ぶつかり合う僕の杭打ちくんとリューゼリアのザンバー。武器強化して身体強化、感覚強化も行ってさらには威圧をフルで発動しての激突は、迷宮地下19階を激しく揺るがせ震わせ破壊している。
互いに迷宮攻略法を駆使してのこの打ち合いは、世界的にも滅多にない最強クラスの中でも特に際立った、まさしくトップクラス同士の貴重な光景だろう。
僕もあいつもまだまだ全力でないものの、それでも一撃ごとに発生する衝撃波が周囲を著しく傷つけていく。
腰を抜かしてへたり込んでいるミシェルさんにも及ぶ危険な真空波を、即座にサクラさんが割って入ってカタナで相殺した。
さすがはSランク、僕とリューゼの戦いにも一切動ぜずだよー。
「ちょいと下がるでござるよ、ミシェル殿……で、ござるな?」
「ぇ、ぁ……あ、は、はい! すみません、離脱します!」
近くにいると間違いなくミシェルさんの身が危険だ。そう判断してサクラさんが彼女を抱えて離れたところへと誘導していく。
ありがたい……っていうかリューゼ、自分の仲間が近くにいるのにお構いなしか、相変わらず雑だね、ホント!
振るわれるザンバー。斬撃にしろ刺突にしろ、狙いは常に的確に僕のわずかな隙を突いてくる。
それを丁寧に合わせて杭打ちくんで迎撃しながらも、僕はリューゼリアへと問いかけた。
「いつここに来たのさ、まさかパーティーを置いて自分だけで来たの、リューゼリア!!」
「ついさっきだよォ! テメェがわけ分からんパーティーに入るだのシミラが殺されるだの聞いて、さっさと来てやったのさ!! 感謝しやがれよ、ソウマァッ!!」
「手間が省ける分には感謝してもいいけど、ねぇっ!!」
さっきこの辺に来て、どうやら落ち合う約束でもしてたのかな? 迷宮内に潜ってミシェルさんと話し合ってたっぽいねー。
とはいえ戦慄の群狼本隊を差し置いてリーダーが単身、乗り込んできたんだからミシェルさんもさぞかし驚いたことだろう。さっきの言い合いはそれゆえのことだろうね。
一々間にメッセンジャーをかませることなく、リューゼリアとダイレクトに交渉できそうなのは助かるよー。
でも感謝を押し付けてこられても困るね、ましてや僕を見るなり切りかかってきておいてそんなこと言われても、知ったこっちゃないんだよー!
「────っしゃあっ!!」
「あん!?」
「不躾でござるなぁ、レジェンダリーセブンッ!!」
と、鍔迫り合いのタイミングでサクラさんが横合いから、リューゼリア相手に斬り掛かってきた。あいつの意識の隙間を突いた、見事なまでの奇襲攻撃。
ミシェルさんを安全な位置に送り届けてからすぐに切り込んできたのか、良いね! 別に一対一で尋常な勝負なんて話でもないのさ、2対1ならリューゼも押し切れるだろ!
「ワカバァ!? ……じゃあねえ、誰だテメェ邪魔すんなァこの野郎があっ!! っしゃらぁぁぁっ!!」
「ぬ──っおおおおぉぉぉっ!!」
唐突な横槍に一瞬、かつてのワカバ姉を思い出したんだろうリューゼリアが素っ頓狂に叫んだ。
調査戦隊時代も喧嘩の最中、ワカバ姉が特に理由もなく横槍を入れて話を掻き回していたからね……気持ちは分かるよー。
それでもすぐに気を取り直してリューゼは吼えた。その場を軽く飛び退き、力任せにザンバーを横薙ぎに振るい僕を牽制。
さらにはサクラさんのカタナを迎撃したんだ。体格が違いすぎる斬撃は威力も桁違いだ、サクラさんが普通に押し負けている!
「コイツぁ、Sランクか! ヒノモトん着物、テメエだなサクラ・ジンダイとやらはァ!! ちったぁやるじゃねぇかっ」
「いかにも……! かくいうそちらは、リューゼリア・ラウドプラウズ殿とお見受けするでござるが!?」
「言うまでもねーだろそんなこと、オレぁいかにもリューゼリア様だよゥ!!」
膂力で勝るリューゼが、力任せにサクラさんを押し切ろうとしている。僕もすかさずカットに入ろうとするけど、それより先にサクラさんが動いた。
流れるような動きでザンバーをいなし、側面に回り込む。水か、あるいは風かを彷彿とさせる滑らかな動きはそれゆえに早い。
そしてそこからリューゼの胴体めがけて突きを放つ! 狙いは肋骨と肋骨の間、護られている内臓か。
ヒノモトの戦士として相当訓練をしたんだろう、悍ましいまでに的確な狙いなのが一瞬ながらに分かるよー。
「死にゃあしないでござろうが、一応加減はするでござるよ──!」
「っ、舐めんなァァァッ!!」
一瞬の交錯。短く嘯くサクラさんにリューゼリアは激昂して叫んだ。
ちょっぴりだけキレたね、今……ザンバーを咄嗟に地面に突き刺し、反動で高く飛び上がる!
リンダ先輩が見せたのと同じ類の技術だけど、練度や完成度は比べ物にならない。
さらに飛び跳ねた反動でザンバーを引き抜き、それをもってサクラさんへと反撃してきたんだ!
回避と攻撃を同タイミングで行う、攻防一体の技だよー!
互いに迷宮攻略法を駆使してのこの打ち合いは、世界的にも滅多にない最強クラスの中でも特に際立った、まさしくトップクラス同士の貴重な光景だろう。
僕もあいつもまだまだ全力でないものの、それでも一撃ごとに発生する衝撃波が周囲を著しく傷つけていく。
腰を抜かしてへたり込んでいるミシェルさんにも及ぶ危険な真空波を、即座にサクラさんが割って入ってカタナで相殺した。
さすがはSランク、僕とリューゼの戦いにも一切動ぜずだよー。
「ちょいと下がるでござるよ、ミシェル殿……で、ござるな?」
「ぇ、ぁ……あ、は、はい! すみません、離脱します!」
近くにいると間違いなくミシェルさんの身が危険だ。そう判断してサクラさんが彼女を抱えて離れたところへと誘導していく。
ありがたい……っていうかリューゼ、自分の仲間が近くにいるのにお構いなしか、相変わらず雑だね、ホント!
振るわれるザンバー。斬撃にしろ刺突にしろ、狙いは常に的確に僕のわずかな隙を突いてくる。
それを丁寧に合わせて杭打ちくんで迎撃しながらも、僕はリューゼリアへと問いかけた。
「いつここに来たのさ、まさかパーティーを置いて自分だけで来たの、リューゼリア!!」
「ついさっきだよォ! テメェがわけ分からんパーティーに入るだのシミラが殺されるだの聞いて、さっさと来てやったのさ!! 感謝しやがれよ、ソウマァッ!!」
「手間が省ける分には感謝してもいいけど、ねぇっ!!」
さっきこの辺に来て、どうやら落ち合う約束でもしてたのかな? 迷宮内に潜ってミシェルさんと話し合ってたっぽいねー。
とはいえ戦慄の群狼本隊を差し置いてリーダーが単身、乗り込んできたんだからミシェルさんもさぞかし驚いたことだろう。さっきの言い合いはそれゆえのことだろうね。
一々間にメッセンジャーをかませることなく、リューゼリアとダイレクトに交渉できそうなのは助かるよー。
でも感謝を押し付けてこられても困るね、ましてや僕を見るなり切りかかってきておいてそんなこと言われても、知ったこっちゃないんだよー!
「────っしゃあっ!!」
「あん!?」
「不躾でござるなぁ、レジェンダリーセブンッ!!」
と、鍔迫り合いのタイミングでサクラさんが横合いから、リューゼリア相手に斬り掛かってきた。あいつの意識の隙間を突いた、見事なまでの奇襲攻撃。
ミシェルさんを安全な位置に送り届けてからすぐに切り込んできたのか、良いね! 別に一対一で尋常な勝負なんて話でもないのさ、2対1ならリューゼも押し切れるだろ!
「ワカバァ!? ……じゃあねえ、誰だテメェ邪魔すんなァこの野郎があっ!! っしゃらぁぁぁっ!!」
「ぬ──っおおおおぉぉぉっ!!」
唐突な横槍に一瞬、かつてのワカバ姉を思い出したんだろうリューゼリアが素っ頓狂に叫んだ。
調査戦隊時代も喧嘩の最中、ワカバ姉が特に理由もなく横槍を入れて話を掻き回していたからね……気持ちは分かるよー。
それでもすぐに気を取り直してリューゼは吼えた。その場を軽く飛び退き、力任せにザンバーを横薙ぎに振るい僕を牽制。
さらにはサクラさんのカタナを迎撃したんだ。体格が違いすぎる斬撃は威力も桁違いだ、サクラさんが普通に押し負けている!
「コイツぁ、Sランクか! ヒノモトん着物、テメエだなサクラ・ジンダイとやらはァ!! ちったぁやるじゃねぇかっ」
「いかにも……! かくいうそちらは、リューゼリア・ラウドプラウズ殿とお見受けするでござるが!?」
「言うまでもねーだろそんなこと、オレぁいかにもリューゼリア様だよゥ!!」
膂力で勝るリューゼが、力任せにサクラさんを押し切ろうとしている。僕もすかさずカットに入ろうとするけど、それより先にサクラさんが動いた。
流れるような動きでザンバーをいなし、側面に回り込む。水か、あるいは風かを彷彿とさせる滑らかな動きはそれゆえに早い。
そしてそこからリューゼの胴体めがけて突きを放つ! 狙いは肋骨と肋骨の間、護られている内臓か。
ヒノモトの戦士として相当訓練をしたんだろう、悍ましいまでに的確な狙いなのが一瞬ながらに分かるよー。
「死にゃあしないでござろうが、一応加減はするでござるよ──!」
「っ、舐めんなァァァッ!!」
一瞬の交錯。短く嘯くサクラさんにリューゼリアは激昂して叫んだ。
ちょっぴりだけキレたね、今……ザンバーを咄嗟に地面に突き刺し、反動で高く飛び上がる!
リンダ先輩が見せたのと同じ類の技術だけど、練度や完成度は比べ物にならない。
さらに飛び跳ねた反動でザンバーを引き抜き、それをもってサクラさんへと反撃してきたんだ!
回避と攻撃を同タイミングで行う、攻防一体の技だよー!