「叶人、さっきは急に手を繋いでごめん。正直、俺と手を繋ぐのは嫌だった? 嫌だったら……叶人が嫌がることはしたくないから、もうしない」

 陽向くんはしおれて、しゅんとした様子。

 陽向くんに本当の気持ちを言うのは、今しかないかも――。僕は人に気持ちを丁寧に伝えるのは苦手だ。だけど、いつもだったら心の中で呟きそうな言葉も、全部頑張って伝えたい。

「陽向くん、ちょっと待ってて。今、頭の中で陽向くんにお手紙書くから」
「あ、頭の中に? う、うん。分かった」
「でもお腹すいているから、ゆっくり食べながら書くね!」

 美味しいお昼ご飯を味わいながら頭の中で、陽向くん宛に手紙を書き始めた。学校の勉強をしている時とかはあんまり僕の頭の中は回転しない。けれど、好きなことや大切なことを考えている時は頭の中がいっぱい回転して、言葉やアイディアがたくさん浮かんで……自分はもしかして頭がいいのかも?って思う時もある。

 今もすごく陽向くんへの言葉が浮かんできて溢れている。

――伝えるんだ、恋の意識をしてから伝えるのが苦手になった気がする、一番陽向くんに伝えたい気持ちも。