「生徒会メンバーが二人も参加するならばと、半ば目付けの役割でしばらくこのパーティーにお邪魔していましたが……」
僕がリンダ先輩を威嚇し、マーテルさんがオーランドくんを諭して黙らせて見事に凍りついちゃった迷宮地下3階層のとある通路。集めて束にした薬草もこんな空気じゃあしおしおになっちゃいそうだ、どうしたものかなー。
悩んでいる僕がそれでもリンダ先輩を止めている間、喋りだしたのはシアン会長様だ。
美しくキュートな桃色髪がよく似合う、ちょっと小悪魔チックな微笑みを浮かべつつそれでも清楚感がたっぷりなすっごい美少女。
ちょっとスレンダー気味なのもどこかボーイッシュさを感じさせていい気もする今日この頃。そんな彼女はオーランドくん達を見据えて、微笑みのままに爆弾発言を場に投下した。
「もう限界です。今限りをもって私はあなた達のパーティーを離脱します。短い間でしたがお世話になりました」
「な……」
「か、会長。何を馬鹿な」
「ピノ副会長、オールスミス会計。私がご一緒するのはここまでです……夏季休暇が明ければ私の会長としての任期も終わりますから、実質これが私の、生徒会長として最後の言葉になりましょう」
「…………」
ニッコリ笑ってるけどどこか笑顔が暗い。怒ってませんかこれ、怒ってますよねこれ? 怖いよー!
唖然とするのはオーランドくん以上に、同じ生徒会メンバーの副会長さんと会計さんのお二人だ。僕は勝手に、この二人はシアン会長の取り巻きだと思っていたんだけれど……話を聞くに実は逆というか違くて、オーランドくんについていった二人につきそう形で同行していたのがシアン会長らしい。
でもこの人はこの人で春先、オーランドくんと早々にイチャコラしだして僕含めた男子勢の初恋を速攻粉砕してたような気がするんだけど。
他ならぬ粉砕された側だし、あのショックはなかなか忘れられない。あっあっ、脳がまた崩れていきそうだよー!!
「……付き合う相手は見定めなさい。グレイタスくんはまだ芽があると思いますが、リンダ・ガルは処置なしです。ジンダイ先生のお言葉の意味を、そこの二人だけでなくあなた達もよくよく考えるべきですね」
「シアン会長、待ってくれ! お、俺は」
「それとグレイタスくん。最後なので言っておきますが、私は結局あなたのことを好きにはなれませんでした」
「!?」
「!?」
!? え、あ、う!?
ま、まさかのオーランドくん爆沈!? え、どーいうこと? それどっちかって言うと僕の役回りじゃない!? 言ってて泣きたくなってきた。
オーランドくんとリンダ先輩を突き放し、副会長と会計の二人を何処か憐れむような視線と言葉を放ち。
そうして次、引き留めようとするオーランドくんにまさかのカミングアウトをかました凛とした姿に一同呆然愕然だよー。え、修羅場は修羅場なんだけどこの方向性はちょーっと、予想してなかったなー僕。
ヤバい、未知の体験すぎてどう動けばいいのか分かんないよー。
内心超混乱している僕のことなど露知らず、シアン会長はさらにオーランドくんへ、どこか慰めるように労るように言葉を重ねる。
「Sランク冒険者の息子、かつAランク冒険者ということである程度仲良くすべきと考え、これまでそれなりに行動をともにしてきましたが……別段つきあってもいない女性に構わず接近していく姿勢は、あなたの一番良くないところです。猛省してください」
「あ、ぅ」
「……ただ、そちらのマーテルさんを私心抜きに助けたところはさすが、誇りある冒険者を自称するだけはありました。人を見下す癖を直し、謙虚さを得、そして親の威光に縋ることから卒業すればきっと、あなたは本当のAランクにもなれると信じます」
「……………………」
が、ガチ説教……若干フォローも入れてるのが余計にマジな感じを醸し出す、そんなレベルのガチ説教だよー……
案の定と言うべきかなあ、女関係のアレさをガッツリ叱られてるけど、それはそれとしてマーテルさんとやらは何やら純粋な正義感とかで何かから助けたって感じなのかな。
いまいち話が見えてないけど、今聞いた話の範疇だけならなるほど、オーランドくんも冒険者としては結構やるじゃんって感じもする。
ただ、やっぱりAランクは時期尚早だよねー。
これについてはグレイタス夫妻の責任が大きいと思うけど、立場にあぐらをかいて好き放題してきた本人も本人だし。
今どこをほっつき歩いてるんだか知らないけどあの夫婦、今度帰ってきたら針の筵になるかもしれないねー。
「オーランドさん……」
「ま、マーテル……」
と、マーテルさんが愕然とするオーランドくんに寄り添い、その手を握りしめた。
いいなー! 美少女に手を握りしめられつつ慰められるとかいいなぁー!! すごい羨ましすぎてつい、剣を握る手に力が籠もる。
「その……私は、あの時手を差し伸べてくれたあなたを信じてます。あなたは本当は優しくて、誰よりも心の強い人だって信じてます」
「マーテル、俺は……俺は」
「よくないところ、直していけるのなら直していきませんか……? いいところ、伸ばしていけるのなら伸ばしていきませんか……! わ、私にできることがあるなら手伝いますから! オーランドさんが誤解されたままなのは、嫌です!」
「………………………………」
本当にオーランドくん、なんかしらんけど困ってる彼女を助けたんだね。そこはすごいと思うし、同じ冒険者として尊敬するよ。
でもね、だからって即座にそんな感じにいい関係性を築けるのはおかしいと思う! ズルいよ僕が同じことしてもたぶんそんな風にはしてもらえないもの!
イケメンにしか許されないのかそういうアレはー!
僕がリンダ先輩を威嚇し、マーテルさんがオーランドくんを諭して黙らせて見事に凍りついちゃった迷宮地下3階層のとある通路。集めて束にした薬草もこんな空気じゃあしおしおになっちゃいそうだ、どうしたものかなー。
悩んでいる僕がそれでもリンダ先輩を止めている間、喋りだしたのはシアン会長様だ。
美しくキュートな桃色髪がよく似合う、ちょっと小悪魔チックな微笑みを浮かべつつそれでも清楚感がたっぷりなすっごい美少女。
ちょっとスレンダー気味なのもどこかボーイッシュさを感じさせていい気もする今日この頃。そんな彼女はオーランドくん達を見据えて、微笑みのままに爆弾発言を場に投下した。
「もう限界です。今限りをもって私はあなた達のパーティーを離脱します。短い間でしたがお世話になりました」
「な……」
「か、会長。何を馬鹿な」
「ピノ副会長、オールスミス会計。私がご一緒するのはここまでです……夏季休暇が明ければ私の会長としての任期も終わりますから、実質これが私の、生徒会長として最後の言葉になりましょう」
「…………」
ニッコリ笑ってるけどどこか笑顔が暗い。怒ってませんかこれ、怒ってますよねこれ? 怖いよー!
唖然とするのはオーランドくん以上に、同じ生徒会メンバーの副会長さんと会計さんのお二人だ。僕は勝手に、この二人はシアン会長の取り巻きだと思っていたんだけれど……話を聞くに実は逆というか違くて、オーランドくんについていった二人につきそう形で同行していたのがシアン会長らしい。
でもこの人はこの人で春先、オーランドくんと早々にイチャコラしだして僕含めた男子勢の初恋を速攻粉砕してたような気がするんだけど。
他ならぬ粉砕された側だし、あのショックはなかなか忘れられない。あっあっ、脳がまた崩れていきそうだよー!!
「……付き合う相手は見定めなさい。グレイタスくんはまだ芽があると思いますが、リンダ・ガルは処置なしです。ジンダイ先生のお言葉の意味を、そこの二人だけでなくあなた達もよくよく考えるべきですね」
「シアン会長、待ってくれ! お、俺は」
「それとグレイタスくん。最後なので言っておきますが、私は結局あなたのことを好きにはなれませんでした」
「!?」
「!?」
!? え、あ、う!?
ま、まさかのオーランドくん爆沈!? え、どーいうこと? それどっちかって言うと僕の役回りじゃない!? 言ってて泣きたくなってきた。
オーランドくんとリンダ先輩を突き放し、副会長と会計の二人を何処か憐れむような視線と言葉を放ち。
そうして次、引き留めようとするオーランドくんにまさかのカミングアウトをかました凛とした姿に一同呆然愕然だよー。え、修羅場は修羅場なんだけどこの方向性はちょーっと、予想してなかったなー僕。
ヤバい、未知の体験すぎてどう動けばいいのか分かんないよー。
内心超混乱している僕のことなど露知らず、シアン会長はさらにオーランドくんへ、どこか慰めるように労るように言葉を重ねる。
「Sランク冒険者の息子、かつAランク冒険者ということである程度仲良くすべきと考え、これまでそれなりに行動をともにしてきましたが……別段つきあってもいない女性に構わず接近していく姿勢は、あなたの一番良くないところです。猛省してください」
「あ、ぅ」
「……ただ、そちらのマーテルさんを私心抜きに助けたところはさすが、誇りある冒険者を自称するだけはありました。人を見下す癖を直し、謙虚さを得、そして親の威光に縋ることから卒業すればきっと、あなたは本当のAランクにもなれると信じます」
「……………………」
が、ガチ説教……若干フォローも入れてるのが余計にマジな感じを醸し出す、そんなレベルのガチ説教だよー……
案の定と言うべきかなあ、女関係のアレさをガッツリ叱られてるけど、それはそれとしてマーテルさんとやらは何やら純粋な正義感とかで何かから助けたって感じなのかな。
いまいち話が見えてないけど、今聞いた話の範疇だけならなるほど、オーランドくんも冒険者としては結構やるじゃんって感じもする。
ただ、やっぱりAランクは時期尚早だよねー。
これについてはグレイタス夫妻の責任が大きいと思うけど、立場にあぐらをかいて好き放題してきた本人も本人だし。
今どこをほっつき歩いてるんだか知らないけどあの夫婦、今度帰ってきたら針の筵になるかもしれないねー。
「オーランドさん……」
「ま、マーテル……」
と、マーテルさんが愕然とするオーランドくんに寄り添い、その手を握りしめた。
いいなー! 美少女に手を握りしめられつつ慰められるとかいいなぁー!! すごい羨ましすぎてつい、剣を握る手に力が籠もる。
「その……私は、あの時手を差し伸べてくれたあなたを信じてます。あなたは本当は優しくて、誰よりも心の強い人だって信じてます」
「マーテル、俺は……俺は」
「よくないところ、直していけるのなら直していきませんか……? いいところ、伸ばしていけるのなら伸ばしていきませんか……! わ、私にできることがあるなら手伝いますから! オーランドさんが誤解されたままなのは、嫌です!」
「………………………………」
本当にオーランドくん、なんかしらんけど困ってる彼女を助けたんだね。そこはすごいと思うし、同じ冒険者として尊敬するよ。
でもね、だからって即座にそんな感じにいい関係性を築けるのはおかしいと思う! ズルいよ僕が同じことしてもたぶんそんな風にはしてもらえないもの!
イケメンにしか許されないのかそういうアレはー!