「レオ……様……」

 私を守るように抱き寄せると、民衆に鋭い視線を向ける。
 皆、第一王子が現れたことによりひれ伏し、その顔を真っ青にした。

「皆、お前たちを責めるつもりはない。だが、この人は私の大切な人だから傷つけるのはよしてくれないか?」

 その言葉に民衆がさらにばつが悪そうに俯く。

「レオ様、あなた様の大切な方とは……知らなかったとはいえ大変申し訳ございませんでした!」
「いい、皆の『聖女』への思いも理解しているつもりだ。かく言う私も最初は聖女を非難しており、また疎ましく思っていたからな」
「恐れ多いことにございます。レオ様、この方は聖女様でいらっしゃいますか?」
「ああ、クリシュト国が召喚した聖女だ。わけあってこちらに来ている」

 民衆のリーダーのような人が私のほうにさっと身体を向けると、皆付き従うように同じように向けて言う。

「聖女様、この度は誠に申し訳ございませんでした。どんな罰でもお受けいたします」
「そんなっ! 私の存在が皆さんにとって不愉快であったのならば、私が謝るべきです。申し訳ございませんでした」