母さんの見舞いで病院に訪れていたある日のことだった。


「…え?俺と同い年の子も入院してるんですか?」

「ええそうなのよ。この前大きな手術が成功したんだけどねずっと起きなくて、ご家族も大変心配されてるのよ」


母さんの熱を測りに来てくれたフレンドリーな看護師の人が、世間話のつもりでそんなことを教えてくれた。


そりゃ病院なんだから老若男女たくさんの人がそれぞれの事情で入院していることはわかるけど、それでもいざ本当に同い年の子がいるという話を聞くと胸が痛くなる。

俺は風邪も滅多に引かないような頑丈な体に生まれたため健康に暮らしてきたけど、俺が呑気に友達と遊んでいる間その子はどんな苦しい思いを抱えて生きていたのだろう。

同情も少しはあったけど、それよりもどんな子なのか会ってみたいという好奇心の方が強かった。


「お見舞いに行くことってできるんですか?」

「え?そうね、眠っているだけだから面会は誰でもできると思うけど…」


看護師の人に教えてもらった病室に行くと、ドアの横には“桂木莉奈”と書かれたプレートが貼られていた。

なぜか緊張してきて、ふぅと小さく深呼吸してから扉をノックする。

中から返事が聞こえてくることはなく、しばらく迷ってからそっと扉をスライドさせて開ける。


「…っ」