僕と君と私の世界の物語

 さっきまで空間中にあったフィルムの映像は、すべて消えていた。

(さっきの出来事は夢だったのか?)

 そう思って、首に手を当ててみる。

(いいや、あれは現実だった。僕は本当に殺されそうになっていた・・・・)

 まだ心臓がドキドキして、収まらない。

(一体どうなっているんだ?どうして、僕はあの人たちに恨まれているのだろう?)
(さっき、僕の腕を掴んだ人が「お前のせいだ」と言った。僕は何をしたんだ?分からない・・・・)

 深いため息をつきながら考えていると、ステータスボードにみんなからのメッセージが届いた。

「もうそろそろ戻る時間か」

(とりあえず、一旦戻って、状況を確認しよう)

 キラはみんなと合流するため、ドアの外へ出て集合場所へと向かった。

「みんなどうだった?」
「俺は特に何もなかった」
 ルタの問いかけにアレスが答える。

「私は野うさぎを追いかけていたよ」
「えっ?野うさぎ?」
「うん。部屋中にたくさんいて、原っぱみたいな所で追いかけっこしてたよ」
 ピアの言葉に(空想好きなピアにはぴったりだ)とみんなが思った。

「俺たちは鳥さんたちだった。綺麗なハーモニーで歌う鳥たちを眺めながら、のんびりしてた」
 双子たちは、同じ空間に行けて喜んでいる。

「私は、なぜか海に向かって『バカやろうー!』と叫んでいた」
「それって、いつものことじゃね⁉︎」
「えっ⁉︎何でよ?いつも言ってないけど⁉︎」
 ルタの言葉に、当然のように嫌味を言うアレス。

「私は、何か不思議な巻き物を広げていて、中にある文字を読もうとしていた」
「それで読めたの?」
「見たこともないような文字で、意味が分からなかった」
 アクナは「どうせなら、キラ様の巻き物が良かった!」と不満げだ。

「私は料理人のように、大皿にたくさんの料理を作っていた」
「へえー、美味しそうだね!」
 キャミは(優しくて料理も上手だよね!)とみんなが納得している。
 みんなは、実際に何かしらの体験が出来たようだ。
 それは過去生の自分が望んだこと?
 それとも、前に体験したことのある出来事なのか?

「キラ君は、何か見れたの?」
 キャミの問いかけに、みんなは興味津々な顔でキラを見る。
「んー。映像を少し見たけど、音声が聞こえなくてよく分からなかった」
「そっかー。じゃあ、あんまり情報は得られなかったんだね?」
「うん」
 ルタはキラを気遣うように言う。
「でも、また来て何回か調べてみれば、分かることもあるかもね」
 ピアは「大丈夫だよ」とキラを励ます。
「そうだよ、キラ。分かるまで何回も来ようぜ!」
 アレスは、キラのためなら「何度でも来よう!」と誘っている。
「そうだね。みんな今日はありがとう」
 キラはみんなにお礼を言いながら、さっき見た映像のことを考えていた。

(さっきの出来事はよく分からないから、今はまだみんなには黙っていよう)

 キラは(後で調べてみよう)と心の中で思った。

「じゃあ、今日は解散するかー?」
 アレスは(もうやることないな)という顔をしている。ピアは暗くなることを心配し、
「もう暗くなってきたし、帰りますか!」
「そうだね・・・・」
 と言いつつ、残念そうなアクナは「もっとキラ様と一緒にいたい」と言う口調だ。
「帰ろ!帰ろう!」
 元気いっぱいの双子たちは「デザート食べたいね!」と話しながら歩き出す。

 まだまだ話し足りないと言った様子で、みんなはぺちゃくちゃとお喋りしながら、家へと帰って行った。
 僕は群集の中にいる。
 上空で、真っ赤に燃える大きな光のようなものが見える。
 そこに、真っ黒い巨大な渦を巻いたものが近付いて、飲み込もうとしている。
 人々は右往左往して、必死に逃げ回っている。
 僕も逃げたいのに、体が固まったように動かない。
 僕は群集の波に押され、押し潰されそうになっている。
 息苦しくて、もがいても抜け出せない。
 上空の巨大な黒い渦がどんどん近付いてきて、人々を飲み込もうとしている。
 僕もその中に吸い込まれそうになった瞬間、「はっ!」として目が覚めた。

 僕の心臓の鼓動は、僕の耳元まで聞こえるぐらい大きく早打ちしている。
 僕の左手は、無意識に首元を掴んでいる。
 僕は背中を丸めて、荒く何回も息を吸う。

(どうしたんだろう? ただの夢なのか? 
 今日、記憶図書館で見た映像のせいだろか? あの時と同じ場面を見ているのか? 
 もしかして、これは僕の過去の記憶なのか?・・・・)

 ぐるぐると、取り留めのない思考が頭の中に浮かぶ。
 それでも、ゆっくりとした呼吸を繰り返していると、少しずつ落ち着きを取り戻してきた。

(今日見た映像は、何かのメッセージかもしれない。もっとよく調べてみないと・・・・)

 キラはもう一度寝ようとしたが、さっきの夢が頭から離れなくて、なかなか寝付けない。
 少しでも早く眠りたいと思って、頑張って眠ろうとすればするほど、逆に思考がはっきりとして余計に眠れない。
 ようやく、うとうとしかけた頃には、朝方になっていた。
 夢が気になって寝不足のキラは、まだ頭の中がはっきりとしないままだ。それでも早起きしたのには理由がある。
 今日は、グレートホールで行われる「水に関する講義」を聞きに行く日だからだ。

 キラは、記憶図書館にある「創造の木と泉」から、しゃぼん玉のような丸い玉が生み出されるのを見て、その中に「水の記憶」があると無意識に口に出してから、水のことが知りたいと思っていた。
 偶然、帰り道で、グレートホールで行われる「水の講義」のことを知り、すぐに参加しようと決めたのだ。
 何となく、1人で参加した方がいい気がして、みんなには声をかけなかった。
 そんな訳で、キラは眠い目をこすりながら、身支度を始めた。

 グレートホールでは、毎日様々な講義が行われている。参加は自由で、星の子なら誰でも気になる講義を無料で受けることが出来る。
 グレートホールに直接行って聞いてもいいし、オンラインでも参加出来る。
 キラもオンラインで参加も出来るが、直に先生の話を聞きたいと思い、直接会場へ行くことにした。

 グレートホールには、有益な情報を得ようと、様々な種族の星の子たちが講義を聞きに来る。
 星の子たちの交流も盛んで、情報交換もみな積極的だ。
 交流の仕方はエネルギー交流で、お互いの周波数を使って行う。エネルギーの質や、周波数の違いで交流出来ないこともある。
 そんな時は、ステータスボードにある、心の交流が出来る専用アプリなどを使って交流出来ることもある。

 様々な種族がいるこの世界では、星の子たちの性質も器も能力も異なる。
 生命力も在り方も人生の意味や目指す方向も、何もかも違うと理解することで、お互いに歩み寄ることが可能となる。

 グレートホールでは「学ぶこと」を通して、星の子たちの魂の成長を促す「経験と知恵を財産として身につけ、人生に役立ててもらうこと」を願っているのだ。
 なぜなら、この世界の星の子たちの共通認識があるからだ。

「お互いを尊重し合い、繋がり合うことを優先する」
 
 上記のような認識があっても、一部では、その考えや価値観が理解出来ず、星の子同士で対立してしまうこともある。
 それは、長い歴史の中で何度も起きている出来事であり、この世界のどこかの時空・次元で、今も起きている事実だ。
 それでも、いや、だからこそ「全体の調和を優先すること」をこの世界の星の子たちは、心掛けている。
 記憶図書館のすぐ近くに、星の子が学ぶためのグレートホールと呼ばれる大きな講堂がある。
 古代の神々が、神殿として使用していた場所を再現したような荘厳な造りで、天井まで高く積み重ねられた書架は、何連も連なっている。
 この場所の中央にも「創造の木と泉」がある。
 こちらの創造の木からも、水の玉がぽんぽんと生み出されているが、その中には、あらゆる種族の言語に対応する周波数エネルギーが入っている。そのため、星の子たちは、気軽にグレートホールで学びを受けることが出来る。
 さらに、誰でもグレートホールで、先生として講義が出来る。自分の知っていることや、思いついたことなど、自由に発言出来るのが人気だ。
 でも今回キラは、別の領域から来る先生の講義を受ける。
 星の子たちの話によると、先生は、古代、天界、神界などの情報に詳しく、2000年以上もこの世界に存在しているとか⁉︎
 そんな噂話を耳にしたからか、キラの頭は眠いのが吹き飛んで、先生の話にもますます興味が湧いていた。


「水」というのは、とても不思議だ。
「水」は、叡智と意志を持っている。
 なぜなら、この世界のすべてをコントロールしているのは、実は「水」だからだ。
「水」は、あらゆることを記憶する。
 そして、「水」のネットワークを使って繋がり合い、情報交換を行っている。
 何かを知りたければ「水」に聞けばいい。
 答えは瞬時に送られるが、受け取れるかは本人次第だ。
「水」が主導権を握っているこの世界で、逆らえる者などいない。
「水」と調和すること。
 これが、1番生きやすくなる方法だ。
「水」の声を聞き「水」と調和する。
 そうすると「水」はパートナーとなり、友人として力を貸してくれる。

 私もこうして、毎回この場所に来て講義が出来るのも「水」のおかげだ。
「水」を通して空間を移動し、あらゆる叡智の源と繋がり、記憶を共有する。
 そして、みなさんと一緒に、私が得た情報を分かち合う。
 みなさんがその情報を通して感じた思いを「水」が受け取って、再び「水」がみなさんの思いをこの世界へと伝えていく。

 星の子のみなさん。
 あなたが今、何を思い、感じ、願ったのか。
 そのことがこの世界に与える影響は、みなさんが考えているより大きくて重要なのです。
 講義の後、キラは、グレートティーチャーに質問をしに行った。

「先生、水の記憶って何ですか?」
 質問したキラの顔を、先生はじっと見ている。
 先生の瞳の奥は(深い、深い宇宙の色だ・・・・)そう思っていると

「水はすべてを記憶する。すべてだ。水が知らないことは、何もない」
「じゃあ、過去の出来事も覚えているんですか?」
 キラが聞くと、先生は少し寂しそうな表情で笑った。

「時間は幻想だよ。過去、現在、未来が、同時に存在しているこの世界で『出来事が起こった』これが1つの事実。
 それをいつの時点で見るのかによって、認識が違ってくる。
 君から見れば、過去に思える出来事も、過去にいる人にとっては『今、まさに体験している出来事』なんだ。
 そして、君が過去の出来事を思い出すと『今ここ』にいても、意識は過去と同期する。
 器である体は現在にいながら、意識は過去を再体験している」

(じゃあ、僕が、過去かもしれない夢で見たことを考えている時は、記憶の再体験をしているってことか)

「水が記憶している出来事は、やっぱり正しいのかな・・・」
 キラが呟くように言うと

「水はあらゆることを記憶しているが、すべてが真実という訳ではない」
「えっ⁉︎そうなんですか」
「星の子たちは、毎瞬、毎瞬、何かを思い、考え、感じている。
 そのすべてを水は記憶する。
 水は混ざり合って、流れて、あちこちへ広がって行く。
 だから、水の記憶も、時には混ざり合って重なって、別の形を作り出すこともある」
「じゃあ、水の記憶がすべて正しいという訳ではないんですね?」
「ある意味ではそうだ。だが、水はいつでも正しい真実を知っている」
「正しい真実?」
「星の子1人1人が、自分の真実を持っている。
 それは、その星の子にとっては「正しい真実」だが、他の星の子にとっては違う。
 みんな、自分だけの真実を信じて生きている」

 先生の言葉をきいて(確かにそうかも!)とキラは思った。

「もし、君の真実が何かあるとすれば、それは君だけの真実だ。
 他の星の子にとっては、君の真実は関係ない。
 でも、この世界に共通する真実は存在する」
「それは、何ですか?」
「創造力だ!」

 先生は僕の肩をそっと掴み、優しい顔で言った。

「君は真実を知っている。
 君が何を思い、考え、願うのか?
 それが大切なんだよ」
「それだけでいいんですか?」
 そう聞いた僕に、先生はニコッと笑って言った。
「そうだよ」
 先生との会話の後、グレートホールにある書架を見て回った。
 ここには、この世界のすべての物語が所蔵されているというぐらい、ありとあらゆる本が保管されている。
 だが、すっきりとしていて重圧感はない。
 それは、水がすべてを記憶しているので、星の子が「情報を得たい」と思った時に本の形として現れるからだ。
 普段は、本も文字も映像も自由自在に動いていて、どこにいるのか誰も知らない。

 キラは水の記憶について、もう少し詳しい情報が欲しいと思って探していた。
 すると、1冊の本が光って見えたので手に取った。
 本を開くと、中から水の玉のような物がぽんぽんと弾けて飛んで来た。
 その水の玉には、映像が映っていた。
 その1つを手に取ると、パチンと弾けてその水が大きくなり、キラをすっぽりと包んで上空へと浮かび上がった。

 その水の玉の中は、呼吸も出来て、苦しくもない。
 まるで母親の羊水の中にいるような温かさを感じた。
 ゆったりとした居心地の良さに、自然と目を閉じて眠りに入っていった。

「暖かくて気持ちいいなー」
 ふわふわした雲の上で、寝っ転がってリラックスしている気分だ。

「君は、星の子の光の王子だね。待っていたよ」
 僕の周りで、たくさんの小さい光の玉が、ふわふわと舞っている。

(その子たちの声かな?光の王子って・・・・、僕のこと?)

「光の王子は目覚めたんだね」
 そう言って、小さい光の玉たちは笑っているようだ。

「光の王子。何が知りたいの?」
「水の記憶について。それと、黄金都市と虹の花のことも知りたい」
「そう。水の記憶は、思い出すタイミングの時に自然と思い出すよ」

(前にもどこかで、同じようなことを言われた気がするな)

「黄金都市と虹の花は、別の本を読んでね」
「うん。分かった」
「ねえ、光の王子。銀の王子はどこにいるの?」

 キラはその言葉を聞いた途端、ぐーんと暗く深い闇の底へと引っ張られて落ちていった。

 黒いねっとりとした何かがキラの体にまとわりついて、手足をぐっと引っ張ってくる。
 手足がバラバラになりそうなぐらい強い力で引っ張られて、痛くて叫び声を上げる。
 すると、体にまとわりついていた黒い物は、パッとキラの体から離れていった。
 そのまま急降下して、下へ下へと落ちていく。
 何かにガツンとぶつかったような衝撃で、体が落ちるのは止まった。

 辺りはうす暗く、よく見えない。
 周囲の暗闇に目が慣れてくると、辺りが見えるようになった。
 少し遠くの目の前に、誰かがいるような気がした。

 目を凝らして見ると、それは、キラ自身だった。
「お前は、ラキか?何でここにいる?」
 顔も声もキラそっくりで、でも明らかに別人のキラが目の前にいた。
「ラキって誰のこと?」
「お前だよ。お前、僕の髪色を真似したのか?」
 どう見ても目の前のキラらしい人物は黒髪で、僕の金色の髪色とは違う。
「君の髪の色は、黒色じゃないか?」
「ははっ。そうだよ。僕の髪色は黒色だ。お前が、僕の髪の色を盗んだんだ」
「えっ⁉︎盗んだってどういうこと?」
「呆れたな。盗んだ上に覚えていない振りをするのか?」
「僕は盗んでいない。それに、僕はラキじゃない」
「じゃあ、誰だよ?」
「僕はキラ。君は?」
 僕がそう言うと、目の前の僕は憎しみの目で睨みつけ、怒りで体が震えていた。

「お前がキラ?だったら、僕は誰だ?
 そこまでして、僕になりたいのか?」
「違う。僕は本当にキラなんだよ」
「僕に成りすまして僕の人生を奪った偽物が、本物の僕を騙せると思うのか?」
 きっと何を言っても、目の前の僕には信じてもらえない。
「君には、何を言っても信じてもらえないと思う。
 でも、僕はキラだ。
 今の僕は記憶が曖昧で、色々なことを忘れている。
 もしかして、君は僕の過去のキラじゃないのか?」
「何を言っている?どうして僕が過去なんだよ。
 じゃあ、お前は未来から来たのか?」
「分からない。でも僕は、キラという人物の記憶を持って生まれている。
 過去に何があったのか思い出せないけど、君を見ていると胸が痛くて苦しい気持ちになる」

 星のカケラに触って落ち着こうとしても、ザワザワとしたエネルギーを感じて、一層心が締め付けられる。

「ごめん。とにかくごめん。謝りたいんだ」
 どうしてか分からないが、謝らないといけない気がした。
「なぜ、お前が謝る?」
「君を助けてあげられなくて。きっと過去の僕は、悔やんでいるだろうと思ったから」
「お前が本当にキラかも分からないのに、勝手に謝られて迷惑だ」

(君からは、声にならない悲しみが伝わってくる。何があったのか分からないけど、きっと君はとても傷付いているんだね。だから、僕の言葉は、今の君には届かない)

「僕、ラキという人を探してみるよ。僕の世界で、何か分かるかもしれないし」
「無駄だ。
 キラである本物の僕と、僕に成り変わったラキ。
 キラとラキ。僕らは・・・・」
「えっ⁉︎何て言ったの?」

 目の前の僕の言葉を聞き取る前に、彼の体は暗い闇に覆われて消えてしまった。
「大丈夫ですか?」
 何度か声をかけられて、はっと目を覚ましたキラ。
「うなされていましたよ」
 心配そうな声に
「ありがとうございます。大丈夫です」
 とお礼を言った。
「あれ?あなたは昨日の・・・・」
 そう言われ顔を見ると、記憶図書館で親切に説明してくれた人だった。

「あっ!昨日はありがとうございました」
「いえいえ。私もボランティアで案内していますから」
 にっこりと笑って答えてくれたその人は、温かくて優しい感じの人だ。

「私はベルカナと言います。私も今日はグレートホールでの講義を聞きに来ました。
 本が好きなので、普段は記憶図書館やグレートホール、アメンティーホールなどで活動しています。
 星の子のみなさんは、それぞれ才能や特技を活かして、自由に好きなことでボランティアや活動をしていますよ」
「そうなんですね。僕も水の記憶に関することに興味があって、講義を聞きに来ました。
 その後は、もっと詳しいことが知りたくて、本を探していたんです」
「何か見つかりましたか?」
「光っている本を見つけて、その本を手に取ると、中から水の玉が何個か飛び出して来て、その中に包まれたら眠ちゃったようで、夢を見ていました」
「どんな夢ですか?うなされていたし、何か悪い夢でも見ていたんですか?」
「はい。それが、はっきりと覚えていなくて。さっきまではよく覚えていたのに。
 今は曖昧で、何かもやがかかっているようで・・・・」
「あまり無理に思い出さない方がいいかもしれませんね。
 記憶というのは、何かきっかけがあれば、一気に思い出すこともありますし」
「はい。そうですね。無理に考えない方がいいかもしれません」
「あっ!そうだ。私の友人も、水の記憶について、私と一緒に調べたり探しているので、話を聞いてみましょう」
 そう言って、ベルカナは、彼女の友人だという1人の男性を紹介してくれた。