わたしはなつきの詩を思い浮かべた。

【君を救いたいのに
君に代わることも
その苦しみを半分もらうこともできない
だけど教えて、君が抱えているものを
聞かせて欲しいんだ
一緒に考えたいから】

 あの日公園で泣いていた男の子のTシャツは、

背中に引きずられたような茶色の汚れが付いていて、

首回りは酷く伸びていた。

きっといじめられたのだと思う。

彼がそのことを教えてくれたら何か出来ることがあると思った。

いじめた子に、いじめるなと言うことくらいしかできなかったかもしれないけど。

だから泣いている理由を聞いた。

教えてと何度も何度も言った。

でも、あの子に必要だったのはどうしたらそんな目に遭わないかを一緒に考えることだった。

あの時のわたしには気付けなかった。

理斗君はわたしの優しさが誰かに伝わればと言ったけど、

あれはやっぱり理斗君の言葉。

いつもわたしの心を温めてくれたなつきの詩。

そしてわたしは今、そのなつきと一緒に居る。