「まず、銀騎博士がツチノコと思われる生物の死骸を発見したのは、フィールドワークで出かけておりました山中でした。当時既にツチノコは未確認生物として広く知られており、過去に何度も別種類の蛇であったりトカゲの見間違いであったりしたため、蛇の突然変異種などの可能性が濃厚として採取したのが始まりです」
銀騎皓矢の説明とともに、後ろのスクリーンには当時の未確認生物の死骸が映し出された。
頭は蛇によく似ており、胴が短く膨らんでいる。所謂「ツチノコ」を連想させるような見た目だった。
体表の色は死骸だからだろうか、全体が黒っぽく少し干からびていた。
ここまでの展開は、今では動画サイトでも検索に時間をかけないと出てこない、昔の超常現象を扱うテレビ番組と同じような雰囲気である。
小学生の頃、永に毎日と言っていいほど見せられていた蕾生は、この手の話題には食傷気味だ。隣の永をチラと見ると、口元を緩めて楽しそうに聞いていた。
「銀騎博士はこの死骸を詳しく分析し、DNA鑑定をした結果、未知のDNAを発見しました。それは蛇やトカゲはもちろん、地球上のどの生物も持っていない全く未知のDNAだったのです」
銀騎皓矢の説明に、観客は小さく感嘆の声を漏らしながら聴いている。蕾生はますますSF映画の様になっていく展開に、本当にこれは科学の講話なのか首を傾げずにはいられなかった。
「このDNAに関しましては、現在も当研究所で研究中であり、全容はまだ解明されていません。しかしながら、とにかく未知の因子を持つ生物が存在している可能性が濃厚だとして、銀騎博士は一年かけて発見場所を詳細に調べました。糞や巣穴の痕跡などが徐々に見つかり、遂には生きている個体の捕獲に成功しました」
そしてスクリーンには、先程の死骸とは姿は同じでも雰囲気が全く違う、生気に満ちた蛇のような生物が映し出された。
土色の体の表面は鱗で覆われ、子どもの頃動画で見たCGでの想像図と良く似た姿だった。
「これが、銀騎博士が新生物として登録したツチノコであります。爬虫類有鱗目……ツチノコは古来ノヅチとも呼ばれたことから、ノヅチ亜目ノヅチ科ツチノコ属ツチノコと分類しました。ノヅチ亜目は今後細分化が可能だと銀騎博士は考えており、ツチノコ研究はまだ入口の扉を開けたに過ぎないのです」
そして、銀騎皓矢は観客を真っ直ぐに見据え、いっそう力強く言い放つ。
「我々銀騎研究所研究員一同は銀騎博士の指導の元、今後も未知の生物の探求とDNAの調査を行い、地球の生物の新たなる謎の解明に邁進していきます」
すると観客席からワッと歓声と拍手が湧き上がる。演説に成功した若き研究者は少しはにかみながらその場でお辞儀をした。
蕾生はなんとなく鈍い光を感じて視線をずらすと、ステージ袖で司会の女性が拍手をしながらも眼鏡の奥の表情が見えないことに少し不気味さを感じていた。
銀騎皓矢の説明とともに、後ろのスクリーンには当時の未確認生物の死骸が映し出された。
頭は蛇によく似ており、胴が短く膨らんでいる。所謂「ツチノコ」を連想させるような見た目だった。
体表の色は死骸だからだろうか、全体が黒っぽく少し干からびていた。
ここまでの展開は、今では動画サイトでも検索に時間をかけないと出てこない、昔の超常現象を扱うテレビ番組と同じような雰囲気である。
小学生の頃、永に毎日と言っていいほど見せられていた蕾生は、この手の話題には食傷気味だ。隣の永をチラと見ると、口元を緩めて楽しそうに聞いていた。
「銀騎博士はこの死骸を詳しく分析し、DNA鑑定をした結果、未知のDNAを発見しました。それは蛇やトカゲはもちろん、地球上のどの生物も持っていない全く未知のDNAだったのです」
銀騎皓矢の説明に、観客は小さく感嘆の声を漏らしながら聴いている。蕾生はますますSF映画の様になっていく展開に、本当にこれは科学の講話なのか首を傾げずにはいられなかった。
「このDNAに関しましては、現在も当研究所で研究中であり、全容はまだ解明されていません。しかしながら、とにかく未知の因子を持つ生物が存在している可能性が濃厚だとして、銀騎博士は一年かけて発見場所を詳細に調べました。糞や巣穴の痕跡などが徐々に見つかり、遂には生きている個体の捕獲に成功しました」
そしてスクリーンには、先程の死骸とは姿は同じでも雰囲気が全く違う、生気に満ちた蛇のような生物が映し出された。
土色の体の表面は鱗で覆われ、子どもの頃動画で見たCGでの想像図と良く似た姿だった。
「これが、銀騎博士が新生物として登録したツチノコであります。爬虫類有鱗目……ツチノコは古来ノヅチとも呼ばれたことから、ノヅチ亜目ノヅチ科ツチノコ属ツチノコと分類しました。ノヅチ亜目は今後細分化が可能だと銀騎博士は考えており、ツチノコ研究はまだ入口の扉を開けたに過ぎないのです」
そして、銀騎皓矢は観客を真っ直ぐに見据え、いっそう力強く言い放つ。
「我々銀騎研究所研究員一同は銀騎博士の指導の元、今後も未知の生物の探求とDNAの調査を行い、地球の生物の新たなる謎の解明に邁進していきます」
すると観客席からワッと歓声と拍手が湧き上がる。演説に成功した若き研究者は少しはにかみながらその場でお辞儀をした。
蕾生はなんとなく鈍い光を感じて視線をずらすと、ステージ袖で司会の女性が拍手をしながらも眼鏡の奥の表情が見えないことに少し不気味さを感じていた。