「……ではこちらでよろしくお願いします」
「はい、今後ともよろしくお願いします」
冒険者ギルドとの契約が無事に完了した。
まず地図についてはランジェさんがこの地図は正しいのかを確認して戻り次第、冒険者ギルドに所属している口の堅い者に依頼をして簡易版の地図を作成してもらう。
そしてその地図は駆け出し冒険者に安値で販売されることになる。依頼費や材料費、販売のための経費と冒険者ギルドへ少し利益を渡して、残りの利益の大半は俺に入ることとなった。
とはいえ、駆け出し冒険者が購入しやすいように販売金額はたった銀貨5枚ほどなので、利益は銀貨1枚あるかどうかだ。そもそも紙やインクなどの材料費などで銀貨3〜4枚分だからな。
それでも副収入があるということは嬉しいことである。不労所得バンザイだ! ……あまりに嬉しくて心の中でバンザイしてしまったぜ。
「魔物図鑑のほうは依頼できる者が見つかり次第、写本を始めさせていただきます。とはいえかなり時間はかかると思いますが」
「ええ、植物図鑑もありますし、ゆっくりでいいので確実にいきましょう」
印刷技術なんてものはないこの世界だから、1ページずつ手書きで写していかなければならない。当然1日や2日程度で終わる量ではない。元々時間のかかる作業なので焦って情報を漏らさないように着実に進めていきたいところである。
植物図鑑のほうは冒険者向けの図鑑とそれ以外の用途の図鑑に分けるそうだ。写本する人以外に情報を漏らさないようにするため、副ギルドマスターであるパトリスさん本人が確認しながら情報を精査していくらしい。
効率を優先すると、どうしても俺の情報が漏れてしまうからな。パトリスさんには申し訳ないが、よろしくお願いするとしよう。
「ええ。テツヤさんの情報が漏れないようにすることを最優先とします。それに地図のほうは1枚写してしまえば、それを元に複製できますからね」
そう、地図のほうは俺の能力で出した精巧な地図を簡易版の地図に写したら、それを元に別の人が写して、できたものをまた複製と人を雇っての量産が可能だ。
簡易版に写した地図なら秘密もなにもないからな。もちろんこの地図の大元を俺が提供したことはライザックさんとパトリスさんだけの秘密である。
「それではもろもろよろしくお願いします」
他にもアウトドアショップのお店や俺の周りを嗅ぎ回るやつがいたら、いろいろと対処してくれるそうだ。冒険者や商人が何か因縁をつけてきたらすぐに冒険者ギルドに連絡するようにも伝えられた。
俺が異世界から来たことや、俺の能力を伝えたところ、全面的にこちらに協力してくれることになって本当に助かった。
今まで駆け出し冒険者のために貢献してきたおかげでもあるんだろうな。うむ、やっぱり信用は大事である。
「テツヤ、あれを渡すのだろう?」
「あっ、そうだった。完全に忘れていたよ!」
無事に契約も終わって帰ろうとしたところで、リリアに言われて思い出した。そういえばライザックさんとパトリスさんにお土産を持ってきていたのをすっかりと忘れていた。
なんだかんだで、俺の説明やら契約やらでかなりの時間が経過していたからな。たぶん外はもう真っ暗だろう。
「今度うちのお店で販売しようと思っているお菓子です。これも俺の故郷の食べ物なんでお試しにどうぞ」
「おお! テツヤの世界の食い物か! 興味あるな!」
「インスタントスープもテツヤさんの世界の食べ物なんですよね。とても期待してしまいます!」
ドルファやフィアちゃん達みたいにようかんとチョコレートバーを持ってきた。
……賄賂ではないぞ、あくまでも試供品だからな。食べてもらって感想をいただきたいだけである。……いろいろと便宜を図ってもらいたいだなんて思惑は、ほんのちょっぴりしかないよ。
「ぬおっ!? なんだこりゃ! 甘すぎる!」
「これは甘くて本当に美味しいですね!」
どや、あっちの世界のお菓子は甘くてうまいだろう?
反応は上々のようだ。たとえ男性2人であっても、ようかんとチョコレートバーはこちらの世界の人に受け入れられている。
あんまり美味しそうに食べるから、つい心の中でドヤ顔を決めてしまったぜ。やっぱりこっちの世界の人は甘いものに飢えているようだ。
「こいつはすげえな! こんな甘いもん初めて食ったぜ!」
「こっちのほうは不思議な甘さですね。ちょっとほろ苦いような甘いような……ですがとても美味しいですよ!」
「どちらもカロリー……エネルギーがとても豊富なので、行動食としても優秀ですよ。それとこっちのやつは非常食としても優秀ですね。味はまあそれほどといったところですが」
そして2人にブロック状のクッキーを渡す。いわゆるカロリーの栄養補給食である。確か5大栄養素をバランスよく摂取できるんだよな。
こっちのほうはようかんやチョコレートバーよりも水分が少なく日持ちするだろうから、非常食としても優秀なはずだ。とりあえず1週間後に昨日出したものを食べてみて体調が悪くならなければ、問題ないだろう。
ちなみにこっちの世界には賞味期限なんてないからな。基本的にはすべて自己責任である。
「……まあさっきのに比べれば味は普通か」
「いえ、非常食として味は優秀ですよ。さっきのは行動食というよりはお菓子として売れそうですね。こっちのは口の中がパサつくのが少し欠点でしょうか……」
……そうね、非常食としてはとても優秀だが、それが唯一の欠点である。そしてチョコレートバーやようかんほど甘くはないので、衝撃もそれほどではなかったようだ。どうやら渡す順番を間違えたらしい。
「はい、今後ともよろしくお願いします」
冒険者ギルドとの契約が無事に完了した。
まず地図についてはランジェさんがこの地図は正しいのかを確認して戻り次第、冒険者ギルドに所属している口の堅い者に依頼をして簡易版の地図を作成してもらう。
そしてその地図は駆け出し冒険者に安値で販売されることになる。依頼費や材料費、販売のための経費と冒険者ギルドへ少し利益を渡して、残りの利益の大半は俺に入ることとなった。
とはいえ、駆け出し冒険者が購入しやすいように販売金額はたった銀貨5枚ほどなので、利益は銀貨1枚あるかどうかだ。そもそも紙やインクなどの材料費などで銀貨3〜4枚分だからな。
それでも副収入があるということは嬉しいことである。不労所得バンザイだ! ……あまりに嬉しくて心の中でバンザイしてしまったぜ。
「魔物図鑑のほうは依頼できる者が見つかり次第、写本を始めさせていただきます。とはいえかなり時間はかかると思いますが」
「ええ、植物図鑑もありますし、ゆっくりでいいので確実にいきましょう」
印刷技術なんてものはないこの世界だから、1ページずつ手書きで写していかなければならない。当然1日や2日程度で終わる量ではない。元々時間のかかる作業なので焦って情報を漏らさないように着実に進めていきたいところである。
植物図鑑のほうは冒険者向けの図鑑とそれ以外の用途の図鑑に分けるそうだ。写本する人以外に情報を漏らさないようにするため、副ギルドマスターであるパトリスさん本人が確認しながら情報を精査していくらしい。
効率を優先すると、どうしても俺の情報が漏れてしまうからな。パトリスさんには申し訳ないが、よろしくお願いするとしよう。
「ええ。テツヤさんの情報が漏れないようにすることを最優先とします。それに地図のほうは1枚写してしまえば、それを元に複製できますからね」
そう、地図のほうは俺の能力で出した精巧な地図を簡易版の地図に写したら、それを元に別の人が写して、できたものをまた複製と人を雇っての量産が可能だ。
簡易版に写した地図なら秘密もなにもないからな。もちろんこの地図の大元を俺が提供したことはライザックさんとパトリスさんだけの秘密である。
「それではもろもろよろしくお願いします」
他にもアウトドアショップのお店や俺の周りを嗅ぎ回るやつがいたら、いろいろと対処してくれるそうだ。冒険者や商人が何か因縁をつけてきたらすぐに冒険者ギルドに連絡するようにも伝えられた。
俺が異世界から来たことや、俺の能力を伝えたところ、全面的にこちらに協力してくれることになって本当に助かった。
今まで駆け出し冒険者のために貢献してきたおかげでもあるんだろうな。うむ、やっぱり信用は大事である。
「テツヤ、あれを渡すのだろう?」
「あっ、そうだった。完全に忘れていたよ!」
無事に契約も終わって帰ろうとしたところで、リリアに言われて思い出した。そういえばライザックさんとパトリスさんにお土産を持ってきていたのをすっかりと忘れていた。
なんだかんだで、俺の説明やら契約やらでかなりの時間が経過していたからな。たぶん外はもう真っ暗だろう。
「今度うちのお店で販売しようと思っているお菓子です。これも俺の故郷の食べ物なんでお試しにどうぞ」
「おお! テツヤの世界の食い物か! 興味あるな!」
「インスタントスープもテツヤさんの世界の食べ物なんですよね。とても期待してしまいます!」
ドルファやフィアちゃん達みたいにようかんとチョコレートバーを持ってきた。
……賄賂ではないぞ、あくまでも試供品だからな。食べてもらって感想をいただきたいだけである。……いろいろと便宜を図ってもらいたいだなんて思惑は、ほんのちょっぴりしかないよ。
「ぬおっ!? なんだこりゃ! 甘すぎる!」
「これは甘くて本当に美味しいですね!」
どや、あっちの世界のお菓子は甘くてうまいだろう?
反応は上々のようだ。たとえ男性2人であっても、ようかんとチョコレートバーはこちらの世界の人に受け入れられている。
あんまり美味しそうに食べるから、つい心の中でドヤ顔を決めてしまったぜ。やっぱりこっちの世界の人は甘いものに飢えているようだ。
「こいつはすげえな! こんな甘いもん初めて食ったぜ!」
「こっちのほうは不思議な甘さですね。ちょっとほろ苦いような甘いような……ですがとても美味しいですよ!」
「どちらもカロリー……エネルギーがとても豊富なので、行動食としても優秀ですよ。それとこっちのやつは非常食としても優秀ですね。味はまあそれほどといったところですが」
そして2人にブロック状のクッキーを渡す。いわゆるカロリーの栄養補給食である。確か5大栄養素をバランスよく摂取できるんだよな。
こっちのほうはようかんやチョコレートバーよりも水分が少なく日持ちするだろうから、非常食としても優秀なはずだ。とりあえず1週間後に昨日出したものを食べてみて体調が悪くならなければ、問題ないだろう。
ちなみにこっちの世界には賞味期限なんてないからな。基本的にはすべて自己責任である。
「……まあさっきのに比べれば味は普通か」
「いえ、非常食として味は優秀ですよ。さっきのは行動食というよりはお菓子として売れそうですね。こっちのは口の中がパサつくのが少し欠点でしょうか……」
……そうね、非常食としてはとても優秀だが、それが唯一の欠点である。そしてチョコレートバーやようかんほど甘くはないので、衝撃もそれほどではなかったようだ。どうやら渡す順番を間違えたらしい。