ほう。都からいらっしゃったのですか。お役人さんなんですな。各地の情報を集めて記録すると。それは大変なことですなあ。
 ああ、かまいませんよ。このジジイの知っていることで良ければ、なんでもお話しましょう。
 そうですな。では、まずはこの播磨国のハニオカの里の地名の由来でも話しましょうかの……ーー。

 ある日、スクナヒコネノミコトがオオナムチノミコト……ああ、都ではオオクニヌシノミコトと言われておりましょうか、まあ、そのオオナムチノミコトに、
「ハニ(粘土)を担いで遠くまで行くのと、糞を出さずに遠くまで行くの、どっちがいい?!」
と尋ねたそうです。するとオオナムチノミコトは
「俺は糞出さないほうにする!」
とおっしゃったそうです。
 それから数日経った日のことでございます。オオナムチノミコトは
「ムリ!」
と言うやいなや大のほうの用を足されました。スクナヒコネノミコトも苦しいとおっしゃって担いでいたハニを放り出しました。それでこの土地をハニオカと名付けました。
 また、大の噴出する勢いが強かったのでしょう。大が笹に弾き上げられて衣に跳ねたそうでございます。そのため、この土地はハジカの村と名付けられました。
 そのハニと大は石となって今も残っているそうでござ
「もういいです」