「元王妃様の代からですから二十年ほどになりますでしょうか。書庫室長を任されたのは元王妃様が亡くなる一年ほど前です」

(元王妃様はすでに亡くなっている……。すると、もしやユリウス様は元王妃様の息子か? そしてエリク様が現王妃様の息子。だから二人はユリウス様を冷遇している?)

「いろいろ教えてくださりありがとうございます。いくつか本を見させていただいてもよろしいでしょうか」
「もちろんです。ごゆっくりご覧ください」

(王妃様とエリク様は今日外出の予定。風邪でしばらく部屋には入らないでほしいとリアには言ってあるから少し時間は稼げるはず)

 私は急ぎ足で王宮の歴史をまとめた本やこの国についての書物を片っ端から探し、ざっと目を通すことにした。



 ──書庫室の本を漁り、いくつかわかったことがいくつかあった。

 もともとこの国は聖女の力で繁栄した国であり、初代国王の妃がその聖女だった。
 そして聖女はこの国の生まれや育ちではなく、どこか異世界の人間であり召喚によってその聖女はやってきたのだという。