* * *

「……白雪姫は王子様と結ばれ、いつまでも幸せに暮らしました」

「……はい、おっけー!みんなおつかれさま!」

 委員長の声が響いた。今日は劇のリハーサルの日だった。

「花里君、演技上手くなったね!黒崎君も!」

「委員長、ありがとな」

「放課後の特訓のお陰だね」

 明るい顔を見せる2人を見て、委員長は満足そうに頷いた。

「じゃあ、明日に備えて今日は早めに切り上げよう。各自自分の役割を確認するように!では解散!」

 委員長の声を合図に、生徒達が体育館を後にする。

 景太はその流れと逆方向に進み、小道具を片付ける百合のもとに歩み寄った。
  
「百合、一緒に帰ろう」

 ルナはその様子をハラハラしながら見守った。

(雨宮さんと景太、仲直りしたって聞いたけど、文化祭の準備で忙しくて、なかなか話せてなかったんだよな。大丈夫かな……)

 しかし、ルナの心配とは裏腹に、百合はいつもと変わらない様子で頷いた。

「いいわよ」

 ルナはそれを見て、ほっと胸をなで下ろした。   

「雨宮さん、少し元気が戻ったみたいですわ」

 菫も、ルナの隣で安心した顔で微笑む。

「そうだね。景太も元気が戻ったみたいだし、本当によかったよ」

「ええ。後は明日、頑張るだけですわね」

「うん」

 ルナは菫に微笑み返した。

 いよいよ明日は文化祭だ。ハルも見に来ると言っていたし、何としても成功させたい。

(この前は変なところ見せちゃったし、明日は格好いい所見せたいな……)

「ルナ、藤堂!一緒に帰ろうぜ!」

 向こうから歩いてきた景太が、2人に声を掛ける。

「あ、うん!」

「分かりましたわ!」

 その声に頷いて、ルナ達は景太達と共に体育館を後にした。