キラの心模様はお構いなしに、友人たちはキラを取り囲み、お喋りに夢中だ。
 キラたちが雑談しながら向かった先は、12の星門があるスターゲートだ。
 12の星門であるスターゲートは、12色のテーマカラーで色別されていて、星門ごとに異なったテーマで構成された都市のような造りになっている。各スターゲートはすべて繋がっていて、自由に行き来が出来る。
 スターゲートの入口には、象徴的な巨大な柱が2本立っていて、各色別の鉱石で作られたマークが柱の上下についている。
 正方形の中に三角形が入ったマークで、三角形は上下で向きが違う。
 入口は、水と光で映し出された自然アートでデザインされていて、内部が外から見えないような造りになっている。その上、内部の音も遮断されているので、スターゲートの入口付近は、静寂に包まれている。
 さらにこの場所の中央には「はじまりの場所」と同じような「創造の木と泉」があり、各スターゲートの入口と放射状に繋がったような配置になっている。

「ここにも『創造の木と泉』があるんだね!」
「記憶図書館で見たのと同じくらい巨大だね」
「この創造の木からも丸い玉が飛んでるね」
「キラキラした光の粒みたいなのも、いっぱい舞っているね!」
 口々にみんなは、見た景色を言い合っている。

「何回も来てるけど、こんなに注目して見たことがなかったな」
 アレスは「こんな木あったっけ?」というような口調だ。
「そうだね。いつも素通りっていうか、気がついてなかったかも⁉︎」
 ルタも「今初めて気がついた!」というような認識だ。
「本当!本当!逆に大きすぎて目に入っていなかった!」
「スターゲートの中の方が気になっているから、外の方はあまり気にしていなかったなー」
 双子のカルとポールの頭の中は、デザートのことでいっぱいなのだ。

 みんなの言う通り、他に気になることがあったり、考え事をしていて注意がいかないと、そこのあるはずの物に目がいかず、全然気がつかないことも多々ある。

「見過ごしていることって、けっこうあるかも」
 しっかり者のキャミが言うと
「見ているようで見ていない」
 アレスは(自分のことだ)と自覚している。
「うんうん。聞いているようで、聞いていない」
 ピアの言葉に「それはお前だ!」とアレスはピアを見る。
「それそれ!何か他のことを気にしていると、適当に受け答えをしたり、聞いてるつもり、答えたはずになっていることもある」
 ルタは、男性陣の方を見ながら(あなたたちのことよ!)と思いながら言う。
「確かに!気分によっても違ってくるし」
 キャミはルタの言葉を聞きながら「疲れているとあるよねー」と頷く。
「落ち込んでいたり、焦っていたりすると、注意散漫になって失敗したり、間違えたりするよね」
「ある。ある。勘違いしたり、ド忘れしたりもするしね」
 ルタもキャミも「気分って大事よね!」と話をしている。

「でも、俺たちのキラは完璧だから、そんなことはないよな!」
 アレスの「当然だ!」という発言に
「そうそう!キラは素晴らしい人だから」
「最高!最高!神!神!」
 双子たちも「キラと俺たちは最高だよねー!」と自慢し合っている。
「当然です!キラ様は間違えたりしません」
 みんなの会話に興味のなかったアクナが、俄然キラの話題になると勢いよく会話に参加し出した。
「キラ君は、何でも出来ちゃう特別な存在だから」
「うん!うん!同感!同感!」
 ピアの妄想発言に、女性陣は全員賛成している。

「ちょっと待って、みんな。僕はそんなことないよ。最近も記憶が曖昧で、よく思い出せないこともあるし、何でも出来る訳でもないから」
 キラは慌てて否定した。
「いいの!いいの!キラはそのままで。キラは何を言っても俺たちの理想のキラだから」
 アレスには、キラの言葉は全部肯定されて聞こえている。
「そうです!キラ様は、ありのままのお姿で完璧ですから!」
 アクナには、どんなキラでもカッコよく見えている。
「そうだよ、キラ。俺たちにとっては、どんなキラでも最高なの」
 双子たちは「キラと俺たちの3人が最高なの!」と言って、アレスに「お前たちとキラは全然違う」と即否定されている。
「キラ君は、ただ笑っていてくれればいいの」
 ルタの言葉に、みんなは「にまーっ」と笑ってキラを見ている。

「あのね、みんな。僕は・・・・」
 キラが何か言う前に、キラの肩に手を回し、
「さあ、行こうぜ!キラ。俺たちの楽しみはこれからだー!」
 アレスが先陣を切って片手を上げ、みんなに号令をかける。
「行くぞ〜!」
 双子たちも大声で叫び、
「行こう!行こう!」
 女性陣も「楽しみだねー!」と言いながら歩き出す。