思わぬ道端での古代文明人同士の初遭遇。本当はもっとロマン溢れる感じのシチュエーションやタイミングで行われるべきなんじゃなかったのかなーと一人、微妙な面持ちになりつつも僕とレリエ産はその場をあとにしたよー。
アレンくん達はこのあと商店街にあるレストランに行くみたいだ。なんでもヒカリちゃんがその店を好んでいるとのことらしい。
てっきりブランドン・ステーキハウスに行くのかと思ったけどよくよく考えるとあのお店、成り立ての冒険者にはお高いからね。
僕だってまだまだDランクだけれど、そこはほらゴールドドラゴン絡みの依頼が現状、僕にしか請け負えない特別依頼だからしこたま儲けさせてもらっているよー。
やっぱり持つべきは金払いのいい顧客だねー。なんてことを考えながらギルドに到着。
いつものギルドの受付嬢リリーさんに報告がてら、世間話ってわけじゃないけど途中で寄った孤児院で会った"戦慄の群狼"のメンバー、ミシェルさんについて話す。
「────というわけで近々、リューゼが一団を率いてこの国のこの町にやって来るってさ。いやー賑やかになるねー」
「とんでもないことをサラリと言うわね……今や世界最高峰の冒険者なのよ、彼女も……」
さっそくリューゼ率いる本隊が来るよーって話をしたら、リリーさんってば案の定頭を抱えちゃった。そりゃそうだよねー。
元調査戦隊メンバー、とりわけレジェンダリーセブンの七人は今や世界に大きな影響をもたらしているって言われているほどにいろんな種類の力を持っている。
政治にせよ、軍事にせよ、あるいは個人の戦力にせよ率いるパーティーの規模にせよ──一挙手一投足がすっかり注目の的になっちゃってるくらいに、様々な意味で重要な存在なわけだねー。
そんなレジェンダリーセブンの一人がエウリデに戻ってくる。それも自らが率いるパーティーを引き連れて、腰を落ち着けるっていうんだ。
当事者国はもちろん、直接関係してない国だっててんやわんやかもしれないよー。これから渦中に突入するだろうこの町の冒険者ギルドとしては、頭を抱えるしかない重大事項なんだろうねー。
みたいなことをリリーさんと二人、つらつら喋っているとレリエさんが純真無垢に、感心した様子でつぶやいた。
「そうなんだぁ。ソウマくんの古馴染みはそういうの多いのね、世界最高とか最強格とか」
「そもそもソウマくん自身が世界5本の指に入る冒険者だもの。見た目はかわいいし、言動はこんなだけど」
「どんなのー?」
見た目がかわいいは余計だよー? と軽口はおいておくにしても、僕の知り合いがやたらすごい感じになってる人ばかりなのは自覚があるよ。
こればっかりは仕方ないよねー。調査戦隊の、特に中枢メンバーの実力と功績はどこの誰が見ても疑いようのないものだし。
そのメンバー達とつるんでた僕だから、どうしても知り合いに化物だらけってことになっちゃうんだねー。
「……とりあえずリューゼリアさんの件についてはギルド長に報告して対応を決めるわ。どのみち彼女に指図するなんて誰にもできないけれど、交渉次第である程度、こちらにも利があるように動いてもらえる可能性もあるしね」
「先に言っとくけど僕を交渉のカードに使うのは止めてねー。昔ならともかく今のリューゼが僕のこと、憎んでないとも限らないから話が拗れるよー」
リリーさんに、というかリリーさんを通じてこの話を知ることになるベルアニーギルド長に釘を差しておく。僕は調査戦隊解散を招いたってことで、元メンバーからは多分嫌われてるからね。
だからたとえば交渉の場に僕を呼び出しでもしたら、下手したらその場で殺し合いだよー。僕だって好きで抜けたわけじゃないから悪いけど抵抗するし、そうなると間違いなく街の一角は消滅しちゃうよー。
そう言うとレリエさんは痛ましげに僕を見るし、リリーさんは目を閉じて悼むように黙り込む。深刻そうだけど、もう全部終わったことだからね、3年前に。
今の僕には新世界旅団がある。だからそんな気の毒げにしてもらわなくてもいいんだけどなー。この人達、美人な上に優しいんだよねー。
しばしの沈黙のあと、リリーさんが肩をすくめて言う。
「レジェンダリーセブンの7人に限って、エウリデを憎みこそすれあなたを憎むなんてないとは思うけど……まあ分かったわ、考慮しとく」
「どうもー。でも向こうが僕を要求してきたらそれには応じるよ。まあいろいろ、募る話もあるかもだし」
「リューゼリアさんが来たら言っておくわ、ソウマくん」
その言葉に頷いて、僕とレリエさんは席を立つ。報告も終わったし報酬ももらえたし、ギルドにいる意味はもう薄いねー。
リリーさんと長々談笑ってのも悪くないんだけれど、新世界旅団のミーティングもあるしね。
帰りましょうかー。
「じゃ、また来まーす」
「お邪魔しましたー」
「はい、お疲れ様。またいつでも来てね、二人とも」
最後にお互い、手を振ってサヨナラする。はー、今日もお仕事終わりだよー。
お疲れ様ーって二人、労いあいつつも僕らはギルドからサクラさんの家に向けて移動するのだった。
アレンくん達はこのあと商店街にあるレストランに行くみたいだ。なんでもヒカリちゃんがその店を好んでいるとのことらしい。
てっきりブランドン・ステーキハウスに行くのかと思ったけどよくよく考えるとあのお店、成り立ての冒険者にはお高いからね。
僕だってまだまだDランクだけれど、そこはほらゴールドドラゴン絡みの依頼が現状、僕にしか請け負えない特別依頼だからしこたま儲けさせてもらっているよー。
やっぱり持つべきは金払いのいい顧客だねー。なんてことを考えながらギルドに到着。
いつものギルドの受付嬢リリーさんに報告がてら、世間話ってわけじゃないけど途中で寄った孤児院で会った"戦慄の群狼"のメンバー、ミシェルさんについて話す。
「────というわけで近々、リューゼが一団を率いてこの国のこの町にやって来るってさ。いやー賑やかになるねー」
「とんでもないことをサラリと言うわね……今や世界最高峰の冒険者なのよ、彼女も……」
さっそくリューゼ率いる本隊が来るよーって話をしたら、リリーさんってば案の定頭を抱えちゃった。そりゃそうだよねー。
元調査戦隊メンバー、とりわけレジェンダリーセブンの七人は今や世界に大きな影響をもたらしているって言われているほどにいろんな種類の力を持っている。
政治にせよ、軍事にせよ、あるいは個人の戦力にせよ率いるパーティーの規模にせよ──一挙手一投足がすっかり注目の的になっちゃってるくらいに、様々な意味で重要な存在なわけだねー。
そんなレジェンダリーセブンの一人がエウリデに戻ってくる。それも自らが率いるパーティーを引き連れて、腰を落ち着けるっていうんだ。
当事者国はもちろん、直接関係してない国だっててんやわんやかもしれないよー。これから渦中に突入するだろうこの町の冒険者ギルドとしては、頭を抱えるしかない重大事項なんだろうねー。
みたいなことをリリーさんと二人、つらつら喋っているとレリエさんが純真無垢に、感心した様子でつぶやいた。
「そうなんだぁ。ソウマくんの古馴染みはそういうの多いのね、世界最高とか最強格とか」
「そもそもソウマくん自身が世界5本の指に入る冒険者だもの。見た目はかわいいし、言動はこんなだけど」
「どんなのー?」
見た目がかわいいは余計だよー? と軽口はおいておくにしても、僕の知り合いがやたらすごい感じになってる人ばかりなのは自覚があるよ。
こればっかりは仕方ないよねー。調査戦隊の、特に中枢メンバーの実力と功績はどこの誰が見ても疑いようのないものだし。
そのメンバー達とつるんでた僕だから、どうしても知り合いに化物だらけってことになっちゃうんだねー。
「……とりあえずリューゼリアさんの件についてはギルド長に報告して対応を決めるわ。どのみち彼女に指図するなんて誰にもできないけれど、交渉次第である程度、こちらにも利があるように動いてもらえる可能性もあるしね」
「先に言っとくけど僕を交渉のカードに使うのは止めてねー。昔ならともかく今のリューゼが僕のこと、憎んでないとも限らないから話が拗れるよー」
リリーさんに、というかリリーさんを通じてこの話を知ることになるベルアニーギルド長に釘を差しておく。僕は調査戦隊解散を招いたってことで、元メンバーからは多分嫌われてるからね。
だからたとえば交渉の場に僕を呼び出しでもしたら、下手したらその場で殺し合いだよー。僕だって好きで抜けたわけじゃないから悪いけど抵抗するし、そうなると間違いなく街の一角は消滅しちゃうよー。
そう言うとレリエさんは痛ましげに僕を見るし、リリーさんは目を閉じて悼むように黙り込む。深刻そうだけど、もう全部終わったことだからね、3年前に。
今の僕には新世界旅団がある。だからそんな気の毒げにしてもらわなくてもいいんだけどなー。この人達、美人な上に優しいんだよねー。
しばしの沈黙のあと、リリーさんが肩をすくめて言う。
「レジェンダリーセブンの7人に限って、エウリデを憎みこそすれあなたを憎むなんてないとは思うけど……まあ分かったわ、考慮しとく」
「どうもー。でも向こうが僕を要求してきたらそれには応じるよ。まあいろいろ、募る話もあるかもだし」
「リューゼリアさんが来たら言っておくわ、ソウマくん」
その言葉に頷いて、僕とレリエさんは席を立つ。報告も終わったし報酬ももらえたし、ギルドにいる意味はもう薄いねー。
リリーさんと長々談笑ってのも悪くないんだけれど、新世界旅団のミーティングもあるしね。
帰りましょうかー。
「じゃ、また来まーす」
「お邪魔しましたー」
「はい、お疲れ様。またいつでも来てね、二人とも」
最後にお互い、手を振ってサヨナラする。はー、今日もお仕事終わりだよー。
お疲れ様ーって二人、労いあいつつも僕らはギルドからサクラさんの家に向けて移動するのだった。