死にたい僕と花火のように儚い君との約束

その日は山江駅に集合した。
少し前に着こうと思い早く家を出た。
私の予定に付き合ってもらため、当然のことだ。
10分前に着いたがなんとそこには、昨日会った涼平くんがいた。

「すみません遅れて、、。」
「大丈夫ですよ。行きましょうか。」

涼太とは、全く違う。遅刻はしないけど、私よりいつも遅く来るし。かと思えば服はダサかったし。髪型も寝癖だらけだし。あの時の思い出が、フラッシュバックする。

「風鈴さん?行きましょう!」「すみません。今行きます!」

今日は、私の祖父の別荘に行くことになっている。さすがに泊まりはしないが、そうめん流しをしたりしようと思っている。

「いきますよー!それー!」

そうめんがスルスル落ちていく。

「せーの」優太さんの手元を見ると、箸にあるのはたったの2本。「あはははは笑」「もー笑わないでくださいよ笑 風鈴さんお手本お願いします。」「いや私はそのまま食べる派なんで。」「なんですかそれ笑笑」

そこから、だいぶ仲良くなり、まさかの同い年ということを知り、タメ口で話せるようになった。
さっきまでの気まずさはなんだったのか不思議になるぐらい話せた。

「じゃあ花火しようぜ!」「しよう!」

パチパチパチ

花火が火花をあげる。「綺麗だなぁ、」

あの頃の私は、死を覚悟していた。ほぼ受け入れてた。でも、涼太と出会って生きたいと思った。

そして今、生きている。本当に人生、何が起きるか予測不可能だ。

「風鈴って花火みたいな人だな。」
えっ、、。頭の中をフラッシュバックする。
彼は、不思議そうな顔でこちらを見る。
「えっ、?そうかな笑」とすかさず返事を返す。
その後は、後片付けをして電車で山江駅に向かった。

「今日はありがとう。付き添いなのにこんな楽しませてもらって。」

「いや、こちらこそ。私のわがままであんな田舎で。」

「いやいや。じゃあまた連絡して。」

私は静かに手を振る。彼の後ろ姿を見て。すると彼はこちらを向き、大声で叫んだ。

「また、思い出上書きしようなー」

1人になり心が、寂しくなる。

今日の夜は、一段と星が光り輝いていた。
今日は、少し遅めに家を出た。もう日が暮れ始めている。「よっ!風鈴」「やっほー!!」

あの日から、何回も会う内に、彼から好意を向けられるようになった。
だけど、私は、まだ自分の気持ちを整理できていなかった。そんな私に、優太は、「ゆっくりでいいよ。」と言ってくれた。

本当に優しい彼に、答えたい気持ちもあるが、まだ考えたい気持ちが大きい。それを伝えたら、夏休みで試してみてと言われた。

今日は、そう。花火をしに行く。

「うわー綺麗だな。」「ねー。花火大好き。」

花火に浸りながらゆっくり時間が過ぎていく。
この時間も大好きだ。

ぱちぱちぱち

この音懐かしいな。

ぽろっ。1粒の雫が足に落ちてきた。

「あれっおかしいな笑 なんでだろ」

「たくさん泣きな。」

あの日の思い出が蘇る。

大好きだったあの人。会えないあの人。
どこで会えるんだろうと。

その日は、湿気混じりの空気が吹いていた。
今日は、原宿に来ている。

「うわー人多いね笑」

今日は、日曜なこともあり、原宿は人で
溢れかえっている。

「だなー。はぐれんなよ。」

門をくぐって、入っていく。「うわっ」人に挟まれ、足がぐらつく。優太は、こちらに気づいているが、こっちに来れるスペースもない。

「大丈夫ですか?」

そこには見知らぬ、同い年ぐらいの男性が立っていた。「すみません、ありがとうございます。」
「もう早くー。涼平!」

隣にいるのはどうやら彼女らしい。
彼女いるのに助けてくれるなんていい人だな
そう感じた。

「じゃあすみません、気をつけてください。」

彼にお礼をしたが、そそくさと行ってしまった。

でもどこかで聞いたことある名前、。涼平、。まさか?同じ名前の人ぐらい、。

「あれっこれなんだろう?」

私が倒れたところに、ハンカチと名刺が落ちていた。

「涼風 涼平、。」

「大丈夫か?風鈴。ごめんそっちに行けなくて」

「・・・」

「風鈴、?」

「あっごめん。全然平気だよ!ありがとう!」

それから、プリクラを撮り、いちご飴を食べた。

「美味しいなにこのいちご飴ってやつ!」
「でしょー!!大好きなんだー!」

彼と過ごす時間は、楽しい。
でも、何か心の中で欠けている。

「今日もありがとうな!」「こちらこそ。」
「じゃあまた!」

夕暮れの中、気持ちが揺れている。そんな気がした。
夜中の12時半。私はある決心をした。
今日、助けてくれた人に、感謝のメールをすることを。

彼女がいる人にメールをしていいのか迷う気持ちが大きかったが、何か気になるところがあり、体が先に動いていた。

「今日、助けていただいた者です。ハンカチと名刺を落とされていて拾わせていただきました。お返しとお礼させて頂きたいので、会えないでしょうか?」っと。

メール完了。なんで私こんなに緊張してるんだろ、。
ピコン。通知音がなり、すぐさま確認した。

「すみません。ありがとうございます。明日の昼の
12時半はどうでしょうか?」

明日の12時半。なにか特別なことが起きるそんな気がした。

彼との待ち合わせ場。カフェにやってきた。
とても雰囲気が良く、オシャレなお店だ。時刻は12時28分。あと少しで来るかな、?

「すみません遅くなって、」「いえいえ、。」
ドリンクを注文し、話し出す。

「これ、落とされたハンカチと名刺です。」
「ありがとうございます。わざわざ。」
「こちらこそ、この間は助けて頂き、
ありがとうございます。」

「いやいや、大丈夫でしたか?」「全然大丈夫です。」

「あのお名前聞いてませんよね。すみません。」

あっそうだ。私はいつも話す順番がズレている。

「清水 風鈴です。ふうりんって書いてふうりと読みます。」

「俺は、涼風 涼平。多分同い年じゃない?タメ口にしよ!」

そこから話すと、お互い同い年なことが明らかになった。何故か、話すうちに。涼太に似ている。
そんな気がした。思い出がフラッシュバックする。

「うわっもうこんな時間だ。りりとの待ち合わせがあるんですみません。今日は、ありがとう。じゃあまた!」
「いえいえ、また!」

彼女持ち。涼太に似ていたとしても。
好きには絶対になってはいけない。

その日は、アイスコーヒーのような爽やかさがある
夕日だった。
「やっほー!」「おはようー!」

今日も、山江駅に優太と集合する。

電車に乗り、隣町まで行くことにした。

「うわっ」電車の揺れでぐらついたその時。

「大丈夫か?」優太と距離が近くなる。

こちらを覗く優しい目線。

「あっ、大丈夫 笑 ありがとう。」「気をつけなね笑」

彼は、私に対しても誰に対してもすごく優しい。
きっと、誰もが羨むような彼氏になってくれるはずだ。そんなことを考えていると、隣町に着いていた。

今日は、優太とショッピングモールに来たのだ。彼が、買い物がしたいらしく、一緒に見に来てみたのだ。

「風鈴行こう!」「うん!」改札をくぐりぬけ、
ショッピングモールに行こうとしたその時。

「風鈴?聞き覚えのある声。

振り向くとそこには、涼平と涼平の彼女さんがいた。「あっ、」

「やっぱりそうだよね!」

優太が不思議そうにこちらを見ていたので、
紹介することにした。

「あっ、こないだ助けてくれた亮平さん。
ハンカチ落とされてたから、届けたの。」

「あっあの方。あの時はありがとうございます。」

「いえいえ。2人とも、ショッピングモールへ?」

「あっうん。そう!」

「あっじゃあダブルデートしません?」
涼平さんの彼女が、突然話し出す。
「あっすみません。私は、野々原 りかっていいます。
お願いします。」

「お願いします。」

「りか。突然そんなこと言ったら2人とも戸惑っちゃうよ。」

「いえせっかくなので行きましょうよ!」

えっ!?突然、優太が切り出す。
「だって4人ワイワイして楽しいだろうし。
風鈴と涼平さんはやだ?」

「俺は、大丈夫ですけど。」「私も。」

「じゃあ決定で!行こう行こう!」
その子はとても、無邪気で自由で可愛らしい子だ。
何故か、懐かしい気持ちになる。

「行こっか。」優太がこちらを見つめる。
「うん!」私は、目を見てそう返した。

ショッピングモールに入り、服を見て回ることになった。「あっ俺この店見てみたい。」「あっ、いいよ。」

そこは、涼太と行った店だった。

初めて、出かけた場所。懐かしいな、。

「あっ俺も見たいかも。」

涼平さんもスタスタと店に入る。

「これどう?風鈴」

優太は正直、顔もかっこいいし、なんでも似合う。

「めっちゃ似合ってる。」「ありがとう」

優太はそう微笑み会計することにしていた。

涼平たちを見ていると、なにか悩んでいる様子が
見えた。

「どうしたの?」

「あーこれに何合わせたらいいんだろうって。」

「あっこれなら、ダボッとしたズボンの方がいいと
思うよ。」

「なるほどな。凄いな」

「いや職業病で、スタイリストしてて」

「あっそうなんだ!」

スタイリストになってよかったなと思う瞬間。

本当にやりがいがある仕事だ。

この夢を叶えさせてくれた全ては、涼太だ。
ほんとうに、、感謝しかない。

買い物を終え、ご飯を食べ、帰ることにした。

電車に乗り、山江駅に戻る。
まさかのまさかで四人全員地元が近くて同じ駅だと
分かった。駅から、出るとなんだか、1人取り残された気分になった。1人になりたくない。

「ねー花火しませんか?」

パチパチ。

花火の音が静かな夜に溶け込んでいく。

何回やっても飽きない。
花火の火花が、ヒラヒラと散っていく。
「綺麗だな。」「だね。」

昔は。あんなにはしゃいでいたのに。
今は静かに楽しんでいる。

ちらっと前を見ると、涼平が悲しげな顔をしていた。
不安に思ったが、底を掘っては、行けない話だと思い、
やめることにした。

花火を終え解散し、夜道を帰る。

上を見ると、眩しいくらいの満点の星空が
降り注いでいた。
「あー。どうしよう。」

私がビーチに来て、なぜこんなに悩んでるかって。彼女持ちを好きになってしまったからだ。

涼太は、もちろん良い人だし、
幸せにしてくれると分かっている。

だけど、涼平が頭から離れないのだ。

海の音がする。
私は悩み事をする度にここに良く来るのだ。

なんでかと聞かれたら分からないが、何故かスッキリする。気持ちに整理がつく。そんな感じがする。

私は今日、ある決心をした。

そんなことを考えていると、「風鈴ー!」という
声がする。

振り返ると、こちらを見る優太がいた。

ごめんね。優太。

「今日はどうしたの?」

「優太。私告白の返事したくて、」

「うん。」

「ごめんなさい。優太とは付き合えません。」

「、、、だよな何となくわかってたよ」

「ほんとうに、ごめんなさい。そしてありがとう。」

優太は頷き来た方向に帰っていく。

あーもー。私にイライラする。
ずっと涼太と涼平を重ねてしまう。

ビーチをボッーと眺めていたそんな時。

「風鈴?」こないだ聞いたような声が聞こえてきた。

「涼平、?」

「風鈴だよな!こんなとこで何してんの?」

「まぁ色々あって、」今は、なんと話したらいいか分からない。

「ふーん。そうか、話したくなったら話しな。」

「ありがとう、。」

2人でボッーと海を眺める。

でも、私は気づいたら口を開いていた。

「私、好きな人がいてね、」

彼は黙って聞いてくれている。

「大好きで大好きで大好きで、。でも事故で亡くなっちゃって。でも私その人のことがどうしても忘れられないの。」

海風が強く吹く。

彼はこちらを向いて言った。

「忘れなくていいんじゃない、?」

「えっ、?」衝撃的な一言に驚きが走る。

「俺もそれあるから、忘れられない恋愛。」

彼は遠くを見て、悲しげな顔をする。
花火の時と同じ顔だ。

私は、彼女持ちにアタックするのは間違っている。
そんな気がしていたが、もう遅かった。口に出ていた。

「私と思い出上書きしてくれませんか?」
夏の日差しが照り続く朝方。私は、山江駅で彼を待つ。

「おはよう!」振り向くとそこには。涼平がいた。

「おはよう!」元気にそう返した。

電車に2人で乗り、出かける。
今日は、私の提案で水族館に行くことになった。

楽しみだなー。そんなことを考えていると、
電車が強く揺れた。

「うわっ、」「おっ。大丈夫か?」

胸がドキッと高鳴る。ダメだと思っても気持ちは
素直だ。

「ありがとう、。」「全然。」

照れた顔を隠しながらお礼する。
絶対にバレないように。

水族館に着き、入ってみるとそこにはたくさんの家族連れやカップルがいた。

「うわー人混みだな。」「まあ楽しもうよ!」「だな!」

なんだかんだ、涼平も楽しんでくれそうだ。

チケットを買い、入場する。
最初は、生き物触り体験コーナーに行くことにした。

「うわぁー見てなまこだよ。あとこれひとで笑笑」

「すごいな笑笑」

「涼平も触ってみてよ。」「絶対に嫌だ。」

「まさか怖いの?」「違うわ。」

そう涼平は返すが、声は裏返っており、
焦っているようだ。

「それっ笑笑」

私は無理やり、涼平の手を水槽に入れた。

「おいやめろよ笑笑」彼は、笑いながらこちらを見る。

涼太、、。思い出がフラッシュバックしてしまう。

「おーい風鈴?次行かないか?」

どうやら私はボッーとしてしまっていたようだ。

「あっごめん!行こう行こう」

次はイルカショーに行ってみることにした。

「どうする?前に行く?」「もちろん!」

私と涼平は、レインコートを着て、イルカショーを見ることにした。

始まると、イルカが技を決めていく。
するとジャンプに突然入った。

私たちの前でイルカがジャンプをする。

「うわっ、ー」

隠れてみると全く水がかかってないことに気づく。
あれ?おかしいなと思い顔を上げると、涼平が
びしょびしょになっていた。

「えっ!?大丈夫?」

「いや危ねー。風鈴こそ大丈夫か?」

「いや全然だよ。ありがとう。とりあえず風邪ひくからタオルで拭こう。」

私たちは途中でショーから外に出ることにした。

涼平は、体をタオルで吹き、呑気にお腹がすいたと言い出したのでレストランに行くことにした。

水族館の中のレストランなこともあって、とても人で
賑わっている。

「うわぁーなんにしよう。」

「俺は絶対、さば味噌定食」

えっ、。涼太?前を見るとそこには、涼平がいた。
最近ずっと勘違いしてしまう自分がいる。

「古すぎだよ笑笑 私はハンバーグ!」

「おこちゃまだな笑笑」「なんだって!笑笑」

メニューを決め終えたため、定員さんを呼び注文する
ことにした。そこも、涼平がスラスラとリードしてくれた。そこだけは涼太と違う1面。

「うわー、うまそ」

「おいしそうだね!!」

「じゃあせーので」

いただきまーす!

「えっうま!やっぱりこれ!」

「いやハンバーグでしょ!」

その後はどちらがいいかで軽く論争をした。
楽しい。私は素直にそう思ってしまった。

「うわー綺麗、、」「凄いな」

最後に私たちは、大水槽を見に来た。
魚たちが自由に自分らしく動いている。

「この魚たちにも、辛い過去があるのかな」

私は独り言のように呟いた。

「きっとあるよ。」

涼平は、静かにそう呟いた。

帰り道。別に話すこともなく、だまっているが何故か
居心地がいい。そう感じてしまうのは、私だけかな。

ボッーと夜道を2人で歩いていたその時。

バン バン バン

「えっ!?」「花火だ、。」

突然の出来事に言葉がでない。
夜空には、彼岸花のような花火が咲いている。

「風鈴は、知ってたのか?このこと」

「いや、知らなかった。」
このセリフどこかで聞いたことがある。

あっあの日か。涼太と行った海の帰り道。

私たちは静かに、夜空に咲く花火たちを眺めた。

「綺麗だったな、」「あーそうだな。」

涼平は、また悲しげな顔をしていた。なんでだろう。
探りたいけど、探れない。そんな気持ちになる。

2人で隣同士で歩く。心臓が鳴る。
聞きたいよ。あなたは、涼太ですか?って。
君のとなりにずっといたい。
そう、彼女持ちに感じてしまった私は、負けだ。
降参だ。

山江駅に着き、解散し1人で夜道を歩く。
そんな時だった。服の裾を引っ張られたのだ。

「また、思い出保存してくれませんか?」

「うん、思い出保存?」

「うん。上書きじゃなくで保存。僕は、思い出を捨てたくはないんだ。」

確かに、上書きしようとしても私には無駄だった。
思い出の上に思い出を保存する。

「もちろん。」

それから、私たちの思い出保存が始まった。
夏の日差しが照り輝く。
そんな日に、私たちは、ある映画を見に来たのだ。

「キャー」

「あー。おもしろかったわ。風鈴。」
「ちょっと。笑わないでよ。」

あの日。
涼平から思い出保存をしようと言われ、他の思い出を
作るのがいいのでは、と思い映画に来てみたのだ。

そこで私たちが初めて選んだ場所は、映画館。
2人とも、その大事な人とは、来たことがないことも
あり、直ぐに行ってみることにした。

それで私がなんでこんなに叫んでるかって。それは、
ホラー映画を見ることにしたからだ。

「ホラー映画いけるっていったじゃん笑 風鈴。」

「いやー。いつもはいけるんだけどな。」

もちろん嘘で私は、ホラーが大の苦手だ。
どちらかといえばラブストーリーが見たかったが、
新しいことという面ではいい経験?になったはずだ。

それから、私たちはカフェに行ってお茶をすることに
した。

「あー。楽しかったな。」「だね!」

やっぱり何故か、涼平といると笑顔になれる。
居心地がいい。でもひとつ頭に引っかかるものが
あった。

「ねっ、涼平って彼女いんの?」

「いないよ笑」

えっ、信じられないあまりに目を大きく広げてしまい、彼が笑っている様子が見えた。

「じゃあ、あの子は?」

「あっ。話せば長くなるんだけど、俺が抱えているのを上書きしてくれそうだった子なんだよね、、でも何故か心が欠けているそんな気がして。」

全く同じだ。私も涼太を失って、優太と出会ったが何かが心の中で足りなかった。きっと涼太にしか持っていないもの。

「いや、それこそ風鈴はだめだろ?彼氏持ちだろ?」

「違うよ、」「えっ、」

彼が戸惑った表情をこちらへ浮かべる。
まぁ、あの状況でそう見えるのは仕方ない。
私は、一から優太のことを語った。

すると、涼平は戸惑いの表情を浮かべながらこちらを見る。どこか悲しげでせつない表情。なんなんだろう。
この表情は。私は聞くことが出来なかった。

帰り道。その話をしたあとから彼は少し変だ。
でも明日も会うことになっているため、
私は深堀するのをやめて置いた。

家に帰り、今日の写真を見返す。はぁー。
顔も似ている。性格も。名前まで。
もう私の気持ちは、真っ直ぐな線のように
あらわれていた。

机の引き出しに眠っていた、1冊のアルバムを
取り出す。
涼太の顔。笑っている顔。照れている顔。
色んな表情の彼。

やっぱり私は、涼平と涼太を比べてしまう。
似ているすごく。そして、大好き。

ベットにうつ伏せになり、その日は
寝落ちしてしまった。