変な感覚だ。窓から夕陽が差し込み教室全体をほんのりと赤く染め上げている。隣は空席のまま。

 針を持った俺の手は絆創膏がたくさん貼られていた。ちくっと刺される感覚にはもう慣れっこである。

 それほど器用な部類ではないから、できるだけ丁寧に針を進めていく。焦らない、焦らない。これはあいつが教えてくれたことだった。

 俺に大切なことを教えてくれた。けれど自分はたくさん傷つけてしまったように思う。だからあいつが帰ってくるまで、今は少しずつ針を進めておこう。