私と涼太は、その日から毎日のように会うように
なった。少しの時間でも。

今日は、2人で乗り込むことにした。
そう私たちの母校に。

夜中の9時30分。もう生徒はもちろん一人もいなく、
真っ暗だ。職員室には、何人か先生がいるようだから、
私たちは、裏門から侵入することにした。

「静かにな。」「わかってるって。」

2人で静かに侵入し、あまり使われてない階段を1段、
1段、慎重に登る。

「はぁ、こんなに遠かったっけ。」
「確かにな、」

高校生時代を思い出す。私たちが再開したこの場所を。

「やっと着いたーーー」「ふー。ここなら安全だな。」

私たちが着いたのは。あの日、出会った屋上だ。

「あの時さ、。」

「うん?」

「風鈴が助けてくれなきゃ、俺いつか死んでたかもしれないわ。まぁ今死んでんだけど。」

その日の出来事が、最近のように思い出される。
そうだ。あの日。涼太は。自殺を試みていた。
私は、衝撃的すぎて一瞬、体が固まったのを今でも
覚えている。

「でもね、。」

「うん?」

「私も、涼太に生きろって言われなきゃ今、
生きてないんだよ。」

私は、多分あのまま死んでいた。
涼太に出会わなければ。自分の死は当然。
しょうがない。抗っても無駄。
そう思い込んでいたのだ。
でも、あの日から、涼太と過ごす度に行きたいと思うようになってしまった。いや、そう思わせてくれたのだ。

「どっちも命の恩人とか笑笑 俺たちやっぱ
唯一無二だな。」

「確かに笑笑」

私たちだけの空間。まるで、異国の地に来た気分だ。

満点の星空が私たちを囲む。そんな夜だった。

「あー綺麗だったな星。」「まぁ田舎だし見やすいな笑」

「おい!誰かいるのか。」

「!?」急な怒鳴り声に、心臓が早くなる。

「風鈴、こっち。」

涼太が私の手を握り、走る。私たちは、とりあえず
音楽室のピアノの裏に隠れることにした。

「うーん、誰もいないか。気のせいだな。」

「、、、」

「はぁ、良かった。」
「だな。でもとりあえずここ危ないからまた
外まで走るぞ!」

涼太がまた、私の手を握る。
胸の鼓動がどんどん早くなる。

「あーここまで来たら大丈夫だな。」

「う、うん。」

「おい、風鈴。熱ないか?顔真っ赤だぞ」

涼太これ。熱じゃないよ。
胸が、高鳴っているのは走ったから?
顔が真っ赤なのは、暑いから?
いやこれは違う。君への鼓動だね、きっと。