夢が気になって寝不足のキラは、まだ頭の中がはっきりとしないままだ。それでも早起きしたのには理由がある。
 今日は、グレートホールで行われる「水に関する講義」を聞きに行く日だからだ。

 キラは、記憶図書館にある「創造の木と泉」から、しゃぼん玉のような丸い玉が生み出されるのを見て、その中に「水の記憶」があると無意識に口に出してから、水のことが知りたいと思っていた。
 偶然、帰り道で、グレートホールで行われる「水の講義」のことを知り、すぐに参加しようと決めたのだ。
 何となく、1人で参加した方がいい気がして、みんなには声をかけなかった。
 そんな訳で、キラは眠い目をこすりながら、身支度を始めた。

 グレートホールでは、毎日様々な講義が行われている。参加は自由で、星の子なら誰でも気になる講義を無料で受けることが出来る。
 グレートホールに直接行って聞いてもいいし、オンラインでも参加出来る。
 キラもオンラインで参加も出来るが、直に先生の話を聞きたいと思い、直接会場へ行くことにした。

 グレートホールには、有益な情報を得ようと、様々な種族の星の子たちが講義を聞きに来る。
 星の子たちの交流も盛んで、情報交換もみな積極的だ。
 交流の仕方はエネルギー交流で、お互いの周波数を使って行う。エネルギーの質や、周波数の違いで交流出来ないこともある。
 そんな時は、ステータスボードにある、心の交流が出来る専用アプリなどを使って交流出来ることもある。

 様々な種族がいるこの世界では、星の子たちの性質も器も能力も異なる。
 生命力も在り方も人生の意味や目指す方向も、何もかも違うと理解することで、お互いに歩み寄ることが可能となる。

 グレートホールでは「学ぶこと」を通して、星の子たちの魂の成長を促す「経験と知恵を財産として身につけ、人生に役立ててもらうこと」を願っているのだ。
 なぜなら、この世界の星の子たちの共通認識があるからだ。

「お互いを尊重し合い、繋がり合うことを優先する」
 
 上記のような認識があっても、一部では、その考えや価値観が理解出来ず、星の子同士で対立してしまうこともある。
 それは、長い歴史の中で何度も起きている出来事であり、この世界のどこかの時空・次元で、今も起きている事実だ。
 それでも、いや、だからこそ「全体の調和を優先すること」をこの世界の星の子たちは、心掛けている。