ジメジメした空気が肌に張り付く、三十度越えの熱帯夜。
何気なく見上げれば、黒い空に不気味なくらいか細い月が笑っていた。

「……三日月より細いのって、二日月、って言うんだっけ」

最近空なんて気にしていなかったからわからないけれど、なんとなく、明日は満ちずに新月になって消える予感がした。
まるで、私の気持ちみたいに。
無性に心細くなって、ひとりでいるのがいたたまれなくなった。
気づいたら、私は彼のアドレスをタップしていた。


心のどこかで分かっていたはずなのに。
一番頼ってはいけない相手だと。