地下19階、ついに見つけたミシェルさん。相変わらず身の丈以上のザンバーを担いでいるのがなんともまあ目立つ姿なんだけど、今はそれどころじゃない。
彼女と言い合いしていた、もう一人のおんなが……ここにいるはずのない人、レジェンダリーセブンが一角。"戦慄の冒険令嬢"リューゼリア・ラウドプラウズその人だったからだ。
戸惑いを隠せず、僕は呻く。
「リューゼがなんでここに──」
「────ソォォォォォォウゥゥゥマァァァァァァ!!」
「っ!?」
僕が彼女達を見つけたように、彼女達もまた僕を見つける。瞬間、リューゼリアが吼えた。
ウェーブがかった金の長髪。2メートルを超える長身の腰回りまで伸びたそれを昂ぶる感情とともに揺らめかせ、黙っていれば深窓の令嬢にも例えられる美しい顔、整った口元を大きく開けて叫んだんだ。
迷宮全体を揺らしてるんじゃないか、そう思わせる声量。
威圧を込めてるね、それも本気で! 隣のミシェルさんが腰を抜かしているのをよそに、あいつは、リューゼリアは背中に負っていたザンバーを取り出し駆けた。
ミシェルさんの持つソレより、さらにもうちょいだけ長く大きい。けれどリューゼリアの体格にはピッタリだよ、まるで木の枝か何かみたいにブルンブルン振り回してこちらに向かってくる!
言うまでもなく仕掛けてくる気だ! 僕は杭打ちくんを右手に構えて全力迎撃の姿勢を取った。同時にあいつが大きく迷宮の天井スレスレまで飛び上がる。
そしてそこから僕に向け、一直線に降下しつつザンバーを振り下ろしてきたんだ!
「フッ! ッハッハ!! ッハハハハハァーッ!! ひっさしぶりだァ、3年ぶりかゴルァーッ!?」
「っ!!」
「ヤバッ……ソウマ殿!?」
分かりきった太刀筋、正直さはミシェルさんのそれと大差ない。でも攻撃そのものの圧、威しが凄まじい!
サクラさんが咄嗟に飛び跳ねて射程から離れる。僕の名を呼ぶけど、ごめんね避けるつもりなんてないんだ!
振り下ろされるザンバーに真正面から、杭打ちくんの射出口をぶち当てる!
ズドォォォン!! ──轟音とともに生じた衝撃波だけで、周囲の地形がひび割れていく威力。しかも押しも押されもせぬまさしく互角の様相。
ただ、体格ゆえか単純なパワーは向こうのが上だね、やっぱり……!
拮抗状態、やや僕に不利って感じの力比べを維持しながら、僕は笑顔を浮かべてリューゼに笑いかけた。
「くっ……リューゼ! 久しぶりー!!」
「おうよ! 相変わらずちっこくて安心するぜぇっ、ルルァァッ!!」
「なんの!!」
なんとも殺伐とした3年ぶりの挨拶、だけど僕とリューゼはこんなもんだ、昔からね。
躍起になって僕を下そうとする彼女と、それを迎え撃つ僕。まるで変わらない。変わったのは互いの立ち位置だけ。
ザンバーを押し込むリューゼの攻撃を、杭打ちくんの角度をずらして逸らす。普通ならそこで体勢を崩したところをすかさずズドン、だけど相手はさすがにレジェンダリーセブン。
咄嗟に空中で方向転換して僕から離れ、ザンバーを構え直してなお追撃に移ろうとする。
そうはさせない、今度はこっちだよー!
構え直す段階で次は僕が踏み込み、一瞬で距離を詰める。ミシェルさん同様、ザンバーってのは密着されるとやり難いだろ!!
懐に潜り込んでの、密着ブロー! 懐かしい味だろう、喰らえ!!
「っ!!」
「うおっ!? っな、めんなァッ!!」
「何っ!?」
「どつき倒してやらァーッ!!」
動きについて来れないだろうタイミングで放った杭打ちくんによる打撃。それをギリギリのところでリューゼは対応してみせた。
体重移動で軸足を移し、身体を無理矢理反転させて身を翻して回避したんだ。同時にザンバーを手放し、素手で僕の頬っつらめがけて鉄拳を────
「なんのっ!」
「ち、いいいっ!!」
ぶち込もうってんだろうけどそうは行かないよー! 僕もすかさず上体を逸して紙一重で拳を避ける。危なっ、ギリギリだよー!
ここからもう一発、ってできれば良かったんだけど、とはいえお互いこうなると体勢は完全に崩れてしまって、もはや応戦どころじゃない。
仕方なく揃ってバックステップして距離を取り、僕は杭打ちくんを、リューゼリアはザンバーを構え直した。
獰猛な笑みを浮かべてリューゼが聞いてくる。
「ってめえ、そいつぁ杭打ちくんかよ、モニカから聞いてた新型か!?」
「追放されてちょっとしてからね! 杭打ちくん3号だよ、よろしくっ!!」
「……ダーッハッハッハッハッ!! そうこなくちゃなあ、杭打ちぃ!!」
そういえば杭打ちくん3号の開発時期は、調査戦隊を追放されてからしばらくしてからのことだったんだ。リューゼが知るはずもないよねー。
負けじと僕も凶悪だろう笑みを浮かべる。成り行きから完全に戦いになっちゃってるけどこんなのいつものことさ!
声を上げて笑うリューゼもまた、再度突撃を仕掛けてきた! 今度こそ返り討ちだ!!
彼女と言い合いしていた、もう一人のおんなが……ここにいるはずのない人、レジェンダリーセブンが一角。"戦慄の冒険令嬢"リューゼリア・ラウドプラウズその人だったからだ。
戸惑いを隠せず、僕は呻く。
「リューゼがなんでここに──」
「────ソォォォォォォウゥゥゥマァァァァァァ!!」
「っ!?」
僕が彼女達を見つけたように、彼女達もまた僕を見つける。瞬間、リューゼリアが吼えた。
ウェーブがかった金の長髪。2メートルを超える長身の腰回りまで伸びたそれを昂ぶる感情とともに揺らめかせ、黙っていれば深窓の令嬢にも例えられる美しい顔、整った口元を大きく開けて叫んだんだ。
迷宮全体を揺らしてるんじゃないか、そう思わせる声量。
威圧を込めてるね、それも本気で! 隣のミシェルさんが腰を抜かしているのをよそに、あいつは、リューゼリアは背中に負っていたザンバーを取り出し駆けた。
ミシェルさんの持つソレより、さらにもうちょいだけ長く大きい。けれどリューゼリアの体格にはピッタリだよ、まるで木の枝か何かみたいにブルンブルン振り回してこちらに向かってくる!
言うまでもなく仕掛けてくる気だ! 僕は杭打ちくんを右手に構えて全力迎撃の姿勢を取った。同時にあいつが大きく迷宮の天井スレスレまで飛び上がる。
そしてそこから僕に向け、一直線に降下しつつザンバーを振り下ろしてきたんだ!
「フッ! ッハッハ!! ッハハハハハァーッ!! ひっさしぶりだァ、3年ぶりかゴルァーッ!?」
「っ!!」
「ヤバッ……ソウマ殿!?」
分かりきった太刀筋、正直さはミシェルさんのそれと大差ない。でも攻撃そのものの圧、威しが凄まじい!
サクラさんが咄嗟に飛び跳ねて射程から離れる。僕の名を呼ぶけど、ごめんね避けるつもりなんてないんだ!
振り下ろされるザンバーに真正面から、杭打ちくんの射出口をぶち当てる!
ズドォォォン!! ──轟音とともに生じた衝撃波だけで、周囲の地形がひび割れていく威力。しかも押しも押されもせぬまさしく互角の様相。
ただ、体格ゆえか単純なパワーは向こうのが上だね、やっぱり……!
拮抗状態、やや僕に不利って感じの力比べを維持しながら、僕は笑顔を浮かべてリューゼに笑いかけた。
「くっ……リューゼ! 久しぶりー!!」
「おうよ! 相変わらずちっこくて安心するぜぇっ、ルルァァッ!!」
「なんの!!」
なんとも殺伐とした3年ぶりの挨拶、だけど僕とリューゼはこんなもんだ、昔からね。
躍起になって僕を下そうとする彼女と、それを迎え撃つ僕。まるで変わらない。変わったのは互いの立ち位置だけ。
ザンバーを押し込むリューゼの攻撃を、杭打ちくんの角度をずらして逸らす。普通ならそこで体勢を崩したところをすかさずズドン、だけど相手はさすがにレジェンダリーセブン。
咄嗟に空中で方向転換して僕から離れ、ザンバーを構え直してなお追撃に移ろうとする。
そうはさせない、今度はこっちだよー!
構え直す段階で次は僕が踏み込み、一瞬で距離を詰める。ミシェルさん同様、ザンバーってのは密着されるとやり難いだろ!!
懐に潜り込んでの、密着ブロー! 懐かしい味だろう、喰らえ!!
「っ!!」
「うおっ!? っな、めんなァッ!!」
「何っ!?」
「どつき倒してやらァーッ!!」
動きについて来れないだろうタイミングで放った杭打ちくんによる打撃。それをギリギリのところでリューゼは対応してみせた。
体重移動で軸足を移し、身体を無理矢理反転させて身を翻して回避したんだ。同時にザンバーを手放し、素手で僕の頬っつらめがけて鉄拳を────
「なんのっ!」
「ち、いいいっ!!」
ぶち込もうってんだろうけどそうは行かないよー! 僕もすかさず上体を逸して紙一重で拳を避ける。危なっ、ギリギリだよー!
ここからもう一発、ってできれば良かったんだけど、とはいえお互いこうなると体勢は完全に崩れてしまって、もはや応戦どころじゃない。
仕方なく揃ってバックステップして距離を取り、僕は杭打ちくんを、リューゼリアはザンバーを構え直した。
獰猛な笑みを浮かべてリューゼが聞いてくる。
「ってめえ、そいつぁ杭打ちくんかよ、モニカから聞いてた新型か!?」
「追放されてちょっとしてからね! 杭打ちくん3号だよ、よろしくっ!!」
「……ダーッハッハッハッハッ!! そうこなくちゃなあ、杭打ちぃ!!」
そういえば杭打ちくん3号の開発時期は、調査戦隊を追放されてからしばらくしてからのことだったんだ。リューゼが知るはずもないよねー。
負けじと僕も凶悪だろう笑みを浮かべる。成り行きから完全に戦いになっちゃってるけどこんなのいつものことさ!
声を上げて笑うリューゼもまた、再度突撃を仕掛けてきた! 今度こそ返り討ちだ!!