(イグナルト視点)
◆3日後
3日前に騎士団兵が盗賊団の手がかりを手に入れたと俺の所に報告しに来てくれた。
報告内容はこうだった。
盗賊団の数は51人で半数以上が魔法の適合者であり、その中で3人が★2の上位適合者、
拠点としてる場所はマハイルさんの家から5キロ程離れた場所にある洞窟の中だった。
俺は急いで本部に連絡を入れ制圧作戦の計画を組む事にした。まずはマハイルさんの安全を確保しなければならない、
制圧作戦には俺も直接洞窟に攻め込む手筈になっている。
その間マハイルさんの安全を守る事が出来ないのでクライツ総副団長が作戦が終わるまで護衛をしてくれる事になった。
マハイルさんに守ると約束したばかりだったのに他の人に頼ってしまって少し悔しいがこの作戦の成功もマハイルさんを守る事になると思い頑張る気力に変えた。
アジトに攻め込むのは、なぜかまた俺一人になってしまった、
これはセラアさんの仕業で『少しは苦闘して来い』と言ってたようだ。
なぜセアラさんは俺にそんなに苦労させたいのか疑問である。
その為今回の作戦は制圧に俺、後処理に5人の兵ともし制圧に失敗した時の為の援兵にベテラン兵の2人に決定した。
この編成は俺の初任務の時と同じ編成だ。
三日間の準備を経て本日、制圧作戦を実行する時がやってきた。
俺らは14時頃に盗賊達が居るアジトの近くまで来ていた。
「おぉ、盗賊結構いますね。」
「そうだな、報告通りの人数だろうか?」
兵士が報告書と照らし合わせ、盗賊の数を数えていた。
めんどくさい、俺は早くこの依頼を終わらせたいのに、、
俺は報告書と睨み合いしている兵を放置し制圧作戦の決行した
「じゃあ俺、シエルと遊びたいんでさっさと終わらせますね、、」
「・・・お前、この3ヶ月で一体何があった?」
隠れている茂みから飛び出し盗賊の前に平然と立つ、盗賊団が驚いた様子でこちらに気付く、『なんだてめぇー』『何者だ、』『何しに来あがった、、』などとテンプレートの様な発言が飛び交う。
盗賊達にはマニュアルがあるのかと疑いたくなるぐらいみんな同じ事しか言わないな、、
取り合えず魔法を使って一掃する事にした
「弾ける炎八連」
俺は5%ぐらい威力の弾ける炎を八個生成した。
相手を戦闘不能に追い込むにはこれぐらいでいい。
魔法を8人の敵にぶつける、ぶつけられた敵は全員爆風で体が吹き飛ばされ洞窟の壁に強く打ち付けられ気絶する。
その音に気が付き洞窟の中から次々と盗賊が現れた、
それはまさにゴキブリのようだった。
「うげ、たくさん出て来たな、、強力な魔法で一層するのもアリだが手加減が面倒だからな・・・よしあの魔法を使おう、、」
俺はそう決めると魔法を唱える、
この魔法自体には攻撃性は無い、
なぜならただの炎剣を作り出すだけの魔法だからだ
「炎形変化【剣】」
魔法を唱えると俺の左手に片手剣サイズ炎の剣が現れる、
それを握り締め、洞窟から出て来る盗賊を一層する、
この魔法の剣は俺の意思で大きさや形から火力まで思いのまま操る事が出来る、
そんな便利な魔剣と地獄の様な訓練で身に付いた自身の剣術で相手をなぎ倒していく。
(正面から12人固まって襲い掛かって来る、都合がいい、形態変化)
魔力を込め炎剣の大きさを5倍以上の大きさにする、この大きさの剣なら12人など簡単に切れる。
残り30人、、、、
洞窟の中に入ると中は少し広く道が二つに分かれてる。
一つは先が見えない長い道、もう一つは貯蔵庫に続く短い道、二つの道の境目で止まる、
「どうするか、先に奥に進むか、しかし貯蔵庫にも何人か隠れてるはずだ・・・よし爆発しよう。」
俺は地面に手を添える
「弾ける炎任意放出」
手を添えた地面に魔方陣を出し攻撃したい貯蔵庫の中心にも魔方陣を出す。その魔方陣から凝縮した炎球が飛び出す、
その炎球はシャボン玉のようにぷかぷか上昇する。
この魔法は半径100m以内なら好きな場所に弾ける炎を放出する魔法だ。
ここまでしたらやる事はただ一つ
「・・・・弾けろ」
言葉と共に炎球が爆発する。
貯蔵庫に油が入ってたのか予想より少し爆発がした
「やりすぎた、死んでないよな」
あとで兵から聞いたがここには8人全員、命に別状はないようだ、、よかった
残り22人、、、
もう一つの道を進むと道の先から14人ぐらいが襲い掛かって来た。
まとめて掛かってくれると楽に倒せるのでありがたい、この洞窟の広さならこの魔法は使えるだろうな。
俺は少し本気を出す事にした。
襲い掛かって来る盗賊達の頭上に炎で出来た雲を作る、
「降り注ぐ炎雨」
頭上に出来た雲から火の雨を降らす。
「安心しろ、死なないように火力は落とした、、まぁやけどはするがな、、、」
残り8人、、、
道を進み続けるとさらに広い空間に出る行き止まり様だ
残りの盗賊が集まっていた。
5人が一斉に剣で襲い掛かって来た。
前から2人が左右から俺を挟む様に切りかかって来たのでジャンプでかわした。
そのまま二人の頭に向かいキックを食らわす。
残り6人
今度は三人同時に襲い掛かって来た。
同時に敵の刃が牙を剥く、
そのを自分の持っていた炎剣で受け止める。
相手は俺を切ろうと剣に力を入れる、
さすがに3人係では力負けしてしまうが払い除けて一人一人処理するのも面倒くさい。
俺は考える、そして一つの答えにたどり着く
そうだ、武器を使えなくしよう
「火力上昇、6000度」
炎剣に魔力を込め火力を上昇させ、相手の剣を溶かすように切る。
普通は1500度で解ける剣を4倍の6000度で切ったので相手の剣は一瞬で使えなくなった。
武器を失った盗賊は外へと逃げていく。
(あぁ、逃げたか、、まぁ外の兵が捕らえるだろう。)
残りの3人、、、
「よく一人でここまで壊滅できたもんだ、、褒めてやる。」
一人の盗賊が俺に話掛ける・・ラスボスを気取りたいのだろうか?
「お前らは、弱すぎて褒めれないがな、、」
「ふ、、減らず口も叩けるのは今のうちだ、お前が伝説の兵士イグナルトだという事は分かっている。」
「ちょっとまて、その変なあだ名なんで知ってるんだ?」
「なに言ってる、一人で300人の盗賊団を壊滅させた兵士の噂ならもう全世界に知られてるぞ、、」
ウソだろ、、全世界に!?
俺がシエルと楽しく遊んでる3ヶ月の間に
世界どうなってんだよぉぉ
暇かよぉぉ、、、
「お前が炎色魔法の★1だとしても俺ら★2、3人相手に平然といられるかな?」
「「「弾ける炎」」」
三人は一斉に魔法をこちらに向かい放つ。
俺は驚愕した。
事前に★2が3人いると聞いていた
相手が放つ弾ける炎の魔力、火力、速度、、
全てがまさかこんな、、、
こんなにも、、、弱いなんて。
俺は手を前にかざし飛んでくる炎球を止める
「ファーストスキル炎の独裁者」
ーーーーーー
色魔法属性ランキング
【第3位】炎色魔法
適合レベル
★1
伝説の兵士
イグナルト=ソル=ルドベキア
炎色魔法 ★1限定スキル
【炎の独裁者】
ーーーーーー
【炎の独裁者】は炎色魔法★1《ファースト》限定スキルで魔法や自然界など関係なく、
ありとあらゆる様々な炎を操る事が出来る能力だ。
「この火片、お前らに返すよ」
相手の炎球をゆっくりと相手の方へ返す。
本当にシャボン玉の様にゆっくりと揺れながら着実にすすむ。
相手の今の状況に驚いているのか動かない。
炎球はそれぞれの主の元の目の前で止まる
ここで俺がやる事は一つだった。
「着火」
爆音が洞窟内に響き渡す
残り0人、、、制圧完了
――――――
――――
(イグナルト視点)
◆マハイルの家周辺
「さぁ、依頼も終わったしシエルに本でも読んでやるか。」
任務を終え、
一足先に帰って来た
理由はクライツさんに任務完了の報告を告げる為に、、、
というのは建前で本音は帰ってシエルに本を読んであげたかったからだ。
今の時刻が16時を過ぎた頃だろうシエルもとっくの前にお昼寝も終わっているはずだ、
帰ると本を読んでとねだって来るだろうな、、
ぐへへ、、、
やべぇ、変な声出た。。
でも任務が終わったから今日でシエルとお別れになるのか、、
この三ヶ月間任務の調査の為にマハイルさんの家に泊めて貰っていた。
任務が終わってしまえば、この家にいる意味もなくなる、、
そうなればシエルともお別れになるのかぁ
「はぁ、もう一回盗賊出ないかな、、、」
いかん、何を考えてるんだ俺は、、、、
シエルと別れたくないからと盗賊の出現を願うなんて、、、
なんて俺はバカなのか?
・・・しかし、俺も変わったな、
三ヶ月前までは子供と関わるのを控えていたのに、
シエルと共に過ごすうちにいつの間にか他の子供とも普通に接する事が出来そうだ、、、
いや、他の子は要らないシエルがいい、、
またバカを言っているな俺、、、
最近シエルの事で頭がいっぱいだ、、、、
俺はシエルとのこの3ヶ月間を思い出す
『おとうさん、ご本読んで、、』
『おとうさん、いっしょにねんねしよ?』
『おとうさん、ごはんおいしいね、、』
『おとうさん、あたまなでなでして、、、』
『おとうさん・・・だいしゅき』
だいしゅき、、だいしゅき、、、、、だいしゅき、、、、、
俺の心の中で反響するシエルの【だいしゅき】ボイス
こんな事言われたら俺も大声で答えるしかない
「俺もだいすきだぁぁぁぁ、、シエルゥゥゥゥ―!!!!!」
「わぁ、びっくりした」
俺はまだ森の中にいると思い大声で叫んだが、、、
今、目の前にあるのは、、、
俺が三か月間住んでいたマハイルさんの家だった。
考えていて気が付かなかったがいつの間にか目的地に着いていたのだろう。
そして先ほど聞こえた驚きの声の正体は家の外で洗濯物を取り込んでいるマハイルさんだった。
マハイルさんの目には【なに、このヤバい奴】と書いてあった。
「急に大声でなに?シエル大好きって?」
「いえ、そのそれは、、、」
「私の方が好きなんだけど、、」
「はい、仰る通りです、すいません、、」
マハイルさんはシエルの事になると自分を忘れて暴走するから怖い、、、、
いや、俺もか、、、
「まぁ、イグがシエル好きなのは知ってるけどね。」
「え、そんなに態度に出てました?おれ隠してたつもりなんですが、、、」
「態度もそうだけど、良く寝言でシエル好き・・俺の娘だとか言っていたわよ」
まじか、、、、
マジか、、、
くそ恥ずかしい、、、
「ホントですか、、」
「ほんと、、、」
「くわぁぁぁ、、、、くそ恥ズイ、、、」
俺は再び大声を出す、すると俺の叫声に驚いて家からクライツさんが出てき
そのあとに続くようにシエルも出てくる
「なんだ、さっきからうるさいな、、」
「あ、おとうさん、おかえりなさい」
シエルが俺に抱きつく。
この子はまたクツも履かないで裸足のまま駆け寄ってくる、何度言っても靴を履いてくれない。
いや、逆に考えよう
シエルはクツを履く暇も惜しんで俺にお帰りの挨拶をしてくれたんだ、そう考えると涙が出てきそうだ。
「おとうさん、ないているの?」
「いや、大丈夫、大丈夫だよ、」
いかん、何泣こうとしているんだ俺は、、
別にシエルは靴を履くが嫌いだから履いてないだけだ
なのに俺は、、、
なに、いいように考えているんだ。
「おとうさん、なかない、いいこいいこ」
シエルが俺の頭を撫でてくれている、そこで俺は一つ決心をする事にした
「よし、シエルを娘にしよう、」
「やったー」
シエルも喜んでくれたのでこれで俺らは親子だ、、、
「なぁマハイル、コイツ3ヶ月前までこんな奴じゃ無かったよな、」
「うちの娘、、恐ろしいわ、、」
「イグ、お楽しみ中に悪いが任務の報告を、」
「はい、まず盗賊の数は全員で48人で最初の報告の人数より3人少なく今調査中です。ケガ人は出ましたが死亡者ゼロで重症者は看護兵が治療中です、、ただいま5割が監獄へ移送中であり夜までには全員の移送が完了すると思います。」
「イグ、、仕事への切り替えの速度半端ないわね、、」
「おとうさん、おしごとちゅう、、」
俺は今回の任務のすべてを報告した
説明中シエルに気を取られそうになったが必死で我慢した。
「了解した、詳しい報告書は後で他の兵がくれるだろう、これでお前の任終了だな、ご苦労」
「はい、」
「それにしてもイグ、お前すごいな?」
「すごい、、なにが?」
クライツさんが褒めるなんて珍しい、いつも仕事では褒めないのに、、
「仕事で褒めないクライツさんが珍しいですね」
「いや、仕事の件で褒めてるわけじゃない。」
だよな、クライツさんが仕事で褒めるはずがないよな、、
じゃあ何を褒めてるんだろうか?
考えているとクライツさんは俺じゃなくシエルの方を見る
「シエルちゃんがこんなに懐くなんてすごいな、俺はダメだった。」
クライツさんがシエルを見つめる、
見つめられたシエルが怯えて俺の服を掴む、
クライツさんにシエルが怖がってますと言うと「すまん」と謝り目線を俺に戻す。
でも確かになぜこの子は俺にこんなに懐いてくれるんだろう?
クライツさんだけではなく、他の人も駄目だった。
セラアさんは見た目が怖いから仕方ないとして、その他の人は別に怖いと言う程の顔でもないのになぜ?
一度本人に聞いてみよう
「シエルはなんで他の人は怖いの?」
「・・・・いろ」
「いろ?」
「おとうさんのいろ、きれいで好き、おじさんはぐちゃぐちゃでこわい、、」
色か、、
「マハイルさん、シエルって、、」
「そうよ、見えるよ、、」
「それは厄介ですね。」
なるほど、この真実はこの子の希少性をまた上がってしまった。
【ヴァインスの血】【見える子】、、
これは人攫い連中に漏れたら厄介情報だな。
この子を狙われない様に少し対策を考えないと。
「クライツさんこの森の近くに騎士団1隊を配置しましょう。この森は広く盗賊団がアジトにする事もありますし、それに」
「シエルちゃんの事もあるしな、、、分かった手配しよう」
「ありがとうございます」
「だがお前、シエルちゃんにそんなに懐かれていたらここを去る時大変だろうな、、、」
【ここを去る時】この言葉で空気が変わるのを感じ取れた
やばい、この状況は不味い気がする。
俺は静かにシエルの方へ目線を向ける
「えっ、さるって、いなくなること?おとうさんいなくなるの?」
ここから修羅場が始まる
「うわぁぁぁ、、おとうさんいなくなっちゃやだーー」
どうしようこれ、、
俺がこの家を出て行くと知ったシエルが急に泣き始めてしまった。
この状況は予想で来ていた。
今の現状を作り出したライアスさんは他の任務があると言って逃げた。
責任取れよ、あのクソジジイ、、
しかし困ったな、こうなる事は予想は出来ていたが実際この状況になってしまったら、
どう解決するか悩む、
別に二度と会えなくなる訳ではないが
それを説明した所でシエルは納得してくれるだろうか?、、
どうしよう、、、
「シエル・・・お母さんがいるだろ、、、」
「そうよ、ほら今日はシエルが好きな絵本寝るまでずっと読んであげるから、、」
「いやだ、おとうさんもいっしょがいい、」
「「困ったな」」
2人してお手上げ状態だ、泣いてるシエルを引きはがそうとしても強く服を掴まれてる為に離すこともができない
どうするかマハイルさんと二人で相談する事に
「もぅ、イグここに住めばいいじゃないの?アナタもシエルと別れたくないでしょ」
「そうですけど、俺こう見えて騎士団では結構優秀なんで仕事多いんですよ。」
「じゃ、ここから仕事に通いなさいよ、、」
「そんな事できませんよ、本部と距離もあります、それに逆恨みした盗賊達に襲われる可能性もあるんですよ。俺がいたら対処できますが留守の時に攻められたら終わりですよ、、」
「じゃあ、どうするのこの状況アンタが娘にするとか冗談言ったから、この子本気にしたんじゃないの?」
「それを言うならマハイルさんだって、俺の事をお父さんって呼んだのも原因じゃないんですか?」
「・・・・今はその話は置いといて、シエルの説得をしましょう。」
「そうですね、・・・・じゃあ、毎日は無理ですが時間がある時に週に1回ぐらいここに遊びに来るってのはどうですか?」
「そうね、後、今日の今日でお別れもシエルが悲しむわ、だから今日は泊っていきなさい」
「そうですね、さすがに今日出て行くのはシエルが可愛そうですし、俺もシエルともう少し居たいですからね、、」
結果がまとまった。あとはシエルを説得するだけだが、、
これが一番の難題なんだがな。
頑張ってみるか。
「シエル、別に二度と会えない訳じゃないからな」
「ぐすっ、、ほんとう?」
「ほんとう、ほんとう、毎週必ずシエルに会いに来ると約束する、だからママと一緒にお留守番出来るか?」
「・・・うん、出来る」
「よし、いい子だ、おみあげに絵本買ってきてあげるからな、それに今日は少し夜更かしをして遊ぼうか、、」
「ほんと?やった~!」
ようやくシエルから涙が消え、笑顔が戻る、
なんとか説得に成功したようだ。
やっぱり俺はシエルの笑顔が一番すきだ、このままこの子にはずっと笑顔で楽しい暮らしてもらいたいものだ。
◆
ようやくこちらの問題が解決した瞬間
また新たな問題が起きた。
一難去ってまた一難とはよく言ったものだな。
俺が先程までいた洞窟の方向から一人の兵士が飛び出してくる
制圧作戦に参加していた兵士の一人だ。
「イグナルトさん、少しこちらを手伝ってもらっていいですか?」
少し慌てた様子で俺に対して応援要請をする、、
何かあったのだろうか?
めんどくさい、折角シエルと遊ぼうと思っていたのに、、
あと敬語も辞めて貰いたい。
「はぁ、手伝いますが、敬語はやめて下さい、俺はまだ新米兵ですよ」
「いえ、イグナルトさんは新米兵ですが実績で言ったらベテランですので」
騎士団の入団には一つだけ条件がある、
それが年齢制限である
19歳以上でさらに2年間の見習い研修が必要となる。
最速で騎士団になるには17歳で研修生になり2年間の研修を経た後に騎士団に入る方法しかない
しかし俺は騎士団で育ったので12歳から騎士団の任務に参加してきた。
その為に歴だけで言うと約7年間の実績があった。
なので他の若手兵から敬語を使われる事が良くある。
俺は偉そうにするのは嫌いなので、出来れば敬語を辞めて貰いたいが一向にやめてもらえない。
なぜか、皆俺に少しビビってる雰囲気だった。
「それで要件は?」
「はい、移送班の人手が足りずにこちらから数名援兵を出したので調査班の人手が足りなくなってしまいました。
そのため調査を少し手伝ってもらえませんか?」
そういう事か、、
うちは基本的に万年人手が不足しているので、今回の様な件は良くある事で慣れている。
なので応援依頼を受諾する事にした。
俺も少し今回の任務で気になる点が少しあるのでついでに調べる事にしよう。
「わかりました、早く終わらせましょう、」
兵を先に現場に戻る様に伝える
そして俺も現場に行く為に指笛を空に響き渡るように強く吹く。
すると上空から俺の使い魔のフェニックスが現れこちらに降りて来た。
フェニックスに乗って移動するのが最も速く移動できる手段なので背中に乗せて貰おうと呼んだ
フェニックスが俺の近くによるとシエルが怖がるように俺に強くしがみついた。
そういえば、シエルに俺の使い魔を見せるのは初めてだったな。
見た目は結構大きく威圧感があるので子供にとっては少し怖いかもしれないな。
「シエル、、、怖いか?」
「うん、鳥さんこわい、、」
やはり、少し怯えてるようだ、
その様子を見ていたフェニックスがシエルに近づく、
俺は抱っこしてるシエルを地面に降ろす、俺も膝を着き目線を低くする、
「シエル、大丈夫だ、、コイツは俺の使い魔だから危害を加えない、、」
「、、本当に?」
「あぁ、俺を信じて」
シエルは近づいてくるフェニックスに怯えているが俺が大丈夫、大丈夫と言い聞かせる。
だがやはり怖いようで俺の腕に強くしがみつく、その様子を見ていたマハイルさんも少し不安そうだったので俺が大丈夫と顔で合図を送った
フェニックスがシエルの目の前に立ち片翼を広げシエルの方へ向ける、
その瞬間『ひぃ!』と悲鳴をあげるシエルは恐怖で目を閉じてしまった。
少し場に緊張が走る
そんな目を閉じ怯えている少女の頬をフェニックスは自分の羽を頬を優しく、くすぐる様に触った
「ふ・・・・ぷっ、あはははは、くすぐったいよ」
シエルの笑い声が緊張した空気を和らげる。
もう大丈夫そうだなと安心した。
俺の使い魔は基本的に攻撃性が高く凶暴で人にはあまり懐かない魔獣の為、ほんの少し心配はしていたが、
仮にもコイツは俺の使い魔だ、俺の命令無く人を傷つける事はしないと信じていた、
「マハイルさんもう大丈夫そうですね。」
「えぇ、少しヒヤッとしたは」
マハイルさんも少し不安そうにこちらを見ていたので大丈夫だと報告する。
その間もシエルはクスクスとくすぐったそうに笑っていた。
実際にくすぐられているから無理もないか、、、
なんかフェニックスも楽しそうにじゃれ合っているので無理に止める事をしないでマハイルさんと二人で見守っていた。
「あははは、もう、やめてとりさん、、、」
【やめて】の願いを聞き入れる様にフェニックスは静かにくすぐる羽を離す。
そしてシエルはフェニックスの事をゆっくり見つめる少し笑ったおかげかシエルから恐怖の感情が消え好奇心の様な無邪気な感情を向ける。
それを感じ取ったのかフェニックスは頭上にある冠羽を嬉しそうに揺らし嬉しそうに「キュ」と鳴いた。
その瞬間シエルの口からボソッと漏れるように【可愛い】の一言が漏れた
「・・・かわいい」
その瞬間シエルはフェニックスに抱き着く、フェニックスも満更でない様子で両翼で包み込むように抱きしめていた。
「えへへ、もふもふで、きもちいい」
「良かったな、仲良くなれて」
シエルが『うん』と元気よく返事をした。
「おとうさん、このこの、おなまえは?」
「あぁ、名前はフェニックスっていうんだ。」
「ふぇ、ふぇに、、、もうむずかしいからフェニちゃんでいいや。」
フェニックスが嬉しそうに鳴く、気に入った様子だ。
フェニ、、確かに言いやすいな、俺もそう呼ぶ事にしよう。
「さてと、シエル仲良くなった所悪いが俺、フェニとちょっと仕事に行ってくるよ」
「えぇ・・・せっかく、なかよくなったのに」
シエルが拗ね始める、仲良くなったばかりで少し申し訳ない気はしたが何とか説得してフェニを返してもらった。
俺はフェニの背中に乗り現場に向かう準備をする、フェニに乗れば3分ほどで目的地に着くだろう。
「じゃあ、マハイルさん少し出かけてきます。」
「分かったわ、早く帰って来なさいよ、おいしいご飯を作って待ってるから、、」
「はい、夕食までには必ず帰ってきます。」
「おとうさん、シエルにもごほんよんでね。」
「うん、わかったよ、急いで終わらせて帰ってくる。」
「「いってらっしゃい!」」
2人のいってらっしゃの返事の答えるとフェニに乗り目的地に向かうのだった。
そして
この会話が俺とマハイルさんが最後にした会話になるのだった、、、
(イグナルト視点)
◆盗賊達がアジトにしていた洞窟
「はぁ、やはり考えすぎだったか?」
俺は盗賊達がアジトにしていた洞中を調べていた。
頼まれていた調査はすぐに終わったので、
今は個人的に気になっていた事を調査をしている
なにか情報が無いかと、血眼になりながら詮索する。
しかし、何も見つからない、
洞中は土の壁で出来ており、蠟燭の灯りが均一に全体を照らしていた。
なにに入れば何もなく、普通の洞窟にしか見えな、、
これは奇妙だ、、
何か違和感を感じる。
なぜこんなにも《《普通》》なのか?
仮にもここは盗賊達のアジトになっていた場所だ。
なのになぜ人が暮らした形跡がない?
それに俺が制圧した時にも犯しな点がいくつもあった
まずはアジトに攻め入った時、、、、
盗賊達の反応が犯しかった、
なぜ盗賊全員とも武器を持って臨戦態勢で待ち伏せしていた。
普通に考えると騎士団の情報が漏れたいたのだと思うが、、、
一体何処から仕入れたんだ?
しかも事前に騎士団が攻め入る事を知っていたら、
なぜに迎え撃ちにしようとした?
相手の物言いからして俺の正体はバレていた、にも関わらずに逃げる選択をしなかったのはなぜ?
しかも、相手はあまり抵抗の意思も見せずに呆気なく捕らえる事ができた。
まるで捕まる為に待っていたようにも感じた。
なぜだ?
俺を油断させたかった?
それに、相手には★2適合者3名もいたのだから、
普通に戦えばアイツらにも勝機があったかもしれないのに、、、
だが奴らの放つ魔法はとても★2と言える程の威力は無い、良くても★3レベルだろう、
なぜ手加減した?
俺にわざと捕まったのだろうか?
それともあれが本気だった?
もし、その場合なら事前に行った調査が間違っていたのかもしれない。
がそうなると、もう一つの疑問でもある
事前調査の時と実際に逮捕した盗賊の人数が違っていた、
この二点の調査が間違っていた事になる
まぁ、人はミスをする者だから、このような事態は良くあることだが、
ここまで間違っているのは、、
普通におかしい。
何か引っかかる気がする。
もう一度、洞中内に何か手がかりが無いか探してみる。
辺りを見て違和感はないか・・・無い
床に隠し通路はないか・・・無い
壁にも何かないか・・・無い
ここまで探して一つたりとも情報が見つからない、、
もう、このまま諦めて帰るかとも思ったが辞めておこう、、
なぜならまだ一ヶ所、調べていない場所があるのだから。
その場所とは、、、
「やはり貯蔵庫を探すしかないか、、」
そう貯蔵庫だ、、
俺が制圧の時にこの洞中に入り、最初に爆発した場所。
ここの捜索がまだ済んでいなかった。
なぜここの捜索を後回しにしたか答えは簡単
俺が爆破した時に油に引火した影響で貯蔵庫内は悲惨な状態になっていた、
出来れば調査をしたくなかった。
他の兵もあまりの酷さに手を付けるのを躊躇っており、捜査は後回しにされていた。
がしかし、ここまで何も見つからないのであれば、貯蔵庫の調査もしなけらばならない、、
自分自身が為出かした事とは言え・・・気が重い、、
俺は貯蔵庫に向かった。
中は予想以上に悲惨んで周りは油だらけになっている、
【食材、木、ガラス、鉄】、様々な物が燃えた匂いが空間いっぱいを漂っている、
正直言って臭い。
この悲惨な状況から良く死人が出なかったと感心した。
俺がやらかした事なんだがな。
布を口に当てたながら油まみれの貯蔵庫内を詮索する。
中は意外広く。50人分の食材は軽く入る程だ。
どんどん奥に進んでいくと不自然にな点に気が付く。
まわりは燃えた跡があるのに一か所だけ変に奇麗な壁を見つける、不思議に思った俺はその壁を手で触る、、、
すると壁をすり抜け中に入る事ができた。
中は隠し部屋になっていた。
「魔法の壁かぁ」
魔法の壁それは魔道具から展開される、魔法で出来た壁で、生き物しか通さない性質を持っており、一般的に運送業で荷崩れを起こさない様に使われている。
この魔壁は基本的に透明だが色の変える事も出来るのでこのように隠し通路に使う事も可能だ。
「ここが隠し部屋・・・・最初から貯蔵庫を調べとけば良かったな。」
中は広く、寝床、炊事場と言ったような場所が複数あり、
人が生活する空間が広がっていた、実際に生活したであろう跡もいくつも見つかった。
各部屋を見渡していくと奥に机が一つあり、
その机を囲む様に椅子が置かれている部屋を発見した。
会議部屋だろうか?
中に入り机の上を見ると複数の紙が散らばっていた。
何かの書類のようだ、、、
集めて確認すると俺は恐怖と焦燥感に駆られた。
その書類に書かれていた内容はこうだ。
―――――――
殺害依頼書
炎色魔法、適性レベル★2【シンドル、ラインド、ルイベラ】の三名に命ずる。
スカルダ国境付近にある森の中に住む少女
【シエル=ヴァインス】の殺害を依頼する。
成功報酬、3千万ギル
――――――――
単純ながら悪意に満ちた文章だ。
ここに書かれている内容からシエルが命を狙われていることが分かる。
シエルの命が危ない
しかし、盗賊は全員捕まえたのだから心配する必要はないと思うだろうがそれは違う、
ここに書いてある上位適合者の3名の名前と今回捕まえた上位適合者3名の名前が、、、、
【全く違う別人なのだから】
この内容からするとまだ捕らえる事の出来ていない、
盗賊3名がシエルの命を狙っているのだ、、、
急がなければ、、、
俺は血相を変え、マハイルさんの家に向かう為にフェニを呼び、大至急で向かう事にした。
「たのむ、、、頼むから、、、二人とも無事でいてくれ。」
俺の焦る思いが通じたのかフェニの移動速度が音速を超えた、、、
(マハイル視点)
「イグ帰り遅いわね。」
イグが仕事に出かけてから2時間が過ぎようとしていた。
明日にはイグも私の家を出て行く、その為今日はお別れ会としてご馳走を準備している。
今日のメニューは
とれたて野菜で作ったフレッシュサラダに、生米を粉末状にした焼きたてもっちりぱん。
それからクライツ総副団長が狩って来てくれたシカ肉で作ったローストビーフにイグが初めて家に来てくれた時にも出した、ビーフシチューにした。
良くここまで作ったと自分を褒めてあげたいわ。
テーブルの上に並んだご馳走を見てシエルも目を輝かして喜んでいる。
食事の準備が完了して、もう10分が過ぎた。
イグの言い様からして、そんなに遅くならいと思っていたので先に食事の準備を進めたのは失敗だったかもしれないわ、
料理が冷めて来た。
夕食までには戻るはずなので遅くても、あと数分で戻るはずだけど、、、
折角作った料理が冷めちゃダメだし、シエルもお腹を空かせてると思うし、、
イグには悪いけど先に食べる事にしようかしら?
「シエル、料理が冷めちゃうし、先にご飯食べちゃおうか?」
「ううん、おとうさん、まつ」
「でも、イグいつ帰ってくるか分からないわよ」
「・・・まつ」
そうか・・・やっぱり最後は一緒にご飯を食べたいのよね。
なら私もイグを待つ事にしよう
「そう、ならイグが帰ってくるまで、絵本読んであげるからお膝の上にいらっしゃい、、」
「やった~」
膝の上にシエルを乗せ絵本を読み始める。
久々にシエルに本を読んであげる気がするわ、イグがここに来てからは本の読み聞かせを任せきりだったわね。
明日からは私がまた本を読み聞かせるのね、、
そのうち、自分自身で本を読み始めて私が読み聞かせしないで済む様になるんだろうし、、
この子、頭いいからすぐに字を読む様になりそうだわ、今でも簡単な単語なら少しは読めるもの、、
本だけじゃなく、今後は一人で出来る事もどんどん増えていくんだろうな、、
そうなったら、
楽にはなるけど、やっぱり寂しいわ、
シエルを生んでからもうすぐで3年になるわ。
子供の成長は速いと言うけどここまで速いとは、、、
私は少し未来の事を考え楽しみまじりに微笑む
「まま、、なんでわらってるの?」
「え、私笑っていた?」
「うん、にこにこ、こうだったよ、、、」
シエルが笑顔をこちらに見せてくれた。
私のマネだろう、、太陽よりも眩しい笑顔、、、
かわいい、、娘が可愛すぎて、、、つらいわ、、、
「シエル~!可愛い、もっと笑って、、、」
「いいよ、、えへへ、、」
シエルは私にさらに笑顔を見せてくれた、、
贔屓目なしにしても、笑顔がここまで可愛い子はいないわ、
大きくなったら、この子モテるんだろうな、、、
自慢でもないが私も、結構モテる方だったのでこの子も恋愛系は苦労するだろなぁ、、
変な虫が付かない様に注意をしないといけないわね、、、
「今日は《森のクマの親子を読みましょう。」
「しえる、これすき、はなしおぼえたよ。」
「ほんと。すごいわね。」
久々の娘との二人っきりの時間を堪能した。
◆15分後
本を読み始めて15分程が経過した頃、
玄関のドアの方から「コンっコンっ」とドアを叩く音が聞こえた。
時間的におそらくイグが帰って来たのだろう、、
読みかけの本を折り畳み、机に置く。
シエルも膝から床に降ろし玄関に向かう、
玄関のドアを開けると三人の男性が立っていた、
三人とも見覚えがない、、服装からして騎士団の兵士でもなさそうだね、、
嫌な予感がする、、、
「あの・・・・どちら様で?」
「ここにシエル=ヴァインスはいるか?」
シエル=ヴァインス、、、
なぜ、シエルの名を呼ぶの?
しかも、こんな晩の時間に男が3人組で2歳の女の子に、どんな用事があるのか、、
ダメだ、嫌な予感しかしないわ。
私は焦りシエルに家の奥に逃げる様に指示をする。
「シエル!!部屋の奥にいっ!!」
『部屋の奥に行って』とシエルに言い切る前に背後から鋭利な何かで腹部を裂かれるような痛みを感じ、言葉が途絶える、、、
先程の男性が私の腹部にナイフの様な刃物を突き刺したのだ。
想像を絶する痛みに耐えきれずに地面に倒れ込む、、
ナイフから赤い血液が地面に流れる感覚がする、、
これは肝臓をやられたわ、、、
油断した、これだと5分もしないうちに私は死んでしまわ、、
魔法で治療をしなければ、、、、
でもそれは出来ないわね
「まま!!」
「シエル、」
シエルがこっちに駆け寄るとしている。
相手の目的は分からないけど、シエルが狙われてるのは確か、、
このまま私の所にシエルが来たら、、、
最悪の事態が脳を過る
それだけは絶対に避けないと、
シエルは私が、、、
命に変えても絶対に守るわ、、、
私は痛みに耐えながら、振り絞る様に微かな声で魔法を唱える。
「リヴァミ・・ティ、」
生樹再生・変形成長を唱えた。
シエルの居る、すぐ下にある床の木板が緑色に光り、苗木に変える。
その苗木を一気に成長させる。
その際に成長遺伝子を組み換えシエルを包み込む様に木を成長させ、
シエルを大樹に閉じ込め、敵から守る。
この家はアイアンウッドの木で建てられている、
それを私の魔法で生命を停止させた木材にもう一度生命を与え、成長させた。
その為シエルがこの木に隠れていれば少しの安全だと思う
アイアンウッドは世界一硬木材として有名でその名が示す通りに鉄の様に硬く、普通の鉄で切ろうとしても逆に剣の方が折れてしまう、、、
「まま!!まま!!」
シエルが木の中で不安がっているわ、、
なんとか、落ち着かせないと、、、
シエルが可哀そうね、、、
必死に元気な声を作りシエルを安心させてあげる。
「し、シエル、大丈夫だから落ち着いて、、」
口が血の味がするし、痛みで自分が何を言ってるかもあまり理解できないが、、、
娘を守る事だけは忘れない
「おい、なんだこの木、硬くて切れねぇぞ!!」
「おい、女、何をしあがった!!」
「・・・・」
「答えろ、、、」
男たちが私に何か聞いて様だが、今の私にはその問いに答える元気などはもうない、、、
痛みと出血により意識が朦朧としている、、
少し無茶をして魔法を使ったせいだろう、、、
さっきより血が流れる量が増えた気がする。
「チッ、女はもう死にかけか、、」
「どうする?」
「どうせ木で出来ているんだ、木なら燃やせるだろう、中のガキ諸共燃やせ、」
「りょうかいです、、」
『ガキ諸共燃やす』、、
そんな事したら、シエルが死んでしまう、、
いや、男たちの目的がそれなのだろう、、、
「や、、やめろ、、」
「おぉ、女起きたか。」
「俺らもガキを殺す趣味はないが仕事だからな、、悪く思うな。」
「お前が娘を木に閉じ込めなかったら、苦しめずに死ぬ事が出来たのにな、、可愛そうに」
「「「あはははは、、」」」
クズどもが、、、
アイアンウッドだからそう簡単には燃えないけど、、
シエルをなんとしても助けないといけないわ、、
しかし体が動かない、、、
頭では分かっていても体が動かす事が出来ない、、
自分の無力さを恨む、、
男の一人が燃える炎を唱える
シエルが中に入っている木に火を付ける、
がやはり火が付かない様子だ。
でもアイアンウッドも木なのでいずれ燃えてしまうだろう。
それまでに何とかしないといけないわ。
「この木、なかなか燃えないな、、」
「だが、もう時期火が付くだろう。」
「だな、」
「よし、火力を上げろ。」
「了解、、」
男は魔力をさらに込めて火力を上げようとした。
だめ、、シエルが、、
シエルが、、
どれだけ、助けようと思っても体が動かない、
私にはもう、助ける事は出来ないわ
しかし、希望はまだ捨てていない。
三日前にある約束をした少年がいる。
その子は『必ず守る』と私と約束してくれた。
私はあの子は絶対に助けに来てくれると信じている。
だから私が出来るのはその子が助けに来るまで、時間を稼ぐこと、、
「・・・・ミティ」
樹木変形《ミティ》を唱える。
シエルの隠れている木を変形させ、木から鋭利な枝が生え男たちを襲う。
それに驚き、魔法を止まる
「クソ女、いい加減にしろ、、、死にかけだと思って放置していたら、調子に乗りあがって」
「先にこの女から始末しましょうぜ。」
「だな、、」
私に向けて魔法を放つ準備をする。
「すぐに娘もそっちに向かわせるから、安心しろ、弾ける炎 」
私に炎球が襲い掛かる、、
はぁ、私死ぬのか、、
まぁ、どの道この状況じゃ、
私は助からないし、
死ぬのは覚悟できたけど、、
シエルの、、
シエルの無事だけが心配だ、、、
シエル大丈夫よ、、
すぐに
すぐに、お父さんが助けに来てくれるからね。
シエル、アナタだけは絶対に助かるわ、、
ママが約束するわ、、
娘が助かる様に祈りを込め目を瞑る
「炎よ戻れ!!!」
死を覚悟した、、
その時、聞き馴染のある青年の声が聞こえる。
私に向けられた攻撃魔法が放った術者の元へ戻って行く、
戻った魔法は相手に当たり爆発、、
魔法を放った男は体中が炎に包まれる。
「ぎゃあああ、あつい、熱い、熱い、熱い、熱い」
「超火力上昇!!」
男の体を包む炎が発光したと思えば、その炎が消えた。
消えた炎の後には男の姿もなく床に塵の様な燃えカスが少し残っていた。
こんなバカげた火力の炎色魔法を使える人、、私は一人しか知らないわ
私は玄関の入り口を見るとそこには赤髪の青年が立っていた。
その青年はと三日前に約束した人物。
イグだった。
「マハイルさん!大丈夫ですか!」
「わ、わたしの事はいいから、、」
「クソ、良くも俺の仲間を、、、炎の砲撃」
男がイグに向けて魔法を放とうとする。
「フェニクス音無き攻撃!」
魔法を向けた男に、イグの使い魔が目にも止まらない速さで窓から入り、直線状に過ぎ去り、
そのまま別の窓から外に出て行くのを確認できた。
ファニちゃんが去った後を見るとさっきイグに攻撃魔法を向けていた男の姿が無かった。
フェニちゃんがやったんだろう。
「、、、マハイルさん少し待て下さいね。すぐに助けますから。」
イグは残りの一人の男の元へと無言で近づく。
「ふ、、お前がどれだけ強くても俺には手を出せない。
おっと、動くなよ。この木の中にはあの女の娘がいるんだ、それ以上近づくと娘を殺すぞ、、」
「、、、、」
イグは男の脅しを聞こえてない様に、、歩き近付く。
「クソ、、脅しだと思ってるな、、いいだろう、なら炎色魔法★2の火力を見せてやる。燃えよ炎2000度」
「消化《キャンセル》」
男の放つ攻撃魔法をイグが消し去った。
あはは、本当に何てデタラメな力なのよ、
魔法が使えない状況に戸惑っている男の肩に軽く手を添える。
「クソ、なんで俺様の魔法が、、、」
「・・・うるさい、燃えよ炎2万度」
イグの手から出た炎が男の体を包み込む。
先程の男と同様に一瞬発光して、すぐに炎が消える。
その場に男の姿が無くなっていた。
一瞬の出来事で、男は悲鳴も上げる事も叶わなかったようだった。
そのままシエルが居る木に向かい、炎の剣の様な物で木を焼き切る。するとシエルの泣き声が聞こえる。
無事の様で良かったわ。
「うぅ、うえぇぇん、、、おとうさん。」
「ごめん、助けるのが遅くなった、ケガは?」
「うぅ、、うん、だいじょうぶ、、ままは?」
「そうだ、マハイルさんの治療をしないと。」
私の元に2人が急いで駆け寄ってくる。
あぁ、シエルにこの姿見せたくないな、、
「マハイルさん、、けがぁ、、、、」
「おとうさん、どうしたの?」
イグは気が付いたようね、、
「・・・・マハイルさん、ごめんなさ」
「あ、、あやまらないで、いぐ」
「おとうさん、、ままは?、、ままはどうなるの?」
「まだです、、まだ何か、手が、、」
「いぐ、、いいの、、、もう」
こんな姿でお別れしたら、シエルに一生の傷を負わせてしまうかも、、
でも、私が母親としてこの子と一緒に入れる時間は少ない。
残された時間でシエルにあげれる物をあげないと、、
「し、、シエルこっちおいで。」
「まま、ケガしてる、大丈夫?」
「あはは、、大丈夫少し寝たら治るわ、、」
そう、まだこの子には私が永遠に眠る事なんて知らないでいいの。
まだね、、
「シエル、、あなたは私の宝よ、、」
「えへへ、」
「あなたに、この先、悲しい事が起こるわ。・・・でもだいじょうぶよ、周りには、助けてくれる人がいっぱいわ。」
「うん、、ままもいるもんね。」
私もか、、、
ごめんねシエル、、あなたに嘘をつくわね
「・・・・そ、そうね、」
「まま、ないてるの?」
涙が私の瞳からこぼれ落ちる
「ごめんね、、しえる、、」
「まま、、なかないで、、」
私の頭をシエルが撫でてくれる。
「いぐ、しえるを、頼むわよ、」
「そんな事、言わないで下さい、シエルにはマハイルさ、、」
「いぐ・・・たのむわ、、」
「・・・はい。」
「それでいいわ・・・ゲホッ、ゲホッ、、」
「マハイルさん、、」
あぁ、もう時間が無いようね、、、
やっぱり、死にたくないなぁ、これからシエルにいっぱい愛情込めてあげようと思ったのになぁ、、、
あはは、もう体の感覚がなくなって来たようね、、
「いぐ、、あまり、自分を責めないで、、」
「・・・・・」
「いいわね、、」
「・・・・はい。」
よし、あとはシエルね。
「シエル、ままのおねがい・・・きいてくれる?」
「うん、いいよ。」
「ままに、さっきよんだ、ほん・・・よんでくれる?」
「うん、しえる、ほんが、なくってもよめるよ。」
「あはは、さすがね・・・じゃあおねがい。」
この本はシエルが生まれてからずっと読み聞かせた物だ。
「よむよ、、むかしむかし、ママクマと子グマが森のおくに住んでました。子グマにはパパグマがいませんでした。がそのかわりにママグマが、、、、、」
あぁ、シエル・・・成長したわね。
この先どんどん成長するんだろうなぁ。
本読めて。
家事を手伝ってくれて。
学校にも行って。
友達もできて。
友達と喧嘩したりして、仲直りの仕方なんて聞いて来るのかしら?
ふふっ
シエルはどんな仕事するのかしら?
お花屋さん?先生?
本が好きだから、本屋さん?
恋人も連れてきたりして、結婚して、子供が出来てね。
シエルはこんな子供を一人にして、
先に行くダメな親になっちゃダメよ。
あぁ、シエル。
私の大好きでシエル、
あなたの成長見れないのは残念で悔しいけど、、、
最後に一つだけお母さんのお願いを聞いてね。
『シエル・・・・幸せになりなさい、、、』
「子ぐま・・・・まま?ねちゃったの?」
「マハイルさん、助けれなくて、ごめんなさい、、、」
「おとうさん、なんで泣いてるの?」
「ううん、ごめん、本の続き読んであげて、、」
「うんん、、コグマはママくまの、こどもにうまれて、しあわせでした、、」
―――――――
―――――
―
マハイル=ヴァインス、愛娘の声を聴きながら、眠りにつく。
◆主人公
【イグナルト=ソル=ルドベキア】
性別 男
年齢 過去編19歳
魔法適正 炎色魔法
適性レベル ★1
見た目 身長は平均より少し高くキリっとした顔立ちと真っ赤な炎の様な赤い髪が特徴である。一部の女性からはイケメンとして人気である
騎士団ミカエルに所属する新米兵士であるが元々騎士団で育った為12歳から作戦に参加をしていたので実際は7年の経験があるベテラン兵である。
騎士団の規則で19歳からしか騎士団に慣れない為に今は新米兵だが実力は騎士団内で3本の指に入る程戦闘面では強いが、作戦では詰めが甘く良くセアラに愛のお叱りを受けていた。
世界で一人しかいない炎色魔法の★1適合者でありイグナルトの操る炎魔法の温度は文字通り無限である。
強力な魔法の為、本人は手加減する方がめんどくさいと言いあまり魔法は使わずに体術で戦う事の方が多い。
使う魔法
1,弾ける炎
炎の塊を凝縮して破裂させ爆発する下位魔法であるが、
上位適合者になると連射や威力を上げる事から任意の場所に出現や爆発など自由自在に操る事が出来る魔法である。
2、燃えよ炎
下位魔法で体から炎を出す炎色魔法適合者ならだれでも使える魔法だが。
火力や出力は本人の適性レベルで変わる
上位適合者なら4000~8000度で1万を超えたら歴史に名前が記される程の大魔法使いと言われる。
3、炎形変化【剣】
炎を好きな形に変化させ自分好みの武器に出来る魔法である。
火力も自分で時代に変える事が出来る。
4、降り注ぐ炎雨
炎の塊を雲に擬態させて上空から炎の雨を降らせる上位魔法である。
強力な魔法な為消費魔力が多く一般人が使えば10秒で魔力切れを起こし気を失うレベルだ
イグナルトの使い魔
ソルズガルダ(名前フェニックス)
モチーフ:オオギワシ(猛禽類)
特徴:5大最強種のうちの鳥魔種の頂点に立つ魔物である、鉄を切り裂く爪に岩も持ち上げて飛べるほどの力を持っている、大きさは1m~1,6m、飛ぶスピードは鳥類最速の時速420㎞にもなる、頭がよく目も良く(異名:音無き狩人)、炎色魔法と相性が良い
生息数5羽程度
生息地 なし(全世界で見られる)
戦闘:鋭い爪や嘴などを用いて戦う、
ソルズガルダ専用ワザ(ソニックブーム):停止した場所から炎を圧縮させ噴射し推進エネルギと変える事によって時速1225㎞に一気に達し的に突進するワザである。
【シエル=ヴァインス】
性別 女
年齢 過去編3歳
魔法適性 今はなし
見た目 白雪の様な白い髪と肌、大きな丸く蒼瞳が特徴でお人形の様な可愛い顔立ちをしている。
母親のマハイルと森でひっそり暮らしていた。
ヴァインス家の血を強く引き継いでおり体内にある魔力は一般人より多いがまだ魔法が使えないのでシエルの魔力量が多いのはあまり知られていない。
靴や靴下を履くのを嫌いよく裸足で森を駆け回っており母親に良く注意されていた。
母親のマハイルとは死別した。
◆シエルの関係人物
【マハイル=ヴァインス】
年齢 享年23歳
性別 女性
魔法 草色魔法
適性レベル ★2
元ミカエルの看護兵であり、シエルの実の母親。
シエルがお腹にいる時に夫のパドレと死別している。
夫の分まで娘を可愛がっていたマハイルだがある日盗賊から娘を守るために亡くなってしまう。
使う魔法
草色魔法
1、生樹再生、生命あった、草や花、木などの生命を終えた者にもう一度だけ生命を与える最上位魔法であり絶大な魔力が必要となる。
2、変形成長、成長する植物の遺伝子を組み換え自由な形に成長
3、生樹再生・変形成長、生樹再生と変形成長の組み合わせ魔法である。
◆騎士団のメンバー
【フラロス総合団長】
年齢 43歳
性別 男性
魔法属性 登場なし
ミカエルの総合団長でありイグナルトの育ての親でもある。
【ライアス総合副団長】
年齢 28歳
性別 男
魔法適性 なし
最年少でミカエルの総合副団長になった男である。
一番イグナルトを可愛がっていた。
【セアラ第2番隊長】
年齢 38
性別 女性
魔法適性 登場なし
イグナルトに一番厳しいが一番心配している。
イグナルトの魔法と戦闘の師匠でもある。
イグナルト視点)
◆騎士団ミカエル本部 食堂にて
俺は今ミカエル騎士団の食堂で食事を取るために長い列に並んでいた。
今日でマハイルさんが亡くなって丁度一週間がすぎた。
葬儀は騎士団内で密かに行われた。
葬儀が終わって数日が過ぎたが俺自身まだ死んだ実感がわかない。
今でもあの家に行けばマハイルさんが笑顔で出迎えてくれる気がする。
しかしそんな事はもう起きない、、、
そんな事を考えていると後ろから肩を叩かれたので振り返る。そこにはセアラさんの姿があった。
「おい、イグ、、、、元気か?」
なんか気を使ったような言い方だ
「まぁ、、元気ではないですけど。大丈夫です」
「そうか、、、」
いつもみたいに小言の一言も無いとなんか調子が狂う。
「あまり自分を責めるないでよ、その顔色からしてここ数日寝れて無いでしょ。」
「そうですね、、、でも今回の件は俺に責任があります。マハイルさんを守ると約束したのに、俺が任務で慢心したせいで盗賊を取り逃したんです。セアラさんにも慢心をするなと忠告を受けていたのに、」
「それは違う、今回の件はイグだけの責任じゃ無いわ。周りには多くの兵もいた。今回の件は騎士団の問題よ、」
「いえ、、ですが、、、やっぱりいいです」
このまま話し合いしていても意味がない
マハイルさんが死んだ事実は変わらないのだから。
俺がどれだけ自分を責めてもマハイルさんが帰ってくるわけではない。
そんな事は百も承知だ、、
だが自分を咎めないと自分自身が許せない。
「すいません、、、」
「はぁ、これは相当きてるな、、」
ため息を吐くセアラさんこのため息はめんどくさいから出たものではなく俺を心配するから出たものだと理解できた。
この人根は優しい人なんだよな。
「ところでイグ、シエルちゃんの様子はどうだ?」
「シエルは、、、」
シエルは今俺の部屋にいる自分の母親が死んだ実感をあまり持てていないだろうけど、
二度と会えない事は理解できていた。
3歳の女の子には残酷な真実だ、、
同じく両親を失った俺にはシエルの苦しみは理解できた。
理解できたからこそシエルに同じ思いをしてもらいたくなかったのに。
また気が落ち始めた俺を見てセアラさんが喝を入れるように背中を思いっきり叩いた。
「痛っーーてぇ」
「今シエルちゃんにはイグしか頼れる人いないんだから、そんな暗い顔しないの。」
痛む背中を堪えながら返事に答える。
「わ、わかってますよ。シエルの前ではこんな顔見せれませんよ。」
「わかってるなら良いわ。ほらアンタの番よ、食事を取りなさい。」
目線を並んでいた行列に戻すと前には人が居ず代わりにカウンター越しに給養員がいた。
俺はその給養員から食事が乗ったトレーを2つもらった。
一つは他の人と同じメニューが乗ったものともう一つは子供が好きそうな食べ物が乗ったトレーだった。
「はい、今日もシエルちゃんが食べてくれそうな特別メニューを作ってあげたわよ」
「ありがとうございます。」
「あまり無理に食べさせなくて良いからね」
「はい、今日はシエルも少しは食べてくれると思います。」
給養員と少し話し、二つの食事が乗ったトレーを持ち自室に戻る。
「今日は少し食べてくれると良いんだがな」
◆ミカエル本部 寮棟
ご飯が乗ったトレーを持ち、寮室のドアを開ける
一人で住むには十分な広さの部屋の中には書類整理などを行う為の机と椅子にシングルベッドの必要最低限の物が置いてある、
面白みのない部屋も光景が広がっていた。
俺の部屋だ。
あまり趣味がないので部屋には何も置かない。
部屋で唯一目立つベットの上に目を向けるとシエルが隅の方で座っていた。
まだ寝てると思っていたので少し驚いた。
その隣には使い魔のフェニの姿も見えた。
食堂でセアラさんと話した時の様な暗い表情を辞め、元気にいつも通りシエルと接する
「シエル、おはよう」
「・・・・おはよう」
シエルは元気がなく返事を返す。
まぁ、返事が返ってくるだけありがたいが。
最初の方はショックで話す事も出来なかったからな。
俺は心配しながらシエルの顔を除くと目の横が赤く腫れている事に気が付いた。
俺がいない間に泣いていたのだろう。
「シエル、飯持って来たが食べるか?」
「・・・いらない」
その瞬間シエルの腹から大きな音が鳴る。
「・・・腹がなってるぞ。」
「たべたくない。」
お腹が空いてないじゃなく、食べたくない・・・
その言葉から分かる通り。体は飯を欲しているが心がそれを邪魔している様子だ。
マハイルさんの葬式が終わってからずっとこの調子だ。
三日間ちゃんとご飯を食べていなかった。
寝間着のまま服も着替えず。何もしないでずっと部屋の隅に座って俺の部屋に引きこもっている。
はぁ、あまり強引な手は使いたくないんだがな、
シエルがこうなったのは俺が原因だから、あまりシエルに強引な事はしたくなかったが・・・・
さすがにずっとこのままだとシエルの体にも悪いし、マハイルさんにも合わせる顔がない。
俺のベットの隅に座っているシエルを抱き上げる。
意外と抵抗しなかった。
俺はそのまま椅子に座り、自分の膝の上にシエルを座らせる
机の上にあるシエルの食事が乗ったトレーからオムレツが乗った皿を一つ選びスプーンですくい、シエルの口に運ぶ。
「ほら、旨そうなオムレツだぞ」
「だから、いらないって」
シエルの鼻をオムレツの香りでくすぐる様に近づけると先程とは比べ物にならない程の大きな腹の音が鳴る。
「体は正直だな、我慢せずに食べな」
「・・・わかったよ、」
渋々とスプーンに乗ったオムレツをゆっくりと食べ始めた。
するとシエルの目に光が少し戻った。
このオムレツはシエルが好きなような味付けに作ってもらった特別な物だった。
「おいしい。」
「そうか、よかったな。」
「もう一口ちょうだい。」
「もちろんだ。ゆっくり食えよ。」
次々とトレーに乗った食事を食べ進め、あっという間にすべて完食した。
余程腹が減っていたのだろう。
食べ終えるたシエルの顔を見てみると少し笑っていた。
よかった。
「うまかったか。」
「うん、おいしかった。」
「・・・なぁ、シエル」
「なに?」
「少し外に出てみないか?」
「・・・いや」
シエルは再びベットの隅の方へ移動し、フェニに抱き着きつく。
それを見てフェニもゆっくりと羽でシエルを包み込んだ。
フェニには感謝している。
マハイルさんが亡くなってからずっとシエルのそばにいてシエルを見守ってくれていた。
数分するとフェニの羽の中からシエルの寝息が聞こえた。
腹がいっぱいになって眠くなったんだろう。
今日はご飯を完食できただけ進歩した方だろう。
外に出る事は断られたが少しずつでいい。
焦らずにゆっくりとシエルの心の傷を癒そう。
俺はそう誓いゆっくりと部屋を後にした。
◆ミカエル本部 総合団長の部屋
イグナルトはフラロス総団長の部屋に入いる。
「イグナルトです、失礼します。」
「おぉ、イグ来たか。」
中に入るとフラロス総団長の姿はなく代わりにライアス総副団長の姿が見えた。
イグナルトは驚きながらもライアスと会話を始めた。
「ライアスさん・・・団長は?」
「総団長は今任務に出ている。」
(任務かぁ、、)
イグナルトは心の中でつぶやく。マハイルが亡くなってからシエルに付き添ってほしいとフラロスからの直々の願いがあり今イグナルトは休職中になっていた。その為イグナルトの代わりに総団長が任務に出向いていた。
その現状にイグナルトは申し訳ない気持ちになっていた。
そんなイグナルトの考えを感づいたのはライアスだった。
「イグ・・・今は騎士団の事を気にするな、お前の仕事はシエルちゃんの心を癒してやる事だけだ。」
「・・・そうですね。」
イグナルトの返事に元気がないのに気が付きながらも話を続けるライアス。
「・・・で?シエルちゃんの様子はどうだ?マハイルの葬式後からずっとお前の部屋に引きこもってると聞いているが。」
「そうですね。部屋と言うか俺のベットからここ三日間ずっと出てないですね。飯ロクに食べずにずっと部屋で呆けてます」
「そうか・・・それは不憫だな。」
「そうですね。シエルには本当に可哀そうな事をしてしまいました。」
「いや、今のはシエルちゃんとお前に向けて言った言葉だぞ?」
「・・・は?俺ですか?」
イグナルトは驚きを隠せないでいた。
「そうだよ、そんなシエルちゃんの姿をずっと見て辛かったろうに泣き言一つ言わずにお前は本当に偉いよ。」
「・・・・俺は罪を償ってるだけですよ。」
「罪って、今回の件はお前だけが悪いわけではない。」
イグナルトの罪とはマハイルさんを守れなかった事を指す、マハイルさんが亡くなったのは全て自分の責任だと思っている。
しかし、騎士団の人々は決してそんな事を思っていない。
そのことはイグナルト自身にも分かっていたのだがそれに甘える考えはイグナルト自身には出来ないのであった。
「ですが、」
「あぁ~!めんどくさいな。いいかマハイルの件に関しては騎士団全体の油断が招いた事だ。お前だけが責任を負う事は許さん。」
「・・・ですが俺がもっと慎重にしていれば。」
「はぁ、確かにお前は自分の強さを過信している所はあるが、今回の件とそれは関連性がない。
アジトの隠し部屋を見つけれなかったこと。潜入作戦がバレたこと。マハイルの護衛を緩めたこと。
全て俺らの責任んだ、
もし、俺が他の任務に向かうのを遅らせてイグが帰ってくるまでマハイルのそばに居たらこんな事にはならなかった。
だからイグだけの責任じゃないんだよ。」
「・・・そんな事ありません。結局は俺が慢心しなければ今回の事は防げました。」
「それは違うわよ、イグ。」
イグナルトとライアスの会話に急に割って入って来たのは騎士団2番隊長のセアラである。
彼女は不作法と分かりつつ会話に割り込む事にした。
「食堂からずっと・・・いや、マハイルが亡くなってからずっと気にしていた。今回の件でイグは自分を責めすぎよ。」
「ですが、セアラさんがいつも慢心はするなと言ってくれていたの俺はその忠告を無視して・・・その結果が。」
「はぁ、実は私はイグが慢心してるとは思っていなかったわ。」
「・・・は?」
セアラの口から出た衝撃の言葉に驚愕するイグナルト。その驚いた表情を見たセアラは話を続けた。
「イグは確かに自分の強さを過信しているがそれは慢心ではなく自信よ、自身が無い人は人を助ける際に躊躇いが生まれるその結果救えない事もあるけどあなたはそれがない。」
「・・・じゃあ、なんでいつも俺に苦汁を飲ませようとしていたんですか?」
「それはあえてイグに試練を与えてもっと自信を付けさせる為よ。」
「・・・そうだったんですか、じゃあなぜいつも慢心するなと言っていたんですか?俺が油断してると思ったからでしょ?」
セアラはイグナルトの質問に対し悲しい表情を浮かべながらも優しい声で答える。
「イグに・・・今みたいな思いをさせたく無かったからよ。私と一緒の思いは。」
「・・・セアラさんと同じ思い?」
イグナルトの頭に疑問符が浮かぶ。
そんな彼を見たセアラは自分の過去を話し始めた。
「・・・あれは10番隊長になった時、私が初めて隊長になった時ね。当時の私はアナタと違い自分の力に溺れていた。その結果自分の強さを基準に考えて私の部隊の子達に無茶な任務をさせて来たわ。
その結果が20人程いた隊の全滅よ。」
自分が知らなかったセアラの過去にイグナルトは言葉が出なかった。
今彼に出来るのはセアラの話を黙って聞く事だった。
「当時の任務は上位適合者5名で組織された犯罪者集団を捕らえる任務で私が居なくても大丈夫と判断し私は単身で他の任務に私の隊は副隊長に任せてそれぞれ違う任務に向かったは。しかしその結果が悲劇を生んだのよ・・・」
「・・・そんな事があったんですね、知りませんでした。」
「12年前の出来事ですもの当時のアナタは両親を失ったばかりで大変でだったから仕方ないわ。私はあの事件で自分の強さに溺れていた事に気が付いたは。しかしイグそんな過去の私とは違ったわ。」
「俺が?」
「えぇ、あなたは自分の強さを知った上で他人の弱さを知っている。だからこそあなたは簡単に人を殺すことが出来る魔法をあまり好んで使わないのよね。」
「・・・それは手加減するのが難しいから魔法を使わない様にしてるだけで、、、」
「それがあなたのいい所よ。だからこそ、もしあなたが守る事が出来ない事があればあなたは自分を責め続けると思ったからこそあなたにはあの態度を私は取っていたのよ。」
「・・・・」
今まで自分に言った言葉の数々は全てセアラの様な悲しい思いをしてほしくなく言った言葉だと知ったイグナルト。彼女の悔しさと優しさを感じ取れる話を聞かされ彼はセアラになんと声をかければいいか悩んでいた。
そんな空気を感じ取って空気を変えるように話を再び始めたのはセアラだ。
「悪いわね。暗い話をして」
「いえ、貴重な話ありがとうございます。」
「だからこそイグは今回の事件では何も悪くないわ。隠し部屋を見つけたのは上出来だと思ったわ。それに・・・」
「それに?なんですか?」
「イグはシエルちゃんの命を救ったのよ。」
「シエルを?」
「そうよ、本当なら二人とも命を落としていても不思議じゃなかったわ。それなのにあなたはシエルちゃんの命を救ったはこれに関してはよくやったわ。」
「・・・ですが、俺はマハイルさんの命も救いたかった。」
イグナルトの目に涙が浮かぶ。この涙は悔しさと悲しさから来る苦渋の涙だ。
そんな姿を見たセアラは優しくイグナルトを抱きしめると思いきやセアラはイグナルトの背中を強く叩くのだった。
あまりの痛さに流れた涙が引っ込む
「痛っ~て!」
「いつまでクヨクヨしてるのイグ、いいこの世にはどんなに頑張っても失った命は取り戻す事は出来ない。いつまで後ろを振り返ってるの?あなたに今できる事は何?」
「俺に出来ること?」
「あなたに今できる事は2つあるわ。
一つはもう二度とマハイルの様な犠牲者を出さない事。
もう一つはシエルちゃんを元気づける事よ。」
2人の会話を黙って聞いていたライアスもようやく口を開き会話に参加する。
「そうだ。セアラの言う通りだ。お前に出来るのはシエルちゃんを元気付ける事だ。お前を今なんの為に休職扱いにしてると思っているんだ?」
「・・・ライアスさん、セアラさん。」
「分かったらさっさとシエルちゃんの元気付ける方法を考えろ。騎士団も全力で協力してやる。」
「そうね。最悪私がイグの様にシエルちゃんに愛のムチとして背中を叩いてあげるは」
「「それだけはダメ!」」
イグナルトとライアスは声を揃えて否定した。
そんな事したらシエルの華奢な体が壊れてしまうと思い二人は必死にシエルを守る行動を取った。
「冗談よ、私は女の子まで傷つける趣味は無いわ。」
「・・・女の子って、よくリーシャを虐めてるじゃないですか。」
「あの子は別よ、それよりイグ何かシエルちゃんを元気付ける方法は無いのかしら?」
「実は一つあるんですけど騎士団の協力が必要で・・・」
こうしてシエルを元気付ける為に騎士団総動員である計画が始まる。
◆その日の夜 イグナルトの部屋
「・・・フェニちゃん気持ちいい?」
「キィー」
イグナルトの部屋でシエルがフェニックスの羽を整えていた。フェニックスは気持ち良さそうにしていた。
そんな2人の微笑ましい空間に割って入る様に部屋のドアを乱暴に開けて部屋の主のイグナルトが入ってきた。
「シエル!起きてるか?」
「わぁ、なに?」
シエルは急な出来事に驚く
「あぁ、驚かせて悪い。見せたいものがあるから今から屋上に行こう!」
「・・・え?いまから?」
「嫌か?」
「いや・・・・きゃあ~!」
シエルが嫌と拒絶しようと思ったら隣で座っていたフェニックスがシエルの服を咥え持ち上げ、イグナルトにシエルを託す。
「・・・フェニちゃん?」
「よくやったフェニ。」
シエルを抱きかかえ屋上に向かた。
屋上に着くとなんといつも明るい騎士団が暗闇に包まれていた。
「おとうさん・・・こわい。」
「ははっ」
怯えるシエルを見てイグナルトは笑みを浮かべる
「なんで笑うの?」
「いや、久々にお父さんと呼ばれたから嬉しくてな。」
「・・・ぷっ、なにそれ」
シエルが少し笑ったの
「シエルに見せたい物は暗い所で見ると奇麗だから、今は電気が消えてるだよ。」
「くらいところで?」
「まぁ、見る方が早いよな、見とけよ」
そういうとイグナルトは暗闇の空に向かい手をかざすと魔法を放っ。その魔法は炎の球で一直線に空に向かう。空高くまで打ち上がったのを確認してイグナルトはその炎の球を破裂させる
「弾ける炎」
イグナルトが唱えた弾ける炎はいつものと地が七色に光っていた。
それは夜空に咲くキレイな花の様だった。
「・・・きれい。」
「夜空に咲く火の花、花火って言うんだよ。」
「・・・花火、きれい」
シエルは目を輝かせながら。花火を見ていると数秒で花火が消えてしまった。
「あぁ、おわちゃった。」
「まだ終わりじゃないよ」
そういうとイグナルトは下の方を指で指すとその方向をシエルが見ると騎士団の人たちが集まているのを気が付いた。
イグナルトは下で待機している騎士団員の人たちに『お願いします』と一言かけると一斉に空に向かい先ほどイグナルトが放った魔法を放つと空には種類や色の違う花火が沢山咲き誇り花畑の様になっていた。
「あはは、すご~い!」
(ようやく笑った、)
そんな光景を見てシエルは満面の笑みだった。
久々に見たシエルの笑顔にイグナルトは嬉しくなった。
そんな空に浮かぶ花火たちが10分程続くと徐々に兵たちの魔力も尽きはじめ終わりを迎えた。
楽しい時間があっという間に過ぎる。
「すごかったね!」
「シエル、最後にとっておきの花火を見せてあげるよ。」
「え?まだあるの?」
「見とけよ、久々に本気を出すからな。」
イグナルトは今度は自分の頭上に向けて手を掲げる。
「燃えよ炎」
魔法を唱えると頭上には町を一つ飲み込む程の大きな炎の塊・・・・
いや、太陽があった。
「火力上昇」
頭上の太陽は火力を徐々に上げていく
赤→黄色→白と色がどんどん変化し最終的には奇麗な青色へと変わった。
「凝縮」
イグナルトの頭上にあった青い太陽はみるみる内に小さくなり。気が付けばビー玉サイズに代わっていた。
「発射」
そのビー玉サイズの火球を指先で操り今度は正面上空の空に向けて放つ。まるで指鉄砲の様に火球は凄まじい速度で上空の遥か彼方へと飛んでいき見えなくなる。
「・・・・消えちゃったよ?」
「大丈夫今からすごい物が見れるから瞬きしたらダメだよ。」
イグナルトは手を高らか上げて指を『パチンと』鳴らす
「着火」
その瞬間に空を覆う様な奇麗な青い火の花が咲いていた。
その大きさは驚愕の一言に限る下の騎士団員達はそれを見て
「おい、マジかよ・・・」
「あの魔法、やべぇぞ・・・」
「こんなデカい魔法初めて見た。」
夜が一瞬朝になる程の明るさと大きさがあり。この大きな花火はスカルダル全土で見れる程壮大な大きさであった。
驚く騎士団とは裏腹にシエルはその花火を見て涙を浮かべていた。
なぜな、この花火の形はある花の形、そして色と一致していたからだ。
「ママが、すきなお花だ。」
「この花をシエルに見せたかったんだ。」
「・・・おとうさん。」
シエルは涙を流しながらイグナルトの事を呼ぶ。
それに対し彼は耳を傾けるとシエルが急にイグナルトの頬にキスをした。
驚きつつも嬉しさが大きく今すぐにでも叫びたい気持ちを堪えシエルにどうしたのか尋ねる。
「・・・どうしたんだ?シエル?」
「ママが教えてくれたの、ありがとうはほっぺにチューって」
(マハイルさんめ・・・自分がされたいから嘘を教えたな。)
「いいんだよ、シエルが元気になってくれたらそれだけで。」
「うん、ありがとう、おとうさん大好き。」
シエルは再び空に打ちあがった大きな花火を眺めながら、過去に会話した母が好きだった花の理由を思い出す。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「まま、これキレイだよ!」
「シエル、見る目あるわね。ママが一番好きな花よ。」
「へぇ、じゃあシエルもすき!」
「あはは、そうね一緒ね。」
「えへへ、なんで好きなの?」
「見た目もそうだけど花言葉が好きなのよ。」
マハイルが好きな花は【青のカーネーション】
花言葉は「永遠の幸福」
一週間後。
◆騎士団本部ミカエル 食堂
「シエル、美味いか?」
「うん!おいしい。」
イグナルトとシエルは騎士団内にある食堂で食事をしていた。
シエルの母であるマハイルが亡くなってから一週間程はシエル自身も喪失感とショックでロクに食事を取る事も出来なかった。
そんな彼女も周りの力を借り、前の元気な姿に戻りつつあった。
しかしそんな良い状況の中で一人の男は不満を漏らしていた。
「はぁ、辛い物がたべたい・・」
イグナルトであった。
シエルが食堂で食事をするようになってから彼女の美味しそうに食事を取る姿を見た給養班の人々はシエルが喜ぶ料理を準備するようになり、ここ最近メインの献立は「オムライス、ハンバーグ、グラタン、カレー(甘口)、パンケーキ」などと子供が喜びそうな料理が続いていた。
イグナルトはその献立では物足りずにいた。
なぜなら、彼は根っからの辛党であったからだ。
最近の献立では辛味が足りずに満足できていなかった。
シエルが元気になったのは嬉しかったが辛い物が食べれないのはつらいイグナルトであった。
(はぁ、近々グライスの店で激辛料理を爆食いしてやる。)
そんな野望を胸に潜めながら食事を終える。イグナルトは隣に目をやるとシエルがまだ食事をしていたので『慌てずにゆっくり食べなさい。』と言い自分は食後の珈琲を楽しむ。
そんなリラックスタイム中、座る席を探す女性団員の集団がシエルの存在に気が付き、騒ぎ始める。
「待って、シエルちゃんいるよ。」
「え、ほんとだ、相変わらず可愛いわね。」
「隣に座りましょう。」
「「「賛成!!!」」」
そんな会話をしながらイグナルトに女性が声をかける。
「イグナルトさん、隣いいですか?」
「あぁ、いいぞ、シエルも良いよな?」
「うん、」
イグナルトとシエルの許可を頂いた女性団員たちは隣に腰掛ける。
「シエルちゃんは本当に美味しそうに食べるね。」
「うん、シエル、ここのご飯好きだよ。」
「「「可愛いい。」」」
シエルが笑顔で返事をすると周りの女性団員が可愛いと騒ぎ始める。
職業がら騎士団内は殺伐としており花など一切無かった。
そんな中にシエルと言う、超絶美少女が入って来たのだ。
一輪花と言うよりは桜の木の様な存在感であり、シエルは騎士団内で癒しのスポットとなっていた。
特に女性団員からの人気ですごく、良く遊んでもらったり、お菓子やらぬいぐるみなどを貰って帰って来る事も多く、何もなかったイグナルトの部屋は貰い物でいっぱいになっていた。
「ねぇ、ごはん食べ終わったらお姉さん達と遊びましょうか?」
「え?いいの!お姉さんたち大好き・・・」
【大好き】その言葉を聞いた女性団員たちは『はぁ~ん』と言い次々と倒れていく。
そんな奇妙な状況に割って入る様に総副団長のライアスがイグナルトに声をかけた。
「いたいた。イグ、少しいいか?」
「はい。」
イグナルトはライアスの元へと近づく。
「どうしました?」
「あぁ~、実は団長がお前を呼んでいるんだ。」
「俺をですか?わかりました。」
イグナルトはライアスの言われるがまま総団長室に向かった。
シエルも連れて行こうとも思ったが女性団員たちに囲まれていたのでそのまま預ける事にした、
◆騎士団本部ミカエル 総団長室
「イグナルト、失礼します」
「あぁ、イグ来たか」
ノックをして部屋に入室したイグナルトに対し総合団長のフラロスが声をかける。
「どうしました?」
「あぁ、シエルちゃんの調子はどうだ?」
フラロスはイグナルトに様子を伺うように尋ねる。
イグナルトはその状況に不信感を持ちながらも話を続ける。
「シエルですか?最近は元気過ぎるぐらいですよ。」
「そうか・・・なら安心したよ。」
「あ、でも、この後どうするかは悩んでます。」
「どうするとは?」
「シエルの引き取り先です。」
「は?・・・お前がシエルちゃんを引き取るとでも思ってたんだが?」
「お、俺ですか?無理ですよ!雑草も枯らす男が育児なんてできませんよ。」
「・・・たしかに。」
「でしょ。なのでシエルには良い引き取り先を探してあげないとですね。」
「・・・だがシエルちゃんはイグと離れるのを嫌がると思うがな。」
「そこが問題ですね。」
「お前自身も嫌だろ。それに本心ではシエルちゃんを引き取りたいと思ってるだろ」
「・・・。」
イグナルトは答える事が出来なかった。
なぜなら、フラロスが言ってる事は合っていたからだ。
イグナルトはシエルを引き取りたいと考えていたがそれは出来ないでいた。
マハイルが亡くなる前に娘を託された事もあったので面倒は見るつもりではあるが騎士団の仕事をしているイグナルトにとっては育児は難しいのであった。
平気に任務で半月以上も僻地へ送られる事もざらにある職業が騎士団である。そんな騎士団に所属する彼がシエルを引き取ると彼女を一人にする時間が増えてしまう。
更にはシエルを育てる自身もなく、彼女の事を考えると他の引き取り先を探すのが最善と考えていた。
「・・・で、俺を呼んだのはシエルの引き取り先の件ですか?」
「あ、すまん、話しが脱線した。」
フラロスは脱線した話を戻し
本題に入った。
「イグナルト=ソル=ルドベキアに任務を依頼する。復帰戦だ。」
任務を離れて2週間近く。
伝説の兵士の復帰戦が始める。
そしてこれが彼の正式な騎士団としての最後の依頼になる。