場所は移り、ここはブラックレギオン国。クロノア達は、目的地の城から約二十キロ離れたクロック村まで来ていた。

 このブラックレギオン国は岩が多く、どちらかと言えば草原や森などは少ない。


 あれからクロノア達は、あの一件でお金がなくなった。そのため仕方なくお金を稼ぐべく、冒険者ギルドに登録する。

 クロノア以外は身分と名前を隠した。そうディアナはデアで、ハウベルトがハルと名のることにしたのである。

 因みに三人の冒険者等級はノーマルのⅠ等級だ。

 そうこの世界には冒険者ギルドがあり、ギルド等級などが存在する。

 等級とは……。

 ノーマルⅢ→Ⅱ→Ⅰ等級
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 ブロンズⅢ→Ⅱ→Ⅰ等級
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 シルバーⅢ→Ⅱ→Ⅰ等級
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 ゴールドⅢ→Ⅱ→Ⅰ等級
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 プラチナⅢ→Ⅱ→Ⅰ等級

 こんな感じに分かれている。

 そして、ブロンズのⅢ等級が一番低くてプラチナのⅠ等級が最も高い。


 現在クロノア達はギルドから盗賊討伐の依頼を受け、クロック村から北西に位置する盗賊のアジトがある洞窟の中にいた。

 洞窟内はコウモリ等が生息している。所々に明かりは灯っているのだが薄暗かった。

 ディアナは溜息をつき、ハウベルトと何か話をしている。

 「ハウベルト! ここって……」

 ハウベルトは頷いた。

 クロノアはそんな二人のやり取りをみて気になる。

 「ねぇ、この場所って知ってるの?」

 そう言われ二人は慌てた。

 「あっ! えっと……ん〜、どうするディアナ?」

 「ハウベルト……なんで、こんな依頼を受けてくる」

 イライラしディアナは、眉をピクピクさせている。

 そう言われハウベルトは、目を細めて左手で頭を掻きむしっていた。

 「あぁーどうしたら〜。流石にまずいよなぁ……まさか俺だって、こんな依頼だと思わなかった」

 そう言ったあとハウベルトは、ハァーっと息を吐く。

 「依頼書には、盗賊の討伐としか書いてなかったし。報酬の金も、結構よかったからなぁ」

 それを聞いてクロノアは、余りにも会話の意味が分からず首を傾げる。

 「えっと、いったいこの依頼の何がまずいのかな?」

 ディアナの顔が、ピクっと引きつる。

 「あっ! んーそうだな〜……この依頼は、とりあえず放棄しようか」

 「うん、そうしよう。他にも依頼はあったようだしな。そっちの依頼にするか」

 明らかに二人は、何かをひたすら隠そうとしていた。

 そのやりとりをみてクロノアは不快に思い、ムッと二人を睨んだ。

 (二人とも何か隠してるのは間違いないんだけど……それに、もう少しで城に着くと言うのに様子もおかしい感じだし)

 ディアナは何かを思い出したように、というかワザとらしく……。

 「あっ、そうだ! この仕事ではなく、もっといい仕事でも探してこよーかな〜。うんうん、そうしよう、そうしよう!」

 「俺もこの仕事、なんか……」

 「あのさ〜! さっきから二人とも、何をそんなに動揺してるわけ? それに、この洞窟に来てからおかしいよねっ!! ここってなんなの」

 少し大きめの声でクロノアはそう言った。

 それをみてディアナとハウベルトは、慌てて口に人差し指をあてる。そして小声で、シーっと言った。だが時すでに遅し……。

 その声に気づき奥の方から数人の男女の声が聞こえてきた。

 男「誰だー! そこにいるのは!?」

 女「まずいわ。ここが、誰かに知られるのは……。どうする?」

 その声を聞きディアナとハウベルトは、まずいと思いクロノアを掴んだ。
 そして無理矢理クロノアを引きずって、猛スピードでこの場から逃げる。

 「いったい……なんなのよおぉぉおおお〜!!」

 そうクロノアは叫び何がなんだか分からないまま、二人に引きずられ洞窟を抜けて森の外に出た。

 そのせいで顔や身体中にすり傷や汚れ髪がバサバサになり、クロノアは怒りたいような泣きたい気持ちになる。

 「なんのよおぉぉー! ふざけるなぁ〜!!」

 と怒鳴りクロノアは、この状況に不満を露わにしていた。

 (何をこんなに、ひたすら隠す必要があるんだろう? ん〜、あまり考えてても頭が痛くなるだけだしなぁ。
 てか、服は泥だらけだし髪の毛はボサボサだし、どうするのよこれ?)

 そうクロノアが考えているとディアナは、ハウベルトをみてすかさず耳を掴んだ。

 「ハウベルト! アッチで話したいことがある。それとクロノア様、先ほどは申しわけありませんでした」

 少し間をおき、再び口を開いた。

 「このことは、あとでゆっくりと話したいと思います。ですので……申し訳ありませんが、先に宿に戻っていてください」

 そう言いディアナは、ハウベルトの耳を引っ張る。

 「イタタタッ……って! そんなに引っ張らなくてもぉ〜いいじゃないかよっ!!」

 「元はと云えば、お前が悪い! とりあえずこい!!」

 二人の会話の意味がいまいち分からず、クロノアはムッとしている。

 「ん〜、納得いかないけど。ちゃんとあとで話してよね!!」

 納得はいってないがクロノアは、あとで話を聞けばいいかと思い宿屋に向かい歩き出した。

 それを確認するとディアナとハウベルトは、少し先のひと気のない場所で話し始める。

 「ハウベルト、どうする? このままでは、あのことがバレてしまう」

 ディアナはそう言い俯いた。

 「うっ痛い! ……すまん、確かに俺の確認ミスだ。あそこがバレると、色々と不都合なのは確かだ。一旦、宿に戻り俺が夜にでも行く」

 それを聞きディアナは頷く。

 そして二人は、この場で少し色々と話し合ったあと宿屋に向かった。



 一方、先ほどクロノア達三人いた盗賊のアジトらしい洞窟では……。

 男「さっきの三人組の内の二人の後ろ姿なんだがなぁ」

 女「そうね。あの後ろ姿って、ディアナとハウベルトに似てたけど。二人共、確か大事な任務中のはずよ」

 男2「そういえば、ハウベルトがそんなこと言っていたな。でもまさか、そんな時に、こないだろう……覇王様を連れてまで」

 男「確かにそうだな。ん〜でもあの二人、意外とドジなところがあるからなぁ。まぁ……まだ覇王様が味方かどうかも分からないのに、それはないか」

 そう言い四人は、更に会話を続けていた。


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 そして夜になりハウベルトは、みんなが寝静まったあと誰にも気づかれないようにクロック村をでる。そして、昼間の洞窟へと向かった。

 それに気づくもクロノアは、寝たフリをしている。

 そう何か訳があるのだろうと思い、いやそれだけではない。ただ単に眠いし面倒なので、あとでいいやと寝ることにした。