テストも終わり今日は夏休み前日。午前中には学校が終わり、部活が始まる。部活に入っていない僕は、すぐに帰ることになる。
「放課後みんなでカラオケでも行こうよ!」
「え! あり! 行こう!」
朱莉の提案に便乗する莉緒。僕は歌はそこまで得意では無かったが、みんなが行くと言ったら行く以外ない。
「今日は俺も部活ないから行こうぜ!」
久々のオフでテンションが高い亮太。全員の意見が一致し、僕たちは放課後カラオケに行くことに決定した。
今から夏休み前の全校集会が行われる。各クラス体育館に向かい一列になり腰を下ろす。
真夏の体育館は地獄のような暑さだった。全校集会が始まり、いつも通り校長の長々とした話が始まる。
毎度毎度どうしてこんなにも長話が出来るのか不思議に思っていた。校長の長話が終わり、次は生活指導部の先生が、夏休みの生活について話し始める。
夜遅くまで外出しないこと、バイトは許可を取ってから行うことなど。毎年同じようなことばかり言われる。
バイトなんてバレずにやっている人ばかりだ。先生たちの話も終わり、全校集会は終了した。
今はいち早くこの暑い体育館から抜け出したかった。しかし、僕の周りは明日から約一ヶ月にわたる夏休みの話題でザワついていた。
ある所では、夏休みの遊ぶ計画。またある所では、ほぼ毎日部活と嘆く声。今年の夏も人それぞれの過ごし方がある。
部活動に向かう生徒を横切り、僕たち四人はカラオケ店へと向かう。お昼時ということもあり、店内は多少混雑していた。
受付を済ませた僕たちは、順番が回ってくるまで椅子に座って待つ。十五分程して呼ばれ、部屋番号が書かれた紙と、ドリンクバー用のコップを貰い、指定の部屋へと向かう。
僕たちの部屋は広くも狭くもなく、四人で丁度いい部屋だった。早速、朱莉と莉緒がデンモクに曲を入れる。
「最初は喉を慣らすために二人で歌いまーす!」
そう言って二人は今話題の曲を歌い始めた。彼女たちの歌声を初めて聴いたが、上手すぎて驚いた。
これがほんとに喉を慣らすためなのかと疑問に思うくらいだ。
例えるなら透き通る声と言うのだろう。
「じゃあ次は俺たちが歌うか」
亮太は勝手にデンモクに曲を入れ、僕にマイクを手渡した。彼が入れた曲は超有名なアニソンだ。これなら僕も知っているし、歌えるだろう。
歌が苦手な僕からしたら、女子二人の次に歌うのは少し気が引けたが、そうは言っても流れてくるイントロ。
亮太も僕も歌は上手い方ではない。それでも聴いている二人は、手拍子などで盛り上げてくれる。歌い終わった後、二人は僕たちの歌を上手いと言ってくれた。
お世辞でも嬉しかった。全員軽く歌い喉が慣れてきたところで、一人ずつ歌うことになる。
順番を決めるのはジャンケン。
「ジャンケンぽい!」
「うわっ、最悪・・・・・・」
「よっしゃー! じゃあ光希行こう!」
「がんばれトップバッター!」
運悪くジャンケンに負けてしまい、トップバッターになる。何を歌うか迷う。考えた末、最近のランキングで十位以内に入っていて、僕が歌えそうなものを選んだ。
一人で歌える自信は無かったが、途中途中で亮太が合いの手を入れてくれて歌いきることが出来た。点数は86点。
苦手な僕からしたら高すぎる程だ。次に莉緒、そして朱莉が歌う。二人が選んだのはラブソング。
僕が思った通り、二とも安定で上手かった。僕も亮太も合いの手を忘れるくらいに、二人の歌に引き込まれていた。
そして僕の点数なんて容易く越えられる。どちらも90点を越える程の高得点だ。
最後を飾るのは亮太だ。彼が選んだのは意外にもバラードだった。いつも騒がしい亮太が、バラードなんて想像がつかない。
亮太と言えばアニソンや、明るい曲。例えるなら応援歌の様なイメージが強い。バラードに手拍子は合わないと思い、僕たち三人は静かに彼の歌を聴いた。
亮太の歌をちゃんと聴いたのは中学校以来だった。あの頃と変わらない歌声は、どこか懐かしさを感じさせる。
彼の点数はは88点と表示される。結果、点数で言えば僕が一番下だった。幸い今回は罰ゲームも何も無くて安心した。
その後はもう一度一人ずつ歌ったり、四人で一緒に歌ったり、二人ずつデュエットなどもした。僕たちは約二時間ぶっ通しで歌い続けた。
だけど二時間なんてあっという間だった。カラオケ店を出ると、外は暗くなり始めていた。僕たちは近くのファミレスで食事を摂ったあと解散した。
途中で亮太と莉緒とは別れ、朱莉と二人きりになる。
「今日は楽しかったね」
「またみんなで行きたいね」
夏の夜はとても蒸し暑い。時折聞こえてくる蝉の声が、暑さに拍車をかける。
ついこの間二年生になったと思ったら、もう夏休みを迎える。時間の流れって本当に早いんだな。
明日からの夏休み、僕はどう過ごそうか考えていた。
去年はほぼ毎日家にいた。亮太はほぼ毎日部活でいないし、きっと今年も一人家でゴロゴロするのだろう。
「夏休み中、良かったら二人でどこか行こうよ」
「え?」
予想外の誘いに、僕は少し戸惑う。
「えって何よ! 普通女の子に誘われたらもっと喜ぶでしょ!」
彼女の言ったことは正論だが、その一言で全てが台無しになる。それでも家で過ごすよりは何倍もマシだった。
「うん、行こう」
そして僕たちは二人で出かける約束を交わした。
「放課後みんなでカラオケでも行こうよ!」
「え! あり! 行こう!」
朱莉の提案に便乗する莉緒。僕は歌はそこまで得意では無かったが、みんなが行くと言ったら行く以外ない。
「今日は俺も部活ないから行こうぜ!」
久々のオフでテンションが高い亮太。全員の意見が一致し、僕たちは放課後カラオケに行くことに決定した。
今から夏休み前の全校集会が行われる。各クラス体育館に向かい一列になり腰を下ろす。
真夏の体育館は地獄のような暑さだった。全校集会が始まり、いつも通り校長の長々とした話が始まる。
毎度毎度どうしてこんなにも長話が出来るのか不思議に思っていた。校長の長話が終わり、次は生活指導部の先生が、夏休みの生活について話し始める。
夜遅くまで外出しないこと、バイトは許可を取ってから行うことなど。毎年同じようなことばかり言われる。
バイトなんてバレずにやっている人ばかりだ。先生たちの話も終わり、全校集会は終了した。
今はいち早くこの暑い体育館から抜け出したかった。しかし、僕の周りは明日から約一ヶ月にわたる夏休みの話題でザワついていた。
ある所では、夏休みの遊ぶ計画。またある所では、ほぼ毎日部活と嘆く声。今年の夏も人それぞれの過ごし方がある。
部活動に向かう生徒を横切り、僕たち四人はカラオケ店へと向かう。お昼時ということもあり、店内は多少混雑していた。
受付を済ませた僕たちは、順番が回ってくるまで椅子に座って待つ。十五分程して呼ばれ、部屋番号が書かれた紙と、ドリンクバー用のコップを貰い、指定の部屋へと向かう。
僕たちの部屋は広くも狭くもなく、四人で丁度いい部屋だった。早速、朱莉と莉緒がデンモクに曲を入れる。
「最初は喉を慣らすために二人で歌いまーす!」
そう言って二人は今話題の曲を歌い始めた。彼女たちの歌声を初めて聴いたが、上手すぎて驚いた。
これがほんとに喉を慣らすためなのかと疑問に思うくらいだ。
例えるなら透き通る声と言うのだろう。
「じゃあ次は俺たちが歌うか」
亮太は勝手にデンモクに曲を入れ、僕にマイクを手渡した。彼が入れた曲は超有名なアニソンだ。これなら僕も知っているし、歌えるだろう。
歌が苦手な僕からしたら、女子二人の次に歌うのは少し気が引けたが、そうは言っても流れてくるイントロ。
亮太も僕も歌は上手い方ではない。それでも聴いている二人は、手拍子などで盛り上げてくれる。歌い終わった後、二人は僕たちの歌を上手いと言ってくれた。
お世辞でも嬉しかった。全員軽く歌い喉が慣れてきたところで、一人ずつ歌うことになる。
順番を決めるのはジャンケン。
「ジャンケンぽい!」
「うわっ、最悪・・・・・・」
「よっしゃー! じゃあ光希行こう!」
「がんばれトップバッター!」
運悪くジャンケンに負けてしまい、トップバッターになる。何を歌うか迷う。考えた末、最近のランキングで十位以内に入っていて、僕が歌えそうなものを選んだ。
一人で歌える自信は無かったが、途中途中で亮太が合いの手を入れてくれて歌いきることが出来た。点数は86点。
苦手な僕からしたら高すぎる程だ。次に莉緒、そして朱莉が歌う。二人が選んだのはラブソング。
僕が思った通り、二とも安定で上手かった。僕も亮太も合いの手を忘れるくらいに、二人の歌に引き込まれていた。
そして僕の点数なんて容易く越えられる。どちらも90点を越える程の高得点だ。
最後を飾るのは亮太だ。彼が選んだのは意外にもバラードだった。いつも騒がしい亮太が、バラードなんて想像がつかない。
亮太と言えばアニソンや、明るい曲。例えるなら応援歌の様なイメージが強い。バラードに手拍子は合わないと思い、僕たち三人は静かに彼の歌を聴いた。
亮太の歌をちゃんと聴いたのは中学校以来だった。あの頃と変わらない歌声は、どこか懐かしさを感じさせる。
彼の点数はは88点と表示される。結果、点数で言えば僕が一番下だった。幸い今回は罰ゲームも何も無くて安心した。
その後はもう一度一人ずつ歌ったり、四人で一緒に歌ったり、二人ずつデュエットなどもした。僕たちは約二時間ぶっ通しで歌い続けた。
だけど二時間なんてあっという間だった。カラオケ店を出ると、外は暗くなり始めていた。僕たちは近くのファミレスで食事を摂ったあと解散した。
途中で亮太と莉緒とは別れ、朱莉と二人きりになる。
「今日は楽しかったね」
「またみんなで行きたいね」
夏の夜はとても蒸し暑い。時折聞こえてくる蝉の声が、暑さに拍車をかける。
ついこの間二年生になったと思ったら、もう夏休みを迎える。時間の流れって本当に早いんだな。
明日からの夏休み、僕はどう過ごそうか考えていた。
去年はほぼ毎日家にいた。亮太はほぼ毎日部活でいないし、きっと今年も一人家でゴロゴロするのだろう。
「夏休み中、良かったら二人でどこか行こうよ」
「え?」
予想外の誘いに、僕は少し戸惑う。
「えって何よ! 普通女の子に誘われたらもっと喜ぶでしょ!」
彼女の言ったことは正論だが、その一言で全てが台無しになる。それでも家で過ごすよりは何倍もマシだった。
「うん、行こう」
そして僕たちは二人で出かける約束を交わした。