……あー結構後味悪いことしちゃったな。
今は思いついていないだけで、もしかしたらゴブリンにしか出来ない、素晴らしい戦術とかがあるのかもしれない。
だが、残念ながら今の俺では思いつかないんだよね。
「きゅ……? きゅきゅ!」
すると、肩にいたネムが手(?)を俺の頬に当て、どこか気を使うような雰囲気を出す。
あー……もしかして慰めてくれてるのかな?
優しい……!
「ありがとう。もう、大丈夫だ。どのみち、ゴブリンはギルドにもある通り討伐対象だからな。後味は悪かったが、殺したことには何とも思わない」
俺はそう言うと、そのゴブリンの死体に近づく。そして、剣で右耳を切断すると、血を拭ってからまた別の革袋に入れる。
「あ、そういや魔石もあったな」
ゴブリンは魔物であるため、魔石を体内に持っている。大した値段にはならないだろうが、取っておくに越したことは無いだろう。
高ランク冒険者なら、時間が惜しいとか言ってスルーするのだろうが、今の俺は新人駆け出し冒険者。故に、実入りの良い依頼は受けることすら出来ないのだ。そういうのって、大体難易度が高くて、高ランク冒険者じゃないと受けられないからね。
「えっと……ここだな」
俺はゴブリンの左胸を見やると、その周りに剣を刺して、くり抜くように動かす。
すると、そこから暗紫色の半透明な石が顔を覗かせた。
これが魔物で言うところの心臓、魔石だ。
魔石は基本的に魔道具の素材やそれを動かすエネルギーとして使われることが多い。他には儀式系の魔法触媒とかかな?
ゴブリンの魔石はあまり質が高くない為、使い道としてはエネルギー源にしかならないだろうが……
「……すまん。ネム。あの魔石を取ってくれないか? ついでに魔石に付着する血も食べてくれると助かる」
俺はどこか申し訳なさそうな顔で、ゴブリンの左胸に埋まる魔石を指差す。
いや……冒険者をやる上でこんなことを言うのは駄目なんだと思うけどさ。
ちょっと手を血で汚したくないんだよね……
付着した血って、多いと完全に《浄化》で消しきれないからさ。
ほら、俺って光属性魔法への適性、そんなに無いし。
「きゅきゅ!」
だが、そんな俺の内心など全く知らないネムは、俺に頼られたことに全身で喜びを露わにすると、ぴょんと下に跳び下りて、上手いこと魔石を引っ張り出す。そして、魔石に若干付いている血も食べて綺麗にすると、俺に差し出した。
「ありがとう」
「きゅきゅ!」
俺はニコリと笑みを浮かべると、跳びついてきたネムを抱きしめる。
いやー流石はネム。
頼りになる~!
「よし。それじゃ、残りもやるか」
俺はそう呟くと、近くに転がるゴブリンたちの死体に視線を向ける。
そして、今と同じ要領で右耳を取り、魔石を取ると、それらを別々の革袋に入れた。
「はーこれで600セルか。いや、魔石を含めればもうちょい上か」
これでは1日分の食費にすら届かない。
やっぱ初めの内は冒険者って結構大変なんだな。
しかも、全て俺1人で討伐したから、報酬も全て俺のものになるけど、これがパーティーとかになると、分割されるのか……
こりゃちょっと割に合わないな。
まあ、それは最初だけで、ある程度慣れてくれば、命を懸けるのにふさわしいだけの金額は稼げるようになってくる。
その時までの辛抱だ。
まあ、その時までに生きていたらの話だが……
「じゃ、次はどこに行くか……」
俺はネムに刀身に付着した血を食べてもらいながら、次の獲物を探す。
「ふむ……色々いるが……む?」
次々とスライムの視覚を見ながら次なる獲物を探していると、ふと目に留まるものがあった。
「冒険者だな。てか、あれ、結構やばくね?」
そこには体長3メートルほどの豚のような顔を持つ人型の魔物、オーク8体に苦戦する4人の冒険者の姿があった。だが、内2人は既に地面に倒れ伏している。
見た感じ死んではなさそうだが、そこそこの重傷だな。
「くっ はあっ!」
すると、前線にいる15歳ほどの男性が剣を横なぎに振る。
だが、間合い管理をミスしたせいで、オークの腹にうっすらと切り傷をつけるだけにとどまった。
そこにオークが棍棒を横なぎに振り、その男をふっ飛ばす。
「がはっ!」
男は後ろの木に背中を打ち付けると、苦悶の声を上げると共に、ずざざと地面に崩れ落ちる。
もう片方の魔法師の女性も前線にいた剣士の男性がいなったことで、いよいよガチの窮地に陥る。
「流石に助けるか」
今の動きを見るに、恐らくオークなら8体いても余裕で倒せる。
そう思った俺は即座に転移の準備を始める。
「魔力よ。空間へと干渉し、かの時空を記録せよ」
まず、そこを監視させているスライム越しに転移座標記録を使い、そこへの直接転移を可能にさせると、即座に次の詠唱を紡ぐ。
「魔力よ。空間へと干渉せよ。空間と空間を繋げ。我が身をかの空間へ送れ」
そして、俺は即座に空間転移を発動させて彼らの下へ転移した。
今は思いついていないだけで、もしかしたらゴブリンにしか出来ない、素晴らしい戦術とかがあるのかもしれない。
だが、残念ながら今の俺では思いつかないんだよね。
「きゅ……? きゅきゅ!」
すると、肩にいたネムが手(?)を俺の頬に当て、どこか気を使うような雰囲気を出す。
あー……もしかして慰めてくれてるのかな?
優しい……!
「ありがとう。もう、大丈夫だ。どのみち、ゴブリンはギルドにもある通り討伐対象だからな。後味は悪かったが、殺したことには何とも思わない」
俺はそう言うと、そのゴブリンの死体に近づく。そして、剣で右耳を切断すると、血を拭ってからまた別の革袋に入れる。
「あ、そういや魔石もあったな」
ゴブリンは魔物であるため、魔石を体内に持っている。大した値段にはならないだろうが、取っておくに越したことは無いだろう。
高ランク冒険者なら、時間が惜しいとか言ってスルーするのだろうが、今の俺は新人駆け出し冒険者。故に、実入りの良い依頼は受けることすら出来ないのだ。そういうのって、大体難易度が高くて、高ランク冒険者じゃないと受けられないからね。
「えっと……ここだな」
俺はゴブリンの左胸を見やると、その周りに剣を刺して、くり抜くように動かす。
すると、そこから暗紫色の半透明な石が顔を覗かせた。
これが魔物で言うところの心臓、魔石だ。
魔石は基本的に魔道具の素材やそれを動かすエネルギーとして使われることが多い。他には儀式系の魔法触媒とかかな?
ゴブリンの魔石はあまり質が高くない為、使い道としてはエネルギー源にしかならないだろうが……
「……すまん。ネム。あの魔石を取ってくれないか? ついでに魔石に付着する血も食べてくれると助かる」
俺はどこか申し訳なさそうな顔で、ゴブリンの左胸に埋まる魔石を指差す。
いや……冒険者をやる上でこんなことを言うのは駄目なんだと思うけどさ。
ちょっと手を血で汚したくないんだよね……
付着した血って、多いと完全に《浄化》で消しきれないからさ。
ほら、俺って光属性魔法への適性、そんなに無いし。
「きゅきゅ!」
だが、そんな俺の内心など全く知らないネムは、俺に頼られたことに全身で喜びを露わにすると、ぴょんと下に跳び下りて、上手いこと魔石を引っ張り出す。そして、魔石に若干付いている血も食べて綺麗にすると、俺に差し出した。
「ありがとう」
「きゅきゅ!」
俺はニコリと笑みを浮かべると、跳びついてきたネムを抱きしめる。
いやー流石はネム。
頼りになる~!
「よし。それじゃ、残りもやるか」
俺はそう呟くと、近くに転がるゴブリンたちの死体に視線を向ける。
そして、今と同じ要領で右耳を取り、魔石を取ると、それらを別々の革袋に入れた。
「はーこれで600セルか。いや、魔石を含めればもうちょい上か」
これでは1日分の食費にすら届かない。
やっぱ初めの内は冒険者って結構大変なんだな。
しかも、全て俺1人で討伐したから、報酬も全て俺のものになるけど、これがパーティーとかになると、分割されるのか……
こりゃちょっと割に合わないな。
まあ、それは最初だけで、ある程度慣れてくれば、命を懸けるのにふさわしいだけの金額は稼げるようになってくる。
その時までの辛抱だ。
まあ、その時までに生きていたらの話だが……
「じゃ、次はどこに行くか……」
俺はネムに刀身に付着した血を食べてもらいながら、次の獲物を探す。
「ふむ……色々いるが……む?」
次々とスライムの視覚を見ながら次なる獲物を探していると、ふと目に留まるものがあった。
「冒険者だな。てか、あれ、結構やばくね?」
そこには体長3メートルほどの豚のような顔を持つ人型の魔物、オーク8体に苦戦する4人の冒険者の姿があった。だが、内2人は既に地面に倒れ伏している。
見た感じ死んではなさそうだが、そこそこの重傷だな。
「くっ はあっ!」
すると、前線にいる15歳ほどの男性が剣を横なぎに振る。
だが、間合い管理をミスしたせいで、オークの腹にうっすらと切り傷をつけるだけにとどまった。
そこにオークが棍棒を横なぎに振り、その男をふっ飛ばす。
「がはっ!」
男は後ろの木に背中を打ち付けると、苦悶の声を上げると共に、ずざざと地面に崩れ落ちる。
もう片方の魔法師の女性も前線にいた剣士の男性がいなったことで、いよいよガチの窮地に陥る。
「流石に助けるか」
今の動きを見るに、恐らくオークなら8体いても余裕で倒せる。
そう思った俺は即座に転移の準備を始める。
「魔力よ。空間へと干渉し、かの時空を記録せよ」
まず、そこを監視させているスライム越しに転移座標記録を使い、そこへの直接転移を可能にさせると、即座に次の詠唱を紡ぐ。
「魔力よ。空間へと干渉せよ。空間と空間を繋げ。我が身をかの空間へ送れ」
そして、俺は即座に空間転移を発動させて彼らの下へ転移した。