外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

 エリックが驚いていると男は口を開く。
 
 「今の所何とか難を凌いでおりますが、いつ魔物に襲われるか分からない状態に不安要素が増え続けてまして……」
 
 だから村の人達は家に籠もってるのかと私は納得する。
 
 するとエリックが口を開いた。
 
 「その魔物たちはどこから来てるんだ?」
 
 その問いに男は即答する。
 
 「それが......森の奥から来ていることしか分からないんです」
 
 森の奥と聞いて私の背筋に寒気が走る。

 森の奥には虫が多いから最悪だ。
 
 そんな私にも気づかずに皆話し続けて行くのだった。
 
 「どのような魔物たちなのですか?」
 
 「はい、私が見たのはウルフのような獣でした。ですが他にも魔物が押し寄せてきているようなんです」
 
 ウルフは狼のような魔物。

 数が集まれば大きな戦力になるし、俊敏な動きも相まって並大抵の冒険者では討伐が難しい。
 
 しかも森での戦いで一番厄介な種類である。
 
 そんなことを考えているとリズが口を開く。
 
 「それじゃあまずは魔物の原因を探りに行くしかないね」
 
 「了解~」
 
 「おう!」
 
 3人とも了承しているようだが私は全く乗り気ではない。

 本当に虫は嫌いなのだ。

 でも伯爵の依頼だから仕方ないか……。
 
 そんなことを考えていると男が1つ提案をしてくる。

 「そういえば村の皆さんに会って貰えませんか……?」
 
 3人は笑顔で同時に口を開いた。
 
 「もちろんです!」
 
 3人が行きたいのなら私も行きたいけどやっぱり虫多いんだろうな……。
 
 そんな事を考えながら私達は村の人々に会いにいく。
 
 村の中心部に近づいていくと皆家に籠もり警戒しているのが遠くからでも分かるほどだった。
 
 「みんなー! 冒険者が依頼を受けて村まで来てくれたよー!」
 
 男が声を発すると村人達がゾロゾロと家の中から出てきて近づいてくる。
 
 「おぉ……よく来てくださいました」
 
 「こんなに早く来てくれるとは......」
 
 そんな声が聞こえてきた。

 すると一人の女の子が駆け足で私の所に来る。
 
 「本当に魔物を倒してくれるの!?」
 
 「うん、約束するよ」
 
 私はその女の子の頭を撫でてあげると先ほどの暗い顔から笑顔になる。
 
 それから私とエリック、リズにレズリタの4人が周囲の人たちの感謝の言葉を浴びるなか村長の元へ案内される。
 
 「遠いところ来ていただいたのに気づかず……本当にすみません、ささっ上がってくだされ」

 そう言うと家へと促されたため私達はその家にお邪魔し奥へと進んでいく。
 
 「どうぞこちらにお座りください」
 
 誘導されるがままに椅子に腰かけると村長が口を開く。
 
 「魔物たちが毎日押し寄せて来て私たちも生きた心地がしなかったです」
 
 そりゃそうだ、森はモンスターが多くいる恐ろしい場所でもある。
 
 「今日私たちが魔物が出る原因を確かめてきます。必ず討伐いたしますのでどうかご安心ください」
 
 私がそう言うと村長は目から涙を流す。
 
 「そう言って頂けるだけでありがたいです......もう本当に怖くて、ダメかと……」
 
 よほどの恐怖が襲ってきていたのであろう。
 
 しかし、なぜ何もしてないのに急に魔物が来るようになったのか……これが不思議でしょうがない。
 
 そんな考えに耽っていると村長が声をかけてくる。
 
 「今日はお疲れでしょうから一旦村でゆっくり休んでいってください。」
 
 村長からそう言われ、私たちは村の宿で過ごした。
 
 そして数時間が立ち、日が沈んでいく。
 
 そろそろ行くか……。私は重たい体を起こし家から出た。
 
 すると、宿の外では村人が待ち構えてこちらに話しかけてくる。
 
 「夜になってきました……お気をつけていってください……」
 
 私はそんな声を聞きながら笑顔で伝える。
 
 「ありがとうございます、必ず魔物を倒してきます」
 
 そんな返事を受け他の3人が続いて口を開いた。
 
 「必ず討伐します!」
 
 すると先ほどまで暗い表情をした村人たちは一斉に笑顔になってくれる。
 
 そうして私たちは魔物達が出現するとされる森へと出発したのだった。
「すごい暗くて怖いよ~」
 
 レズリタがそう言いながら先頭を歩くリズに飛びつく。
 
 確かにこんなに暗いと虫とかたくさんいるだろうな……。

 などと考えながらも前へと進み続けていく。
 
 やがて少し拓けた場所へ出て一息ついていると辺りからは魔物の鳴き声や足音などが聞こえてくるようになった。
 
 「くるよ、みんな気をつけて」
 
 リズがそう言うと前方からウルフが集団で襲いかかってくる。
 
 「フレイム!」
 
 レズリタは自分に飛びかかった魔物を炎で焼き払う。
 
 リズも同様に自身にとびかかってきたウルフを一閃する。
 
 そしてエリックが大剣を振るうと魔物が切り裂かれていくのが見えた。
 
 私も《ポイズン》で援護して、全ての魔物が倒された所で一息つく。
 
 「まだまだ先に魔物がいるのかな?」
 
 リズがそう言うとレズリタも続く。
 
 「森の奥へ行くしか方法はないみたいだね~」
 
 そして私たちは森の奥に進んでいく。
 
 少し歩くとなにやら妙な足跡を見つける。
 
 「ここなんか足跡がたくさんない?」
 
 私がそう言い、エリックも口を開いた。
 
 「そうだな、こりゃ奥にはウルフとかがたくさんいやがるんだろ」
 
 警戒しながら先へ進んでいくと少し開けた所にでた。
 
 するとそこにはウルフが集団で固まっていのだ。
 
 「うわぁ……すごい数だよこれ……」
 
 レズリタは怯えた様子でウルフを見ている。
 
 するとエリックが私に話しかけてくる。
 
 「おい、ウルフの奥になんか見えねぇか?」
 
 そう言われて奥を見ると人影が見える。
 
 「誰かいるね……」
 
 すると人影が私たちの方へ近づいてくる。
 
 「まさか気づかれた!? みんな気をつけて!」
 
 リズがそう言うと私たちは戦闘態勢を取る。
 
 「なんだい君たち? コソコソと隠れて」

 思ったより若々しい声が聞こえる。

 するとウルフが私たちの存在に気づき襲いかかってくる。
 
 「おいおい! 魔物が俺らを見て一直線に突っ込んできやがる!」
 
 エリックはそう言うと私たちは武器を構えて一歩前に踏み出す。
 
 「ギガントブレイク!」
 
 エリックが叫びとともに大剣を横に薙ぐと魔物たちが跳ね飛ばされていく。
 
 すると銀髪の青年が前に出る。
 
 見た目は凡庸な見た目の青年で細身の体つきである。
 
 「君らさあ何がしたいの? いきなり野生のウルフを斬りかかりにくるとか、君らの価値観はどうなってるの?」
 
 そんな事を聞きながらエリックは青年を睨みつけながら口を開く。
 
 「お前はこのウルフのリーダーか? 答えてもらうぞ?」
 
 エリックが問うと青年は溜息をついた後口を開く。
 
 「僕かい? 僕はこのウルフたちの群れを率いてるのさ。 ただまあ、いわゆる指揮官っていう立ち位置ではあるかな?」
 それに対しエリックは私に目を向けた。

 私は首を縦にふる。

 そしてエリックは言った。
 
 「俺らはその魔物の異常な出現の原因を探りに来たんだ」
 
 すると銀髪の青年が不機嫌そうに返答する。
 
 「だからって僕のウルフを切ることはないだろう? 君たちってさあ……自分の立場弁えてる?」

 それを言うと青年の後ろにはウルフの集団が姿を現しこちらを見据えた。
 
 「仕方ないでしょ! そのウルフたちが村を困らせてるんだから!」
 
 リズは戦闘態勢を取ったまま銀髪の青年に問いかける。
 
 「君たちってさあ失礼だよね?  僕だって傷つくんだよ?」
 
 エリックはため息を吐き口を開く。
 
 「お前は何者なんだ」
 
 エリックが質問を投げかけると青年は目を大きく見開いた後に嬉しそうに答えた。
 
 「僕は龍神教の白龍を崇めし権利者、ヨルフ・シルキーだ」

 私たちの背筋が凍るのを感じる。

 白龍、その伝説に出てきた名前が出るとは何事だ。

 白龍は神聖な存在としているのに何をほざいているんだ?

 そう思っているとリズの体が震えていることに気づく。
 
 「リズ、どうしたの?」
 
 私が聞くと震えた声で言う。
 
 「なんで……ここに龍神教がいるの……」
 
 龍神教という言葉に私は馴染みがない。
 
 するとレズリタが小声で教えてくれる。
 
 「龍神教は龍を信仰し、各地で犯罪行為を起こしてる奴らさ……各国から危険視されている集団だよ」
 
 龍神教......聞けば聞くほど恐しい奴らだ。

 するとエリックがにヨルフ向けて大声をあげる。
 
 「お前らの目的はなんだ!」
 
 すると青年は不機嫌になり首を捻る。
 
 「君たちさぁ? さっきから僕に対しての礼儀が足りていないんじゃないの? まあ僕は寛大な心を持ってるから? 教えてあげてもいいけど」
 
 傲慢な口調にいらつきつつ私はヨルフを睨みつける。
 
 「僕の目的は平和な世界を作る事だよ。白龍はそれを望んでいるからね、君らも僕の素晴らしさに感謝するべきじゃないかな?」
 
 そう言った後ヨルフの顔からは狂気的な笑いが止まらない。
 
 その言葉を聞いたエリックは飛び出し大剣をヨルフに振り下ろす。
 
 しかしヨルフは剣を避けた。

 いや避けたんじゃない、当たっていなかったのだ。
 
 「どういうことだ!?」
 
 エリックが驚愕しながら後ずさる。
 
 「君ら弱すぎないかい?  よく冒険者なんてやっているなあ?」
 
 私は何がどうなっているのかわからなかった。
 
 するとリズが剣を握りしめ前に踏み出す。
 
 「許せないよ……」
 
 そしてリズは瞬間移動するかのようにヨルフに突進し突きを放つ。

 しかしそれでも当たらない。
 「だから何度言ったら分かるんだ? それとも理解が出来ないのかい?」
 
 エリックも大剣を振り下ろそうとするが剣は空を切ってしまう。
 
 リズは何度繰り返してもヨルフに剣を突き刺せていない。
 
 「この!  なんで!? なんで当たらないの!?」
 
 まるで瞬間移動でもしているかのようだ。
 
 だけどこのままじゃ2人の体力がいつまで持つかわからない。

 「レズリタ、私と魔法を合わせて」
 
 私が指示を出すとレズリタは呪文を唱え、私は手を挙げスキルを発動する。
 
 《ブリザード》
 
 「ボルト!」
 
 2つの魔法は重なり混ざり合い、電撃と共に氷の塊がヨルフに向かって突き進む。
 
 しかし、その攻撃をヨルフはいともたやすくかわす。
 
 「次は僕の番でいいかな?  時間は有限だしさ?」
 
 そう言うとヨルフはエリックとリズの後ろへと回った。
 
 それに気づいていない2人はヨルフが突然消えたことに困惑する。
 
 「なっ……!!」
 
 「えっ……!」
 
 その瞬間、2人がヨルフの攻撃で吹き飛ばされる。
 
 ヨルフは今攻撃をしたのだ……。

 多分瞬間的にしているのだろう。
 
 そうじゃなきゃおかしい。
 
 「どうやって後ろに回ったんだ……?」
 
 エリックとリズが腹部を抑えながら立ち上がる。
 
 するとヨルフが笑顔で答えた。
 
 「普通に走って後ろに回っただけさ」
 
 ありえない速度で移動した後エリックとリズの背後をとったと言う事なのだろうか……。
 
 おそらくこいつの能力は素早さに関連する能力なのだろう。
 
 でもあんなに速い攻撃見たことがない。
 
 「君らそんなに弱くてどうやって冒険者やってるの?  それとも冒険者というのは名前だけなのかな?」
 
 そう言いながらヨルフは私とレズリタに向けて問いかけてきた。
 
 レズリタはその言葉を聞き、イラついた表情でヨルフを睨みつけ魔法を詠唱する。

 「ウィンドスライス」
 
 大量の風の刃がヨルフの前方を通り過ぎる。

 するとヨルフは横に飛んで避けた。
 
 「くそ、これなら! イフリートフレア!」
 
 しかしまたもや攻撃は届かなかった。

 そしてレズリタのもとに瞬間移動で近づいていく。
 
 「はいはい、君の魔法はこれで終わりさ」
 
 レズリタの目の前に高速で移動し蹴りを入れる。
 
 レズリタはそのまま数メートル後方に飛ばされてしまった。
 
 「じゃあ最後は君だけかな?  それはそうと何で君だけ魔法をあまり詠唱しないんだい?  もしかして僕が怖いとか言わないよね?」
 
 そう言いながらヨルフが私に歩み寄り顔を近づける。
 
 私は口角を僅かにあげて微笑み言った。
 
 「お前の能力と動きを分析してたからだよ」
 
 そう言うと私は地面に向けて《ブリザード》を放つ。
 
 ヨルフは瞬時に横に飛び、魔法をよけ、こちらに顔を向ける。
 
 「なにがしたいんだい? 時間稼ぎかな?」
 
 「さあね」
 
 私は両手を広げてスキルを発動する。
 
 《ポイズン!》
 
 両手を空に向けて毒の液体を飛ばす。
 
 液体は地面に落ちていき広がっていく。
 
 「これで少しは動きづらくなったんじゃないかな?」
 
 余裕そうに私が言うとヨルフは不愉快そうな表情をする。
 
 「毒か……なんでこんな能力を持ってるんだい?」
 
 「どうでもいいでしょ、ここであなたは死ぬんだから」
 
 「君は本当に礼儀がなってないね? こっちは質問をしているんだから答えるのが道理ってやつじゃないのかい?」
 
 「あなた質問に答える義理はないけど」
 
 私が言いきるとヨルフが眉間にしわを寄せ怒りの表情を見せる。
 
 「もういい、君は徹底的に痛めつけてから殺すことにするよ」
 
 ヨルフが手を空に向けると竜巻のような巨大な風が渦巻く。

 風を纏った手を握りしめると、今までとは比べものにならない威力の風が私に向けて解き放たれる。
 
 私は近づいてくる竜巻に手を挙げスキルを発動する。
 
 《ブリザードッッ》!
 
 辺り一面に放たれた冷気と竜巻がぶつかる。

 だが竜巻の勢いはおさまるどころか更に激しさを増す。
 
 「どうした?  さっきまでの余裕の表情はどうしたんだい?」
 
 私は内心焦っていた。このままだと確実に死ぬ……。

 そう分かってしまうほどの威力だった。
 
 するとエリックとリズ、そしてレズリタが戦闘に参加する体制に入る。
 
 なんとか打開策を考えなければ……。

 しかし今のスキルではダメ、物理攻撃も効かないこの状況では魔法しかないのだがその魔法だって通じるか分からない。
 
 そう思っていると私の前にスキル一覧が現れる。
 
 ――――――――――――――――――――――
 あなたが使用できるスキル一覧
 ・《コピー》
 ・《ポイズン》
 ・《ブリザード》
 ・《影の龍力》
 ――――――――――――――――――――――
 
 ああ、見覚えがあるスキルが出てくる。

 この3つは私がこの世界で最も使い込んだスキルだ。

 ただし、4つめのスキル《影の龍力》は一度も使っていない。

 なぜならあの少女からコピーしたスキルだからである。
 
 もしこのスキルを使えば精神が崩壊するかもしれないと思ったからだ。

 現にあの少女は精神が壊れてしまっていた。
 
 だけど、この場面でスキル一覧が出るということは何かしら意味がある。
 
 覚悟を決めた瞬間、私は前へ向けて右手を伸ばす。
 
 私は静かに目を閉じて叫ぶ。
 
 《ダークネス》
 
 すると影が地面を這うように広がっていき、衝撃波を完全に受け止め打ち消した。
 そのスキルを使用した瞬間私の精神がすり減っていくのが分かった。
 
 まるで得体の知れないものが入ってくるかのような感覚になる。
 
 しかしこれしか方法がなかった。
 
 このスキルを見たエリック達が驚愕しているのがわかる。
 
 そしてヨルフも一瞬硬直しているのが確認できたがすぐにニヤリと笑いながら近づいてくる。
 
 「なんだ......ここにいたのかい? ローザ」
 
 ヨルフはニヤリとした表情で私に近寄ってくる。
 
 「君に影の龍力を渡したのは間違いだったよ。 龍力に適応ができず、精神が崩壊した雑魚だからねえ? まあ僕は寛大だから今ここで楽に殺してあげるとするよ」
 
 そう話しながらどんどん近づいてくる。
 
 エリックとリズはヨルフの言葉の意味が分からなかったのか怪訝そうな顔をしている。
 
 しかし、私は理解ができている。
 
 王都周辺を襲った少女の名前はローザだ、そしてそのローザが影の龍力を手に入れたと聞いている。
 
 だとすれば恐らくこいつが元凶なのだろう。
 
 「お前はここから逃がさないぞ」
 
 私はヨルフを見つめて呟く。
 
 「あ?  まだ抵抗する気かい?  いい加減飽きてきたところだけどさ、鬱陶しいんだよね君」
 
 私は腕を前に出して唱える。
 
 《ダークネス》
 
 するとヨルフに目掛けて影が動き出しヨルフの体へとどんどん纏わりついて行く。
 
 「鬱陶しいのはこっちのセリフだよ、お前はもうじき影の中へ飲み込まれる」
 
 次第にヨルフの姿が影に覆われる。
 
 その状態に抵抗するようにヨルフは叫び始めた。
「こんな影で僕を封じ込めると思っているのかい? 勘違いはやめてほしいなぁ」
 
 するとレズリタが立ち上がり、ヨルフに向けて魔法を詠唱する。
 
 《フレイム》
 
 ヨルフの真下に大きな魔法陣が現れるとその中から巨大な火柱が空高く噴き上げる。
 
 ヨルフはその火柱をまともに食らうが笑いだす。
 
 「痛くも痒くもないなあ!」
 
 ヨルフを覆う影が引きちぎれていく。
 
 そしてヨルフが距離を詰めようとした瞬間、エリックとリズが飛び出してくる。
 
 「さっきのお返しよ!」
 
 2人の攻撃がヨルフに届く事はなかった。2人の剣が空を切り、地面に突き刺さる。
 
 「すまねえラゼル、助太刀は無理そうだ。剣も当たらなかった」
 
 「ごめん、 あたしたちじゃあ無理そう……」
 
 2人は息を上げながら私の方を見る。
 
 無理もない、2人の剣捌きよりもヨルフの動きの方が数段速いのだから。
 
 だったら私があいつの動きを封じるだけだ。
 
 「私がなんとか動きを止めるから、止めた後は任せるよ」
 
 エリックとリズは静かに頷く。
 
 恐らくそれが最善の策だろう。
 
 「そこで何をしてるんだい?  無駄な足掻きはやめて早く死になよ」
 
 ヨルフは私たち3人に目を向け問いかけるが当然私たちは答えること無く行動に移す。
 
 私は今ある魔力を全部使いスキルを発動する。
 
 《ダークネス》
 
 影が集まり始めヨルフの足を地面ごと捉え引き込もうとする。
 
 「無駄な足掻きかい? そんなんで僕を倒せるわけないよねえ」
 
 ヨルフは余裕をかましているが先ほど出した《ダークネス》とは訳が違い今は全魔力使っている。
 
 私は今発動できる魔力を全てつぎ込んで影の封印を強化しようとしている。
 
 すると影は私の思いをくみ取ってくれるかのようにどんどんヨルフの体を覆い、やがてすべて飲み込み始める。
 
 「は?」
 
 ヨルフは先ほどの余裕とは一転して困惑した表情を見せる。
 
 「リズ! エリック! 今だよ!」