私は、高校近くの公園のベンチで
待ち合わせをしていた。
「お待たせしました。」
振り向くとそこには、涼平の彼女かと思っていた、
りかさんがいた。
「いえいえ。」そう慌てて返す。
何故か分からないが、これからいい事じゃないことが
起こりそうな予感がする。
昨日の夜。スマホを見ているとある一通のLINEが
来たのだ。
「すみません。涼平の知り合いのりかです。
風鈴さんで間違いないでしょうか?」
りかさん、、?あっあの。
私はすぐさまLINEを返した。
「はいそうです。お久しぶりです。」
「お久しぶりです。すみません、突然ですが話したいことがあるのでお時間貰えないでしょうか?」
そういう流れで今日ここに来たのだが何故か
変な空気が走る。
「あの、最近、涼平と会ってるんですか?」
「まぁはい。」彼女じゃないのならば、私は遠慮を使う
必要がないと思ったため、そう直ぐに返した。
「はぁ。そうですか、、」
私は、なんと声をかけたら良いか分からず
黙ってしまう。
「私、涼平が大事な人を忘れるために、思い出上書きを提案したんです。」
えっ、、あまりの同じさに鳥肌が立つ。
「そんなことをしてるうちに、私本気で好きになっちゃって。涼平のこと。でも、彼は私の事好きじゃなかったみたいで、。すぐ振られたんですけど。」
「はい。そうでしたか、、」
「でも、風鈴さんには違うと思うんです。笑 なんか眼差しとか。会った時から、感じて。涼平を楽にさせてあげてください。」
彼女の瞳からしずくが落ちる。ポロポロと。
私には、こんなに好きな人のライバルにこんなこと
言えない。きっと、彼女はいい子だろうけど、心の中で戦って、涼平の幸せを願った。私は、彼女じゃなければとまで思ってしまったのに。
「ありがとう。」私は、一言そう返した。
変えせる言葉がない。こんないい子に好かれた涼平が
羨ましいぐらいだ。
1人で公園から、帰る。君は、今何をしているんだろう。もう私の頭の中は、君でいっぱい。
時刻はもう4時半になり、オレンジ色に
光り輝いていた。
夕焼けの空には、カラスが数羽群れを作っていた。
少し涼しい秋の季節がやってきた。
今日は、涼平とピクニックをすることになっている。
家を出て、公園前に行くと、彼が立っているのが
見えた。
「涼平!やっほー!」「おう!風鈴!」
私たちは、公園の芝生にレジャーシートを引いた。
「見てージャーン風鈴特製おべんとう!」
「うわっうまそう。ありがとな。」
「全然!余裕だよ。」
それは建前で、本当は3時間ぐらいかけて作ったのだ。
でもこれは、私の心の中に沈めておこう。
「うわっうま、からあげ」
「えっほんと!嬉しい!」
作ったかいがある。好きな人に褒めてもらうのがこの世で何よりも嬉しい。
お弁当を食べ終わり、2人で空を眺めて寝転がった。
雲のスピードが早く、どんどん景色が変わっていく。
何も喋らずに、ただ空だけを。そんな時間でも、
彼がいるだけで幸せだ。
横を見ると、涼平が何故か悲しげな顔をしている。
この顔の奥には、何があるんだろう。
私は拳を握りしめて聞いてみることにした。
「何かあった?」
彼は、こちらを向き、慌てて「えっなんでもないよ」
と返す。
なんでもないわけない。そうきっと。
「ねーバトミントンしようぜ」「うん、!」
彼は、誤魔化すように作り笑いをうかべる。
「せーの」 羽が空をまう。私のところに帰ってきてまた彼の元に帰る。こんな風に私の気持ちも簡単に届けられたらな。
バトミントンを終え、彼と帰ることにした。
夕方の涼しい風。道路には影がふたつ並ぶ。
彼がなにか言いたそうな顔をしてこちらを見る。
私は不思議に思い、彼に再びあの言葉を放つ。
「どうかした?」
少し沈黙が走る。虫の音と風の音。
秋の音色が取り巻く。
「やっぱり、風鈴には聞いて欲しい。」
そう彼は言った。
再び公園のベンチに戻り、コーヒーを片手に話を聞く。
「あのさ。俺の事わかる?」
「うん、?分かるよ涼平でしょ。」
「違うそういう意味じゃなくて、、」
そういう意味じゃない、。ならば、どういう意味、
1つ頭に浮かぶが、期待していいのか。
私は、恐る恐る聞いてみることにした。
「涼太、?」
彼は苦笑いをうかべ、こちらを見る。
「うん、。そうだよ。」
衝撃の嬉しさと、感動で自然と目から涙がこぼれ落ちる。ずっと会いたかった君に、会えたことが。
「えっ嘘でしょ、なんで言ってくれなかったの!!」
「ごめん、まずは俺がなんでここにいるか聞いて欲しい。」
「うん。」何か嫌な予感がした。聞きたくない。
そんな気持ちだ。
「まず、俺は事故でなくなった。」
「うん。」亡くなったが今彼はここにいる。それはなぜ、
「何故か俺も分からないが、未来に行けることになったんだ。半年間。」
半年間。えっ、。嘘でしょ。信じたくないよ。
頭の中が、ごちゃごちゃと混乱する。
「半年間だけ、?」
「うん、。」彼はこちらを向いて小さくつぶやく。
「その後、涼太はどうなっちゃうの?」
「消えちゃうんだ。」
やだよ。なんでよ。再会できたのにこうして。
私は、ここで勇気をふりしぼりはことにした。
「好きなの。涼太のことが。ずっーーと昔から。」
彼は涙目でこちらを向く。
「俺は、その気持ちには答えられない。」
私の心がガクガクと崩れていく。
「涼太は、私の事好きじゃないの?、」
「好きだよ、。」すぐにそう帰ってきた。
「じゃあなんで、?」
「俺は、もう未来がない。風鈴にはある。
縛り付けたくないんだ。」
涼太なりの優しさだろうが私はその言葉に怒りが
湧いてきた。
「それは、、本気で好きじゃないんだよ。私だったら。他の人と恋してなんて言えない。私だったら、他の人に渡したくないもん。」
自分でも、どこに怒りをぶつけているのか分からない。
でも自分が、酷いことを言ってしまったのはわかった。
「もう帰るね、。ごめん。」もう涼太の顔は見れない。
「おい!風鈴。」
私は、その大好きな声に振り返らず、家に帰った。
涼太の話を聞いてから、私はずっと家に引こもるようになった。涼太がいなくなることが怖くて。これ以上、
好きになってしまうのが怖くて。失うのが怖くて、。
でも、1日、1日は、2倍速のような速さで進んでいく。半年間を無駄にしてるような。そんな怖さもある。
「ちょっとー風鈴。涼太くんが来てるわよ。」
朝から大きな母の声が響き渡る。涼太には、もう合わせる顔がない。
「入れないで。無理だから。」
そういうと、沈黙が続き、良かったという安堵に
包まれたかと思いきや、
「おじゃましまーす。」
「!?」
なぜか彼が家に入ってきたのだ。びっくりしすぎで、
現実か疑う。
「あーごめんね。もうせっかく来てくれたのに。風鈴
寝起きで。これ良かったら飲んで!」
「ありがとうございます。いただきます。」
目の前で、私を置き去りに話が進む。
そうだ昔から、母と涼太は仲がいいのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そうあの日が頭の中で思い出される。
「今日は、学校行きたくない、。」
「なんでどうしたのよ。風鈴。」
「りょうくんと喧嘩した。」
「もう、そんなことで。」
やったー行かないで良くなったと思った矢先、
「おじゃまします。」
えっ、どうゆうこと。
「あーりょうくん。いらっしゃい。ほらジュースと
お菓子よかったら。」
「ありがとうございます。」
「ねーそれより!なんでここにりょうくんがいんの!!」
「えっだって俺たち、親友だろ!」
喧嘩しても、その言葉を聞いたら仲直り出来ていた。
だって、私はその頃から、今とは違う意味の好きという感情は持っていたから。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「おーい!風鈴。お菓子、全部食べるぞ」
「ダメだよ!てかなんでここにいんの。」
「だって俺たち唯一無二の存在だろ。お前がさ、引きこもってるっておばさんから電話来たんだよ。」
もう!お母さん言わないでよ。心の中でそう叫ぶ。
でもさっきの涼太の言葉が心に残る。
唯一無二。確かに私たちはそうかもしれない。
付き合えなくたって、私たちは何も変わらない。
「涼太。ありがとう。」
「なんだよ。急に。」
こちらを向いて笑った顔。この顔も、何万回と見てきたが今でも大好き。そう叫びたい。
「ねーこれ俺たちのアルバム?」
「そうだよ!見てみてよ!」
正直、涼太の記憶がどこまであるのか。
それは分からない。これで確かめて欲しい。
そう思ったのだ。
「あー懐かしいなショッピングモール。ここで俺の服
選んでくれたよな。あとさこの花火とか。
海にも行ったしな。」
全部全部覚えている。涼太はあの頃のまま生きている。
「ねー、記憶全部あるんだね」
「確かにそうだな。あるな。」
「、、、」大粒の1滴がどんどん落ちてくる。
「おい、泣くなよ。泣き虫風鈴。」
嬉しくて嬉しくて、。私だけじゃなくて涼太も覚えてくれている。ただそれだけが。
「もう泣き虫じゃないもん」
その言葉を、泣きながら吐き捨てた。
私と涼太は、その日から毎日のように会うように
なった。少しの時間でも。
今日は、2人で乗り込むことにした。
そう私たちの母校に。
夜中の9時30分。もう生徒はもちろん一人もいなく、
真っ暗だ。職員室には、何人か先生がいるようだから、
私たちは、裏門から侵入することにした。
「静かにな。」「わかってるって。」
2人で静かに侵入し、あまり使われてない階段を1段、
1段、慎重に登る。
「はぁ、こんなに遠かったっけ。」
「確かにな、」
高校生時代を思い出す。私たちが再開したこの場所を。
「やっと着いたーーー」「ふー。ここなら安全だな。」
私たちが着いたのは。あの日、出会った屋上だ。
「あの時さ、。」
「うん?」
「風鈴が助けてくれなきゃ、俺いつか死んでたかもしれないわ。まぁ今死んでんだけど。」
その日の出来事が、最近のように思い出される。
そうだ。あの日。涼太は。自殺を試みていた。
私は、衝撃的すぎて一瞬、体が固まったのを今でも
覚えている。
「でもね、。」
「うん?」
「私も、涼太に生きろって言われなきゃ今、
生きてないんだよ。」
私は、多分あのまま死んでいた。
涼太に出会わなければ。自分の死は当然。
しょうがない。抗っても無駄。
そう思い込んでいたのだ。
でも、あの日から、涼太と過ごす度に行きたいと思うようになってしまった。いや、そう思わせてくれたのだ。
「どっちも命の恩人とか笑笑 俺たちやっぱ
唯一無二だな。」
「確かに笑笑」
私たちだけの空間。まるで、異国の地に来た気分だ。
満点の星空が私たちを囲む。そんな夜だった。
「あー綺麗だったな星。」「まぁ田舎だし見やすいな笑」
「おい!誰かいるのか。」
「!?」急な怒鳴り声に、心臓が早くなる。
「風鈴、こっち。」
涼太が私の手を握り、走る。私たちは、とりあえず
音楽室のピアノの裏に隠れることにした。
「うーん、誰もいないか。気のせいだな。」
「、、、」
「はぁ、良かった。」
「だな。でもとりあえずここ危ないからまた
外まで走るぞ!」
涼太がまた、私の手を握る。
胸の鼓動がどんどん早くなる。
「あーここまで来たら大丈夫だな。」
「う、うん。」
「おい、風鈴。熱ないか?顔真っ赤だぞ」
涼太これ。熱じゃないよ。
胸が、高鳴っているのは走ったから?
顔が真っ赤なのは、暑いから?
いやこれは違う。君への鼓動だね、きっと。
そんな楽しい日はどんどん過ぎ去っていき、
いよいよ半年が終わる。
私は、涼太が消える姿を見るのは嫌だと、伝えたが、
涼太は、私と一緒に最後までいたいと言ってくれた。
だから今日。
最後の日を、一緒に過ごすことにしたのだ。
「じゃあ花火しようか。」「うん。」
シャワー パチパチパチパチ
花火の音色が響き渡る。私の大好きなこの音が。
「ねー、花火ってやっぱり私みたい?」
「なんだよ急に、自意識過剰になってしまったのか」
「そんなんじゃないしー、」
私は拗ねて、そっぽを向く。
「うん。やっぱ花火という名前が似合うぐらいには、
花火っぽいと思うよ。」
「えっ、ほんと?」
「うん。」
花火みたいか。私は、自分でもそう思う。
でも私一人では存在できない花火みたいな私。
涼太がいて、私は花火らしくなれる。
まるで花火に光を与える、炎のように、。
「ねー、来世はやっぱり涼平?」
「うわー、俺もう使ってしまったな笑
まあでもそれが覚えやすいよな、。」
「私はやっぱり、花火にしようかな。」
「見つけやすいな笑笑」
目印になるように。君に見つけて貰えるように。
そんな意味を込めた名前。とても気に入っている。
「ねー、私と過ごせて後悔ない?」
「うん。ないよ。」
「私と会えてよかった。」
「よかったよ。」
時刻がどんどん過ぎていく。
夜の11時55分。
彼と一緒に居れるのもあと5分。
「ねぇ、私に希望をくれてありがとう。」
「俺こそだよ。」
気のせいか、涼太の体が薄くなっていってることが
分かる。私は、目に力を入れて涙をこらえる。
でもそんなことは、私にはできない。
涙が自然とこぼれ落ちる。
すると、涼太が薄くなった体で私を抱きしめた。
いつもの温もりは、感じれない。
しだいに手の感触もなくなっていく。
「ねぇ、大好きだよ。世界で1番、、誰よりも、」
「知ってる。そして俺も、大好き、」
涼太の顔が完全に消えていく。涙で目がいっぱいでも
その様子は、目にはっきりと伝わる。
「涼太。ありがとう。」
1人で呟いても、返事はかえってこない。
そんな、前の日常が戻ってきただけなのに。
今では、涼太がいたことが当たり前になっていた
日々がある。余計辛い。泣いても、名前を呼んでも、
帰ってくることはもう二度とない。
そんな現実に向き合いたくない。
私は1人で泣きながら、家に帰った。
あの後、沢山泣いて疲れたのか、ベットにそのまま
寝落ちしていた。
夜帰ってきた時に、母にどこに行ってたの?と
聞かれたため、涼太のとこと言ったら涼太くん
事故で亡くなったのに?と返されてしまった。
どうやら、あの半年間の出来事は、私にしか
残ってないらしい。
いやいやながら、ベットから出ると、
机の上に白いものが見えた。
なんだろうと不思議に思い、手に取ると、どこかで何回も見たことのある字で 風鈴へ と書かれていた。
まさかと思い、中を開くとやっぱりだ。
そう。涼太、涼平からの手紙だったのである。
「風鈴へ
まずは、この半年間、
いやそれ以上の日々をありがとう。
風鈴と過ごす日々が、どんなことをしている時よりも
楽しく、特別だったのは、変わりません。
まずはこのような形でまた来てしまってごめんなさい。
俺は、正直、見に行けることがわかった時、風鈴を一目見れたらと思っていました。
見に行くと、風鈴の隣には、他の男がいて、少し安心した自分もいたし、モヤモヤしている自分もいました。
だから、俺はこの思いを忘れようと、りかに誘われて
色々色んな場所に行ったけど、1ミリも上書きできませんでした。やっぱり、風鈴しかいない。
そんなことを思っていた時。風鈴と出会い、色々な形でこんなふうにまた時を重ねられて、俺は幸せ者です。
また、風鈴に告白出来なくてごめんなさい。
素直に好きって言えなくてごめんなさい。
後、他の人と幸せになって欲しいなんてただのカッコ
つけです。ほんとうにごめんなさい。
ほんとうに、大好きなんだ。風鈴が。昔から。
誰よりも。なのに、今回も付き合えないなんて、。
神様は意地悪だな、。でも、俺と約束してください。
来世こそは、必ず、告白させて。
絶対に見つけて告白しに行くから。
だから、やっぱり名前変えるなよ。
俺も涼太でいくから。もう呼びやすいし。風鈴の方が。
あとさ、この名前の方がお前に似合うと思うよ。
だって風のようにすずだけ鳴らして去ってくんだもん笑
まぁとにかく。これは約束な。
他の男、横に置いとくなよ。
約束破ったら針千本飲ますからな。
これからもずっと大好き。ありがとう。風鈴。
涼太、涼平」
私は、泣きながら笑っていた。何だこの手紙笑笑。
涼太らしい。でも約束。私、絶対守るよ。約束だよ。
階段を駆け上がり、上まで登る。鳥居をくぐりぬけ、
お参りをすることにした。
五円玉を投げ入れ、お参りする。
「涼太とずっと一緒にいられますように。」
「おいー風鈴、口から願い事飛び出てんぞ!」
「うわぁー、聞いちゃった?」
「さずかにな、」
お願い事は。他の人に行ったら叶わない。
そんなことを聞いたことがある私は、とても落ち込む。
「おい!、おみくじひこうぜ」
「ひくひく!」
「せーのであけるよ」
「うわっ俺大吉だ!最高!」
「風鈴は?」
彼は、私のおみくじを覗く。そして次の瞬間。
「えっ笑 凶。」
そうだ私は、また凶を引いてしまったのだ。
最悪だ。終わった。そんなことを思っていた時。
「はいこれ持っとけ。」
私の目の前には、ハートのお守りが突き出された。
どこかで見覚えのある。あのお守りが。
「俺は正直どうでもいいと思う派だけど。
風鈴気にすんだろまた。
それ持っとけば大丈夫だから。」
彼の照れ隠し混じりの優しさ。かわいいな。
「ありがとね、。」
それから神社を後にし、あるところに向かった。
私たちは今日、そこに行くためにここの地域に
来たのだ。
「こんにちは。お久しぶりです。」
「こんにちはー!」
涼太に続き、挨拶をする。
「こんにちは。元気だったか?」
そこには、
桜の花が咲きほこり。最後の制服で校門をくぐる。
風に揺らされて桜がシャワーのようにかかってくる。
「おーい。」
「おっ!やっほー!」
「遅くなってごめん。」
「いいよ。じゃあ行くか。」
私は、彼の手を握る。肩と肩があたる近距離。
高校の卒業式。君と巡り会って3年。
もちろん私は、また同じ高校に入学していた。
そしてもう1人もそうだったのだ。
山江駅から電車を乗り継ぎ、行き先地に向かう。
今日は、急に呼ばれたため、急ぎめで、
向かうことにした。
「あー懐かしいね、。」「あーそうだな。」
階段を駆け上がり、上まで登る。鳥居をくぐりぬけ、
お参りをすることにした。
五円玉を投げ入れ、お参りする。
「涼太とずっと一緒にいられますように。」
「おいー風鈴、口から願い事飛び出てんぞ!」
「うわぁー、聞いちゃった?」
「さずかにな、」
お願い事は。他の人に行ったら叶わない。
そんなことを聞いたことがある私は、とても落ち込む。
「おい!、おみくじひこうぜ」
「ひくひく!」
「せーのであけるよ」
「うわっ俺大吉だ!最高!」
「風鈴は?」
彼は、私のおみくじを覗く。そして次の瞬間。
「えっ笑 凶。」
そうだ私は、また凶を引いてしまったのだ。
最悪だ。終わった。そんなことを思っていた時。
「はいこれ持っとけ。」
私の目の前には、ハートのお守りが突き出された。
どこかで見覚えのある。あのお守りが。
「俺は正直どうでもいいと思う派だけど。
風鈴気にすんだろまた。
それ持っとけば大丈夫だから。」
彼の照れ隠し混じりの優しさ。かわいいな。
「ありがとね、。」
それから神社を後にし、あるところに向かった。
私たちは今日、そこに行くためにここの地域に
来たのだ。
「こんにちは。お久しぶりです。」
「こんにちはー!」
涼太に続き、挨拶をする。
「こんにちは。元気だったか?」
そこには、おじさん、柳 一郎さんがいた。
そうあの寿司屋の人だ。
私たちが困ってた時に、泊まらせてくださった人。
私たちはその人に会いに来たのだ。
「早く入れ。」「はい。おじゃまします。」
私も慌てて、入る。
「はーい。おじゃまします。」
あれから月日がたち、おじさんはきよさん。奥さんを
失ってしまったらしい。病気だったらしいが、それが、心に響き、店を閉じたそうだ。私たちは、その挨拶に
来たのである。
「きよさん。お久しぶりです。
ありがとうございました。」
大切な人がいなくなることの辛さは、痛いほどわかる。
何回も経験したから。
「一郎さん。今日はお話があります。」
「おうなんだ。言ってみろ。」
「俺に修行させてください。」
、、、、本当に静かな沈黙が走る。
一郎さんは、少し考えてから喋り始めた。
「厳しいことも乗り越えるか?」
「はいもちろんです。」
こんなに本気な涼太は、初めて見た、。
目から強い意思が伝わる。
「わかった。その代わり、修行は住み込みだ。彼女とは会えなくなるぞ。」
「大丈夫です。時間を作ります。」
涼太!そこは、修行に専念するっていうんだよーと
叫びたくなったその時。
「あはははは」
「どうしたんですか?」
「おいさっきのは嘘だ。ちゃんと言え。
そしてすぐに会いに行け。大事にしろ。」
凄い。一郎さんの意見はすごく的を得てる。
私たちが言って欲しい言葉を全部くれる。
「じゃあそうと決まれば、今日の夕飯は、寿司だな。
久しぶりに握るか。」
「お願いします。」「楽しみー!!」
厨房に立つ、涼太を眺める。
ずっとここで見ておきたい。
私が、支えてあげたい。ちゃんと。
そんなことを考えていたら、お寿司ができていた。
口に入れると幸せな味が広がっていた。
今日の移動での疲れをすっかり飛んでいく。
それからたくさんお寿司を堪能した。
今日も、2人で布団に入り寝る。
隣にいるだけで、安心して寝てしまう、、。
寝ぼけた目を擦ると、外はもう明るくなっていた。
どうやらもう、朝が来てしまったみたいだ。
「おはようございます!」
「おはよう!」「おはよう。」
そこには、涼太と一郎さんがいた。
「ね、なんで?早くない?」「料理を勉強したいので」
涼太の真剣な眼差し。私にも気合いが伝わってくる。
だし巻き玉子と、お味噌汁と、ほうれん草のおひたし。
とてもおいしい昼食を食べ、お別れすることになった。
「ありがとうございました。また連絡します。」
「了解。こちらこそありがとう。」
一郎さんとおわかれし、2人で静かなみちを通る。
田舎のあの道を。
「ねぇ、風鈴、俺、修行したいんだ。」
「しなよ。」
「でも、離れちゃうんだ。この距離になるんだ。」
私は彼を見てそう呟いた。
「大丈夫。だって私たちでしょ?」
謎の余裕感があるのは、私だけでは無いはずだ。
そこから2人で山江駅まで帰った。
なんか寂しいまたこの気持ちになった。
「ねぇ、花火しない?」
花火をしよう。そうただ思ったのだ。
パチパチパチパチ
花火の音色が鳴り響く。そう私の隣でも。
この大好きな音。
静かに花火を終え、最後に線香花火をすることにした。
「ねぇこれで負けた方が1個お願いごと聞くって
ことで!」
パチ 静かに飛び散る火花。赤い光が弱々しくなって言ったその時。「うわっ」「キャー」
「もうやめてよ!!」「あはは笑」
!?
花火を見るとすっかり、火は消えていた。
「ねぇ反則!」「そんなのルールにない。」
「もう。何お願い事は、??」
「怒んなよ。」
私の唇に君の唇が触れる。鼓動が早くなり高鳴る。
「これだよ。」「もう!!」
私は、再び、彼の唇に唇を重ねた。