第7話『犠牲者』

 1年C組 死亡者7人
 1年B組 死亡者6人
 1年A組 死亡者4人

 2年C組 死亡者4人
 2年B組 死亡者2人
 2年A組 死亡者0人

 3年C組 死亡者5人
 3年B組 死亡者4人
 3年A組 死亡者1人

 教室の後ろにある掲示板に貼られた。
 陽葵のクラスだけで、7人も亡くなった。他のクラスもそうである。
 2年生のクラスも3年生のクラスも死亡者を出した。


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 自宅では陽葵は暴れに暴れ、部屋中が滅茶苦茶になった。
 父が救急車を呼び、救急隊員の誰かが陽葵にタオルを当てる。
 デジャブだ。実行委員もヒナタと同じ手口で眠らせた。


 気づいたら、精神科専門の病院。保護室と呼ばれる所にヒナタはいた。
 薄暗く、シンプルな部屋である。ベッドと簡易便所が置いてあるだけ。
 ふと、夏のデスゲーム大会の記憶が蘇る。
 結菜は死んだ。そう、死んだのだ。
 胸が張り裂けそうだった。苦しい、苦しい、辛い。
 涙が止まらず、嗚咽(おえつ)する。
 「結菜ッ!! 結菜ッ!! 結菜あああああああああああああ――ッ!!」
 陽葵は大声で叫んだ。
 すぐさま看護師と医者があらわれた。
 看護師が、陽葵をおさえつけ。その間、医者が素早くヒナタの腕に注射を打つ。
 20分後、陽葵は叫ぶのを止めた。
 時間が経つにつれ。
 「ゆ、い、な……ゆ、い、な……」
 ヒナタの意識は薄くなり、眠気が襲う。
 彼女はそれから、1ヶ月の入院生活を送った。



 ♦♦♦

 桐葉家は結菜のお通夜にいた。学校の制服は黒いので、その服で参席する。
 良太の母と父も一緒に行ってくれた。
 白いキクの花。笑顔で映る遺影写真。今野結菜が安置する棺桶。
 左側の一般席に着席。
 前席には、すでに竜堂武吉と竜堂の両親が座っていた。
 隣にいる母は、良太の手をぎゅっと握ってくれた。
 温かく柔らかい。
 良太の心は瀕死(ひんし)状態だった。
 (俺のせいだ……)
 良太は自分を責めていた。
 リーダーなのに、的確な指令が出来ていなかった。
 もし、リーダーが俺じゃなかったら今野は生きていたではないだろうか。
 スケルトンウォリアーではなくワイズを先に倒しておけば、今野は生きていた可能性が高かった。良太は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになる。
 良太は自責(じせき)(ねん)に押しつぶされていた。
 それでもお通夜は行かなくてはならない。これはリーダーとしての責任だ。
 良太は陽葵が精神科の病院で入院している事を知っている。
 自分も入院したいと思った。良太の心、精神も病んでいたからだ。
 竜堂武吉にも申し訳なかった。なぜなら、武吉が今野を愛してる事を知っているからだ。
 (ゴメンな……)
 良太は心の中で何度も何度も謝罪し、懺悔する。


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