**無職46日目(10月16日)**


心太朗はずっとブログを書きたいと思っていた。なぜなら、彼には独自の解決法があったからだ。悩みを解決するためのアイデアがあれば、同じように悩んでいる誰かの助けになるかもしれない、そう思ったのだ。

たとえば、眠れない日々が続いていたとき、心太朗はベッドを捨ててソファで寝ることにした。すると、なんと!ぐっすり眠れた。一般的な対策としては、「お風呂は90分前に入れ」とか「食事は寝る2時間前にしろ」とか、「スマホを寝る前にいじっちゃダメ」とか、そういうのは誰でも知ってる。でも心太朗は、それを試しても全く効果がなかった。そこで、彼は「自分だけの寝場所」を見つけることにした。ソファ、万歳!

さらに、彼は35歳で就職したのだが、なんと昇給率は10%前後を四年連続で叩き出すという、まるでセールスの神のような数字を残していた。その秘訣は何か?実は、仕事ができない彼は、雑用を積極的に引き受けることで、「あ、この人頼みやすいな」と思わせる技を身につけていたのだ。そう、雑用キングの誕生!メインの業務じゃないところで力を入れ、自分の希少価値を作り上げ、最年少で店長まで登り詰めたのだ。これが彼の攻略法だった。

でも、ここで彼にとって大きな問題が発生。無職だったのだ。今の自分が無職で、どうやって人を説得するんだ?「実績がない」と思うと、自信がまるでチーズのように溶けてしまう。専門家でもない彼が、どうやって説得力を持たせるのか?それは、無理だろう。

日々、彼は悩んだ。実績がなくても説得力を持てる方法はないかと。実績のある人に話を聞いてもらうのも考えたが、周りにはそんな人がいない。いたとしても、その人たちにメリットがないから、心太朗は心の中で「ひとりぼっち」と泣いていた。

そこで彼はある日、閃いた。「実績のある人を作ればいいじゃん!」しかし、実績のあるフリをして情報発信するのは、完全にアウトだよね。嘘はつきたくない、心太朗の良心が叫ぶ。

ならば、読者が「これ、嘘だな」と分かるようにすればいいのでは?嘘の実績と理解してもらえれば、参考にするかしないかは読者次第。つまり、フィクションの物語にしちゃえばいいのだ!

そこで、彼は「カイケツAI」という物語を書き始めることにした。主人公がAIに悩みを解決してもらうというストーリーなら、専門家じゃなくてもエンターテイメントとして情報を発信できる。心太朗自身の苦労を笑いに変えて、フィクションとして伝えられるのだから、まさに一石二鳥!

第一話の設定は、32歳のフリーターが自信を持てずに、チャラ男AIに相談するというもの。自己肯定感を持たない、つまり「調子の悪い自分を基準にしちゃえ!」という心太朗流のアドバイス。調子が上がれば、ほんの小さなことでも幸せを感じられるという、一見「だいじょうぶ?」と思うような発想。

もちろん、これが全ての人に効くかは分からない。でもフィクションだから、読者に委ねることができる。心太朗は、面白いストーリーと魅力的なキャラクターを作り上げ、そこに自分のメッセージをこっそり忍ばせることにした。

心太朗がアイデアを話すと、澄麗は笑顔で頷きながら言った。「それ、面白そうじゃない!自分の経験を活かせるし、フィクションなら自由に表現できるよ。きっと、他の人にも響くはず!」彼女の励ましの言葉に、心太朗は少し自信を取り戻した。

振り返ると、彼はかつてやっていたバンドでも同じことをしていた。歌も楽器も下手で、ビジュアルも残念だったけど、曲作りには真剣だったのだ。ストーリーのある曲に少しのメッセージを添え、観客に伝えようと奮闘していた。

多くの人に届く歌ではなかったけど、たまに泣きながら共感してくれるお客さんもいた。そのお客さんたちがバンドを始めたり、家族と仲良くなったり、好きなことを始めたりするきっかけを与えたことは、心太朗にとって嬉しかった。

自分の思いやメッセージを伝える方法を見つけた心太朗は、少し未来に希望を抱くが、自分の基準を一度下げて、自らを戒めて再び文字を綴り始めたのだ。

「さて、どんな失敗を描こうか?笑いに変えられるエピソードは…あ、またやっちまった!」と彼は笑いながら考えるのだった。