒龍帝・黄龍雷帝、紫龍帝・緑風龍帝・青龍帝と様々な色彩の竜人族が居り、白竜人の長たるエリンもその一人である。
リナも修行時代に色竜人族の長達に酷い目に会っている。
何れの種族も完璧な人型への変身が出きるのは女だでけである。
そんな高位の竜人族と共に有るのが、高位龍族であるが、中でも色龍族は色竜人に近い様々な肌色の付いた上位種の龍達の総称で、自分達よりも更に高位種たる色竜人達に従う群れも有るらしい。
高位龍族とは、主に自然溢れる地方で野生に近い暮らしをしている上位龍種族の事である。
それ以外は下級龍種とされ、知能はある程度有れども、身体的な能力はやや低い。
それでも各種の人族からすれば、身体的な能力は上である。
龍人族は、龍族から枝分かれして進化した種族で、人間の様な歴史を辿った亜人達の事である。
そんな彼らの力を持ってすれば、完璧な人化変身する事など造作も無い事なのである。
この事は公には知られて居る事でも有るのだが、世界の共通間の暗黙のルールでは、儀礼的な場所や国境審査等を含む場所では、半獣半人で居るのが決まりで有るとされ、相手に対する誠意を示す為の礼儀と成って居た。
これは変身能力を持っている他種族も似た様な決まりが在ったりする。
さて白龍大帝の地位にあるエリンは、帝国が世界制覇の大戦を開始した年の生まれで、齢600歳の竜人族の大帝である。
他の国で言えば、皇帝の地位に当たる。
その普段の姿は、どう見ても幼女でしかなかった。
その言い方も言い過ぎであるかも知れないが、どう見ても『幼女』である。
ロリコン趣味のいや、紳士の諸君には、思わず崇拝してしまう位の可愛らしい幼女姿と威厳に満ちた「なのじゃ」口調のロリババアなのである。
見た目は中学生位の背丈と言いたいが・・・・本当にギリギリの背格好である。大きな胸も無い、括れた腰もない尻も大きくない。
本当の姿は、ボンキュッボンの肉体美を持った絶世の美女なのだ。
普段の姿を見て居る自国民と諸国の人々から陰口で、ロリババアと言われて居たが、普段から幼女姿格好なのは、強力な力を抑える為だと本人は、公言して言って居た。
エリンは諜報活動をしている女諜報員から南部諸国の報告・・・特にコヨミ皇国の情勢を詳しく聞いて居た。
因みに、ドラグリア白龍大帝国に住まう部族の事を白竜人族と言うが、この白竜人族で完璧な人化変身が、可能なのは何故か女性だけである。
他の竜人族も何故か女性が、人化を得意として居た。
「南方・西方・東方諸国の情勢報告は以上です。詳細は提出した報告書をご覧下さい。」
「ご苦労であった、下がって良いぞ。」
「はっ!」
配下を見送ると、近くに居る直臣らと受けた報告と報告書の中身に付いての話が始まる。
その相手は、この国の総司令官を意味するドラグリア白龍大帝国軍・統合将軍にして、ドラグリア白龍大帝国・国軍総務省を兼務するエリンの親友たるユキカゼ・コーキンが執務室に残り、コヨミ皇国に来たと言う鋼鉄の艦隊と鋼鉄の車の軍隊の報告を精査し始める。
「かかかっ!!彼のコヨミ皇国内が、何やら面白い事に成っとる様じゃのう。」
「面白がって居る場合か、今の状況では、敵か味方か分らないのだろう?」
キツイ、ツリ目を更にキツくした目で睨むユキカゼ。
だが、そんな程度では動じないエリンは、満面の笑みでニヤニヤと笑いながら報告書を読んで居た。
(あ~あ~、エリンのあの目は、新しいオモチャを見つけた時の顔付だ。)
(くくぅぅっっ!!胃がっ、胃がっ、胃がっ痛いっ!!これはきっとロクでもない事に成るぞっ!)
目の前に居るエリンは、ユキカゼとは500年以上もの付き合いのある親友だった。
自由奔放の性格して居るその親友の行動に、ユキカゼは、頭痛所か胃痛を起こさせる悩みの尽きない相手だった。
「おおっ!そうであった。これを受けとって居たのじゃった。」
彼女の懐から取り出したのは和紙製の手紙である。
手紙の差出人はコヨミ皇国皇女である紅葉であった。
それを見たユキカゼは、少々驚き目を丸くする。
「その手紙は?」
「コヨミ皇国の小娘からじゃ。」
「コヨミ皇国の紅葉様から?で、何と書かれて居るんだ?」
「それがじゃな。コヨミ皇国の近海に、異界からニホンなる国家が現れたと言うて来ておる。」
「更に南方にも、ニホンと同じ異世界から来た国々も在るらしいのじゃっ!」
「エリンっ!まさかっ!最初から知ってたのかっ?!何故それを早く言わないっ!」
「スマン、スマン。ツイツイうかっりして居っての。ちょっとだけ忘れて居たのじゃ!」
「忘れて居たでは・・・・・・・・」
「ごっ、コホン。それは・・・・由々しき事態では無いのですか?」
ユキカゼは、悪戯ぽっく事態を面白がるエリンに大して怒るが、遠くでは従者や護衛の兵士が居る手前、親友としての態度から慌てて臣下としてユキカゼ戻るのだった。
「ユキカゼ、お主が懸念する様な事は起こらんっ!心配は無用じゃ!」
「何故ですか?」
「彼の国は、比較的温和な人種が治める国だと言う事が書かれて居る。」
「今は国交の交渉の最中だと言って居るのじゃっ!」
「各地の国家にも、似た様な手紙を送って根回しをしたとも書いて居る。あの小娘め、相変わらず打つ手が早いのう。」
「で、我らは如何が致しましょう?」
「そうさのう、折を見て接触するのが良いと思っておるのじゃっ!」
「ニホンとやらの判断材料は、コヨミ皇国の小娘とダバード・ロード王国の小娘の動きが活発に成って来て居るとの報告も在るからの。」
「その関係事で、面白い事が起こりそうなのじゃっ!」
(うっかりが多い割には、相変わらず耳の早い奴っ!こう言う所が癪に障るのよね。はぁ~・・・・・・・)
ユキカゼは、いい加減な性格とうっかりがちょっだけ多い親友の『てへぺろ』な態度を見て、半ば諦めた様に心の内で溜息を付いて居た。
「それで・・・・その面白い事とは?」
ユキカゼは、自由奔放のエリンの考えが分らず首を傾げる。
「諜報情報庁と外交省の知らせ以外で動きがあった。」
「それはダバード・ロード王国のアーヤの小娘からの手紙が来て居っての。近々パイプ・ライン大河をニホン国の海軍が遡上するらしいとの事じゃっ!」
「アーヤの小娘は、こうも言って居ってな。ワシに共にニホン行かぬかと、誘って来て居るのじゃよ。」
「えええっ!?陛下もニホンへですか?」
「アーヤ様が、ニホンへと赴くのは、外交の為と理解が出来ますが、ニホン艦隊は、ダバード・ロード王国へ何をしに行くのでしょうか?」
「詳しくは書いて居らんが・・・・もし、パイプ・ライン大河で、ニホン軍に遭遇しても迂闊な行動を取るなと書かれて居るな。」
「まぁ、バカ正直に国旗を揚げて、船を動かして居れば良いらしいぞ。」
「それとな。ニホン国旗と軍旗の絵図、ニホン国の事が書かれた二ホン国内情報案内書籍が送られて居るな。」
「どれどれ・・・・・・・・・おおっ!!これは凄いのじゃ!!!」
「たた、確かに・・・・・・・・」
送った絵図とは写真の事であり、日本政府がカタログと揶揄した本として印刷された中に載せられて居た物が送れられ来ていた。
それを見た二人は、その内容に大変に驚いて居た。
初めて見るフルカラー写真の絵図で、それ等を初めて見る彼女達に取って、それは衝撃的な内容であったのだ。
「ほほう・・・・この絵図は、本物をそのまま写し撮った様じゃな。」
「ええ、素晴らしい技術ですよ。これは・・・・・・」
「これを元に国中に振れを出せっ!パイプ・ライン川にて所要の有る者は、ニホン軍の呼びかけに対しては、大人しく従えとな。」
「では直に報せを出しましょう。所で先ほどの面白い事とは、ニホンの動きに付いてなのですか?」
「その通りなのじゃっ!」
「そ・こ・で・じゃ。どうじゃ、これから一緒に近くに来ると言うニホン海軍を見物せんか?」
「ななな、なっ、何ですってっ!!!艦隊の見物っっっうううぅぅぅぅーーーーーっ!?」
「そっ、そそそれはっ!如何なる考えで言って居るのですかっ!?陛下っ!!!」
「まあまあ、そういきり立つな。ユキカゼっ!」
「公然と見に行くは言うては居らんから安心せいっ!」
「それでもですっ!大帝と言う身分を弁えて下さいよおっ!!もうっ!!!」
「まぁまぁ、お忍びで行くのから平気なのじゃっ!!龍化して野生の龍族に紛れ込んでの物見遊山よ。」
「はぁ? ええええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーっっっっ!!??」
龍化とは、そのままの意味である。
竜人族が、凡そ15メートル以上の龍の姿に変身する事である。
変身後のサイズは、個人によって自在で有るが、個々人に由るサイズの変化の差も有るが、下は15メートルから上は30メートル以上のサイズも有ると言う。
変身は個人差がある為に、一概にコレと言う決まった全長は無いとされて居る。
「なっ、なななっ!!何を考えて居るのよっ!!エリンっ!!!」
「貴女は只でさえ、敵対国から目を付けられて居るのよっ!!!例え貴女を倒せる者が居ないにしてもよっ!!!」
余りにも無茶で大胆な行いと思ったユキカゼは動揺して、すっかり親友口調に戻ってしまって居た。
「護衛の武官も付けるから平気じゃぞっ!!政務なら妹等に任せて置けば良いのじゃっ!」
「セレノア様に政務を全部丸投げって・・・・・はぁ~、貴女って人は・・・・何を言っても無駄なのよね。」
「無駄じゃっ!それにいい加減この姿も窮屈じゃし、偶には羽を伸ばしたいのう。」
それは文字通り羽を伸ばすと言う龍人族達共通の性質の悪い笑えないジョークを言うエリン。
「でも、ダメですってっ!!!」
当然、ユキカゼは、どんな理由で有ろうともお忍びを却下した。
「やだやだやだーいっ!!!やだやだやだやだーーーっ!!!行きたい、行きたいっ!!!行きたいっ!!!行きたーいっ!!!」
「ユキカゼのいけずーーっ!!!もうっ!!!執務室ばかりに籠ってはかりの詰まらん政務ばかりは飽きたーーっ!!!」
「わしだって偶には、羽を伸ばしたーいーっ!!!お外行きたいーっ!!!遊びに行きたいーっ!!!」
本音が駄々漏れで、ジタバタと動き回り駄々を捏ねる姿は、子供かゲーム風の異世界に転移してしまったと言う、何所ぞの女中堅ギルド長の言う姿と変わりない。
こう言うときだけ子供みたいな事を言う奴は、ある意味ズルいが憎めない物だろう。
「はぁ・・・・分ったわよ。それじゃ、近衛や警備兵を集めるから大人しくしてなさい。」
「やったーっ!!!流石は大親友のユキカゼなのじゃっ!!!愛して居るのじゃぁぁーーーーーーっ!!」
こうなったら梃子でも諦めないし、言う事も聞かないエリンだ。
仕方の無いと呆れ顔で観念したユキカゼは、各方面に色々な理由を付けて連絡を取るのであった。
そして、その日の内にドラグリアの国境に移動したエリンら一向は皇族と女性上級軍人が主に使用する秘密要塞であるバラウール大要塞に入る。
此処は男子禁制の場所とされて居る所であった。
アースティア暦1000年・6月2日・午後13時05分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央部地方・・ドラグリア山脈・ドラグリア山脈高原地方南部・山脈丘陵地帯・ドラグリア白龍大帝国・バラウール大要塞にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この国の国境近くに在るドラグリア山脈は、ドラグリア白龍大帝国と言う国に取って防波堤にして最後の要塞でも在る山脈地帯。
その山脈地帯の中には、無数の網目構造の地下空洞と渓谷を利用して作られた大秘密要塞基地に相当する砦や城塞がたくさん在るのだ。
その要塞群には、人間に化ける時に使う更衣室と成って居る場所も在るのだった。
今回の様な野生種の龍を集めて偵察飛行する場合にも使用される事も有る。
但し、竜人族の中には、変身する姿を見られるのを隠す者等も居る。
これは変身前の容姿を隠す意味も込められて居て、特に隠密行動を取って居る者は、素性を秘匿する必要が有るからだった。
正体がばれたら個人的な一大事と成る為、こうした所に秘密裏に姿を変え得る為の場所を確保して置く必要が有った。
変身関連の事柄に付いては、エリン本人は秘匿はしていない。
隠密任務に付いて居る以外の者達は、公然と戦うのがドラグリア白龍大帝国の戦士とされて居るからだ。
このバラウール大要塞は、ドラグリア山脈の中央に位置し、松や杉等の木々と険しい地形に隠れ、その洞窟を巧みに刳り貫いて作られて居る大要塞だ。
その出入り口は、隠れる様にして、北側からの入り口や南の方角には、龍化した時の出入り口と空挺戦艦が出入りする物、人化して出て行く時の秘密の抜け道までと、その使用用途は様々であった。
主要な入り口は 入り口は北に在り、その見た目は城その物なのだが、仮にも別荘と便宜上は言うが、完全に建前に過ぎないだろう。
国内外へと発信して居る表向き理由としては、便宜上、大帝皇族の別荘と言う事に成って居る。
此処に近付くには、数カ所の検問と許可状。
そして、竜人族の特徴の確認と身分証が居るとされて居る。
警備のセキュリティチェックが、とても厳しいので、敵国の間者の突破は先ず無理だろうと思われる。
バラウール大要塞を訪れたエリンは、表向きは休暇を名目にして、別荘と証する城内に入った。
此処は別荘ともされて居る建物、戦時には要塞に変わると国の重要な書類には記載されて居る場所でも在る。
エリン達一行は、建物に入ると荷物を部屋に置く。
そして、巨大な龍へと変身する為に、建物の地下へと降りて行った。
地下には無数の通路と要塞としての機能に必要な施設、要塞に勤務している者達の個室の部屋が幾つも掘られて居る。
エリン達は、特に大きな刳り貫かれて居る洞窟へと個々に別れて入って行く。
其処は、龍に変身する為の専用の部屋であった。
この大きな部屋から外へと続く通路を出ると、白竜人の近しい龍族して、眷属の白龍族を中心として、様々な階級の龍族達が暮らす谷間へと出る事が出きる。
此処から外に出れば、野性の龍と見分けが尽き難く成り、国境から南を警戒・監視が容易であるからだった。
その洞窟部屋の手前には、個別のロッカーが設置された更衣室がある。
この更衣室で変身する為に必要な準備をする。
と言っても服を全て脱ぐだけなのだが。此処で竜人族の変身に付いてある程度説明しておく。
彼らの変身と言うのは、元々は擬態行為であった。
竜人族は、魔力が高く元素物質を高次元で操ると言う特殊な能力を有する種族であるのだ。
竜人族以外にも、この様な能力を扱える種族は存在するが、今は竜人族に付いてだけを話して置く。
竜人族が他種族との交流をせずに、只の龍族として暮していた頃の話である。
遥か天空を飛び回り、高山や環境の厳しい地域が生息域であった頃は、狩りをするか木の実や自然界で取れる餌で事足りていた頃である。
それが、ある日の事である。
山へとやって来た下界の人種が、龍族が縄張りとする地域へと進出をし始めると、ヒト族と龍族との激しい争いが生まれた。
両種族の争いは、日増しに拡大して行った。
その争いの結果、縄張り争いに人が勝った。
それは何故か、文明を築き、大きな国家と言う組織を持って居た事が勝利の一因と成って居たからである。
この事を一部の龍族の者達は、人化変身と言う方法で情報を入手して居た。
それまで龍族は、狙われない為に、或いは、偵察の為に、人化変身能力を使って来て居たが、この一部の勇気ある龍族の行いが、彼らの進化の歴史を劇的に変化させる事に成る。
人間族を含む多数のヒト族達に取って、龍族と言うのは蛮族扱いであり、人類種の歴史で言う所の原人扱いをされて居た。
そんな龍族に、ある考えが生まれたのである。
「我々も国家を、文明を持とう」と思い至ったのであった。
その為に彼らは、死に物狂いで完璧に姿を変える特訓をした。
だが、どう言う訳か一部の部族の男だけは中途半端に化けてしまうのである。
困った彼らは、女達を下界に送り込んで人間の血と知識技術を手に入れようと考えた。
完璧に変身した女達ならば、他のヒト族達からも怪しまれずに、ヒト族の国家に潜入出きるし、行きずりの男の子供を身籠って帰郷も可能と判断を下したのである。
それが凡そ1000年くらい前の出来事である。この時より龍族の中から竜人族への進化が始まったのであった。
これより後は、世代を重ねる事により産卵して居た彼らの祖先は、ヒト族との交わりにより、妊娠が可能となる臓器を手に入れ始めたのであった。
それだけでは無く、独自の進化を進み、龍と人の両方の能力を持った種族と成り、人の姿で徐々に暮らす様に成って行きつつ、遂に700年前には、国家の樹立が始まり出したのであった。
これが龍族と竜人族との枝分かれをした歴史の概要である。
龍族と竜人族は、共通の祖先と個々に枝分かれした部族が在って、各部族の肌の色が一色の色をして居るのだ。
その色別に呼び方が有って、それらを色竜人と色龍族と呼称されて居る。
この二つの種族らは、この世界の各地で、国や部族分かれて暮らして居るのだった。
その国家の一つが、ドラグリア白龍大帝国と言う訳であるが、この進化には欠点が有った。
産卵を辞め、妊娠と人種の姿と文明を手に入れた対価として。生物として重要な欠点に・・・・・・・・
それは何かと言うと、彼らは物凄く寿命が長い。
それに加えて、気がとても長いので、非常にのんびりとした性格であり、戦いとも成ると気性も激しい所も有る性格をして居た。
その種族的な気質のせいで、婚期が遅れると言う欠点が待って居た。
即ち繁殖率が下がるのである。
竜人族として、一度に産む子供人数は1から3人と言われて居る。
これが龍族の産卵で有れば、20から30以上あったであろうと言われて居る。
今でも卵を産もうと思えば可能だが、すっかり文明人と化した彼らは病院や自宅での出産が当たり前となり、今さら原始時代のやり方をやりたくないと思って居た。
そして、現在は戦争の影響で種族が徐々に減りつつあり、人口減少に拍車が掛かって居る状態が続いて居た。
此処から話を現在に戻し、説明の続きをする。
さて、皆は幻想世界の生命体が、変身能力を発現する時の解釈は、どう思って居るのだろうか?
その一例として、龍族から枝分かれした竜人族、各地に散らばる色竜人族とも総じて呼ばれて居る。
その一派がエリン達のドラグリア白龍大帝国に住まう白竜人族なのだ。
完璧な龍化と人化の変身能力を持って居るのは、竜人族では基本は全てなのだが、高位龍族や色竜人族の女性のみである。
何故かと言われても、ぶっちゃけ分らないとしか言いようがない。
遺伝子の神秘万歳、生命の神秘、いい加減な世界設定とか色々と言い方も有るが、この世界の誰もが知らないし、分らないのだ。
・・・と言うか当事者である竜人族達も特に気にして居ない。
一部の学者が人族に取り入る為に進化したとか言っても居るが、その真実は定かではない。
ひょっとしたら、彼らを含めた特殊な亜人族の遺伝子は器用なのか、はたまた不器用と言う冗談すら言える位に謎なのだ。
変身する時に身に着けて居る物は、一応は脱ぐ事に成って居る。
龍人族は魔力を使って元素粒子を巧みに操り、細胞や物質を変化させられる力を持って居る。
細胞と物質を変化できる力を持った種族は限られて居る。
龍人から龍化する時に身に着けて居る物は、鱗の皮膚へと変化する様に成って居る。
この時に身に着けて居た物が、強固な鎧ならその分の防御力は上がる様に成る。
その昔、今とは逆に変身した時代は、皮膚を服に変化させる事も有ったが、その服が酷く傷を負うと皮膚まで傷を付けると言う問題が出た事もあった。
今は必要に応じて鎧等を身に着けて居るが、不要な時は身に着けていない素っ裸な格好で出歩いて居る事と成る。
身に着けたくない理由は、物質を変化させるのも彼らに取っては負担となる事に有るからだった。
其処で特に必要が場合は、龍化への変身時には、素っ裸と言う格好を取って居た。
そんな理由が有るので、この様な施設の場所の出入りで、全ての男性の出入りが禁止と成って居た。
さて、エリンとユキカゼと30名の供回りを連れて、ニホン海軍の視察と言う名の見物へと向う事になる。
そうそう、この事に関して各部署には、お忍びの視察旅行で通して居るのであった。
その理由はとても苦しいが、それでも強引に通して居るのだった。
同行する部下らが、先に部屋に入室するのを見送ると、居残った二人は話す。特にエリンは楽しそうである。
「かかっっ!!!久し振りじゃのう。この血が騒ぐ感覚は、くくくっ、久々に全力が出せるのじゃっ!!」
エリンは普段、強すぎる力と溢れ出る魔力を押さえ付ける為に幼女風の姿を取って居る。
もし、彼女が本気を出したら、大きな国の首都は灰燼に帰す事だろう。
「はぁ~、わたしは、龍化するのは、余り好きじゃ無いのだがな。」
竜人は長い年月を掛けて文化的に成って居る。
今や龍化を進んでするのは、軍人か武に才有る者だけであった。
龍に成ったら、成ったで、人によっては本能的に暴れまわる者も居るらしい。
それ故に女の竜人は、幼少の頃から龍の姿を扱う鍛錬に励むのだが、現在、男性の人口が下がって居る事もあり、見合いや恋愛する相手と言うのが人間に成っており、年を追う事に人間との婚姻関係が増加傾向に有った。
まぁ、例え人間相手でも竜人族の子を産む事は出来る。
この国では女が強いとされて居た。
ユキカゼも含めて化物じみた姿を晒すのは、婚期を余計に遅らせると考えて居るの者が多いのだ。
竜人族は、同族を相手には一回きりの結婚が多いのだが、人相手・・・・人間等に限ってだが、何度も結婚する事が有る。
ユキカゼは580歳、政務と軍務に追われて結婚の経験が無かった。
龍族と竜人族の寿命は長い。数百年から最大で3千年は生きられるとも言われて居るが、個人差が有るので、こうだと言う寿命の決まりはないし、計測された事も無いので、ハッキリとした事実は分からない。
しかし、肉体的な衰えが来ない限り結婚の機会は十分に有るが、間も無く600歳を迎えるユキカゼが、一度も結婚の経験が無く、婚期が遅れると焦って嘆くのも無理はないのだ。
「つべこべ言うておる暇が、有ったらさっさと行くぞいっ!!!」
エリンが指定された部屋へと消えて行くと、彼女も案内された部屋へと入った。
部屋に入るとユキカゼは更衣室で服を脱ぎ、一つ向こうの広い部屋へと出た。
「すぅ、はぁ~、すぅ、はぁ~、すぅ、はぁ~、すぅ、はぁ~・・・・・・・・・・・・・・」
深呼吸で息を整え、龍化後の姿をイメージし、全身の細胞に命じる。
そして、全身に対して一気に力を込めて力み込む。
この感覚を例えるなら、とある世界の宇宙戦闘民族が、金ぴかに光ってパワーアップすると言う感じに近いだろう。
「くっくくっ、くがあぁっ。がああっがっ・・・はああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーっ!!!」
彼女の肉体の全てに血管が浮き出て居る。
全身の筋肉と体が膨張し身長を徐々に大きくして行く。
「ぐっ、ぐぐぐっ、ぐがああぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!」
熱い、熱い、熱い。全身の皮膚や肉が焼けるような熱さを感じる。
白い肌は真っ白な鱗に変化し、頭髪が抜け落ちて行くか短く引いて行く感覚が感じられる。
人間らしい顔立ちは消え龍らしい顔立ちに成って行く。
体が前のめりの姿勢に成りつつ、柔らかな女性らしい体つきは、全て筋肉質な鱗の持つ別の姿へと変わり、手と足に鋭く尖った爪に変化して太く成って行くのだ。
「ぐあああぁぁぁっ、がががっ、があああああああ、クガガガガッッ、ギャオオオオーーーーン。」
雄たけびと同時に角が伸び尻尾が生え、背には翼が生え伸びて、それを高らかに広げると、其処には鋭い幅と爪、巨大な身体を持った全長が30メートルを越す龍が居た。
「はぁ、はあ、はぁ、ふぅーっ。何年ぶりだろう。この格好に成ってしまえば確かに疼く、でも気乗りがしないのはわたしの性格か・・・・・・・・・行くか。」
洞窟に女性らしい口調と野太い声の独り言が、静かに室内に響き渡って居た。
ユキカゼは、翼を目一杯に広げて暗がりの洞窟を出口の方向へと飛び出す、青い空へと羽ばたき、南の外へと続く道だ。
やがて一筋の光が見えて来る。
その先には、真っ白な色をした数百の下級龍族達と同じ祖先を持った白龍族が飛んで居た。
その中に変身を終えた護衛の白竜騎士団の白竜騎士達と一際大きく真っ白な白龍が飛んで居た。
「ユキカゼ遅いぞっ!!!貴様が最後だ。変身に何分掛かって居るのじゃ!!!」
「しょうがないじゃないっ!私は久し振りの龍化だったのよっ!」
「そう言えばお前は、政庁勤務に成ってから殆んど前線に出で居ないのう。」
「まあ良い。それで皆の者、久方ぶりの視察なのじゃっ!景気付けに雄たけびを上げろおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーッ!!」
「「「「「グオアァァァァァーーーーオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーーーーンンッ!!」」」」」
同行する白龍騎士らは、エリンの号令で、出発前の景気付けの気合い入れと称した咆哮を上げた。
エリンが先頭を切って飛んで行くと、白龍騎士と周りの野生の白龍族らは、付き従い供に南へと飛び去って行くのであった。
さて、後にブラキュリオス湖紛争と言う戦いの前に、日本国と海上自衛隊の動きと其処で起きた出来事に付いても語って置きたいと思います。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・ 6月3日・午前7時30分頃の事です。
龍雲海沖海戦で、アディーレ・グレッサ辺境侯爵艦隊司令官(少将)が率いる辺境地方艦隊たるユローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊が日本海軍艦隊と戦って破れたと言う事情を聴かされたローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊の総司令官・シドウ・ギワザンは、 野心家で出世の為なら何でもする卑劣感として知られて居る人物でした。
彼はローラーナ帝国に逆らう新興国が存在するかを確かめ意味も兼ねて、シベリナ王国連合の東側諸国で話題に成り始めた異世界転移をして来た国々の中心国たる二ホン国が有ると言う海域の西太平洋地域を目指したて居ました。
シドウ・ギワザンが率いるローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊を中心としたドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊と連合をした帝国艦隊は、彼らがまだ知らないローラーナ帝国と日本の国境線である龍雲海と東シナ海の中間地点に来て居ました。
陸海空から成る魔導艦艇を合わせて2000隻、総軍勢12万人を乗り込ませて居る大艦隊を率いて日本国領海を突き進み、日本国本土の位置を探るべく、威力偵察を主目的とする大侵攻作戦を開始。
第一外征艦隊の本隊艦隊では、総旗艦・魔導空挺戦艦ザージェント・ギワザンの艦橋内に在る第一外征艦隊・総司令官席に居座るギワザンが順調な航海をして居ました。
日本国政府が、交援省が主導する特殊国外地派遣遠征有事法、略称名は特征要請事案法。
通称名は特征法の名の下に委託され、国防実力行使に措いて命じられた海上自衛隊は、東シナ海近海域で警戒監視中であった。
航空護衛艦あかぎを中心とした護衛艦隊に属する航空護衛艦の各艦からは、空自航空隊が発艦し始めた頃の事でした。
ニホン国へと侵攻して居たギワザンは、龍雲海沖海戦でアディーレ・グレッサ辺境侯爵艦隊司令官(少将)が率いる辺境地方艦隊たるユローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊が日本海軍艦隊と戦って破れたのは、ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方の果ての海域に在る未開地域と言う地に、日本国と言う見聞きをした事が無く。
ローラーナ帝国が、まだ戦った事が無かった日本海軍内には、このアースティア世界先進諸国が有する様な大艦隊が存在するのだろうと想像して居たと考えて居り、しかも警備網も厳重で、日本国本土に辿り着くには、相当数の軍艦や警備船から成る警戒監視中の警備体制が幾つも在り、艦艇保有数が在るのだろうと、勝手な想像すらして居たとの回顧録が残って居ます。
何せ、彼を含めて現地密偵以外の人間は、日本の軍艦や警備船を見て居ないのですらか、致し方無いと言えるでしょう。
写真が無い世界では写生で、その姿を本国に知らせるのが常なのだが、絵心を体得して居る密偵を教育するのも大変なもので、潜入先では、中々そう言った人物が居ないのも現場の現状だったようなのです。
ローラーナ帝国の者らは、日本に付いての関連事項と言うのは、伝令官による伝言と書類によるやり取りでしか知りませんでした。
以上の事からシドウ・ギワザンは、行方不明と成って居るアディーレ・グレッサ辺境侯爵艦隊司令官(少将)と彼女が率いていたユローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊の捜索も兼ねて、日本国本土または離島諸島及び領海域の侵攻を計画を考えます。
この時点で、シドウ・ギワザンが率いるローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊を中心とした。
ドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊と連合艦隊を結成したローラーナ帝国艦隊は、監視衛星や長距離レーダー探知機網、更には軍事偵察機による偵察監視網を持って居る日本国側に、その動向を完璧に把握されて居た為、大敗北を期してしまう事に成るのは、その数時間後の事に成るのです。
また少し前に成りますが、アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時30分頃の事です。
この日、在日アメリカ軍艦隊は、海上自衛隊のバックアップの為に、シドウ・ギワザンが率いるローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊を中心とした帝国艦隊から約30キロ南の海上で航行しながら待機して居ました。
この艦隊には、空母が配備されて居ません。
その全てが巡洋艦級と駆逐級による艦隊編成で、その全てずミサイル艦で占められて居たからでした。
流石に命がけに成りかねない空母艦隊戦を米軍兵士にさせる事は、まだ戦時体制に至って居なかった日本政府としては、ローラーナ帝国との開戦を避けたかった事や援軍に過ぎない在日米軍に矢面に立たせると言う事は、国家としての面子として、避けねば為らない一面が有ったからだと言われて居ます。
先ずは日本国を守るのは自国主導が当たり前であるがであるが、何せ80年近くも平和ボケに成って居たせいで、いざ戦時体制へと移行するのにも相当な気を遣う時代だったからでした。
それに日米安保条約も継続して居るが、今の米軍は補給物資の入手を日本国に頼って居るからでした。
以上の理由から、早々簡単に地球世界時代の様な軍事行動は不可能でもあったからです。
しかしながら、西方面海自派遣艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣艦隊・略称名・ダバ派遣艦隊をダバード・ロード王国へと派遣するのに当たり、防衛体制の空白してしまう部分が有るのは致し方無い事であった。
その穴埋めに在日米軍を活用する事は当然の帰結と成って居り、ローラーナ帝国との武力衝突を開戦では無く、国境紛争程度に収めれば、講和で済む可能性もあるので?とも考えて居たからでした。
アースティア大戦末期で、日本国を中心とした国々の本格的な参戦に向ける切っ掛けと成った出来事の一戦での一部始終でのやり取りの記録が残って居ます。
「ロイガー司令官っ!!、日本政府及び防衛省からっ!!我ら合衆国海軍に対して、ローラーナ帝国軍艦隊への攻撃要請が来て居りますっ!!」
アメリカ臨時政府と米軍臨時総司令部は、ロイガー・ゲインジャー大佐を総司令官に任命して、在日米海軍を中心としたタイテンデロガ級ミサイル巡洋艦アンティータムを旗艦にして、その旗下に在る15隻の巡洋艦と15隻の駆逐艦が集められ派遣されて居た。
「良しっ!!各艦へ通達するっ!!第1次攻撃を開始せよっ!」
「全艦隊に告ぐっ!!ミサイル撃ち方よーいっ!!」
「目標っ!!ローラーナ帝国軍艦隊っ!!距離2万5千っ!!」
「イエッサーっ!!全艦隊に告ぐっ!!ミサイル撃ち方よーいっ!!」
「目標っ!!ローラーナ帝国軍艦隊っ!!距離2万5千っ!!」
「撃ち方っ!!始めえええぇぇぇぇーーーーーっ!!!」
「サルヴオオオオォォォォォーーーーーーーーーーーッ!!!」
バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
バシュッ!・・・・・ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
旗艦からの通信で、一斉に全艦から夥しい数の150基ものミサイルが打ち上げられて行く。
ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
ゴオオオオォォォォーーーーーーーーッ!
天高く撃ち上げられて行くミサイル群は、ゴオォォォォォーーっと言うロケット噴射を放ちつつ、定められた目標へとミサイルが向って行く。
更に時を同じくして、ドローン偵察機のグローバルホークも爆装付で、日米両国合わせて20機以上が稼動して居ました。
戦力不足を補う為とは言え、ドローン偵察機のグローバルホークが大量投入された海戦は、地球世界史を含めると初めての試みと居ます。
更に宇宙から両国の監視衛星と言うチート過ぎるのも良い所と言う感じで、宇宙の監視網と地上の長距離レーダー監視網で、海自艦隊と米軍艦隊のバックアップをして居ました。
この当時のローラーナ帝国側が、この事実を知ったのならば、卑怯にも程が有ると言えるだろうと言うかも知れません。
かつての第二次世界大戦当時の旧ドイツ軍のイギリス本土侵攻を防いだイギリス政府とイギリス軍は、国土を守る為の相手国よりも強い新兵器の開発よりも、レーダーの逸早い開発と配備を進めたお陰で、ドイツ空軍を待ち伏せた上でのタコ殴りすると言う荒業が出きた史実が有りました。
それ程までに敵の襲来と位置の把握は、戦略上最も重要な対策であるからです。
如何なる兵器も大軍もレーダーを使用による迎撃を行う事が可能なのは、戦略的に凄く楽に成るのです。
一方の海上自衛隊艦隊旗艦である航空護衛艦あかぎでは、交援省からの迎撃作戦の開始が伝えられました。
米海軍のロイガー司令官からも、陽動作戦を開始したとの通信が入って来て居ました。
この迎撃作戦の第1段階は、ローラーナ帝国艦隊の正面に展開する米海軍艦隊が、ミサイルによる遠距離攻撃で陽動作戦を仕掛ける。
防衛省が中心と成って作成した作戦では、これを約3回行われる事に成って居ます。
次にその攻撃で、恐らく敵の航空隊の全機体が、自衛隊が防衛体制を敷いて居ると考えられる先の大空へと舞い上がり、真正面に向かって襲い掛かって来るだろうとよそくして居ました。
その隙を突いて奇襲をかける作戦を日本政府と防衛省が協議した作戦に加えて、交援省の意見を取り入れ要れて作戦をアレンジをし、コンピューターシュミレーションを繰り返す念の入れようの作戦が組まれて居たのです。
米海軍のロイガー司令官は、以下の名言を残して居ます。
『大喰らいの大魚は、餌に喰らい付いた。我らは此れより大魚を釣り上げるべく行動を開始する』との電文を日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊・南雲護衛隊群に送って居る事は、歴史が動いた瞬間を捉えた名言として、歴史書の一ページを飾る名言と言われて居ます。
その7分後の事です。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前8時37分頃、両軍は龍雲海沖と東シナ海の中間点付近で、空母機動部隊を中心とした部隊日本海上自衛隊艦隊アメリカ海軍艦隊による連合艦隊とシドウ・ギワザンが率いるローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊を中心としたドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊と連合をした帝国艦隊は、激突し、激しい戦いが開始されたのでした。
日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊「南雲護衛隊群」
第一次龍雲海沖海戦で武力衝突をしたローラーナ帝国と再衝突に備えて、東シナ海近海で警戒監視の為に派遣された艦隊のこと。
同時期にダバ派遣艦隊が結成され事も在って、4つある護衛隊群を二つに割っての一大作戦と成ってしまうが、両艦隊とも全艦艇が無事に帰還を果たしたと言う大戦果を得た事により、海上自衛隊は実戦的な艦隊運用データが取れた事が、アースティア大戦を戦い抜く為のノウハウの下地と成ったと言う。
後にマスコミや日本国政府の間に措いて、司令長官である南雲忠二ちゅうじ一佐の名を取って、南雲護衛隊群と呼称されてしまうのは、皮肉としか言いようが無いと言えた。
新日本国家安全保障問題・国防改編計画法 防衛省・2016計画
安全保障問題に関する法案を改訂すべく奮闘して居た安倍川慎三総理大臣が西暦2016年に掲げた法案のこと。
所謂、自衛隊法改正である日本国憲法 ・第9条の改正と自衛隊の強化法を掲げた政策の事である。
当時の地球世界情勢から、新興国たる隣国の軍事力的な台頭と海洋進出に加えて、ロシアの国境紛争への対処やPKO派遣隊に関する規定。
そして、反撃戦力と行使に関する規定の改正と自衛隊装備のアップデートや新装備の導入政策を骨子とした骨太方針であった。
安全保障問題に関する法案を改訂すべく奮闘して居た安倍川慎三総理大臣が、当時の防衛省大臣や幕僚幹部らと供に、以下の計画が立案されて居る。
各地に攻め込んで来たり、災害対策として建艦する事に成った揚陸艦と輸送艦の拡充と旧輸送艦隊との交代退役。
防衛省は、新型輸送艦と揚陸艦の導入に伴い、あつみ型とみうら型両輸送艦を西暦2030年までに退役をさせ、おおすみ型輸送艦を中心とした輸送艦隊を結成させ、旧式は退役まで練習艦としての運用を最後とするして居た。
第一輸送艦隊
おおすみ型輸送艦・おおすみ、しもきた、くにさき 母港・舞鶴港『呉からの異動』
ぼうそう型輸送艦・ぼうそう、ちた、さた・大湊港「北海道方面との連携を考慮』
第二輸送艦隊 練習艦隊 呉港
旧式輸送艦であるあつみ型輸送艦あつみ、もとぶ、ねむろ。
みうら型輸送艦みうら、おじか、さつまの計6隻
江田島学校で練習艦として運用をして居る。
第三輸送艦隊 母港・佐世保港
つがる型揚陸護衛艦のつがる、おしま、おが、おもえ 『有事の際に南西諸島への先行派遣を考慮しての配置』
離島諸島・防衛力強化対策計画2020計画
ゆきかぜ型護衛艦
佐世保基地・ゆきかぜ、すずかぜ、はつかぜ、まいかぜ
横須賀母港・小笠原方面隊・はまかぜ、うみかぜ、やまかぜ、なつかぜ
舞鶴基地・たにかぜ、あまつかぜ・ときつかぜ、たちかぜ。
沖合・沿岸部工作船・侵入阻止拿捕・絶対防衛警備計画・2018計画
北朝鮮の工作船や中国民間密漁船対策として計画されたはやぶさ型ミサイル艇の増産配備計画のこと。
はやぶさ型ミサイル艇 はやぶさ、わかたか、おおたか、くまたか、うみたか、しらたか。
とんび いぬわし、のすり、ちょうげんぼう、おおわし、おじろわし、あおばずく、ふくろう、しろふくろう、わしみみづく、おおこのはずく。
海上支援艦隊拡充計画・2019計画
有事・災害・人災に措ける対策として、以下の艦艇の拡充が計画されて居る。
因みに、この人災とは第二次大戦の戦時中の事で、機雷や地雷や不発弾を意味して居るが、海外への派遣も想定しても居り、近年設置された機雷への対応も考慮して居る。
また、掃海母艦は輸送艦としても運用が出来るので、補助艦艇としての拡充が目的として居る。
補給艦まみや いらこ あかし
修理ドッグ艦いとじま わかまつ
掃海母艦ぶんご、くなしり しゃこたん
やっとの思いで国会での使用許可が降りて建艦する事に成った、試験航空護衛艦・しょうかく型航空護衛艦しょうかく、ずいかく。
2023年に試験導入され、F-4・ファントムを無理やりに空母使用に改修して、運用し始めた経緯の有るしょうほう型小型航空護衛艦しょうほう、ほうしょう。
F-4の空母の使用は時代遅れと言われたが、空母運用が何時禁止と言われても良い様にと、当時の政府が考えた苦肉の策でも有るのだ。
そして、それらの運用データを基にして建艦する事に成った、航空護衛艦であるあかぎ型大型航空護衛艦あかぎ
国際社会からも笑いものにされたが、これは本格的な航空護衛艦たるしょうかくとずいかくの建艦への布石で、F-15JとF-2の改修も数機だけ改修し、搭載していた時が有った。
特に中国・韓国・北朝鮮・ロシアから大いに馬鹿にされた。
税金泥棒の無駄と言う以外の何者でも無いと官民上げて大笑いされる始末。
逆に欧米諸国からは、一から空母技術を復刻させ、インド・太平洋地域と自国の防衛に寄与する国策だが、風が吹けば簡単に消し飛び兼ねないと心配する声も聞かれていた。
その後、世界の国々の予想を大きく裏切り、中国やロシア、南北朝鮮を見事に欺いて2028年にあかぎの建艦まで漕ぎ着けるのに、相当な苦労を要して居た。
対中国に対抗するべく建造された航空護衛艦の配備は、ある意味、日本の悲願に成りつつあったのである。
2020年代の中国が、続々と空母が増強される光景と海洋進出に、流石の日本政府も国防の危機と待った無しと考えて居たからである。
また、航空護衛艦の建艦と配備には重要な意味と目的が在った。
それはミサイル攻撃や戦闘機の先制攻撃で、最寄の自衛隊の航空基地が使えなくなった場合にも備えるべきだとの声もあり、戦闘機や陸自車両を積み込んで使用でき、災害時には民間車両も運搬可能な洋上運搬基地船としての機能を持たせた日本独自の航空護衛艦として建造されていた。
そして、日本国防に取っての悲願であり、配備の最後としていた最新の大型航空護衛艦あかぎは、就航してからたった2年で異世界転移してしまい、結局の所、戦争に使用されて行くのは何の因果だろうか?
この航空護衛艦の艦載機は陸上運用している既存の戦闘機をも使用できるように設計建造されている。
また、運用されて居る戦闘機の方も、改造と改良が成されている。
日本は新たな艦載機を作る予算の余裕は全く無く、航空護衛艦を作るだけで精一杯だった。
其れならば、既存の戦闘機を運用するしかないと開き直って現在に至るのだ。
F-35の配備が今だ30機の配備に留まって居る事も、防衛費の予算不足が原因でもあったからであったと言う。
しょうほう型小型航空護衛艦しょうほう・ほうしょう
一番艦・しょうほう
二番艦・ほうしょぅ
安全保障問題に関する法案を改訂すべく奮闘して居た安倍川慎三総理大臣が西暦2016年に掲げた新日本国家安全保障問題・国防改編計画法こと、防衛省・2016計画を基付いて建艦された航空護衛艦の試験航空護衛艦で、クイーン・エリザベス級を目指して建艦されている。
試験運用データ取得後は、随伴航空護衛艦として海上自衛隊に配備されて居る。
全長282.9メートル。全幅・40メートル。速力30ノット。排水量・65、500トン。主兵装・12連装型迎撃ミサイル発射装置×4。30ミリ迎撃機関砲×4基。艦載機×40機。
しょうかく型航空護衛艦・しょうかく・ずいかくの
一番艦・しょうかく
二番艦・ずいかくの
安全保障問題に関する法案を改訂すべく奮闘して居た安倍川慎三総理大臣が西暦2016年に掲げた新日本国家安全保障問題・国防改編計画法こと、防衛省・2016計画を基付いて建艦された本格的な航空護衛艦で、340メートル級の航空護衛艦あかぎを建造する布石として、やや小型タイプの航空護衛の建艦を目指して建艦されて居る。
試験運用データ取得後は、航空護衛艦として海上自衛隊に配備されて居る。
全長320.8メートル。全幅・40メートル。速力30ノット。排水量・101、600トン。主兵装・12連装型迎撃ミサイル発射装置×4。30ミリ迎撃機関砲×4基。艦載機×70機。
あかぎ型大型航空護衛艦あかぎ
安全保障問題に関する法案を改訂すべく奮闘して居た安倍川慎三総理大臣が西暦2016年に掲げた新日本国家安全保障問題・国防改編計画法こと、防衛省・2016計画を基付いて建艦された海上自衛隊の総旗艦と成るべく建艦された航空護衛艦のこと
試験運用データ取得後は、航空護衛艦として海上自衛隊に配備されて居る。
全長320.8メートル。全幅・40メートル。速力30ノット。排水量・101、600トン。主兵装・12連装型迎撃ミサイル発射装置×4。30ミリ迎撃機関砲×4基。艦載機×75機。
第二次龍雲海沖海戦を起こしたローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊の動きに付いても語って置きたいと思います。
アディーレ・グレッサ辺境侯爵艦隊司令官(少将)が率いる辺境地方艦隊たるローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊が日本海軍艦隊と戦って破れたと言う事情を知った総司令官・シドウ・ギワザン。
彼は、旗下の艦隊であるイースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊の主任務、定期的周回警戒任務と威力偵察・・・・・・詰まりは、敵国への侵攻・かく乱・焦土戦・威力偵察。
又は敵対国への攻撃や戦闘が激しい地域へ物資の輸送任務も含まれて居り、この外征艦隊は帝国軍の先方隊でも有り、汚れ仕事もしている連中でも有り、攻め入った先での略奪や焦土撲滅戦闘の惨状は目に余るものが在ると言う記録が残って居ます。
彼は第二次龍雲海沖海戦に措いて、念入りに日本国への偵察や情報収集をして居たとの記録が残って居り、日本国と言う国家が、600年ぶりに巻き起こった転移災害により、異世界から現れた新興国である事を突き止めたのは、物凄い野心家で、出世の為なら何でもする卑劣感な男と言う定評があるの当時に、艦隊司令官長官を担う准将と言う地位にまで登り摘めた実力者である事を物語って居ると言えるでしょう。
彼が日本国侵攻作戦前に行われた作戦会議での議事録が残って居り、それは以下の通りであったようです。
「先のローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊の敗戦に付いては、既に多くの者が聞き及んで居るだろう。」
「そろそろ本国や各地の軍団司令部にも、その報せが届く頃合いだ。」
「ギワザン閣下も偶々、東方方面に物資と兵の輸送の護衛任務で、この地を訪れなければ知らぬ出来事であった。」
「其処でギワザン閣下は、ニホンとか言う謎の国家に威力偵察を兼ねた報復攻撃を慣行をすると決められた。」
「上手く行けば、ニホン国の領土を掠め取れるかも知れない。」
会議に参加して居る将校達からは「おおっ」と言う歓声の声が響き渡る。
の第一外征艦隊がシベリナ方面に来て居るのは、本当に偶々な事であった。
この世界には大陸間を縦横無尽に動き回れる大河であるパイプ・ライン大河が流れて居る。
その大河は、何れかの大河に繋がって居て、自由に船で行き来が出きるのである。
魔導空挺艦や陸上魔導艦と言う船も存在するが、障害物を気にせず移動が出来て移動航路に比較的自由が有るのは水上艦である。
また魔導空挺艦は、奇襲攻撃のリスクが孕んでおり、安全航路を通るのが常識とされて居た。
そして、帝国の制海権や制空権の広さは広大で有るが、空飛ぶ亜人等が時より空からの奇襲攻撃を仕掛ける事も有るので、帝国の取っては不安定な空域と言えた。
「わたしの配下の密偵達が漁船に乗り込み漁民や外洋商船の船員に扮して搔き集めた情報では、ニホン国は島国であり、その他の国々も島国であると判明して居る。」
「その場所は、龍雲海沖の海戦から推測さる方向から、真東か東北方面だと思われる。」
「其処で我らローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊は、このドラグナー皇国から龍雲海を経て東へと進み、ニホン本土が何処に在るのかを探る。」
「一番に近いとされる地域は、二ホン国の離島州たるオキナワ州である。」
「更にはリュウキュウ諸島とニホン本土から離れてるサツナン諸島なる群島、それにニホン国本土のキュウシュウ島の3つが、ドラグナー皇国から最も近い土地であると予想される。」
「ハッキリとした位置と距離、幾つの諸島で構成されて居るのかは、今の所は不明だが、我が第一外征艦隊は、総力を持ってして、この何れか地域を発見し、一気呵成に上陸制圧し、二ホン国と未開の国家らが、その勢力を拡大する前に完膚なきまで叩いて置くっ!!」
「だがしかし、相手は島国である。島国へと攻め入るのは大変な労力と兵力を要する一大作戦である。」
「我が第一外征艦隊の総力を持ってすれば鎧袖一触と言いたいが、相手の戦力差が少しでも拮抗して居れば、簡単では無いだろう。」
「万が一、それが現時点で出来ぬ場合は、二ホン国列島の特定位置をローラーナ帝国本国に報せる。」
「これを作戦目標の第一とし、二ホン国制圧を第二目標すると閣下はお決めに成られた。」と言った議事録が残って居ます。
先にも述べた通り、この時点でギワザンは、沖縄県の存在と所在地を掴んで居たと言う事に成ります。
彼が掴んだ日本国に付いての国土領情報は、沖縄県・琉球諸島と鹿児島県・薩南諸島。
そして、日本本土である本州と言う名前や九州島地方に付いての情報を手にして居たようです。
これに付いて、第二龍雲海沖海戦を委託担当した交援省では、第一外征艦隊が日本本土への侵攻を企図した作戦を展開した背景に心当たりが無いかと交援省大臣である高見竜史は、海上保安庁に問い合わせを米内政光・海保課にして貰いました。
それから15分後の事です。
合計で4千件の木造の漁船・商船・連絡船や個人の民間船による、日本国領海域への侵入案件が有ったらしく。
それは単なる知らないでしたという 理由で、領海外への退去と言う形で、不起訴として済ませて居たそうです。
ローラーナ帝国は民間船に偽装して、日本国の領海内へとわざと入り込み、海保巡視船による警備網にわざと引っ掛かる事によって、警備や防衛状況から本土の位置を割り出そうとして居た事が、窺い知る事が出来ます。
大量の密偵を動員して日本の位置を特定し、日本国に攻め掛かって来ようとして居るらしい事を知った竜史や交援省課長や派遣官僚らは、アナログな手口を用いての方法では有るが、単純な方法故に労力以外のコストは掛からない上に、失う者は何もないと言うシンプルな方法を用いて来た事は、やられたと言った想いに成ったそうです。
更にギワザンたちの会議事録が残って居ます。
「密偵の者等の報告でな。コヨミ皇国の万代市に造られたニホン軍の要塞に運ばれたと言う兵器・・・・それら全てが、丸で我が国の魔導戦艦の様だと報告して居るのだ。」
「と言う訳だ。ネーレイの密偵らは貴重な情報を我らに齎した。」
「ニホンは恐らく、アディーレ・グレッサが率いるローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊との戦いで得た情報とシベリナ地方王国連合同盟諸国に泣き付かれ、諸事情を聴き付けた事により、自国の防備を固めるべく。」
「コヨミ皇国を城壁とし、我らを迎え撃つか攻め入る準備をして居るのだろう。」
「戦艦の艦隊も相当数がこの大陸に向けての備えて居るとの情報も有るのだ。そして、その備えも強固だと予想される。」
「其れならば、今ニホンの防衛網に穴が有る筈と我が艦隊司令部は、予想して考えて居る。」
「其処でだ。その隙を上手く突いて、ニホン本土を強襲すれば、如何に強力な軍と言えども打ち破れる。」
「それに例え失敗となっても何処が手薄で、どの方角にニホンの島が在るかも探れる。」
「どの道、我らに損が無いと言う訳なのだ。」
ローラーナ帝国の密偵網は、シベリナ各地を含めて、アースティア世界中で諜報活動して居ました。
そんな中で、現れたばかりの新興国である日本国。
その各国の漏れ聞える日本に関する情報の一部を彼らは掴み始めた様なのです。
幾ら日本が自国に関する情報の漏れを徹底管理して居たとしても、人の口に戸は立てられません。
ローラーナ帝国の密偵達に日本国の位置情報を含めた地名などの情報が漏れてしまった原因として、意外にも日本の沖縄などの地方名の情報は、漁民や商船の船長に扮して居る密偵の者に自覚なく喋ってしまった事が挙げられます。
日常生活でも、勧誘電話に措いて、うっかり個人情報を喋ってしまう事が有りますが、任務に邁進して居る海保安官たちらも、業務上必要な事を喋って居るだけでも、情報漏洩をしてしまう事に成ってしまうのは、皮肉としか言い様が無いのでした。
第二次龍雲海沖海戦の後に、海上保安庁では、常に情報漏洩が無い様にと、情報管理を徹底する様に通知が成される事に成るのです。
ギワザンは以下の陣立てを命じ、日本国への侵攻を命じました。
「先鋒の布陣をヴァロニカ殿下にお任せする。」
「分かった。(くっ、あくまで弾除けの盾と槍にして、我々を使い潰す気か・・・・・)」
「第二陣、ネーレイ。」
「はっ。」
この艦隊の隊列布陣は、明らかに帝国軍人が、簡単に手柄を掠め取ろうとするのが、透けて見える所から、スカスカに見え見えな配置であると言えるでしょう。
「ビンラーとデビッドは、全艦隊の左右に布陣。」
「「ははっ!!」」
「竜母艦隊を第三陣と本隊と揚陸艦隊及び護衛駆逐艦隊と巡洋艦隊を後方に配置する。」
「海賊艦隊は、龍雲海で別方面からの陽動とかく乱に徹する事とする。」
それにギワザンは、旗下に在る艦隊全てに、日本国領内での私有財産に関する略奪の許可を出したそうです。
詰まり、日本国内で手にした財貨は、好きにしろと言ったのでした。
この会議に参加したドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊の司令官であり、ドラグナー皇国第一皇女たるヴァロニカは、以下の回顧録で、その時の様子を語って居ます。
(そうか、帝国がこんなにも早くニホン国とか言う国に、報復攻撃をしようとしたのは、ギワザンの考えなのか?)
(奴は野心家だ、新たな新国家発見とその一部の領土を勝ち取れば、皇帝からの覚えもめでたいし、敗れても国土位置を特定したと言う偵察報告と言う名の手柄が出きる。)
(どちらに転んでも、奴には損が無いと言う事か。)
(それに我が国の聖龍騎士団も居るのだ。如何にニホン軍が優れた兵器を有して居たとしても、相手に少しでも手傷を負わせれば、勝った勝ったと喧伝して周れると言う事にも出きる・・・・私と我が国も随分と安く、舐めて見られたものだ。)
それにヴァロニカは、あの日、ボロボロと成って逃げ帰ってきて居たローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊を目の当たりにして居ます。
(この連中は、実際に敗戦した艦隊を見て居ないっ!!)
(どうして、こんなにも楽観視が出きるんだっ!!!)
そんな楽観視して居る連中を見ていたヴァロニカは、出きるだけ部下達を生きて連れ帰る為に、荒ぼっくとも少々無茶をしようと決意をしたと語って居ます。
後にブラキュリオス湖紛争と言う戦いの前に、日本国と海上自衛隊の動きと其処で起きた出来事を語って置きたい。
紛争の数日前に有った事で、航空護衛艦あかぎを旗艦とする艦隊が、龍雲海と東シナ海の境界線にて、今や帝国の属国に身を堕としてしまったドラグナー皇国おうこくと日本国との戦い。
そして、日本国に取って戦後初めてと成る空母機動部隊が活躍した紛争の記録でも有る。
話の始まりは、数日前に遡る。
ダバ派遣艦隊がブラキュリオス湖に入る数日前の6月3日の出来事である。
龍雲海では海上自衛隊の連合派遣艦隊が、帝国に対しての警戒をしつつ、この世界での戦闘を想定した演習を兼ねて、日本も異世界各国等が国境と勝手に解釈して居るこの海域に来ていた。
航空護衛艦あかぎを中心とした海自艦隊は、暁の水平線を東から昇ってきた朝日を拝みながら領海の境界線と言われる地点を進んでいた。
マストには朝日旗たる海上自衛隊旗と日本国旗、信号旗等が海風を受けてパタパタと音を発てて靡いている。
遥か遠くでは、12隻の海上保安庁が定期的な警備行動して居る。
海保は帝国軍を発見したら即座に撤退を命令を出されて居る。
何せ多数向って来る竜騎士に対しての対空火器が無いに等しいからだ。
一様、保険として機関銃が備え付けられて居たが、ワイバーンの口から放たれる火炎弾がとても危険なので、牽制でしかない装備と言えた。
竜史からの警告で、海保が異世界の軍に沈められたり、敵兵に巡視船に乗り込まれ、保安官が全滅すると言う創作物の話が有ると、海保と政府に意見書を提出して居た。
それ以来、海保は領海の外側に近い位置から離れる処置を取って、代わりに海自が帝国領近い領海外の海域の定期警戒をして居るのであった。
そして、帝国領から離れた地域の水域では、今まで通りの業務が成されて居たが、変わった事や見慣れない事が有れば、直ちに本庁と交援省に報せ、日本政府と共に対策を講じる事に成って居た。
航空護衛艦あかぎを指揮して居るのは、あかぎの艦長でもある南雲忠二一佐。
その補佐を務めるのは、副艦長の藤田沙希2佐である。
海自艦隊は、空母を運用する上でお約束の輪形陣を組んで艦隊編制をし、しょうほう型軽航空護衛艦しょうほう・ほうしょう。
護衛艦のこんごう・あたご・しらね・むらさめ・きりさめ・さわぎり・うみぎり。
そうりゅう型潜水艦そうりゅう・うんりゅう・はくりゅう・ずいりゅう。
おやしお型潜水艦みちしお・うずしお・まきしお・いそしお等が、海上と海中からローラーナ帝国海軍の動きを遠巻きにしながら、警戒監視を続けて居た。
いざと成れば、海中から敵戦艦に向けて魚雷をぶち込み、ハープーン対艦誘導弾で空挺戦艦が察知されない地点から不意打ちを喰らわせ、悪さしようとする輩どもに、一泡吹かせる積りであった。
後の歴史書に措いて、その戦いが名付けられた名は、民間フェリー船であるあさくら号襲撃事件と似たような海域で発生した事から、第二次龍雲海沖海戦と名付けられた戦いが始まろうとして居た。
その第二次龍雲海沖海戦を戦う事に成ってしまったのが、日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊の中核たる空母機動部隊。
その護衛艦隊は、後にマスコミや日本国政府の間に措いて、ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊を迎撃した、日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊の司令長官である南雲忠二ちゅうじ一佐の名を取って、『南雲護衛隊群』と呼称されてしまいます。
その中心と成る護衛艦の航空護衛艦あかぎとしょうほう・ほうしょうらは、あかぎを中心に据え、しょうほう・ほうしょうらが左右に分かれる形で艦隊陣形を組んで居たと言います。
日本海上自衛隊艦隊アメリカ海軍艦隊による連合艦隊とシドウ・ギワザンが率いるローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊を中心としたドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊と連合をした帝国艦隊は、日米両政府軍によるレーダー網に引っ掛かり、初手である在日アメリカ軍艦隊によるミサイル攻撃作戦による飽和攻撃を受けて、開戦。
戦いの真っ最中と成って居ました。
その中で、南雲護衛隊群所属の航空護衛艦へと出向して居る空自航空隊は、F―2A支援戦闘機を先手として、ローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊へと先制攻撃を仕掛けようとして、真っ黒な低気圧の下を突き進んで居たのでした。
それも・・・・雨も振り付けている海の上では、波も時化で荒れて居る中をです。
この時の日本政府は、紅葉からアースティア世界に関する色々な情報を聞いて居たそうですね。
その中には、この世界の海軍の運用常識として、荒れた海では、滅多に戦をしないらしいとの事でした。
しかも有力な情報の一つには、ローラーナ帝国海軍・空母機動の要でもある飛竜は雨や雷を本能的に嫌がるらしいと言う情報も有りました。
体格の良い竜種は気にしないらしいのですが、大量に戦艦と飛竜を投入するローラーナ帝国海軍を始めとする海軍や水軍らは、自然災害等で荒れて居る場所へと、わざわざ突っ込んだ行った上に、無理をして戦って自滅するのを特に避ける傾向が有ると言うのだった。
そんな事情を踏まえた作戦を防衛省は考えて、気象庁の気象予報を巧みに利用した作戦を立てたのです。
予め龍雲海の変わり易い天候の動きを予測して、今回の作戦に対応する等と言う方法が有るとは、この異世界の誰もが思い付かない作戦と言えるでしょう。
この異世界では、天候と精霊の動きは、天界と自然の采配のみぞ知るとも言うくらい天候の動きは読み辛い事なのでした。
地表監視衛星・防空監視レーダー・気象衛星・気象観測レーダー・・・・・何れも、我が国のお家芸的な技術力の結晶です。
それに対して、ローラーナ帝国軍の目と耳に鼻が全く使えない中で、日本と戦わなければならず、日本国政府は、彼らの全く気付かれない方法で、翻弄して見せようとして居たのでした。
幾らローラーナ帝国の精強で、その味方に一騎当千とも言うべき武の達人や優れた魔導師が居たとしても、遥か天空の彼方とも言える宇宙空間に在る人工衛星や地平線の彼方に在る陸自監視基地には、気付きもしないし、攻撃の手すらも出せない筈でした。
空自航空隊で、第一航空隊を指揮して居る森川知之一佐のF―2A隊は、あかぎから間も無く嵐を抜けると通信が入ります。
森川知之一佐は、航空自衛隊から第一航空隊として航空護衛艦あかぎに派遣されている空自隊員で、乗機はF―2A。
アースティア大戦では、分が悪い戦い方を好んでおり、その戦法は尽く敵を撃ち貫いて行く事に成った腕前でした。
俺の愛機は凶暴と豪語し、戦いの駆け引きに優れたパイロットとして知られ、分が悪い方に賭けると、何故か勝ててしまうと言う豪運を持って居ると言われて居ました。
彼の視線の彼方の水平線の約3キロ先には、青々としている澄んだ空が広がり、黒い塊に見えるローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊が見えて居ました。
F―2AやF―15Jに搭載されて居るミサイルを持ってすれば、かなり遠くから狙い撃ちが可能なのですが、今回はローラーナ帝国艦隊の戦艦の数が大過ぎる為に、奇襲による混乱を狙った連続攻撃が主眼だった為、ギリギリまで自衛隊側の攻撃を知られる訳には、行きません。
彼は攻撃地点へち到達するまで、流行る気持ちを抑えます。
「目標地点に到達したっ!!各機に告ぐっ!!攻撃開始っ!!」
「了解っ!!攻撃開始っ!!」
「第一航空隊・森川よりあかぎへっ!!我ら第一航空隊は、敵本隊艦隊の奇襲に成功せりっ!!繰り返す、我ら航空隊は奇襲に成功せりっ!!」
「「「FOX1っ!!!」」」
そのシーンとは正にっ!!旧大日本帝国海軍による真珠湾攻撃の如く、トラトラと無電を打つと言うべきシーンであったと言います。
森川一佐は、敵艦隊へと突入すると同時に、あかぎに通信を入れる。
突入の報せを終えると、彼は部下と共に一斉に第一外征艦隊へと、対艦ミサイルを撃ち放ちました。
初弾攻撃は、F―2Aの対艦ミサイル30発による攻撃でした。
「ゴオオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーッ!!」と言う轟音を響かせて飛び立つミサイルは、ロックオンされて居る目標へと飛んで行きます。
F―2Aがミサイルを放った攻撃が炸裂すると、これまで無敵を誇って居たローラーナ帝国軍が体験した事も無い爆発が周囲に響き渡ります。
更にミサイルを撃ち尽くしたF―2Aは、第一外征艦隊へと再突撃し、20ミリバルカン砲を撃ち、無誘導爆弾を次々と落として行ったのです。
この奇襲を受けた第一外征艦隊は、無残にも墜落か沈没をするしか無かったのでした。
この時、司令官長官であったギワザンは、乗船して居る艦隊旗艦である空挺戦艦ザージェント・ギワザンの艦橋の目の前を我が物で、擦れ違う青い物体を彼はその目で見て居たとの回顧録が残って居ます。
ギワザンは、F―2Aの事を「真っ青な機体に、赤丸が描き塗られて居る蒼鷲の如き飛行物体である。」との報告書書き記して居たそうです。
「こちら森川。敵の海上空母、空中空母70撃沈。一時補給の為、帰投する。」
「了解。引継ぎは、第二波航空隊が行う。」
森川一佐が率いるF―2A隊は、通信を終えると、燃料弾薬等の補給の為に、母艦たる航空護衛艦へと帰投して行ったのでした。
この戦いの引継ぎは、辻村耕次一佐が率いるF―15J隊が行いました。
辻村耕次一佐は、航空自衛隊から第二航空隊として航空護衛艦あかぎに派遣されている空自隊員で、乗機はF―15Jでした。
操縦テクニックに優れたパイロットとして知られ、彼と相対したパイロット達らは、丸で分身攻撃を仕掛けて来るかのように素早く背後を取って来ると言う凄腕の持ち主でした。
アースティア大戦でも、その持ち前の丸で分身攻撃を仕掛けて来るかのように素早く背後を取って来ると言う凄腕を活かして、敵機を次から次へと撃墜して行ったそうです。
他にも沖縄の空自第9航空団、那覇基地所属の101小隊、202小隊、303小隊、404小隊、505小隊、606小隊などF‐15J戦闘機30機。
その後に続くのは、F‐2戦闘機隊20機が出撃を開始して行きます。
更にこの隊には、空中給油機を3機を付けて居たそうです。
防衛省は、徹底的に敵空母を叩いて、それらを母艦として居る飛竜航空隊を空母に帰えれない様にすると言う、実に意地の悪い事をするのでした。
ギワザンとローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊からすれば、まさか、絶対無敵の空母を真っ先に潰す等と言う、この世界でも非常識な戦術を取って来たのです。
有り得ないと頭を抱えて居たのに違いない事でしょう。
この戦術は、先の大戦での失敗の経験と体験談から来る戦術なのですが、敵に取っては、青天の霹靂と言うべき事態だった事でしょう。
この第二次龍雲海沖海鮮に措いて、ギワザンを始めとする帝国将校等は・・・・・今、神出鬼没の自衛隊からの攻撃のせいで、大混乱の中に陥ってしまう事に成り、その結果は日本国への威力偵察侵攻作戦が失敗した瞬間と成ったのです。
さて、後にブラキュリオス湖紛争と言う戦いの前に、日本国と海上自衛隊の動きと其処で起きた出来事を語って置きたい。
この記録は紛争の数日前に有った事で、航空護衛艦あかぎを旗艦とする艦隊が、龍雲海と東シナ海の境界線にて、今や帝国の属国に身を堕としてしまったドラグナー皇国おうこくと日本国との戦い。
そして、日本国に取って戦後初めてと成る空母機動部隊が活躍した紛争の記録でも有る。
そして、紅葉と親交の有るある王族の姉妹と行方知れずであったリナ姉であるレナ・ミーサガ・リンバースの名が、この戦史の歴史書にひっそりと初めて公式に載った物語である。
何時、何をしていたのかの記録は幾つも有るのだが、後の書物やテレビ番組に多くに抜粋されるのは、細かく記載された公式な歴史書であろう。
話の始まりは、ダバ派遣艦隊がブラキュリオス湖に入る数日前の6月3日まで遡る事に成る。
龍雲海では海上自衛隊の連合派遣艦隊が、ローラーナ帝国に対しての警戒をしつつ、この世界での戦闘を想定した演習を兼ねて、日本も異世界各国等が国境と勝手に解釈して居るこの海域に来ていた。
航空護衛艦あかぎを中心とした海自艦隊は、暁の水平線を東から昇ってきた朝日を拝みながら領海の境界線と言われる地点を進んで居る。
マストには朝日旗たる海上自衛隊旗と日本国旗、信号旗等が海風を受けてパタパタと音を発てて靡いて居た。
遥か遠くでは、12隻の海上保安庁が定期的な警備活動して居る。
その海保は、日本がアースティア世界での仮想敵国であるローラーナ帝国軍を発見したら即座に撤退を命令を出されて居る。
何せ、ローラーナ帝国軍が保有する兵器で、国境付近で敵と見たら直ぐにでも多数向って来ると言う、竜騎士に対しての対空火器が無いに等しいからだ。
一応・・・対空戦闘用の保険として、機関銃が備え付けられて居たが、ワイバーンの口から放たれる火炎弾がとても危険なので、全面戦闘を避ける為の牽制用でしかない装備と言えた。
これは竜史からの警告で、海保が異世界の軍に沈められたり、敵兵に巡視船に乗り込まれ、保安官が全滅すると言う創作物の話が有ると、海保と政府に意見書を提出して居た。
それ以来海保は、海上警備活動をする上で、領海の外側に近い位置から離れる処置を取って居り、領海外の警備活動を海保側の代わりに、海自が護衛艦の地方隊をローラーナ帝国領に近い領海外の海域の定期警戒をして居るのであった。
そして、ローラーナ帝国領から離れた地域の水域では、今まで通りの業務が成されて居たが、変わった事や見慣れない事が有れば、直ちに本庁と交援省に報せ、日本政府と共に対策を講じる事に成って居た。
この海上自衛隊の連合派遣艦隊旗艦である航空護衛艦あかぎを指揮して居るのは、あかぎの艦長でもある南雲忠二一佐。
その補佐を務めるのは、副艦長の藤田沙希2佐である。
海自艦隊は、空母を運用する上でお約束の輪形陣を組んで艦隊編制をし、しょうほう型軽航空護衛艦しょうほう・ほうしょう。
周囲を固める護衛艦は、こんごう・あたご・しらね・むらさめ・きりさめ・さわぎり・うみぎり。
潜水艦隊も随伴して居り、その陣容とは、そうりゅう型潜水艦そうりゅう・うんりゅう・はくりゅう・ずいりゅう。
おやしお型潜水艦みちしお・うずしお・まきしお・いそしお等が、海上と海中からローラーナ帝国海軍の動きを遠巻きにしながら、警戒監視を続けて居た。
いざと成れば、海中から敵戦艦に向けて魚雷をぶち込み、ハープーン対艦誘導弾で空挺戦艦が察知されない地点から不意打ちを喰らわせ、悪さしようとする輩どもに、一泡吹かせる積りである。
さて、行方不明と成ったレナが何所で何をして居るのかと言うと、彼女が攫われた4年前の時まで遡る。
彼女はトキアード市立総合学園の大学を飛び級で卒業した学院が始まって以来の天才である。
興味の有る事全てに全力を注ぐタイプの人間で、趣味は可愛い年下の妹とその友をシバク・・・・・・・いやいや・・・・・・・可愛がる?
それも違うか・・・・・とにかく学んだ事を実践したり(実験台・妹らを)、勉強を教えたり(デスマーチ漬けで・・・)体を鍛えたり(親友達と一緒に妹らをスパルタ式的なサバイバル)したりして居た。
そのせいで紅葉達は、姉達の事をスッカリ恐怖の大魔王扱いに成って居たりする。
妹達のその怯えぶりは、実の姉を恐れ、騒動の度に現れる胡散臭い魔族の詐欺師の様な輩に、故郷から送られた手紙の差出人の名に怯え震える洗濯板を持ち、ドラマタの異名持った大魔導師そのモノであると言えた。
度々物の語りの中に名前と触り程度だけ登場さている3人の恐怖の化身もとい、紅葉を筆頭とする仲良しお転婆集団が幼少期から恐れて已まない姉達。
ヴァロニカ・サークラ・レアモン。
ドラグナー皇国第一皇女。通り名はアイアン・ブラッド・プリンセス。血染めの鋼鉄姫将軍と呼ばれて居る。
11歳の時で初陣を飾り、敵を真っ二つにし、身に着けていた白銀の鎧を真っ赤に血で染めて以来、幾つもの戦場で返り血を浴びた事が由来である。
幼い頃からドラグリア白龍大帝国の大帝であるエリノア・ドラグリアに師事を受け人外的な強さを身に付けた女傑であった。
人類種で恐らく世界最強の部類に入る武人にして天下無双とは彼女の為にある言葉だろう。
スタイルと容姿共に申し分が無いが、決定的な欠点が有る。
それはクールで無表情の無愛想で有る事だろう。
男っ気が全く無く、浮いた話と言うのは、これと言って無かった。
基本的に何でもこなす無敵超人的な人だけが、自室には人には言えない趣味が有る。
それは何かと言うとだ、自分の部屋には、実の妹である第二王女のアルビィーヤ・サークラ・レアモンが可愛くて仕方が無く。
実の妹関連の自作グッズ作りや、妹のアルビィを模したオリジナルグッズを特注する始末である。
普段の彼女は妹を想う余りに厳しく接して居て、自分に出来る事は努力すれば他人(妹達にも)にも出きる筈だと言い切り(そりゃあ、無茶だよ)無茶な特訓させて鍛え様として居た。
強さのレベル順番に上げるならば、彼女がこの3人組みの筆頭と言えるだろう。
現在24歳で、10年前の14歳の時に、自国が敗戦した事により帝国の属国となり、親友らとの交流が絶たれてしまって居る。
だが、帝国は彼女とそのレアモン王家の一族等を処断せず、そのまま戦力として扱き使われて居た。
ドラグナー皇国は敗戦したとは言え、一騎当千のヴァロニカと聖龍を扱う騎士団の実力をローラーナ帝国自身が恐れて居たからだとも言われて居る。
奇襲と大軍での大攻勢による中途半端な勝ち方も、ローラーナ帝国がドラグナー皇国騎士団とヴァロニカ等を恐れて居る原因でも有るのだが・・・・・・・・・・・・・・・・
レナ・ミーサガ・リンバース。
ダバード・ロード王国の王立総合技術研究所の研究員にして稀代の魔導師でもあり、魔導関連技術の技師でもある。
かなりの戦闘系統魔法の使い手でもあり、閃光魔法と言う所謂、光線式の魔槍、魔導弾、魔導光線などの光の粒子の魔法応用した業と雷撃魔法を得意として居た。
この両方を融合せた魔法である雷光の使い手てでも有り、雷光のレナの通り名で、ソコソコ諸国には知られて居た。
実力だけなら、リナは火力とパワーと魔力だけは高いが、手数と経験等を含めると姉であるレナが有る意味上であると言えよう。
仮面を被った改造人間のバイク風のヒーローに例えるなら、技レナ、力のリナと言えば良いだろう。
見た目はリナに似ているが、現在の背が170cmくらいでスタイルが有り余っているリナよりも低い背丈の164センチくらいで、リナと比べると少しばかり小柄な背格好であるが、彼女も十分に魅力的なスタイルである。
・・・・・と言うよりもリナがエリンに鍛えられた影響で育ち過ぎたスタイルを持った残念美人であった。
姉妹の見た目の違いと言えば、背丈の他に髪の長さはリナよりも短く、セミロングであると言う事だろう。
何時も落ち着いた雰囲気でニコニコした笑顔をして居るが、戦闘モードとお仕置き、妹らに講師をしている時は雰囲気が一変する。
細目の眼つきが悪魔に見えるとその昔、リナは言って居た。
その形相は京都に伝わる魔を払うと言われる流派で、神鳴る剣の使い手の姉妹の姉の様だとも言えよう。
そして、リナ達に取ってトラウマの象徴でも有るらしい。
20歳の時に王国南部の鉄の都と王家の渓谷と言う伝説の地にて、古代遺跡を発見した。
その調査員の1人に抜擢され、運悪く誘拐されてしまう。
公式には行方不明とされて居るが、著名な魔導師な上に、下手を打つと帝国軍が施設ごと壊滅の憂き目に遭う為に、扱いに困ったローラーナ帝国中央政府は、致し方なく、レナと親交のあるドラグナー皇国のヴァロニカの元に預けられて居る。
今現在もドラグナー皇国に幽閉されて居るが、彼女は帝国の予算で好き放題の大迷惑な悠々自適な隠遁生活をして居た。
見張りのドラグナーの兵士や、幽閉所を監視して居るローラーナ帝国軍の将校らは、その矛先が自分達に向けられるのを畏れて居るらしく。
彼女が本気を出して暴れられたら、本当に手が付けられないからである。
妹のリナの動向もある程度は独自のルートを通して把握して居るが、「軟な鍛え方をした覚えも無いから・・・・まぁ、なんとか成るわよね」と言って放置して居た。
その気になれば脱獄等は容易であるので、見張りをして居るドラグナー皇国兵士と監視をして居るローラーナ帝国軍の将校らは、何時自分達が、彼女の報復の刃の切っ先が向いて来るのかと、気が気では無いらしい。
マーヤ・リリロッカ・ヨシカーナ。
24歳で現在はアセリナ王国の国家代表の地位にあり、聖天使騎士団の総騎士団長で、通称総長と呼ばれ、公式な場では総長閣下と呼ばれて居る。
国家代表の選出方法は先ず、国家に奉仕して居る官僚から騎士団に所属して居る者達の間で、闘技場で予選を戦い抜き、勝ち残った上位12位の代表同士で闘技場での決闘が行われる。
其処で一番に強い物だけが総長の地位に就けると言う訳だ。
アセリナ王国は選挙制度が無いので(この世界は選挙制度と言う概念が殆ど無い)殆んどが試験を受けて国家か地方自治体に入所し、下から這い上がるのが定番である。
マーヤは、何となく腕試しで参加した国家代表選抜決闘大会で、実力ある猛者を打ち倒して22歳の若さで国家代表たる総長の座に付いてしまった。
彼らはアセリア族と言う亜人間種で、背に羽の生えた翼人族である。
見た目は白い羽の生えた天使にも見える美しい姿をして居る。
人口の殆どが女性と言うこの世界でもありがちな特殊な部類の種族である。
男性の同族が珍しく、殆どが人間の男性との婚姻で賄われているが、6対4の割合でアセリア族女性が生まれてしまうらしい。
他のアセリア族同様に固有武器であるエクスプロン・ランサーと言う魔導槍を振り回し、エクスプロトンバスターと言う収束魔導砲ブチかます。
閃光の聖騎士マーヤと呼ばれ、エクスプロトンバスター5発を撃ち放す事が出き、閃光魔法も使う。
接近戦でも槍で敵を串刺しにしたり、光の魔法剣を数多撃ち放つ等のチート過ぎる強さを誇っている。
ハンナは幼い時に山で無理やり、山篭りに付き合わされ、ハンナの目の前で、可笑しなセリフを言いつつ竜や熊を串刺しにしてしまう。
それを見ていたハンナは大量の返り血を浴びて白目を向いたまま気絶をし、トラウマをまた一つ抱えてしまう事が有った。
ハンナは自分の姉に告げ口を言うと言われたり、姉の武勇伝を聞かされると、「トラウマスイッチがオン」と成り、ガタガタ、ブルブル、ガタガタ、ブルブルと震え上がり、それは丸でカエル宇宙人の宇宙忍者や美少女三国志世界に登場する裕福な幼女系我が儘お嬢様みたいに現実逃避をしてしまうのである。
中二的な言動は妹と変わらずだが、此方は至ってある程度は・・・・・普通の思考をしている。
しかし、言動がアセリア族らしい為に誤解され易いし、妹の親友達は頭の可笑しな姉と思って居るし、鍛錬と称する集まりでは呂布か関羽、はたまた本多忠勝的な鬼神の様な気迫で迫って来る串刺し天使。
見た目と言動はふざけて居る風には見えるが、アースティア世界でも指折りの猛者として知られて居た。
さて、彼女たちの一通りの紹介が済んだ所で、話を元に戻そう。
話の舞台の場所は、ドラグナー皇国の新王都のニューサリヴァン市に在るニューロートレア城である。
ニューサリヴァン市の東には、この世界でも太平洋と呼ばれる海と数多くの交易の港町。
西には、ローラーナ帝国領のシャッポロ領。
北東側に龍雲海が有り、都市の南には岩石を頂く山脈があり、この地にドラグナー皇国は新しい城を築いて居た。
更に南には平原が広がり村や町がそこら彼処に点在し、麦畑や畑が広がって居た。
その平原を越えた先には、旧王都ロートレア市と旧居城であるロートレア城が建って居る。
その更に南には、この国の聖地たるドラグナー聖龍山脈が在り、広大な森共に人々の侵入を阻んで居た。
その聖龍達が住まう森林の入り口には、神殿が建てられ、レビアナ・サリバンと言う聖龍達の始祖長に当たり、歴史上で初めて聖龍の中で人間へと姿を独力で変身できた人物であり、ドラグナー皇国を建国した初代の王と種族の壁を越えて結婚した女性である。
一時期はレビアナに続いて、多くの聖龍等が人の姿を取れるように成り、次々と多くの同胞達がドラグナー皇国や異国の民と出会い、そして、友好を深めた末に結婚をして行った。
多くの子供を儲けて平和な日々を過ごして居たが、ある出来事を境に人型の聖龍達が徐々に人々の前から消え去ってしまう。
レビアナも初代国皇が天寿を全うし、子や孫の行く末を見届けると、何時しか王室から去って歴史の表舞台から居なく成ってしまうのであった。
その後、ドラグナーの地方では、何時の頃からかレビアナは、嫁入り前の遥か西方での世界の敵にして災厄である邪神を倒して、世界を救った功績とドラグナー皇国の臣民が慕われた事に起因して神様扱いに成り、ドラグナー聖龍山脈に神殿が建てられ、レビアナ聖龍神教と言う宗教の神とされてしまって居た。
ドラグナー皇国の人々は、聖龍と人間との子孫を自称し、王族はレビアナ神の子孫と喧伝して居る。
聖龍に付いても少しだけ語っておこうと思う。
この国の聖龍は、セイント・ドラゴンとも呼ばれる龍が生息して居て、身長が約35メートルから45メートルの間である。
個体差もあるが、一般の国家で飼育されている飛竜は15メートルから25メートルくらいだ。
竜人族の竜化時の身長が大帝皇室の歴代の記録では最大で50メートルくらいは在ったと言う記録が有る。
聖龍と言うのは、その中間くらいの背丈である。
古代の聖龍族と人間との子孫に当たるドラグナー国民らに色濃く受け継がれた者呑みが聖龍と契約をし、聖龍騎士に成る事が出きるのである。
この国の騎士達は聖龍騎士に成る為に死に物狂いで鍛錬と勉強をこなし、日夜励んで居るが、それでも才能と血筋が物言うのである。
この聖龍との契約で得られる事は、騎乗するのは勿論のこと、最も信頼が厚いパートナーとの間では龍鎧器形態になれるのだ。
龍鎧器形態は契約者と一対に合体し、聖龍が主人の鎧になる姿である。
聖龍の鎧を纏った聖龍騎士は、一騎当千の強さを誇り、あるゆる空間での行動が可能となり、立ち向って来る敵は、例え一個師団であろうと楽々と打ち滅ぼせる実力が有ると言う。
しかし、この聖龍との契約が何故在るのかを・・・・・ドラグナー皇国の人々は、その理由をすっかり忘れ去ってしまって居た。
ローラーナ帝国暦600年・アースティア暦1000年・西暦2030年・5月26日・午前5時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・ロートレア地方・ドラグナー皇国おうこく・首都・新王都・ニューサリヴァン市にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ドラグナー皇国は、10年前にシベ帝戦争と言う戦争に措いて、ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍と戦って破れて居る。
そんなドラグナー皇国は、シベ帝戦争で荒廃してしまった旧都・サリヴァン市とロートレア城を再建する為に、ローラーナ帝国政府と、ローラーナ帝国領・シャッポロ属州領総督府や第三方面地域統治領・ローラーナ帝国領・シャッポロ属州領総督府。
ローラーナ帝国軍政務総省・ローラーナ帝国軍第三方面軍・ローラーナ帝国東方制圧軍司令部等に旧王都を明け渡す形で、ドラグナー皇国は北部沿岸地域に在るサリヴァン山脈地方へと居城と首都等の拠点を移し、ニューロートレア城とニューサリヴァン市を再建して居る。
そんな歴史を持ち、再建されてから日の浅い新王都であるニューサリヴァン市には、帝国軍の海軍基地が都市郊外に軍艦と共に平然と置かれ、旧都に至ってはその郊外に陸軍の要塞が立てられ、旧都ロートレア市を我が物顔で、帝国の軍人や商人らは歩いてしまって居るのであった。
ニューサリヴァン市の港にドラグナー皇国の海軍の戦艦と竜母が停泊して居り、10キロ離れた所には空挺飛行場には、空挺戦艦と空挺竜母が並んで停泊して居る。
サリヴァン山脈を利用して作られた新都に再建されたニューロートレア城の中は広く、東西に7キロ、南北に10キロと、その広さは中々に広大である。
その北東の丘には小さな城壁が築かれ、庭付きの屋敷が建って居た。
その場所に無愛想な女性が、ある人物を訪問する為に廊下を歩いて、その屋敷に向って居た。
日頃から着こなしている白銀の鎧を纏い腰に装飾がとても綺麗で、使い込まれた頑丈な魔法剣が挿し込まれて居る。
時より海から流れ込む潮風が挿し込み、金髪の髪が軽く風で靡く。
その途上に在る大きな門の前では、門番であるドラグナー皇国兵士とローラーナ帝国兵士らが、一旦は長槍で無愛想な女性の行く手を塞ぐ。
「私だ。中に居る収監者に会いに来た・・・・のは分かって居るだろう?」
「申し訳ございません殿下っ!!」
「我らもお役目故に、お約束こどしなければ成りません。」
「とは言っても・・・・我ら二国の兵士に、殿下と収監者のお二方をお止めする処か・・・・・」
「見張り番員総出で斬りかかったとしても、如何にもならでしょうな。」と二か国の門番や見張り番員らは皮肉な事を言って、溜息混じりに冗談を言ったのであった。
「くくくくくっ!!そうか、為らば、堂々と通らせてもらう。」と言うと、無愛想な女性の行く手を塞いで居たと二か国の門番や見張り番員らの前を何食わぬ顔で通り過ぎて行くのであった。
そんな無愛想な女性が目当ての目的地の屋敷の前に立つと、ドアを軽く叩きノックをした。
「私だ。」
素っ気無い短い声掛けをした無愛想な女性は誰なのかと言うと、ヴァロニカ・サークラ・レアモンと言って、このドラグナー皇国の第一皇女にして姫将軍でもある人物であった。
鍛え上げられた引き締まった筋肉と身体のラインが素晴らしく、贅肉が無く、鍛えた筋肉が自己主張の余地が無い位に綺麗に締まっていた。
バストの膨らみもしっかりと有り、鍛えた女性ボディビルダーみたいに、乳房の塊は削ぎ落ちて居ないボディスタイルを維持して居る代物を有して居た。
彼女の母からは、余りバストを削ぎ落すと、殿方から全く相手にされなくなると言われ、その言い付けを守って居た。
男っ気の無く、その手の話に疎いヴァロニカも、何れは結婚相手を持つかも知れないと言う覚悟は有るので、そのような母親から助言を素直に聞いて居るのであった。
殆んどの男は夜伽の際に、女の胸に母の愛と女性としの魅力を感じて居るのだとも指摘され、意中の相手や自分に興味を持って貰いたいのなら、相手の男に対して魅力的なバストを持ちなさいとのアドバイスを母から貰い、バストアップだけは維持して来た結果の賜物であった。
・・・・・とは言え、そんな彼女の武勇伝と強さが相俟って、気後れする殿方が多いが故に、未だに相手が見つからず、現れずに居る上に、生き遅れに成るかも知れないと噂をされてしまって居た。
「流石に、この時間帯であるとまだ、メイドの者らは起きては来て居ないか・・・・・・・・・・」
まだ早朝であり、日は昇り始めたばかり。
城へと奉公に来て居る者等も、自宅や寮で身支度して居る頃だろうし、先ずは朝食を用意し、食べる事からが仕事始めと言えるだろう。
時計こそあるが、規格統一された時計機械と言う物が整っては居ないので、この時間帯と言うのは、日本で言えば午前5時くらいの時間帯だった。
始業時間が早いとは言え、身支度を含めた私用を済まさないと、城内に措ける日常業務をこなす事は儘ならない。
「レナ、わたしだ。ヴァロニカだ。」
呼び掛けに対する反応が無いので、鍵が掛かって居ない事を知って居る彼女は、そのまま勝手に屋敷に上がって行く。
此処はローラーナ帝国の諜報部隊に誘拐されて来た、レナ・ミーサガ・リンバースの幽閉所である。
その彼女は、城内とサリヴァン市内を見張り付きでの自由行動が認められて居る形で幽閉処分を受けさせられて居た。
それと引き換えにローラーナ帝国で使えそうな魔導技術関連の研究成果や設計図を差し出す様にと、レナはローラーナ帝国政府上層部から言われて居た。
そんな事を言われて「はい」そうですかと従う彼女ではない。
レナは微妙な設計図や研究論文を提示して、ローラーナ帝国技術者や魔導師らを集めて適当な説明をしつつ、舌先三寸で煙巻いて見せたのであった。
そんな訳でローラーナ帝国上層部が、彼女の出した研究成果を元に、苦労の末に出来上がった兵器は微妙な性能だが、使えない事も無いと言うものばかりだった。
ローラーナ帝国側が文句を言わないのは、レナが天才過ぎるからで、ローラーナ帝国技師らが不甲斐無いからだと本気で思って居るからだった。
傍から見れば、何とも間抜けな事なのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふああああぁぁぁぁぁぁ~っ!!」
「うーん・・・・・何よ?もう朝なの?」
「むにゃむにゃ・・・・・・其処に居るのは・・・・・だぁれ~?」と言いながらレナは、ぼさぼさのヘアースタイルとだらしない着こなし肩をして居るネグリジェの格好で起き上がり、目のやり場に困る下着も見え隠れして居た。
「ああ?なぁんだ、ヴァニロカなの?」
二階の寝室のベッドの上で眠たそうに目を擦って居るレナ。
周りには書籍が散乱しており、本棚には引き抜かれて巻数が揃って居ない本が数多有った。
研究と戦闘以外では、本当にだらしがないのが玉に瑕と、親しい人間達は言って居た。
そして、間違ってもヴァロニカの事をヴァカ「バカ」と呼んではイケナイ。
レナとマーヤの二人は、彼女の事を揶揄う時に、ふざけて『ヴァカ』とか言うのである。
妹達らは、しっかりとヴァロニカねぇか、ヴァロニカ姉様と呼んで居た。
怒らせると鬼神に成るからである。
「ふあああぁぁぁ~っ!」
「また、徹夜か?」
「別に良いじゃない。どうせ実家には帰えれないし、王都とから逃げなければ、お金は使い放題で、比較的自由に過ごせるんだから、こんなにも良い幽閉場所は無いわね。」
「お前がそんなのだから、周りの者が本当に雷光のレナかと言われて居るのだぞっ!!」
「折角、私が警備を甘々な状態にしてやって居ると言うのに、おまと言う奴は・・・・・とっと逃げれば良いものの、わたしやお前の家族に遠慮して、大人しくして居る事も無かろうに・・・・・・・・・・」
「どうせ、何をしても世界は変わらない。」
「このまま東側勢力は、ジリジリと滅びを待つだけ。それなら私なんかの才は、帝国の利用される訳には行かない。」
「利用される位なら、私は自身の才能を腐らせるだけよ。」
才覚溢れ、聡い彼女は世界が帝国色に染まって行くのを嫌って、嘆いて居た。
故国の機密に当たる事を何も知らない己は虜囚となり、敵方となった親友の預かりとなった。
日々の何もできない日常の中で、自分を腐らせて居ると言う事が、唯一の抵抗であり、ローラーナ帝国への嫌がらせの様に多額の生活経費を要求する位である。
風の噂を聞けば、妹のリナは、故郷であるダバード・ロード王国から追放され流浪の身と成ったとかで、己の両親や親族は護衛監視付きで暮らして居ると言う話を聞いて居た。
つい最近聞いた噂では、リナはすっかり性格が様変わりして居て、ローラーナ帝国軍相手に、喧嘩を吹っ掛けまくって居るとかと言う話すらも聞こえて来て居た。
「ふあああぁぁぁぁ~っっ!!それじゃ、日課の見回りの挨拶は済んだわね。ご苦労様、二度寝っ、二度寝っと・・・・・・・」
「チョッと待てえええぇぇいいいぃぃっ!!!」
ぶっきらぼうで無愛想のヴァロニカの額にバツ印のこめかみが浮かんで居る。
自由気ままの親友は放って置くと、そのままドンドンとズボラに成るのを知って居た。
ヴァロニカも別方面・・・取り分け色気の面で自分に無頓着だが、目の前の新友は、人前では着飾る事を知って居るが、それ以外面で有る生活面で、だらしが無いのだ。
放っておくと健康を気遣っての運動の時間以外は、殆んど城内の屋敷に篭って居た。
「なぁ~に?もう、良いでしょう?何もする事が無いんだからっ!!好き勝手に寝ーかーせーてーよおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっっ!!!!」
「はぁ~、貴様に付き合って居たら話が進まない。」
「簡潔に言って置く。私は、これから出陣する事に成った。」
「えっ?!」
親友からの唐突の発言にベッドから身を起した。
「帝国辺境侯爵であるアディーレ・グレッサ少将が、行方不明と成ったと言う話くらいは、知って居るだろう?」
「えっと、確か・・・・・・・一月前に、シャッポロの帝国海軍から艦隊を三十隻を率いてサリヴァン港に寄港して、龍雲海に向けて定期警戒任務に出て行った、女性辺境侯爵で、少将の位の持ってた人物よね。」
興味が無ければ、殆ど世事を気にしない彼女も最低限の情報は把握している様だった。
「ほう、自堕落と言う服を常に身に着けて着て居る様な性格をして居る貴様にしては、良く世間の事を把握して居るな?」
「ああ、確かにそうだ。」
「まぁね。帰港して来た彼女の艦隊を気まぐれに、場内散歩へと出掛けた際に、偶々見掛けただけよ。」
「あの日は偶々、城外の風景を眺めて居た時に、暫く振りに港に帰港した艦隊をこの城から眺め見て居たけど、あれは尋常じゃ無いやられ方よ。」
「流石に一体、何が遭ったのかって思ったわよ。」
「ああ、私も目の当たりにした。船体に在った傷痕は、とても大砲や魔法でやれた後には見えなかった。」
「それに半数以上の艦艇が、撃沈か行方知れずだと言うのだ。」
「生き残った兵士らの尋問には、我が国も軍幹部の将校たち等も同席をしたが、どれも要領を得ない内容だったのだ。」
二人はそれぞれの目線で、ローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊の末路を見ていた。
レナは城からボロボロと成っていた艦隊に疑問を持ち、噂程度の話を人伝に聞きいて居たので、その事実に驚く。
ヴァロニカは、ズタボロの船体を見て生き残りの証言を聞き、馬鹿げた話だと思ったが、目の前のボロボロの艦隊が証拠だろうと考えていた。
「なぁ、特異能力持ちや竜人族、竜族以上に、高速で空飛ぶ鉄の竜や空飛ぶ槍なんて代物が、魔力無しで飛んで居られると思うか?」
「アースティア世界の古代大戦前後に起きたって言う転移災害で現れた国々なら、そんな物が在っても可笑しく無いし、有り得たかも知れない。」
「けれど、今の時代の常識で考えれば、空を飛べるのは種族的に恵まれた生物と魔法力、それに特異能力持ちで無いと有り得ないのが常識よ。」
「今や古代大戦期の代物は、ロストテクノロジーだもの。何所の国家でも造る事すら叶わないわよ。無論、ローラーナ帝国でもね・・・・・・」
「今の常識ならば・・・・か・・・・・・・・・」
暫し二人の間に、沈黙が訪れる。
「今は色々と情報が錯綜して居る。だが、一つだけ変な噂が流れて居る。」
「知ってるわ。東や南に謎の島国が幾つも現れたって話しでょ?」
「ふっ!それくらいは知って居て当然か・・・・・」
レナは、研究バカで世間の流れを気にしないが、最低限の情報を得られる様に努めていた。
それに興味が沸くと、その事をトコトン追求する性格でも有るので、だらしないのに反して、必要と思われる情報や知識を集める事に関して落差が有り過ぎるのも玉に瑕だった。
それにヴァロニカは、親友個人の情報網による情報収集能力で既に得て居る事に、特段、驚いている様子は無く落ち着いて居た。
「ここ最近に成ってから、東の空向こうが最近に成って、急に明るさが増して居るんだもの。」
「噂と目で見た事を比較した結果よ。」
「それなら話が早い。実はな、最近に成って家の聖龍騎士団の航空隊の連中が、我が国から200キロの地点で、鉄の竜を見たと言う報告が後を絶たないのだ。」
「それって、もしかして・・・・・」
「ああ、多分。昨今のローラーナ帝国上層部が騒いで居る物だろうな。」
ドラグナー皇国の聖龍騎士等が見たのは、恐らく台湾軍や同地に応援に来て居る米軍の戦闘機や偵察機だろう。
台湾共和国として某国からの独立宣言をこの世界で果たした彼の国の所在地は、ドラグナー皇国から500キロ地点に在った。
その境界線で互いの哨戒部隊同士が、遠巻きに接触しても不思議は無かったのである。
転移した各国は、日本政府との協議で、地球転移国家群は、異世界国家との武力衝突を避ける事に成って居た。
今現在の転移国家の軍事力順位は以下の通りと成って居る。
ハワイを中心に島と海軍を中心に転移したアメリカ。
アジアやインド洋、それに太平洋に展開して居た海軍が、主に災害に巻き込まれ200万人以上が巻き込まれてしまい、このアースティア世界へと現れて居た。
地球では世界中に展開しているアメリカ軍は、800万人は有ると言われる米軍の一部が、紛争や挑発行為が激しい地域から忽然と軍勢が消失してしまったのである。
地球の某2カ国はある意味、喜んで居るかも知れないし、北国のボンボン将軍さまが居る国も、ひょっとしたら国を挙げて、将軍様バンザーイと言う声を叫んで居るかも知れない。
台湾共和国。
且つては中華民国と呼ばれて居た国の勢力である国民党が、某独裁政党との争いに破れて大陸から逃げ込んだ地域の事である。
且つては総兵力30万人近くであったが、徐々に兵隊を減らして来て居る今は、隣国との紛争に備えて最低限の防衛力と成って居るが、15万人くらいの兵力は残って居る。
以外にも経済と工業力は高く在るので、ある意味この世界では、下請け関係でボロ儲けができる地位に有ると言える国であろう。
兵器に付いては一部の国産を除いて、その多くはアメリカ製を買って居るので侮れない。
迂闊にも、この世界の国家らが台湾へと攻め入って戦争をすれば、手痛いしっぺ返しが待って居ると言える国だった。
ロシア連邦改めロシア共和国。
ウラジオストク市があるシベリア地方の一部が転移して、今は島に成って居た。
クリル諸島に加え、サハリン島(樺太)、カムチャッカ半島が半島ごと転移してい形で此方に来てしまっていた。
正にカムチャッカ半島が、カムチャッカ島になると言う言葉遊びに成ってしまい、笑えないジョークとして日本国内では、苦笑するニュースとして流れて居たりする。
他にも近海に幾つもの無人島が多数あるらしく。ロシア政府が調査を始めたとの事である。
その軍勢はウクライナ危機と言われたウクライナ戦争で、随分と兵力を目減りさせてしまったが、その兵力を徐々に回復させ、何んとか3軍合わせて20万人らしい。
特に陸軍と海軍が充実して居ると言うが、ヨーロッパ地方と違って引き抜きを受けたのが陸軍だけだった事も在り、根気よく仕官を増やし、予備兵で穴埋めした努力の賜物であった。
欧州離島諸国連合。
その名称は地球の時と同じくEUとされて居る。
本当の名称を略すと違うが、其の儘の方が呼び易いし、地球系転移国家群の間でも知られて居るからだった。
フォークランド諸島でイギリス軍と共に、定期の欧州諸国軍事演習訓練を行って居た時に転移災害に巻き込まれた者達であった。
悲惨なのは、虎の子である兵器の数々が、此方側へと来て居ると言う事である。
各国の自慢の空母や潜水艦に戦車に加え、ある程度の纏まった部隊が転移して居ると言うのだ。
地球の欧州各国の本国では、今頃は大いに頭を抱えて居るのに違いない。
何せ、欧州各国自慢の最新鋭装備の戦車から空母や潜水艦に至る兵器がこの世界の欧州連合に集ってしまって居るからだ。
他にもパプアニューギニア・インドネシア・ブルネイ・シンガポール。
マレーシア・タイ・ラオス・ベトナム・カンボジア・ミャンマー等のアセアン諸国の各軍も、多少なりともずば抜けて居ると言えた軍勢であった。
「其処でローラーナ帝国上層部が、東の海に何が在るかを調べるべく、太平洋への調査を進めると決めたらしい。」
「調査ねぇ・・・・・・」
「レナも思っている通り、それは表向きだ。」
「これは龍雲海での海戦で出た行方不明者の捜索も兼ねて居る事にも成って居るが、2が月を過ぎた今頃では遅すぎるし、戦で負けた為、ローラーナ帝国上層部が良くやる何時も通りの建前の言い訳だろう。」
「実質の目的は、威力偵察だろうな。」
「遺族の嘆願と謳っても居るが、此処までの大敗北は、人外の領域に居る種族以外では有り得ない。」
「この周辺では、あの様な損害を出させる存在など、我らが師であるエリン様以外に有り得ないのだ。」
「グレッサ家が中心となってローラーナ帝国東方面総司令部に直訴したらしいと有るが、流石にこの話も怪しいと言わざるを得ない。」
「直訴自体は有ったかも知れないが、その事実は定かでは無いし、それに・・・あのローラーナ帝国上層部が、其処までお人好しな事をするとも思えん。」
「それじゃ、人々から敗戦の目を逸らす為にね。」
「それが真実じゃないかと私は考えて見て居る。」
「それでヴァニロカ、こんな朝っぱらから、このわたしに会いに来たの理由は、なぁに?」
流石は聡い親友だと思い、話が早くて助かるとも思ったヴァロニカ。
「レナ、暫く城を留守にする。」
「ローラーナ帝国・・・・・・ローラーナ帝国領・シャッポロ属州領総督府は、我が国の聖龍騎士団にも出陣を命じて来た。」
「恐らく大方、我らドラグナーの聖龍騎士団を盾代わりと露払い役にする積りだろう。」
「それに私の力も当てにしてな。」
「ふふっ、天下無双の血染めの鋼鉄姫将軍様に敵う者が、他にも居るのかしらね。」
「全く、関係ない他人事だと言いたい様だろうが、お前もそれなりに知られて居るんだぞっ!!」
「それよりも私の帰りが・・・・もし、遅くなったり、行方が分からなくなったら身辺には気を付けろっ!!!」
「万が一の時は、私やドラグナー皇族たちの立場の事は気にするなっ!!此処から逃げ出しても構わんっ!!」
「お前の妹のリナは大丈夫だっ!」
「エリン様が鍛えて下さったお陰で、もう十分に強い。」
「他の妹達も、もう十分に1人で生きて行ける。」
「お前は妹の為に、此処に居るのだろう。」
「父上や母上、それに兄上とも話は付いて居るし、他の親族らとも話は付けて有る。」
「まぁ、我らが皇家一族が貴様を逃がす事を了承したのは、単に暴れられて、この城と城下を焼かれるのが怖く。とても迷惑だと言うのが本音だと、何れの者達も言って居るのだがな。」
「まぁ、貴女の御両親で有る小父様や小母様に、それにお兄様ですらも出て行って良いと仰られて居るの?」
「でもねぇ・・・・・もう少しだけ、だらけて居たいわね。でもね、ヴァニロカ、わたしは、あの艦隊の悲惨な姿を見て思ったわ。」
この時二人は声が合わさって言う。
「「歴史の風向きが変わる。」」
「ふふっ・・・・・」
「くくくっ・・・・・」
思わず二人は笑った。
多分、歴史が・・・・・・そして、それぞれの祖国が助かる時が近いと二人は、幾つもの小さな情報から読み解いて行きつつ、直感で間も無く時代が動くと感じて居たのだろう。
「やっぱり、そうか。」
「ええ。」
「じゃ、来るべき日の為に働きに行くとするか。」
其処へ、下からある人物がやって来た。
「姉上っ!!姉上っ!!そろそろ出立の刻限ですっ!!!あっ?!」
「いらっしゃい、アルビィ。」
現れたのは、アルビィーヤ・サークラ・レアモン。
ヴァロニカの妹で、この国の第二王女である。
真面目な頑固者で、幼い時は紅葉と何時も喧嘩をしていた悪友でもあった。
「レナ姉さま、お休みの所をお邪魔します。」
「それよりも姉上っ!急ぎませんと帝国者達が煩く成ります。」
「レナ、くれぐれも・・・・・・・・・・」
「ええ、分かってるわ。」
ヴァロニカは、レナに近付いて彼女の耳元で囁く。
「それとアルビィを当てにするな。」
「いざと成れば、こいつは頑固者だ。情よりも決まりを優先するだろう。紅葉の奴と違って規則破りが、出来辛い頑固な性分だ。」
「私の妹が、お前を処刑台送りにして、親友達との殺し合いに成って欲しくない。」
「そうね。」
この姉達は「自分の妹達がこんなに可愛くてしょうがない!!」と言う表現が正しい位に妹達の事を溺愛して居る。
「ではな・・・・・」
鎧の金属を響かせてヴァロニカは、アルビィと一緒に屋敷を退出して行った。
その背中をレナは静に見送って居た。
後にこのドラグナー皇国は、日本を中心とした国際連合で採決されるローラーナ帝国への一大反攻作戦を議決し、国連軍を結成。本格的な反撃作戦を決行に移す事に成る。
その国連軍による大上陸作戦により、多くの犠牲を払った後に解放されのだが、それに至るまでの道には、親友同士の殺し合いしなければ成らない過酷な運命が待ち構えて居るのだった。
ローラーナ帝国暦600年・アースティア暦1000年・西暦2030年・5月26日・午前8時35分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・ロートレア地方・ドラグナー皇国おうこく・首都・新王都・ニューサリヴァン市・ニューサリヴァン港・西側地区・ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍・ドラグナー皇国方面監査陸海軍共用駐留基地にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヴァロニカがレナと別れ、朝の身支度を済ませつつ、ニューロートレア城を出て、ニューサリヴァン市内へと入った頃には、午前8時を過ぎていた。
レナとのやり取りにも時間が掛かった事も在るが、ニューロートレア城からニューサリヴァン市内を徒歩で、歩き抜けるのにも手間が掛かるからでもある。
シベ帝戦争での教訓を生かしつつも、ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍司令部とローラーナ帝国領・シャッポロ属州領統治府から睨まれ無い程度に防備を固めて居る為、城下へと出掛けるのにも、とても苦労をしてしまって居るドラグナー皇家と政府関係者なのであった。
其処からヴァロニカは、ニューサリヴァン市の西側に在る港、ニューサリヴァン港へと出掛けて行く。
其処にはデカデカと敷地を使って庭付きの建物と倉庫街。
それに兵士庁舎、造船修理ドッグ等の軍事施設が立ち並んで居る。
この敷地を我が物顔で使って居るのが、ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍旗下されて居ると言うローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍・ドラグナー皇国方面監査陸海軍共用駐留基地に、彼女はやって来たのであった。
ドラグナー皇国は、10年前のシベ帝戦争の敗戦により、ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍の大軍と戦い、次々と主要都市や重要な大要塞を等を陥落されてしまい、更には王都と王城を奇襲攻撃に遭って敗戦に陥って居た。
前線で一騎当千の強さと働きを見せていたヴァロニカは、その戦でも大軍相手に大立ち回りの働き振りを見せて居たが、溺愛して居る妹と両親が人質に取られ、兄であるミリアルからの降伏せよとの伝令が来ると、彼女は泣く泣く帝国に降伏したのである。
愛騎である聖龍のレッドアイゼンも、その時ばかりは、主の悲痛を感じ取って悲しい声で吼えたと言う。
あれから10年が経った。
反帝国同盟諸国からは裏切り者、冷酷な吸血姫、冷血無比の魔女など揶揄されてきた彼女。
それは帝国に対して本音を隠す為の建前であり、鉄仮面の様な表情をしながら、かつての同盟諸国らの国々に刃を向けて来たのだった。
そして、敗戦以来、溺愛して居た妹のアルビィは、笑わなくなってしまって居た。
全ての原因は、この終わらないアースティア世界大戦の・・・・・いやっ!帝国の飽くなき世界統一戦争のせいだろう。
レナが連れて来られた時は、柔らかな表情を見せたが、一瞬の事だった。
この終わらない戦争・謀略・侵略と言う名のワルツの曲を何れかの勢力が、鳴り止ませない事には、犠牲者の悲しい日々は決して終わらないのだ。
(近い将来・・・・・奴らに反旗を翻せる好機が有ったとしても、今はまだ、動くその時じゃない。)
彼女の帝国に対しての本音はと言うと、飼い殺しにされるのは我慢ならない事だった。
だが、家族を守る為に、たった一人、反帝国の陣営に居る親友や、その妹達に剣を向けなければ成らない不幸が彼女の現実だった。
だが、今は実の妹さえ無事で居れば良いとしか言えない悔しさと辛さと情けなさが、彼女を非常な姫将軍の表情にさせて居たのだった。
海風が吹き荒れる中をヴァロニカは、正門を潜って行く。
正門を警備している兵士が胸に手を当てる敬礼を取る。
以下に属国の姫将軍と言えども、ヴァロニカの武勇は、アースティア世界中の敵味方の諸外国らに広く知られて居る。
まともな頭を持った兵士や将官らは、彼女を無下に扱う等とは、それは恐ろしく、怖くて出きる筈もない。
唯一、例外なのが、ヴァロニカの覇気を感じ取るのが鈍感なニブチンなおバカさんが、時より痛い目に遭う位だろう。
無駄に立派な庭を抜けて本館の建物に入ると、帝国海軍兵の案内を受けて、大会議室に通される。
大会議室の中に入ったヴァロニカは突然、声を掛けられた。
「おやおや、随分と遅いじゃないかお姫様。」
皮肉めいた言葉で声を掛けたのはネーレイ・マモー・ハンズ。
年齢は30歳で、帝国本土の貧困スラム街の出身で、貧乏から這い上がる為に軍人と成り、どんな汚い手を使っても勝ち上がって来た非情な性格を持った女だ。
今はローラーナ帝国海軍の第一外征艦隊・第一艦隊司令官で、階級は大佐。
本来なら王族で姫将軍のヴァロニカの方が身分も階級も上なのだが、そう言った高貴な血族や生まれながらの金持ちの家柄と言ったモノが、気に食わないネーレイは、時折出会う属国の王侯貴族の者らを当たり散らし、挑発して罵って居るのだった。
それに加え、ローラーナ帝国軍の方が、帝国の同盟国軍や属国軍よりも上と言う差別的な考えで、その思想はまるで宇宙移民者を弾圧して居る地球統一政府組織と同じ思想とも言えるだろう。
「・・・・・何時もの監視の仕事だ。それよりもネーレイ、私の素行をとやかく言うよりも、お前の部下達の素行と規律を如何にかしたら如何なんだ?」
「ふんっ!」
この位は何時もの事だ。
ネーレイは、特にヴァロニカが気に入らないらしい。
高貴な育ちに加え、世界最強と言われて居る武勇にもだ。
それにネーレイ配下の兵士や一部の士官らは、スラム等の貧困上がりの荒くれ者達が多い。
そのせいで略奪・強姦・虐殺行為を楽しむ悪癖な風潮が有る。
これはローラーナ帝国軍や一部の貴族諸侯には、良く見られる帝国の闇の部分でもある。
無論、それが例え女であってもだ。
それが女性で有っても、悪癖が悪ければ、略奪・強姦・虐殺行為を楽しむ悪癖な風潮が有るのが、このアースティアと言う異世界である。
この異世界では、男女平等に力と能力さえ有れば、強いと言う弱肉強食な世界でも在るからであった。
「久し振りだねぇ、ヴァロニカ。」
「・・・・貴様か・・・・・・アルビダ。」
「相変わらずの仏頂面だねぇ・・・・・まあ良いさね、今回はチェドウ・ギワザン総司令官閣下が、直々にお声を掛けられたのさ。」
彼女はアルビダ・ラッグナス。
悪魔族と人間族のハーフ部族である魔人族の生まれで、年齢は不詳である。
・・・・と言うか魔族と言う種族は、突然、成長が早まったり、遅かったりするので、ハッキリとした年齢が分からない事が多い。
ヴァロニカと出会ったアルビダも12年前は10代後半の容姿をして居た。
今は長い紫の色の髪と斬り傷が目立つが、人間で言えば見た目が20代の半ばくらいに見える女盛りで、妖艶な雰囲気を醸し出して居る女が椅子に座って居た。
魔族は600年前に、この世界に転移して来た魔族帝国が、この世界の南方の極地に転移してきた種族で、邪神に操られた者達でもあった。
ローラーナ帝国の前身であるローラーナ王国が中心となって邪神が討伐されると、魔族は邪神から解放された。
その後は、全世界の国家と講和し、鎖国的な政策を取り続けて居る。
また、一部の魔族は、邪神戦争の間に軍として侵攻する。
戦後は、其のまま帰国もせずに居着いた別の大陸の土地に、魔族帝国から独立した国家の建国や部族国などを立ち上げて、独自の道を歩む者達も居たのだった。
また、アルビダの様に故国を持たない流れ者や奴隷に身を落とす者も居るのである。
そんなアルビダは、ローラーナ帝国政府や上層部高官らから私略船免状と言う免状を与えられた、紅き火蜥蜴海賊団と言う海賊一家の女頭領だ。
私略船免状とは、帝国が指定した強力な海賊に対して、略奪等の免状を与える代わりに海軍の手伝いをさせ、奪った財貨を一定額の税金として納めさせる代わりに、犯罪者としての指名手配や逮捕を免除する制度だ。
この免状を持った海賊は、襲った船から財宝から人材まで好きに出きるので、大喜びでローラーナ帝国の下で働き、帝国は膨らんだ帝国領海の確保に即応できる船を海賊船で賄う事が出きていた。
「本当なら12年前の時に、カーリーナ姉さんの仇を今すぐにも取りたい気持ちは変わらない。」
「だけどねぇ、アンタとドラグナー皇国には受けた借りは10年前に返したから、もう恨み言は無いさね。」
二人には因縁があった。
12年前に周辺海域で暴け回る海賊、紅き火蜥蜴海賊団に対して3カ国で討伐艦隊を結成して戦った時である。
ヴァロニカは親友であるレナとマーヤと共に海賊退治をした事が有った。
その時に、紅き火蜥蜴海賊団の先代頭領のカーリーナ・ラドスをヴァロニカが討ち取って居たのである。
カーリーナの遺体を持ち去りながら逃げ帰ったアルビダは、何時か仇を取ると決めて居た。
それが10年前のローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍と第三方面軍総司令官・ゾイザル・セイダル・ローラーナによるシベ帝戦争とドラグナー皇国攻略戦であった。
海賊達は東側から攻め入り、ドラグナー皇国の港周辺での陽動に徹して居た。
その甲斐も有ってか、首都が手薄と成った所を帝国が攻め入って制圧したと言う訳だった。
スッキリした顔立ちのアルビダの横には遠縁の親族と言われて居る女が立っていた。
綺麗な宝石が埋め込まれた装飾品を身に付けていて、その女はアルビダの義理の姉と称して居て、今は副官として、彼女の傍らに立って居た。
その女がヴァロニカに見据えて、ニッコリと笑って居るのだった。
他にはネーレイの配下でビンラー・デインチャーとデビッド・ラスビデと言う荒くれ者達が立って居た。
その姿格好と言うのは、世紀末の漫画の雑魚キャラかボスキャラみたいな頭と服装をした男がネーレイ近くに後ろに控えて居る。
もし・・・彼らの姿を見た日本人は、戦闘時には、刃物を高らかに掲げたり、刃物を舐めたりしながら、ヒャッハーと叫ぶかも知れない姿が、思わず浮かんでしまうかも知れない格好だった。
他にも各艦隊の司令官や主だった戦艦の艦長が控えて居る。
属国の姫将軍たるヴァロニカは、入り口の近くに座る。
これは明らかに差別的な席順であるのは見れば見るほどと言えるだろう。
属国の姫将軍たるヴァロニカは、帝国の将校や旗下の海賊たちにより身分が低く見られ居る証拠であった。
それでもヴァロニカは、素知らぬふりして案内された椅子に座る。
主だった将校が会議室に集まり揃うと、縦に長い会議室の一番奥の席に鎮座している所に、この部屋に集まるローラーナ帝国所属の中で、一番に位の高そうな男が立ち上がり発言を始めた。
「皆、集まった様だな。」
「それではこれより東方方面に突如として出現したと言うニホンなる新国家と、二ホンに与するとされて居る連合国に対する威力偵察及び離島制圧作戦の作戦会議を始める。」
「ネーレイっ!!!」
「はっ!!例の書類を配れっ!!!」
「「「「「ははっ!!」」」」」
会議を取り仕切る男の名は、シドウ・ギワザンと言って、ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊。
通称名・ローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊の総司令官で、階級は准将である。
その性格と人となりは、物凄い野心家で、出世の為なら何でもする卑劣感な男であった。
ネーレイは、ギワザンに促されて立ち上がり、近くの兵士らに書類を居並ぶ軍の幹部達に、配る様に命じた。
第一外征艦隊は、その名の通り、帝国海軍を中心とした外征連合艦隊で、正規の海軍艦隊とは別の艦隊である。
主な任務は、敵国への侵攻・かく乱・焦土戦・威力偵察等である。
また定期的な敵対国への攻撃や戦闘が激しい地域へ物資の輸送任務も含まれて居た。
外征艦隊は帝国軍の先方隊でも有り、汚れ仕事もして居る連中でも有るのだ。
「ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍内に措いて、そして我が外征艦隊内でも、先のローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊の敗戦に付いては、既に多くの者が聞き及んで居るだろう。」
「そろそろ本国や各地の軍団司令部にも、その報せが届く頃合いだろう。」
「ギワザン閣下も・・・偶々、東方方面に物資と兵の輸送の護衛任務で、この地を訪れなければ知らぬ出来事でもあった。」
「其処でギワザン閣下は、ニホンとか言う謎の国家に威力偵察を兼ねた報復攻撃を慣行をすると決められた。」
「上手く行けば、ニホン国の領土を掠め取れるかも知れない。」
「「「「「おおっ!!」」」」」
会議に参加して居る将校達からは「おおっ!!」と言う歓声の声が響き渡る。
この第一外征艦隊がシベリナ方面に来て居るのは、本当に偶々な事であった。
この世界には大陸間を縦横無尽に動き回れる大河であるパイプ・ライン大河が流れて居る。
その大河は、何れかの大河に繋がって居て、自由に船で行き来が出きるのである。
魔導空挺艦や陸上魔導艦と言う船も存在するが、障害物を気にせず移動が出来て移動航路に比較的自由が有るのは水上艦である。
また魔導空挺艦は、奇襲攻撃のリスクが孕んでおり、安全航路を通るのが常識とされて居た。
そして、帝国の制海権や制空権の広さは広大で有るが、空飛ぶ亜人等が時より空からの奇襲攻撃を仕掛ける事も有るので、帝国の取っては不安定な空域と言えた。
(そうか、ローラーナ帝国政府上層部やローラーナ帝国領・シャッポロ属州領総督府。それにローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍なんかが、こんなにも早く、ニホン国とか言う国に、報復攻撃をしようとしたのは、ギワザンの考えなのか。)
(奴は野心家だ、新たな新国家発見とその一部の領土を勝ち取れば、皇帝からの覚えもめでたいし、敗れても国土位置を特定したと言う偵察報告と言う名の手柄が出きる。)
(どちらに転んでも、奴には損が無いと言う事か?)
(それに我が国の聖龍騎士団も居るのだ。如何にニホン軍が優れた兵器を有して居たとしても、相手に少しでも手傷を負わせれば、アースティアの世界中に向けて、勝った勝ったと喧伝して周れると言う事にも出きると言う事なのだろうが・・・・・・・そんな目論見の為に、この私と我が国も随分と安く、舐めて見られたものだな。)
ヴァロニカは、冷静に会議の動向を分析して居た。
自分が利用される事と帝国の手痛い敗戦の後の急な東方への遠征、その動きの裏には、帝国内の派閥勢力争いが有る様に見て取れて居た。
ローラーナ帝国暦600年・アースティア暦1000年・西暦2030年・5月26日・午前9時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・ロートレア地方・ドラグナー皇国おうこく・首都・新王都・ニューサリヴァン市・ニューサリヴァン港・西側地区・ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍・ドラグナー皇国方面監査陸海軍共用駐留基地にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
作戦会議は続き、司会の進行を任されたネーレイは、更に話を続けて行く。
「わたしの配下の密偵達が、漁民に扮して漁船に乗り込ませ漁師として偵察活動をさせたり、外洋商船の船員に扮して、素知らぬふりをして二ホン領海内へとわざと入り込んで、二ホン国海上警備隊に捕まり、臨検を受ける事で搔き集めて得た情報では、ニホン国は島国であり、その他の国々も島国である事が判明して居る。」
「その場所は、先の龍雲海沖の海戦から推測さる方向から鑑みれば、真東か東北方面だと思われる。」
「其処で我らローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊は、このドラグナー皇国から龍雲海を経て東へと進み、ニホン本土が何処に在るのかを探る予定して居る。」
「一番に近いと目される地域は、二ホン国の離島諸島州たるオキナワ州である。」
「更にはリュウキュウ諸島とニホン本土から離れてるサツナン諸島なる群島、それにニホン国本土のキュウシュウ島の3つが、ドラグナー皇国から最も近い土地であると予想される。」
「ハッキリとした位置と距離、幾つの諸島で構成されて居るのかは、今の所は不明だが、我が第一外征艦隊は、持てる艦隊と軍勢の総力を以ってして、この何れか地域を発見し、一気呵成に上陸制圧し、二ホン国と未開の国家らが、その勢力を拡大する前に完膚なきまで叩いて置くっ!!」
「だがしかし、相手は島国である。島国へと攻め入るのは大変な労力と兵力を要する一大作戦である。」
「我が第一外征艦隊の総力を持ってすれば鎧袖一触と言いたいが、相手の戦力差が少しでも拮抗して居れば、作戦目標達成すると言うのは、そう簡単な事では無いだろう。」
「万が一、それが現時点で出来ぬ場合は、二ホン国列島の特定位置をローラーナ帝国本国に報せる。」
「これを作戦目標の第一とし、二ホン国制圧を第二目標すると閣下はお決めに成られた。」
「ギワザン閣下っ!!発言を宜しいでしょうか?」
将校の1人が立ち上がる。
「構わんっ!」
「はっ!閣下にしては、少しはがり手緩い気が致します。」
「我が第一外征艦隊の総力を以ってすれば、高が島国の一地方の3の島の州などは、あっと言う間に制圧出来るのでは無いのですか?」
「そうだ、そうだ」威勢の良い叫び声が飛び交って居た。
それもそうである。
イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊こと、第一外征艦隊の総勢は陸海空の戦艦を合わせて1500隻は有るのだ。
艦隊に所属する司令官クラスが乗り込んで居るのは、250メートルの陸海空の何れかの鋼鉄魔導戦艦に乗艦して居る。
100隻の竜母と600騎以上の飛竜隊と更に海賊艦隊が300隻に加え、30隻のドラグナー皇国軍の空挺魔導戦艦と一騎当千と謳われる3000人の聖龍騎士団も付いて居るし、掻き集めた艦隊は、全軍で2000隻を超えて居る。
その総兵力とは、全軍で凡そ12万人前後であった。
ヴァロニカも兵器扱い様な感じで、生ける伝説と成った彼女が味方に居るのだから、将校達が余計に強気に成って居るのだった。
ひょっとしたら彼らの脳裏には、日本の半分程度の国土を攻めて占領し、降伏させると言った未来図が、既に出来上がって居るかも知れない。
でも、その現実は違う。
陸海空自衛隊は強固で鉄壁の強さを誇って居るし、米軍や台湾軍に加えて、ロシア軍の援軍が来たら、先ず撲滅に遇うのは攻め手側である彼らと言える。
その現実を知った時には、もう遅いのだ。
逃げる間も無く、彼らは現代科学と現代戦術の業火に焼かれるか、海の藻屑と成り、それか爆散して、彼らの死体すら残らないだろう。
そして、最後はサメの餌と成るのが関の山。
やるだけ無駄なのたが、何でも不幸と言うのは、発生する前には常に楽観視されがちで、不幸な事に常に痛い目に遭って、初めて自覚が出きる物なのだ。
「貴様の言う通り、普段ならば、そうして居る。だが・・・・今回はそうは行かんのだっ!!」
「密偵の者等の報告でな。コヨミ皇国の万代市に造られた、ニホン軍の要塞に運ばれたと言う兵器・・・・それら全てが、丸で我が国の魔導戦艦の様だと言う報告して来て居るのだ。」とネーレイは補足説明をした。
「・・・・と言う訳だ。ネーレイの密偵らは貴重な情報を我らに齎した。」
「ニホンは恐らく、アディーレ・グレッサが率いるローラーナ帝国海軍東洋方面艦隊・第120艦隊との戦いで、知り得た情報とシベリナ地方王国連合同盟諸国に泣き付かれ、諸事情を聴き付けた事により、自国の防備を固めるべく。」
「コヨミ皇国を城壁とし、我らを迎え撃つか攻め入る準備をして居るのだろう。」
「二ホン国海軍艦隊の艦船が、相当数の数が、このユーラシナ大陸東側地方に向けての備えて配備されて居るとの情報も有るのだ。」
「そして、その備えも強固な物であると予想される。」
「其れならば、我が司令部は、今ニホンの防衛網に穴が有る筈と予想して考えて居る。」
「其処でだ。その隙を上手く突いて、ニホン本土を強襲すれば、如何に強力な軍と言えども打ち破れる。」
「それに例え失敗となっても何処が手薄で、どの方角にニホンの島が在るかも探れる。」
「どの道、我らに損が無いと言う訳なのだ。」
ローラーナ帝国の密偵網は、シベリナ各地で諜報活動して居る。
各国の漏れ聞える日本に関する情報の一部を彼らは掴んだらしい。
幾ら日本が自国に関する情報の漏れを徹底管理して居たとしても、人の口に戸は立てられない。
意外にも日本の沖縄などの地方名の情報は、漁民や商船の船長に扮して居る密偵の者らから齎されて居た。
そして、日本の情報を漏らしたと言う相手の者達と言うのは、海上保安庁の巡視船に乗る保安官達だった。
しかしながら、任務に邁進して居る海保安官を責めてはイケない。
彼らも職務上の都合により、仕方が無く情報が漏れて出てしまった事なのだ。
それは、職務質問や臨検らよる検査と調査をし、領海外へと退去させるのが彼らの職務上の任務だったからだ。
領海線の国境付近に近付く漁船や商船に対して、これ以上入らない様にと警告したり、漁船で漁をして居る漁民に色々と警告指示や退去を命じる時に、日本の何処を管轄している地名等をどうしても言ってしまう事が原因だった。
以外にも情報漏洩の大本は、大真面目に仕事をした結果と言うのだから、これは皮肉な結果だと言えた。
第二次龍雲海沖海戦の後に、海上保安庁では、常に情報漏洩が無い様にと、情報管理を徹底する様に通知が成される事に成る。
そして、偶然にも得られた日本に付いての数少ない情報を元に彼らは、日本の大まかな対帝国戦略を予想して居たのだった。
それにギワザンは、負け戦を想定しても居る大変に頭の切れる司令官だった。
如何なる司令官も自分と自軍の勝利を考えて行動し、戦うものなのだが、彼は他の司令官達とは違って居た。
いや、自分の首が飛ばない様に差配するのが、とても上手いと言える狡賢な思考を持って居た男だった。
「流石でありますな閣下。」
「これで彼の蛮族どもに報復してやれる。」
それに南西国藩の加古島市と万代藩の万代市でも通過して良い航路の位置を示したりして居ると、日本国政府側が幾ら徹底して日本の位置の情報を秘匿し、限定的な情報開示をしたとしてもだ、2ヶ月も有れば日本と交流の無いローラーナ帝国でも、凡その位置が特定されるかも知れないのだ。
日本はユーラシナ大陸諸国に対して、自国に関する情報を限定的な事しか開示しかして居ない。
東シナ海と龍雲海の国境付近は、海上自衛隊と海上保安庁が協力して警戒して居る。
先ず狙われるのは南西方面の島だろうと日本政府は予測して居る。
台湾政府にも、決して油断するなと、日本政府は警告をしても居た。
過去の戦術記録をコヨミ皇国の防衛省に当たる統合防人省内で、日本の防衛省と交援省の職員を派遣し、分析をした結果、大量の兵器と大軍を用いて制圧する作戦が殆んどだった。
資料の閲覧に当たった防衛省の自衛官らは、生半可な兵力と質の悪い兵器では、勝つのが難しいとも言って居た。
「先鋒の布陣をヴァロニカ殿下にお任せする。」
「分かった。(くっ、あくまで弾除けの盾と槍にして、我々を使い潰す気か・・・・・)」
「第二陣、ネーレイ。」
「はっ!!」
この艦隊の隊列布陣は、明らかに帝国軍人が、簡単に手柄を掠め取ろうとするのが、透けて見える所から、スカスカに見え見えな配置であると言えた。
「ビンラーとデビッドは、全艦隊の左右に布陣。」
「「ははっ!!」」
「竜母艦隊を第三陣と本隊と揚陸艦隊及び護衛駆逐艦隊と巡洋艦隊を後方に配置する。」
「海賊艦隊は、龍雲海で別方面からの陽動とかく乱に徹する事とする。」
「ニホン領と見られる島を発見し、攻め込んだ先での行動は、貴様らの好きにして構わんっ!!」
ギワザンは略奪の許可を出した。
詰まり、日本国内で手にした財貨は、好きにしろと言ったのである。
この世界の海賊は、我々が物語で描いて居る海賊と然程変わりない。
組織形態が我々の馴染みのある存在で言えばテロリストに近いやり方だろうと言える。
ただ、男主導の海賊集団と女主導の海賊集団では少しだけ違う。
男海賊団は、荒くれ者で襲った土地の財貨を奪い、男は奴隷か殺すしか無く。
子供は召使から始めて、男は海賊にするか奴隷商に売りつけるのが相場で、女は生涯奴隷にするか、精神が病んだ状態まで調教した女を妻にする者も居る。
そう、男性海賊達は、女を下と見て居る事が多いが、ぶっちゃけ力が有るか色気が強い女には滅法弱い欠点が有る者が多いと言えた。
男の海賊社会と言うのは、金と力だけの世界だった。
女海賊団はその逆で、社会から弾きだされたり、戦火で身寄りが無かったり、種族差別された女性が多く集まった居た。
ある意味、自立した女性達による武装組織と言えるだろう。
本拠地と言える隠れ家の場所を秘匿し、平和な町にも隠れ住んで情報を集め、女と言う武器や立場を有効に使って、獲物を狩ったりして居る集団だった。
変装して居る姿が宿屋の女将だっり、娼婦の女だっり、貴族の夫人だったり、教会の神官だっりとして居る。
その中には、年端のいかない子供も海賊見習いか、彼女達の子供だったりするのだ。
表と裏の顔を上手く使い分けて密かに獲物に近付いて、これ等を狩る。
稀に今回のような荒稼ぎもするのが女海賊団の実情なのだった。
「久し振りの大稼ぎさね。たっぷりと働かせて貰うさっ!!」
「それでは解散とする。会議は以上だ、各々準備に入れ。」
会議は解散となり、一部の将校者達は大勝利と豪語して居た。
だが、1人だけは違って居た。
ヴァロニカは、あの日、ボロボロと成って逃げ帰ってきて居たローラーナ帝国海軍・東洋方面艦隊・第120艦隊を目の当たりにして居た。
(この連中は、実際に敗戦した艦隊を見て居ないっ!!)
(如何して、こんなにも楽観視が出きるんだっ!!!)
彼女は出きるだけ部下達を生きて連れ帰る為に、荒ぼっくも、少々無茶をしようと決意をするのであった。