「めでたし めでたし」から始まる物語

 きれい……。

 輝くような金髪にエメラルドの目。
 こんなキラキラした人、これまで見たことない!

 仲の良い男友達の一人と参加したパーティー。
 そこで一人の男の人を見てカミナリに打たれたような衝撃を受けた。

 私達より年上だって分かった。
 スラリとした長身で学校で仲の良い男友達の誰よりもキレイ。
 カッコイイじゃなくてキレイが先に立つくらいに綺麗。

 彼の姿に思わず目を奪われたのは私だけじゃなかった。
 パーティーに来てる皆が彼に注目してる。女の人達は、うっとりと彼を見つめている。


「珍しいな、ティエリー様がこの会場にいるなんて」

「え?友達なの!?」

 エスコート役の子が彼を見て呟いたのを聞き逃さなかった。ティエリーって彼の名前よね?もしかして友達かも。だったら紹介してもらえる!そう思って聞いてみた。

「いや、友人ではないよ。流石に畏れ多い。ただ貴族ならティエリー様を知らない人はいないってことさ。ティエリー様にお会い出来るなんて本当に珍しいよ」

 そう言われてもう一度彼の姿を見た。あんなにたくさんの人達に囲まれているんだもの、滅多に姿を現さないということなのよね。私もご挨拶しなくちゃ!そう思った途端、彼が人だかりを離れ一人になったのを見逃さなかった。ラッキー!男友達に「少し風にあたってくる」と嘘をついて一人、彼の後について歩き出した。

 あ!チャンス!
 一人になった彼の所へ駆け寄って声をかけた。

「あの!私、ソニアって言います!貴男、ティエリーって言うんでしょ?仲良くしてね」

 上目づかいでおねだりポーズ。
 これもお母さんに教えてもらった。「これで堕ちない男はいない。ソニアはお母さんよりも愛嬌があるから別の意味でも可愛がられるわよ」って。
 私は彼が「君、可愛いね」って言うのを待った。だってコレをすると男子は、み~~んな、「可愛い子だね。僕も仲良くなりたいよ」って言うから。そうやって友達は増えていくものだって学習したの!

 でも変。
 なかなか声がかからない。なんで?私が不思議に思っていると、彼は私を無視して歩き出した。え……どうして……?訳が分からないけど、もしかしたら「ついてこい」って意味かもしれない。

「ま、まって!待って!どこに行くの?」

 叫ぶように話しかけるのに彼はどんどんと歩く。
 慌ててついて行くけど追いつかない。


「そこの女を捕らえろ」

 どうしてか彼から物騒な声が聞こえてきた。
 それと同時に数人の男の人が私を捕まえて縛り上げる。

 何!?なに?どういうこと!?

「離して!」

 叫んだら今度は口に網みたいなものをはめられて声が出せないようにされた。

 なになに!?なんでなんで!? 初めての経験でパニックになるけどどうにもならない! なんでこんな風に捕まっているんだろう?助けを呼ぼうにも声がだせない……どうしていいか分からず、私は只々パニックで泣くしかできなかった。

 引っ張られるようにパーティー会場に連れて来られた。

「この娼婦を連れて来たのは誰だ」

 彼の言葉に会場中が静まり返った。

「今すぐ出てこなければ然るべき処置を取らせてもらうぞ」

 怖い!なに!?なんで彼は怒ってるの!?
 彼の言葉に周囲がざわつくのが分かる。

「ぼ、僕です。彼女を連れて来たのは……」

 男友達が真っ青になって答えた。その途端、私の体は誰かに蹴飛ばされ床に倒れた。

 なに!?なにするの!!

「ここは夜会ではない。昼間から娼婦を連れ歩くな」

「も、申し訳ございません。あ……その、彼女は何か粗相を……したのでしょうか」

「私が一人になるのを見計らって接触してきた。家名を名乗る事もなくな。見た目からしてまだ見習いだろうが、躾がなっていない。君が彼女を身請けするのか?」

「え……それは……」

「身請けする予定はないのか?」

「……はい」

「この者が所属しているオーナーの許可を得て連れ出しているのか?」

「か、彼女の許可はとってあります」

「私は個人の許可を聞いているのではない」

「……そ、それは……」

「口約束ではなく書類契約は交わしていないのか?」

「……」

「その様子では交わしてないな。これは後学の為に言っておくが、それ相応の場所でその手の女性を選ばなければ大変な事になるぞ。所属の場所によっては客に詐欺まがいの行為をする者もいる。質の悪い者に引っかかって身ぐるみはがされないとも限らない。ましてや、この年齢で挨拶一つ出来ないとなれば中級クラスも怪しいな。下級クラスでその手の病が流行って社会問題になっているのは君も知っているだろう。君の連れもその類かもしれないのだ。私の言いたいことは分かるな」

「……はい」

「今日のところは初犯という事で大目に見よう。この場に相応しくないも者と共に速やかに退出しなさい」

「はいっ!申し訳ございませんでした!」

 大急ぎで私を立たせ、連れて行こうとする男友達。
 どうして!?なんで!?なんで私、連れてかれるの!!??
 訳が分からないまま馬車に乗せられて家に帰らされた。



 ティエリー・ギレム公爵子息。

 姿形は物語に登場する王子様にピッタリなのにクール。かと思えば優しいところもある――――らしい。クラスの女子達が話す声が嫌でも耳に入る。

 あれから頑張ってティエリーに近づこうとしたけど無理だった。

 彼の主催するパーティーは高位貴族しか立ち入り禁止で、「パーティーに行ってみたい」と言っても誰も連れて行ってくれなかった。だったら紹介して欲しかったのに、それもダメ。ダメダメばっかり。
 それだけじゃない。
 最近、みんな、そっけない。



『婚約者が怒るからな』

 それ変じゃない?
 だって怒っても次の日には私の傍にいたのに。急になんで?

『僕たちの場合、ソニアより年上だからね』

 だから何?
 先輩後輩の関係でしょ?今まで通りじゃない。

『卒業後の事も色々考えないといけねぇんだ』

 それって家の跡を継ぐって事でしょ?
 婚約者との結婚準備?なにそれ?

 よく分からない事を言われたけど、要は、婚約者よりも私と一緒にいる時間が多い事を親に咎められたみたい。卒業も間近に迫っているからと、私と距離をおくようになった。
 もっと詳しく聞くと、前に参加したパーティーでの一件が噂になっていたらしく、その出来事で男友達の親はカンカンらしい。

 なんで?
 親は関係ないでしょ?
 私、何もしてないのに……。

 どうして男友達が離れていこうとするのか分からなかった。


 そんな時だった。
 私に何時も意地悪する女子が話しかけてきたのは――――


「……は?み、見合い?私が……?」

「ええ、貴女には()()()()()()()()()()もの。結婚の仲介役くらいはさせていただくわ。勿論、無理にとは言わないけれどね」

 そうして見せてもらった見合い候補達の絵姿。

「な、なに……これ……?」

「あら?何かご不満でも?」

「ふ、不満に決まってるでしょ!!なにこれ!!オジサンばっかりじゃない!!!」

「あら?それは仕方ありませんわ。だって貴女は商家の出身。しかも“曰く付きの訳アリ”とくればねぇ。こちらの方々は『それでも構わない』と仰ってくださった奇特な男性達ですもの。この学園に通いながらも全くのマナー知らずで常識知らずでも“正式な妻(後妻)”として迎えても構わないそうですわ。『引退した後なら非常識な妻を持っても表に出す事もないから』と笑っていましたから」

「な、なによそれ?!」

「当然でしょう?どこの世界に淑女教育を終えていないどころか、最低限のマナーや貴族の常識をしらない、または理解できない女性を“正妻”にする者がいるのです。公に出さないからこそ“妻”に据える事ができるというもの。御実家の方は下位貴族か有力な商会との縁組を期待しているようですが、それは無理ですわ。だってそうでしょう?聡い商人達からすれば顧客とトラブルを抱えている女性を妻にする事はできませんし、ましてや学園内での交流もまともにできない女性は社交界で生き残っていけません。特に貴族は血を重んじる生き物です。誰の子を孕むか分からない女性を妻にはできませんでしょう?」

 クスクスと笑う声。馬鹿にするような笑い方だった。

 頭が真っ白に染まった。
 なんで?どうして?
 私と居る方が楽しいって!
 私が一番可愛いって言ったじゃない!!

 混乱する私は気付かなかった。その女子生徒が近づいてくるのを。私との距離を縮めると、その憎たらしい口は開いた。私の耳元で――

「……その“非常識ぶり”で長年の婚約関係を破綻に追い込んだご自覚はなくて?貴女のせいで破談になった婚約は数多ありますわ。殆どの男性が遊びだと訴えたところで、受け入れる側がそう受け取らなければそれは只の裏切りですのにね。まぁ、そこら辺の教育をろくに受けられなかったのだから仕方ありませんが。一部の者達は貴女を共有する事を目論んでいたそうですが、そんな倫理観のない男と夫にしたい妻はいませんわ。愛人を作るにしても妻の許可と両家の了承が必要だと言いますのにね。貴女とのお付き合いで常識がおかしくなったのかしら?それでも、貴女のような品性下劣な方が卒業後も同じ場所に居られても迷惑極まりありませんから、しっかりと手綱の握れるご主人様を紹介して差し上げるという寸法です」

 なに言ってんの??
 訳わかんないこと言わないでよ!!頭の中は混乱してて上手く話せなかった。でもこれだけは言っておかないと!!

「わ、わたしはオジサンじゃなくて格好いい人と結婚するの!!」

「結婚できるとお思いですの?」

「当たり前じゃない!私はこんなに可愛いんだから!!」

「ええ、頭の中も同じくらいに可愛らしいですものね。だから誰からも認められないでいるのですが……それを理解していないとは……哀れですわ」

 見下すような瞳に憐れみを含む声音。絶対バカにしている!私の事嫌いなんだ!ムカつく!!

「まぁ、無理に勧めるつもりはありませんわ。考えが変わりましたら、私にご一報ください。良いご縁を紹介して差し上げますから」

 言うだけ言って帰って行く女生徒を睨みつける。なによ、なんなのよ!!
 私は絶対に素敵な人と結婚するんだから!!
 そう王子様みたいな人とね!!!



 私も結婚相手を探そうと思った。
 本音を言えば「(ティエリー)」の奥さんになりたい。「(ティエリー)」と結婚したい。でもそれは無理だとお母さんに言われた。「愛人でも無理よねぇ」って。だから仕方なく別の子で我慢しようと思う。お母さんが言うなら仕方ない事だもんね。

 それでも、少しでも「(ティエリー)」に似た人がいい。金髪で緑色の目。

 なのに……。


『いや~~、それは無理だよ』

 どうして?
 私の事、可愛いって言ってくれたのに。

『婚約者がいるからな~~』

 別れてくれたらいいじゃない!
 どうせ、「つまらない女」でしょ?!
 何時も言ってたじゃない!!

『あーー愛人なら、まあ何とかなる……かも?』

 なによそれ!!

『え?!妻になりたい!!?本気で言ってんの!?』

 なんで驚くの!




 結果は散々だった。
 いつものように「お願い」をしてもダメ。

 何故だか、私のよくない噂が学校で広がっているらしくて一緒に遊ぶのも大変みたい。だからかな?みんな、学校の外で会いたがる。

 “新しく仲良くなった男子達”も同じだった。
 みんな、婚約者との婚約をやめてくれない。
 なんで私を選んでくれないの?悔しくて仕方なかった。だってそうでしょう!?私の方が綺麗で可愛いのに!“全然タイプじゃない”男の子まで私は声をかけてあげたんだよ?! イラついた。すっごくイラついたの。


「君、大丈夫かい?」

 一人で木陰で泣いていると声を掛けられた。顔を上げると、金髪に緑の目をした美少年が心配そうに私を見てた。すごくカッコいい!それに「(ティエリー)」と同じ「色」をしてる!「(ティエリー)」みたいに緑色の綺麗な目。その目は今、私をちゃんとみてくれている、と思った。
 もっと知りたいって思ったの!だから「大丈夫」って、つい口走っちゃった。

「そう?なら良いのだけど」

 あ!行っちゃう!!
 ダメダメ!!ここで彼を逃したら一生後悔する!!

「あ、あの!!」

 私の呼びかけで始まった関係。
 その出会いはとても大きなものだった。


 私の一生を左右するもの。
 それだけじゃない。国を揺り動かす出会いだった。
 ただ、私はそのことに全く気付くことはなかった。

 


(ティエリー)」に似た男子は“本物の王子様”だったの!
 信じられない!!

 “王子様”!本物!

『堅苦しいのは嫌いなんだ。レーモンと呼んでくれ。僕もソニアと呼ぶから』

 きゃ~~~!!
 やっぱり“本物の王子様”は違う!
 だって他の男子なら「名前も可愛いね、ソニア」って勝手に呼び捨てだったもの!そこからして違う!

 それだけじゃない。
 
 レーモンは他の男子と違って私のすることを肯定してくれた。
 
 みんなと仲良くするのは間違ってないって!
 意地悪は良くないって!
 
 やっぱりね!
 私は間違ってなかった!
 間違ってたのは彼女達の方!

 だから私は間違ってなかったと証明するために今まで通りに振る舞ったわ。
 勿論、レーモンが傍にいる時はレーモンを第一に優先する。当然でしょ?だって他の男子は私を一番に優先しない時があるんだもの。レーモンが隣にいると誰も何も言わない。意地悪だってされないし、酷い事だって言われなくなる。レーモンが傍にいるだけでとっても心強~~い!! 私は正しいんだ。って、そう思ったわ。

 なのに、なんで?
 なんでレーモンまで婚約者がいるの?なんでその事をレーモンじゃなくて別の人から聞かされないといけないの?

 そんなのおかしい!

 だってレーモンの傍にいるのは私だよ?
 婚約者の存在なんて全くなかった!ずっと前から婚約してた?知らないよ!そんなこと!!誰よそれ!!?



「あ、あれが……レーモンの婚約者……」

「あ~~そうだな。もういいだろ。一目見るだけだっていうからコッソリ連れてきたんだ。そろそろ出ないと不味い」

 後ろでグチャグチャと訳の分からない事を言う男友達。
 もう!少し静かにしてよ!逆に見つかっちゃうでしょ!!気づかれたら元も子もないじゃないの!!

「おい!ほんとにヤバいんだって……早くしろよ」

 そんな事を言う男友達は最終的に私の腕を掴んでムリヤリ会場の外に連れ出した。
 信じられない。最低よ!!

「いいか、今日の事は何も言うなよ。勿論、公爵令嬢を見に来たなんて絶対に言うな」

「解ってる」

「ならいいが。はぁ~~~。約束だったから連れて来たが、本当なら謹慎ものなんだからな」

「解ってるって!」

 そうして馬車に乗せられて帰宅した。



 

 ずるい……。
 ずるい、ずるい、ずるい!!

 無性に腹が立つ!

 たまたま公爵家に生まれただけでレーモンの婚約者になった女、アリエノール・ラヌルフ公爵令嬢。
 確かに綺麗だった。
 見た感じからして上品で……だけど……だけど……。レーモンだって言ってた。婚約者は歳の割にしっかりし過ぎているって。それってつまり落ち着き過ぎてるって事でしょ?一緒に居てつまらないって事でしょ?好きなわけじゃないって事でしょ?

 だったら私でもいいじゃない!

 私の方が歳だって近いし、顔だって私ならレーモンの横に並んでもお似合いじゃない。
 それに、あの公爵令嬢ってレーモンを好きなようにみえない。だって好きならレーモンを放っておかないでしょう?婚約者だからって安心してレーモンを放っておいてるに違いないわよ。絶対、そうよ!間違いないわ!!

 レーモンだって言ってた。彼女とは親が決めた婚約者だって。それってレーモンの為にならない!だって好き合ってない相手となんて……。公爵令嬢はちっともレーモンの事を思ってない! だったら大丈夫よ!私にだって可能性はあるわ!! 私ならレーモンのこと好きだし、大事にする!

 公爵令嬢がいなくなってくれるのが一番良いんだけど、そんな上手くはいかない。あれこれ動いていると、レーモンと公爵令嬢の婚約が白紙になった!

 そしてレーモンがプロポーズしてくれたの!
 私が選ばれたんだわ!!


『宜しいですか、王太子殿下。貴方様は、ラヌルフ公爵令嬢を大切にしなければなりません』

 何時の頃からだろう。
 教育係達が私に言い含め始めたのは……。

 幼い頃に結ばれたラヌルフ公爵の一人娘、アリエノールとの婚約は政略的なものだった。
「次の王妃は公爵家の令嬢」を、という声が多かったせいだろう。誰が見ても貴族、特に高位貴族側のゴリ押しで決まったようなものだ。


 気に入らなかった。

 勝手に決められた事もそうだが、自分が公爵家の娘よりも下に見られた事に腹が立った。

 たかが公爵令嬢だ。
 何故、王家の正当な王子である自分より上に見られる?
 こんなバカな話があるものか!

 苛立っていた。
 だから婚約者に宛がわれた公爵令嬢に初めて会った時はどちらが上かはっきりさせるために敢えて傲慢な態度を取ったものだ。
 乳母も「最初が肝心です」「舐められてはいけません」と、何時も怖い顔で言っていたしな。

『公爵家自慢の人形はそこそこ見られるようだ。お飾りの妃にはちょうど良さそうだな。大臣達が推薦するわけだ。だが、僕は血筋だけの女に敬意を払うつもりはない。隣にはいさせてやってもいいが、それは婚姻後だ。それまではむやみに近づくな!それと僕の邪魔にならないようにしろ!』

 他にも色々言った気がするが……まあ、昔の子供時代の話しだ。忘れた部分は多々あった。後で母上に酷く叱られてしまったが後悔はしていない。公爵令嬢とその後、どんな会話をしたのか、もう思い出せない。だというのに、ある言葉だけが時折思い出す。

『殿下は、意外と残念な方なのですね』

 婚約者に対する恋情も怒りもない。
 ただただ呆れ切ったその台詞。
 挨拶という名の宣言をした私に、まるで精巧なビスクドールのような少女は完璧なカーテシーをして見せた後、そっと顔を逸らしその平坦な声色でそう言ったのだ。人形のように美しかったが表情は能面だった。
 カッとなった。その澄ました顔をゆがませてやりたかった。
 振り上げた拳を護衛兵に取り押さえられなければ間違いなく殴っていただろう。それぐらい屈辱的な台詞だったのだ。

 最悪な出会い。
 最悪な会話。
 最悪な印象。

 ……だが、その後も私達の婚約は継続された。
 母上が公爵家に謝罪したためだとデマの噂が流れたくらいだ。周囲が殊更、公爵令嬢と私を結び付けようと躍起になっているのを感じた。そんな周りに余計に苛立った。

 今に見ていろ!
 公爵令嬢など足元にも及ばない存在であると分からせてやる!

 その日からより一層、私は必死で勉学とマナーの勉強に勤しんだ。
 おかげでそれなりに力を見せつける事は出来たように思うが、その後は何故か彼女にあしらわれるという事態に陥り始めたのだ。公爵家も私に対しておざなりな態度のままだ。

 歳を重ねていけば嫌でも解る事がある。
 私の母。つまり王妃は伯爵家出身だ。
 傲慢な三大公爵家はそれが面白くないのだろう。
 あからさまな態度を取る者はいないが、その分、王家と距離を置いている家まであった。

 不敬だろう!
 そう言いたかったが、言えば狡猾な奴らの事だ。揚げ足を取りの攻撃材料にするに決まっている。

 いつかきっと見返してやる!



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