①物語の設定・主要キャラクターの説明

□イントロダクション
働きたくないプログラマ筧・弥勒はある日突然、皇位継承戦を行う魔族達によって異世界に召喚されてしまう。都合の良いチートをもらって無双する己を思い描く弥勒だが、チートは魔法の構造が見えるだけで、言語は理解不能。その上、見たまま再現しようにも魔力がろくになかった。皇子・皇女に邪魔者扱いされた弥勒は、皇位継承戦にてぶっちぎり最下位の姫アリアに押し付けられることに。このままでは新皇帝が決まると同時、アリアとともに処刑されてしまう……!
なんとかせねばとあがく弥勒はアリアが必死に練習する魔法の言語を眺めてるうちに気付く。
「コレ、プログラミング言語と一緒じゃね?」と。
弥勒は、魔法が暴発してしまうアリアに取引を持ちかける。
「俺がお前を勝たせてやる。その代わり……」
「その代わり……?」
「一生養ってくれっ!」
「や、養ってって……えっ!? 一章って、そういうことよね!? そんな、突然言われても、心の準備が……!」

これは、働きたくないプログラマがぐーたら生活のために孤独だった少女を王にする物語。

□世界観・設定
・魔法が存在する近世ヨーロッパ程度の文明レベルの異世界。科学の代わりに魔法が発展した世界で、動力源が魔力となっているものの新聞や列車が存在する(一般的ではない)程度。

・多種多様な魔族の住むラクスクライン帝国が舞台となる。周辺国との関係も微妙な上、多くの種族が争っていた過去があり、帝国を興した初代皇帝によって定められた「皇位継承戦」を行い、向こう百年の統治を行う者を選定する。

・皇位継承戦
帝国が興った時、初代皇帝とともに勃興に尽力した12の氏族長の子孫が競い合い、その後100年の統治を行う皇帝を選出する戦い。初代皇帝は12の氏族と、異世界からの転移者を伴ったという伝説に基づき、異世界から召喚を行い配下に加える。転移者は特殊な能力「チート」を得ることができるが、内容は千差万別である。
どの転移者を味方につけるかはそのまま皇帝としての人望に繋がるため、かなり強引な方法であっても黙認される。

・紅玉族
ルビーの角を生やす一族。魔法の扱いに長けており、魔力量に恵まれている。希少な魔法触媒であり宝石でもある角を敵対種族に狙われた過去があり、数が少ない。

・淫魔族
見目麗しい女性しか生まれない一族。こちらも魔法の扱いに長けており、特に【魅了】は強力。



□登場人物
○筧・弥勒(かけい・みろく)26歳 171cm 61kg
社畜プログラマとして働いていたオタク気質の日本人で、本作主人公。継承戦のために召喚された人間の一人だが、ハズレ扱いされてアリアに押し付けられた。過労死寸前まで働かされていたため、食っちゃ寝のぐーたら生活を夢見ている。欲望に忠実で割と外道な発言も平気で出来てしまう理系脳だが、本気で人を傷つけることは言わない優しさはある。
召喚の際にあらゆる魔法の構造を視る魔眼を得て、変動する数値や魔法の効果から魔法の記述がプログラミングと同様の法則を持っていることに気づいた。

魔法に対する常識がないため、常識には囚われない発想をする。また、アリアが魔法を暴発させてしまう理由が「けた外れの魔力を制限しきれない」ことが原因だと突き止め、アリアにも使える魔法やアリア専用の魔法を多数開発する。

ヴィクトリカに怒り、アリアが美少女であることや、アリアが女帝になれば自分はヒモ生活を送れることなどをアリアに与する理由としているが、根底には「物語の主人公」への憧れがある。幼い頃は誰しもが憧れる主人公だが、大人になるにつれて理不尽な現実や、「主人公のような気持ちを持っているだけでは解決できないことがある」と知ってしまう。
清濁併せ飲むことができるようになり、現実と戦うことができるようになった弥勒は自らがどんどん「物語の主人公」から離れてしまっていることに無意識化で失望している。

異世界に召喚された時にオタク時代から憧れていた「物語の主人公」になれたと喜ぶが、使えないチートや少ない魔力量などの評価を突き付けられ再び失意に沈む。そんな中、自分よりも辛く苦しい状況に置かれているのにくじけず前を向くアリアに「主人公」を見出した。

自分が主人公になれずとも、主人公の横に立てば、同じ景色を見れるんじゃないか。

そんな希望とともに、弥勒はアリアを皇帝にするため奔走する。

物語ではアリアの強力な味方だが、アリアを振り回す張本人でもある。アリアの常識では考えられない方法で問題を解決する切れ者な一面がある一方で、アリアを騙してエッチな恰好をさせようとしたりエッチなセリフを言わせようとしたりもする。



○アリア 16歳151cm 45kg
ピンクブロンドの長髪にルビーの角を持つ。スカートタイプの騎士服を着ている。Dカップでスタイルが良い。
紅玉族の代表者にして本作ヒロイン。莫大な魔力量とたぐいまれな美貌を持つ少女だが、あらゆる魔法を暴発させてしまう「出来損ない」。
不器用だが負けん気が強く、多くの家臣から見放されて皇位継承戦最下位になってしまった今も玉座を狙い続けている。必ず暴発してしまうが魔法の練習を毎日欠かすことなく行い、魔法の不足分を補うために剣術や体術も学んでいる。
皇帝になり、紅玉族の保護と角の取引の違法化を実現したいと考えている。王位に就くために寸暇を惜しんで努力を重ねていたため、情緒面はやや幼いところがある。魔法が使えない「できそこない」として馬鹿にされてきた過去があるため、侮られないよう尊大で自信ありげな物言いをすることが多いが、弱音を吐ける相手がおらず不満をため込んでいた。

弥勒に出会い、「一生養ってほしい」と言われたことをプロポーズと勘違いしてしまった上、どう考えてもプロポーズとしては最低な発言なのにまんざらでもない態度を取ってしまうダメンズホイホイなところもある。

可愛くて頑張り屋、強がりだけどさみしがり、耳年増でチョロイン気質。そして弥勒から見れば「物語の主人公」で、どんな困難を前にしても折れず、引かず、諦めないかっこよさを持つ。


〇ヴィクトリカ 15歳 147cm 51kg 
金髪縦ロールでゴスロリなワンピースドレスを着ている。Hカップ爆乳。
皇位継承戦の淫魔族代表。見目麗しい淫魔族の姫として育てられたため、お嬢様口調ではあるが自己中心的な物言いが多い。年齢や種族的な問題でアリアとよく比べられているが、自分よりも美しいアリアに嫉妬している。【魅了】によって自分よりも魔力が少ない者を一時的に操れる他、【魅了】状態で性行為を行うことで永続的に支配することが可能になる。

自らの美しさが一番の武器で拠り所でもあったヴィクトリカにとって、自分よりも美しいアリアの存在は決して許容できるものではなかった。
ヴィクトリカ自身も気付いていないが、アリアの美しさは表面的なものだけでなく諦めずまっすぐに前を見ようとする精神も関係している。
そのためアリアの心を折り、自分よりも下に貶めたい意識が強く働いている。

二人が出会ったのが現代日本の高校だったら、きっと喧嘩しながらもいい関係を築けただろう。
(でも、そうはならなかったんだよ……)

弥勒の出現によって頭角を現したアリアに、美貌だけでなく実力でも負けたことで暴走する。これはヴィクトリカに限ったことではないが、皇位継承戦は一族の未来を背負った戦いでもある。
「始まりの氏族」の血統しか参加できないため、開戦タイミングに差し掛かるであろう子供は多かれ少なかれ特別な教育と、一族の命運を握るプレッシャーの元で育つ。

竜鱗族や巨人族のように個々の強さに自信があるものは自らの手で未来を切り拓くものと考えるし、蛇瞳族や三ツ目族のような知力・魔力に長けたものは一芸で生き残ることが出来る。
一方で個の強さではそれほどでもない淫魔族は、人を利用し、立場や関係をつくり勝つことが求められた。

その歪みやプレッシャーが彼女の精神性を鬱屈させてしまったと考えられる。


□見どころ
・ロジカルに読み解かれていく魔法言語と、それによって開発されるオリジナル魔法での無双
・相手の意表を突いたワンサイドゲームの爽快感
・主人公になれない主人公ミロクのかっこよさと、アリアの可愛さ