空からはヒロインは現れない〜異世界でチート無双したい俺と天才王女の新たなる旅路〜

月明かりに照らせれて家へと帰る今日この頃。
片手でハンドルを握りながら高速道路を走っていく。
両方に山が並んでおり、星もよく見えてすごくきれだ。
そしてふとこんなことを言ってみた。

「マジで死にてぇ」

なんなんだよなほんと、もう今23時やぞ、しかも今から1時間ぐらい運転しないと帰れないしな、、、うぁッ、片手運転安定しなさすぎだろバカか格好つけんな、ちゃんと運転しよ。
俺、鈴木はやと24歳、未だ童貞の現役バリバリの社畜だ。
大体こうなる原因は上司にある。
俺の女上司が「ねぇ、はやとくーん、かっこいい君なら、この仕事もちゃちゃっとイチコロよね♡」とかお色気戦法使ってくんだよな46歳のおばさんのくせに犯して調教して復讐みたいなことしたいとも思わん。
で、結局こうやって帰宅23時と、意味がわからん、これでもいい方なんだよな、、、悪いと3時帰宅とかあるんだよな、帰る意味ないよな…
そんな愚痴をこぼしていたら、いつの間にか高速を抜けていた。

「mw3で知性捨てて敵ボッコボコにするか、虹6とかして頭使うのやだし」

そんな俺は最近ハマってる曲がある。それは Boys Town GangのCant take my eyes off youだ。王道だが、やっぱ有名なだけあっていい曲でノリがいい。
cdを車にかけて音楽を再生する。

♫〜

「ンンン〜ンンン〜」

やっぱ俺って歌上手いんだなってつくづく思う。
それにしてもやっぱりなんか元気が出る。なんかこう、ね?
そうやって聞いてる内にBメロに歌が入っていく。
周りにもビルなどが見え始め、灯りも増えてきた。

「ンンン〜ンンン〜」

来たー!テーレテーレテーレテッテッテのやつや!ここは有名やから知らんやつはおらんやろ。
さびが近づいてくる、このワクワク感がたまらない。
♫〜
くるぞ
大きく息を吸ってあまり迷惑がかからない程度の大きさでいう。

「アイラブユーべ、うぁッ_!」

そう言いながら横を向いたらすごいアホずらな男がこっちを向いて座っていた。

せいぜい女であれや

車を駐車場に停めて、三人を家の中に入れた。
俺は自分のソファに座り、三人はカーペットの上に座っている。
そして俺は口を開いた。

「で、お前ら誰?」

間違ってホモ展開に発展してしまいそうになった男が言ってくる。

「俺たちは別の世界から来た。俺はランパードで俺の右にいる杖を持ってる人がフェミエル、そしてここにいる王女みたいな格好をしている人がリエルだ。ちなみに、リエルは本物の国の王女様だ」

なんだこいつ、俺よりハーレムしてるじゃねぇか。
いや、そんなんはどうでもいい、別の世界?異世界ってことか?!
しかも、国の王女様ときた。
そういうのは「こ◯すば」とか「無◯転生」とか読んでたから心踊ってしまう。
リエルとかいうやつが言ってくる。

「私の持っているこのクリスタルに大量の魔力が眠っています。私たちはこれを狙っているハーマイド帝国の王、ルクセンハーゲンにこれを渡さないため、お父さんからこのクリスタルを預かり、逃げてきました」

なんでそんな物騒なもん娘に持たせるかね。

「そこでお願いがあります。私たちをここに住ませてもらえませんでしょうか?」

は?

え?、ちょっと待って、それ俺出費ヤバいことになるくないか?

「もちろん、私たちにできることがあるなら何なりとお申し付けくだいさい」

でた、何なりととか言っといて「なら脱げ」とか言ったらブチギレてくるやつな。
まぁでも仕事を手伝ってくれるのかもしれないし、空いてる部屋あるから住まわせてやってもいいかもな。

「ちなみに質問なんだけど、なんで俺の言ってる言葉わかるの?」

リエルがいう。

「それは、お父さんがこっちの世界で住みやすいようにと似た言語を使ってる国を探してくだっさって、出てきたのが日本というわけです」
そんなんが異世界にはあるのか、すげーな異世界!

「ちなみに、そのルクセンハーゲンってどんぐらい強いの?」

フェミエルがいう

「そりゃもう、この街が丸ごと吹き飛ぶぐらいには」

ひぇ〜、そんなもん、よく相手にするよな

「てか、ちなみにそのルクセンハーゲンとやらが俺の家にこんにちはしてくるとかはないよね?」

「「「___」」」

みんなが黙り込む。
なんか浮気現場みたいな空気になった状態でフェミエルという女が口を開ける。

「も、もしかしたらね」

「出てけ」

三人を引きずり出そうとするがみんな抵抗してくる。
一人に関してはなんか杖を上に向けてぐるぐるし始めた。
なんだ?エクスプロージョンでも打つのか?いや普通にやめて欲しいんだが。
そんな中ある人が話しかけてきた。

「そこの四人、あんたら誰よ」

俺忘れてんじゃねぇよばあちゃん。
俺のことは忘れんなよなばあちゃん

この人は俺のばあちゃんだ。
81なのにめちゃくちゃ元気で、なんなら俺より元気だ。

フェミエルが言った。

「どうかお願いします。このクソケチ祖チン野郎の言葉なんて聞かず、一緒に住まわせてくれやしないでしょうか?」

おうおう急にどうしたお兄さんそこまで言われるとちょっと言い返したいんだけど。

「あぁーね、まぁいいんじゃない?」

まず息子がクソケチ祖チン野郎って言われてることを否定しろやババァが。

「ばあちゃんほんとに言ってるの?こいつらがいると、やばいやつが家に訪問されに来られる可能性があるんだよ!」

「いいじゃない別に、お茶でも飲んで話し合えばやばいやつだって仲良くなれるわよ」

このババァ、そこら辺にいる文句言ってくるおじさんとかがくると思ってやがる。もっとヤベェのがくんだよ、ルクセンハーゲンさんと愉快な仲間たちが。

「そうよ、このお方が言ってるのだから住ませてくれていいじゃない」

リエルがそう言ってきた。

なんかお前ら態度デカくなってね?

「お願いします、このリエル、あなたさまの言うことなら何なりと叶えてあげましょう」

そう言って、ばあちゃんに土下寝をしてお願いした。
そりゃもう、ニート時代に俺がばあちゃんに何度もした、完全究極体の美しい土下寝にそっくりだった。

「まぁいいじゃないはやと、騒がしい方がわたしゃぁ好きだよ」

そして、俺にいろいろな感情が乗った顔で言ってきた。

「家賃、誰が払ってると思ってるんだい?」

「スゥーーーーーーーーーーーーー」

精一杯、今にも流れ落ちそうな涙を我慢していう。

「本当に大変申し訳ございませんでした。」

そう言ってずっと土下寝してるリエルの横に並んで一緒に土下寝をかました。

「あんたたち、死んだ魚みたいになってるじゃない。仲良いわね」

お前もここに並べてやろうか?

_2階_

「これが俺たちの部屋か!リエルはどこに寝るんだ?」

「私?うーん、私はここにするわ!」

「ねぇ祖チン!」

「はいなんでしょう?」

「あなた、自分が祖チンってこと否定しないのね」

まぁ祖チンぐらい言われ慣れてるしね、おいぼれちんちんっていわれた時はマジで犯してやろうと思ったわ、っていやお前、おいぼれだから挿れられないやないかーいつってな!はwはははwはははw

「ははw、はw、はw、ははw、は」スンッ

「あんた、ほんとに大丈夫?」

つい心の声が漏れてしまった。

「まぁいいわ、この縦に長くて黒いものは何?…うぁ!、さっきまで真っ暗だった画面が明るくなった!ん?『パスワードを入力してください』?…パスワード打って祖チン」

「わかった、打ってやるからちょっと待て」

フェミエルはpcに興味を持ち出したようだ。
今度mw3とか教えるか。

「ん?なんかいっぱい項目がある!えーっと?」

…ハァッ!やばい、これはまじでやばいやつだ!
ばあちゃんがきてないうちに止めないt

ガチャッ

「四人とも〜余り物だけどよかったら食べて〜」

クソババァが!

「えぇーっと?『あん♡、ちょ♡、そこはだめよぉ♡、ダーメダメ♡、私のあなにミルクどくどくするの、まんこ壊れちゃう♡ってお゛!♡(絶頂)〜生意気な人妻に中出し調教ファックセックスミルクどくどくパラダイス〜』?なにこれ?」

皆さん、フェミエルさんがわざわざタイトルをばあちゃんがいる前で真顔の状態かつ棒読みで朗読してくださいました。

なにこれじゃねぇよ!なんだよそれ最後語彙力終わってんだろふざけんなよマジで。あとなんでちょっと熟女版エレキテル連◯軍みたいなん入ってんだよ。
てかこんなん入れた覚えないし。
ま、一回後ろ見てみますか☆
そこにはルクセンハーゲンとかそんなん比べ物にならなそうな怖い顔がこちらを見つめていた。
一回pcの方を見る
いや、もしかしたら見間違いかもしれないしね☆
もう一度、ゆっくりと顔を後ろに向ける
……いるわ

「はやと、あんたちょっとこっちきなさい」

バイバイみんな…俺はルクセンハーゲンよりこのばあちゃんの方が怖いよ
「グットモーニング!エブリウェア!」

ばあちゃんがそう大声で俺たちに言ってきた。
熱血系の英語の教師かよ、耳ぶっ壊れるかと思ったわ。
リエルが青い色の髪の毛を耳にかけながら言った。

「おはようございます。改めて自己紹介させていただきます。レントロン・ミース・リエルと申します」

リエルがばあちゃんにOLの面接みたいに言った。

「おはようございます。遅くなりましたが僕はフランクレット・ランパードと申します」

「同じく、ロッキン・ミード・フェミエルと申します。」

リエルに続いてランパード、フェミエルも挨拶をする。

「この流れは私も挨拶しなきゃね!鈴木久美子と申します。ほらあんたも!」

「あ!はい!鈴木はやとって言います。まぁうん、これからよろしく。」

「「「よろしくお願いします」」」

祖チンだのなんだの言ってた奴も、礼儀正しいとこもあるんだなと少しばかり感心する。
初めてちゃんとした自己紹介をし、朝ごはんを食べた俺は三人を自分の部屋に呼び出した。

「私、仕事辞めます」

「私たちじゃなくて最初に祖チンのばあちゃんに言えよ」

そうフェミエルが言ってきた。なんかばあちゃんにちんこ生えてるみたいになってるじゃねぇか。ふたなりは20代前半までが許容範囲だ。

「ばあちゃんに言ったらいろいろ言ってきそうで怖いからあえて言わないようにしている。」

そしたら、ランパードが俺に言ってきた。

「それはつまり無職になるってことか?」

「半分正解で半分間違いだ。今の会社をやめたあと、新しい仕事をしようと思う。もちろんお前らは手伝ってくれるよな?」

リエルが言った。

「まぁ住まわせてもらってるんだし、それぐらいはしてあげるわよ。」

少し嫌そうな顔をしていたが、手伝ってくれるんならよしとしよう。
そして俺は携帯を手に取った。

「俺は今から大悪魔ヨソジ鬼上司を討伐する。お前らはそこで見守っていてくれ」

「いいわよ。なんかよくわかんないけど、ここは私たちに任せて!」

リエルがなんとも頼もしい声で言ってきた。

「よっしゃ!任せとけよ!」

「祖チンが持ってるpcってやつ、粗チンが死んだら使えなくなるし全力で守るわ!」

続けてランパード、フェミエルも行ってくる。
三人も味方がいてくれて、俺はすごく嬉しいです。

「よし!かけけるぞ!えーと?090…よし!行くぞ!」

「「「ラジャー!」」」

「先輩、対戦、よろしくお願いしまーーーーーーす!」

ポチッ

プッ、プッ、プッ、プルルルルル

部屋が静まり帰った。

プルルルルル、プルルルルル、プルルルルルル、プルルルルル。

電話の音が鳴り響いた。

カチッ!

スリー、トゥー、ワン、

「はい、株式会社サントルンの石田智子と申します」

GO!

相手のキャラは相性最悪の俺の上司、石田智子だ。しかし、俺たちの会社は辞める時は社長に言わなくとも、上司に言えば辞めれるという仕様になっている。
まずは先手必勝!遠距離通常攻撃だ!

「こんにちは!いつもほんっっとうにお世話になっております。鈴木はやとと申します。」

「あぁ♡はやと君♡どうしたの?もう通勤してるのよね?」

ヤバい!色気攻撃ともう通勤時間ですけど攻撃だ!最悪のコンボだ!
だが俺も負けるわけにはいかない。

「あ!すみません!そうでしたね!通勤時間だったこと、すっかり忘れていました!」

カウンターだ智子!お前のその攻撃、隙だらけだ。

しかしその時だった!

「もう♡はやと君ったら♡次忘れたら君の家に突撃しちゃうぞ♡」

うッ!__なん、だと!、カウンターを防いだ?しかも俺にかなりのダメージを与えてきた!こいつ、もしかしてVIPか?!
だが、こんなんで挫けていたら話にならない。行くぞ!俺の最強コンボ…

「てかはやとくーん♡もしかして辞めるとか言わないよね?」

ッッ!何だと!

先を読まれた!絶望的だ!もう、負けてしまうのか?

その時だった

「まぁ、でも、はやと君が辞めるかどうかははやと君が決めることだしなーぁ」

キタッ!__ス◯ッシュボールだ!

俺はすかさずそれを勝ち取った!

これは勝った!

「わかりましたでは辞めさせていただきますこのクソババァが!」

やったな!

…「は?」

は?どういうことだ?俺の最後の切り札は当たったはず、なのにどうして…ハッ!まさか!


「残像だ…」


やはりか!しまった!これは予想してなかった!
どうしよう…もう、手は、ないのか?
いや、待て…

「ねぇはやと君、それ本当に言ってんの?」

俺の攻撃手段をよく考えろ…

「私の言ってることが冗談ってわからなかった?」

ッ!これならいけるかもしれない!

「わかるよね長い付き合いだから私たち」

行くぞ!智子!俺と当たったこと、後悔するんだな!

「だから早く会社に来…」


「だが断る」


からの!


「お前のことなんか!嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ…!」


害悪戦法、嫌いだ連打だ。それは某大乱闘の害悪キッズ達が好んで行う「PK◯ァイヤー連打」を彷彿とさせる何とも害悪な戦法!
そして!

「智子、お前に教えていた家の住所…」

一度軽く息を吸い、全力の声で言った。


「それは残像だ!!!!」


「何だと!この私が!バカな!」

「じゃぁな智子、今までの時間、案外楽しかったぜ!」

「そんな!そんなバカな!…覚えておけよ!いつか必ずお前のことをk」

プー、プー、プー、

GAME SET!

勝った…やった…

思わず涙が出てきてしまった。あの大悪魔をこの手で倒せたのだから。
そこに、リエルがこっちを向いてこう囁いてきた。


「クソババァって言わないでおけばもっと簡単に行けたわよね?」

何も言えねぇじゃねえか…
「あ!これかわいいじゃない!」

「これなんかオシャレじゃないか?」

「いいねランパード!結構にあってるよ!」

「だろ!」

大悪魔を倒した後、俺たちはショッピングモールの服屋さんに来ていた。
こいつらにもこっちの世界になれてほしいため、服を買うという決断をした。
最初はこのままでいいってことを言い張っていたが、みんなあまりにも奇抜すぎる格好だし、変な目でみられるから全力で買いに行こうとお願いしたら「なら仕方ないか」とついてきてくれたんだが。

「なぁはやと!この服、結構にあってるよな!」

ピッチピチの全身白タイツを身につけたランパードがこっちへ猛ダッシュで走ってきた。いや怖すぎだろ、前より奇抜になってどうすんだよ。しかも顔のところもタイツで隠れており、全ての肌がタイツに覆われている。それに顔もタイツで覆ってる影響で、声が少しこもってんだよな。まぁ全然聞き取れるからいいけど。あとなんか口元がすごく濡れている。いや本当に汚いし普通に唾液ついたからこれ買わないと申し訳ねぇじゃねぇか。

「俺、この服結構好きだわ、なんかこう、自分と服が合体してる感じがするんだ」

SMに目覚めたキルラ◯ルかよお前。てか全身タイツなんて置くなよな、ちんこっぽいのがもっこりしてんの見えんだよ見たくもないのに…

「はぁ…ランパード、頼む、金は渡すから好きに買ってくれ。俺は別の場所を見てくるから、白タイツは脱いでみんなとしっかり決めてくれよ。服を2着と下着を2着だけ買ったら駐車場に集合な」

そう言って俺はランパードに8万円を手渡した。
結構な痛手だな、パチンコかなんかで増やすか。

「お!マジか!じゃぁ選んでくるわ!お釣り、あとで返すから!」

そんなことは聞かずにそそくさと本屋さんへと足を運んだ。

_本屋_

「お!見つけたぞーずっと探してたんだぜ」

俺はずっと探し求めていたラノベをやっと見つけてレジに持って行く。
とその時、あるものが目線の中に入り込んだ。

「これは、『どくパラコミカライズ1巻』!」※詳しくは二話

どくパラとはあの、あん♡、ちょ♡、そこはだめよぉ♡、ダーメダメ何たらかんたらの略称だ!あの後みんなが寝静まった後にやってみたんだが、めちゃくちゃにエロかった。そしてコミカライズときたんなら、もう買うしかない!
俺は二つの本を店員さんに渡した。わざわざどくパラを隠したりはしない。

「合計1543円になります。」

お金を出し俺は、少しだけイケボで言った。

「釣りは、いらねぇぜ」

「いやちょうどなんで言われなくてもあげません」

ふっ、照れちゃって、可愛いんだから☆
まぁ買えたからよしとしよう。駐車場に戻るか。

_駐車場_

駐車場に着くと、もうみんなが車の前で待っていた。

「早くーこっちきてよ」

リエルが俺を呼んだ。
俺は車の方に走って向かった。

「ほほう?なかなかにいいじゃないですか女性陣お二人方」

「でしょ?フェミエルが選んでくれたのよ」

リエルは下は白いストリートパンツで、上は黒色のオフショルダーだ。うまく言葉に言い表せられないがすごくエロい。そしてフェミエルはランタンスリーブワンピースだ。こっちもちょっと清楚な感じがしてとてもいい。そしてエロい。
聞かなくてもいいだろうけどランパードは下がカーゴパンツで上は白色のパーカーだ。全然似合ってない何なら全身白タイツの方が似合ってる。

「どうだ?はやと、この俺の服もフェミエルが選んでくれたんだぜ」

「でもランパードは注文多すぎていろいろ大変だったんだから」

フェミエルさんなんでそんな落差あるんですかね?

「ちなみにお前ら下着どんなん買ったん?」

「俺は普通の買ったけど、お前らは?」

いやお前のは聞きたくない。

「それを聞くのはナンセンスだよ祖チンくん」

まぁそれもそうだ。どうせ洗濯するうちにどれが誰のかぐらいわかってくるか。
まぁみんなちゃんと選んでくれたし、んならいいか。

「よしお前ら、家に帰るぞ」

「「「おーけー」」」

みんなで車に乗り込み、家へと向かって走り出した。
家に帰り、夕飯もとっととすませ、風呂の時間になった。
順番は俺→ランパード→フェミエル、リエル、の順番になった。
フェミエルとリエルは二人で入り、ばあちゃんはどっかのタイミングで入るらしい。
俺の家の風呂は三人が一気に入れるぐらい広い。何なら実は俺の家の風呂は地下の温泉を引っ張ってきており、この家を取り壊して自分たちの家にする前はここも旅館として使われていたそうだ。だからこんなに風呂も広いんだろう。昔はこのサイズの風呂が5、6個あったらしい。我が家もすげーもんだ。
ランパードと一緒に入ったら?とも言われたが、やつの裸姿なんて見たくないもんで、一人で入ることにした。
脱衣所に行って服を脱いで、カゴの中に放り込んだ。

ガラガラ

風呂の扉を開ける。
湯船から煙が出ており、すごく気持ちよさそうだ。
髪と体、顔を先に全て洗ってしまい、風呂に浸かる。

ザブーン

水がこぼれ、床に流れていく。
毎日こんなことができて、すごくいい気分だ。

「それにしてもルクセンハーゲンとかいうやつ、本当に来るのかな?」

そんなんきてしまった暁にはもう我が家は終わりだ。
というより地域一体全部なくなるぐらい強いって言ってたし、本当にヤバい相手をリエル達の王国は敵にしているんだな。
本当に来てほしくないと、心から願った。



「…おーいはやと!、時間だぞ!」



そのランパードの声で俺は目が覚めた。どうやら少しの間、寝ていたみたいだ。別にのぼせたとかではないので良かった。

「おーけ!今行く!」

そう言って俺は脱衣所に行ってパジャマに着替え、寝室へと向かった。


_1時間後_

「はぁ?今の相手見えてたのかよ虚空使っとけば良かった」

「ドンマイ!これはしゃぁないわ」

「お前も落ちたな、昔だったら99全弾ヘッショで返り討ちにしてたのに、今や後ろからロングボウちゅんちゅん野郎になって…」

「当ててるだけマシだろ?てかお前はいい加減、野良と喧嘩するのやめろよな」

「あっちが仕掛けてくんだよ!『ざーこざーこ』ってな」

「お前その喧嘩買うなやレスバすぐ負ける癖に」

今は友達の長谷川匠と中瀬浩一郎とAP◯Xをしていた。
こいつらとは昔からの仲で、結構長い付き合いだ。
昔はこいつらの家に行ったりしてずっとバカ騒ぎしてたな。

「あ、待って俺もうやめるわ」

「どうしたはやと?結構早いな、仕事やめてプロゲーマ目指すと思ってたんだが」

匠が俺に言ってきた。

「いやまぁこっちもいろいろあるんだわ、それじゃ、またな」

「「また」」

そう言ってDi◯cordの通話から抜けた。
早くやめた理由はただ一つ。
なんかランパード遅くね?
あいつ昨日四分ぐらいで上がってきてクッソ臭かったからもう一度入らせたんだが、今回はもう1時間も上がってきてない。
もしかして溺れて死んだのか?それだったらいろいろとヤバい。
一応確認しに行くか。

階段を急いで降りて、脱衣所の扉を開けた。

「ランパーd…」

「しーっ」

うわキッツこいつ唇に指当ててくんなへし折ってやろうか。

「おいランパード、またホモ展開には持って行きたくないぞ」

そう小声で言った。
そしたらランパードが俺の唇からそっと指をはなし、服のカゴ入れの方を指差し小声で言ってきた。

「今、女性陣二人は風呂に入っている。そしてここのカゴに下着が二個、どういうことか、お前ならわかるはずだ」

「…!ま、まさか俺にも触らせてくれるのか?」

「あぁ、だって俺たち、相棒だろ!」

こいつとはホモ関係になりかけたことしかないが、こいついいやつすぎないか?自分のおかずを他者にも共有するなんて…見直したぜ!ランパード!

「ありがとうランパード!」

「いいってことよ!」

ヤバい涙出てきそう、こいつこんないいやつなんだな、ホモになるのは嫌だけど。

「俺は青いのをクンスカするから、はやとには特別にこの黒いオープンショーツのをクンスカさせてやろう」

!?、オープンショーツだと!しかも股割れのやつだ!あの二人のどっちかにそんなエロい下着を買っていた奴がいるというのか!?
ワンチャン俺とこいつのどっちかと致そうとしていたって可能性も…
マジで興奮してきた!

「おーけ、ランパード!では行くぞ!」

俺たちはカゴの前に立ち、それぞれの下着を手に持った。

「3、2、1、いけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「スゥーーーーーーーーーッ↓ハァァァァァァ↑」

「誰かのオープンショーツ、しっかりなめまわさせていただきます。レロレロr」


その時だった


カチャッ!
脱衣所のドアが開かれた。
ヤバい!ばあちゃんだ!戦闘体制に入れ!
ばあちゃんを討伐するためにランパードと俺で土下座の構えをしていたその時、

「あなた達何してんの?」

そこにはばあちゃんではなくリエルの姿があった。




…ん?ちょっと待っておかしい。
いや普通におかしい。
だって二つ下着があって、風呂にも二人入ってる、でもリエルはもう風呂に入っていない。ってことはリエルは下着を着ているから…いやノー下着って可能性は…ないか、だってこいつに限ってそんなエロいこと自分からやり出すわけがない。ってことは…

……………っ!

その瞬間ランパードと俺は顔が真っ青になった。
二人で向き合い、予想もしてなかった最悪のことを俺が口にする。

「これ、どっちかばあちゃんのだ」

頼む!頼むからオープンショーツがフェミエルのであってくれ!ばあちゃんのだったら俺はばあちゃんのパンツレロレロレロレロしてしまったことになる!

そこにリエルが言ってはいけない言葉を口に出す。

「はやと、それ、久美子さんのよ…」

終わった…いろいろ終わった…

グスッ…81が股割れとかはくなや誰得だよマジで…


ガラガラ


風呂の扉が開いた。
そこにはフェミエルと完全にヴォル◯モートと化していたばあちゃんがタオルを体に巻いて立っていた。

「ランパード、はやと、ちょっとこっちにきなさい」

…明日から健全に生きていこう!
「俺も魔法使ってみたい」

俺は朝食を終えたあと、三人にそんな事を言った。

「無理やな」

「無理だろ」

「祖チンは無理よ」

最後俺がセックス誘って断られたみたいになってるじゃねぇか。

「なんでだ?やっぱ魔力みたいなのが俺にはないからか?」

「そんな感じよ。まぁ魔力に関しては補えるけど、あなたに魔法をコントロールする能力があるかどうか…」

リエル曰く、魔力に関しては魔法の使えるやつが液体に魔力を注ぎ込めば、俺も魔力を得ることができるらしい。ただし、その魔力を操れるかどうかは、自分の集中力によるらしいが…
俺達はコップに水を入れ、家の近くの公園にきた。
平日であまり人も来ない公園なのでここなら大丈夫だろう。
ランパードが大剣を地面において、あるものを取り出した。

「じゃぁフェミエル、リエル、はやと、この仮面をかぶれ。魔力を気配を感じる範囲を狭くする必要があるからな。それを被っていなかったら隣町ぐらいまで感じ取られていたと思うし」

そう言って俺たち三人に仮面を渡した。仮面は真ん中に赤い鼻みたいなのがついていて、全体的に白色の仮面だった。
それをリエルが被る。

…いやリムルテン◯ストじゃねぇかどうみても。

髪の色も青だからマジでリムルテン◯ストにしか見えん。てか名前もめっちゃ似てるし…
俺は聞いた。

「ちなみに撃てる魔法とかあんの?」

「『神之怒』とかなら」

リムルテン◯ストじゃねぇか。
てかそんなん撃てるならルクセンハーゲンボコボコにできんだろ。
そしてフェミエル、俺も仮面を被った。
気を取り直して俺が二人に言う。

「よし、リエル、フェミエル、魔力を注いでくれ」

「「わかった」」

そう言って二人は目を瞑り、リエルは手を、フェミエルは杖の先をコップに向けた。
そして、二人は呪文を唱え始めた。
リエルの手のひら、フェミエルの杖の先っぽが光だした。
そしてその光がコップの水に入っていき、コップの水がぷくぷくし出した。
しばらくして水の色がジャイアンの料理みたいな色になった。
これ本当に飲んでいいんだろうか?

「ほら祖チン、早く飲みなさい」

あーあわかりましたよ飲みますよ!

…ゴクゴク


「…っ!」


その瞬間、全身に痺れが走った。
頭から爪先まで、血ではない何かが行き渡っていく。

「な、なんだこの感覚…」

そしてしばらくすると、魔力は全身に浸透している感覚になり、今にも魔法が撃てそうな感じがした。
俺はリエルに聞いた。

「魔力溜まったみたいだけど、なんか俺にも撃てる魔法とかあるの?」

「召喚とかは少ない魔力でもできるけど、まだ魔力をあまりコントロールできないと思うからやめておいたほうがいいわ。そうね、ショットショックとかどう?」

「なんだそれ?銃かなんかが撃てるのか?」

「まぁそんな感じよ。フェミエル!的の準備をして、できれば詠唱ありの結構硬いやつ」

そう言うとフェミエルがコクッっと頷き、周りに人がいないことを確認し、杖を突き出し、詠唱っぽいものを唱え始めた。

「大地よ、我が命令に従い、我に力を注ぎ、我が肉体を守る盾となるだろう!」

なんて自分勝手な詠唱なんだろう。大地さんに感謝の気持ちを持てよ。

「その盾は何固く、強く、大きな盾となり、頑丈な矛を持ってしても貫き通せぬだろう!」

杖の先が光だし、杖の周りに雲のようなものが現れ始めた。

「歌えよ魔力、踊れよ大地、そして今、我が前に現れよ!」

そして、大きな声で言った。

「アースド、ウォールシールド!」

ゴゴゴゴゴ…

そんなジョジョみたいな効果音とともに、目の前に25mほどのでっか岩が現れた。
え?これやばくね?
すげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
まじか!マジか!こんなん俺もできるようになるのか⁉︎
そしてリエルが言った。

「いくわよ、見てて!」
そう言って手で銃の形を作り、人差し指と中指の先を岩の方に向けて叫んだ。

「ショットショック!」

シューーーーーーーバキッ

何が起こったかと思い岩の方を見ると、岩に大きな亀裂が入っていた。

「す、すげぇ…」

思わず声が出た。
この魔法、俺にも撃てるようになるのか!めっちゃロマンがあるじゃねぇか!

「ショットショックは長ったらしい詠唱がいらない初級魔術だから祖チンにもできると思う。ちなみに、初級魔術だけどかなり強い攻撃を与えられるわ」

「ほら、はやとも早くやってみて!指の先に魔力を集中させる感じで!」

「わ、わかった…」

目を瞑る。
全身に浸透した魔力を指先に押し流した。
魔力の入った水を飲んだ時の感覚がまたやってくる。
俺は今までにないぐらい集中し、魔力を一点に集中させた。
そして…



「ショットショック!」



シューーーーーバキッ!

「で、できた!」

岩の方を見るとさっきより亀裂が入っていた。
俺にもできるのか!こんなことが!やっぱ俺って天才なんだなってつくづく思う。

「やるじゃん祖チン。見返したよ」

「やったねはやと、これからも困った魔法について困ったことがあったら、私かフェミエルに聞いてね!」

「おう!頼んだよ!」

そう言ってフェミエルが魔法で的として出した岩を崩してた。
公園はすっかり元の状態に戻っており、来た時となんの変化もない。

「よし、じゃぁ帰るか!」

そう言って公園を出た。

「いやぁ祖チンもたまにはやるね」

「だろ?あまり俺を舐めるなよ!」

「ま、王族であるこのリエル様にはまだまだ届かないけどね!」

「別にお前に届かなくてもいいわ」

そんな楽しい会
話をしているとき、あることに気づいた。

「ランパードは?」

「「確かに!」」

あいつモブと化してたもんな。マジで空気だったもん。
三人で急いで公園に向かうとそこには体育座りをしたランパードが端っこにうずくまっていた。
なんて惨めな姿なんだろう。本当に惨めだ。
慰めるためにフェミエルが言う。

「ラ、ランパードは剣術が得意だから、私たちの魔法よりもかっこいいわよ!そんなでっかい剣、私たちには扱えないしね!あ、そうだ!魔法つかいたいなら、まずは初級魔術からでも…」

ランパードは置いていた大剣を持って立ち上がり、こっちを向いて悲しげな声で言った。


「興味ないね…」

こんなクラ◯ド見たくなかった…
こいつらが来てから1ヶ月が経った。
特に魔法を覚えてからは特別話すようなことはなく、日々のほほんと過ごしていた。
今は朝の9時、朝食を終え、みんなリビングでくつろいでいた。
ばあちゃんは友達の家に泊まっているらしい。
そして、俺はそんなワンパターンな日々を変えるため、あることをみんなに言った。

「お前ら!車に乗れ!」

「なんで?今『ゴッ◯ファーザー』見てるんだけど」

渋すぎだろ名作だけど。リエルみたいなインスタでストーリー上げてそうなやつの見る映画じゃねぇ。

「わかるわリエル。でも私は『七◯の侍』とか良かったわね」

お前ら中身ジジィなの?女陣営どんな趣味してんだよ…
まぁ俺も『用◯棒』とか気になってるけどな…やっぱジジィしかいねぇわ。
唯一ジジィ化してないランパードはずっと『マ◯ー2』をやっている。
スマブラをみんなでした時、あろうことかPK◯ァイヤーを連打する快感にどっぷりハマってしまい、「やっぱり使いキャラの元ネタのゲームもやっときたいなぁ」とか言い出して、sw◯chでずっとマ◯ー2をやっている。
PK◯ァイヤーばっか連打するやつのどこが使い手だよ。ばあちゃんでもできたぞ。

「まぁそんなんはどうでもいいんだよ!とりあえず車に乗れ!」

「わかったよはやと、お前がそんなに言うってことは、結構すごいもんがあるんだろうな?」

「そうだよランパード君、君は驚くかどうかは知らないが、俺にとってはすげー大ニュースだ!」

「まぁ住まわせてもらってるし、お前らも行ってみようぜ」

「まぁ仕方ないわね…。ほら!リエルも行くよ」

「わかったわよ!あーあ、いいとこだったのに…」

そう言って俺たちは玄関からでて、車に乗った。

_目的地_

しばらくして駐車場に車をとめて、三人を車から下ろし、少し歩いたところにある建物の前に立って言った。

「ここで俺は、楽器屋さんを始めます!」

「「「おぉ!」」」

そう、俺は昔からギター、ドラム、ベース、ピアノと分身したらバンド完成セットの四つの楽器をやっていた。
モテるためにやったってとこもあるが、何故か全然モテずに学校生活が終わってしまった…何故だろう?本当にわからない…
まぁそんなことは置いておいて、俺はずっと前から楽器屋さんをやりたいと思っていたんだ。そのために実は2ヶ月前ぐらいから準備をしていた。
1年ぐらいかかると思ってたのだが、友達が昔やっていたバーの建物を、俺に譲ってくれたのだ!楽器などは、楽器屋さんをやっている知り合いがちょっとばかし楽器を譲ってくれたことで、結構な量の楽器を手にいれることができた。
まぁ大半は俺が借金背負って色んなところから買い漁ったんだがな…
でも、今はそんなことはどうだっていい!俺も内部の細かい構造とかは全部業者の人に任せちゃったから、完成系は見てないんだよな、すごく楽しみだ。
そして!

「お前らには、ここで働いてもらいます!」

「「「でしょうね…」」」

予測はついていたんだろう、みんなやっぱりなっていう顔をした。

「まぁでも、俺たちも働くしかないよな」

「「だね…」」

嫌がってるがそんなんは知らん。最初にそういう何でもするかわりで一緒に暮らすという約束だったからな。

「まぁいいじゃないか。ブラックにはしないからさ」

そう言いながら扉の前に立った。

「では、我らの楽器屋さん、オープン!」

そう言って俺が扉を開けると、そこにはたくさんの楽器が置いてあった。ギターはギ◯ソン、フェ◯ダー、マー◯ィンのものはもちろん全て置いており、スト◯ンドバーグやメイ◯ンズなどの、ちょっとだけマイナーなメーカーも取り揃えており、ベースもメジャーなものからマイナーなものまで、さまざま、ドラムはパ◯ルとかヤ◯ハとかのしか取り揃えていないが、これからも追加していこうと思う。
ピアノに関してはヤマハから出てる電子ピアノを並べている。まぁギター、ベース、ドラムを中心的に扱っていこうと思っているから、ピアノはあまりなくても困らないだろう。

「というわけで、お前らに役割を与えよう!まずはリエル!」

「はい!」

「お前はレジをするんだ!計算とか得意だろ?頑張ってくれたまえ」

「わかりました!」

そう言ってお辞儀をすると、早速レジの方に向かった。いいねぇ!やる気があるのはいいことだ!

「そしてランパード、お前には裏方の仕事をしてもらう。楽器などをメーカーから仕入れたり、修理をしたりしてくれ!こういう仕事は案外器用なお前が向いてると思う」

「わかった!任せたぜ!」

そう言ってすぐにスタッフルームに入って言った。

「そしてフェミエル、俺とお前は接客だ!かなり重要な役割だから、気を引き締めるんだぞ」

「わかったわ祖チン」

「おーっとここでは祖チンではなくて店長と呼んでくれ」

「あ、忘れてた。ごめん店長」

「よし、そんな感じだ!」

俺はニカっと笑って見せた。

「さぁーお前ら!最初の客が来るまで、接客の仕方とか修理の仕方とか、いろいろ教えてやる!」

「「「お願いします!」」」

よし、いっちょやってやっか!
俺の心は希望に満ち溢れていた。

_3時間後_

「誰もこねぇじゃねぇか」

「ねぇ、いつまでこのレジで立ってればいいの?」

「全然客が来ないね。店長、やっぱり立地が悪かったんじゃない?」

「それにしても誰も来ねーな。俺修理するものもないし、仕入れたりするものもないからめっちゃ暇なんだけど…」

リエルにレジで言わないといけないことは全部覚えさせたし、ランパードには仕入れの仕方も教えたし、ギターの修理方法も教え、完璧にできるようになった。
こいつらの適応能力すげーな。よくこんな短時間で完璧にできるようになるわ。
てかそんなの気にしている場合ではない。

「おいマジでどうする?もう今日は帰るとするか?」

そう言った瞬間

カランコロン

((((来た!))))

扉が開き、そちらの方を見ると、そこには五人ほどの女の子たちが立っていた。

「「「「いらっしゃいませ!」」」」

俺、フェミエル、リエルがお辞儀をしながらそう大きな声で言った。
来た!ついに来た!客だ!
もう来ないだろうと、店を出ようとしていた時にやっときた!
入り口には、いかにもJKって感じの女子五人組が立っている。
俺は笑顔で言った。

「いらっしゃいませ!何をお探しでしょうか?」

五人の女子の中にいる、茶髪でギターを担いでいる女の子が言ってきた。

「私たち今度ライブがあるんですけど、今のギターがもう古くなっちゃったんで、買い替えようと思って…」

ほう、バンドをしているのか…俺も昔してみたかったな。
そんな昔の記憶が蘇り、なんとなく、こんなことを聞いてみた。

「ちなみに、君たちのバンド名は何ていうんだ?」

そういうと、ギターの女の子が元気そうに言った。



「「「「「放課◯ティータイムです!」」」」」



おい普通にダメだろまじで。このバンド名がこんな物騒に聞こえたの初めてやぞ。
それを聞いたピアノを弾いてそうな女の子が言う。

「違うよ!もうそれは昔の話!今の流行はやっぱこっちだって言って改名したじゃん!」

「あ、そうだったね!」

五人で息をあわせて、今度はそれぞれポーズをとり、大きな声で言った。



「「「「「結◯バンドです!」」」」」



おいなんつーこと言ってくれてんだよお前ら「け◯おん」にクソ失礼だぞ。名作だからな!しかも結◯バンドなら五人目どっから湧いてきたんだよ役割ないだろお前。
そんな中、ランパードが言った。

「ちなみに君たち、どこからきたの?」

「もちろん、下北沢に決まっt」

「ここ愛知ですけど?」

そうリエルが食い気味にツッコミを入れた。
それに乗っかるように俺も言った。

「そうだぞ!なんで君たちわざわざこんな遠いとこまできたの!そっちは御茶ノ水があるだろ御茶ノ水が!」

「そんなのは今はどうでもいいでしょう!」

ベースを持っている女の子が少し焦ったように言ってきた。なんとなくだが、メイド服とか着せてみたいもんだ…
そして俺はふと、思ったことを口にする。

「あ、てか君たちバンドしてるならオリジナル曲とかあるの?」

ピアノを弾いてそうな女の子が言ってくる。

「オリジナル曲はないわね」

ないんかい。もうそこまできたなら「GO GO M◯NIAC」とか「星座に◯れたら」とかまでパクっとけよ。
またピアノを弾いてそうな女の子が言ってくる。もういちいちめんどくさいしむぎちゃんでいいや。

「あ!意外かもだけど、楽曲のカバーは結構するわよね!」

バンドでオリ曲しないなら楽曲カバー以外なんがあるんだよ。意外性のかけらもないわ。
ずっと口を瞑っていた接客としてあるまじきフェミエルが口を開いた。

「ちなみになんの楽曲のカバーをしてらっしゃるんでしょうか?」

そのフェミエルの質問に、ドラム叩いてそうな女の子が返答してくる。こいつもめんどくさいし、こいつは下北沢の大天使と名付けるとしよう。

「カバーしてる曲かぁ…、あ!マキシマム◯ホルモンとか!」

はいでた年齢と言ってることが明らかに釣りあってないシリーズ。最近流行ってるのそういうの。てかデスボとかあるから絶対歌えねぇだろ。喉長◯力みたいになるぞ。
痺れを切らした俺が女子に向かって言った。

「まぁなんでもいいわ。とりあえずロック系弾くだろうし、無難にSGとかでいいんじゃないのか?」

「いや、やっぱり同じレス◯ールがいいです。」

まぁそうだよな。SGにしたら長門◯希とキャラ被るもんな。
そう思っていると、ずっと後ろで手を組んでいたフェミエルが口を開けて言った。

「レス◯ールなら、あちらにたくさん置いてありますよ!」

フェミエルはピンっと背をはっていて、レス◯ールが置いてある方に手を向け、まさに接客のお姉さんみたいな声で言った。
すげぇな!いつの間にこんな上品になったんだ!

レス◯ールの目の前にきて、ギターの女の…ゆいちゃんがケースからギターを出し、またもやフェミエルが上品に言う。

「これと同じ商品は…あ!これですね。試奏とかしてみます?」

「はい!ぜひ!」

「わかりました。しばらくお待ちください。」

俺がそう言うと、俺とフェミエルでそのギターをアンプに繋ぎ、軽くチューニングをし、ゆいちゃんにギターを渡した。
自信なさげに、ゆいちゃんが言ってくる。

「普通はアコギで弾く曲ですので、ちょっと違和感あると思いますが…」

そう言うとギターを構え、ネックに指を添えて、ゆっくりと引き出した。

♫〜〜

弾いているのはEric ClaptoのTears in Heavenだ。
これまた渋い曲を選曲しましたな。
「そこはマキシマム◯ホルモンとか弾けや」とツッコミたくなったが、そんな野暮なことはしない。
でも普通にうまいな。無駄な弦は一切なってないし、音もしっかりと出ている。本当に、バンド名さえ除けば結構いいバンドになりそうだけどな。
曲も終わり、みんながパチパチと拍手をした。

「君たち結構うまいんだね。君たちの演奏、聴きたくなってきたよ」

これは、紛れもない本心だった。
昔こんなふうになりたいという存在が目の前にいる。でも俺はこのような存在にはなれなかったた。
そんな昔のことを思い出し、少しばかり寂しくなる。
そんなことも知らずに下北沢の大天使が俺に元気な声で言ってくる。

「本当!やったー!ねぇ!今の演奏聴いて、興味持ってくれたんだって!あ、いつもここでライブしてるんで、よかったらきてください!」

そう言って俺にチラシを渡してきた。
…いや愛知でやってるじゃねぇか何が下北沢だよ。
そんな中、もう一人のギターの子がゆいちゃんに言った。

「で、どうするんですか先輩?買うんですか?買わないんですか?」

ゆいちゃんはギターをフェミエルに渡して腕を組み、下を向いて考えた。

「…まぁ、せっかくここまできたしね。よし、このギター買います。」

「「まいどありー!」」

_入り口_

会計を済ませた五人組は入り口にたち、ゆいちゃんがこっちを振り向いて俺たちに言った。

「今日はありがとうございました!ぜひライブきてください!」

「おう、わかった!」

俺はそう言うと、話しながら歩いていく五人を後ろから見ながら、みんなに言った。

「よし。今日は客も来たことだし、早めに切り上げてお祝いでもするか!」

「「「賛成!」」」

そう言ってみんなで車に乗って家まで向かった。
これからお世話になるであろう楽器屋さんに太陽の光が当たっている。
今日はなんとなく、充実した一日になったように思う。