思ったより若々しい声が聞こえる。

 するとウルフが私たちの存在に気づき襲いかかってくる。
 
 「おいおい! 魔物が俺らを見て一直線に突っ込んできやがる!」
 
 エリックはそう言うと私たちは武器を構えて一歩前に踏み出す。
 
 「ギガントブレイク!」
 
 エリックが叫びとともに大剣を横に薙ぐと魔物たちが跳ね飛ばされていく。
 
 すると銀髪の青年が前に出る。
 
 見た目は凡庸な見た目の青年で細身の体つきである。
 
 「君らさあ何がしたいの? いきなり野生のウルフを斬りかかりにくるとか、君らの価値観はどうなってるの?」
 
 そんな事を聞きながらエリックは青年を睨みつけながら口を開く。
 
 「お前はこのウルフのリーダーか? 答えてもらうぞ?」
 
 エリックが問うと青年は溜息をついた後口を開く。
 
 「僕かい? 僕はこのウルフたちの群れを率いてるのさ。 ただまあ、いわゆる指揮官っていう立ち位置ではあるかな?」
 それに対しエリックは私に目を向けた。

 私は首を縦にふる。

 そしてエリックは言った。
 
 「俺らはその魔物の異常な出現の原因を探りに来たんだ」
 
 すると銀髪の青年が不機嫌そうに返答する。
 
 「だからって僕のウルフを切ることはないだろう? 君たちってさあ……自分の立場弁えてる?」

 それを言うと青年の後ろにはウルフの集団が姿を現しこちらを見据えた。
 
 「仕方ないでしょ! そのウルフたちが村を困らせてるんだから!」
 
 リズは戦闘態勢を取ったまま銀髪の青年に問いかける。
 
 「君たちってさあ失礼だよね?  僕だって傷つくんだよ?」
 
 エリックはため息を吐き口を開く。
 
 「お前は何者なんだ」
 
 エリックが質問を投げかけると青年は目を大きく見開いた後に嬉しそうに答えた。
 
 「僕は龍神教の白龍を崇めし権利者、ヨルフ・シルキーだ」