「隣にいるのが当たり前すぎてわかんなかった。でも俺、凜の事メチャクチャ大事なの…今更、もう遅いかな…?」


そっと体が離れると悠真と目が合った。
こんなに近くで顔を付き合わせるなんて恥ずかしすぎる。

悠真は眉毛を下げ、少し困った顔で俺の頬に流れた涙を、制服の袖から萌え袖のようにはみ出したニットのカーディガンで拭いてくれた。

ここまでされてもまだ信じられない俺は、悠真を煽るようにまた悪態をつく。


「じゃあ…っ、俺と出来んのかよっ…」

「うん、出来る。今なら自信もって言える!何なら今すぐにでも抱きたい…」

「は…っ!?///」


そんな答えが返ってくるなんて思ってもいなかったから、どう反応していいか分からず完全にパニック状態。

そして再び引き寄せられると、すぐ横に悠真の顔があって耳元で悠真の声が聞こえて、恥ずかしくて恥ずかしくて堪らない…


「自分でもさ…こんなに好きになると思わなかった…なぁ、俺と付き合え…凜っ」

「信じられない…っ」

「信じてよぉ」

「嘘じゃ…ない…っ?」

「嘘じゃねぇよ」


身体を少し離し顔を付き合わせれば、さっきまでの優しい顔の悠真から一転、真剣な表情に変わるとあっという間に顔が近づき唇が触れ合った。

そして今度は触れるだけじゃなくて、悠真の舌が俺の唇をこじ開け入り込んできた。


「…っ、んっ、わかった…っ!わかったからぁ…っ///」

「あっ、ごめん…っ、なんか興奮しちゃって…」

「ばっ、ばか…っ////」


嬉しいよりもとにかく恥ずかしくて、思わず両手で顔を隠した。

俺、このまま沸騰して蒸発して無くなっちゃうんじゃないの?ってくらい顔が熱くて、とにかく恥ずかしくて堪らない。

すると悠真が俺の手を掴みそっと顔から剥がすと、手のひらの上に何かが置かれ冷たい感触を感じる。


「え、これ…」

「取っといた、凜に渡したくて…いらなかった?」

「あ…っ、いるっ!ありがとうっ////…でも、何で…?何で、こんな…っ」

「思い出になんかしたくなかったから…これからも一緒にいて欲しかったから…恋人として…」

「いいの…っ?本当に…」

「当たり前だろ?好きなんだから…」


この好きは今までの好きじゃない、俺と同じ好きなんだよな?

そう思うとなんだか安心して、緊張が解けて涙がボロボロと流れてくる。


「もぉ、泣くなってぇ…」

「だっ…てぇ…っ」


止まらない涙をまた悠真が袖で拭ってくれると、ボタンが置かれた手のひらにポツリと何かが落ちた。


「雨…?」

「や、雪だ…」

「は?嘘だろ…?」

「ふはっ、マジだマジ!雪だわっ!記念に写真撮ろっ!」

「うん」


どおりで寒いわけだ…
あれ?…この風景、どっかで…

…まぁいっか。

二人で顔を寄せあって携帯で写真を撮り、貰ったボタンを握りしめながらかじかむ手を息で暖めると、悠真の両手が俺の手を包み込んだ。


「なぁ、寒いから俺ん家寄ってけよ」

「あ…っ、うんっ///」