9月…



今月いっぱいで、この時代ともお別れだ…



私は、剣に近付けたのかな…



あと1か月、精一杯…頑張るしかないね…



剣はクラブを引退したから…

毎日、一緒に帰って、夕方まで楓の家で一緒に過ごした…



といっても…

他愛無い話をして…

たまに手を繋いで…テレビを一緒に見て…

その繰り返し…



休みの日に、一緒に出掛けたいけど…

毎週、誘ったら嫌がられるかなって思って我慢してた…



そしたら、剣から…



「こんどの日曜日、一緒に何処かに行こう」



って、言ってくれた。



「何処に行こうか?」



「お金がかかる所は行けないよな…」



「また、海に行こうよ」



「そうしよう」



二人は、前に一緒に行った海に行った。

まるで、青春ドラマのように…

砂浜で走って…水をかけ合って…

すごく楽しかった。



それから…

剣は、毎週のように何処かに行こうって言ってくれた。



だから、二人で…

用もないのに、街へウインドショッピングに行ったり…

あてもなくウロウロしたり…

一緒にいられるだけで…楓は幸せだった。



でも、時は待ってはくれない…

楽しい日々は、どんどん過ぎていく…



悲しいけれど…これか現実だ…



本当に、1年なんてあっという間だったな…



そして…

楓が、この時代にいられる最後の日がやって来た。



9月30日水曜日…



二人は、いつものように学校から一緒に帰って、楓の家で過ごした。



楓は、今日が最後だと分かっていたから…



「剣、お願いがある。もう一度、夜に会ってくれないかな?」



「うん。いいけど…どうしたの?」



「なんでもない…ただ、夜に2人になりたいって思って…」



「そうか…いいよ。いつもの公園で会おう」



「ありがとう」



剣と楓は、公園で会って…



「たまには、歩こうか…」



そう言って色々な話をした。



「私ね。きっと剣より先に剣のこと好きになってたと思う…ずっと好きだった…それとこんな私を好きになってくれて、ありがとう」



「いや…俺の方が楓のこと先に好きになったと思うよ。俺こそ、こんな俺を好きになってくれてありがとう」



「剣、これからもよろしくね。私達、まだ子どもだし、これからも色々あると思うけど…ずっと一緒にいたい」



「俺も、そう思ってる…」



「剣、大好きだよ」



楓は、そう言って…初めて剣に抱きついた…



剣は、驚いてたけど…

剣も、抱きしめてくれた…



二人は、初めてキスをした。



楓は、嬉しくて涙が出そうになったけど…我慢した。



「剣、また明日ね…」



「うん、また明日…」



そう言って二人は帰った…

帰り道、楓は泣きながら…ずっと剣の後ろ姿を見ていた…

剣が振り返って手を振ってくれた。

楓も、大きく手を振った…



明日は、来ないことは分かっている…

悲しかったけど…

諦めたくない…



楓は、ある決意をした…