それでも竜人族だったのはてっきりこの大きな魔力を受け入れるのに真人族ではダメだったのだろうとか昔は理由を考えていたりした。
最初は人じゃないじゃんなんて思ったものだけれど、真人族との戦争中ならともかくとして平和な今の時代では竜人族も真人族と大きく変わることはない。
竜人化した姿もあるのだけれど、今では竜人族の切り札ぐらいの感覚である。
環境もちょっと同年代の友達が少なかった以外に満足している。
ただ頭にツノはあるしエミナの反応を見ると竜人化した姿も初見ではかなり驚かれてしまうことがある。
けれどもリュードは今や竜人族だし、竜人族が好き。
竜人化した姿もひっそりとカッコいいななんて自分自身では思っていたりもした。
「つきましてはご迷惑をおかけしましたことに対して寛大なお心でお許しいただければと思いまして……こちらの方に呼ばせていただきました」
「まあいいよ。怒ってないし、なってみると竜人族は悪くない」
冗談めかして返す。
怒っていないことが分かったのかケーフィスの顔が明るくなる。
「竜人族は他の種族と比べても強い種族だよ。同族の結びつきもあって仲間は見捨てないし魔人族の中では尊敬される種族でもあるからね!」
身体能力も高く魔法を扱うのも得意、しかも竜人化という特殊能力もある。
身長も高く美形が多く、寿命も長いし同族思い。
考えれば考えるほど恵まれた種族である。
リュードが努力をしたということもあるけど周りが強くなることが大好き環境だったので自然と強くもなれた。
「謝ってもくれたし可愛い幼馴染もいるし良い人生だよ。後1つ聞きたいけど、戻ったら100年経ってた、なんてことないよね?」
「いやいや、怒ってなくて良かった! それは大丈夫だから心配しないで。100年経っちゃったのはまあこっちでいろいろあってね。あはは〜」
面倒になったのか笑って誤魔化すケーフィス。
「このことについてミスが発覚して色んなところからすっごい怒られてね。ちゃんと謝ってこいってケブスにも言われたんだ」
ケーフィスは遠い目をしてお茶を飲む。
「じゃ、じゃあこの話は終わりで、本題……本題っていうとまた怒られるけど、君にお願いしたいことがあってね」
謝罪するのは本題ではなかったと本音がポロリ。
話が堂々巡りするのも面倒なので聞かなかったことにしてあげる。
「お願いってなんだ?」
「お願いっていうのは、僕の神物を探し出して欲しいんだ」
「神物?」
「そう、神物だよ。神の力がこもった道具のことをそう言うんだ。神様は神物を介して中世界、つまりは君たちの世界に影響を与えたり、自分の信者に魔力や神聖力をあげたり、奇跡を起こしたりなんてことをするんだ。僕の神物は500年前の戦争の時に奪われてしまって長いこと紛失状態だったんだ。そのせいでいろいろ問題が発生しているんだ。特に僕の信徒である聖者も影響を受けていて、ちょっと看過できなくてね」
「……話は分かったけど500年もの間無くなってたものをどうやって見つけろって言うんだ?」
神物がどんなものなのか、どこにあるのか全く分からない。
世界は広いのに探して回れと言うのかとリュードは怪訝そうな顔をした。
「もち、そこは心配なし! ケブスに調べてもらったから。北の方にあるグルーウィンという国にあるダンジョンの中にあるみたい。というのもそのダンジョンが出来たのは僕の神物が影響しているみたいなんだ」
物探しと言っていたのに雲行きが怪しくなってきた。
ダンジョンなんて場所どう考えても戦闘を避けられるところではない。
ダンジョンになっているということなら戦って魔物を倒して取り戻さねばいけない。
「本来なら何の関係もない君にこんなお願いをしちゃいけないんだけど聖者の1人が死んじゃいそうで、ちょっと事情もあってね」
「ふぅ、ここで人の命を持ち出すのは卑怯だぞ」
「ごめんね、でもウソじゃないし余裕がないんだ。後10年ぐらいしか持たなそうだから旅の途中でどうにか寄ってもらえないかなと思ってね」
10年もあるなら十分な期限があるじゃないかとリュードは思うのだがケーフィスは違う。
神様感覚では10年はもう目の前に差し迫った期限でいますぐにでもその聖者が死んでしまうぐらいの感覚なのである。
神様との時間の感覚の違いを感じる。
「……分かったよ。場所、どこだって?」
もっとやらなきゃいけない目的のようなものに縛られずのんびりと旅するつもりだったのに。
神様のお願いとあっては断れないし、人の命がかかっているなら尚更だ。
どうせ目的はないのだから一つぐらいはあってもいい。
「ありがとう! 北にあるグルーウィンって国にあるダンジョンの中だよ」
笑顔になるケーフィスがまんじゅうをリュードの前に一つ置く。
そんなんじゃよしとならないぞと思いながらもまんじゅうは食べる。
とりあえず目標や目的があることは悪くはないので前向きに考える。
「僕の神聖力を持っているとは言っても後10年しか持たないからね、なるはやで頼むよ」
流石に人の命がかかっていて10年も遊ぶほどリュードも薄情じゃない。
旅をしながら近くに寄ることがあれば目指してみようと思う。
「グルーウィンだな。何があるのか知らないから任せておけとは言わないけどやるだけやってみるよ」
「あぁ、良かった! これで安心だ! 感謝するよ、リュー君」
「はいはい」
非常に軽いのだけどそれがなぜか許せてしまうのだから不思議な神様であるとリュードは思う。
最初は人じゃないじゃんなんて思ったものだけれど、真人族との戦争中ならともかくとして平和な今の時代では竜人族も真人族と大きく変わることはない。
竜人化した姿もあるのだけれど、今では竜人族の切り札ぐらいの感覚である。
環境もちょっと同年代の友達が少なかった以外に満足している。
ただ頭にツノはあるしエミナの反応を見ると竜人化した姿も初見ではかなり驚かれてしまうことがある。
けれどもリュードは今や竜人族だし、竜人族が好き。
竜人化した姿もひっそりとカッコいいななんて自分自身では思っていたりもした。
「つきましてはご迷惑をおかけしましたことに対して寛大なお心でお許しいただければと思いまして……こちらの方に呼ばせていただきました」
「まあいいよ。怒ってないし、なってみると竜人族は悪くない」
冗談めかして返す。
怒っていないことが分かったのかケーフィスの顔が明るくなる。
「竜人族は他の種族と比べても強い種族だよ。同族の結びつきもあって仲間は見捨てないし魔人族の中では尊敬される種族でもあるからね!」
身体能力も高く魔法を扱うのも得意、しかも竜人化という特殊能力もある。
身長も高く美形が多く、寿命も長いし同族思い。
考えれば考えるほど恵まれた種族である。
リュードが努力をしたということもあるけど周りが強くなることが大好き環境だったので自然と強くもなれた。
「謝ってもくれたし可愛い幼馴染もいるし良い人生だよ。後1つ聞きたいけど、戻ったら100年経ってた、なんてことないよね?」
「いやいや、怒ってなくて良かった! それは大丈夫だから心配しないで。100年経っちゃったのはまあこっちでいろいろあってね。あはは〜」
面倒になったのか笑って誤魔化すケーフィス。
「このことについてミスが発覚して色んなところからすっごい怒られてね。ちゃんと謝ってこいってケブスにも言われたんだ」
ケーフィスは遠い目をしてお茶を飲む。
「じゃ、じゃあこの話は終わりで、本題……本題っていうとまた怒られるけど、君にお願いしたいことがあってね」
謝罪するのは本題ではなかったと本音がポロリ。
話が堂々巡りするのも面倒なので聞かなかったことにしてあげる。
「お願いってなんだ?」
「お願いっていうのは、僕の神物を探し出して欲しいんだ」
「神物?」
「そう、神物だよ。神の力がこもった道具のことをそう言うんだ。神様は神物を介して中世界、つまりは君たちの世界に影響を与えたり、自分の信者に魔力や神聖力をあげたり、奇跡を起こしたりなんてことをするんだ。僕の神物は500年前の戦争の時に奪われてしまって長いこと紛失状態だったんだ。そのせいでいろいろ問題が発生しているんだ。特に僕の信徒である聖者も影響を受けていて、ちょっと看過できなくてね」
「……話は分かったけど500年もの間無くなってたものをどうやって見つけろって言うんだ?」
神物がどんなものなのか、どこにあるのか全く分からない。
世界は広いのに探して回れと言うのかとリュードは怪訝そうな顔をした。
「もち、そこは心配なし! ケブスに調べてもらったから。北の方にあるグルーウィンという国にあるダンジョンの中にあるみたい。というのもそのダンジョンが出来たのは僕の神物が影響しているみたいなんだ」
物探しと言っていたのに雲行きが怪しくなってきた。
ダンジョンなんて場所どう考えても戦闘を避けられるところではない。
ダンジョンになっているということなら戦って魔物を倒して取り戻さねばいけない。
「本来なら何の関係もない君にこんなお願いをしちゃいけないんだけど聖者の1人が死んじゃいそうで、ちょっと事情もあってね」
「ふぅ、ここで人の命を持ち出すのは卑怯だぞ」
「ごめんね、でもウソじゃないし余裕がないんだ。後10年ぐらいしか持たなそうだから旅の途中でどうにか寄ってもらえないかなと思ってね」
10年もあるなら十分な期限があるじゃないかとリュードは思うのだがケーフィスは違う。
神様感覚では10年はもう目の前に差し迫った期限でいますぐにでもその聖者が死んでしまうぐらいの感覚なのである。
神様との時間の感覚の違いを感じる。
「……分かったよ。場所、どこだって?」
もっとやらなきゃいけない目的のようなものに縛られずのんびりと旅するつもりだったのに。
神様のお願いとあっては断れないし、人の命がかかっているなら尚更だ。
どうせ目的はないのだから一つぐらいはあってもいい。
「ありがとう! 北にあるグルーウィンって国にあるダンジョンの中だよ」
笑顔になるケーフィスがまんじゅうをリュードの前に一つ置く。
そんなんじゃよしとならないぞと思いながらもまんじゅうは食べる。
とりあえず目標や目的があることは悪くはないので前向きに考える。
「僕の神聖力を持っているとは言っても後10年しか持たないからね、なるはやで頼むよ」
流石に人の命がかかっていて10年も遊ぶほどリュードも薄情じゃない。
旅をしながら近くに寄ることがあれば目指してみようと思う。
「グルーウィンだな。何があるのか知らないから任せておけとは言わないけどやるだけやってみるよ」
「あぁ、良かった! これで安心だ! 感謝するよ、リュー君」
「はいはい」
非常に軽いのだけどそれがなぜか許せてしまうのだから不思議な神様であるとリュードは思う。