それ以降も誤算が続くことになる。
 西側諸国による経済制裁は益々強まり、ウクライナへの武器供与も拡大した。
 更に、フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟申請を出すという事態を招くことになった。
 NATO拡大阻止のための侵攻が逆効果になってしまったのだ。
 お前はすぐにフィンランドなどの国境に接する西部軍管区の部隊を増強する方針を表明したが、それはロシア軍を分散せざるを得ない苦渋の結果となった。

 そんな中、欧米から重火器の供与を受け始めたウクライナ軍が反撃を始めた。
 戦線は一進一退の状態になり、進軍を止められたロシア軍に被害が広がった。
 それは兵士が足りなくなるという事態に繋がり、早急に対応を図らなければならなくなった。
 そこで、軍の志願兵の年齢制限を撤廃することにした。
 これによって引退した元兵士を活用できることになった。
 すると、それに呼応するかのように資金面における不安が払拭された。
 石油価格の高値安定が続き、毎日膨大な金額が収入として上がってきたのだ。
 OPECが大幅な増産に応じない姿勢を貫いていることがありがたかった。
 そのため、当面1バレル=100ドルを切る心配がなくなった。
 しかも、欧米が取引を減らしている分を中国とインドが補ってくれた。
 色を付けなければならなかったが、外貨収入を得られることはありがたかった。