その頃、キラは、暗い空間に閉じ込められていた。
「うーん。ここはどこだ?暗くてよく見えない」
キラは周囲を見渡したが、思ったよりも暗くて、自分がどこにいるのか分からなかった。それでも怖くなかったのは、体全体を柔らかい弾力のある物で包まれていたからだ。
(守られているみたいだな)
そう思いながら、キラはしばらくじっとしていた。
キラを包んでいた物体は、ゆっくりとある方向へ進んでいた。
(どこへ向かっているんだろう?)
行き先が分からないので、身を委ねてしばらく様子を伺う。やがて、はるか遠くの方に光の点が見えて来た。キラを包んだ物体は、その光の方へと向かっていた。
光はだんだんと大きくなり、ついには目も開けられないほど、キラは眩い光に覆われた。
「眩しい!」
そう思って、目を思いっきり閉じたキラ。
「安心してください。ここには、あなたを傷付ける存在はいません」
その声は優しく穏やかで、キラを気遣ってくれているようだった。目を閉じていても、光が眩しいと感じるほど強い光の中で、キラは状況を確かめようと声の主に話しかけた。
「僕は今、どこにいるんですか?」
「ここは、あらゆる存在の心の源である『光の空間』と呼ばれる場所です」
「どうしてこんなに眩しいのですか?」
「あなたの存在を隠し、守るためです」
「えっ?どうして?」
「あなたの星のカケラがあちら側と反応して、連れて行かれそうになっていたからです」
「あちら側って?」
「残念ながら、そのことについては、伝えることが出来ません。まだ話す時ではないようですから」
詳しいことは、教えてもらえないようだ。それでも、キラを助けてくれたことは間違いない。
「僕を助けてくれたんですね。本当にありがとうございます」
少し安心してほっとすると、急に眠気が襲ってきた。
(みんなの所に戻らないと・・・・)
「会うべき人に会いなさい。
星のカケラが共鳴する星の子たちと共に・・・・
この世界を・・・・
あなたの世界を・・・・」
完全に眠りに落ちたキラは、最後まで言葉を聞き取ることが出来なかった。
「キラ!キラ!」
「キラ君!」
アレスやルタが、必死でキラの名前を呼ぶ。
「大丈夫ですか?」
「キラ君、目を開けて〜!」
キャミとピアも声をかけ続ける。
キラを呼ぶ友人たちの声が聞こえて、キラは目を開けた。
「キラ様!良かった!目を開けた〜!」
アクナは、キラ応援グッズを手に持ち喜んでいる。
「キラ!心配したんだぞ!」
怒り口調だが、怒っていないアレスもほっとした表情だ。
「キラ君、探しました!」
キャミは、いつも通りの優しい口調で微笑んでいる。
「キラが無事で安心した〜!」
双子のカルとポールも「僕たちが最初に見つけたんだよ!」とキラに自慢している。
友人たちの心配そうな顔とほっとした顔を見て、キラは「ごめんね」と謝った。
キラは救護室のベッドで寝ていたが、いつどうやってここまで戻って来たのかキラにも分からなかったので、友人たちに説明出来なかった。
「とにかく、キラが無事で良かったよ!」
「うん、うん」
アレスの言葉に頷く友人たちの顔は、少し疲れて見えた。
「みんな。ありがとう。僕を探してくれて。僕はもう大丈夫だから」
キラが笑顔で言っても、友人たちはまだ心配そうな顔をしてキラを見ていた。
「みんな。僕は本当にもう大丈夫だからね。急に眠くなって、気が付いたらこのベッドで寝ていた。今は頭もすっきりしているし、目も覚めて元気になったよ。だから、もう心配しないでね」
キラの言葉を聞いて、ようやく友人たちの表情に明るさが戻ってきた。
「本当にもう大丈夫なんだな?どこも痛くないな?」
「うん。大丈夫。どこも痛くない」
アレスの問いかけに、キラは笑顔で答える。
「じゃあ、お腹も空いてきたし、何か食べに行こうよ!」
ルタもキラの笑顔を見て安心して、元気よくみんなを誘う。
「いいねー!賛成!」
双子たちは、お腹が空きすぎて「もう電池切れになりそうだよ!」とポケットからチョコを取り出して食べている。
「私も!私も!お腹が空いてきました!」
ピアもようやくほっとした顔で言っている。
「本当!安心したら急に気が抜けて、お腹空いてたのを思い出したー!」
キャミもアクナも「ねー!」と言いながら、お腹をさすっている。
「きゅるるるるる〜!」
一斉に友人たちのお腹の音が鳴り始めて、みんなで大声で笑った。
「相変わらず、賑わっているな!」
「本当!本当!いつ来ても、人がたくさんいるよね?」
アレスとルタは周囲を見渡し、星の子たちの活気を感じている。
「新しいお店もどんどん出来ているし、毎日楽しみがあるよね!」
「うん!うん!」
双子のカルとポールは、新規店の情報を素早くチェックするのが楽しみなのだ。
ピアやキャミ、アクナも、ここの雰囲気が気に入っている。
キラが友人たちと来た場所は、赤の星門のレッドゲートの隣にある、緑の星門のグリーンゲートだ。衣食住をテーマにしているので、星の子たちで毎日賑わっている。
この場所も、レッドゲートと同じようにテーマパークのような造りになっていて、「陸、海、空、宇宙、自然」などのコンセプトがあり、エリアごとに違った雰囲気を楽しめる。
前にキラたちが行った「レインボークラッシュ」のお店も、この場所にある。
「この間はさ、海のテーマパークにある『レインボークラッシュ』に行ったじゃん?」
アレスの問いかけに
「面白かったね!海の中に入って、魚たちと一緒の空間にいるみたいだったね!」
すぐに双子たちが、レインボークラッシュのお店のことを話し出す。
「今日はどうする?」
「全部のエリアが気になるよね」
アレスの言葉に、キャミとアクナが「気になり過ぎて迷う〜」と言いながら思案中。
「毎回来るたびに新しいお店が出来たり、リニューアルしていたりするから迷っちゃうね」
双子たちも頭の中の検索エンジンをフル稼働させながら、「1番気になる場所」をお互いに言い合っている。
「ねえ、ねえ、空エリアの『天空の入口』か、自然エリアにある植物園の『花のベッド』とか気になるなー」
夢見がちでファンタジーの世界が好きなピアが、「お姫様になれそう」と言いながらルタの方を向いて言う。
「いいね!『天空の入口』に行ってから、『花のベッド』に行くってのはどう?」
ルタの提案に、可愛い物好きの双子たちも興味津々で
「おー!よさそう。天空って、雲がふわふわしているのかな?」
と言いながら、カールされたお互いの髪の毛を触っている。
各スターゲートの中央部分にも、「はじまりの場所」と同じような巨大な「創造の木と泉」がシンボルのように設置されている。もちろん、透明な水で出来ているが、水に濡れることはない不思議なこの創造の木の中に、「天空の入口」へ行く専用のエレベーターがある。先っぽが尖った円柱型のクリスタルの乗り物で、星の子が持つ星のカケラがクリスタルに反応して、乗り物の中に乗れるのだ。
無色透明のクリスタルは、星のカケラと共鳴すると、その星の子が持つ色に変化する。エレベーターを待っている間に、様々な色のクリスタルが上空に向けて昇って行くのを見れるので、星の子たちに人気のエリアとなっている。
クリスタルの乗り物は1名定員で、1人ずつ乗るが、巨大な創造の木の内部はとても広くて、エレベーターもたくさんあるので、待ち時間は意外と少ない。
「クリスタルの色が変化して綺麗だね!」
綺麗な物が好きなアクナが最初に声を上げる。
「色々な色があるね!」
ピアもアクナと同じく、綺麗な物、美しい物には目がない。
「基本は12色らしいよ」
ルタが双子たちから聞いた情報を教える。
「うん。そうだよ。俺たちは何色かな?」
双子たちは「きっと俺たちは同じ色!」と言いながら、(好きな黄色になるはず)と思っている。
「私も気になる〜」
キャミもみんなの会話を聞きながら、(何色がいいかな?)と考えている。
みんなは自分の色を予想しながら、クリスタルのエレベーターに乗り込む。1人、1人、クリスタルの色が変わって、友人たちは喜んでいる。
キラがクリスタルに乗り込むと、最初変化がなかった。そのまま上空へ向けて昇って行くと、途中で眩しい光にエリア全体が覆われた。星の子たちが眩しさで目を瞑っている間に、キラたちのエレベーターは「天空の入口」に到着した。
キラがエレベーターを降りると、案内の人が近付いて来た。
「キラ様はこちらへ。ご友人方は、あちらへお進みください」
キラだけが、友人たちと別の方へと案内された。
「ちょっと待ってください。何でキラだけが別の方へ行くのですか?」
アレスは丁寧な口調だが、「理解できないと言うより疑わしい」と言う気持ちで質問をする。
「そうです。キラ君と私たちは一緒にこの場所に来たんです。何で別々の道なんですか?」
ルタも警戒しているような口ぶりだ。
「そうだ!そうだ!俺たちはキラといつも一緒がいい!」
双子のカルとポールも、キラを掴んだ手を離さない。
「私もキラ君と一緒にいたい」
「私のキラ様が1人で別の道だなんて、許せません!」
「キラ君が心配だよ」
キャミ、アクナ、ピアも「キラ君がいないとここに来た意味がない!」と主張し合っている。
「ご友人のみなさま。キラ様には少しお時間を頂いて、ご案内する場所がございます。後で、みなさま合流出来ますので、ご安心ください」
案内の人の丁寧で柔らかな対応と反論出来ない雰囲気に、友人たちも口をつぐむ。
「キラ、大丈夫か?お前1人で?」
アレスは心配そうな顔で聞く。さっきもキラがいなくなってみんなで探したので、みんなは普段より神経質になっていた。
キラも(どうして僕だけ別の道なんだろう?)と思いながらも、誰かに呼ばれているような行かなくちゃいけない気がしたので
「うん。僕は大丈夫だよ。きっとすぐにみんなの所に来るから」
キラがみんなに「安心して。みんなとまたすぐに会えるよ」と言いながら、みんなと別れて案内の人について行った。
「天空の入口」は、本当に雲の上を歩いているような不思議な場所だ。
ふわふわとした足元の下には、さっきまでいた地上がはるか遠くに見える。
(意外と高い場所にあるんだな)と下の景色を見ながら、キラは思った。
キラが歩いている雲の上の道の両側には、大小様々な形の扉が浮かんでいた。
(記憶図書館みたいだな。でも、あそこの扉より、ここの扉はどれも巨大だな)
そんなことを思っていると、「こちらへどうぞ」と言われ1つの扉が開いた。
中に入ると、さらに雲の階段が続いていた。
振り返ってみると、案内の人は扉の外にいた。
「ここから先は、キラ様だけがお進みください。その先で現れる扉を自由に選んで、中にお入りください」
そう言って、案内の人は扉を閉めた。
キラは言われた通りに階段を上って進んだ。
雲の階段はだんだんと金色を帯びて、ピカピカと輝き出した。
(黄金の階段みたい・・・・)
そう思いながら、しばらく歩く。すると、目の前に大きな扉が3つ現れた。
「んー。どれがいいんだろう?」
少し考えて、最初に扉が見えた時に、目が止まった扉の中へ入って行った。
そこは、とてもとても広い空間だった。遮るものが何もなく、どこまでも続いている地平線がはるか彼方まで見える。
すべての音が反響しそうなほどクリアで透き通った空気感に、背筋をピーンと伸ばしてしまいそうなくらい透明感のある空間だ。
キラの呼吸や心臓の音だけが、この世界に存在していると思わせるぐらいの静寂さ。
キラは静かに目を閉じ、呼吸を整え、静寂の中に身を委ねる。
だんだんと頭の中の思考が収まり、この空間と一体となった感覚が心地良く思えてくる。
「もう目を開けてもいい」という自分の感覚に従って、キラは目を開ける。
すると、少し離れた所に、白い衣装を着た人たちがキラを出迎えていた。
彼らは、言葉では言い表せないほどの神々しいオーラを身にまといながらも、親しみやすい穏やかな笑顔でキラを見ていた。
「こちらへ」というような手を差し出され、キラは彼らの方へ向かって歩いて行った。
「お待ちしていました。ようやく目覚められたのですね」
彼らは、まるでキラがこの場所に来るのが分かっていたかのような話し方だった。
「僕のことを知っているんですか?」
「もちろんです。キラ様のことをずっと待っていました」
そう言って、出迎えてくれた人たちはとても喜んでいた。
「さあ、こちらへどうぞ。みなさま、お待ちです」
手を差し伸べられた方を見ると、さっきまで何もなかった空間に巨大な黄金の都市が建っていた。
「さっきまでは、何もなかったのに‼︎」
キラはびっくりして、つい声が大きくなった。
「こちらの建物が見えるのは光の国の者だけですが、常に見れる訳ではありません。特別な時や必要な時にだけ現れて、見ることが出来ます」
「すごい!こんなの初めて見た!」
キラは驚嘆しながら、黄金都市をしばらく見入っていた。
黄金とクリスタルで造られた巨大な黄金都市。
昇っても、昇っても、先が見えないぐらいどこまでも続く黄金の階段は、螺旋状になっていて、黄金都市の周囲を取り囲んでいる。
黄金都市はピラミッド型で、上下逆さまになって回転していて、そのピラミッドのさらに上に、星型八面体の巨大マカバが浮かんで回転している。黄金都市は浮いていて、地上面には設置していなかった。
「では、中の方へ参りましょう」
代表の方が言葉を発すると、キラの目の前に巨大なクリスタルが現れた。
(さっき僕たちが乗ったクリスタルよりも、はるかに大きい)
「さあ、キラ様。クリスタルの中にお入りください。途中まで、我々もご一緒させて頂きます」
キラは白い衣装を着た人たちと共に、クリスタルの中に入った。
音もなく、すーっとクリスタルは動き出した。物凄い速さで移動しているのにまったく揺れず、ソファーに座ってのんびりとくつろいでいるぐらい快適だ。
クリスタルの内部も、外で見た時よりも広くてゆったりとしていて、居間でくつろぐためのテーブルと椅子のような家具も備え付けられていた。
クリスタルの中から見るピラミッド型の都市は豪華絢爛で、黄金の他にも、色とりどりの鉱石や宝石が装飾されていて、『宝の山』というような印象だ。
クリスタルで移動中、飲み物や軽食なども用意されていたので、お腹が空いていたキラは遠慮なく頂いた。
(もしかして、僕が食べ終わるのを待っていてくれたのかな?)
キラがそう思うほど、ちょうど食べ終わったタイミングで、ピラミッドの入口に到着した。
「キラ様。ここから先は、別の者がご案内させて頂きます。ここまでご一緒出来たことを本当に嬉しく思います。
またお会いできるのを楽しみにしております。では、我々はここで失礼致します」
出迎えてくれた白い衣装の人たちは、名残惜しそうにキラを見送ってくれた。
ピラミッドの中には、さっきの白い衣装を着た人たちよりも、力強い感じの人たちが待っていた。
「キラ様。お待ちしておりました。本日はお会いできて大変光栄です。ここからは、我々がキラ様をご案内致します。どうぞ中へお進みください」
ピラミッドの中を案内してくれるのは、創世記の守護星人の方々だ。
守護する鉱石のエネルギーを代々受け継ぎ、加護と能力を与えられた守護星人たち。
物語や伝説の中にしか登場しない特別な守護星人たちなので、実際に見たことのある星の子はほぼいない。
そんな創世記の守護星人たちを目の当たりにして、キラは「本当に存在しているんだー!」と少し興奮していた。
「創世記の守護星人の方々が守護する鉱石は、特別なものですか?」
キラが質問したので、守護星人たちは嬉しそうな顔で答えた。
「はい。特別な鉱石です。しかも、この黄金都市にしか存在しない幻の鉱石です。黄金とクリスタルと鉱石が混ぜ合わさった物で、この黄金都市でしか作られない物です」
「それを代々受け継いでいくのですか?」
「はい、そうです。守護星人たち全員に何かしらの能力がありますが、特別な鉱石のエネルギーを与えられるのは、一部の守護星人だけです」
「それはどうやって決まるのですか?」
「鉱石が自ら選びます。鉱石に選ばれた守護星人が、特別なエネルギーを受け取れるのです」
「どうやって、特別な守護星人だと分かるのですか?」
「それはすぐ分かります。鉱石に選ばれた守護星人たちは、鉱石と一体化して、黄金都市を守る守護石となるからです」
「えっ⁉︎守護石になるの?」
「はい。これは大変素晴らしいことです。守護星人であれば、誰もが鉱石に選ばれたいと願っています。後ほど、守護石になった守護星人たちを身に行きましょう」
そう言われたキラは、何か大切なことを思い出したような気がしたが、一瞬頭の中に見えた映像はすぐに流れて行って、記憶には残らなかった。
巨大な黄金都市のピラミッドの内部は広大で、外にあった黄金の階段や扉、鉱石などがあちらこちらに浮かんでいる。天井はとても高く、見上げても先が見えないぐらいだ。
ピラミッドの中央には「創造の木と泉」があり、これまたピラミッドと同じくらい巨大だ。ピラミッドの上方部分がクリスタルなのは、「創造の木が光を吸収するため」と説明してくれた。創造の泉の方は、もはや滝のような勢いのある水の流れのように見えた。その水がキラキラと光って見えるのは、クリスタルや他の鉱石の粒が一緒に流れているからだ。その上、この創造の木は黄金で出来ていて、いつも見ている創造の木よりも豪華絢爛で、存在感が圧倒的だった。
「ここの『創造の木と泉』は、他の『創造の木と泉』と違いますね?」
「はい。ここは創造主がいる『はじまりの場所』にある『創造の木と泉』に最も似ていると言われていますが、そこから直接エネルギーを与えてもらっているのは、この黄金都市にある『創造の木と泉』だけです。そして、星の子たちがいる所に設置されている『創造の木と泉』へこの黄金都市からエネルギーを送っています」
「そうなんですね。僕たちの所にある『創造の木と泉』は、水のように見えて全然濡れないのはどうしてですか?」
「みなさんの所にある『創造の木と泉』は、特別なクリスタルと水で出来ています。その上、各エリアのテーマに合わせて作っているので、まったく同じ物はありません」
「それから、『創造の木と泉』からは水の玉がぽんぽんと出て、記憶図書館の扉の中へ入って行くのを見ました」
「水の玉ですね。『創造の木と泉』の役割は、星の子のみなさんの記憶、つまり、思い、祈り、願いなどを保存することです」
「なぜですか?」
「それは、創造主が望んでいることだからです。創造主は、この世界のすべてを創造しました。そして、水を使って星の子の記憶を保存し、星の子たちの思い、祈り、願いを知るのです」
「なぜ、そんなことをするのですか?」
「それは創造主にしか分かりませんが、星の子たちが様々な経験をして体感した感情や思いが、この世界に必要だからと考えているのかもしれません」
「この世界に必要なもの?」
「それは、星の子の誰もが持っている力、『創造力』です」
「創造力?」
「星の子たちは、創造力を使ってこの世界に様々なものを生み出しました。いくつもの文明や科学技術、生活の知恵や創意工夫のアイディア、閃きや直感など、創造力を駆使して、星の子たちを進化させてきたのです」
「星の子たちの進化が、創造主の望みなのですか?」
「はい。創造主が最終的に何をお望みなのかは分かりませんが、私たちに創造力を与えてくださったのは、この世界にいる星の子たちの進化と繁栄のためだと私は思います」
(僕たちは、どこまで進化しているのだろう?)
キラは(創造主に会うことが出来たら聞いてみたいな)と思った。