地下86階直通のショートカットルートを、ただひたすらに滑り落ちていく。前に来た時同様、あるいは他のショートカットルート同様、滑り台みたいにうねった土管の中を流れに逆らわずに進んでいく感じだ。
僕にとってはすっかり慣れ親しんだ話なんだけど、ここではしゃいだのが僕の前を行くレイアだ。ズザザザーっと滑っていく感覚の何が面白いんだか、キャーキャー言いながら落ちているよー。
「うわー懐かしい! そうそうこの滑り台的なショートカット、一気にいろいろ思い出しちゃうよー!」
「向こうじゃしなかったのー? ショートカット!」
「そうだねー! 海の向こうにも当然迷宮はあったけど、資料室は割と浅い階層にあったから!」
滑りながら前のレイアと後ろの僕、声を張り上げて話す。どうも海の向こうにあった資料室については、比較的浅い階層にあったみたいでショートカットの必要性もなかったみたいだね。
でもそれって、と考える。
大迷宮の正体が古代文明人の立てた塔だとして。その上層部が僕らの今いる大地の直下にあるとするなら、割と浅いところにあったっていうその資料室は、つまりは……
レイアが頷いて続けた。
「たぶん古代文明人達の気遣いだよー! なるべく人目に触れる可能性が高くなるようにって、ねー!」
「なるほど! 僕らにとっての地下は彼らにとっての天空! 浅い階層ってことは、塔の頂点付近にあったってことだねー!」
僕の大地に近しいところにあるって言うなら、それはすなわち彼らの塔の一番てっぺんとかそれに近いところにあることになる。
つまりはレイアの言うように、古代文明の人達による気遣いってことなのかもしれない。いつかはるかな時の果て、塔がすっぽり新しい大地に埋もれるほどの時間が流れても……なるべく自分達の遺した資料が目につきやすいように。
すこしでも誰かに見つけてもらえる可能性を高めるために、頂上付近に資料をまとめたのかもしれない。
つくづく立派な人達だよ。遠い昔に、自分達の意味を残すためにできることすべてをやりきったんだ。
心からの敬意を抱きながらも滑り落ちていく。結構滑ったから、そろそろ出口も近いかな? 気配もするしね、モンスターの。
「……いるねモンスター! ソウくん、私に続いて!」
「了解!」
僕に感知できてるってことは当然、前を滑るレイアにも感知できているわけで。彼女が僕に呼びかけてくるのを聞き、すぐさま同意を示す。
滑りながらでも闘志を高めていく。迷宮攻略法はすでに身体強化、環境適応、再生能力等々全力全開だ。地下88階までのモンスターだって僕とレイアなら余裕だけど、だからこそ油断なく全力で行く。
ましてや今回は僕らのあとに、非戦闘員達が結構やってくるからねー。
露払いってのはまったくもってその通りで、先を行く僕らがモンスターを一匹でも取り残したらあとの人達が大変な目に遭うかもしれないわけだから、そりゃ手抜かりはできないよー。
そこはレイアも分かっていて、だからこそ僕と同じに全力全開の構えだ。すでに重力制御まで発動してるみたいだ、これはいきなり大技が来てもおかしくないね!
──出口が見えてきた! 案の定結構いるよ、ドラゴンだのオーガキングだのアダマンタイトゴーレムだのと!
「お先に行くよ──でぁああああああっ!!」
「負けてられないね、僕も──!!」
うじゃうじゃ潜む化物どもに、レイアがまずは叫び飛び出した! 出口から勢いよく飛び出るとともに、引き抜いた剣に重力を纏わせる!
続いては僕だ、杭打ちくんを構えて一気にモンスターへと飛び込む! レイアとは異なる軌道だ、二人して同じところに行く必要もないしね!
「──ぉぉぉおおおおおおっ!!」
ちょうど目についたドラゴンの頭部に着地、同時にその眉間に杭打ちくんを叩き込む!
硬い鱗も皮も骨もぶち抜き、ズガァァァンと脳内まで杭が突き抜ける! しかもこの杭には重力制御によるブラックホールを纏わせてある!
レイアほどじゃなくてもこいつの頭の中、脳味噌だけをグチャグチャにかき混ぜて吸い込んで消滅させられるんだ!
「ぐるぉああああああんっ!?」
「こっちも行くよ、でやぁぁぁっ!!」
負けじとレイアも剣を振るう、こっちはより攻撃特化の重力制御だ!
刃そのものがすべてを吸い込む暗黒物質と化している剣、それをアダマンタイトゴーレムに叩きつける!
普通にやれば杭打ちくんでもぶち抜くのに難儀する硬度の身体を、けれど暗黒物質を纏わせた斬撃は容易く切り裂く。
触れれば即座に消滅するんだ、この世の物質じゃどう頑張っても耐えることはできない……レイアの十八番にして絶対威力の必殺剣だ!
あっという間に一人一体モンスターを倒した、出口から飛び出てここまで10秒も経ってない。
さあここからだ!目に映るすべて、感知できる何もかもを綺麗さっぱり根こそぎ倒し尽くして、みんなの進む道を拓くよー!!
僕にとってはすっかり慣れ親しんだ話なんだけど、ここではしゃいだのが僕の前を行くレイアだ。ズザザザーっと滑っていく感覚の何が面白いんだか、キャーキャー言いながら落ちているよー。
「うわー懐かしい! そうそうこの滑り台的なショートカット、一気にいろいろ思い出しちゃうよー!」
「向こうじゃしなかったのー? ショートカット!」
「そうだねー! 海の向こうにも当然迷宮はあったけど、資料室は割と浅い階層にあったから!」
滑りながら前のレイアと後ろの僕、声を張り上げて話す。どうも海の向こうにあった資料室については、比較的浅い階層にあったみたいでショートカットの必要性もなかったみたいだね。
でもそれって、と考える。
大迷宮の正体が古代文明人の立てた塔だとして。その上層部が僕らの今いる大地の直下にあるとするなら、割と浅いところにあったっていうその資料室は、つまりは……
レイアが頷いて続けた。
「たぶん古代文明人達の気遣いだよー! なるべく人目に触れる可能性が高くなるようにって、ねー!」
「なるほど! 僕らにとっての地下は彼らにとっての天空! 浅い階層ってことは、塔の頂点付近にあったってことだねー!」
僕の大地に近しいところにあるって言うなら、それはすなわち彼らの塔の一番てっぺんとかそれに近いところにあることになる。
つまりはレイアの言うように、古代文明の人達による気遣いってことなのかもしれない。いつかはるかな時の果て、塔がすっぽり新しい大地に埋もれるほどの時間が流れても……なるべく自分達の遺した資料が目につきやすいように。
すこしでも誰かに見つけてもらえる可能性を高めるために、頂上付近に資料をまとめたのかもしれない。
つくづく立派な人達だよ。遠い昔に、自分達の意味を残すためにできることすべてをやりきったんだ。
心からの敬意を抱きながらも滑り落ちていく。結構滑ったから、そろそろ出口も近いかな? 気配もするしね、モンスターの。
「……いるねモンスター! ソウくん、私に続いて!」
「了解!」
僕に感知できてるってことは当然、前を滑るレイアにも感知できているわけで。彼女が僕に呼びかけてくるのを聞き、すぐさま同意を示す。
滑りながらでも闘志を高めていく。迷宮攻略法はすでに身体強化、環境適応、再生能力等々全力全開だ。地下88階までのモンスターだって僕とレイアなら余裕だけど、だからこそ油断なく全力で行く。
ましてや今回は僕らのあとに、非戦闘員達が結構やってくるからねー。
露払いってのはまったくもってその通りで、先を行く僕らがモンスターを一匹でも取り残したらあとの人達が大変な目に遭うかもしれないわけだから、そりゃ手抜かりはできないよー。
そこはレイアも分かっていて、だからこそ僕と同じに全力全開の構えだ。すでに重力制御まで発動してるみたいだ、これはいきなり大技が来てもおかしくないね!
──出口が見えてきた! 案の定結構いるよ、ドラゴンだのオーガキングだのアダマンタイトゴーレムだのと!
「お先に行くよ──でぁああああああっ!!」
「負けてられないね、僕も──!!」
うじゃうじゃ潜む化物どもに、レイアがまずは叫び飛び出した! 出口から勢いよく飛び出るとともに、引き抜いた剣に重力を纏わせる!
続いては僕だ、杭打ちくんを構えて一気にモンスターへと飛び込む! レイアとは異なる軌道だ、二人して同じところに行く必要もないしね!
「──ぉぉぉおおおおおおっ!!」
ちょうど目についたドラゴンの頭部に着地、同時にその眉間に杭打ちくんを叩き込む!
硬い鱗も皮も骨もぶち抜き、ズガァァァンと脳内まで杭が突き抜ける! しかもこの杭には重力制御によるブラックホールを纏わせてある!
レイアほどじゃなくてもこいつの頭の中、脳味噌だけをグチャグチャにかき混ぜて吸い込んで消滅させられるんだ!
「ぐるぉああああああんっ!?」
「こっちも行くよ、でやぁぁぁっ!!」
負けじとレイアも剣を振るう、こっちはより攻撃特化の重力制御だ!
刃そのものがすべてを吸い込む暗黒物質と化している剣、それをアダマンタイトゴーレムに叩きつける!
普通にやれば杭打ちくんでもぶち抜くのに難儀する硬度の身体を、けれど暗黒物質を纏わせた斬撃は容易く切り裂く。
触れれば即座に消滅するんだ、この世の物質じゃどう頑張っても耐えることはできない……レイアの十八番にして絶対威力の必殺剣だ!
あっという間に一人一体モンスターを倒した、出口から飛び出てここまで10秒も経ってない。
さあここからだ!目に映るすべて、感知できる何もかもを綺麗さっぱり根こそぎ倒し尽くして、みんなの進む道を拓くよー!!