陸 咲良の霊力
「咲良さま、本当に申し訳ありません!」
目の前にはさっき急に人間になった白虎さま。とても綺麗な銀髪を持つ青年で、頭には可愛いお耳と腰あたりに尻尾が見えている。
そして隣には玄様が並び、謝られる。
「……この方は現在の領主、珀様でして。先祖帰りがありこのような姿に……あなたを迎えに行く途中から白虎となってしまったんです。白虎になるとひと月は白虎のままなのですが」
そう玄様は言うと、領主さまを見た。白虎の時もだったのだけどとても可愛い。
「本当にすみませんでした。玄が言う通り、私は華陽の領主・珀といいます。さっきまで白虎になっていました……」
そう領主様は玄様と同じくゆっくりと話した。とてもシュンとしているし、オロオロしている。こちらの反応を伺っているようだと解釈し、私は懐に忍ばせていた紙と筆を取り出した。
【領主さま、玄様。少し驚きましたが、そんなに謝らなくても大丈夫です】
書いてみせると一気に安心したのか領主さまは安堵の表情をみせた。
でも、白虎になるとひと月は戻らないって言っていたよね?なら、なんで戻ったのだろう?
まだ、会って少ししか経たないのに。
「咲良さま、あなたには先祖帰りの能力を消す力があるみたいです。調べないとわかりませんが、その能力があれば私のような先祖帰りをしてしまう人が救われます!」
それはすごいことなのか、私にはよくわからない。
「すごいことですよ。珀様も幼い頃は周りの方に言われてお辛い思いをしていらっしゃいましたから」
珀様はキョトンとしていた私の手に触れる。
「君は、僕にとって唯一無二だ。今すぐにでも契りを交わしたい」
「いや、だめでしょーが。暴走しない、これだから初恋拗らせ男が……」
珀様の言葉に玄様が反論して、ガミガミと言っていたが……私は、二人の口の動きを見ながら他のことを考えていた。
契り?交わす?どういうことでしょうか?
これが、珀様との出会いだったわけだが……これから私の眠っていた能力が開花して華陽どころか皇国を救ってしまい、珀様に溺愛されるなんて今の私には知る由もない。
完
「咲良さま、本当に申し訳ありません!」
目の前にはさっき急に人間になった白虎さま。とても綺麗な銀髪を持つ青年で、頭には可愛いお耳と腰あたりに尻尾が見えている。
そして隣には玄様が並び、謝られる。
「……この方は現在の領主、珀様でして。先祖帰りがありこのような姿に……あなたを迎えに行く途中から白虎となってしまったんです。白虎になるとひと月は白虎のままなのですが」
そう玄様は言うと、領主さまを見た。白虎の時もだったのだけどとても可愛い。
「本当にすみませんでした。玄が言う通り、私は華陽の領主・珀といいます。さっきまで白虎になっていました……」
そう領主様は玄様と同じくゆっくりと話した。とてもシュンとしているし、オロオロしている。こちらの反応を伺っているようだと解釈し、私は懐に忍ばせていた紙と筆を取り出した。
【領主さま、玄様。少し驚きましたが、そんなに謝らなくても大丈夫です】
書いてみせると一気に安心したのか領主さまは安堵の表情をみせた。
でも、白虎になるとひと月は戻らないって言っていたよね?なら、なんで戻ったのだろう?
まだ、会って少ししか経たないのに。
「咲良さま、あなたには先祖帰りの能力を消す力があるみたいです。調べないとわかりませんが、その能力があれば私のような先祖帰りをしてしまう人が救われます!」
それはすごいことなのか、私にはよくわからない。
「すごいことですよ。珀様も幼い頃は周りの方に言われてお辛い思いをしていらっしゃいましたから」
珀様はキョトンとしていた私の手に触れる。
「君は、僕にとって唯一無二だ。今すぐにでも契りを交わしたい」
「いや、だめでしょーが。暴走しない、これだから初恋拗らせ男が……」
珀様の言葉に玄様が反論して、ガミガミと言っていたが……私は、二人の口の動きを見ながら他のことを考えていた。
契り?交わす?どういうことでしょうか?
これが、珀様との出会いだったわけだが……これから私の眠っていた能力が開花して華陽どころか皇国を救ってしまい、珀様に溺愛されるなんて今の私には知る由もない。
完