話もそこそこにステーキも食べ終わる。僕はもちろんのこと、レリエさんまで400gをぺろりと平らげたのは正直予想外だったよー。
多少余ったら僕がもらおうって思ってたので、こうして完食したってことはそれだけブランドンさんのステーキは最高だったってことだ。僕の好きなお肉をレリエさんにも気に入ってもらえて、なんだかとっても嬉しいよー。
「はふう……ごちそうさまでした。この時代に来てからたくさん美味しいものを食べてきたけど、今回はダントツだったわ」
「えへへ、良かったよー! ごちそうさまー!」
食後のコーヒーをも飲み干して、二人息を吐く。
お互いすっかり満足だ。レリエさんもステーキ自体は学校近くのお店とかで食べてたけど、あっちは量を重視したものに対してこっちは質に拘ってるからねー。
焼き加減の絶妙さもさすがブランドンさん、完璧だった。そりゃー彼女も感動のあまり絶句するよねー。
さておきもうそろそろお昼すぎだ、僕達は席を立った。
このあとはサクラさんのお家に行って新世界旅団のミーティングをして解散だ。向こうは向こうで例によってシアンさんの訓練に精を出してるみたいだし、お互い様の進捗確認ってところかなー。
近々メルルーク教授のラボラトリーに殴り込みをかけるから、その辺の日程調整もしなきゃいけないしねー。
そういうわけでお金をしっかり払って僕らは、ステーキハウスを出たのだ。
「また来てくれよな! 杭打ちにレリエの嬢ちゃん!!」
「ごちそうさまー」
「ありがとうございます、ごちそうさまでした!」
ブランドンさんにも見送られて外へ出る。すでにマントと帽子を装着している"杭打ち"スタイルの僕はまた、外に置いてあった杭打ちくんを背負ってレリエさんと二人、歩き出す。
──と、そんな時だ。向こうから見知った面々が来て、僕は思わず立ち止まった。
「あー腹減ったー、ビフテキ食うぜビフテキ……おっ? 杭打ち?」
「えっ、杭打ちさん?」
「ピェッ!? く、くくく、くいうちしゃん!?」
「……君達は」
若い男一人に女性が二人。あとよく似た顔の子供も二人の計5人。
こないだ知り合ったパーティーだ。アレンくんにノノさん、マナちゃん。そしてヤミくんヒカリちゃん。
5人とも僕を見て驚いている。特にヤミくんなんか目を丸くして、わざわざ僕のところまで駆け寄ってくるよー。言ったらアレだけど子犬みたいでかわいいねー。
「杭打ちさん! 奇遇だねこんなところで、冒険帰り?」
「……まあ、そんなとこかな。ヤミくん達も冒険帰りにお昼ごはん?」
「うん! 僕とヒカリの訓練も兼ねて、地下3階をうろうろしてたよ」
「そっか」
頭を撫でながら話すと、ヤミくんは目を細めてくすぐったそうに僕に抱きついてくる。
なんかえらく懐かれたよー、妹にあたるヒカリちゃんが微笑ましそうにしてるのがなんか、普段と形勢逆転って感じだねー。
と、レリエさんが微かに驚きの気配を見せているのに気づく。見れば双子を見て、息を呑んでるみたいだ。
これは……知ってるんだろうねー、この子達のこと。そう、ヤミくんとヒカリちゃんもレリエさんと同様、古代文明から来た双子だからね。
戸惑う彼女に、ヤミくんとヒカリちゃんも反応した。
「…………? あれ、そっちの女の人、どこかで見た気が」
「ホントだ……あれ、え? 嘘、なんか、眠りにつく前に見た? え?」
「やっぱり……なのね。この子達も、私と同じ」
なるほど、双子のほうも薄っすらながら覚えはあり、か。こうなると今はいないけどマーテルさんもこの3人を覚えている可能性があるねー。
今頃何してるんだろうね、オーランドくんとマーテルさん。精々イチャイチャしながらの青春旅行してるんだろうけど、国の出しゃばりさえなければ4人みんな、古代文明人がこの町で集結してたんだろう。惜しいねー。
「……紹介するよ。こちらは君達と同じ境遇のレリエさん。この前眠りから覚めた、過去からの使者だよ」
「僕らと同じ……!」
「あのマーテルって女の人も併せて、これで4人目……」
つくづく残念だなーって思いつつも、アレンくん達にレリエさんを紹介する。古代文明人同士のファーストコンタクトだ、間違いなく大切な機会だよー。ここ道端だけどー。
双子は息を呑んでレリエさんを見るし、レリエさんも興味深げに双子を見ている。お互いはるかな過去から時を超えてやってきた者同士、何か感じ合うところがあるのかな?
一方で興奮に身を焦がすのがアレンくんだ。僕と同じでオカルト雑誌に傾倒するオカルトマニアだからねー、古代文明人が初対面したこの瞬間は、まさしく感動者の光景だよー。
「おいおい……! こないだのマーテルって子からこっち、また一人現れたってのか! どうなってんだよこんな矢継ぎ早に、何か運命的なものを感じるぜ……!!」
「アレン的にはものすごく好きそうな展開よね……っていうか杭打ちさんと一緒にいるってことは、こちらの方はあなたの保護下にいるってわけ?」
ノノさんが尋ねてくる。彼女やマナさんはあまり興味がないというか、そこまでのめり込んでもないみたいだ。たぶんアレンくんを追っかける形で冒険者やってるんだろう。
いいなー、僕も欲しいよおっかけー。いいなー! 内心でオーランドくんにも負けないイケメンさんのアレンくんに嫉妬しつつも、僕は頷いて答えた。
「そうなるね……冒険者登録も済ませてある。パーティーは僕と同じく、新世界旅団」
「ぴぇぇ……じ、ジンダイさんと杭打ちしゃんを抱えるエーデルライトさんが、さらに古代文明人まで……」
「かーっ! 燃えるぜ、まだギルドには登録してないんだよな新世界旅団! 本格的に発足されたらどんなパーティーになるのか、超! 楽しみだぜ!!」
マナさんが相変わらずピーピー鳴く隣で、アレンくんがなんか燃えてるー。
新世界旅団にやたら期待してるみたいだ。まあ発足までには大分時間がかかるだろうから、気長に待ってほしいよー。
多少余ったら僕がもらおうって思ってたので、こうして完食したってことはそれだけブランドンさんのステーキは最高だったってことだ。僕の好きなお肉をレリエさんにも気に入ってもらえて、なんだかとっても嬉しいよー。
「はふう……ごちそうさまでした。この時代に来てからたくさん美味しいものを食べてきたけど、今回はダントツだったわ」
「えへへ、良かったよー! ごちそうさまー!」
食後のコーヒーをも飲み干して、二人息を吐く。
お互いすっかり満足だ。レリエさんもステーキ自体は学校近くのお店とかで食べてたけど、あっちは量を重視したものに対してこっちは質に拘ってるからねー。
焼き加減の絶妙さもさすがブランドンさん、完璧だった。そりゃー彼女も感動のあまり絶句するよねー。
さておきもうそろそろお昼すぎだ、僕達は席を立った。
このあとはサクラさんのお家に行って新世界旅団のミーティングをして解散だ。向こうは向こうで例によってシアンさんの訓練に精を出してるみたいだし、お互い様の進捗確認ってところかなー。
近々メルルーク教授のラボラトリーに殴り込みをかけるから、その辺の日程調整もしなきゃいけないしねー。
そういうわけでお金をしっかり払って僕らは、ステーキハウスを出たのだ。
「また来てくれよな! 杭打ちにレリエの嬢ちゃん!!」
「ごちそうさまー」
「ありがとうございます、ごちそうさまでした!」
ブランドンさんにも見送られて外へ出る。すでにマントと帽子を装着している"杭打ち"スタイルの僕はまた、外に置いてあった杭打ちくんを背負ってレリエさんと二人、歩き出す。
──と、そんな時だ。向こうから見知った面々が来て、僕は思わず立ち止まった。
「あー腹減ったー、ビフテキ食うぜビフテキ……おっ? 杭打ち?」
「えっ、杭打ちさん?」
「ピェッ!? く、くくく、くいうちしゃん!?」
「……君達は」
若い男一人に女性が二人。あとよく似た顔の子供も二人の計5人。
こないだ知り合ったパーティーだ。アレンくんにノノさん、マナちゃん。そしてヤミくんヒカリちゃん。
5人とも僕を見て驚いている。特にヤミくんなんか目を丸くして、わざわざ僕のところまで駆け寄ってくるよー。言ったらアレだけど子犬みたいでかわいいねー。
「杭打ちさん! 奇遇だねこんなところで、冒険帰り?」
「……まあ、そんなとこかな。ヤミくん達も冒険帰りにお昼ごはん?」
「うん! 僕とヒカリの訓練も兼ねて、地下3階をうろうろしてたよ」
「そっか」
頭を撫でながら話すと、ヤミくんは目を細めてくすぐったそうに僕に抱きついてくる。
なんかえらく懐かれたよー、妹にあたるヒカリちゃんが微笑ましそうにしてるのがなんか、普段と形勢逆転って感じだねー。
と、レリエさんが微かに驚きの気配を見せているのに気づく。見れば双子を見て、息を呑んでるみたいだ。
これは……知ってるんだろうねー、この子達のこと。そう、ヤミくんとヒカリちゃんもレリエさんと同様、古代文明から来た双子だからね。
戸惑う彼女に、ヤミくんとヒカリちゃんも反応した。
「…………? あれ、そっちの女の人、どこかで見た気が」
「ホントだ……あれ、え? 嘘、なんか、眠りにつく前に見た? え?」
「やっぱり……なのね。この子達も、私と同じ」
なるほど、双子のほうも薄っすらながら覚えはあり、か。こうなると今はいないけどマーテルさんもこの3人を覚えている可能性があるねー。
今頃何してるんだろうね、オーランドくんとマーテルさん。精々イチャイチャしながらの青春旅行してるんだろうけど、国の出しゃばりさえなければ4人みんな、古代文明人がこの町で集結してたんだろう。惜しいねー。
「……紹介するよ。こちらは君達と同じ境遇のレリエさん。この前眠りから覚めた、過去からの使者だよ」
「僕らと同じ……!」
「あのマーテルって女の人も併せて、これで4人目……」
つくづく残念だなーって思いつつも、アレンくん達にレリエさんを紹介する。古代文明人同士のファーストコンタクトだ、間違いなく大切な機会だよー。ここ道端だけどー。
双子は息を呑んでレリエさんを見るし、レリエさんも興味深げに双子を見ている。お互いはるかな過去から時を超えてやってきた者同士、何か感じ合うところがあるのかな?
一方で興奮に身を焦がすのがアレンくんだ。僕と同じでオカルト雑誌に傾倒するオカルトマニアだからねー、古代文明人が初対面したこの瞬間は、まさしく感動者の光景だよー。
「おいおい……! こないだのマーテルって子からこっち、また一人現れたってのか! どうなってんだよこんな矢継ぎ早に、何か運命的なものを感じるぜ……!!」
「アレン的にはものすごく好きそうな展開よね……っていうか杭打ちさんと一緒にいるってことは、こちらの方はあなたの保護下にいるってわけ?」
ノノさんが尋ねてくる。彼女やマナさんはあまり興味がないというか、そこまでのめり込んでもないみたいだ。たぶんアレンくんを追っかける形で冒険者やってるんだろう。
いいなー、僕も欲しいよおっかけー。いいなー! 内心でオーランドくんにも負けないイケメンさんのアレンくんに嫉妬しつつも、僕は頷いて答えた。
「そうなるね……冒険者登録も済ませてある。パーティーは僕と同じく、新世界旅団」
「ぴぇぇ……じ、ジンダイさんと杭打ちしゃんを抱えるエーデルライトさんが、さらに古代文明人まで……」
「かーっ! 燃えるぜ、まだギルドには登録してないんだよな新世界旅団! 本格的に発足されたらどんなパーティーになるのか、超! 楽しみだぜ!!」
マナさんが相変わらずピーピー鳴く隣で、アレンくんがなんか燃えてるー。
新世界旅団にやたら期待してるみたいだ。まあ発足までには大分時間がかかるだろうから、気長に待ってほしいよー。