「ルルカ! ミラーナ! その調子だ!」
ルルカとミラーナの誘導によって5万のモンスター軍はどんどん列が狭まり、スタンピードの“幅が約200m”ぐらいまで凝縮した。
「後は頼んだんよレベッカちゃん!」
「上手くやってみたいねルルカ」
「来るぞレベッカ君」
「はい、何時でも大丈夫です!」
そして。
何も考えずに突き進んで来るモンスター軍の先頭とルルカとミラーナが誘導してきた両端が重なり、凝縮したスタンピードはそのまま地面に広げられたレベッカの“空間の穴”へと勢いよく落ちて行くのだった。
――ズドドドドドドドドド!
『『ヴゴォォォォッ……⁉』』
突撃の勢いそのままに、モンスター軍は吸い込まれる様に一気に落ちる。視界を悪くしていた大量の砂煙が少しづつ晴れていくと、次に僕達の視界に映ったのは数が激減したスタンピードの成れの果てだった。
「ヒャハハ! こりゃ思った以上の成果なんよ」
「凄いわよレベッカ! 一気にモンスターがいなくなったわ」
「よし。そのまま空間を切り離すんだ」
「はい!」
次の瞬間、大量のモンスターを飲み込んだ空間の穴は一瞬で消え去り、どっと疲れが押し寄せたであろうレベッカはその場に座り込んだ。
「よくやったぞレベッカ君! あのモンスター軍を一網打尽にしたよ」
「凄いぞレベッカ!」
「あ……ありがとうございます」
レベッカの空間魔法が絶大な効果を発揮し、モンスター軍はほぼ消滅。辛うじて残ったモンスターはざっと2000以下となった。
よし、これならいけるぞ!
「ありがとうレベッカ! イェルメスさん、レベッカと一緒に離れていて下さい」
レベッカのお陰でピタリと動きが止まったスタンピードの残党モンスター達。数は決して少なくはないが、さっきと大群と比べれば無いに等しく思える。
ここまで皆作戦通り。後は僕だけだ。
剣を握り締めた僕は岩場から飛び降り、モンスター達と対峙する。
「こうなりゃ一気に片付けるか」
「そうね。久々のベヒーモス化なのに暴れ足りないわ」
そう口にしたルルカとミラーナはほぼ同時に残党モンスター達に突っ込んで行き次々に倒していく。
「しまった。完全に出遅れた」
ルルカとミラーナに続く様に僕は『神速』スキルで一気にモンスター達と距離を詰めると、1番前にいたオーク目掛けて『必中』スキルを発動。
そこへ更に“新しく習得した”ばかりの『連鎖』スキルを重ね合わせて剣を振り抜く――。
「はあッ!」
――パキィン! パキン、パキン、パキン、パキンッ!
『『ギギャァァァ⁉』』
新しく習得した『連鎖』スキルは僕の攻撃を連鎖させるもの。オークの核を破壊した一撃が他のモンスター達にも連鎖し、敵が密集している事も相まって一振りで100体近くのモンスターを倒すのに成功した。
「えげつないスキルだな」
「流石私の王子様。また強くなってるわ」
「凄いですねジーク様……」
「ハハハハ。まるであの時の勇者を見ている様だ。懐かしいねぇ」
1体たりともここから先は通さない。
僕は持てる力を駆使して攻撃し続けた結果、思った以上の速さで残党モンスター達を一蹴してしまった。
「今ので全部倒したか」
「ヒャハハ、マジであのスタンピードを止めちゃったんよ」
「貴方は大して役に立っていないわよ」
「まぁまぁ。これは皆の力を合わせた結果だよミラーナ。強いて言えばレベッカの力が無ければッ……『ヴボォォォォォ――!』
次の瞬間、突如荒地の向こうから激しい咆哮が響き渡った。
僕達が反射的にそちらへ振り向くと、遠い真っ青な上空から黒い影が勢いよくこちらに向かって来きていた。
大きな翼を羽ばたかせ全身を黒い鱗に纏ったそれは、かつて魔王と共に世界を脅かした“黒龍”。しかもその大きな黒龍の背にはなんと、グレイとゲノムの姿があった――。
「グレイ! ゲノム!」
「ハーハッハッハッハッ! 忌々しいジークよ。この間の借りを返しに来てやったぜッ!」
高らかに笑いながら僕達を見下ろすグレイ。
そして隣にはローブ越しに不敵な笑みを浮かべているゲノムの姿も。
やはりこの2人は一緒にいたか。
「何でそんな奴と一緒にいるんだグレイ! スタンピードで王都を襲って何の意味があるんだ!」
「相変わらずグチグチうるせぇ奴だな。意味なんて知らねぇ。俺はただ誰よりも強い事を証明して、世界中の奴らに最強が誰であるかを分からせてやるのさ! その犠牲第1番がテメェだジークッ!」
グレイがそう口にした瞬間、黒龍が僕目掛けて凄まじい炎ブレスを吐いてきた。
――グボォォォォ!
「くッ⁉」
「ハッハッハッハッ! 全て焼き尽くせ!」
「きゃあッ!」
「ゔッ……!」
強力な黒龍のブレスは僕だけでなはく周りにいた皆にも襲い掛かった。
ぐッ、皆が危ない。
僕は『無効』スキルと『神速』スキルを発動させて広範囲のブレスを全て斬り払った。
「ちっ! 生意気な野郎だなジーク」
「ルルカ! 槍を!」
「了解」
ルルカから槍を受け取った僕はすぐさま『必中』スキルを発動。そのまま黒龍目掛けて勢いよく投擲した。
――パキィン!
『ギゴァァァァァ……!』
「何ッ⁉」
「あら、これはマズいですね」
見事黒龍の核を砕くと、黒龍は呻き声を発しながらその巨体を一直線に地面へと落下。落ちた黒龍は凄い衝撃音と地響きと共に完全に動かなくなってしまった。
「畜生、あの野郎次から次へと……」
「ヒヒヒヒ。まさかこうも簡単に黒龍を落とされるとは」
黒龍と共に落下したものの、グレイとゲノムはどうやら無傷の様だ。
「まぁいい。最後は結局俺の手で殺らないと気が済まないからな。おいゲノム! お前は手を出すんじゃねぇ。コイツは俺の獲物だ」
「勿論。グレイ様の邪魔など致しませんよ」
「さぁ、あの時の続きといこうか!」
僕に物凄い殺意を放ちながら剣を構えるグレイは、この間の時よりも更に体が異形な姿になっている。全身からは不気味な黒い魔力が溢れ、体の半分以上が人間のそれではない。
最早人と言うよりも人外、魔族に近い。
「グレイ、お前自分がどんな姿か分かっているのか⁉」
「見た目などどうでもいい。俺が何よりも欲しいのは力だ! 誰よりも強いな。それさえあれば結局は全てが手に入るんだよ」
そう言うグレイの言葉に対し、僕は無意識にレベッカやこれまで出会った人達の事が思い浮かんでいた――。
「やっぱり……僕とお前が求めるものは全く違うみたいだなグレイ」
「あぁ? 何を訳分からない事言ってやがる。お前だって結局は力を手にしただろうが。同じ事をしているくせに自分だけ優等生ぶるんじゃねぇって言ってんだよッ!」
――ガキィィィン!
グレイが振り下ろしてきた強烈な一撃を受け止めた僕。
鍔迫り合いをしながら互いの視線が交差する。
分かったよ。
お前が僕の大事なものを奪おうとするなら、僕はお前を倒すぞグレイ――!
ルルカとミラーナの誘導によって5万のモンスター軍はどんどん列が狭まり、スタンピードの“幅が約200m”ぐらいまで凝縮した。
「後は頼んだんよレベッカちゃん!」
「上手くやってみたいねルルカ」
「来るぞレベッカ君」
「はい、何時でも大丈夫です!」
そして。
何も考えずに突き進んで来るモンスター軍の先頭とルルカとミラーナが誘導してきた両端が重なり、凝縮したスタンピードはそのまま地面に広げられたレベッカの“空間の穴”へと勢いよく落ちて行くのだった。
――ズドドドドドドドドド!
『『ヴゴォォォォッ……⁉』』
突撃の勢いそのままに、モンスター軍は吸い込まれる様に一気に落ちる。視界を悪くしていた大量の砂煙が少しづつ晴れていくと、次に僕達の視界に映ったのは数が激減したスタンピードの成れの果てだった。
「ヒャハハ! こりゃ思った以上の成果なんよ」
「凄いわよレベッカ! 一気にモンスターがいなくなったわ」
「よし。そのまま空間を切り離すんだ」
「はい!」
次の瞬間、大量のモンスターを飲み込んだ空間の穴は一瞬で消え去り、どっと疲れが押し寄せたであろうレベッカはその場に座り込んだ。
「よくやったぞレベッカ君! あのモンスター軍を一網打尽にしたよ」
「凄いぞレベッカ!」
「あ……ありがとうございます」
レベッカの空間魔法が絶大な効果を発揮し、モンスター軍はほぼ消滅。辛うじて残ったモンスターはざっと2000以下となった。
よし、これならいけるぞ!
「ありがとうレベッカ! イェルメスさん、レベッカと一緒に離れていて下さい」
レベッカのお陰でピタリと動きが止まったスタンピードの残党モンスター達。数は決して少なくはないが、さっきと大群と比べれば無いに等しく思える。
ここまで皆作戦通り。後は僕だけだ。
剣を握り締めた僕は岩場から飛び降り、モンスター達と対峙する。
「こうなりゃ一気に片付けるか」
「そうね。久々のベヒーモス化なのに暴れ足りないわ」
そう口にしたルルカとミラーナはほぼ同時に残党モンスター達に突っ込んで行き次々に倒していく。
「しまった。完全に出遅れた」
ルルカとミラーナに続く様に僕は『神速』スキルで一気にモンスター達と距離を詰めると、1番前にいたオーク目掛けて『必中』スキルを発動。
そこへ更に“新しく習得した”ばかりの『連鎖』スキルを重ね合わせて剣を振り抜く――。
「はあッ!」
――パキィン! パキン、パキン、パキン、パキンッ!
『『ギギャァァァ⁉』』
新しく習得した『連鎖』スキルは僕の攻撃を連鎖させるもの。オークの核を破壊した一撃が他のモンスター達にも連鎖し、敵が密集している事も相まって一振りで100体近くのモンスターを倒すのに成功した。
「えげつないスキルだな」
「流石私の王子様。また強くなってるわ」
「凄いですねジーク様……」
「ハハハハ。まるであの時の勇者を見ている様だ。懐かしいねぇ」
1体たりともここから先は通さない。
僕は持てる力を駆使して攻撃し続けた結果、思った以上の速さで残党モンスター達を一蹴してしまった。
「今ので全部倒したか」
「ヒャハハ、マジであのスタンピードを止めちゃったんよ」
「貴方は大して役に立っていないわよ」
「まぁまぁ。これは皆の力を合わせた結果だよミラーナ。強いて言えばレベッカの力が無ければッ……『ヴボォォォォォ――!』
次の瞬間、突如荒地の向こうから激しい咆哮が響き渡った。
僕達が反射的にそちらへ振り向くと、遠い真っ青な上空から黒い影が勢いよくこちらに向かって来きていた。
大きな翼を羽ばたかせ全身を黒い鱗に纏ったそれは、かつて魔王と共に世界を脅かした“黒龍”。しかもその大きな黒龍の背にはなんと、グレイとゲノムの姿があった――。
「グレイ! ゲノム!」
「ハーハッハッハッハッ! 忌々しいジークよ。この間の借りを返しに来てやったぜッ!」
高らかに笑いながら僕達を見下ろすグレイ。
そして隣にはローブ越しに不敵な笑みを浮かべているゲノムの姿も。
やはりこの2人は一緒にいたか。
「何でそんな奴と一緒にいるんだグレイ! スタンピードで王都を襲って何の意味があるんだ!」
「相変わらずグチグチうるせぇ奴だな。意味なんて知らねぇ。俺はただ誰よりも強い事を証明して、世界中の奴らに最強が誰であるかを分からせてやるのさ! その犠牲第1番がテメェだジークッ!」
グレイがそう口にした瞬間、黒龍が僕目掛けて凄まじい炎ブレスを吐いてきた。
――グボォォォォ!
「くッ⁉」
「ハッハッハッハッ! 全て焼き尽くせ!」
「きゃあッ!」
「ゔッ……!」
強力な黒龍のブレスは僕だけでなはく周りにいた皆にも襲い掛かった。
ぐッ、皆が危ない。
僕は『無効』スキルと『神速』スキルを発動させて広範囲のブレスを全て斬り払った。
「ちっ! 生意気な野郎だなジーク」
「ルルカ! 槍を!」
「了解」
ルルカから槍を受け取った僕はすぐさま『必中』スキルを発動。そのまま黒龍目掛けて勢いよく投擲した。
――パキィン!
『ギゴァァァァァ……!』
「何ッ⁉」
「あら、これはマズいですね」
見事黒龍の核を砕くと、黒龍は呻き声を発しながらその巨体を一直線に地面へと落下。落ちた黒龍は凄い衝撃音と地響きと共に完全に動かなくなってしまった。
「畜生、あの野郎次から次へと……」
「ヒヒヒヒ。まさかこうも簡単に黒龍を落とされるとは」
黒龍と共に落下したものの、グレイとゲノムはどうやら無傷の様だ。
「まぁいい。最後は結局俺の手で殺らないと気が済まないからな。おいゲノム! お前は手を出すんじゃねぇ。コイツは俺の獲物だ」
「勿論。グレイ様の邪魔など致しませんよ」
「さぁ、あの時の続きといこうか!」
僕に物凄い殺意を放ちながら剣を構えるグレイは、この間の時よりも更に体が異形な姿になっている。全身からは不気味な黒い魔力が溢れ、体の半分以上が人間のそれではない。
最早人と言うよりも人外、魔族に近い。
「グレイ、お前自分がどんな姿か分かっているのか⁉」
「見た目などどうでもいい。俺が何よりも欲しいのは力だ! 誰よりも強いな。それさえあれば結局は全てが手に入るんだよ」
そう言うグレイの言葉に対し、僕は無意識にレベッカやこれまで出会った人達の事が思い浮かんでいた――。
「やっぱり……僕とお前が求めるものは全く違うみたいだなグレイ」
「あぁ? 何を訳分からない事言ってやがる。お前だって結局は力を手にしただろうが。同じ事をしているくせに自分だけ優等生ぶるんじゃねぇって言ってんだよッ!」
――ガキィィィン!
グレイが振り下ろしてきた強烈な一撃を受け止めた僕。
鍔迫り合いをしながら互いの視線が交差する。
分かったよ。
お前が僕の大事なものを奪おうとするなら、僕はお前を倒すぞグレイ――!