**無職1日目(9月1日)**

無職生活が始まった心太朗は、朝日が差し込む中、身体の怠さに苦しんでいた。まるで無職の代償を先払いさせられているかのようで、思わず心の中で呟く。「これが自由ってやつなのか…?」そんな彼は、自己暗示をかけることにした。「俺は生まれ変わったのだ。自由なのだ」と、まるで自己啓発本に書いてありそうなセリフを口にする。

これからしばらくは収入がないという事実に、心太朗はふと不安を感じた。「俺は給料分の自由を買ったんだ!」と自分に言い聞かせるが、その言葉もどこか心もとない。「俺の自由は高いのか?安いのか?」と頭の中で悩む。

朝早く、心太朗は神社へお参りに行くことにした。神様に「自由になりました!」と報告するためだ。実は彼、見えない力を少し信じているタイプだった。仕事を辞めると決めたとき、神社で塩を買い、帰宅後は毎日体に撒いていた。完全にオカルトな行動だが、心太朗にとっては必要な儀式だった。最終出勤日にはお風呂に塩を入れて清め、職場に着ていた服や下着、靴、鞄もその日に捨てた。あの店には「変な気」があったと思っていた。周囲には精神的に病んでしまう人も多く、心太朗はその人たちのカウンセリングを行っていたが、実は自分がその「変な気」を一身に受けていた。まさに自虐的な状況だ。

家に帰った心太朗は、「よし、筋トレするぞ!」と意気込む。しかし、身体の怠さが再び襲いかかる。「あれ?眠たい…やる気がしない。」朝の神社で「筋トレさせてください!」とお願いしておけばよかったと後悔する。すると、澄麗が心配そうに声をかける。「無理しないで、休んだらどう?」心太朗は「いや、頑張らないと…」と返すが、心の奥底では「頑張れない…」という思いが渦巻いていた。


心太朗は、筋トレをサボってソファに転がり込み、身体の怠さを感じながらも、無職生活の初日を振り返っていた。澄麗が冷たいコーヒーを持ってきてくれ、「少し休んでリフレッシュして。育児の準備も大事だから、無理は禁物だよ」と優しく声をかける。

「育児の準備って、何をすればいいんだろう?子供の名前を考えるとか?」心太朗は冗談を交えつつも、実際には未来に対する不安が押し寄せる。澄麗は笑いながら、「それとも、やる気が出ないまま名付け親になっちゃうの?」と返す。心太朗は思わず笑ってしまう。「いや、それは勘弁してほしい!子供に恥ずかしい名前をつけたら、それはもう虐待だから!」

そんなやり取りをしながらも、彼は心の中で「自由を手に入れたはずなのに、現実はただのニート生活になってしまった」と思う。無職の特権がただのサボりになっているんじゃないかと焦りがこみ上げる。「こんな調子じゃ、いつまで経っても未来が見えない」と自己嫌悪が胸に迫る。

「無職初日からこんな調子じゃ、先が思いやられるな」と自分を嘲笑うが、澄麗の明るさが心の中に少しずつ光をもたらす。「何か始めなきゃいけない」と心の中で決意を固めるが、その一方で「でも、やる気が出ないし…」と弱気な自分もいる。

結局、心太朗は「とりあえず、今はゆっくり休もう」と思い直し、無職生活の初日をのんびり過ごすことに決めた。澄麗の存在が彼にとっての支えとなり、笑いと希望を胸に、果たしてどんな未来が待っているのかを楽しみにしながら、次の日を迎える準備を始めるのだった。「明日こそ、何か行動しよう」と心に誓いつつも、心の奥では「明日もできないかも…」という気持ちもちらついていた。