翌日の剣魔部の朝練。
ボク、立、絶が男子の部室に顔を出すと、
部室の壁に人だかりが出来ている。
部内対抗戦の試合の組み合わせが、紙で貼り出されていたのだ。
紙は全部で4枚。
シングルスの2枚の紙は、
3人か4人をまとめた総当たり戦の表と、
その各試合がいつ行われるかのスケジュール一覧。
ミックスダブルスの2枚の紙は、
ペアの組み合わせの一覧と、
その各ペアの試合がいつ行われるかのスケジュール一覧だった。
ボクのシングルスの相手は、
3年生で部長の鬼頭先輩、
2年生の申清、
1年生の陰舞、
の3名だ。
鬼頭先輩と申清は、どちらも団体戦のレギュラーで、
ボクは過去の対戦では1度も勝てたことが無い。
ダブルスのペアのほうは、
2年生の岩舌さん、
1年生の宇目さん、
1年生の倫、
との組み合わせだった。
ダブルスの相手のほうは、
岩舌さんとのペアでやるのは、2年生の倉見と2年生の慈亜さんのペア。
宇目さんとのペアでやるのは、1年生の鳥鼓と1年生の茂名須さんのペア。
倫とのペアでやるのは、
これまた2年生の申清と2年生の相武さんのペアだった。
相武さんも団体戦のレギュラーである。
結果から言ってしまうと、
なんとボクは団体戦の補欠としてメンバーに入ることができた。
ダブルスは全勝。
特に、倫とのペアで、レギュラーの申清と相武さんのペアを圧倒したのが
かなり大きかったらしい。
絶、倫は、共に団体戦レギュラー。
ただし、倫は基本的にシングルス専門になる形だ。
結局、倫が合体できたのが、
ボク、絶、鬼頭先輩の3名だけだったためである。
残念ながら立は、団体戦のメンバーになることはできなかった。
と言うか、1年生で団体戦のメンバーになったのが倫だけだったので、
仕方ない部分もある。
だが立は、
『3年生が引退していなくなったら、絶対レギュラー取る!』
と意気込んでいたので、今から楽しみだ。
ここからは、ボクの試合について、かいつまんで述べようと思う。
まずは、シングルスだ。
シングルスの最初は、いきなり部長の鬼頭先輩との試合だった。
鬼頭先輩の聖剣は、
絶にはわずかに及ばないが長くて太い片刃で、
いわゆる巨剣に分類されるタイプだ。
戦い方も絶にけっこう近い。
ボクは大振りを誘って、それを回避しつつ攻撃する戦法で戦ったが、
前半に1ポイント取るのが精いっぱいだった。
「(ワンチャンス、
ボクの聖剣の硬さで鬼頭先輩の聖剣を折れないか?)」
とも期待したのだが、そううまく行くはずもなく。
結果は、3-1、3-0でボクのストレート負けだった。
シングルスの次の相手は、初めて対戦する1年生の陰舞だった。
陰舞の聖剣は、普通の刀のような感じの片刃の聖剣で、
やや左に曲がっている。
立と同様、剣魔を始めたばかりでほとんど素人な彼には、
ボクのフェイントを駆使した戦い方の相手はまだまだ厳しかったらしく、
最後までボクが試合を優位に進めた。
結果は、3-0、3-1でボクのストレート勝ちだった。
シングルスの最後の相手は、同じ2年生の申清だ。
彼の聖剣は、なんと刃が全く無い。
木刀を全体的に長く、
さらに太さをかなり太くしたような感じの、
真っ直ぐな聖剣だ。
巨剣に分類されるサイズではあるが、
刃が全く無いということで、
ボクは一方的に彼の聖剣にシンパシーを感じている。
申清は、身体のほうも立や絶よりも大きくてかなり太り気味で、
俊敏性や技術を使うよりは腕力だけでねじ伏せる感じの、
いわゆるパワープレイヤーである。
彼にリーチでもパワーでも劣るボクは、
彼の聖剣を何とかガードできたとしても、
そのパワーで大きく体勢を崩されてしまってなすすべがない。
見た目的にも、他の聖剣ほど簡単には折れてくれそうになかった。
ボクは、できるだけ彼の聖剣を受けないよう、
リーチギリギリのところで大振りを誘い、
それを回避して一気に接近戦に持ち込む感じの戦法で戦った。
結果は、3-1、3-2でボクのストレート負け。
後半に彼がバテてきて、良い勝負になりかけたのだが、
1歩及ばずという感じだった。
続いて、ダブルスである。
最初にペアを組んだ岩舌さんは、
脇名先輩と同じく水属性が得意な魔法使いだ。
対戦相手の倉見のほうは、
先の陰舞と同様、普通の刀サイズの片刃のタイプの聖剣で、
こちらはやや右に曲がっている。
対戦相手の慈亜さんのほうは、
倫と同じく火属性が得意な魔法使いだ。
ウチの部の中で、
絶、倫、鬼頭先輩、脇名先輩のような部員達をガチ勢とするなら、
この3人はエンジョイ勢に属する部員達である。
朝練にも顔を出していなかった。
結果は、3-1、3-1でボクと岩舌さんのペアのストレート勝ちだった。
ポイントはほとんどボクが奪ったものだし、
失点のほうもペアの岩舌さんが回避しそこねただけという感じで、
ボク的にはかなりの快勝である。
次にペアを組んだ宇目さんは、
土属性が得意な魔法使いだ。
土属性は、合体すると土が塊になって聖剣にくっつくので、
一時的とはいえ聖剣がかなり重くなるのがデメリットである。
しかし、すっごく短い聖剣のボクの場合であれば、それほど問題にならない。
対戦相手の鳥鼓の聖剣は、
普通の刀ぐらいのサイズで、
真ん中辺りから先っちょまでだけが片刃になった、
特に左右への曲がりは無い、真っ直ぐなタイプだった。
茂名須さんのほうは、
火と土属性が両方得意な魔法使いと聞いていたが、
試合中に使ったのは火属性だけだった。
その理由は4つある。
理由の1つ目は、先ほど説明したように、
合体すると聖剣が重くなるというデメリットがあるという点である。
理由の2つ目は、土属性の発動というのは、
アースに手を付くようにしゃがんだ姿勢になる必要があるという点である。
ダブルスの場合、合体もその姿勢でやることになるので、
剣士がその間は魔法使いを守ってあげる必要があるわけだ。
理由の3つ目は、土属性の弾はかなり重いので、
比較的遅い水属性の水球よりもさらに弾速が遅く、
飛距離も無いという点である。
このため、土属性以外にも得意な属性がある場合は、
そっちの属性のほうが優先して使われやすいのだ。
そして最後の最大の理由は、
1ゲーム目をボクと宇目さんのペアが奪った直後の、
2ゲーム目の1ポイント目で、
鳥鼓の攻撃をボクがガードした際に、
彼の聖剣がボッキン!と折れてしまったことである。
このため、3-1、0-0の時点で鳥鼓と茂名須さんのペアは棄権となり、
ボク達の勝ちで試合が終了してしまったのだ。
最後にペアを組んだ倫は、
「整理がまだ来ないんですの」
だそうで、火属性のみを使っていた。
対戦相手の申清の聖剣は、シングルスのところで述べた通りである。
相武さんのほうは、
倫と同様に火属性が得意な魔法使いだ。
これだけ聞くと、シングルスと同様にボクが不利に聞こえるかもしれない。
しかし、申清の聖剣は素早く振るのには向かないし、
体型も相まって、
連続して弾を防御したり回避したりするのは苦手なわけである。
そこで作戦として、ボクの射聖と倫の火球で申清のほうを
集中して狙い撃ちすることを徹底したのだ。
申清は、野球で言うバントのような構えをして、何とか食らいついてきたが、
ボクと倫は最終的に、彼を挟み撃ちにするようなフォーメーションを組んで、
動きの鈍い彼を翻弄した。
この作戦が功を奏し、結果は3-1、3-0と、
ボクと倫のペアが大差で勝利することができたのである。
ボク、立、絶が男子の部室に顔を出すと、
部室の壁に人だかりが出来ている。
部内対抗戦の試合の組み合わせが、紙で貼り出されていたのだ。
紙は全部で4枚。
シングルスの2枚の紙は、
3人か4人をまとめた総当たり戦の表と、
その各試合がいつ行われるかのスケジュール一覧。
ミックスダブルスの2枚の紙は、
ペアの組み合わせの一覧と、
その各ペアの試合がいつ行われるかのスケジュール一覧だった。
ボクのシングルスの相手は、
3年生で部長の鬼頭先輩、
2年生の申清、
1年生の陰舞、
の3名だ。
鬼頭先輩と申清は、どちらも団体戦のレギュラーで、
ボクは過去の対戦では1度も勝てたことが無い。
ダブルスのペアのほうは、
2年生の岩舌さん、
1年生の宇目さん、
1年生の倫、
との組み合わせだった。
ダブルスの相手のほうは、
岩舌さんとのペアでやるのは、2年生の倉見と2年生の慈亜さんのペア。
宇目さんとのペアでやるのは、1年生の鳥鼓と1年生の茂名須さんのペア。
倫とのペアでやるのは、
これまた2年生の申清と2年生の相武さんのペアだった。
相武さんも団体戦のレギュラーである。
結果から言ってしまうと、
なんとボクは団体戦の補欠としてメンバーに入ることができた。
ダブルスは全勝。
特に、倫とのペアで、レギュラーの申清と相武さんのペアを圧倒したのが
かなり大きかったらしい。
絶、倫は、共に団体戦レギュラー。
ただし、倫は基本的にシングルス専門になる形だ。
結局、倫が合体できたのが、
ボク、絶、鬼頭先輩の3名だけだったためである。
残念ながら立は、団体戦のメンバーになることはできなかった。
と言うか、1年生で団体戦のメンバーになったのが倫だけだったので、
仕方ない部分もある。
だが立は、
『3年生が引退していなくなったら、絶対レギュラー取る!』
と意気込んでいたので、今から楽しみだ。
ここからは、ボクの試合について、かいつまんで述べようと思う。
まずは、シングルスだ。
シングルスの最初は、いきなり部長の鬼頭先輩との試合だった。
鬼頭先輩の聖剣は、
絶にはわずかに及ばないが長くて太い片刃で、
いわゆる巨剣に分類されるタイプだ。
戦い方も絶にけっこう近い。
ボクは大振りを誘って、それを回避しつつ攻撃する戦法で戦ったが、
前半に1ポイント取るのが精いっぱいだった。
「(ワンチャンス、
ボクの聖剣の硬さで鬼頭先輩の聖剣を折れないか?)」
とも期待したのだが、そううまく行くはずもなく。
結果は、3-1、3-0でボクのストレート負けだった。
シングルスの次の相手は、初めて対戦する1年生の陰舞だった。
陰舞の聖剣は、普通の刀のような感じの片刃の聖剣で、
やや左に曲がっている。
立と同様、剣魔を始めたばかりでほとんど素人な彼には、
ボクのフェイントを駆使した戦い方の相手はまだまだ厳しかったらしく、
最後までボクが試合を優位に進めた。
結果は、3-0、3-1でボクのストレート勝ちだった。
シングルスの最後の相手は、同じ2年生の申清だ。
彼の聖剣は、なんと刃が全く無い。
木刀を全体的に長く、
さらに太さをかなり太くしたような感じの、
真っ直ぐな聖剣だ。
巨剣に分類されるサイズではあるが、
刃が全く無いということで、
ボクは一方的に彼の聖剣にシンパシーを感じている。
申清は、身体のほうも立や絶よりも大きくてかなり太り気味で、
俊敏性や技術を使うよりは腕力だけでねじ伏せる感じの、
いわゆるパワープレイヤーである。
彼にリーチでもパワーでも劣るボクは、
彼の聖剣を何とかガードできたとしても、
そのパワーで大きく体勢を崩されてしまってなすすべがない。
見た目的にも、他の聖剣ほど簡単には折れてくれそうになかった。
ボクは、できるだけ彼の聖剣を受けないよう、
リーチギリギリのところで大振りを誘い、
それを回避して一気に接近戦に持ち込む感じの戦法で戦った。
結果は、3-1、3-2でボクのストレート負け。
後半に彼がバテてきて、良い勝負になりかけたのだが、
1歩及ばずという感じだった。
続いて、ダブルスである。
最初にペアを組んだ岩舌さんは、
脇名先輩と同じく水属性が得意な魔法使いだ。
対戦相手の倉見のほうは、
先の陰舞と同様、普通の刀サイズの片刃のタイプの聖剣で、
こちらはやや右に曲がっている。
対戦相手の慈亜さんのほうは、
倫と同じく火属性が得意な魔法使いだ。
ウチの部の中で、
絶、倫、鬼頭先輩、脇名先輩のような部員達をガチ勢とするなら、
この3人はエンジョイ勢に属する部員達である。
朝練にも顔を出していなかった。
結果は、3-1、3-1でボクと岩舌さんのペアのストレート勝ちだった。
ポイントはほとんどボクが奪ったものだし、
失点のほうもペアの岩舌さんが回避しそこねただけという感じで、
ボク的にはかなりの快勝である。
次にペアを組んだ宇目さんは、
土属性が得意な魔法使いだ。
土属性は、合体すると土が塊になって聖剣にくっつくので、
一時的とはいえ聖剣がかなり重くなるのがデメリットである。
しかし、すっごく短い聖剣のボクの場合であれば、それほど問題にならない。
対戦相手の鳥鼓の聖剣は、
普通の刀ぐらいのサイズで、
真ん中辺りから先っちょまでだけが片刃になった、
特に左右への曲がりは無い、真っ直ぐなタイプだった。
茂名須さんのほうは、
火と土属性が両方得意な魔法使いと聞いていたが、
試合中に使ったのは火属性だけだった。
その理由は4つある。
理由の1つ目は、先ほど説明したように、
合体すると聖剣が重くなるというデメリットがあるという点である。
理由の2つ目は、土属性の発動というのは、
アースに手を付くようにしゃがんだ姿勢になる必要があるという点である。
ダブルスの場合、合体もその姿勢でやることになるので、
剣士がその間は魔法使いを守ってあげる必要があるわけだ。
理由の3つ目は、土属性の弾はかなり重いので、
比較的遅い水属性の水球よりもさらに弾速が遅く、
飛距離も無いという点である。
このため、土属性以外にも得意な属性がある場合は、
そっちの属性のほうが優先して使われやすいのだ。
そして最後の最大の理由は、
1ゲーム目をボクと宇目さんのペアが奪った直後の、
2ゲーム目の1ポイント目で、
鳥鼓の攻撃をボクがガードした際に、
彼の聖剣がボッキン!と折れてしまったことである。
このため、3-1、0-0の時点で鳥鼓と茂名須さんのペアは棄権となり、
ボク達の勝ちで試合が終了してしまったのだ。
最後にペアを組んだ倫は、
「整理がまだ来ないんですの」
だそうで、火属性のみを使っていた。
対戦相手の申清の聖剣は、シングルスのところで述べた通りである。
相武さんのほうは、
倫と同様に火属性が得意な魔法使いだ。
これだけ聞くと、シングルスと同様にボクが不利に聞こえるかもしれない。
しかし、申清の聖剣は素早く振るのには向かないし、
体型も相まって、
連続して弾を防御したり回避したりするのは苦手なわけである。
そこで作戦として、ボクの射聖と倫の火球で申清のほうを
集中して狙い撃ちすることを徹底したのだ。
申清は、野球で言うバントのような構えをして、何とか食らいついてきたが、
ボクと倫は最終的に、彼を挟み撃ちにするようなフォーメーションを組んで、
動きの鈍い彼を翻弄した。
この作戦が功を奏し、結果は3-1、3-0と、
ボクと倫のペアが大差で勝利することができたのである。