ここは闘技場。試合の方は既に始まっていた。
 ドラバルトとファルスは、試合をみていたが飽きてくる。
 そのため自分たちの番がくるまで、闘技場の中をみて歩くことにした。

 そして現在、二人は通路を歩きながら話をしている。

 「俺が狙われている。ならば……ここを歩いていれば、襲ってくる可能性はあるな」
 「だろうな。それを分かっていながら……なんで、ウロウロしている?」
 「フッ、それが分かっていて……ジッとしていられるかっ!」

 そう言いドラバルトは、ジーっと無作為にみつめた。

 「確かにそうだな。オレも同じ立場だったら、そうするだろう」
 「そういう事だ。だが、思ったよりもくいついてこないな」
 「そういえば……そうだが、油断はするなよ」

 ドラバルトはそう言われ頷く。
 そうこう話をしながら二人は通路を歩いていた。


 ――場所は、美鈴の居る観覧席へ移る――

 美鈴とミィレインは、覗き窓から試合を観戦していた。

 「うわぁー、みんな強いなぁ」
 「そうね……でも、あの二人ニャら簡単に倒せると思うわ」
 「うん、そうだね。早く二人の対戦みたいなぁ」

 そう言い美鈴は、ワクワクしながら試合をみている。
 と、その時……通路側で物音がした。
 それに気づき美鈴とミィレインは、扉の方へ視線を向ける。

 「なんの音だろう?」
 「ミスズ、気をつけて! なんか嫌な感じがするわ」

 ミィレインはそう言い警戒をした。

 「うん、ウチも嫌な予感しかしない」

 そう言うと美鈴は、いつでも能力が使えるように身構える。
 すると扉が、ガチャガチャと音がした。
 美鈴は普通じゃないと思い、即座にメニュー画面を開き操作する。その後、全体と攻撃を選びスロットを回した。

 ――バキッ!!――

 それを待ってくれる訳もなく、もの凄い音をたてて扉が破壊される。……恐らく、どんなことをしても扉が開かなかったのだろう。
 ミィレインは美鈴の前にくると、即座に水の防壁を張った。
 すると運よくスロットが停止する。そして、出たのは【攻】だ。
 その間、部屋の中に入って来たのは魔王崇拝派の二人である。……因みに、見張りが通路側に三人いた。

 「考えてる暇がない! ミィレイン退いて!!」

 そう言われミィレインは、右側にズレる。
 それを確認すると、向かいくる二人に両手を翳した。
 ……因みに、どちらも覆面と黒装束である。その一人は可愛らしい雰囲気の女性、もう片方が背の高い痩せ型の男だ。

 《攻撃無効!!》

 美鈴はそう言い放った。すると、魔王崇拝派の二人の全身が眩く光る。
 その言葉を聞くも魔王崇拝派の二人は、言っていることが理解できない。そのため、美鈴とミィレインへと攻撃を仕掛けようとした。
 背の高い男はミィレインを殴ろうとするが、狙いがずれて当たらない。それを何度も繰り返すが無理だ。

 「クソッ……なんで当たらない!?」

 片や可愛い雰囲気の女性は、両手に電気の球を溜めると美鈴へ何発も放った。だがその電気の球は美鈴に当たらず、四方八方へ飛び壺や壁や床などを破壊する。

 「これは……いったい、何をしたのかしら」

 そう言い可愛い雰囲気の女性は、覆面のしたから美鈴を睨んだ。

 「何って、ウチは能力を使っただけだけど」
 「能力……異能力ね。どんな能力か知らないけれど、使わせなければいいだけかしら」

 可愛い雰囲気の女性はそう言い戦闘態勢に入る。
 そして背の高い男も、攻撃体勢に入った。
 それをみた美鈴とミィレインは身構える。
 そしてその後も美鈴とミィレインは、魔王崇拝者である二人の相手をしていたのだった。