①物語の設定・主要キャラクターの説明

・物語の世界観

大きな儀式の場合、必ず何かしらの代償が伴う。
物語の舞台となるファンタジー世界は、千年ほど前に魔王という魔族の長が人間に戦争をしかけた。
人間側は押されており、現状をどうにかするために神(邪神)が残したとされる「英雄を召喚する儀式」を行う。
儀式には生贄が二人必要とされた。
二人の生贄を捧げ、とある異世界人を召喚する。
その異世界人は召喚した者の期待に応え、魔王を倒した。
だが、その人物が元の世界に戻るためには、別の異世界人と入れ替わり、その異世界人のための生贄を一人捧げなければならなかった。
魔王を倒した人物は、それを実行して元の世界に戻る。
代わりにまた別の人物が入れ替わりに現れる。
そうした「元の世界に戻るための方法」を繰り返すうちに、異世界人を危険視する人々が現れる。
ただ、彼らは「チート」を持っており、現地人たちは魔法などでもそれらに対抗できなかった。
「目には目を」ということで、また新しく儀式をやり、「異世界人」に「異世界人」をぶつけようとする。
それは当然、悪手であり、自体を益々悪化させるだけであった。
そんな中、主人公が召喚される。
実は召喚された異世界人は「現地人を殺せ」という契約(呪い)を召喚前に強制的に(邪神によって)結ばされている。
召喚された時点ではそのことを忘れているものの、無意識のうちに契約通りに「現地人を殺す」形で動くようになる。
チート能力は当人の潜在意識が力として具現化したもので、邪神が与えたものではない(邪神によって、「力」に変換されたというのが正確)。
主人公は「唯一者」という能力によって、契約に縛られることが無かった。

物語の結末

能力の暴走により体を失うが、「我らは一つ」という儀式(おまじない)の記憶が蘇り、ヒロインと同化する。
その後、黒幕の邪神が一種の愉快犯であることを知る。
主人公の「唯一者」は成長し、邪神を除いた世界の全てを「私」と認識し、世界と邪神を切り離す。
全てが一体となった世界は再構築がなされ、邪神が存在しない場合の歴史を辿ることになる。
主人公は異世界に召喚されず、平凡な大学生活を送っている。
ヒロインの方は異世界人の立ち位置が魔族になっただけで、以前と同じく混沌とした世界を生きている。

・主要登場人物のキャラクター紹介

名前/年齢/性別
藤宮一郎/20/男

キャラクター設定そのものの基本設定

人格

全体的に冷めた視点で物事を見ている。
達観や俯瞰、客観的と言えば聞こえは良いが、常に他人事(自分ごととして受け止めていない)とも言える。
人よりも情が薄いだけで、無いわけではない。
基本的には神や死後の世界に関しては半信半疑である。
唯物論者や科学絶対主義ではない。
神や死後、宗教などのものに対しては、「一種の(金以外のものを賭ける)ギャンブル」だと思っており、考えても仕方がないと敢えて思考放棄している。
現世での生き方を重視する刹那主義的な部分がある。
快楽主義や自由至上主義(リバタリアン)、無政府主義(アナーキー)というわけではなく、現実主義(リアリスト)の視点を持った理想主義者(ロマンチスト)である。
ある種、世界に絶望している虚無主義(ニヒリスト)とも言える。

特徴

顔は2枚目(男らしいというより可愛らしい顔。女性的な可愛らしい顔ではない)。
フィジカルは運動神経については中の下。
持久力は中の上。
瞬発力は中の下。
力は下の上。
メンタルは豆腐だが、人よりも達観しているので、ダメージは受けづらい。
一般家庭出身。
生活環境は一般家庭の中では恵まれている方(必要最低限以上に欲しいものや家族からのサポートを受けている)。
良くも悪くも周囲を冷ややかな目で見ている。
また、転移者の中で極少数のチート能力を無効化できるチートの持ち主。

所持チート
「唯一者」

作中にこのキャラクターがいる意味

立場

主人公

役割

生き残るためと真相の究明のために動くキャラ。
召喚された理由などについて考えるキャラクターでもある。

目的

1.生き残る(抜く)こと。
2.真相(異世界に召喚された理由など)の解明。


名前/年齢/性別
サラー/20/女

キャラクター設定そのものの基本設定

人格

相方の佐藤と同様に世の中を甘く見ている面がある。
だが、彼とは違い基本的にお人好し。
誰彼構わず助けるタイプではなく、きちんと分を弁える(現実をきちんと見るタイプ)。
好奇心も強く、異世界から来た藤宮に興味を持つ。

特徴

妖精と呼ばれる種族の女性で、通常の人間とは異なる。
外見は耳が尖っている以外は、普通のコーカソイド。
能力に関しても、魔力を気にせずに魔法を使えること以外は通常の人間と同じ。
物語の中盤で、体を無くした藤宮に憑依される。

作中にこのキャラクターがいる意味

立場

ヒロイン(相棒)。
主人公からは親しみ易い現地人だと思われている。
恋愛感情は希薄だが、頼れる存在(現地の情報をくれる。自分を助けてくれる)。

役割

現地人の立場で主人公をサポートする存在。
後には主人公の体にもなる。
彼女との体験を通じて主人公は自身の能力によって、ラスボスを倒す(世界から切り離す)ことに成功する。

目的

主人公と会う前→養父が人を殺して、自分の前から消えた真相を知りたい。
主人公と会った後→主人公が転移してきた理由を知ること。
         主人公を元の世界へ返す。
ラスボスの目的を知った後→ラスボスから世界を守る。


名前/年齢/性別
???/???/???

キャラクター設定そのものの基本設定

人格

典型的な邪神。
人々の願いは叶えるが、敢えて意図とは違う形で叶える。
クトゥルフのニャルラトホテプのような愉快犯。

特徴

邪神であるため、この世にあるものとは全く異なる存在。
藤宮たちが認識している姿が、本当の姿かはわからない。
偽っているのではなく、そもそも人間が理解できる存在なのか不明。
そのため、姿や愉快犯のような性格すら、人間には理解できないことによるバグの可能性がある。

作中にこのキャラクターがいる意味

立場

ラスボス、黒幕

役割

主人公を含めた人々を陥れて、愉悦に浸かる(ように見える)。

目的

希望にすがり、絶望に叩き落とされた人々の無様な姿が見たい(ように主人公たちからは見えている)。


②冒頭部分のプロット

第1話

 日本の大学三年生の藤宮一郎は学校の講義が講義が終わり列車で帰宅していた。そんな中、いきなり列車ではなく謎の空間に放りこまれる。あまりに出来事に一瞬唖然とするも、気を取り直して周囲を見渡す。すると、自分と困惑する人々が大勢いることがわかった。自分と同じ状況であることを察知する藤宮。そこに謎の黒い影が現れる。影はこう言った。

「これからみなさんには異世界転移してもらうことになりました。みなさんはとある儀式の『代償』に選ばれたのです。いきなり転移することになって心配かもしれませんが、ご心配なく。それぞれにあった『力』が発現するでしょう。ああ、不安になっているかもしれませんが、安心してください。皆さんは元の世界に戻れますよ。『異世界人を一人殺して、元いた世界の誰かを召喚』すれば、ね」

 そう一方的に話すと藤宮を含めた誰かが声を発する前に視界が黒くなった。
 意識を失っていたのか、藤宮が目を覚ますとそこは絵画のように色鮮やかな美しいが不気味な森の中だった……。
(426文字)

第2話

 不気味な森の中で目覚めた藤宮は「どうするか」と悩むが、一番気になっていたのは「影」が言っていた「力」についてであった。「力」について考えていると、ゲームのキャラクターステータスのようなものが頭に思い浮かぶ。そこにはこう書かれていた。

能力:「唯一者」
根元:能力の大元はマックス・シュティルナー(思想家)の「唯一者」の藤宮一郎なりの理解。
能力:「私」以外のものに囚われない。
   現在は他者のチート(召喚された人が持つ特殊能力)に干渉されない(常にオン。オフにはできない)。
   藤宮一郎がいた形而下の世界ではありえない力に干渉されない(オンオフは任意で可能)。
   藤宮一郎がいた形而下世界でもあった能力に関して、現在は干渉されないようにすることはできない。

 潜在的な意識にあるものが能力になったためなのか、藤宮は直感的に「唯一者」がどのような能力なのかを理解した。この能力は一種の無効化能力である、と。同時に危険性も認識した。能力が成長すれば、「私」という自意識以外は、この体や「藤宮一郎」というアイデンティティも含めて消失してしまうかもしれない、と。また、相手に干渉されないことは強みだが、同時に相手に干渉するという決め手に欠くことでもあった。そんな「自我の危機」と「決定打に欠ける」ことに頭を悩ます中、彼の元に一つの声が届いた。

「あの……、ひょっとして、異世界人ですか?」
(578文字)

第3話

 声が聞こえた方向を見ると、ファンタジー系の作品に登場するエルフのような姿の少女がいた。「誰だ? 俺に何のつもりで近づいた?」と警戒する藤宮。そんな彼に対して少女は「警戒する気持ちはわかるが、こちらに敵意はない」という。藤宮は心の中では警戒を続けていたが、警戒をしていようが、していまいが、少女が敵意を向ければ自分は助からないと現実を受け入れる。先ほどの少女の言葉を自信なさげに肯定する藤宮。彼の言葉に「やっぱり、そうでしたか」と少女は言う。彼女はこの世界を藤宮に説明し出す。昔、この世界に魔王が存在しており、人類は窮地に立たされていた。そんな中、ある魔術師が禁術書に書かれた召喚の儀をすがる思いで行ったのだとか。その儀式によって召喚された異世界人は魔王を倒したという。人々がその人物を「勇者」と称える中、「勇者」と呼ばれた人は突如、虐殺を行い、姿を消す。その後、入れ替わるように異世界人が現れては消えた。必ず最後は人々を殺して……。異世界人に対抗するために他の異世界人を呼ぼうと、召喚の儀が乱発されたこともあるが、結局その異世界人も最後には人々を殺して消える。召喚の儀は元々禁術であったが、以前にも増して「使ってはならない術」と認識されるようになった。術を使わなくなっても、異世界人は現れ続け、今もこの世界の人々も恐怖と憎しみを抱かせ続けている、と。話終わった彼女に藤宮は疑問を口にする。

「表面上だけかもしれないが、なぜ君は「そんな異世界人の一人」である僕に親切な対応をしている?」

 そんな疑問について、彼女は……。

「私の育ての親が異世界人だったから……」

と答えた。
(681文字)


③今後の展開

 エルフのような少女から養父が異世界人であったことを藤宮は聞かされる。捨て子であった彼女を養父であった異世界人が拾った。彼からの愛情を注がれて育った彼女であったが、時より「彼女を見ながら苦しみだす養父」のことが気がかりであった。ある時、唐突に養父が人を殺して彼女の前から消えた。調べてみると養父以外の異世界人も人を殺して姿をくらましていたという。だが、いくら調べてもその理由はわからなかった。
 そのことを聞いた藤宮は自分が召喚される直前のことを話す。影のような存在に会ったこと。そいつから、「元の世界に戻るには現地人を殺して、代わりの異世界人を召喚する必要がある」と。それを聞いた少女は目を丸くする。そんな話は父や他の異世界人からも聞いたことがない、と。藤宮は「俺は生きて元の世界へ帰りたいが、ヤツ(影)の目的や一連の出来事の真相も知りたい」と決意を表明する。そして少女も「私も同じことが知りたい」と藤宮に協力することを約束する。藤宮は自分の名を名乗り、少女も「サラー」という名前を名乗った。
 サラーは「おまじない」として、自分の部族に伝わる儀式を藤宮と行う。

「私はもともと一つの存在であった。いや、今も一つの存在なのだ。ただ、我々という存在だと錯覚しているだけなのだ。本来は「『私』や『君』という区別は存在しない。そう思い込んでいるだけなのだ」

 その言葉を読み上げたサラーにとっては「おまじない」でしかなかったが、藤宮にとっては自身の能力を連想させるものであり、運命のようなものを感じていた。

 その後、藤宮はサラーと共に現地人や異世界人と戦いつつ、真相を探っていた。だが、ある時に能力の暴走によって自身の体を失ってしまう。体を失い意識すらも薄れていくなか、走馬灯のようにこの世界の情報が流れてくる。その中で、サラーを捉えた藤宮は「おまじない」として、彼女が行った儀式を思い出す。すると、薄れていた意識が覚醒する。同時に「自分ではない誰かの体」であることを認識した。直後にサラーの困惑する声が頭に直接響く。そう、藤宮はサラーと一体化することで、自我の消失を防いだのだ。互いに困惑するも、サラーは藤宮が消えなくて良かったと安心する。

 サラーと一体化した後も真相を探る旅を続けていた藤宮。そんな中、ついに「影」と対面する。一連のことについて聞くと、呆気なく影はことの真相を話した。『「召喚の儀』は自分が作ったもので、作った理由は人々が苦しむ姿が見たいから」だという。あまりの理由に唖然とするサラーと藤宮。「影」は続けて「召喚の時に必ず『現地人を殺す』契約(呪い)を無意識にすり込む」という。通常はその時の記憶を忘れ、常に「現地人を殺さなくてはならない」ような感覚に襲われるのだという。そのため、元の世界に帰るつもりが無かったとしても、必ず「現地人を殺す」ことになる。ただ、藤宮の場合、「唯一者」によって、「記憶を消す」ことも「契約を結ぶ」こともできなかった。そのように告げ、消える「影」。そんな「影」を苦々しく思いながらも、二人は「影」から人々を守ることを決意した。

 「影」から人々を助ける方法を探す二人だが、見つからずに時が過ぎていく。長い年月がたち、二人は「唯一者」によって自意識の境界がなくなり一つの存在となった。「唯一者」はそれに留まらず彼女(彼)と世界を隔てる境界すらも取り払った。「唯一者」が唯一取り払わなかった異物(境界)。それが「影」であった。「影」という存在が無くなった世界では藤宮とサラーは出会わない。彼らは「影」がいたからこそ出会ったのだ。藤宮はどこかで争いがる中、平凡な人生を送っているだろう。サラーも異世界人が召喚されないことで魔族との争いが絶えない世界の中を生きていく。
(1540文字)