驚くほど、委員長は料理がからっきしだった。だから、キャベツ片手に途方に暮れてたんだろうなと思った。とりあえず、粘りが出るまで肉を捏ねる係を押し付けて。野菜室にあった、あまり野菜を刻んでいく。
沸いた湯でキャベツを剥いていると、委員長が驚いた顔で様子をうかがっていた。
「そっか、キャベツをこのまま巻くのって固いのにどうするんだろうって思ってたんだ」
「あぁ、湯で柔らかくして、芯の部分はこそぐんだよ。こうやって……」
「すごい! 上手だね」
委員長がとてもいいリアクションをしてくれるので笑った。
「あん、ふみ ロールキャベツ巻くぞ」
「「はーい」」
指示を出すと、二人は理央君の頭を撫でてキッチンに集合した。
「うわっ、かさましロールキャベツだ」
安奈が下唇をとがらせて目を細めた。史奈がそれを笑う。
かさましロールキャベツとは、読んで字のごとく。冷蔵庫の残り野菜やら、キノコやらを極限まで刻んで、捏ねたタネで作るロールキャベツのことだ。
「いっぱい食えるからいいだろ」
真ん中に茹だったキャベツを入れたざるを置いて。皆で無心でロールキャベツを巻いていく。
「へえ、パスタでとめるんだね」
委員長が見様見真似でなんとか巻いている。
「あぁ、つまようじは旺次郎がケガするかもしれないからな」
「食べられるし。おいしいよ」
あんふみが委員長にロールキャベツの巻き方を指導しながら答える。
「おーは、たこさんウィンナーが良いです!」
理央君とテレビを見ていたはずの、旺次郎がこちらの会話を聞いていたらしく、挙手でおねだりをしてきた。
史奈がにっかりと笑って「いいよ!」と答えていた。
「ロールキャベツが鍋の中で泳ぐと崩れる元だから、うちは隙間にシャウエッセン詰めるんだ。味も出るしうまいよ」
そういいながらぎっちりと、鍋に詰め込んで、間にウィンナーを刺していった。
「はい、じゃあ、あとは煮るだけで完成」
「すごい、ありがとう」
俺に対する尊敬と親しみを目いっぱい顔に浮かべて見上げてきた。委員長の顔はやっぱり好みの顔だった。色白で男らしさはあるのに凛としていて……まぶしすぎる。
「う……おう」
皆でリビングに移動した。鍋はIHのタイマーに任せると言うと、「便利だね」と委員長がまた感心したようにつぶやく。
ソファにどっかり座ると、当たり前のように旺次郎がオレの膝に座る。委員長は俺の隣に座った。
「ところで、小畠……ずっと学校来てないけどどうしたん?」
だが旺次郎がそこに割り込んだ。
「りー君も小畠です」
そういう突込み、今いらないのだが、旺次郎は眉間にしわを寄せて睨んでくる。倫久が慌てて間にはいある。
「あぁ、ごめん。オレの名前なんて知らないよな……」
「倫久だろ?」
委員長は驚いた顔でうなずいた。
「じゃあ、とも君だね」
旺次郎は満足したのか、もう意識をテレビに向けた。急に名前呼びとか良いんだろうか。変に意識するのもおかしいか。
「声かけてくれて助かった。実は俺んち……」
静かな声が耳に入る。視線が理央君の後頭部に刺さっていた。彼の前では言いづらいのかもしれない。
沸いた湯でキャベツを剥いていると、委員長が驚いた顔で様子をうかがっていた。
「そっか、キャベツをこのまま巻くのって固いのにどうするんだろうって思ってたんだ」
「あぁ、湯で柔らかくして、芯の部分はこそぐんだよ。こうやって……」
「すごい! 上手だね」
委員長がとてもいいリアクションをしてくれるので笑った。
「あん、ふみ ロールキャベツ巻くぞ」
「「はーい」」
指示を出すと、二人は理央君の頭を撫でてキッチンに集合した。
「うわっ、かさましロールキャベツだ」
安奈が下唇をとがらせて目を細めた。史奈がそれを笑う。
かさましロールキャベツとは、読んで字のごとく。冷蔵庫の残り野菜やら、キノコやらを極限まで刻んで、捏ねたタネで作るロールキャベツのことだ。
「いっぱい食えるからいいだろ」
真ん中に茹だったキャベツを入れたざるを置いて。皆で無心でロールキャベツを巻いていく。
「へえ、パスタでとめるんだね」
委員長が見様見真似でなんとか巻いている。
「あぁ、つまようじは旺次郎がケガするかもしれないからな」
「食べられるし。おいしいよ」
あんふみが委員長にロールキャベツの巻き方を指導しながら答える。
「おーは、たこさんウィンナーが良いです!」
理央君とテレビを見ていたはずの、旺次郎がこちらの会話を聞いていたらしく、挙手でおねだりをしてきた。
史奈がにっかりと笑って「いいよ!」と答えていた。
「ロールキャベツが鍋の中で泳ぐと崩れる元だから、うちは隙間にシャウエッセン詰めるんだ。味も出るしうまいよ」
そういいながらぎっちりと、鍋に詰め込んで、間にウィンナーを刺していった。
「はい、じゃあ、あとは煮るだけで完成」
「すごい、ありがとう」
俺に対する尊敬と親しみを目いっぱい顔に浮かべて見上げてきた。委員長の顔はやっぱり好みの顔だった。色白で男らしさはあるのに凛としていて……まぶしすぎる。
「う……おう」
皆でリビングに移動した。鍋はIHのタイマーに任せると言うと、「便利だね」と委員長がまた感心したようにつぶやく。
ソファにどっかり座ると、当たり前のように旺次郎がオレの膝に座る。委員長は俺の隣に座った。
「ところで、小畠……ずっと学校来てないけどどうしたん?」
だが旺次郎がそこに割り込んだ。
「りー君も小畠です」
そういう突込み、今いらないのだが、旺次郎は眉間にしわを寄せて睨んでくる。倫久が慌てて間にはいある。
「あぁ、ごめん。オレの名前なんて知らないよな……」
「倫久だろ?」
委員長は驚いた顔でうなずいた。
「じゃあ、とも君だね」
旺次郎は満足したのか、もう意識をテレビに向けた。急に名前呼びとか良いんだろうか。変に意識するのもおかしいか。
「声かけてくれて助かった。実は俺んち……」
静かな声が耳に入る。視線が理央君の後頭部に刺さっていた。彼の前では言いづらいのかもしれない。