荒野に出て、まずは適度に蒼炎を撒いていく。
こうすることによって、少しだが草木が生える土地になるからだ。
といっても魔力にも限度があるので、この辺境全体を周りのは無理がある。
その辺りは魔法以外の手で、徐々にやっていくしかあるまい。
そして数日かけて領地にくる先に通ってきた村を回りつつ、情報を頼りに駆け回っていると……。
「ご主人様ー! あっちに新しい村がありましたよー! フーコが見つけてくれました!」
「なに? フーコ! よくやった!」
「コンッ!」
「皆の者、山賊と間違われないように急がず慌てずにな」
有志の獣人達を連れて、俺はフーコの後を追った。
そして、三十人程度が住んでる村を発見する。
怖がらせないように、俺とユキノとフーコだけで中に入る。
「あ、あの、この村にはもう差出せるようなものは……いや、そんな感じもしない? それにいつも来る方ではない……」
「驚かせて悪い。ああ、そんなつもりは毛頭ない。ところで、ここの責任者はいるか?」
「わ、私が責任者です。村長のポールと申します」
他の住民よりも、目の前の男性の方がガリガリに痩せている。
となると、良き責任者ということだ。
自分よりも、村人を優先した結果だろう。
「ポールか、よく頑張ってくれた。俺は新たな領主となったアルスという。そのことを知らせに、今この辺りを巡回している」
「へっ? 領主様? その、前にいた者達は……」
「その者はもういない。そして、俺はあのような行いは好かん。お主達が正当な税を納めれば、俺が責任持って庇護下に置こう」
「……本当でしょうか? あっ、いえ、疑っているわけではないのです!」
彼がそう思うのは当然である。
これまで、散々しいたげられてきたのだろう。
さて、どうする? 誰かに襲われたのを助けたわけでもないし、証明が意外と難しい。
すると、フーコが村長に近づいていく。
「コンッ!」
「……これは、まさか銀狐の子供?」
「ん? ああ、そうだ。一応、俺が世話をしている」
「銀狐は誇り高いのもそうですが、人の良し悪しがわかるほど賢い。そうなると……ウォォォォォォ! 皆の者! 救われたぞ! これで若い娘や食料を奪われずに済む!」
村長のその声に、不安そうにしていた村人も歓喜の声を上げる。
どうやら、銀狐の存在に助けられたらしい。
「フーコ、お前のおかげで助かった」
「コンッ!」
「やっぱり、拾っておいて良かったですねー」
「情けは人の為ならずってやつだな」
「何です? それ?」
「人に良い行いをしたら、自分に返ってくるってやつさ」
「えへへ、それってご主人様らしいですね。今までも、そうでしたから」
「……そんなつもりはなかったがな」
どうにも照れくさく、上を見上げる。
俺自身は自分か助かるために行動していたに過ぎない。
そのことで感謝されるのは、未だにどうしていいかわからない。
その後日も暮れていたので、俺達はこの村に泊まることにする。
道中で飼ったファンブルを村の人々と分け合って食べる。
「も、申し訳ありません。おもてなしをするところか、こちらがご馳走になってしまい……」
「なに、こちらも泊めてもらうから気にすることはない。どうせ、大荷物になるし俺達だけでは食べきれん。ファンブルなら、いくらでもいるから構わんしな」
「ありがとうございます! 確かに、ファンブルによって数少ない農作物は食べ尽くされてしまいました……我々はどうしたらいいのでしょう?」
「俺の都市に来るか? もしくは、ここに残りたいか? 遠慮はいらない、正直に言ってくれていい」
俺は無理矢理に都市に来させる必要はないと思っていた。
一箇所に人を集めるのもリスクがあるし、それぞれの生活というものがある。
「……できれば、この住み慣れた土地で静かに暮らしたいです。ですが、このように荒れた土地では……」
「それに関しては気にしないでいい、俺の方でやっておく。ここに住みたいということでいいんだな? 都市の方が便利な生活ができるぞ?」
「お気遣いに感謝いたします。ですが我々は年寄りも多いので、できればこのままで。ただ、若い数名は行きたいと申すと思うので……」
「わかった、そいつらは引き取ろう。どちらにしろ、街道整備は必要だ。物資や食料などは届けるから安心するといい」
いちいち税金を取りに来るのに命がけでは堪らん。
寒さもそうだが、魔獣や魔物いるし。
そうなると、中堅地点の砦などを作らないといけないか。
……何かするたびに、次の仕事が増えていく。
「あ、ありがとうございます! 私達でできることならなんでもいたします!」
「ふむ……この辺りに村と、後は近くに森などはあるか?」
「ここを北に行くと、小さい村があります。そのさらに奥に行った先には、確か森があったかと」
「となると、まずはそこに行くべきか。情報に感謝する、何か困ったことがあれば領地に来るといい」
その後、俺は畑に蒼炎を撒いたり、家々の火を灯していく。
そして小屋を借りれたので、そこで床につく。
……少しは領主らしいことができただろうか?
いやいや、そもそも俺にはそんな気はない。
恩を売って、後でダラダラするためにやってるんだし……って誰に言い訳してんだか。
こうすることによって、少しだが草木が生える土地になるからだ。
といっても魔力にも限度があるので、この辺境全体を周りのは無理がある。
その辺りは魔法以外の手で、徐々にやっていくしかあるまい。
そして数日かけて領地にくる先に通ってきた村を回りつつ、情報を頼りに駆け回っていると……。
「ご主人様ー! あっちに新しい村がありましたよー! フーコが見つけてくれました!」
「なに? フーコ! よくやった!」
「コンッ!」
「皆の者、山賊と間違われないように急がず慌てずにな」
有志の獣人達を連れて、俺はフーコの後を追った。
そして、三十人程度が住んでる村を発見する。
怖がらせないように、俺とユキノとフーコだけで中に入る。
「あ、あの、この村にはもう差出せるようなものは……いや、そんな感じもしない? それにいつも来る方ではない……」
「驚かせて悪い。ああ、そんなつもりは毛頭ない。ところで、ここの責任者はいるか?」
「わ、私が責任者です。村長のポールと申します」
他の住民よりも、目の前の男性の方がガリガリに痩せている。
となると、良き責任者ということだ。
自分よりも、村人を優先した結果だろう。
「ポールか、よく頑張ってくれた。俺は新たな領主となったアルスという。そのことを知らせに、今この辺りを巡回している」
「へっ? 領主様? その、前にいた者達は……」
「その者はもういない。そして、俺はあのような行いは好かん。お主達が正当な税を納めれば、俺が責任持って庇護下に置こう」
「……本当でしょうか? あっ、いえ、疑っているわけではないのです!」
彼がそう思うのは当然である。
これまで、散々しいたげられてきたのだろう。
さて、どうする? 誰かに襲われたのを助けたわけでもないし、証明が意外と難しい。
すると、フーコが村長に近づいていく。
「コンッ!」
「……これは、まさか銀狐の子供?」
「ん? ああ、そうだ。一応、俺が世話をしている」
「銀狐は誇り高いのもそうですが、人の良し悪しがわかるほど賢い。そうなると……ウォォォォォォ! 皆の者! 救われたぞ! これで若い娘や食料を奪われずに済む!」
村長のその声に、不安そうにしていた村人も歓喜の声を上げる。
どうやら、銀狐の存在に助けられたらしい。
「フーコ、お前のおかげで助かった」
「コンッ!」
「やっぱり、拾っておいて良かったですねー」
「情けは人の為ならずってやつだな」
「何です? それ?」
「人に良い行いをしたら、自分に返ってくるってやつさ」
「えへへ、それってご主人様らしいですね。今までも、そうでしたから」
「……そんなつもりはなかったがな」
どうにも照れくさく、上を見上げる。
俺自身は自分か助かるために行動していたに過ぎない。
そのことで感謝されるのは、未だにどうしていいかわからない。
その後日も暮れていたので、俺達はこの村に泊まることにする。
道中で飼ったファンブルを村の人々と分け合って食べる。
「も、申し訳ありません。おもてなしをするところか、こちらがご馳走になってしまい……」
「なに、こちらも泊めてもらうから気にすることはない。どうせ、大荷物になるし俺達だけでは食べきれん。ファンブルなら、いくらでもいるから構わんしな」
「ありがとうございます! 確かに、ファンブルによって数少ない農作物は食べ尽くされてしまいました……我々はどうしたらいいのでしょう?」
「俺の都市に来るか? もしくは、ここに残りたいか? 遠慮はいらない、正直に言ってくれていい」
俺は無理矢理に都市に来させる必要はないと思っていた。
一箇所に人を集めるのもリスクがあるし、それぞれの生活というものがある。
「……できれば、この住み慣れた土地で静かに暮らしたいです。ですが、このように荒れた土地では……」
「それに関しては気にしないでいい、俺の方でやっておく。ここに住みたいということでいいんだな? 都市の方が便利な生活ができるぞ?」
「お気遣いに感謝いたします。ですが我々は年寄りも多いので、できればこのままで。ただ、若い数名は行きたいと申すと思うので……」
「わかった、そいつらは引き取ろう。どちらにしろ、街道整備は必要だ。物資や食料などは届けるから安心するといい」
いちいち税金を取りに来るのに命がけでは堪らん。
寒さもそうだが、魔獣や魔物いるし。
そうなると、中堅地点の砦などを作らないといけないか。
……何かするたびに、次の仕事が増えていく。
「あ、ありがとうございます! 私達でできることならなんでもいたします!」
「ふむ……この辺りに村と、後は近くに森などはあるか?」
「ここを北に行くと、小さい村があります。そのさらに奥に行った先には、確か森があったかと」
「となると、まずはそこに行くべきか。情報に感謝する、何か困ったことがあれば領地に来るといい」
その後、俺は畑に蒼炎を撒いたり、家々の火を灯していく。
そして小屋を借りれたので、そこで床につく。
……少しは領主らしいことができただろうか?
いやいや、そもそも俺にはそんな気はない。
恩を売って、後でダラダラするためにやってるんだし……って誰に言い訳してんだか。