ここはギルドマスターの部屋。なぜかリューセイ達は、体格のいい男の案内でここに来ていた。

 中は多少ツギハギはあるが、さすがにマスターの部屋だけありキレイに整っている。

 所々小さな穴のあいたソファに五人は座っていた。

 片や体格のいい男は、机のひきだしの中から書類と巻物を取りだしている。そして、それを持つとリューセイ達のほうへ歩きだした。

 「おう。おまえ達、待たせて悪かったな。余りにも久しぶりだったんで、書類とか探すのに手間取った」

 そう言いながら体格のいい男は、リューセイ達の真向かいに座る。

 「すみませんが。これはどういう事なのですか? なぜ私たちをこのような場所に。……それにあなたは、いったい」

 イシスがそう言いかけると体格のいい男は、ニヤリと笑みを浮かべた。

 「ああ、そうだった。ちゃんと説明しねぇとな。って。その前に俺は、ここのマスター兼冒険者をしてるルドフだ。姓はあるが、悪いが省略させてもらう」

 ルドフはそう言いながら、なぜか照れている。

 それは、なぜかと言うと。__ルドフの姓がベルフラワーといい。かなり自分のイメージとかけ離れているからだ。

 「なるほど。それで、なんで俺たちを試した?」

 リューセイはそう言いルドフをじーっとみる。

 「その事か。実は、今おまえたちが着ている服について聞きたかったからだ。それを、どこで手に入れた?」

 「これですか。この街の武器と防具の店ですが」

 アベルディオは、なんでそんな事を聞くのかと首をかしげた。

 「そうか。じゃ、おまえたちぐらいの歳の女からじゃないんだな?」

 「女性? いえ、ちゃんと店で購入しました。それに会ってもいません。ですが、なぜそのような事を聞くんですか?」

 「そうか。その装備をこの街の店でか。って事はだ。アイツは、まだこの街にいるみてぇだな」

 あきれた面持ちでルドフは、頭を抱え「はぁ〜」と息を漏らす。そして、その理由を話しだした。



 一方ここは、ギルドの真向かいにある建物の物陰。

 謎の占い師のような女性が、ビクビクしながら辺りを見まわしている。

 「彼らを追って来たけど。まさか、ここに来るとはねぇ」

 そう言い気まずそうな表情でギルドの建物を見つめた。

 (はやく出て来てくれないかなぁ。じゃないと見つかっちゃうよ。それに、私の計画が水の泡になっちゃう)

 そう思いながらリューセイ達が出て来るのを待っている。


 実はこの女性、ルルカ•ベルフラワーといい、ルドフの娘だ。


 (やっと予言通り、英雄になれそうな五人が現れたのにぃ。
 このままじゃぁ。せっかく父様の目を盗んで、伝説の装備を倉庫から持ち出して。
 バルバドさんの店に、お父様にはナイショでって事で置いてもらったのにさぁ。これじゃ意味がないよぉ。
 どうしよう。さすがに、多分もうバレたよね)

 ルルカはさらに物陰に身を潜め悩み始める。

 (てかここにいたら、見つかる可能性のほうが高い。そうだ! 今日は、彼らが泊まっているアレンさんの宿屋で、)

 そしてその後ルルカは、ここにいても仕方がないと思い宿屋に向かった。